「新花巻駅」の版間の差分
座標内容追記、地図アイコン変更、位置図記載 |
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2020年2月15日 (土) 00:12時点における版
新花巻駅 | |
---|---|
駅舎 | |
しんはなまき Shin-Hanamaki | |
所在地 | 岩手県花巻市矢沢10-87-7 |
所属事業者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
電報略号 | シハ |
駅構造 |
高架駅(新幹線) 地上駅(在来線) |
ホーム |
2面2線(新幹線) 1面1線(在来線) |
乗車人員 -統計年度- |
938人/日(降車客含まず) -2018年- |
開業年月日 | 1985年(昭和60年)3月14日[1] |
乗入路線 2 路線 | |
所属路線 | 東北新幹線 |
キロ程 | 500.0 km(東京起点) |
◄北上 (12.5 km) (35.3 km) 盛岡► | |
所属路線 | ■釜石線 |
キロ程 | 6.4 km(花巻起点) |
◄似内 (2.9 km) (1.9 km) 小山田► | |
備考 |
直営駅(管理駅) みどりの窓口 有 |
新花巻駅(しんはなまきえき)は、岩手県花巻市矢沢(やさわ)にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)の駅である。
東北新幹線と在来線の釜石線との交差地点に設けられており、両線の接続駅となっている。
歴史
東北新幹線の開通時点では新花巻駅は未設置であったが、東北新幹線の建設計画が持ち上がった時から地元では駅設置の住民運動を実施し、都市計画を行って土地買収を進め、日本国有鉄道(国鉄)総裁に対して請願を行っていた。1982年(昭和57年)6月および7月の国鉄役員会において、同時期に請願を行っていた水沢江刺駅とともに、新駅設置に関する基本要件が決定され、これを受けて1983年(昭和58年)1月5日に盛岡鉄道管理局長から具体的な設置条件が示された。その条件は、当面建設する相対式ホーム2面2線の駅の工事費約55億円を地元負担とすること、用地を無償譲渡すること、将来的に待避線を備えた2面4線への拡張を想定して用地を確保し、4線化の工事の際には用地の無償譲渡に応じること、そして駅前広場と関連道路を地元で整備することであった。花巻市は条件了解の返答を同年10月17日に行った。また地方財政再建促進特別措置法で自治体の国鉄への寄附行為が原則として禁じられていたが、全国新幹線鉄道整備法が同年10月14日に改正されたことで寄附行為が可能となって、駅の整備ができることになった。これを受けて11月1日に盛岡鉄道管理局長から本社旅客局長あてに駅設置上申が行われ、11月21日に設置承認を受けた。11月17日には花巻市議会で債務負担行為議決が行われ、11月22日に国鉄と花巻市の間で基本協定が締結された。11月30日に工事実施計画の変更申請が運輸大臣に提出され、12月12日に認可を受けた。国鉄と花巻市の間の工事協定は12月19日に締結され、1984年(昭和59年)1月10日に着工となった[2]。
設置承認は2面2線16両対応であったが、当面2面2線12両対応として工事を行うことになった。既設高架橋の両側に直接基礎一柱式RCラーメン高架橋を新設して上屋とホームを支持し、耐雪形の覆いを全体に被せる構造とした。工事期間中は安全のために列車は工事区間を110 km/hで徐行を行い、また鉄骨を建てたり屋根を建設したりする工事は夜間に線路閉鎖と饋電停止を行った上で施工した[3]。プラットホームは310メートルの有効長とされ、乗客が少ないと見込まれたことから新幹線鉄道構造規則で定める相対式ホームにおける最小幅員5メートルより狭い幅4.5メートルを採用して、そのための特別承認を得た[4]。1985年(昭和60年)2月12日に工事が完成し、3月14日に東北新幹線の上野 - 大宮間開業とともに開設された[5]。
また、釜石線側については現在の駅の約500メートル西側に存在していた矢沢駅を廃止の上で、新幹線との交差地点に新たに釜石線連絡設備を新設した。地形上15パーミル勾配の区間に建設せざるを得ず、日本国有鉄道建設規程における駅設置の上限である10パーミル勾配を超えていた。このため過走余裕を考慮して、気動車4両対応の列車長86メートル、一般余裕5メートル、過走余裕20メートルを合計した全長111メートルのプラットホームとした上で、旅客列車に限って停車させる条件で運輸大臣の特別承認を得た[6]。
こうした建設経緯から、釜石線の新花巻駅については事実上矢沢駅の移転・駅名改称である[注釈 1]。現在でも駅西方の線路が緩くカーブしているのは、矢沢駅が元来は交換可能な構造だった名残である。矢沢駅の廃止時点では交換設備は撤去されていた。
16両対応での想定工事費は55億1000万円であったが、12両対応にしたことで地元との協定額は47億9000万円となり、さらにその後の工事費の縮減により、最終的な工事費は40億9000万円となった。花巻市では、3分の1を岩手県からの工事補助金で賄ったほか、地元住民協力金、周辺市町村協力金、積立金の取り崩しなどでこの額を負担した[7]。
年表
駅構造
当駅は直営駅(駅長・助役配置)である。管理駅でもあるが、当駅は自駅のみの単駅管理となっている。(周辺の駅は北上駅が管理)
新幹線
相対式ホーム2面2線を有する高架駅である。副本線は無いため、ホームには可動式安全柵が装備されている。フル規格10両+ミニ新幹線規格7両の17両編成対応。ミニ新幹線規格車両の停止位置には、旅客転落防止のためのローピング設備が設置されている。
駅舎にはみどりの窓口(営業時間 5時50分 - 22時20分、途中休止時間帯あり)、指定席券売機2台、自動改札機2通路、そば屋「イーハトーブの里」、ジャスター売店「ぐるっと遊」・「みみずく」、待合室を兼ねた花巻市観光案内所がある。
駅舎は宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」をモチーフとし、屋根に設けた半円塔のトップライトと外壁のミラーガラスにより青空と星空を映し出し、イーハトーブの台地と宇宙のつながりを表現している。コンコース天井に鏡面のドームを配置して、光と形で宮沢賢治の幻想の世界を表現している[6]。駅務室は少人数でも業務を行いやすいワンルーム方式で、出札・改札・精算を兼ねるラッチが設けられている。駅の両側に出られる構造で、待合室は改札内に設置されなかった。駅本屋の総床面積は1,195平方メートルである[4]。
のりば
番線 | 路線 | 方向 | 行先 |
---|---|---|---|
1 | 東北・北海道新幹線 | 下り | 盛岡・新青森・新函館北斗方面[8] |
秋田新幹線 | 角館・大曲・秋田方面[8] | ||
2 | 東北新幹線 | 上り | 仙台・福島・郡山・宇都宮・大宮・東京方面[8] |
在来線
単式ホーム1面1線を有する地上駅。 新幹線から在来線への乗り換えは、一旦新幹線改札から出場し、駅舎玄関を出てから県道286号東和花巻温泉線を潜る地下道を通って行く。
新幹線窓口でも乗車券を発売しているが、当ホームにもきっぷうりばがあり、日中のみ駅員が配置され携帯型車内補充券端末機を使用してきっぷの発売が行われていた。簡易券売機の設置により、2015年1月24日より在来線ホームでの出札業務は中止され、改札業務のみとなった。
また、臨時快速「SL銀河」の当駅接近から発車までの間に限り、宮沢賢治が作詞作曲し、童話「銀河鉄道の夜」にも登場する「星めぐりの歌」をアレンジしたものが流れる。
駅弁
駅構内の売店「イーハトーブの里 新花巻店」にて販売されている駅弁(2019年4月28日現在)。
- ひふみ弁当(予約注文品)
- 世界文化遺産 平泉(予約注文品)
- 復刻版鶏舞弁当
- あわびうに飯
- 季節の弁当
- 岩手県産牛焼肉弁当
- いわいとりめし
- 平泉義経
- 海鮮三色弁当
- イーハトーブの旅
- かにめし
- かにといくら弁当
- 豚肉の南部焼き弁当
- 幕の内弁当
- 平泉うにごはん
- いわてあぶり焼き和牛弁当
- 三陸海の子
かつて販売されていた主な駅弁は下記の通り[9]。
- 五目めし
- 釜めし
- 賢治弁当
- 牛肉弁当
- 白金豚弁当
- ロマン銀河鉄道SL弁当
- 注文の多い料理店
- 特製弁当 花巻
利用状況
JR東日本によると、2018年度(平成30年度)の1日平均乗車人員は931人である[利用客数 1]。また、新幹線の1日平均乗車人員は950人である[新幹線 1]。
近年の推移は以下のとおりである。
乗車人員推移 | ||
---|---|---|
年度 | 1日平均 乗車人員 |
新幹線 |
2000年(平成12年) | 892[利用客数 2] | |
2001年(平成13年) | 874[利用客数 3] | |
2002年(平成14年) | 872[利用客数 4] | |
2003年(平成15年) | 839[利用客数 5] | |
2004年(平成16年) | 855[利用客数 6] | |
2005年(平成17年) | 841[利用客数 7] | |
2006年(平成18年) | 884[利用客数 8] | |
2007年(平成19年) | 905[利用客数 9] | |
2008年(平成20年) | 869[利用客数 10] | |
2009年(平成21年) | 792[利用客数 11] | |
2010年(平成22年) | 793[利用客数 12] | |
2011年(平成23年) | 794[利用客数 13] | |
2012年(平成24年) | 909[利用客数 14] | 993[新幹線 2] |
2013年(平成25年) | 942[利用客数 15] | 1,010[新幹線 3] |
2014年(平成26年) | 926[利用客数 16] | 989[新幹線 4] |
2015年(平成27年) | 940[利用客数 17] | 990[新幹線 5] |
2016年(平成28年) | 937[利用客数 18] | 966[新幹線 6] |
2017年(平成29年) | 931[利用客数 19] | 960[新幹線 7] |
2018年(平成30年) | 938[利用客数 1] | 950[新幹線 1] |
駅周辺
バス路線
2番のりば
- 花巻南温泉峡無料送迎バス
3番のりば
- 湯〜ハトーブ号(花巻温泉・台温泉無料送迎バス)
- 花巻市定期観光バス
4番のりば
5番のりば
- 岩手県交通
- 土沢線 土沢方面
- 大迫花巻線 大迫方面
運賃計算上の特徴
当駅から盛岡駅以遠、北上駅以遠に行く場合、新幹線を利用した場合と在来線(花巻駅経由)を利用した場合とでは運賃計算キロが異なる。これは、当駅を経由する部分で、東北新幹線が在来線(東北本線)と別線扱いになるためである。
当駅の開業当初は上記の(小山田駅以遠の各駅と北上駅以遠・盛岡駅以遠相互発着の場合も含む)ルートに対して選択乗車が設定されており、新幹線経由の乗車券で花巻駅を経由することが可能であったが、東北新幹線が八戸駅まで延長された2002年(平成14年)12月に廃止された。なお、新幹線駅としての営業キロ数は東北本線花巻駅(東京駅から500km)を準用している。
その他
- エスペラントによる「Stelaro(ステラーロ:星座)」という愛称がつけられている。
- 「歴史」節に記した駅設置に至る経緯は、岩手県在住の有志によって『ネクタイを締めた百姓一揆』のタイトルで映画化され、2014年から2016年にかけて撮影がおこなわれたのち、2017年に花巻市市民会館で完成上映会がおこなわれた[10][11]。
- 新花巻駅の事務管コードは▲211014が使用されている。
隣の駅
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
- 東北・秋田・北海道新幹線
- ■釜石線
- 臨時快速「SL銀河」停車駅
脚注
記事本文
注釈
- ^ このためか、『国鉄監修 時刻表』1985年3月号(日本交通公社出版事業局=現:JTBパブリッシング)には、「釜石線矢沢駅を移転して新花巻駅に改称します」と実際の手続き(矢沢駅の廃止と新花巻駅の開設)とは異なる記述がされていた。
出典
- ^ a b 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部(編集) 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 国鉄・JR』 21号 釜石線・山田線・岩泉線・北上線・八戸線、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2009年12月6日、5-11頁。
- ^ 『東北新幹線工事誌 上野・大宮間』pp.894 - 896
- ^ 『東北新幹線工事誌 上野・大宮間』pp.898 - 899
- ^ a b 『東北新幹線工事誌 上野・大宮間』pp.900 - 901
- ^ 『東北新幹線工事誌 上野・大宮間』p.904
- ^ a b 『東北新幹線工事誌 上野・大宮間』p.903
- ^ 『東北新幹線工事誌 上野・大宮間』p.898
- ^ a b c “時刻表 新花巻駅”. 東日本旅客鉄道. 2019年10月23日閲覧。
- ^ 『JR時刻表』2017年3月号、交通新聞社、2017年、643頁。
- ^ 「ネクタイを締めた百姓一揆」映画完成上映会 - 花巻市観光協会(2017年5月)
- ^ “「ネクタイ締めた百姓一揆」新花巻駅の実現物語、映画に”. 朝日新聞. (2017年5月28日) 2018年3月31日閲覧。
利用状況
- ^ a b “各駅の乗車人員(2018年度)”. 東日本旅客鉄道. 2019年7月8日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2000年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2001年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2002年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2003年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2004年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2005年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2006年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2007年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2008年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2009年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2010年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2011年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2012年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2013年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2014年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2015年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2016年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2017年度)”. 東日本旅客鉄道. 2019年2月6日閲覧。
新幹線
- ^ a b “新幹線駅別乗車人員(2018年度)”. 東日本旅客鉄道. 2019年7月8日閲覧。
- ^ “新幹線駅別乗車人員(2012年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “新幹線駅別乗車人員(2013年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “新幹線駅別乗車人員(2014年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “新幹線駅別乗車人員(2015年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “新幹線駅別乗車人員(2016年度)”. 東日本旅客鉄道. 2018年3月9日閲覧。
- ^ “新幹線駅別乗車人員(2017年度)”. 東日本旅客鉄道. 2019年2月6日閲覧。
参考文献
- 『東北新幹線工事誌 上野・大宮間』日本国有鉄道、1986年2月。