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「ファイナルファンタジーシリーズの魔法形態」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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(相違点なし)

2006年9月9日 (土) 12:00時点における版

以下ではファイナルファンタジーシリーズにおける魔法について述べる。各作品がそれぞれ独立したストーリーを持つ本シリーズであるが、その変遷を見ると、魔法に関しては統一された形態を持つ物と見ることが出来る。

なお、ファイナルファンタジーXIにも同種の魔法が存在するものの、ケアルII、ケアルIIIなど、数字により魔法の強さを表すなど他のシリーズと表記が異なることや、効果自体が異なるものが多いため、別物と捉えるべきである。

ほとんどの場合「沈黙」状態によって使用不可能となるので、シリーズ共通で呪文の詠唱を伴っているものと思われる。IVでは、魔法ごとに個別の「詠唱時間」が設定されていて、強力なものほど発動に時間がかかる仕組みとなっている。

系統による分類

ファイナルファンタジーシリーズでは、魔法は基本的に以下の系統に分類することができる。ただし大まかな傾向こそあれ、シリーズ中でも分類は明確には統一されているわけではない。

白魔法
味方の回復や治療などがメイン。能力変化など補助的な効果を持つ物もある。
黒魔法
攻撃に使われる物が多い。相手に不利な異常ステータスをかける物もある。
召喚魔法
幻獣(召喚獣)を呼び出して攻撃する。
青魔法
敵の特殊攻撃を魔法として使う。

作品ごとに、上記以外の独自の系統が存在することも多い。

以下に、系統ごとの魔法の特徴や、代表的な魔法とその効果を紹介する。

白魔法・黒魔法

Iから存在している最も基本的な分類であり、多くの作品で採用されている。近作では他系統として分類されていたり新しく作られた魔法も、源流を辿れば白魔法か黒魔法のどちらかに分類されるものがほとんどである。

このゲームの「魔法」と聞いてまず最初に思い浮かべられる、英単語をもじった数文字のカタカナ語はほぼ全てがこの系統に属している。

回復系統

ほぼ全てが白魔法である。ファイナルファンタジーシリーズで最もポピュラーな魔法の1つとして、HPを回復させ、アンデッドにダメージを与えるケアル系列が挙げられる。

しかしこれもIではケアル系は単体回復で、それとは別に全体回復用のヒール系統も存在していた。またIでは、種類によって対象が敵か味方かに固定されていたため、同じ白魔法にアンデッドのみにダメージを与える魔法"ディア"があった。IIからはヒールとディアの系列を取り込み、ケアルでも味方全体を回復したりアンデッドモンスターにダメージを与えられるようになった。

このほか、時間経過とともにHPを回復させる"リジェネ"がある。特殊なものとしてVII・XIIでは「フルケア」(単体を全回復)が登場した(ちなみに、VIIIのセルフィの特殊技にも同名の物があるが、こちらは全体回復となっている)。

ケアル系と並んで回復魔法としてポピュラーなのが、戦闘不能を回復させるレイズ系である。上位にHPを完全回復させる"アレイズ"が存在するほか、戦闘不能になった際に自動でレイズを発動させて復帰する"リレイズ"もこの系統に属する。

また、戦闘で受けたステータス異常を回復するタイプの魔法も存在する。この系統は全般を取り扱う"エスナ"を筆頭に、作品によっては対象となるステータス異常を限定した物も存在する。

ポイゾナ
毒状態の回復。
ストナ
石化状態から復活させる。
ブライナ(Iではブラナ)
暗闇状態の回復。

などがこの系統に属する。

攻撃系統

ほとんどは黒魔法だが、高等なものや効果を限定したものにおいては白魔法にも存在する。

攻撃魔法は初等的な物では属性攻撃が多い。まず最もポピュラーな物は炎攻撃の"ファイア"、冷気攻撃の"ブリザド"、雷攻撃の"サンダー"のいわゆる基本三属性の魔法である(X系列ではこの他に水攻撃の"ウォータ"を基本魔法に含む)。このほか、毒の効果を持つ"バイオ"や地震攻撃の"クエイク"、HPの内一定比率のダメージを与える"グラビデ"等も存在する。

上級の物になると属性を持たない強力な物が多くなる。一般の攻撃魔法では単体攻撃ではフレア(作品によっては炎魔法である場合もある)、全体攻撃はメテオやアルテマが一般的である。ただし上級の魔法でも属性を持つ物は存在する(先述した一部の作品におけるフレアや、白魔法で唯一の攻撃魔法"ホーリー"など)。

このほか、上級の物では即死効果を持った物も存在する。代表的な物はデスだが、初期のクエイクなどもこの系統に属する。また、デスとは別の系統として相手を石化させるブレイクや、空間を一時的に切り裂いて敵を異次元に送り込むデジョンも、実質的に即死効果として機能する。デスをアンデッドモンスターにかけた場合HPを回復させてしまうことになるが、ブレイクやデジョンであればアンデッドモンスターの特性による影響を無視して即死させることができる。また、アンデッドモンスターはレイズやアレイズなどの戦闘不能を回復する魔法をかけても即死させることができる。

これらの他、HPやMPを奪うドレイン及びアスピルや、MPにダメージを与えるラスピルも存在する。これらはアンデッド相手だと効果が逆転してしまうので注意が必要である。

防御系統

ほとんどが白魔法であり、変則的な効果を持つものが黒魔法に稀に存在する程度である。

敵からの攻撃の威力を軽減したりするタイプの魔法として一般的なのは、物理攻撃を軽減する"プロテス"(VIIのバリアもほぼ同じ)、魔法攻撃を軽減する"シェル"(VIIのマバリアも同等)、魔法を相手側に跳ね返す"リフレク"の3つである。このうち、シェルの原型といえるのがIに登場した"バファイ"などの属性魔法を軽減する物である。尚、"バファイ""バコルド""バサンダ"の3つはXで対応する属性を1度だけ完全に防ぐ物として復活した(水属性に対する"バウォタ"が追加されている)。

VIIにおける"バリア"と"マバリア"は、専用ゲージがステータスウインドウに用意されていて、それが消えない間だけ持続するという形で、効果の持続期間を視覚的に表した珍しい例である。同作には、これらを同時に発行させる"ウォール"や、防御魔法解除専用の"デバリア"なる魔法も登場している。

シェルとリフレクは、作品によっては回復魔法に対しても効果があり、回復がままならない弊害も発生する。

このほか、敵の目に映らなくすることで物理攻撃を回避する確率を上げる"インビジ"がIに存在したが、これの物理攻撃回避効果を更に高めたのが"ブリンク"や"バニシュ"であると見ることも可能。前者は分身することにより、後者は姿を消すことにより回避する。ただし後者では魔法攻撃が必ず命中してしまうという難点も持つ。それを利用して、ボスキャラにバニシュをかけてから即死呪文をかけると必ず成功するいう技が存在する(XIでは、"バニシュ"は光属性の攻撃魔法として登場している)。

その他防御的な効果を持つ物としては、体を地面から浮かせることで地震攻撃などを回避できる"レビテト"等がある。

補助系統

補助系の魔法は、その作用原理により様々な分類に分かれる。複数の作品に登場する魔法も、作品ごとに異なる分類がなされている事が多い。

運動能力を操作する物

対象の運動能力を操作する物としては、大別して"スロウ"と"ヘイスト"に分類される。この2つはIVにおけるATBの導入により、同作から効果が大きく変わっている。それ以前の作品においては対象の攻撃回数を操作し、結果的にダメージを上下させる物であったが、IV以降はそのキャラの待機時間の変動率を操作する物となっている。しかし"スロウ"が行動回数を減らし、"ヘイスト"が行動回数を増やすという基本概念は変わらない。

また、これらの他に対象の時間の流れを止める"ストップ"や、自分以外の時間の流れを一時的に完全に止めてしまうことで自分の連続行動を可能にする"クイック"も存在する。IXではストップも(一時的とはいえ)戦闘不能と同様に扱われ、パーティー全員が戦闘不能・石化・ストップ・猛毒(IX独自のステータス異常で、毒よりもHPの減少スピードが速く、更に戦闘不能と同様の行動不能状態となる)のいずれかになると全滅となってしまう。

状態攻撃

いわゆるステータス異常を与える物には以下のような物がある。

ポイズン・バイオ
毒(一定時間または行動毎にHPを減少させる)
ブライン
暗闇(物理攻撃の命中率及び回避率を下げる)
サイレス
沈黙(召喚を含む魔法を封じる。その他の特技が封じられる場合もある)
スリプル
睡眠(行動できなくなる。物理ダメージによって目覚める事もある)
コンフュ
混乱(敵味方の区別がつかず行動する状態にする。物理ダメージによって我に返ることもある)

初等的な物ではこれらのような行動を制限するタイプの物であるが、上級の物になるとブレイクやデスのような敵を一瞬で倒してしまう効果を持つ物になる。また先述のスロウやストップもステータス異常に含まれる。

状態変化系の魔法の内、キャラクターの外見さえも変えてしまう物として以下の物が存在する。オールド以外は同じ魔法をもう一度かけると回復する。また、動物に変身させられるとその変身の魔法以外は使えなくなるため、実質上サイレスと同等の効果を発揮する。IIIまでの作品では味方にはそれぞれのステータス異常を引き起こすが、敵に対しては一撃死と同等の効果を与える。

ミニマム
姿を小さくする。物理攻撃・防御力が激減する。魔法関連の能力は変化しない。IIIではこの状態で進むダンジョンも存在した。
トード
に変える。物理攻撃・防御力が激減する上に魔法などが使えなくなる。ミニマムと同様、IIIでこの状態で進むダンジョンも存在した。
オールド
急速な老化を促し、次第にステータスが低下していくV独自の魔法。ただし魔法やアビリティの使用そのものには制限は出ない。
ポーキー
に変えるIV独自の魔法。能力は変わらないが魔法などが使えなくなる。
カッパー
カッパに変えるVI独自の魔法。ポーキーに近い効果であるが、この状態でのみ効果を発揮する武器・防具も存在する。
その他の補助系統

上記以外の補助魔法には、以下のような物がある。

バーサク
コマンド入力を不可能にし、強化された物理攻撃のみを実行しつづける「バーサク」状態にする。有利・不利の両面を併せ持つ。
II、IIIのみ、物理攻撃力を上げるのみの有利な効果。
デスペル(ディスペル)
対象にかかっている、主に「有利なステータス異常」を解除する。
I、IIでは、元々備わっている属性防御を解除するという全く異なる効果を持つ。

また、各作品独自の魔法も存在する。

ダブル・トリプル
VIIIのみ。1回の行動で同種の魔法を複数回分発動できる状態にする。

移動中に使われる物

回復魔法などの一部の魔法は移動中でも使うことができるが、その他に元々移動中に使うことを前提とした魔法も以前の作品では存在した。洞窟から一瞬で脱出できる"テレポ"が特に有名である(ただしI以外のテレポは移動専用の魔法ではなく、戦闘中に使えば退却できる、敵を一撃で倒すなどの効果もある)が、他にも以下の物がある。

デジョン
IIIでは攻撃魔法兼それまで通過してきた任意のフロアに戻る魔法、IVでは1フロア分戻る移動専用の魔法として登場。Iにおけるテレポも同等であった(一瞬で外まで戻るのは"ダテレポ")。またV以降では相手を異次元(次元の狭間)などへ送る魔法(即死魔法とほぼ同等だがVIでは強制全体がけ)の魔法となった。
サイトロ
自分の周辺の地図を得る。III及びIVに登場、Vの重要アイテム"世界地図"およびVI以降のワールドマップ画面でのマップ表示につながっている。シリーズを通して、戦闘中での使用法が皆無である魔法は珍しい。

召喚魔法

戦闘中に幻獣(「召喚獣」とも)を召喚し、戦闘に参加させるものである。ほとんどは召喚直後に攻撃などを一度行うのみであるが、場に残ってパーティを守り続けるようなものも存在する。後述するが、X以降においては持続的に戦闘に参加させることが出来る。

主な召喚魔法を以下に挙げる。幻獣の多くは各種の神話や伝承の登場人物が元になっている。

チョコボ
無属性攻撃(「チョコボキック」)
イフリート
炎属性攻撃(「地獄の火炎」)
シヴァ
冷気属性攻撃(「ダイアモンドダスト」)
ラムウ
雷属性攻撃(「裁きの雷」)
タイタン
地属性攻撃(「大地の怒り」)
オーディン
即死攻撃(「斬鉄剣」)。作品によっては効かない相手には槍での攻撃(「グングニル」・魔法攻撃扱い)となる。VIではイベントによってライディーン(「真・斬鉄剣」)に変化した。
カーバンクル
味方全員にリフレク(「ルビーの光」)
ゴーレム
パーティへの物理ダメージを代わりに受ける(「アースウォール」)。一定量のダメージを受けるまで持続。
リヴァイアサン
津波による攻撃(「大海衝」「大海嘯」。V以降水属性、IVまでは無属性)
フェニックス
炎属性攻撃及び味方1人の完全復活。VIでは戦闘不能の回復のみ。(「転生の炎」)
バハムート
無属性攻撃(「メガフレア」)。VIIではバハムート改(「ギガフレア」)、バハムート零式(「テラフレア」)が登場する。

召喚魔法の変遷

IIIで初登場した召喚魔法であったが、この当時はジョブにより効果が異なっていた。召喚魔法にも白と黒の概念があり、幻術士が使った場合は幻獣毎に異なるそれらのいずれか2種類の効果をランダムで発生させ、魔界幻士が使用した場合は白と黒を合体させた最高位の召喚魔法として位置付けられている。IV~IXの召喚魔法はIIIにおける魔界幻士が使った物と原理的には同じで、使用者の能力によって効果そのものが変化するものではない。

VIIIでは召喚獣の扱いが特殊である。この作品では、召喚獣は正確には「ガーディアン・フォース(G.F.)」と称されており、「召喚」という語は作中ではあまり用いられない。G.F.には「通常型」と「乱入型」の2種類がある。「通常型」は「ジャンクション(装着)」が可能なものであり、各G.F.ごとにHPが設定され、召喚されてから本来の効果を及ぼすに至るまで術者の受けるダメージを肩代わりする、というサブ的な役割も果たす。「乱入型」はジャンクション不可のものをいい、ダメージの肩代わりはしない。「乱入型」には、プレーヤーの意思に関わらず戦闘中に突然現れて効果を及ぼすものと、アイテム・アビリティの使用で任意に効果を発生できるものの2タイプがある。

Xでは召喚魔法の効果がきわめて特殊で、ユウナが呼び出した召喚獣はその後ユウナの指示に従って行動する。各召喚獣がそれまでのシリーズで「召喚魔法」として持っていた攻撃は、Xにおいては「オーバードライブ技」(一定のゲージが満たされないと発動できない、きわめて強力な技)となっている。他に、コマンド「心づけ」で支払う金額により、出す技の効果が変わる召喚獣もあり、これに関しては、習性を知りある程度コントロールすることは可能であるものの、自分で自由に技を選択することはできない。

XIでは召喚獣を呼び出している間は術者のMPが徐々に消費されていく。通常は敵に対してオートアタック(通常攻撃)を行うが、術者のコマンドにより特殊攻撃「契約の履行」を実行することができる。この「契約の履行」は従来の召喚魔法としての効果に近く、例えば召喚獣カーバンクルの場合は「シアリングライト=光属性の範囲攻撃」「ルビーの癒し=HP回復」などがある。

XIIではキャラクターは「ミストカートリッジ」と呼ばれる、最大MPをミストナックの最大レベルで割ったものを一つ消費し、召喚することができる。 召喚獣を召喚すると一定時間、召喚者と召喚獣の二人だけで戦闘を行うことになり、しばらくすると召喚獣は帰っていく。

召喚士も参照のこと。

青魔法

青魔法はモンスターの特殊攻撃を魔法として使う物であり、Vから導入された。基本的にモンスターの技と同じ効果を発揮する。名称こそ違うが、VIの"おぼえたわざ"やVII及びXの"敵の技"もこれに類する。VIIIのキスティスやIXのクイナ、Xのキマリの特殊技、X-2の魔銃士も、習得方法の違いこそあれ、同等のものと考えられる。

青魔法は習得に係るプロセスが他の魔法と異なることが多く、代表的な習得方法として、モンスターが使う特殊攻撃を直接受けることで覚える(ラーニングする)といったシステムがある。

元は敵の技という性質上、変則的な効果を持つ物が多いが、効果や使用タイミングを見極めれば非常に有用なものが多く、しばしばマニアックなやり込みプレイの花形になる。

主な青魔法を以下に挙げる。

臭い息
モルボル系統が使う特殊攻撃。多数のステータス異常を同時発生させる。
死の宣告
対象を一定時間後に戦闘不能にする。
自爆
ボム系統モンスターが使用する特殊攻撃。自らのHPに依存した量のダメージを与える。使用者は戦闘不能になる。
針千本
サボテンダーが使用。どんな相手にも1000のダメージを与える、いわゆる固定値攻撃。
ホワイトウィンド
全員のHPを使用者のHP分だけ回復させる。単なる全体HP回復魔法の場合もあり。
ゴブリンパンチ
敵1体に回避率や属性を無視した物理能力依存のダメージ。消費MPが非常に少ない。
????(リベンジブラスト)
使用者の最大HPから現在HPを引いた分だけ単体にダメージ。
エアロ系
風の属性を持ち、「エアロ」「エアロラ」「エアロガ」の順でパワーアップする(Vの場合。VIでは「エアロガ」のみ登場。元はIIIで白魔法では珍しい攻撃魔法として登場。VIII・XIIなども同様)。
マイティガード
複数の防御効果を同時発生させる。
(レベルn○○)
レベルがnの倍数である敵全員に○○の魔法効果をかける。作品にもよるが「レベル5デス」「レベル4グラビガ」等。
アクアブレス
敵全体に水属性ダメージ。Vでは無属性だが砂漠種に大ダメージ。
サンシャイン
敵全体に無属性大ダメージ。

その他の分類

一部の作品では、上に挙げた以外の系統が存在したり、独自の系統分類を持っている作品もある。その中の一例を以下に示す。

時空魔法

Vファイナルファンタジータクティクス(以下FFT)・VIIIXIIに存在するカテゴリ。時間の流れを操作したり、空間に働きかけるタイプの魔法が属する。
この系統の魔法のほとんどは、それ以外の作品では白魔法か黒魔法に属している。FFTにおいては黒魔法の副産物という位置づけになっている。VとFFTにおいて最強の時空魔法は空間を歪めて隕石を落とさせる『メテオ』である。

生命魔法

VIIIでは白魔法や黒魔法と言った分類ではなく、このようにその魔法の効果からカテゴリ分けがされている。このカテゴリにはHPを回復するケアル系や戦闘不能の回復を行うレイズ系、相手を即死させるデスが属する。
VIIにおける魔法マテリアも分類手法的にはVIIIと同様と見られるが、その分類はVIII以上に細かい。


特殊な系統

魔法のカテゴリの一種として扱われるものの、実際は魔法を分類するのではない、という極めて特殊なカテゴリも存在する。基本的には他に分類されている魔法を、特殊な形態で使用するカテゴリである。

白黒魔

Vに登場した特殊なカテゴリ。赤魔道士の特殊なコマンドで、一部(レベル3まで)の白魔法と黒魔法をどちらも使うことができるというもの。無論、実体は白魔法と黒魔法であり、魔法の分類を表すものではない。

魔法剣

Vに登場した特殊なカテゴリ。魔法剣士の特殊なコマンドで、自身の装備した剣に魔力を宿らせ、以降の打撃に特殊効果を持たせる、というもの。白魔法と黒魔法のうち特定のものが当てはまる。魔法としての入手は白黒各々の魔法と共通であるため、これも魔法の分類とは言いがたい。一種の魔法の特殊な形と言える。IXでのスタイナーのコマンドとは全く別のもの。

算術

ファイナルファンタジータクティクスに存在するカテゴリ。今まで修得してきた魔法をもとに、算術をもってMPを消費すること無しに使用することができる技術。ただし、対象や範囲を自分で決めることができず、算術の対象になる数字(3・4・5・素数)とサンプル(レベル・経験値下2桁・フィールドの高度など)を設定できるのみである。

疑似魔法

さらに特殊な概念として、「擬似魔法」というものが考えられる。VIIIの世界においては真の魔法を利用できるのは『魔女』だけである。パーティにおいては、リノアがヴァリー状態のときに使用しているもののみが真の魔法であるといえ、普通の人間やモンスターが使うものは本来「擬似魔法」と呼ぶべきものである。魔女が使う真の魔法の方が、擬似魔法よりはるかに高威力である。

魔法の習得方法

作品によって魔法の習得方法が異なるのもファイナルファンタジーシリーズの特徴である。主な習得方法は以下の通り。

  • アイテムによる習得 - 魔法を扱う店があり、そこで魔導書やオーブ、あるいは形を持たない魔法そのものを購入することで習得する。店で買う以外にアイテムとして落ちている物を拾ったり、敵からそれを入手するケースもある。IやVでは手に入れるだけで習得できるが、IIは使い捨てアイテムである魔法の本を読む必要があり、III(及びVIIのマテリア)ではキャラクターに装備させる必要がある。また、VIでは手に入れた魔石を装備することで魔法が修得可能になったり、召喚魔法が使えるというシステムであるため、これに類すると見ることができる。
  • レベルアップによる習得 - レベルを上げることで習得できる。IVや、VIにおける一部のキャラ(習得できる物は一部に限る)が該当する。VIにおける魔石からの抽出やIXのアクションアビリティ習得、Xのアビリティスフィアもこれに類ずる。
  • 敵キャラからの獲得 - 戦闘中に何らかの形で得る。主なものとしては青魔法の習得のためにモンスターの攻撃を受けるケースがある。その他、VIIIの魔法ドローやIX及びXにおける青魔法の習得も敵キャラを介した習得方法の一つである。戦闘中もしくは戦闘終了時に習得するのが一般的であるが、VIIIの青魔法のように戦闘の結果得られた物を使うケースもある。
  • 幻獣との契約 - シリーズを通して、ほとんどの召喚魔法の入手に必要。基本的にはその幻獣と一度戦い、力を認めてもらうことで獲得できる。Xの召喚獣との交感もこれに類ずる。
  • 魔法のランクアップ - 特殊な力によりランクアップさせることで使用可能になる魔法もある(召喚が多い)。VIで"オーディン"を"ライディーン"に強化したり、VIIで"バハムート"と"バハムート改"から"バハムート零式"を生成したりといった類。

魔法の命名

ファイナルファンタジーシリーズにおける魔法の名前は、その効果を表す英単語から付けられている場合が多い。例えば炎攻撃魔法「ファイア」は"fire"(炎)、冷気攻撃「ブリザド」は"blizzard"(吹雪)、など。

同じ系統の魔法でも、その威力毎にいくつかの段階があることがある。ファイナルファンタジーシリーズでは、この威力の違いを魔法名の内1文字を変えたり付け足すことによって表現している物が多い。例えば炎攻撃魔法である"ファイア"の場合、その上位には"ファイラ"→"ファイガ"と、"ラ"→"ガ"の変化により上位魔法の威力上昇を表している。

ちなみにIVまでのケアル系には"ケアルラ"と"ケアルガ"の間に"ケアルダ"が存在していた。さらに1作目では、ケアルラではなくケアルア、サンダガではなくサンガーといったように、活用形の統一が不完全であった。

また、ファイナルファンタジータクティクスでは"ガ"の上に"ジャ"が存在する。『ファイナルファンタジーXインターナショナル』に登場するヘレティック召喚獣が使う特殊攻撃にも「~ジャ」があり、名称に反して無属性攻撃であるが、威力においては「~ガ」よりも上位となっている。さらに「ジャ」魔法がない作品でも敵が「グラビジャ」などを使う場合がある。

例外的事項として、IVのイージータイプにおいて、弱いほうから順に「ケアル1」「ケアル2」という表記がなされている。この表記法は後にXIでも似た物が使われた。

また上記に関連してXIにおいては「ラ」「ガ」は威力の変化ではなく、「~ラ(ア)」は術者を中心とする範囲魔法、「~ガ」は対象者を中心とする範囲魔法という扱いになっている。

ただし、IIではこのような名前による威力の変化ではなく、各キャラクターが持つ魔法の熟練度によって威力が決定される。

魔法の属性

多くの魔法には属性が設定されている。例えばほぼ全作品において、「炎」「冷気」「雷(いかずち)」が「3大属性」として、ストーリー序盤から利用することのできる基本的攻撃魔法に位置づけられている。

ただしX系列では「水」を含めた「4大属性」

これに対して「毒」「大地」などの、3(4)大属性からはずれる属性に関しては、シリーズ毎に存在の有無が異なり、またそれに属する魔法はストーリーが進まないうちは使えないことが多い。

また、ストーリーが進むにつれ、登場するモンスターの「弱点」、および「吸収」「無効」となる属性が多様化する傾向が強く、魔法の使用が戦闘において戦略性を帯びるようになる。また、中にはいくつかの属性を併せ持った魔法も存在する。

シリーズを重ねるごとに、属性体系はより整理、洗練される傾向にある。初期では攻撃手段の属性と、敵に備わった弱点などが個別に存在する程度であったが、XIでは「炎>氷>風>土>雷>水>炎」の6循環と「光⇔闇」の2対立の「8属性」が設定されている。

以下に、一般的な属性の分類と、各々に属する代表的魔法、および対立関係を示す。ただしこれらの関係は絶対のものではなく、例外も多々ある。 (「対立」とは、互いが弱点関係にある組である。例えば、以下において、炎属性を帯びるモンスターは冷気属性の攻撃に弱く、冷気属性のモンスターは炎に弱い、ということになる。)

  • 炎…「ファイア」系や召喚「イフリート」など。冷気と対立する。また多くのアンデッドや植物に対し効果的。
  • 冷気…「ブリザド」系や召喚「シヴァ」など。炎と対立する。爬虫類系のモンスターは冷気に弱い場合が多い。XIでは氷属性。
  • 雷…「サンダー」系や召喚「ラムウ」など。機械や水に対して強力。IIのみ毒と対立。VIII、XとX-2のみ水と対立。
  • 水…「ウォータ」系や召喚「リヴァイアサン」、「アクアブレス」など。炎、あるいは一部の作品の地に対して強力(VII、XとX-2のみ雷と対立)。
  • 地…「クエイク」系や召喚「タイタン」など。幾つかの作品で風と対立。飛行モンスターには無効。XIでは「ストーン」系の土属性。
  • 風…「エアロ」系や一部の作品の「トルネド」、召喚「シルフ」など。飛行モンスターは風に弱い場合が多い。幾つかの作品で地と対立。
  • 毒…「バイオ」系やVIの「ポイズン」など。まれに聖と対立。追加効果を持つ場合が多い。毒を独立した属性にしていない作品も多い。IIのみ雷と対立。
  • 聖…ほとんどの作品では「ホーリー」のみが聖属性。一部では召喚魔法「アレクサンダー」も聖属性。闇と対立。まれに毒と対立。ファイナルファンタジータクティクスアドバンスのみ、事実上回復魔法もこれに含まれる。XIでは光属性。
  • 闇…IX・XIIなどで登場。聖と対立。
  • 精神…沈黙や眠り、麻痺などを総括した属性として、IとIIのみ存在。IIには類似属性の「神経」も存在。
  • 重力…「グラビデ」系だが、属性として存在するのはVIIとX-2の2作品のみ。相手の残りHPの割合に応じたダメージ。
  • 無属性…「属性が無いこと」を表すと思われるが、実質「無属性という属性」のように扱われる。「バハムート」「フレア(例外作品有)」「アルテマ」等、概して高クラスの魔法が多い。

魔法の効果拡張

多くの作品では、魔法を利用する際に何らかの拡張作用を及ぼせる場合が多い。

全体化
魔法の対象範囲を全体に切り替えること。IIから実装された。VI以前の作品やIXでは、コマンド操作により魔法の対象を単体と全体に切り替えることができる場合が多い(対象範囲が固定されているものもある)。ただし範囲を全体とした場合は、基本的に単体対象のときに比べて効果が弱体化する。例えば、攻撃や回復の魔法ならばそのダメージや回復値が低下したり、補助の魔法ならば成功確率が低下したり、等。また、VIIでは、マテリア「ぜんたいか」もしくは「すべてぜんたいか」を利用することで全体化できる(無効となるものもある)。
IIIでは単体と全体だけでなく、「同種のモンスター全て」のみを対象とすることも可能である。
VIIIとXには、単体が対象の魔法の対象範囲を全体化する方法はない。ただし、乱射や連続魔法を利用することで全体化と同等な効果を得ることは可能である。
連続魔法
魔法を一回の動作で2種類(同種でも良い)連続で使用できるようにするコマンド。V、VIの「れんぞくま」、VIIのマテリア「Wまほう」、IXのトランスコマンド「W黒魔法」「W白魔法」、およびXの「連続魔法」がこれにあたる。Xにおいてはこれを利用することで全体化に近い効果を得ることもできる。全体化と異なり効力が下がることは無い。概して利用できるようになる条件が厳しい。
XIにおいては、魔法にキャストタイム(詠唱時間)とリキャストタイム(再詠唱可能となるまでの時間)という概念があり、アビリティ「連続魔」によってキャスト・リキャストタイムを0秒にすることができる。連続魔の効果時間中(1分間)はMPの許す限り文字通り連続して放ち続けることが可能となる。
乱射
同種の魔法を一回の動作で複数回分発動させられるもの。VIIの「まほうみだれうち」、VIIIのダブル・トリプル状態および特殊技「スロット」、IXのトランスコマンド「幻獣」、およびXのオーバードライブコマンド「テンプテーション」がこれに相当。VIIIのダブル・トリプルは、通常は使用回数分だけ個数が必要だが、対象を選択可能なため全体化的な効果を得ることもできる。「まほうみだれうち」は一回分のMP消費で、「スロット」「幻獣」「テンプテーション」はMP・個数の消費なしで実行可能。
MP消費削減
特定のアクセサリ(例:金の髪飾り)の装備、IX・X・XIIはアビリティなどで消費MPを減らして魔法を使用することができる。なお、VIIIにおいても、ダブル(トリプル)状態での魔法の消費個数が1個に抑えられるアビリティ「ダブル(トリプル)消費1」が類似の効果を持つ。
強化
基本ステータス値の上昇に依らず、魔法の単発の威力を高めるもの。VIのトランス状態やVIIのマテリア「MPターボ」、VIIIのヴァリー状態、およびXの「魔法ブースター」など。「MPターボ」「魔法ブースター」は消費MPも増加。
作品によっては、ロッドなどを装備することで同属性魔法の威力を高めることも可能。
特殊なケース
リフレク状態で反射された魔法は、反射により効果の及ぶ相手がリフレク状態でも反射されない、という特性がある。これを利用すると、リフレク状態が解除できない相手に魔法をかけたりすることができる。IVではメーガス三姉妹が「デルタアタック」と題してこの戦法を用いてきた(ただし、後のシリーズでは「デルタアタック」は全く別の物となっている)。IXではリフレク反射時に魔法効力が倍増する「リフレク倍返し」や、リフレク状態を無視する「リフレク貫通」などのアビリティも登場。

世界における魔法

作品ごとに、世界観中の魔法の扱いは全く異なっている。Vまでは、一部の高等魔法を除けば、市販されている魔法の本などを購入したり、戦闘の経験をつんだりすることで使いこなすことができる、一般的な能力という設定であった。しかし、VI以降になると、そのような魔法の能力は一般の人々からは失われてしまっており、魔法の存在そのものがストーリーの根幹に大きく関わってくることになる。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


VIの世界において、魔法は幻獣から抽出された力であり、歴史の中で「魔大戦」を引き起こし世界に壊滅的なダメージを与えた力として人々からタブー視されている。そして、魔法を発展させた「魔導」を利用して世界の征服を企むのがガストラ皇帝率いる帝国軍であり、その研究成果の副産物が、精神を破壊された狂気の魔道士ケフカである。歴史中の人間も、皇帝も、ケフカも、みな魔法の持つ悪しき面にとらわれて堕落した存在となっており、この部分においては魔法の暗黒面がやや強調された形となっている。これに対して、幻獣と人のハーフとして生まれたティナは、人と幻獣をつなぐ唯一の架橋であり、また主人公達は幻獣と心を通わせ正しく魔法を用い、これらは人と魔法の共存の可能性を指し示す重要な役割を担っている。全体として、VIの世界においては魔法は利害をともに持つ二面的なもので使い方を要求される、という示唆的な立場にある。

VIIの世界において、魔法は古代の知識の結晶の産物であり、マテリアがその能力の使用の媒体となっている。「メテオ」「ホーリー」は星をひとつ破壊するほどの強大な魔法であり、これを使用できるのは特殊な力を手にした者のみとされる。また、星の内部には「ライフストリーム」という、すべての命とその知識を含む莫大なエネルギーが流動しており、これを「魔晄」として取り出して濫用し、莫大な富を築いたのが神羅カンパニーである。これも魔法に類似した力であり、一般に普及していることからストーリーにおける重要な存在といえる。

VIIIの世界においては「魔女の力」がストーリーの根底を常に流れ、この力をめぐってストーリーが展開することからも分かるように、魔法は大きな役割を持つものと思われる。この世界では本来「魔法」=「魔女のみが利用できる術」であり、魔女でない存在がドローもしくは生成によって取得し利用するものは、いわば擬似魔法である。歴代にも、アデルなど魔力の悪しき面にとらわれた魔女が存在しており、この点ではVIと同様な存在ともいえる。また、この作品では、G.F.と呼ばれる他作品での召喚獣にあたる存在を、精神に「ジャンクション」させることで、魔法(擬似魔法)を装備することができる。これは防具の概念が存在しないVIIIにおいて貴重な強化法であり、これによって兵士の戦闘力の強化を図る組織もある。

X においては召喚がやや特殊な立場にある。"究極召喚"こそが『シン』を倒す唯一の手段であり、そして『シン』の存在しないナギ節こそが人々の最も強く望むものであるため、召喚士スピラにおいて極めて貴重な存在である。また、召喚獣は「祈り子」の見る夢が「幻光虫」を介して具現化した存在で、その力を引き出すのが召喚士であり、また召喚士は多大な修行を積まねばならないことから、他作品における召喚とは一線を画している。

参考文献

関連項目