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キング・コング | |
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King Kong | |
監督 | メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シェードザック |
脚本 | ジェームス・クリールマン、ルース・ローズ |
製作 | メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シェードザック |
製作総指揮 | デビッド・O・セルズニック |
出演者 |
フェイ・レイ ブルース・キャボット ロバート・アームストロング |
音楽 | マックス・スタイナー |
撮影 | エドワード・リンドン、バーノン・L・ウォーカー |
編集 | テッド·チーズマン |
配給 | RKO |
公開 | 1933年3月2日 |
上映時間 |
100分 104分(オーバーチュア付き) |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $672,000[1] |
興行収入 |
$1,856,000(オリジナル発売)[1] $306,000(1938年の再リリース) $685,000(1941年の再リリース) |
次作 | コングの復讐 |
『キング・コング』(英語:King Kong)は、メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シェードザックが監督・制作した1933年のアメリカ合衆国の映画。
ジェームス・クリールマンとルース・ローズは、メリアン・C・クーパーとエドガー·ウォーレスのアイディアを素に脚本を書いた[2]。
フェイ・レイ、ブルース・キャボット、ロバート・アームストロング主演で、1933年3月2日にニューヨークで初演された[3]。
概要
この映画におけるキングコングは、恐竜などが生息する南洋の髑髏島(Skull Island)から見世物にされるためにニューヨークへ連れて来られた巨猿である。髑髏島におけるコングの身長は18フィート(約5.4メートル=成人男性の3倍程度)、NYにおいては24フィート(約7.2メートル=成人男性の4倍程度)と設定されていた。
当時はターザン映画を始めとする「ジャングルを舞台とした秘境冒険映画」や「実写の猛獣映画」が盛んに作られており、本作でもその趣向が大いに取り入れられた。本作でのコングも兇暴な猛獣として描かれており、敵対するものは容赦なく葬る。アンの衣服を剥がしてその臭いをかぐシーンなど、まさに「美女と野獣」のイメージで描かれている。 また、主人公のカール・デナムは、当時アフリカで危険動物を捕獲しヨーロッパで公開して時の人となっていた、ドイツの動物商カール・ハーゲンベックがモデルとなっている[4]。
クライマックスのエンパイア・ステート・ビルの場面では、第一次世界大戦で初めて投入された新兵器である飛行機が登場し、コング撃退の為に機関銃を発砲している。
当時のアメリカは世界大恐慌の残禍も色濃い時期であり、アンの身の上などにもそれがよく現れている。大ヒットとなった背景にも、この経済的世情不安があったとの声もある[5]。社会学的にもキングコングの存在は時代を映す鏡として採り上げられることも多く、欧米では「当時のアメリカの膨大な失業者」、「黒人に対する白人側の恐怖」、「母子が結びつく形での征服された性欲」などのほか、さまざまな暗喩によって説明されている[6]。
映像面では、コングが人形アニメ(ストップモーション・アニメ)で表現されたことが大きな特徴である。『ロスト・ワールド』(1925年)に続いてウィリス・オブライエンが手腕をふるう卓越した特撮映像は多くの映画人に影響を与え、数多くの著名モンスターメーカーを生み出すこととなった。レイ・ハリーハウゼンが本作の影響から映画制作を志し、のちにオブライエンの部下として『猿人ジョー・ヤング』に参加したことは有名である。また、本作は世界初のトーキーによる怪獣映画としても知られる。
コングのミニチュアモデルは、金属製の骨格(アーマチュア)を内蔵し、表面にウサギの毛皮を貼った40センチほどのものが数体製作され、髑髏島で使われた丸顔モデルやNYで使われた面長モデルなど、細部が異なる。また、実物大の胸像や頭部、腕部など(これらの表皮はクマの毛皮)も作成され、人形アニメと組み合わせて適宜撮影されている。
当時重度の経営不振だったRKOは、本作の世界的大ヒットによって一気に持ち直した。アドルフ・ヒトラーは封切で本作を観ており、大ファンだったことで知られる。また、円谷英二が特撮監督の道を志すきっかけとなった作品でもある。淀川長治によると、公開当時、RKOにはこの映画を観た観客達から「本当にあんな生物がいるのか」との問い合わせの電話が殺到したという。
本作のジャングルのセットを流用し、並行して制作されたのが『The Most Dangerous Game』(邦名:『猟奇島』)である。フェイ・レイをはじめ両方に出演している出演者もいる。
あらすじ
映画監督のカール・デナムは、最新作の撮影のため顔見知りのエングルホーン船長の船に乗り込むが、撮影内容も目的地も不明のため女優を雇うことができずにいた。デナムはニューヨークの街中に女優を探しに向かい、仕事を求めていたアン・ダロウと出会い、主演女優に抜擢する。アンを迎えたデナムはニューヨークを出港し、地図に載っていない孤島「髑髏島」に向かう。その航海の中で、アンは船員のジャック・ドリスコルと親密な関係になる。
髑髏島に到着したデナムたちは島に上陸し、そこで原住民が島に住むコングに捧げる生贄の儀式を行っている姿を目撃する。原住民はアンを見付けると、「彼女をコングの生贄として譲って欲しい」と要求するが、ジャックは要求を拒否し、デナムたちは船に戻る。その夜、原住民たちは船に忍び込みアンを連れ去る。アンがいないことに気付いたジャックとデナムは船員たちを連れて島に戻り、アンを取り戻そうとする。
生贄にされたアンはコングに捕まり森の中に消え、ジャックたちはコングの足跡を頼りに彼女を探す。途中、ジャックたちは太古の恐竜に襲われ、さらにコングにも襲われ、捜索隊はジャックとデナムを残して全滅してしまう。ジャックはデナムに原住民の村へ戻るように伝え、一人でコングの後を追う。島の頂上に着いたジャックは、コングが恐竜との格闘に気を向けている隙にアンを助け出し、原住民の村に戻る。ジャックとエングルホーンは島から脱出しようとするが、デナムはコングをニューヨークに連れ帰り興行にかけようと計画する。そこに怒り狂ったコングが現れ、原住民の村を破壊する。デナムは船に積んでいた爆弾を使いコングを捕まえ、ニューヨークに連れ帰ることに成功する。
コングの興行初日、劇場は満席となりデナム、ジャック、アンの三人は記者に囲まれ上機嫌になっていた。しかし、記者たちがフラッシュをたいたため、興奮したコングは鎖を引き千切り暴れ出す。ジャックとアンはホテルに逃げ込むが、コングに見付かりアンが連れ去られてしまう。コングはアンを連れてエンパイア・ステート・ビルに登り始め、ジャックとデナムは警察に駆け込み、飛行機を飛ばしてコングを攻撃するように提案する。警察は飛行機を飛ばしてコングを銃撃し、コングはビルから墜落し息絶える。ビルの天辺に取り残されたアンはジャックに助け出され、コングの死体を見たデナムは側にいた警官に「彼女の美貌が野獣を仕留めた」と呟く。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | ||
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NHK版[7] | フジテレビ版 | TBS版 | ||
アン・ダロウ | フェイ・レイ | 新道乃里子 | 公卿圭子 | 高島雅羅 |
カール・デナム | ロバート・アームストロング | 川久保潔 | 小林修 | |
ジャック・ドリスコル | ブルース・キャボット | 川合伸旺 | 市川治 | 津嘉山正種 |
エングルホーン船長 | フランク・ライヒャー | 梶哲也 | 北村弘一 | 宮内幸平 |
ウエストン | サム・ハーディー | 加藤精三 | 中川謙二 | |
チーフ | ノーブル・ジョンソン |
- NHK版初回放映:1961年8月31日『劇映画』
- フジテレビ版初回放映:1967年8月7日
- TBS版初回放映:1981年11月8日『日曜ヒットスクリーン』
※日本語吹き替え版はいずれもDVDには未収録
参考文献
- ^ a b Richard Jewel, 'RKO Film Grosses: 1931-1951', Historical Journal of Film Radio and Television, Vol. 14, No. 1, 1994, p.39
- ^ Bigelow, Joe (1933). “Review: ‘King Kong’”. バラエティ 2013年12月29日閲覧。.
- ^ Ebert, Roger (2002年2月3日). “King Kong (1933)”. シカゴ・サンタイムズ 2012年12月29日閲覧。
Goldner, Orville and George E. Turner (1975). The Making of King Kong. Ballantine Books. ISBN 0-498-01510-6
Gottesman, Ronald and Harry Geduld, ed (1976). The Girl in the Hairy Paw: King Kong as Myth, Movie, and Monster. Avon. ISBN 0-380-00610-3
James W. Roman (2009). Bigger Than Blockbusters: Movies that Defined America. ABC-CLIO
Ronald Gottesman, Harry M. Geduld (1976). The Girl in the hairy paw: King Kong as myth, movie, and monster. Avon Books
Kenneth Von Gunden (2005). Flights of Fancy: The Great Fantasy Films. McFarland. p. 103, 235
Ray Morton (2005). King Kong: The History of a Movie Icon from Fay Wray to Peter Jackson. p. 78
Walter Wager (2007). My Side: By King Kong. Simon and Schuster - ^ スティーブン・ジョンソン 『世界を変えた6つの「気晴らし」の物語:新・人類進化史』 太田直子訳 朝日新聞出版 2017年 ISBN 978-4-02-331632-4 pp.366-372.
- ^ Thomas Doherty著『Pre-Code Hollywood: Sex, Immorality, and Insurrection in American Cinema, 1930-1934』(1999年)第二章「配給待ちの列と興行収入の列、大恐慌のどん底のハリウッド」における論評
- ^ Martin Monestier著『図説奇形全書』(1999年)ISBN 4562032502 第五部「フィクションの中の奇形」より
- ^ “アーカイブス放送履歴”. NHK. 2018年10月13日閲覧。