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{{学会
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{{Sakujo/本体|2019年12月7日|仮説実験授業研究会}}
|学会名 = 仮説実験授業研究会
|ふりがな = かせつじっけんじゅぎょうけんきゅうかい
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|画像 = The Symbol of ASHEC.jpg
{{Copyrights}}
|画像説明 = 仮説実験授業研究会のマーク。17世紀に[[ガリレオ・ガリレイ]]が属していた[[アッカデーミア・デイ・リンチェイ]]の紋章から採られた。
{{複数の問題
|英称 = Association for Studies in Hypothesis-experiment Class{{R|英語サイト}}
|出典の明記=2019年12月
|公用語表記 = <!-- {{Lang|言語タグ|文字列}} -->
|独自研究=2019年12月
|学会の略称 = ASHEC{{R|英語サイト|Kasetsu2019}}
|特筆性=2019年12月|分野=組織
|法人格 = <!-- [[○○法人]] -->
|wikify=2019年12月
|学会種別 = [[教育]]
|設立年 = [[1966年]]{{Sfn|板倉|1971|pp=171-181}}{{Sfn|上廻|1990|p=10}}
|前身 = 火曜研究会{{Sfn|『仮説実験授業の誕生』|1989|p=200}}
|代表者 = 出口陽正<br />(2024ｰ)<ref>出口陽正「仮説実験授業研究会/会代表・あいさつ」『仮説実験授業研究会ニュース』2024年7月、p.1-3。</ref>
|国 = {{JPN}}
|郵便番号 = 445-0025
|住所 = [[愛知県]][[西尾市]]和気町北裏26 犬塚方{{R|入会案内}}
|会員数 = 888人（[[2024年]]5月現在）<ref>「仮説実験授業研究会名簿2024年」2024年5月、仮説実験授業研究会。</ref>
|刊行物 = 研究会ニュース（会報）{{R|入会案内}}
|表彰 = [[#板倉賞|板倉賞]]{{R|山田1999}}(2024年現在は未実施)
|ウェブサイト = https://www.kasetsu.org/
}}
}}
'''仮説実験授業研究会'''（かせつじっけんじゅぎょうけんきゅうかい、{{lang-en-short|Association for Studies in Hypothesis-experiment Class}}{{R|英語サイト}}）は、[[仮説実験授業]]やたのしい授業の研究と普及に取り組む日本の研究会。略称は英名の頭文字を取ってASHEC{{R|英語サイト|Kasetsu2019}}。[[板倉聖宣]]らによって設立され、事務局長は長く[[#犬塚清和|犬塚清和]]が務めた{{R|歩み}}。全国各地に[[#仮説サークル|仮説サークル]]があり、夏と冬に二泊三日の[[#全国合宿研究大会|全国合宿研究大会]]を行っている{{Efn|name="全国大会"}}。当初は[[ガリ版]]刷りのレポート『仮説』を発行しており、研究会の資料を保存する「[[#ガリ本図書館|ガリ本図書館]]」の由来となっている{{R|山田1989|犬塚1991}}{{Sfn|板倉編|1988}}。夏の大会で[[#板倉賞|板倉賞]]が発表され、冬の大会で受賞者の特別講演がある{{R|松平1995|山田1999}}。[[仮説実験授業#キミ子方式の発見による美術教育の改革|キミ子方式]]や[[マッキーノ]]は本研究会で取り上げられており{{R|山本1995|松木1998|岸1999}}、仮説実験授業だけでなく、広く授業全般を研究対象にしている{{R|会則|山本1995|松木1998}}。


== 沿革 ==
仮説実験授業研究会は[[板倉聖宣]]（当時・国立教育研究所）（1930～2018）により組織された教育研究団体。会員数は約1200名（2019年現在）。研究分野は幼児教育から大学，社会人教育，学校外での楽しみごととしての科学教育までと幅広い。{{独自研究範囲|会員のボリウム・ゾーンは小中学校，高校教師。|date=2019年12月12日 (木) 13:48 (UTC)}}2019年12月現在の代表は竹内三郎が務めている。会員のボリウム・ゾーンは小中学校，高等学校教師であるが，教員以外の科学好きな会員も活発に活動しているのが特徴である。<br>
=== 火曜研究会から発足まで ===
事務局は愛知県西尾市にある（2019年現在）。全国合宿研究会は夏と冬の年2回行われている。
{{multiple image
| align = right
| direction = holizon
| header =
| width = 80
| image1 = Simple Pendulum Oscillator.gif
| alt1 = 振り子
| caption1 =
| image2 = Simple harmonic oscillator.gif
| caption2 =
| alt2 = ばね振り子
| footer = [[板倉聖宣]]と[[#上廻昭|上廻昭]]による最初の[[授業書]]は「ふりこと振動」で、次に[[庄司和晃]]らが参加して「ばねと力」が作られた{{Sfn|『仮説実験授業の誕生』|1989}}{{Efn|[[東京都市大学]]の右近修二は、板倉が提唱した[[仮説実験授業]]や[[授業書]]に対し、「教育研究・科学史研究に基づく科学教育論」に立脚して「何を」「いかに」教えるかということに対する「明確な解答を示した」と分析し、「その後の授業研究に決定的な影響」を与えたと評価している（{{Harvnb|右近|2016|pp=56-57}}）。}}。
}}
[[1963年]][[4月10日]]、[[国立教育研究所]]の板倉研究室に[[#上廻昭|上廻昭]]が[[内地留学]]に訪れる{{Sfn|上廻|1990|p=10}}。その後、[[板倉聖宣]]によって提唱された[[仮説実験授業]]の研究のため、[[国立教育研究所]]の板倉研究室に上廻昭、[[庄司和晃]]、小野田三男、西村英夫の4人の教師が1963年7月23日に集まったことから始まった{{Sfn|上廻|1990|p=10}}。毎週火曜日の17時から21時に集まっており{{Sfn|『仮説実験授業の誕生』|1989|p=196}}、「火曜研究会」と呼ばれた{{Sfn|『仮説実験授業の誕生』|1989|p=200}}。都内の私立学校の教員が多く集った点に特色がある{{Sfn|村瀬|2013}}{{Sfn|『仮説実験授業の誕生』|1989|loc=はしがき、あとがき}}。


[[File:HEC Classbooks(Jyugyosho).jpg|thumb|開発された授業書(Jyugyosho)]]
仮説実験授業に用いられる「[[授業書]]」は当初「テキスト」と呼ばれ、授業の取り組みは板倉の研究所内におけるものを除けば、科学教育研究協議会（科教協）の講演会や同会発行の『理科教室』で対外発表された{{Sfn|『仮説実験授業の誕生』|1989|loc=はしがき、あとがき}}{{Efn|「ふりこと振動」は『理科教室』1963年11月号に、「ばねと力」は同誌1964年2月号、3月号に掲載された（{{Harvnb|『仮説実験授業の誕生』|1989}}）。}}。[[1964年]][[3月3日]]に[[成城学園]]初等学校で行われた公開授業・研究発表会では、「仮説実験授業研究会」名義で『仮説実験授業の記録』を配布する{{Sfn|『仮説実験授業の誕生』|1989|p=200}}。同年、機関誌『仮説実験授業研究』が発行される（1966年の時点では[[庄司和晃]]の自宅事務所が置かれていた）{{Sfn|板倉|1971|p=166-167}}。


=== 1966年 - 1988年 ===
急速な会員数の増加に対応するため、[[1966年]]12月25日に全国仮説実験授業研究会の設立が提唱され、[[板倉聖宣]]を代表として「仮説実験授業研究会」が発足する{{Sfn|板倉|1971|pp=171-181}}{{Sfn|上廻|1990|p=10}}。[[1967年]] 8月17-19日には、第1回合宿研究会が[[兵庫県]]で開かれる{{R|夏リスト}}。[[1970年]]、[[国土社]]から機関紙『科学教育研究』を発行する。板倉の方針で「最初から冊数・期間を限って発行する」{{Sfn|板倉編|1988|p=372}}形で、季刊全12号で1973年まで発刊された{{Sfn|板倉編|1988|p=376}}。


[[1973年]]7月、[[小樽市|小樽]]で開かれた全国大会において、[[#犬塚清和|犬塚清和]]ら「西尾仮説サークル」の編集によって、[[ガリ版]]印刷による『仮説』の第1集が発行される{{Sfn|板倉編|1988|p=370}}{{Efn|この第1集は手製のガリ版印刷であったが製本は外注で、1冊134ページが200円で販売された。その内容は、（『仮説』第1集1973年7月刊、西尾仮説サークル編、全134ページ）。「西尾仮説サークルと私（高須哲夫・安井伸二・河村桃子・松崎重広・鈴木康三・犬塚清和）14ぺ」、「科学をみんなのものに（1973年3月，西尾での板倉聖宣講演筆記，犬塚清和編）18ぺ」、「〈宇宙への道〉の解説と討論（鈴木康三・板倉聖宣ほか）14ぺ」、「板倉さんを囲んで発想法を学ぶ会（松崎重広編）30ぺ」、「ナイターでの討論（1973年6月16日，関西の西川・井上・西谷・西村・山中・木村，東京の板倉を加えて）26ぺ」、「楽しい授業（1973年6月，板倉講演筆記，河村桃子編）24ぺ」（板倉聖宣、「『仮説』第1集～第11集主要目次」、『仮説実験授業研究　第4集』、1975年7月25日、仮説社、77-81ページによる）。{{Sfn|板倉編|1988|p=370}}。}}。以後、不定期ながら仮説実験授業広島サークルなど別の[[#仮説サークル|仮説サークル]]も編集を担当し、号数が引き継がれる形で1974年末までに第1-8集、別冊1-2集の10冊を数えるまでになる{{Sfn|板倉編|1988|p=365}}。
== 関連項目 ==

* [[問題解決学習]]
一方機関紙は、1974年から[[仮説社]]より『仮説実験授業研究』と改題して季刊で発行された{{Sfn|板倉編|1988|p=376}}{{R|NCID1974}}{{Efn|name="仮説実験授業研究"}}。『仮説実験授業研究』の発行部数は1975年には4-5千部になっており{{Sfn|板倉編|1988|p=368}}、1977年で予定通り全12集で完結した{{Sfn|板倉編|1988|p=372-376}}。引き続き[[1979年]]には季刊の『授業科学研究』として仮説社から発行された。なお、1978年に[[松本キミ子]]と出会った板倉は、1979年に松本の美術授業における手法を紹介する{{R|松本1979|板倉1979}}{{Efn|1984年には美術の授業研究会やガリ版による研究ニュースが始まっている{{R|国友1984}}。}}（''[[仮説実験授業#キミ子方式の発見による美術教育の改革]]も参照''）。
* [[仮説実験授業]]

[[1983年]]3月、[[仮説社]]より月刊[[仮説社#『たのしい授業』|『たのしい授業』]]が創刊され、板倉が編集代表に就任{{R|板倉著者紹介}}。同誌の創刊号は3か月で1万部ほど売れたという<ref>編集部「編集後記／次号予告」『たのしい授業』第4号、1983年7月、132頁。</ref>。一方で、研究会の研究誌として季刊『科学入門教育』が創刊され、犬塚清和が編集代表を務める{{Sfn|犬塚|1986|loc=カバー奥付の著者紹介}}。[[1986年]]には冬の全国合宿研究大会も始まる{{R|冬リスト}}。[[1987年]]には犬塚の仕事場に「[[#ガリ本図書館|ガリ本図書館]]」が設立され、研究資料のほとんどを収蔵する{{R|二階堂1991}}。また、[[1988年]]には[[国土社]]と仮説社から〈授業書研究双書〉シリーズの刊行が始まっている{{R|国土社1988|仮説社1988}}。

=== 1989年 - 2018年 ===
[[ファイル:Kiyonobu Itakura 1990.jpg|thumb|220px|研究会の創設者で{{Sfn|板倉編|1988}}、[[#板倉賞|板倉賞]]の由来{{R|板倉1991}}である[[板倉聖宣]]（1990年の写真）{{Efn|[[2018年]]の没後、[[#科学の碑・科学の碑記念会館|科学の碑]]の共同墓地に納骨されている<ref>“[http://itakurakenkyusitu.blog.fc2.com/blog-entry-84.html ここ半年の出来事]. ''板研情報局''. 2020年1月20日閲覧。</ref><!--{{要高次出典|date=2020年1月}}科学の碑記念館に直接確認ずみ。遺族の意志で納骨されたのは事実です-->。}}。]]
[[1989年]]7月から[[仮説社]]から『仮説実験授業研究 第3期』が刊行され<ref>{{Ncid|BN03759765}}</ref>、仮説実験授業提唱25周年企画として『仮説実験授業の誕生』も出版される{{Sfn|『仮説実験授業の誕生』|1989|p=1}}。[[1990年]]5月、研究会員らの寄付で[[新潟県]][[湯之谷村]]（現 [[魚沼市]]）に「[[#科学の碑・科学の碑記念会館|科学の碑]]」が建立され{{R|板倉1992}}{{Sfn|由良編|1991}}、同年に[[#板倉賞|板倉賞]]も始まっている{{R|山田1999}}。1991年に「[[#ガリ本図書館|ガリ本図書館]]」の蔵書は約2500冊に達し{{R|犬塚1991}}、1992年で会員数は約900人となっていた{{R|犬塚1992}}。

さらに「科学の碑」に隣接して「[[#科学の碑・科学の碑記念会館|科学の碑記念会館]]」が建設されることになり、[[1993年]]に完成<ref>科学の碑運営委員会「科学の碑募集」『たのしい授業』第220号、2000年1月、54頁。</ref>。11月13日から14日にかけて、完成記念式典と仮説実験授業の入門講座が開催された{{R|塩野1994}}。この会館には仮説実験授業やたのしい授業に関する文献、実験器具が収容されており{{R|板倉1993b|ABC1997}}、1997年の時点でおよそ3万冊に及んでいる{{R|板倉1997}}。

1998年夏の大会は、大人629名、講演件数343件、サマースクール参加の子供128名となり、1000万円を超す売上総額を記録した{{R|松木1998|夏リスト}}{{Efn|1998年の夏大会は[[高知県]]での開催で、[[板倉聖宣]]と[[橋本大二郎]] [[高知県知事]]のパネルディスカッションも開催された{{R|松木1998}}。大人の参加者数は、626名{{R|松木1998}}と629名{{R|夏リスト}}の2つが見受けられる。}}。また、2004年夏の大会では会員の参加者数が640名、レポート数は445件、子供が110名、保育児童30名という規模になり、初日の夕食が足りなくなるほどであった{{R|広瀬2004|夏リスト}}。2006年にはサークルは78を数える<ref>「たのしさ広がる「全国サークル一覧」」『たのしい授業』第307号、2006年4月、122頁。</ref>。

2013年には研究会は50周年を迎え、同年[[9月29日]]に50周年企画としてお祝いパーティや「年表と写真で見る仮説実験授業研究会のあゆみ」が企画された<ref>「仮説実験授業100年 その展望をもとに考えるこれからの仮説実験授業 仮説実験授業研究会50周年企画」『たのしい授業』第410号、2013年8月、130頁。</ref>。[[2015年]]には東京の[[#仮説会館|仮説会館]]が移転{{R|平野2015}}。[[2018年]]2月7日、代表の[[板倉聖宣]]が死去し{{R|高橋2018}}、仮説会館は閉鎖。代表代行に[[仮説社#竹内三郎|竹内三郎]]が就任する{{R|斎藤2018}}。竹内が言うには、板倉の死去で研究会は大きく混乱しなかったという{{R|竹内2019}}。

=== 2019年以降 ===
[[2019年]]5月27日、事務局長の[[#犬塚清和|犬塚清和]]が死去{{R|ルネサンス2019}}。[[令和]]最初の夏大会は[[岩手県]]で行われ、参加者283名、レポート数284件、店舗数69といった規模であった{{R|志田2019}}。2024年7月現在、事務局は引き続き[[愛知県]][[西尾市]]に置かれている{{R|入会案内}}。

=== 歴代会代表===
# 1966-2018 [[板倉聖宣]]
# 2018-2020 竹内三郎<ref>会長代行を名乗った。仮説社を設立。</ref>
# 2020-2024 小原茂巳<ref>『仮説実験授業研究会ニュース』2020年6月</ref><ref>1950年宮城県生まれ。1974年中央大学理工学部卒業。1975年東京都内の中学校で理科教師として勤務。2001年中学校教師のかたわら、明星大学で非常勤講師も兼務。2010年明星大学教育学部教育学科特任准教授。2016年明星大学教育学部教育学科客員准教授。2017年明星大学教育学部教育学科常勤教授（2021年3月退官）。</ref>
# 2024-　　 出口陽正<ref>『実験できる算数・数学』(1997，仮説社)ほか、「2倍3倍の世界」「電卓で遊ぼう」など数学の授業書開発者。</ref>
== 活動内容 ==
持ち回りで夏と冬に[[#全国合宿研究大会|全国合宿研究大会]]を開催しており{{Efn|name="全国大会"}}、その分野は[[理科]]、[[算数]]、[[数学 (教科)|数学]]、[[社会 (教科)|社会]]、[[国語 (教科)|国語]]、[[英語 (教科)|英語]]、[[美術 (教科)|美術]]、[[音楽 (教科)|音楽]]、さらには[[障害児教育]]や授業運営、教師論、組織論、[[ものづくり]]など多岐にわたり、[[マッキーノ]]のような個別教材・ゲームもテーマとしている{{R|山本1995|松木1998}}。サークル単位の活動が特徴で{{Sfn|板倉編|1988}}{{Sfn|犬塚|1986}}、各地で[[#フェスティバル|フェスティバル]]{{R|向井2001|リセウム}}や入門講座{{R|丸山2003|伊藤2004}}も開催されており{{R|活動内容}}、これらには公開授業を伴うものもある{{R|伊藤2004|畑中2016}}。[[授業書]]の収集や管理、保管も行っている{{R|犬塚1991|伊藤2008}}<ref>“[https://www.kasetsu.org/3_member/message.html 準公式サイトへの情報提供・掲載依頼]”. 仮説実験授業研究会. 2020年1月22日閲覧。</ref>。

=== 仮説サークル ===
「西尾仮説サークル」「仮説実験授業広島サークル」{{Sfn|板倉編|1988|p=365}}「神奈川・川崎仮説サークル」{{R|横山2000}}といったサークルが各地にある<ref>たのしい授業編集部「たのしい授業「全国サークル一覧」」『たのしい授業』第195号、1998年4月、58-65頁。「たのしい授業・全国サークル案内」『たのしい授業』第433号、2015年4月、122-130頁。</ref>。『たのしい授業』のサークル案内を見て参加することもあり{{R|由良1988|西1997}}、教員以外が参加することもある{{R|西1997}}。かつては[[ガリ版]]の『仮説』を発行し、連番となっていたが、これらは発行元のサークルが単独で編集発行し、財源も賄っていた{{Sfn|板倉編|1988|p=365}}。

サークルでは[[授業書]]の研究開発のみならず、教師の悩みに乗ってもらうこともあり{{R|高沢2000}}、授業の最初と最後でやることを決めておくことや<ref>小川洋「「定食方式」のすすめ ドリルを続けるために」『たのしい授業』第173号、1996年9月、24-26頁。</ref>、授業記録や授業通信を実施するなど<ref>佐藤朗子「見える世界がかわるとき 授業通信を書いて、見えてきたこと」『たのしい授業』第413号、2013年11月、71-83頁。</ref>、具体的な助言をもらえることもある。また、教師と[[科学]][[研究者]]の連携の場という側面もある<ref>山田明彦「こんなところです、知多たのしい授業サークル」第375号、2011年2月、134頁。</ref>。なお、サークルは2名からでも作れるため新しくできていくが<ref>山本恵理子「サークルづくりのワンポイント」『たのしい授業ハンドブック』（『たのしい授業』第101号臨時増刊号）、1991年3月、99頁。斉藤勝美「お元気ですか」『たのしい授業』第107号、1991年9月、1頁。喜友名一「何も無かったけど、夢はいっぱい 沖縄・仮説サークル歴史夜話」『たのしい授業』第245号、2001年11月、100-110頁。</ref>、活動を停止するサークルも多い<ref>音田祐治「サークルに行こう！」『たのしい授業』第345号、2008年12月、131頁。</ref>。

=== 全国合宿研究大会 ===
[[File:2016 Association for Studies in Hypothesis-experiment Class(ASHEC).jpg|thumb|2016年夏の群馬県伊香保大会の会場に設置された看板。この研究会で研究されているおりぞめとゲンシマンが使用されている。]]
[[File:ASHEC 2019.jpg|thumb|仮説実験授業研究会の全国合宿研究会・岩手[[御所ダム|御所湖]]大会（2019年7月29-31日）の全体会と売り場の光景。]]
{{multiple image
| align = right
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| header = [[マッキーノ#漢字マッキーノ|漢字マッキーノ]]の例
| width = 200
| image1 = Kanji_Card_Sample.JPG
| alt1 = 漢字カード
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| image2 = Kanji MacKino.jpg
| caption2 =
| alt2 = 記入用紙
| footer = 楽しみながら暗記ができる[[マッキーノ]]。全国合宿研究大会や[[#仮説サークル|サークル]]で議論され、広まっていった<ref>牧野英一「「教科書用語ビンゴ」のすすめ」『教室の定番ゲーム』仮説社、1995年、150-153頁、{{全国書誌番号|97076891}}。竹田美紀子「なぜだかわからないけど〈漢字マッキーノ〉をやると漢字が覚えられる」『教室の定番ゲーム2』仮説社、2001年、95-100頁、ISBN 4-7735-0159-6。たのしい授業編集委員会 編『たのしくドリルマッキーノ』、仮説社、2005年、ISBN 978-4-7735-0224-4。</ref>{{R|山本1995}}。
}}
夏と冬に二泊三日の全国合宿研究大会を開催している{{Efn|name="全国大会"|{{Sfn|板倉編|1988}}{{R|夏リスト|冬リスト}}、{{R|渡辺1992}}{{R|山本1995}}{{R|松木1998}}{{R|岸1999}}{{R|上野2000}}{{R|釜野2003}}{{R|広瀬2004}}{{R|日吉2005}}{{R|蛇谷2007}}{{R|吉竹2008}}{{R|伊勢2012}}{{R|早川2013}}{{R|小川2017}}{{R|斎藤2018}}{{R|志田2019}}、{{R|松平1995}}{{R|西村1999}}{{R|山本2000}}{{R|伊良波2001}}{{R|西尾2002}}。}}。夏は1967年から、冬は1986年から始まっており{{R|歩み}}、夏の大会は人数が多く分科会になってしまうため、全体会をすることを意図して冬の大会が開かれるようになったという{{R|山田1992}}。大会の最後には、立候補した候補地の中から翌年の開催地が選出される{{R|山本1995|早川2013}}。2014年夏大会の[[山口県]]は、10度目の立候補で開催を獲得している{{R|早川2013}}。

本や教材を販売する売り場が設けられ{{R|松木1998|日吉2005|小川2017}}{{R|伊良波2001}}、夜には「ナイター」と呼ばれる企画がある{{R|渡辺1992|広瀬2004|斎藤2018}}。ナイターでは出版記念パーティー{{R|岸1999|上野2000}}や新入会員紹介パーティー{{R|釜野2003|犬塚2005}}が恒例になったり、｢[[モルQ]]」「分子カルタ」「[[マッキーノ]]」などが取り上げられたりもした{{R|伊良波2001}}。また、夏の大会では子供向けのサマースクールが行われることもある{{R|山本1995}}{{R|釜野2003|広瀬2004|吉竹2008}}{{R|小川2017}}。

なお、板倉聖宣は研究集会における売上高を会費総収入で割った「イタクラ係数」というものを定義し、この係数がほぼ等しい（0.7より大きく1.5より小さい）ことを「イタクラの法則」とした<ref>板倉聖宣「仮説実験授業とたのしい授業のミニ用語辞典（その2）」『たのしい授業』第170号、1996年7月、62-63頁。</ref>。1999年{{R|西村1999}}や2001年{{R|伊良波2001}}、2002年の冬大会{{R|西尾2002}}、および2012年{{R|伊勢2012}}と2018年{{R|斎藤2018}}の夏大会でイタクラ係数は1.0となった。しかし、2005年夏大会には1.4を超えて1.5に{{R|日吉2005}}、2017年夏大会には0.7になってしまっている{{R|小川2017}}{{Efn|全国大会ではない「たのしい授業フェスティバル」{{R|尾形1986|荒井1987}}では、イタクラ係数は2.4{{R|尾形1986}}や3.1{{R|荒井1987}}を記録している。}}。

=== フェスティバル ===
[[ファイル:Molecule models.jpg|thumb|220px|[[仮説実験授業#原子論の教育|1億倍実体積の分子模型]]。]]
[[1986年]]、東京で3月に「たのしい授業フェスティバル」が開催され、3年目の1988年からは[[兵庫県]]の[[尼崎市]]で行われる。[[仮説実験授業#原子論の教育|1億倍実体積の分子模型]]など、教材や教具、おもちゃの販売が盛んで、1988年6月発行の『たのしい授業』第65号では「たのしい授業フェスティバル販売カタログ」の特集が組まれている<ref name="カタログ1988">「おもちゃ・教材教具 たのしい授業フェスティバル販売カタログ」『たのしい授業』第65号、1988年6月、54-88頁。</ref>{{Efn|折り染め[[染料]]、1F[[コンデンサ]]、[[ノミ]]の[[プレパラート]]、1立法メートルの[[アルミ]]枠、[[表面張力]]実験器、[[フレネルレンズ]]、加熱水蒸気用銅管、[[仮説実験授業#原子論の教育|1億倍実体積の分子模型セット]]、金属箔[[周期表]]、ストロー豚笛、[[琥珀]]原石、[[水素]]発生装置、[[スチールウール]]燃焼装置、[[アントニ・ファン・レーウェンフック#レーウェンフックの顕微鏡|レーウェンフックの顕微鏡]]復元模型、[[からくり]]貯金箱、簡易金属テスター、簡易[[イオン (化学)|イオン]]テスター、漢字部首[[カルタ]]などが販売されていた{{R|カタログ1988}}。}}。また、1986年には福岡でフェスティバルを参考に「たのしい授業ミニ見本市」が開催された<ref>国友浩「たのしい授業ミニ見本市始末」『たのしい授業』第37号、1986年4月、139-142頁。</ref>。

このフェスティバルは以後続いていき、2001年には尼崎だけでなく{{R|向井2001}}東京でも「たのしい授業グランドフェスティバル」が開催され、グランドフェスティバルは大人約1300名、子供約190名の参加者を集めた<ref>長岡清・平野孝典「申込者数の変遷から見たグランドフェスティバル」『たのしい授業』第240号、2001年6月、62-65頁。重弘忠晴「集会案内 グランドフェスティバル（東京）報告」『たのしい授業』第239号、2001年5月、76-77頁。</ref>。以後、尼崎のフェスティバルは「たのしい授業フェスティバル＆入門講座」<ref name="尼崎1997">「たのしい授業フェスティバル＆入門講座（尼崎）」『たのしい授業』第178号、1997年1月、52-53頁。</ref><ref name="多武2013">多武義也「2013尼崎たのしい授業フェスティバル＆入門講座」『たのしい授業』第407号、2013年5月、131頁。</ref>{{R|向井2003}}として、東京は「東日本たのしい授業フェスティバル」として開催が続いており<ref name="リセウム">“[https://resemom.jp/article/2020/01/10/54175.html 仮説実験授業を実践「たのしい授業フェスティバル」3月]”. ''教育イベント''. ReseMum. (2020年1月10日) 2020年1月21日閲覧。</ref>、[[授業書]]の入門講座や、ものづくり、授業プランを体験できる{{R|尼崎1997|多武2013|リセウム}}。

また、2013年から5年間は「関西たのしい授業フェスティバルin百合学院」が11月に開催されており<ref>二宮聡介「5年間、ありがとうございました 2016関西たのしい授業フェスティバルin百合学院・報告」『たのしい授業』第459号、2017年2月、134-136頁。</ref>、同学年・同クラスの子供を対象とした[[仮説実験授業]]の公開授業が行われることが特徴であった{{R|畑中2016}}。ほかにも、「仮説フェスティバル」（[[国立市]]、11月上旬）<ref>石塚進「くにたちフェスティバル報告」『たのしい授業』第83号、1989年12月、69頁。</ref>、「北海道仮説実験授業サマーフェスティバル」（8月上旬）<ref>北海道仮説実験授業サマーフェスティバル実行委員会「北海道・仮説実験授業サマーフェスティバルのご案内」『たのしい授業』第310号、2006年6月、135頁。</ref>、愛知・仮説実験授業フェスティバル」（[[刈谷市]]、8月下旬<ref>伊藤正道「愛知・仮説実験授業フェスティバル「たのしい授業への招待」を終えて」『たのしい授業』第314号、2006年10月、134頁。</ref>や8月中旬<ref>伊藤正道「仮説実験授業フェスティバルin刈谷を終えて 仮説実験授業で笑顔の輪を広げたい」『たのしい授業』第355号、2009年9月、134-135頁。</ref>、「わくわく科学教室グランドフェスティバル」（[[高知]]）<ref>音田祐治「高知の安藤公子さんの退職記念の会に参加して」『たのしい授業』第379号、2011年5月、130頁。</ref>といった開催事例もある。

== 板倉賞 ==
[[File:Mole Q.jpg|thumb|220px|[[モルQ]]の原子カード。1992年夏の全国大会で発表され、ゲームも実演した<ref>松平亨「新ゲーム登場 MOLE-Q」『教室の定番ゲーム』仮説社、1995年、168-175頁、{{全国書誌番号|97076891}}。</ref>。考案した松平亨は、1999年の[[#板倉賞|板倉賞]]を受賞している{{R|岸1999|山本2000}}。]]
板倉は1990年の還暦祝いで多くの祝い金を得たのをきっかけに、それを基金にして「板倉研究奨励賞」を設立{{R|板倉1991}}。賞の授与は[[1991年]]1月の冬の全国合宿研究会から始まっており{{R|板倉1991}}、第1回受賞者は[[#犬塚清和|犬塚清和]]と[[#宮地祐司|宮地祐司]]であった{{R|山田1999}}。板倉は「研究が完成した段階よりも、研究活動が本格化した段階で、資金援助をすることが大切」という考えから、「多くの人々の見るところの評価が安定してからの賞とするよりも、まだそこまでいかないような仕事をも応援するような賞にしたい」という理念を示し、「主観的な評価」と断った上で、設立理由を記している{{R|板倉1991}}（''[[#外部リンク]]も参照''）。

1991年7月の夏の全国大会（北海道定山渓大会）では「低学年における原子論教育の可能性」の功績により第2回の賞が伊藤恵に贈られた{{R|伊藤恵1992}}{{R|小笠原智1991}}。伊藤恵はその後の1992年1月の冬の全国合宿研究会で受賞記念講演をし{{R|伊藤恵1992}}、以後夏の大会で授与し、受賞者が次の冬の大会などで記念講演を行うことが慣例となった{{R|伊藤恵1992}}{{R|松平1995}}。当初「イタクラ研究奨励賞」と呼ばれたが{{R|伊藤恵1992}}、その後「板倉賞」の名称で定着した{{R|小笠原智1991}}。

[[授業書]]の開発や普及が評価されることが多いが{{R|渡辺1992|松平1995}}{{R|山田1993|板倉1993a}}、数学分野の授業展開に取り組んだ出口陽正や{{R|板倉1993a}}、授業書を元にした科学劇のシナリオ作成や実践を行った伊藤善朗に対しても授与されている{{R|山田1993}}{{Efn|伊藤善朗「科学劇 <もしも原子がみえたなら> 学芸会で大好評のシナリオ」『たのしい授業』第66号、1988年7月、32-44頁。伊藤善朗「科学劇「足はなんぼん」 授業をたのしんだ3年生のための台本」『たのしい授業』第81号、1989年10月、91-104頁。伊藤善朗「社会の科学劇「世界の国旗」 観客だけでなく、教師たちにも大ウケ」『たのしい授業』第100号、1991年3月、32-48頁。鮫島麻美「（中学１年生と）科学劇「もしも原子が見えたなら」」『たのしい授業』第425号、2014年9月、32-51頁。角友和世「おたより 科学劇「足はなんぼん？」」『たのしい授業』第472号、2018年1月、138頁。}}。さらに2000年には[[仮説実験授業#サイエンス・シアター運動|サイエンス・シアター]]の台本を授業書にする活動取り組みに対して授与され{{R|上野2000}}、2003年には大学での仮説実験授業が{{R|釜野2003}}、2008年には[[盲学校]]における仮説実験授業の取り組みが受賞した{{R|吉竹2008}}。

また、[[モルQ]]の松平亨{{R|岸1999|山本2000}}、紙芝居「ゲンシマン」{{Efn|「アトム戦隊ゲンシマン」は、[[授業書]]『もしも原子がみえたなら』に登場する分子達をモチーフにして生まれた戦隊ヒーロー。合体して変身することもあり、『たのしい授業』第120号、1992年10月、126-129頁で初登場した。}}の小笠原智{{R|岸1999|山本2000}}、「[[仮説実験授業#街角科学クラブ|街角かがく倶楽部]]」{{R|村西2007|都丸2012|伊藤2014}}を展開する村西正良や田中葉子{{R|蛇谷2007}}も受賞している。一方で、1995年には「研究会の事務体制を補強し発展させた」という功績に対して二階堂泰全が受賞しており{{R|山本1995}}、2000年には「板倉講演のテープ起こしの達人」が評価されて原田研一が受賞している{{R|上野2000}}。なお、中一夫（2005年{{R|日吉2005}}、2013年{{R|早川2013}}）や阿部徳昭{{R|伊勢2012}}のように、2度受賞することもある{{R|伊勢2012|早川2013}}。

なお、2018年の板倉聖宣の死後以降2024年現在では、このような表彰は行われていない。

== 特色・評価 ==
[[#犬塚清和|犬塚清和]]は、仮説実験授業研究会を「科学教育を科学にするという立場をとる学問的な「学派」である」と解釈した{{Sfn|『科学と教育のために』|1984|p=358}}。[[北海道大学]][[名誉教授]]の高村泰雄は、[[数学教育協議会]]（数教協）{{Efn|数学教育協議会については、[[遠山啓]]や[[水道方式]]も参照。}}と並んで仮説実験授業研究会の取り組みに学んだといい、「''「すべての子どもに現代科学の基本的な概念や法則をやさしく教える」ことを標傍し、教育内容の構成や授業の組織化にも目覚ましい科学的な成果を挙げて''」いると評価した{{Sfn|高村|2016}}。

会則には「会としての決議は一切行わず、その行動、意思表示などは会員各自の──あるいは同じ意見のもの同士の他の行動組織の──自由に任せるものとする。」とある{{R|会則}}。[[板倉聖宣]]は、犬塚がガリ版の『仮説』を出版したような会員の自由な活動を評価して{{Sfn|板倉編|1988}}、「中央の委員会や事務局がなにもしなくても、大会はもとより各種各様の全国機関紙が出せるようになった」{{Sfn|板倉編|1988|p=370}}、「この『仮説』こそが、仮説実験授業研究会の本当の機関紙という性質をもっている」{{Sfn|板倉編|1988|p=368}}、「こういう研究・組織のあり方自体が仮説実験授業的だと思う」{{Sfn|板倉編|1988|p=371}}と述べている。

なお、「政治上の意見については仮説実験授業研究会は何ら意思表示をしない」というスタンスで{{R|山田1990}}、運動団体ではないという立場であった{{Sfn|『科学と教育のために』|1984|p=358}}。会員から不満が出ながらも、[[入試]]や[[学習指導要領]]などに意見を出すような活動はしなかった{{Sfn|『科学と教育のために』|1984|p=358}}。また、[[朝日新聞社]]の[[ジャーナリスト]]・[[高橋真理子 (ジャーナリスト)|高橋真理子]]によると、[[日教組]]と[[文部省]]が対立する時代に、仮説実験授業研究会は組合系と文部省系のどちらにも与しなかったという{{R|高橋2018}}{{Efn|name="対立"|板倉は{{Harvnb|『仮説実験授業の誕生』|1989|p=6}}において、「戦後の教育は文部省と日教組の対立を軸にして展開されていて、どんな教育をはじめるにしても、そのどちらかに与するものとして考えられてしまう恐れがありました。」と記している。[[文部省]]と日教組の対立については、「[[日本教職員組合]]」を参照。}}。

会則では「仮説実験授業を実施してその記録など研究資料・論文を本会に提出したもの、および仮説実験授業の授業書の作成に従事するなど、仮説実験授業の研究に寄与したものは、本会の承認を得て会員となることができる。」と規定され{{R|会則}}、板倉は安易に会員を増やさないという方針をとっていた{{Sfn|『科学と教育のために』|1984|pp=367-369}}。また、当初は[[授業書]]の購入や発表にも制限をかけていた<ref>板倉聖宣『増補版 模倣と創造』仮説社、1987年、101頁、ISBN 4773500220。</ref>。

== 出版物 ==
{{See also|仮説社|板倉聖宣#著書}}

=== 会報・会誌 ===
会員には毎月、会報として「研究会ニュース」が配布される{{R|入会案内}}。

過去には
* 『仮説実験授業研究』（タイプ版{{R|歩み}}、全18号）<ref>{{Ncid|AN00308535}}</ref>
* 季刊『科学教育研究』（[[国土社]]、1970-73年、全12集）<ref>{{Ncid|BN01963512}}</ref>
* 季刊『仮説実験授業研究』（[[仮説社]]、1974-77年、全12集）<ref name="NCID1974">{{Ncid|BN02003923}}</ref>{{Efn|name="仮説実験授業研究"|{{Harvnb|板倉編|1988|p=3}}には『仮説実験授業』とあるが、『仮説実験授業研究』{{R|NCID1974}}{{Sfn|板倉編|1988|p=368}}{{Sfn|板倉編|1988|loc=収録論文初出誌一覧}}。}}
* 季刊『授業科学研究』（仮説社、1979年-1982年、全12集）<ref>{{Ncid|AN00313036}}</ref>
* 季刊『科学入門教育』（仮説社、1983年-1987年、全12集）{{Efn|{{Harvnb|犬塚|1986}}によると1986年時点で11集まで刊行。“[https://iss.ndl.go.jp/books/R100000096-I011456949-00 国会図書館サーチ]”（2020年1月18日閲覧。）によると、西尾仮説サークルとの共同刊行で、[[#犬塚清和|犬塚清和]]の編集、当初の誌名は『科学入門教育研究』であった。1987年に12集が刊行された模様（“[https://iss.ndl.go.jp/books/R100000001-I070007511-00 12集]”. 国立国会図書館サーチ. 2020年1月18日閲覧。）。}}
* 『仮説実験授業研究 第3期』（仮説社、1989年7月- 、既刊11集）<ref>{{Ncid|BN03759765}}、2020年1月26日閲覧。</ref>
といった機関紙・研究誌が出版されている{{Sfn|板倉編|1988}}{{Sfn|犬塚|1986}}{{R|ABC1997}}。

また、[[板倉聖宣]]が編集代表として[[1983年]]3月から
* 月刊[[仮説社#『たのしい授業』|『たのしい授業』]]（仮説社、{{Ncid|AN10120924}}）
が創刊されている{{R|紀伊国屋書店}}。同誌には各地で開催される[[#仮説サークル|サークル]]の月例会や入門講座、フェスティバル、講演会の案内が掲載されており{{R|活動内容}}、板倉は研究会の「準機関誌」と位置付けている{{R|ABC1997}}。なお、[[2017年]]には継続が危ぶまれたが、[[仮説社#竹内三郎|竹内三郎]]は発刊継続の方針を打ち出した{{R|竹内2017}}。

=== 研究会編集の書籍 ===
1982年10月には、仮説実験授業研究会編集による〈楽しい科学の授業研究〉シリーズが、[[ほるぷ出版]]から
*『仮説実験授業研究』1-2巻、3-4巻、5-6巻、7-8巻、9-10巻、11-12巻（{{Ncid|BN09577578}}）
*『科学教育研究』1-2巻、3-4巻、5-6巻、7-8巻、9-10巻、11-12巻（{{Ncid|BN09575856}}）
*『授業科学研究』1-2巻、3-4巻、5-6巻、7-8巻、9-10巻、11-12巻（{{Ncid|BN09578253}}）
が出版され、同時に同シリーズとして
* 『授業書』全6巻（{{Ncid|BN06996654}}） - 1 物性・化学編、2 物性・化学編、3 力学編、4 力学編、5 物理・天文編、6 生物・公害編
も出版された<ref>{{Ncid|BN06996654}}</ref>。

また、1988年から1989年にかけて仮説実験授業研究会と板倉聖宣の編集により{{R|国土社1988|仮説社1988}}、〈授業書研究双書〉シリーズが国土社<ref name="国土社1988">{{Ncid|BN0207970X}}</ref>と仮説社<ref name="仮説社1988">{{Ncid|BN03520807}}</ref>の2社から連携して出版された{{Sfn|板倉編|1988}}。それぞれ
* [[国土社]] - 『てこ・滑車・仕事量』<ref>1988年4月、ISBN 4337587012、{{Ncid|BN02079663}}。</ref>、『力と運動・速さと距離と時間』<ref>1988年8月、ISBN 4337587020、{{Ncid|BN02438289}}。</ref>、『浮力と密度・重さと力・まさつ力』<ref>1988年8月、ISBN 4337587039、{{Ncid|BN02445309}}。</ref>、『電池と回路』<ref>1988年9月、ISBN 4337587047、{{Ncid|BN02657067}}。</ref>、『動植物の分類と進化・たべものとうんこ』<ref>1988年12月、ISBN 4337587055、{{Ncid|BN02929735}}。</ref>、『いろいろな気体・燃焼』<ref>1989年3月、ISBN 4337587063、{{Ncid|BN0339354X}}。</ref>
* [[仮説社]] - 1.『光と虫めがね』<ref>1988年11月、{{Ncid|BN02926318}}。</ref>、2.『ものとその電気』<ref>1989年2月、{{Ncid|BN03520669}}。</ref>、3.『磁石・ふしぎな石』<ref>1989年7月、{{Ncid|BN03757602}}。</ref>
が刊行されている。

== 関連施設 ==
[[File:ガリ本図書館外観.jpg|thumb|ガリ本図書館の外観。愛知県西尾市にある。2022年5月2日撮影。]]
[[File:Garibon library01.jpg|thumb|ガリ本図書館1階の書庫。研究会事務局がある。2022年5月2日撮影。]]
[[File:Garibon library03.jpg|thumb|ガリ本図書館の2階にある書庫。2022年5月2日撮影。]]
=== 仮説会館 ===
1981年には「仮説実験授業やたのしい授業を推し進める人たちの溜まり場にしよう」という構想があり{{R|設立構想}}、[[2015年]]の移転まで、毎月第4土曜日に『たのしい授業』の公開編集会議が開催されていた{{R|編集部1985|編集部2015}}。当初は[[東京都]]の[[西神田]]に置かれ{{Efn|1992年の移転前の住所は [[東京都]][[千代田区]][[西神田]]2-7-8{{Sfn|犬塚|1986|p=239}}。[[水道橋駅]]からアクセス{{R|編集部1985}}。}}、のちに移転して[[高田馬場]]で[[仮説社]]と隣接する形になる{{R|編集部1992}}{{Sfn|由良編|1991}}{{R|編集部2017}}{{Efn|移転後の住所は 東京都[[新宿区]][[高田馬場]]2-13-7（{{Harvnb|『仮説実験授業のABC』|1992|p=129}}）。}}。また、「たのしい授業ゼミナール」{{R|福元1985}}や「[[仮説実験授業#街角科学クラブ|街角かがく倶楽部]]」{{R|都丸2012}}なども開催されていた{{Efn|ほかに[[#仮説会館|仮説会館]]で開催されたものとして、仮説実験授業のビデオ「たのしい授業」の試写会、「世界史入門講座」{{R|編集部2000}}、「授業所・総合読本開発研究会」「映像を観ながら牧衷氏と語る会」<ref>「仮説会館だより」『たのしい授業』第395号、2012年7月、55頁。</ref>、「板倉聖宣 短編 購読会」{{R|竹内2015}}などがある。}}。

2015年に、仮説社は[[豊島区]]の[[巣鴨]]に移転{{R|編集部2015}}{{Efn|[[仮説社]]の住所は、東京都豊島区巣鴨1-14-5 第一松岡ビル3階{{R|編集部2015}}。}}。仮説会館も[[調布市]]に移転し{{Efn|2015-2018年の[[#仮説会館|仮説会館]]の住所は、東京都調布市布田4丁目5ｰ5 ラフイーネ調布2番街101号室{{R|平野2015}}。}}{{R|平野2015}}、[[板倉聖宣]]の活動する（私立）板倉研究室と同居する形になる{{R|平野2015}}。20人前後が集まれる場所であったものの{{R|設立構想}}、これを契機に『たのしい授業』の編集会議は[[仮説社]]で行われるようになる{{R|編集部2015}}。調布の仮説会館では狛江・調布サークルの活動や、「教師塾」などの会{{Efn|ほかに「たのしい研究の語り場」「板倉科学史・科学教育を学ぶ会」がある{{R|仮説会館2017}}。}}が催された<ref name="仮説会館2017">「仮説会館・板倉研究室」『たのしい授業』第469号、2017年11月、135頁。</ref>。

2018年、板倉の死を契機に「仮説会館」は閉鎖となった<ref>「仮説会館・板倉研究室」『たのしい授業』第475号、2018年4月、153頁。</ref>。なお、東京のほかに「名古屋仮説会館」や「蛸草松尾仮説会館」{{Sfn|由良編|1991}}、「札幌仮説センター」{{R|ABC1997}}もあり、東京都の仮説会館を「東京仮説会館」と区別して呼ぶ場合もある{{R|福元1985}}。「名古屋仮説会館」の開設は、入門講座と連携講座の統合がきっかけであったという<ref>高橋道比古「名古屋仮説会館」『たのしい授業』第101号（臨時増刊号『たのしい授業ハンドブック』）、1991年3月、88-91頁。</ref>。

=== ガリ本図書館 ===
「自分が作りたくて作った手作り本」を「ガリ本」と称しており{{R|犬塚1991a}}、ガリ本の原点は1973年の小樽での全国大会で販売された[[ガリ版]]資料『仮説』に由来する{{R|山田1989}}{{Sfn|板倉編|1988}}。[[1987年]]に開設された「ガリ本図書館」は[[愛知県]][[西尾市]]にあり、多くの研究資料が所蔵されるとともに[[#犬塚清和|犬塚清和]]の仕事場を兼ねていた{{R|犬塚1991}}。研究会の事務局はガリ本図書館内に置かれ{{R|二階堂1991}}、つばさ書房、西尾仮説サークル、西尾仮説の会などもここを拠点とした{{R|二階堂1991}}。

1991年頃には毎月10冊ほど新しい資料が送られてきていたといい{{R|犬塚1991}}、この時点で「[[#ガリ本図書館|ガリ本図書館]]」の蔵書は約2500冊に達していた{{R|犬塚1991}}。また、板倉聖宣の『物理学の歴史』（キリン館、1988年）<ref name="図書館1988">犬塚清和「ガリ本図書館から おたより」『たのしい授業』第60号、1988年2月、120頁。</ref>や『幸福論と年表』（仮説実験編集委員会編、仮説実験授業ガリ本図書館、1995年）<ref name="図書館1995">『幸福論と年表』板倉聖宣、仮説実験授業研究会編、仮説実験授業ガリ本図書館、1995年、{{Ncid|BA37256617}}</ref>といった本の印刷・発行も、ガリ本図書館名義で行われた{{R|図書館1988|図書館1995}}。

なお、2008年には「ガリ本図書館」の隣に「授業書管理室」が設立される{{R|伊藤2008}}。[[仮説実験授業]]に関する歴史的資料{{R|伊藤2008}}や[[授業書]]による授業記録が保管されている{{Sfn|齊藤|2014|p=85}}。実際に[[東京大学]]の齊藤萌木は仮説実験授業を分析するにあたり、授業書管理室で授業記録を参照している（齊藤の論文では「仮説実験授業研究会事務局」{{Sfn|齊藤|2014|p=85}}と書かれている）{{Sfn|齊藤|2014}}。

=== 科学の碑・科学の碑記念会館 ===
[[File:科学の碑.jpg|thumb|科学の碑は「人」の文字を型取っている。]]
[[File:科学の碑の碑文.jpg|thumb|碑には板倉聖宣の言葉である「科学は民主的な社会にのみ生まれ、民主的な社会を守り育てる」が刻まれた。]]
[[File:科学の碑記念館.jpg|thumb|科学の碑記念館。板倉聖宣の蔵書が保管・公開されている。]]
[[新潟県]][[魚沼市]]（旧 [[湯之谷村]]）にある[[時宗]]の寺「東養寺」{{R|細井2008}}に、「[[科学の碑]]」や「科学の碑記念会館」が建立されている{{R|板倉1992}}{{Sfn|由良編|1991}}。「科学の碑」は研究会員らの寄付で[[1990年]][[5月4日]]に建設されたもので、板倉聖宣の言葉が記されている{{Sfn|由良編|1991}}{{R|板倉1992|小柳2006}}{{Efn|科学碑に書かれた文章は[[板倉聖宣]]の考案であったが、揮毫したのは[[#細井心円|細井心円]]。毛筆の控えは2016年現在、[[仮説社]]に展示されている<ref>“[http://kasetusha.blog71.fc2.com/blog-entry-818.html 心円祭に行こう!]”. ''今日の仮説社''. (2016年1月16日) 2020年1月22日閲覧。</ref>{{要高次出典|date=2020年1月}}。}}。「科学の碑」の裏側は無宗教の共同墓地になっており{{R|板倉1992|ABC1997}}、科学の碑運営委員会が運営している{{R|科学の碑運営委員会2000|科学の碑運営委員会2003}}。仮説実験研究会会員でもあった[[#細井心円|細井心円]]が、建設時の東養寺[[住職]]であった{{R|小原1986|細井1989|細井1991}}。

さらに「科学の碑」に隣接して「科学の碑記念会館」が建設されることになり、[[1993年]]に完成{{R|科学の碑運営委員会2000}}。なお、科学の碑や記念館の周囲は、山林公園にもなっており{{R|科学の碑運営委員会2000}}、会館は科学の碑を訪れる人の休憩所も兼ねている{{R|板倉1993b}}。この会館には仮説実験授業やたのしい授業に関する文献が所蔵されており、1997年の時点でおよそ3万冊に及んでいる{{R|板倉1997}}。蔵書は板倉聖宣の自宅書庫ともに、板倉コレクションとして管理されている<ref>“[https://kagakunohi.web.fc2.com/index.html 科学の碑・科学の碑記念会館]”. 2020年1月19日閲覧。</ref>（''「[[#外部リンク|外部リンク]]」参照''）。

記念会館には各種実験器具も所蔵されており{{R|板倉1993b}}、[[ブレーズ・パスカル]]の真空実験復元装置は記念会館で保管されていた{{R|小柳2006}}。[[2004年]]には[[愛知県立大学]]の小柳公代らによって、記念会館で公開実験、および録画[[DVD]]の制作が行われており、細井も参加している{{R|小柳2006}}{{Efn|[[科学研究費助成事業|科研費]]「デカルト、パスカルの科学思想上の定立再構築と関連書誌研究」（基盤研究(C)、16500631、2004-2005年度、科学社会学・科学技術史、代表者 - 小柳公代、分担者 - 本多秀太郎、武田裕紀）<ref>“[https://kaken.nii.ac.jp/ja/report/KAKENHI-PROJECT-16500631/165006312005kenkyu_seika_hokoku_gaiyo/ デカルト、パスカルの科学思想上の定立再構築と関連書誌研究 2005年度 研究成果報告書概要]”. ''[[科学研究費助成事業]]データベース''. [[国立情報学研究所]]. 2020年1月26日閲覧。</ref>によるプロジェクト{{R|小柳2006}}。}}。また、子供向けのイベント{{R|板倉1993b}}や研究会での使用{{R|ABC1997}}、中学校や高等学校のサークルの合宿{{R|小柳2006}}にも利用されている。

なお、2003年には10周年企画「科学の碑・春まつり」が{{R|科学の碑運営委員会2003}}、2008年には「科学の碑記念会館15周年の会」が開催されている{{R|川島2008}}{{Efn|また、[[科学]]や[[落語]]を楽しむ「心円祭」も毎年開催されており、板倉も講演していた<ref>“[http://itakurakenkyusitu.blog.fc2.com/blog-entry-49.html 科学の碑のお祭り「心円祭」]”. ''板研情報局''. (2016年5月21日) 2020年1月22日閲覧。</ref><!--{{要高次出典|date=2020年1月}}科学の碑記念に確認済み。疑うなら科学の碑記念館に問い合わせれば確認できます。-->。}}。
{{See also|科学の碑}}

== 主要な人物 ==
; 板倉聖宣
: ''詳細は人物記事「[[板倉聖宣]]」を参照。''

; {{Anchors|上廻昭}}上廻昭
: 上廻 昭（かみさこ あきら{{Sfn|『仮説実験授業の誕生』|1989|loc=著者紹介}}、2015年11月3日没、享年88{{R|由良2015}}）は日本の[[教育者]]。[[島根県]]生まれ。[[東京第一師範学校]]を卒業し、[[荒川区]]の中学校教諭に着任。一旦退職し、[[明治大学]][[法学部]]に編入{{Sfn|『仮説実験授業の誕生』|1989|loc=著者紹介}}。その後は時間講師{{Sfn|『仮説実験授業の誕生』|1989|loc=著者紹介}}、[[学習院初等科]]教諭を経て[[成城学園]]初等学校教諭{{Sfn|板倉編|1988|p=94}}{{Sfn|村瀬|2013}}。[[仮説実験授業]]の創始者の1人{{Sfn|村瀬|2013}}。単著に『仮説実験授業への道』（[[明治図書出版]]、1990年、ISBN 4186227047）があり、授業ビデオに『78歳現役!!仮説実験授業と共に生きる上廻昭の「ふりこと振動」』（スタジオ・オズ、2000年、ISBN 4990288742）がある。1960年代の仮説実験授業黎明期の授業を受けた受講生に対し、37年経った後の追跡調査を実施している<ref>上廻昭「仮説実験授業、37年目の評価 世界で最初の仮説実験授業を受けた人びとの追跡調査」『たのしい授業』第237号、2001年4月、118-139頁。</ref>。

; 庄司和晃
: ''詳細は人物記事「[[庄司和晃]]」を参照。

; {{Anchors|竹内三郎}}竹内三郎
: ''詳細は「[[仮説社#竹内三郎]]」を参照。

; {{Anchors|細井心円}}細井心円
: 細井心円は[[1986年]]に小学校教員を定年退職した後、[[新潟県]][[湯之谷村]]（現 [[魚沼市]]）にある東養寺（[[時宗]]）の[[住職]]に就任{{R|細井1989|細井2008}}。住職の傍ら[[老人ホーム]]で[[法話]]をしたり{{R|小原1986}}、講師依頼を受けて科学啓発も行い、『たのしい科学』でも発表していた{{R|細井1991|細井2008}}。時宗の教えに[[仮説実験授業]]と通じる点があることを指摘し{{R|細井2008}}、自利利他を説いた{{R|川島2008}}{{Efn|出典{{R|川島2008}}には「自利・他利」とあるが、[[大乗仏教]]の用語としては「自利利他」<ref>“[https://kotobank.jp/word/自利利他-535911 自利利他（読み）ジリリタ]”. ''[[コトバンク]]''. 2020年1月27日閲覧。</ref>。}}。（''[[#科学の碑・科学の碑記念会館|科学の碑・科学の碑記念会館]]」も参照。''）

; {{Anchors|松本キミ子}}松本キミ子
: ''詳細は「[[松本キミ子]]」を参照。
: 松本 キミ子（まつもと きみこ、1940年5月生まれ{{R|KPD|松本松本|松本HMV}}）は日本の[[教育者]]、[[美術家]]。[[北海道]][[沼田町]]生まれ{{R|松本HMV}}で、[[東京芸術大学]]彫刻科を卒業{{R|松本HMV}}。産休補助教員として小学校・中学校で図画・美術教育に取り組む中で、[[1975年]]に[[仮説実験授業#キミ子方式の発見による美術教育の改革|キミ子方式]]を考案{{R|中島1988}}。[[板倉聖宣]]との出会いを契機にキミ子方式は仮説実験授業研究会などで広まっていく{{Sfn|『仮説実験授業のABC』|1992|p=84-88}}{{R|KPD|上中2006}}。[[高崎芸術短期大学]]教授{{R|KPD}}、[[拓殖大学北海道短期大学]]教授{{R|松本松本}}、[[共栄学園短期大学]]教授{{R|KPD}}、美術の授業研究会代表{{R|KPD}}、キミ子方式を楽しむ会代表{{R|KPD}}を歴任。
: 各地の招待講演や大学でもキミ子方式を広めた{{R|松本HMV|KPD}}。[[仮説社#『たのしい授業』|『たのしい授業』]]では「教室のさびしい貴族たち」を連載し<ref>松本キミ子「教室のさびしい貴族たち 最終回 ひいき先生」『たのしい授業』第15号、1984年6月、108-116頁。</ref>、書籍化されている{{R|上中2006}}。ほかに『絵の描けない子は私の教師』、『三原色の絵の具』などの著書がある{{R|中島1988}}。キミ子方式の問い合わせ窓口として「キミコ・プラン・ドゥ」が設立されており、長男の一郎が代表を務める{{R|松本松本}}。また、[[北海道]][[旭川市]]にはキミ子方式資料館として「メゾン・ド・キミコ」も設立されている<ref name="KPD">“[http://www.kimiko-method.com/profile.htm 松本キミ子プロフィール]”. ''キミ子方式公認HP キミコ・プラン・ドゥ''. 2020年1月28日閲覧。</ref>。2022年2月23日死去。

; {{Anchors|犬塚清和}}犬塚清和
[[File:Kiyokazu Inuzuka 2015.jpg|thumb|犬塚清和・ルネサンス高校豊田校・校長時代のもの。2015年撮影。]]
: 犬塚 清和（いぬづか きよかず{{Sfn|犬塚|1986|loc=カバー奥付の著者紹介}}{{R|紀伊国屋書店}}、2019年5月27日没、享年76{{R|ルネサンス2019}}）は日本の教育者。ガリ版による『仮説』の創始者で{{Sfn|板倉編|1988}}、仮説実験授業研究会では[[1983年]]から事務局長を担当{{R|歩み}}。西尾仮説サークルの創設や、『科学入門教育』編集代表でも貢献し{{Sfn|犬塚|1986|loc=カバー奥付の著者紹介}}、事務局は犬塚の自宅に置かれた（[[#ガリ本図書館|ガリ本図書館]]）{{R|二階堂1991}}。単著に『教師6年プラス1年―ぼくの仮説実験授業―』がある<ref>{{Ncid|BN02395641}}</ref>。
: [[愛知県]][[西尾市]]生まれ、[[愛知教育大学|愛知学芸大学]]卒業{{Sfn|犬塚|1986|loc=カバー奥付の著者紹介}}。西尾市立の中学校で教諭を務め、1971年に退職して[[名古屋大学]]教育学部研究生{{Sfn|犬塚|1986|loc=カバー奥付の著者紹介}}。復職して再び同市で中学校や小学校で教諭を務め{{Sfn|犬塚|1986|loc=カバー奥付の著者紹介}}、[[2003年]]で定年退職{{R|紀伊国屋書店}}。[[2006年]]から[[通信制]]の[[ルネサンス高等学校]]講師、[[2009年]]から同校校長に就任。[[2011年]]10月から[[ルネサンス豊田高等学校]]の校長。[[2015年]]からはルネサンス高等学校グループの名誉校長も兼任していた{{R|ルネサンス2019}}。
: [[原島鮮]]や[[笠耐]]らが参加した1970年の[[日本物理教育学会]]の座談会では、犬塚の研究資料により[[仮説実験授業]]が紹介された{{R|小暮1970}}。大学時代の恩師によると、学生時代は出来が悪かったものの、正義感の強い人物であったという<ref>板倉聖宣「優等生になりきれなかった人びとに自信を与える本」『科学教育研究』第9号、1972年7月。{{Harvnb|犬塚|1986|pp=227-233}}にも掲載。</ref>。竹内三郎は「〈仮説実験授業〉をつくったのは板倉聖宣だが、〈仮説実験授業研究会〉を、まさに今あるような独特の活力をもった研究会として維持したのは犬塚清和」と評している{{R|竹内2019}}。

; {{Anchors|宮地祐司}}宮地祐司
: 「ころぶす学会」{{R|宮地1990}}や「大道仮説実験講座」{{R|山本2000}}といった活動を展開し、授業以外における楽しい科学教育を志向した{{R|宮地2009}}。[[特定非営利活動法人|NPO法人]]「楽知ん研究所」を設立し、所長を務める{{R|宮地2009}}。科学史にも造詣が深く{{R|池上2013|宮地2018}}、原子論から[[サイフォン]]の原理を説明して授業書「水分子の鎖」を開発した{{R|板倉2008|池上2013}}。単著に『生物と細胞』{{Efn|『生物と細胞 ― 細胞説をめぐる科学と認識』仮説社〈自然の科学入門シリーズ〉、1999年、ISBN 4773501456。}}や『サイフォンの科学史』{{Efn|『サイフォンの科学史 ― 350年間の間違いの歴史と認識』仮説社、2012年、ISBN 9784773502381。}}{{Efn|宮地の著書ではサイフォンの原理を「水の柱が鎖のようにつながっている」という説を採っているが、出版後まもなく専門家によって流体力学的に間違っていることが指摘され{{R|松田2013}}、宮地は間違いを認めて撤回している<ref name="松田2013">松田卓也 (2013年12月24日更新). “[http://jein.jp/jifs/scientific-topics/1010-topic56.html サイフォンを巡る誤概念…大気圧説も鎖モデルも間違い]”. 基礎科学研究所. 2020年1月26日閲覧。</ref>。}}があり、板倉聖宣や塚本浩司との共著に『たのしい知の技術』{{Efn|板倉聖宣、塚本浩司、宮地祐司『たのしい知の技術』仮説社、2001年、ISBN 4773501561。}}がある。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2|refs=
<!-- name指定のアルファベット順で列挙-->
<ref name="ABC1997">板倉聖宣「研究会の最近の活動」『仮説実験授業のABC』[[仮説社]]、第4版、1997年、171頁、ISBN 4773501278。</ref>
<!-- name指定の五十音順で列挙 -->
<ref name="荒井1987">荒井公毅「たの授業フェスティバルの報告」『たのしい授業』第51号、1987年5月、126-127頁。</ref>
<ref name="歩み">“[https://www.kasetsu.org/2_society/history.html 仮説実験授業の歩み]”. 仮説実験授業研究会. 2020年1月14日閲覧。</ref>
<ref name="伊勢2012">伊勢革観「驚きと楽しさ、いろいろに 仮説実験授業研究会・夏の全国合宿研究会を終えて」『たのしい授業』第397号、2012年9月、132-133頁。</ref>
<ref name="伊藤2004">伊藤穂澄「木曽岬小学校の公開授業＆入門講座が終わりました 子どもたちにとっても楽しい一日でした」『たのしい授業』第279号、2004年4月、130-131頁。</ref>
<ref name="伊藤2014">伊藤穂澄「おばあちゃんが授業を受けたよ！ 義理の母の「街角かがく倶楽部」体験記」『たのしい授業』第424号、2014年8月、18-25頁。</ref>
<ref name="池上2013">池上隆治「科学史と科学教育を結びつけた快著 宮地祐司『サイフォンの科学史』」『たのしい授業』第405号、2013年4月、140-142頁。</ref>
<ref name="犬塚1991a">犬塚清和「ガリ本とは」『たのしい授業』第101号、1991年1月、90頁。</ref>
<!--<ref name="犬塚1991b">犬塚清和「キリン館と仮説社」『たのしい授業』第101号（臨時増刊号『たのしい授業ハンドブック』）、1991年3月、86頁。</ref>-->
<ref name="犬塚1991">犬塚清和「ガリ本図書館-56 ガリ本流通センター」『たのしい授業』第106号、1991年8月、136頁。</ref>
<ref name="犬塚1992">犬塚清和「ガリ本図書館-65 ガリ本流通センター」『たのしい授業』第115号、1992年5月、136頁。</ref>
<ref name="犬塚2005">犬塚清和「「自分の基準」で判断する 「シリーズ・授業書と子どもと教師」犬塚清和編集」『たのしい授業』第299号、2005年9月、95頁。</ref>
<ref name="板倉1979">板倉聖宣「絵を描くことと文章を書くこと ― 松本キミ子さんの『絵の描けない子は私の教師』を読んで」『授業科学研究』第2巻、仮説社、1979年、 57-63頁、{{全国書誌番号|80004574}}。</ref>
<ref name="板倉1991">板倉聖宣「第一回 板倉研究奨励賞の贈呈 ―その授賞理由―」『仮説実験授業研究会ニュース』、仮説実験授業研究会『会員レポート』事務局 二階堂泰全、1991年1月26日、5-7頁。</ref>
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [https://www.kasetsu.org/ 仮説実験授業研究会] - 準公式サイト
{{commonscat}}
** 活動 - [https://www.kasetsu.org/2_society/kaisoku.html 会則]、[https://www.kasetsu.org/2_society/action.html 研究会の活動]、[https://www.kasetsu.org/1_enjoy_kasetsu/circle.html サークルリスト]、[https://www.kasetsu.org/1_enjoy_kasetsu/jugyousyo.html 仮説実験授業の授業書とは]
* [https://www.kasetsu.org/ 仮説実験授業研究会準公式サイト]{{Ja icon}}
** 歴史 - [https://www.kasetsu.org/2_society/history.html 仮説実験授業の歩み]、[https://www.kasetsu.org/2_society/taikai/summer.htm 夏の全国合宿研究大会]、[https://www.kasetsu.org/2_society/taikai/winter.htm 冬の全国合宿研究大会]
** 表彰 - [https://www.kasetsu.org/2_society/pre_itakura_award.html 板倉賞以前]、[[#板倉賞|板倉賞]]（[https://www.kasetsu.org/2_society/itakura_award_mean.html 趣旨]、[https://www.kasetsu.org/2_society/itakura_award.html 受賞者と受賞理由]）、[https://www.kasetsu.org/2_society/pre_itakura_award.html 板倉賞以後]
* 板倉コレクション - [http://itakurakikin.penne.jp/BookCollection/bookshelf_map_F1.php 科学の碑記念館の2階の書庫]、[http://itakurakikin.penne.jp/BookCollection/bookshelf_map_Y2.php 板倉宅の1階の書庫]、[http://itakurakikin.penne.jp/BookCollection/bookshelf_map_F2.php 板倉宅の2階の書庫]
* [http://anona.skr.jp/tanoju/ あのな検索] - 『たのしい授業』の記事を検索できるサイト
（科学の碑・科学の碑記念会館）
* {{Facebook|kagaku.hi|科学の碑運営委員会}}
* [https://kagakunohi.web.fc2.com/index.html 科学の碑・科学の碑記念会館]
* {{Facebook|科学の碑科学の碑記念会館-580330132120873|科学の碑・科学の碑記念会館}}
（記録）
* [http://www2.nsknet.or.jp/~mshr/nototaikai/zentaikai.htm 2010年仮説実験授業研究会 夏の全国合宿研究会 能登大会] - 全体会の様子
* [http://elem.yuri-gakuin.ac.jp/blog/event/関西たのしい授業フェスティバル/ 2015年11月24日（火）関西たのしい授業フェスティバル] - 公開授業の様子

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2024年7月19日 (金) 07:53時点における最新版

かせつじっけんじゅぎょうけんきゅうかい
仮説実験授業研究会
仮説実験授業研究会のマーク。17世紀にガリレオ・ガリレイが属していたアッカデーミア・デイ・リンチェイの紋章から採られた。
仮説実験授業研究会のマーク。17世紀にガリレオ・ガリレイが属していたアッカデーミア・デイ・リンチェイの紋章から採られた。
仮説実験授業研究会のマーク。17世紀にガリレオ・ガリレイが属していたアッカデーミア・デイ・リンチェイの紋章から採られた。
英語名称 Association for Studies in Hypothesis-experiment Class[1]
略称 ASHEC[1][2]
専門分野 教育
設立 1966年[3][4]
前身 火曜研究会[5]
会長 出口陽正
(2024ｰ)[6]
事務局 日本の旗 日本
〒445-0025
愛知県西尾市和気町北裏26 犬塚方[7]
会員数 888人（2024年5月現在）[8]
刊行物 研究会ニュース（会報）[7]
表彰 板倉賞[9](2024年現在は未実施)
ウェブサイト https://www.kasetsu.org/
テンプレートを表示

仮説実験授業研究会（かせつじっけんじゅぎょうけんきゅうかい、英: Association for Studies in Hypothesis-experiment Class[1]）は、仮説実験授業やたのしい授業の研究と普及に取り組む日本の研究会。略称は英名の頭文字を取ってASHEC[1][2]。板倉聖宣らによって設立され、事務局長は長く犬塚清和が務めた[10]。全国各地に仮説サークルがあり、夏と冬に二泊三日の全国合宿研究大会を行っている[注釈 1]。当初はガリ版刷りのレポート『仮説』を発行しており、研究会の資料を保存する「ガリ本図書館」の由来となっている[11][12][13]。夏の大会で板倉賞が発表され、冬の大会で受賞者の特別講演がある[14][9]。キミ子方式やマッキーノは本研究会で取り上げられており[15][16][17]、仮説実験授業だけでなく、広く授業全般を研究対象にしている[18][15][16]。

沿革

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火曜研究会から発足まで

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振り子
ばね振り子
板倉聖宣と上廻昭による最初の授業書は「ふりこと振動」で、次に庄司和晃らが参加して「ばねと力」が作られた[19][注釈 2]。

1963年4月10日、国立教育研究所の板倉研究室に上廻昭が内地留学に訪れる[4]。その後、板倉聖宣によって提唱された仮説実験授業の研究のため、国立教育研究所の板倉研究室に上廻昭、庄司和晃、小野田三男、西村英夫の4人の教師が1963年7月23日に集まったことから始まった[4]。毎週火曜日の17時から21時に集まっており[20]、「火曜研究会」と呼ばれた[5]。都内の私立学校の教員が多く集った点に特色がある[21][22]。

開発された授業書(Jyugyosho)

仮説実験授業に用いられる「授業書」は当初「テキスト」と呼ばれ、授業の取り組みは板倉の研究所内におけるものを除けば、科学教育研究協議会（科教協）の講演会や同会発行の『理科教室』で対外発表された[22][注釈 3]。1964年3月3日に成城学園初等学校で行われた公開授業・研究発表会では、「仮説実験授業研究会」名義で『仮説実験授業の記録』を配布する[5]。同年、機関誌『仮説実験授業研究』が発行される（1966年の時点では庄司和晃の自宅事務所が置かれていた）[23]。

1966年 - 1988年

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急速な会員数の増加に対応するため、1966年12月25日に全国仮説実験授業研究会の設立が提唱され、板倉聖宣を代表として「仮説実験授業研究会」が発足する[3][4]。1967年 8月17-19日には、第1回合宿研究会が兵庫県で開かれる[24]。1970年、国土社から機関紙『科学教育研究』を発行する。板倉の方針で「最初から冊数・期間を限って発行する」[25]形で、季刊全12号で1973年まで発刊された[26]。

1973年7月、小樽で開かれた全国大会において、犬塚清和ら「西尾仮説サークル」の編集によって、ガリ版印刷による『仮説』の第1集が発行される[27][注釈 4]。以後、不定期ながら仮説実験授業広島サークルなど別の仮説サークルも編集を担当し、号数が引き継がれる形で1974年末までに第1-8集、別冊1-2集の10冊を数えるまでになる[28]。

一方機関紙は、1974年から仮説社より『仮説実験授業研究』と改題して季刊で発行された[26][29][注釈 5]。『仮説実験授業研究』の発行部数は1975年には4-5千部になっており[30]、1977年で予定通り全12集で完結した[31]。引き続き1979年には季刊の『授業科学研究』として仮説社から発行された。なお、1978年に松本キミ子と出会った板倉は、1979年に松本の美術授業における手法を紹介する[32][33][注釈 6]（仮説実験授業#キミ子方式の発見による美術教育の改革も参照）。

1983年3月、仮説社より月刊『たのしい授業』が創刊され、板倉が編集代表に就任[35]。同誌の創刊号は3か月で1万部ほど売れたという[36]。一方で、研究会の研究誌として季刊『科学入門教育』が創刊され、犬塚清和が編集代表を務める[37]。1986年には冬の全国合宿研究大会も始まる[38]。1987年には犬塚の仕事場に「ガリ本図書館」が設立され、研究資料のほとんどを収蔵する[39]。また、1988年には国土社と仮説社から〈授業書研究双書〉シリーズの刊行が始まっている[40][41]。

1989年 - 2018年

[編集]
研究会の創設者で[13]、板倉賞の由来[42]である板倉聖宣（1990年の写真）[注釈 7]。

1989年7月から仮説社から『仮説実験授業研究 第3期』が刊行され[44]、仮説実験授業提唱25周年企画として『仮説実験授業の誕生』も出版される[45]。1990年5月、研究会員らの寄付で新潟県湯之谷村（現 魚沼市）に「科学の碑」が建立され[46][47]、同年に板倉賞も始まっている[9]。1991年に「ガリ本図書館」の蔵書は約2500冊に達し[12]、1992年で会員数は約900人となっていた[48]。

さらに「科学の碑」に隣接して「科学の碑記念会館」が建設されることになり、1993年に完成[49]。11月13日から14日にかけて、完成記念式典と仮説実験授業の入門講座が開催された[50]。この会館には仮説実験授業やたのしい授業に関する文献、実験器具が収容されており[51][52]、1997年の時点でおよそ3万冊に及んでいる[53]。

1998年夏の大会は、大人629名、講演件数343件、サマースクール参加の子供128名となり、1000万円を超す売上総額を記録した[16][24][注釈 8]。また、2004年夏の大会では会員の参加者数が640名、レポート数は445件、子供が110名、保育児童30名という規模になり、初日の夕食が足りなくなるほどであった[54][24]。2006年にはサークルは78を数える[55]。

2013年には研究会は50周年を迎え、同年9月29日に50周年企画としてお祝いパーティや「年表と写真で見る仮説実験授業研究会のあゆみ」が企画された[56]。2015年には東京の仮説会館が移転[57]。2018年2月7日、代表の板倉聖宣が死去し[58]、仮説会館は閉鎖。代表代行に竹内三郎が就任する[59]。竹内が言うには、板倉の死去で研究会は大きく混乱しなかったという[60]。

2019年以降

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2019年5月27日、事務局長の犬塚清和が死去[61]。令和最初の夏大会は岩手県で行われ、参加者283名、レポート数284件、店舗数69といった規模であった[62]。2024年7月現在、事務局は引き続き愛知県西尾市に置かれている[7]。

歴代会代表

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  1. 1966-2018 板倉聖宣
  2. 2018-2020 竹内三郎[63]
  3. 2020-2024 小原茂巳[64][65]
  4. 2024-　　 出口陽正[66]

活動内容

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持ち回りで夏と冬に全国合宿研究大会を開催しており[注釈 1]、その分野は理科、算数、数学、社会、国語、英語、美術、音楽、さらには障害児教育や授業運営、教師論、組織論、ものづくりなど多岐にわたり、マッキーノのような個別教材・ゲームもテーマとしている[15][16]。サークル単位の活動が特徴で[13][67]、各地でフェスティバル[68][69]や入門講座[70][71]も開催されており[72]、これらには公開授業を伴うものもある[71][73]。授業書の収集や管理、保管も行っている[12][74][75]。

仮説サークル

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「西尾仮説サークル」「仮説実験授業広島サークル」[28]「神奈川・川崎仮説サークル」[76]といったサークルが各地にある[77]。『たのしい授業』のサークル案内を見て参加することもあり[78][79]、教員以外が参加することもある[79]。かつてはガリ版の『仮説』を発行し、連番となっていたが、これらは発行元のサークルが単独で編集発行し、財源も賄っていた[28]。

サークルでは授業書の研究開発のみならず、教師の悩みに乗ってもらうこともあり[80]、授業の最初と最後でやることを決めておくことや[81]、授業記録や授業通信を実施するなど[82]、具体的な助言をもらえることもある。また、教師と科学研究者の連携の場という側面もある[83]。なお、サークルは2名からでも作れるため新しくできていくが[84]、活動を停止するサークルも多い[85]。

全国合宿研究大会

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2016年夏の群馬県伊香保大会の会場に設置された看板。この研究会で研究されているおりぞめとゲンシマンが使用されている。
仮説実験授業研究会の全国合宿研究会・岩手御所湖大会（2019年7月29-31日）の全体会と売り場の光景。
漢字マッキーノの例
漢字カード
記入用紙
楽しみながら暗記ができるマッキーノ。全国合宿研究大会やサークルで議論され、広まっていった[86][15]。

夏と冬に二泊三日の全国合宿研究大会を開催している[注釈 1]。夏は1967年から、冬は1986年から始まっており[10]、夏の大会は人数が多く分科会になってしまうため、全体会をすることを意図して冬の大会が開かれるようになったという[100]。大会の最後には、立候補した候補地の中から翌年の開催地が選出される[15][94]。2014年夏大会の山口県は、10度目の立候補で開催を獲得している[94]。

本や教材を販売する売り場が設けられ[16][90][95][98]、夜には「ナイター」と呼ばれる企画がある[87][54][59]。ナイターでは出版記念パーティー[17][88]や新入会員紹介パーティー[89][101]が恒例になったり、｢モルQ」「分子カルタ」「マッキーノ」などが取り上げられたりもした[98]。また、夏の大会では子供向けのサマースクールが行われることもある[15][89][54][92][95]。

なお、板倉聖宣は研究集会における売上高を会費総収入で割った「イタクラ係数」というものを定義し、この係数がほぼ等しい（0.7より大きく1.5より小さい）ことを「イタクラの法則」とした[102]。1999年[96]や2001年[98]、2002年の冬大会[99]、および2012年[93]と2018年[59]の夏大会でイタクラ係数は1.0となった。しかし、2005年夏大会には1.4を超えて1.5に[90]、2017年夏大会には0.7になってしまっている[95][注釈 9]。

フェスティバル

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1億倍実体積の分子模型。

1986年、東京で3月に「たのしい授業フェスティバル」が開催され、3年目の1988年からは兵庫県の尼崎市で行われる。1億倍実体積の分子模型など、教材や教具、おもちゃの販売が盛んで、1988年6月発行の『たのしい授業』第65号では「たのしい授業フェスティバル販売カタログ」の特集が組まれている[105][注釈 10]。また、1986年には福岡でフェスティバルを参考に「たのしい授業ミニ見本市」が開催された[106]。

このフェスティバルは以後続いていき、2001年には尼崎だけでなく[68]東京でも「たのしい授業グランドフェスティバル」が開催され、グランドフェスティバルは大人約1300名、子供約190名の参加者を集めた[107]。以後、尼崎のフェスティバルは「たのしい授業フェスティバル＆入門講座」[108][109][110]として、東京は「東日本たのしい授業フェスティバル」として開催が続いており[69]、授業書の入門講座や、ものづくり、授業プランを体験できる[108][109][69]。

また、2013年から5年間は「関西たのしい授業フェスティバルin百合学院」が11月に開催されており[111]、同学年・同クラスの子供を対象とした仮説実験授業の公開授業が行われることが特徴であった[73]。ほかにも、「仮説フェスティバル」（国立市、11月上旬）[112]、「北海道仮説実験授業サマーフェスティバル」（8月上旬）[113]、愛知・仮説実験授業フェスティバル」（刈谷市、8月下旬[114]や8月中旬[115]、「わくわく科学教室グランドフェスティバル」（高知）[116]といった開催事例もある。

板倉賞

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モルQの原子カード。1992年夏の全国大会で発表され、ゲームも実演した[117]。考案した松平亨は、1999年の板倉賞を受賞している[17][97]。

板倉は1990年の還暦祝いで多くの祝い金を得たのをきっかけに、それを基金にして「板倉研究奨励賞」を設立[42]。賞の授与は1991年1月の冬の全国合宿研究会から始まっており[42]、第1回受賞者は犬塚清和と宮地祐司であった[9]。板倉は「研究が完成した段階よりも、研究活動が本格化した段階で、資金援助をすることが大切」という考えから、「多くの人々の見るところの評価が安定してからの賞とするよりも、まだそこまでいかないような仕事をも応援するような賞にしたい」という理念を示し、「主観的な評価」と断った上で、設立理由を記している[42]（#外部リンクも参照）。

1991年7月の夏の全国大会（北海道定山渓大会）では「低学年における原子論教育の可能性」の功績により第2回の賞が伊藤恵に贈られた[118][119]。伊藤恵はその後の1992年1月の冬の全国合宿研究会で受賞記念講演をし[118]、以後夏の大会で授与し、受賞者が次の冬の大会などで記念講演を行うことが慣例となった[118][14]。当初「イタクラ研究奨励賞」と呼ばれたが[118]、その後「板倉賞」の名称で定着した[119]。

授業書の開発や普及が評価されることが多いが[87][14][120][121]、数学分野の授業展開に取り組んだ出口陽正や[121]、授業書を元にした科学劇のシナリオ作成や実践を行った伊藤善朗に対しても授与されている[120][注釈 11]。さらに2000年にはサイエンス・シアターの台本を授業書にする活動取り組みに対して授与され[88]、2003年には大学での仮説実験授業が[89]、2008年には盲学校における仮説実験授業の取り組みが受賞した[92]。

また、モルQの松平亨[17][97]、紙芝居「ゲンシマン」[注釈 12]の小笠原智[17][97]、「街角かがく倶楽部」[122][123][124]を展開する村西正良や田中葉子[91]も受賞している。一方で、1995年には「研究会の事務体制を補強し発展させた」という功績に対して二階堂泰全が受賞しており[15]、2000年には「板倉講演のテープ起こしの達人」が評価されて原田研一が受賞している[88]。なお、中一夫（2005年[90]、2013年[94]）や阿部徳昭[93]のように、2度受賞することもある[93][94]。

なお、2018年の板倉聖宣の死後以降2024年現在では、このような表彰は行われていない。

特色・評価

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犬塚清和は、仮説実験授業研究会を「科学教育を科学にするという立場をとる学問的な「学派」である」と解釈した[125]。北海道大学名誉教授の高村泰雄は、数学教育協議会（数教協）[注釈 13]と並んで仮説実験授業研究会の取り組みに学んだといい、「「すべての子どもに現代科学の基本的な概念や法則をやさしく教える」ことを標傍し、教育内容の構成や授業の組織化にも目覚ましい科学的な成果を挙げて」いると評価した[126]。

会則には「会としての決議は一切行わず、その行動、意思表示などは会員各自の──あるいは同じ意見のもの同士の他の行動組織の──自由に任せるものとする。」とある[18]。板倉聖宣は、犬塚がガリ版の『仮説』を出版したような会員の自由な活動を評価して[13]、「中央の委員会や事務局がなにもしなくても、大会はもとより各種各様の全国機関紙が出せるようになった」[27]、「この『仮説』こそが、仮説実験授業研究会の本当の機関紙という性質をもっている」[30]、「こういう研究・組織のあり方自体が仮説実験授業的だと思う」[127]と述べている。

なお、「政治上の意見については仮説実験授業研究会は何ら意思表示をしない」というスタンスで[128]、運動団体ではないという立場であった[125]。会員から不満が出ながらも、入試や学習指導要領などに意見を出すような活動はしなかった[125]。また、朝日新聞社のジャーナリスト・高橋真理子によると、日教組と文部省が対立する時代に、仮説実験授業研究会は組合系と文部省系のどちらにも与しなかったという[58][注釈 14]。

会則では「仮説実験授業を実施してその記録など研究資料・論文を本会に提出したもの、および仮説実験授業の授業書の作成に従事するなど、仮説実験授業の研究に寄与したものは、本会の承認を得て会員となることができる。」と規定され[18]、板倉は安易に会員を増やさないという方針をとっていた[129]。また、当初は授業書の購入や発表にも制限をかけていた[130]。

出版物

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→「仮説社」および「板倉聖宣 § 著書」も参照

会報・会誌

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会員には毎月、会報として「研究会ニュース」が配布される[7]。

過去には

  • 『仮説実験授業研究』（タイプ版[10]、全18号）[131]
  • 季刊『科学教育研究』（国土社、1970-73年、全12集）[132]
  • 季刊『仮説実験授業研究』（仮説社、1974-77年、全12集）[29][注釈 5]
  • 季刊『授業科学研究』（仮説社、1979年-1982年、全12集）[134]
  • 季刊『科学入門教育』（仮説社、1983年-1987年、全12集）[注釈 15]
  • 『仮説実験授業研究 第3期』（仮説社、1989年7月- 、既刊11集）[135]

といった機関紙・研究誌が出版されている[13][67][52]。

また、板倉聖宣が編集代表として1983年3月から

  • 月刊『たのしい授業』（仮説社、NCID AN10120924）

が創刊されている[136]。同誌には各地で開催されるサークルの月例会や入門講座、フェスティバル、講演会の案内が掲載されており[72]、板倉は研究会の「準機関誌」と位置付けている[52]。なお、2017年には継続が危ぶまれたが、竹内三郎は発刊継続の方針を打ち出した[137]。

研究会編集の書籍

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1982年10月には、仮説実験授業研究会編集による〈楽しい科学の授業研究〉シリーズが、ほるぷ出版から

  • 『仮説実験授業研究』1-2巻、3-4巻、5-6巻、7-8巻、9-10巻、11-12巻（NCID BN09577578）
  • 『科学教育研究』1-2巻、3-4巻、5-6巻、7-8巻、9-10巻、11-12巻（NCID BN09575856）
  • 『授業科学研究』1-2巻、3-4巻、5-6巻、7-8巻、9-10巻、11-12巻（NCID BN09578253）

が出版され、同時に同シリーズとして

  • 『授業書』全6巻（NCID BN06996654） - 1 物性・化学編、2 物性・化学編、3 力学編、4 力学編、5 物理・天文編、6 生物・公害編

も出版された[138]。

また、1988年から1989年にかけて仮説実験授業研究会と板倉聖宣の編集により[40][41]、〈授業書研究双書〉シリーズが国土社[40]と仮説社[41]の2社から連携して出版された[13]。それぞれ

  • 国土社 - 『てこ・滑車・仕事量』[139]、『力と運動・速さと距離と時間』[140]、『浮力と密度・重さと力・まさつ力』[141]、『電池と回路』[142]、『動植物の分類と進化・たべものとうんこ』[143]、『いろいろな気体・燃焼』[144]
  • 仮説社 - 1.『光と虫めがね』[145]、2.『ものとその電気』[146]、3.『磁石・ふしぎな石』[147]

が刊行されている。

関連施設

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ガリ本図書館の外観。愛知県西尾市にある。2022年5月2日撮影。
ガリ本図書館1階の書庫。研究会事務局がある。2022年5月2日撮影。
ガリ本図書館の2階にある書庫。2022年5月2日撮影。

仮説会館

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1981年には「仮説実験授業やたのしい授業を推し進める人たちの溜まり場にしよう」という構想があり[148]、2015年の移転まで、毎月第4土曜日に『たのしい授業』の公開編集会議が開催されていた[149][150]。当初は東京都の西神田に置かれ[注釈 16]、のちに移転して高田馬場で仮説社と隣接する形になる[152][47][153][注釈 17]。また、「たのしい授業ゼミナール」[154]や「街角かがく倶楽部」[123]なども開催されていた[注釈 18]。

2015年に、仮説社は豊島区の巣鴨に移転[150][注釈 19]。仮説会館も調布市に移転し[注釈 20][57]、板倉聖宣の活動する（私立）板倉研究室と同居する形になる[57]。20人前後が集まれる場所であったものの[148]、これを契機に『たのしい授業』の編集会議は仮説社で行われるようになる[150]。調布の仮説会館では狛江・調布サークルの活動や、「教師塾」などの会[注釈 21]が催された[158]。

2018年、板倉の死を契機に「仮説会館」は閉鎖となった[159]。なお、東京のほかに「名古屋仮説会館」や「蛸草松尾仮説会館」[47]、「札幌仮説センター」[52]もあり、東京都の仮説会館を「東京仮説会館」と区別して呼ぶ場合もある[154]。「名古屋仮説会館」の開設は、入門講座と連携講座の統合がきっかけであったという[160]。

ガリ本図書館

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「自分が作りたくて作った手作り本」を「ガリ本」と称しており[161]、ガリ本の原点は1973年の小樽での全国大会で販売されたガリ版資料『仮説』に由来する[11][13]。1987年に開設された「ガリ本図書館」は愛知県西尾市にあり、多くの研究資料が所蔵されるとともに犬塚清和の仕事場を兼ねていた[12]。研究会の事務局はガリ本図書館内に置かれ[39]、つばさ書房、西尾仮説サークル、西尾仮説の会などもここを拠点とした[39]。

1991年頃には毎月10冊ほど新しい資料が送られてきていたといい[12]、この時点で「ガリ本図書館」の蔵書は約2500冊に達していた[12]。また、板倉聖宣の『物理学の歴史』（キリン館、1988年）[162]や『幸福論と年表』（仮説実験編集委員会編、仮説実験授業ガリ本図書館、1995年）[163]といった本の印刷・発行も、ガリ本図書館名義で行われた[162][163]。

なお、2008年には「ガリ本図書館」の隣に「授業書管理室」が設立される[74]。仮説実験授業に関する歴史的資料[74]や授業書による授業記録が保管されている[164]。実際に東京大学の齊藤萌木は仮説実験授業を分析するにあたり、授業書管理室で授業記録を参照している（齊藤の論文では「仮説実験授業研究会事務局」[164]と書かれている）[165]。

科学の碑・科学の碑記念会館

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科学の碑は「人」の文字を型取っている。
碑には板倉聖宣の言葉である「科学は民主的な社会にのみ生まれ、民主的な社会を守り育てる」が刻まれた。
科学の碑記念館。板倉聖宣の蔵書が保管・公開されている。

新潟県魚沼市（旧 湯之谷村）にある時宗の寺「東養寺」[166]に、「科学の碑」や「科学の碑記念会館」が建立されている[46][47]。「科学の碑」は研究会員らの寄付で1990年5月4日に建設されたもので、板倉聖宣の言葉が記されている[47][46][167][注釈 22]。「科学の碑」の裏側は無宗教の共同墓地になっており[46][52]、科学の碑運営委員会が運営している[169][170]。仮説実験研究会会員でもあった細井心円が、建設時の東養寺住職であった[171][172][173]。

さらに「科学の碑」に隣接して「科学の碑記念会館」が建設されることになり、1993年に完成[169]。なお、科学の碑や記念館の周囲は、山林公園にもなっており[169]、会館は科学の碑を訪れる人の休憩所も兼ねている[51]。この会館には仮説実験授業やたのしい授業に関する文献が所蔵されており、1997年の時点でおよそ3万冊に及んでいる[53]。蔵書は板倉聖宣の自宅書庫ともに、板倉コレクションとして管理されている[174]（「外部リンク」参照）。

記念会館には各種実験器具も所蔵されており[51]、ブレーズ・パスカルの真空実験復元装置は記念会館で保管されていた[167]。2004年には愛知県立大学の小柳公代らによって、記念会館で公開実験、および録画DVDの制作が行われており、細井も参加している[167][注釈 23]。また、子供向けのイベント[51]や研究会での使用[52]、中学校や高等学校のサークルの合宿[167]にも利用されている。

なお、2003年には10周年企画「科学の碑・春まつり」が[170]、2008年には「科学の碑記念会館15周年の会」が開催されている[176][注釈 24]。

→「科学の碑」も参照

主要な人物

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板倉聖宣
詳細は人物記事「板倉聖宣」を参照。
上廻昭
上廻 昭（かみさこ あきら[178]、2015年11月3日没、享年88[179]）は日本の教育者。島根県生まれ。東京第一師範学校を卒業し、荒川区の中学校教諭に着任。一旦退職し、明治大学法学部に編入[178]。その後は時間講師[178]、学習院初等科教諭を経て成城学園初等学校教諭[180][21]。仮説実験授業の創始者の1人[21]。単著に『仮説実験授業への道』（明治図書出版、1990年、ISBN 4186227047）があり、授業ビデオに『78歳現役!!仮説実験授業と共に生きる上廻昭の「ふりこと振動」』（スタジオ・オズ、2000年、ISBN 4990288742）がある。1960年代の仮説実験授業黎明期の授業を受けた受講生に対し、37年経った後の追跡調査を実施している[181]。
庄司和晃
詳細は人物記事「庄司和晃」を参照。
竹内三郎
詳細は「仮説社#竹内三郎」を参照。
細井心円
細井心円は1986年に小学校教員を定年退職した後、新潟県湯之谷村（現 魚沼市）にある東養寺（時宗）の住職に就任[172][166]。住職の傍ら老人ホームで法話をしたり[171]、講師依頼を受けて科学啓発も行い、『たのしい科学』でも発表していた[173][166]。時宗の教えに仮説実験授業と通じる点があることを指摘し[166]、自利利他を説いた[176][注釈 25]。（科学の碑・科学の碑記念会館」も参照。）
松本キミ子
詳細は「松本キミ子」を参照。
松本 キミ子（まつもと きみこ、1940年5月生まれ[183][184][185]）は日本の教育者、美術家。北海道沼田町生まれ[185]で、東京芸術大学彫刻科を卒業[185]。産休補助教員として小学校・中学校で図画・美術教育に取り組む中で、1975年にキミ子方式を考案[186]。板倉聖宣との出会いを契機にキミ子方式は仮説実験授業研究会などで広まっていく[187][183][188]。高崎芸術短期大学教授[183]、拓殖大学北海道短期大学教授[184]、共栄学園短期大学教授[183]、美術の授業研究会代表[183]、キミ子方式を楽しむ会代表[183]を歴任。
各地の招待講演や大学でもキミ子方式を広めた[185][183]。『たのしい授業』では「教室のさびしい貴族たち」を連載し[189]、書籍化されている[188]。ほかに『絵の描けない子は私の教師』、『三原色の絵の具』などの著書がある[186]。キミ子方式の問い合わせ窓口として「キミコ・プラン・ドゥ」が設立されており、長男の一郎が代表を務める[184]。また、北海道旭川市にはキミ子方式資料館として「メゾン・ド・キミコ」も設立されている[183]。2022年2月23日死去。
犬塚清和
犬塚清和・ルネサンス高校豊田校・校長時代のもの。2015年撮影。
犬塚 清和（いぬづか きよかず[37][136]、2019年5月27日没、享年76[61]）は日本の教育者。ガリ版による『仮説』の創始者で[13]、仮説実験授業研究会では1983年から事務局長を担当[10]。西尾仮説サークルの創設や、『科学入門教育』編集代表でも貢献し[37]、事務局は犬塚の自宅に置かれた（ガリ本図書館）[39]。単著に『教師6年プラス1年―ぼくの仮説実験授業―』がある[190]。
愛知県西尾市生まれ、愛知学芸大学卒業[37]。西尾市立の中学校で教諭を務め、1971年に退職して名古屋大学教育学部研究生[37]。復職して再び同市で中学校や小学校で教諭を務め[37]、2003年で定年退職[136]。2006年から通信制のルネサンス高等学校講師、2009年から同校校長に就任。2011年10月からルネサンス豊田高等学校の校長。2015年からはルネサンス高等学校グループの名誉校長も兼任していた[61]。
原島鮮や笠耐らが参加した1970年の日本物理教育学会の座談会では、犬塚の研究資料により仮説実験授業が紹介された[191]。大学時代の恩師によると、学生時代は出来が悪かったものの、正義感の強い人物であったという[192]。竹内三郎は「〈仮説実験授業〉をつくったのは板倉聖宣だが、〈仮説実験授業研究会〉を、まさに今あるような独特の活力をもった研究会として維持したのは犬塚清和」と評している[60]。
宮地祐司
「ころぶす学会」[193]や「大道仮説実験講座」[97]といった活動を展開し、授業以外における楽しい科学教育を志向した[194]。NPO法人「楽知ん研究所」を設立し、所長を務める[194]。科学史にも造詣が深く[195][196]、原子論からサイフォンの原理を説明して授業書「水分子の鎖」を開発した[197][195]。単著に『生物と細胞』[注釈 26]や『サイフォンの科学史』[注釈 27][注釈 28]があり、板倉聖宣や塚本浩司との共著に『たのしい知の技術』[注釈 29]がある。

脚注

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[脚注の使い方]

注釈

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  1. ^ a b c [13][24][38]、[87][15][16][17][88][89][54][90][91][92][93][94][95][59][62]、[14][96][97][98][99]。
  2. ^ 東京都市大学の右近修二は、板倉が提唱した仮説実験授業や授業書に対し、「教育研究・科学史研究に基づく科学教育論」に立脚して「何を」「いかに」教えるかということに対する「明確な解答を示した」と分析し、「その後の授業研究に決定的な影響」を与えたと評価している（右近 2016, pp. 56–57）。
  3. ^ 「ふりこと振動」は『理科教室』1963年11月号に、「ばねと力」は同誌1964年2月号、3月号に掲載された（『仮説実験授業の誕生』 1989）。
  4. ^ この第1集は手製のガリ版印刷であったが製本は外注で、1冊134ページが200円で販売された。その内容は、（『仮説』第1集1973年7月刊、西尾仮説サークル編、全134ページ）。「西尾仮説サークルと私（高須哲夫・安井伸二・河村桃子・松崎重広・鈴木康三・犬塚清和）14ぺ」、「科学をみんなのものに（1973年3月，西尾での板倉聖宣講演筆記，犬塚清和編）18ぺ」、「〈宇宙への道〉の解説と討論（鈴木康三・板倉聖宣ほか）14ぺ」、「板倉さんを囲んで発想法を学ぶ会（松崎重広編）30ぺ」、「ナイターでの討論（1973年6月16日，関西の西川・井上・西谷・西村・山中・木村，東京の板倉を加えて）26ぺ」、「楽しい授業（1973年6月，板倉講演筆記，河村桃子編）24ぺ」（板倉聖宣、「『仮説』第1集～第11集主要目次」、『仮説実験授業研究　第4集』、1975年7月25日、仮説社、77-81ページによる）。[27]。
  5. ^ a b 板倉編 1988, p. 3には『仮説実験授業』とあるが、『仮説実験授業研究』[29][30][133]。
  6. ^ 1984年には美術の授業研究会やガリ版による研究ニュースが始まっている[34]。
  7. ^ 2018年の没後、科学の碑の共同墓地に納骨されている[43]。
  8. ^ 1998年の夏大会は高知県での開催で、板倉聖宣と橋本大二郎 高知県知事のパネルディスカッションも開催された[16]。大人の参加者数は、626名[16]と629名[24]の2つが見受けられる。
  9. ^ 全国大会ではない「たのしい授業フェスティバル」[103][104]では、イタクラ係数は2.4[103]や3.1[104]を記録している。
  10. ^ 折り染め染料、1Fコンデンサ、ノミのプレパラート、1立法メートルのアルミ枠、表面張力実験器、フレネルレンズ、加熱水蒸気用銅管、1億倍実体積の分子模型セット、金属箔周期表、ストロー豚笛、琥珀原石、水素発生装置、スチールウール燃焼装置、レーウェンフックの顕微鏡復元模型、からくり貯金箱、簡易金属テスター、簡易イオンテスター、漢字部首カルタなどが販売されていた[105]。
  11. ^ 伊藤善朗「科学劇 <もしも原子がみえたなら> 学芸会で大好評のシナリオ」『たのしい授業』第66号、1988年7月、32-44頁。伊藤善朗「科学劇「足はなんぼん」 授業をたのしんだ3年生のための台本」『たのしい授業』第81号、1989年10月、91-104頁。伊藤善朗「社会の科学劇「世界の国旗」 観客だけでなく、教師たちにも大ウケ」『たのしい授業』第100号、1991年3月、32-48頁。鮫島麻美「（中学１年生と）科学劇「もしも原子が見えたなら」」『たのしい授業』第425号、2014年9月、32-51頁。角友和世「おたより 科学劇「足はなんぼん？」」『たのしい授業』第472号、2018年1月、138頁。
  12. ^ 「アトム戦隊ゲンシマン」は、授業書『もしも原子がみえたなら』に登場する分子達をモチーフにして生まれた戦隊ヒーロー。合体して変身することもあり、『たのしい授業』第120号、1992年10月、126-129頁で初登場した。
  13. ^ 数学教育協議会については、遠山啓や水道方式も参照。
  14. ^ 板倉は『仮説実験授業の誕生』 1989, p. 6において、「戦後の教育は文部省と日教組の対立を軸にして展開されていて、どんな教育をはじめるにしても、そのどちらかに与するものとして考えられてしまう恐れがありました。」と記している。文部省と日教組の対立については、「日本教職員組合」を参照。
  15. ^ 犬塚 1986によると1986年時点で11集まで刊行。“国会図書館サーチ”（2020年1月18日閲覧。）によると、西尾仮説サークルとの共同刊行で、犬塚清和の編集、当初の誌名は『科学入門教育研究』であった。1987年に12集が刊行された模様（“12集”. 国立国会図書館サーチ. 2020年1月18日閲覧。）。
  16. ^ 1992年の移転前の住所は 東京都千代田区西神田2-7-8[151]。水道橋駅からアクセス[149]。
  17. ^ 移転後の住所は 東京都新宿区高田馬場2-13-7（『仮説実験授業のABC』 1992, p. 129）。
  18. ^ ほかに仮説会館で開催されたものとして、仮説実験授業のビデオ「たのしい授業」の試写会、「世界史入門講座」[155]、「授業所・総合読本開発研究会」「映像を観ながら牧衷氏と語る会」[156]、「板倉聖宣 短編 購読会」[157]などがある。
  19. ^ 仮説社の住所は、東京都豊島区巣鴨1-14-5 第一松岡ビル3階[150]。
  20. ^ 2015-2018年の仮説会館の住所は、東京都調布市布田4丁目5ｰ5 ラフイーネ調布2番街101号室[57]。
  21. ^ ほかに「たのしい研究の語り場」「板倉科学史・科学教育を学ぶ会」がある[158]。
  22. ^ 科学碑に書かれた文章は板倉聖宣の考案であったが、揮毫したのは細井心円。毛筆の控えは2016年現在、仮説社に展示されている[168][信頼性要検証]。
  23. ^ 科研費「デカルト、パスカルの科学思想上の定立再構築と関連書誌研究」（基盤研究(C)、16500631、2004-2005年度、科学社会学・科学技術史、代表者 - 小柳公代、分担者 - 本多秀太郎、武田裕紀）[175]によるプロジェクト[167]。
  24. ^ また、科学や落語を楽しむ「心円祭」も毎年開催されており、板倉も講演していた[177]。
  25. ^ 出典[176]には「自利・他利」とあるが、大乗仏教の用語としては「自利利他」[182]。
  26. ^ 『生物と細胞 ― 細胞説をめぐる科学と認識』仮説社〈自然の科学入門シリーズ〉、1999年、ISBN 4773501456。
  27. ^ 『サイフォンの科学史 ― 350年間の間違いの歴史と認識』仮説社、2012年、ISBN 9784773502381。
  28. ^ 宮地の著書ではサイフォンの原理を「水の柱が鎖のようにつながっている」という説を採っているが、出版後まもなく専門家によって流体力学的に間違っていることが指摘され[198]、宮地は間違いを認めて撤回している[198]。
  29. ^ 板倉聖宣、塚本浩司、宮地祐司『たのしい知の技術』仮説社、2001年、ISBN 4773501561。

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参考文献

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外部リンク

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（科学の碑・科学の碑記念会館）

（記録）

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