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「ばらずし (丹後地方)」の版間の差分

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'''ばらずし'''(バラ寿司)は、[[京都府]]北部の[[丹後地方]]の[[郷土料理]]。[[サバ]]のおぼろを用いるのが特徴で、[[岡山県]][[備前]]の郷土料理である[[ばら寿司]]や[[広島県]][[安芸]]の瀬戸内沿岸のばらずし、[[ちらし寿司]]の別称としてのばらずしと区別するため「丹後ばらずし」「丹後寿司」等と呼ばれることもある<ref name="丹後本,2018,63p">『ひ・み・つの丹後本 丹後人が教える京都・丹後半島ローカルガイド』丹後本制作委員会、2018年、63頁。</ref>。
'''ばらずし'''(バラ寿司)は、[[京都府]]北部の[[丹後地方]]の[[郷土料理]]。


[[2018年]]([[平成]]30年)、「丹後ばらずし」として[[日本遺産]][[丹後ちりめん回廊]]の構成文化財に認定された<ref>{{Cite web |url=https://www.city.kyotango.lg.jp/top/kanko_bunka_sports/rekishi_bunka/4594.html |title=構成文化財の追加認定について |publisher =京丹後市|accessdate =2018-10-18}}</ref>。
[[サバ]]のおぼろを用いるのが特徴で、[[岡山県]][[備前]]の郷土料理である[[ばら寿司]]や[[広島県]][[安芸]]の瀬戸内沿岸のばらずし、[[ちらし寿司]]の別称としてのばらずしと区別するため「丹後ばらずし」「丹後寿司」と呼ばれることもある<ref name="丹後本,2018,63p">『ひ・み・つの丹後本 丹後人が教える京都・丹後半島ローカルガイド』丹後本制作委員会、2018年、63頁。</ref>。その製法から、「松蓋寿司(まつぶたずし)」とも称される<ref>{{Cite book|和書|author=京丹後市史資料編|title=京丹後市の民俗|year=2014|publisher=京丹後市|page=35頁}}</ref><ref>{{Cite book|和書|author=日本調理科学会|title=別冊うかたま 伝え継ぐ日本の家庭料理すし|year=2017|publisher=農文協}}</ref><ref>[http://torimatsu.jp/famous-tango-barazushi/ 網野名物ばらずし]</ref><ref>[http://www.pref.kyoto.jp/tango/chiiki/tangobarazushimap.html 丹後ばらずし食べ歩きマップ]</ref>。


== 概要 ==
== 概要 ==
丹後地方特有の[[寿司]]で、祭りや祝い事、集会行事など、人の集まる時には欠かすことのできないもてなしの一品とされる。
焼き鯖(サバ)の煮付け、または、サバの缶詰をおぼろ状に炒めたものをちらす丹後地方特有の[[寿司]]で、祭りや祝い事、集会行事など、人の集まる時には欠かすことのできないもてなしの一品とされる。近年では「丹後ばらずし」と称されるようになったが、本来は「ばらずし」と称するのが一般的


[[京丹後市]]、[[与謝野町]]、[[伊根町]]ほか[[丹後半島]]一帯で食べられている。伝統的になにかの折に家庭でばらずしをつくり、親戚一同に配る風習が残る地域もあり、とくに京丹後市網野町<ref group="注">かつての[[竹野郡]][[網野町]]。</ref>では、網野を代表する郷土料理ともされている<ref name="京丹後市124p">{{Cite book|和書|author=京丹後市史資料編|title=京丹後市の民俗|year=2014|publisher=京丹後市|page=124頁}}</ref><ref>{{Cite book|和書|author=|title=三たん事典 第二巻「地域の食」編|year=2002|publisher=三たん地方開発促進協議会|page=42頁}}</ref><ref>[https://www.ujimiyage.com/products/detail.php?product_id=552 郷土料理丹後のばらずし]</ref>。
松の木製の木箱(まつぶた)に、すし飯を薄く敷きつめ、その上に[[サバ|鯖]](サバ)を炒った[[そぼろ|おぼろ]]をちらし、さらにすし飯を敷いた後、鯖のおぼろ、[[蒲鉾|かまぼこ]]、[[シイタケ|しいたけ]]、[[薄焼き卵|錦糸卵]]などの具材を彩りよくちらし<ref>{{Cite news |title=郷土料理に新名物 |newspaper=朝日新聞 |date=2018-09-06 |author=寺脇毅 |url=https://www.asahi.com/articles/ASL8F3TYSL8FPLZB00H.html?iref=pc_ss_date |accessdate=2018-09-13}}</ref>、板で軽くおさえる。松蓋は、従来は餅つきの際に丸めた[[餅]]を並べるのに用いられるが、ばらずしに用いることを想定して作られた松蓋のなかには、木枠がケーキ型のように抜けるようになっているものもある。1人分ずつ木べらで切り分けて食べるのが一般的<ref name="丹後本,2018,63p"/>。

[[京丹後市]]、[[与謝野町]]、[[伊根町]]ほか[[丹後半島]]一帯で食べられている。伝統的になにかの折に家庭でばらずしをつくり、親戚一同に配る風習が強く残っており、とくに京丹後市網野町(旧[[竹野郡]][[網野町]])では、網野を代表する郷土料理ともされている<ref>{{Cite book|和書|author=京丹後市史資料編|title=京丹後市の民俗|year=2014|publisher=京丹後市|page=124頁}}</ref><ref>{{Cite book|和書|author=|title=三たん事典 第二巻「地域の食」編|year=2002|publisher=三たん地方開発促進協議会|page=42頁}}</ref><ref>[https://www.ujimiyage.com/products/detail.php?product_id=552 郷土料理丹後のばらずし]</ref>。


== 特徴 ==
== 特徴 ==
丹後を代表する郷土料理として、飲食店やスーパーなどでも販売され、食べることができるが、本来は家庭料理であるため、各家庭の味や工夫が受け継がれている<ref name="丹後本,2018,63p"/>。
寿司の変遷のなかで[[箱寿司]]から[[ちらし寿司]]に移行する過程の製法を残し<ref name="日比野163p">{{Cite book|和書|author=日比野光敏 |title=すしの事典 |publisher=東京堂出版 |year=2001 |page=163 |isbn=}}</ref>、現在ではちらし寿司の1種とみなされているが、生魚ではなく、「甘く煮付けた焼き鯖のおぼろ」を用いるのが特徴である<ref name="農林業問題186,92p"/>。丹後を代表する郷土料理として、飲食店やスーパーなどでも販売され、食べることができるが、近年まで人伝に伝承されてきた家庭料理であるため、各家庭の味や工夫が受け継がれている<ref name="丹後本,2018,63p"/>。


共通する食材であるは、本来は焼き鯖をほぐし、醤油、砂糖などの調味料を加えてじっくりと煮付け、炒めておぼろにする、缶詰の普及により、現代ではより手軽なサバの缶詰を使用して調理するほうが、家庭においては一般的となっている<ref>{{Cite book|和書|author=岡田大介|title=季節のおうち寿司|year=2016|publisher=PHP研究所|page=132-135頁}}</ref>。このため、丹後地方では日本国内の他の地域では流通していない370グラムの特大のサバ缶(平1号)が販売されている<ref name="丹後本,2018,63p"/>。
共通する食材であるサバは、本来は焼き鯖をほぐし、醤油、砂糖などの調味料を加えてじっくりと煮付け、炒めておぼろにする。現代では、缶詰の普及により、より手軽なサバの缶詰を使用して調理するほうが一般的となっている<ref name="農林業問題186,92p"/><ref>{{Cite book|和書|author=岡田大介|title=季節のおうち寿司|year=2016|publisher=PHP研究所|page=132-135頁}}</ref>。このため、丹後地方では日本国内の他の地域では流通していない370グラムの特大のサバ缶(平1号)が販売されている<ref name="丹後本,2018,63p"/><ref name="日経20160126">{{Cite news |title=丹後のばらずし サバたっぷり ちりめんの栄華重ねて |newspaper=日本経済新聞夕刊 |date=2016-01-26 |author=嶋沢裕志 |page=}}</ref>。


また、ばらずしのための食材として、[[がんぎ]]と呼ばれる厚さ1センチメートルほどの板蒲鉾も、丹後地方では一般に販売されている。これは、よくある半月型のかまぼこでは刻んだ際に同じ見た目にならないためで、がんぎは[[巻き寿司]]にも使用される。
また、ばらずしのための食材として、[[がんぎ]]と呼ばれる厚さ1センチメートルほどの板蒲鉾も、丹後地方では一般に販売されている。これは、よくある半月型のかまぼこでは刻んだ際に同じ見た目にならないためで、がんぎは[[巻き寿司]]にも使用される<ref>{{Cite web |url=https://www.city.kyotango.lg.jp/top/kosodate_kyoiku/shokuiku/1/1/4404.html |title=郷土食レシピ「地のりの巻きずし」 |publisher =京丹後市|accessdate =2018-12-19}}</ref>

== 名称 ==
[[File:Kyotango, old town area map.png|thumb|京丹後市旧6町の位置関係]]
[[丹後地方]]では70パーセント以上の人が「'''ばらずし'''」と称する<ref name="農林業問題186,91p">{{Cite journal|和書|journal=農林業問題研究 |title=郷土料理「丹後ばらずし」の変容と伝承 |volume= |year=2012 |page=91 |issue=186}}</ref>。その調理法や使用する道具から「おぼろ寿司」「ちらし寿司」「混ぜ寿司」「切り寿司」「まつぶた寿司」とも<ref>{{Cite book|和書|author=京丹後市史資料編|title=京丹後市の民俗|year=2014|publisher=京丹後市|page=35頁}}</ref><ref>{{Cite book|和書|author=日本調理科学会|title=別冊うかたま 伝え継ぐ日本の家庭料理すし|year=2017|publisher=農文協}}</ref><ref>[http://torimatsu.jp/famous-tango-barazushi/ 網野名物ばらずし]</ref><ref>[http://www.pref.kyoto.jp/tango/chiiki/tangobarazushimap.html 丹後ばらずし食べ歩きマップ]</ref>、地域性から「丹後ずし」「田舎ずし」「京丹ずし」と称する人もあり、少なくとも10通りの呼び方が確認されている<ref name="農林業問題186,91p"/>。名称の多様性は、この料理が[[郷土食]]であり、各家庭や地域において長く親しまれ、書物などの記録に拠らず人から人へと伝承されてきたことに起因する<ref name="農林業問題186,91p"/>。

[[2009年]]([[平成]]21年)から[[2010年]](平成22年)にかけて京丹後市で行われたアンケート<ref group="注">2009年(平成21年)10月4日に丹後あじわいの郷(現在の[[道の駅丹後王国「食のみやこ」]])で開催された京丹後市観光協会主催の「食の祭典」の参加者444名へのアンケート、2010年(平成22年)2月23日に開催された丹後農業研究所及び京丹後市観光協会共催の「丹後郷土料理ばらずしを語る」セミナー参加者89名(うち回答者63名)、京丹後市内の農家の女性、料理店、宿泊業者への聞き取り調査による。</ref>の調査結果によると、京丹後市内では72パーセントの人が「ばらずし」と称し、次いで「ちらし寿司」と称する人が14パーセント、「丹後寿司」と称する人が13パーセントで、このほかの名称を口をする人はわずかである<ref name="農林業問題186,91p"/>。旧町別では、[[弥栄町]]では「丹後寿司」と称する人が2番目に多いが、[[久美浜町]]では逆に「ちらし寿司」と称する人が2番目に多い<ref name="農林業問題186,91p"/>。

丹後地方においてはいずれの地域、年代でも、圧倒的に多い呼称は「ばらずし」である<ref name="農林業問題186,91p"/>。しかし、近年では、全国的に知名度の高い太平洋側など、他の地域の「ばらずし」と区別するため、「'''丹後ばらずし'''」と紹介されることが増えてきている<ref name="農林業問題186,91p"/>。

== ばらずしの詳細 ==
[[File:ばらずし1.jpg|thumb|四角く取り分けて食べる。]]
=== 調理法 ===
[[File:まつぶた.jpg|thumb|丹後ばらずしに使用される伝統的な道具「まつぶた」。現代ではプラスチック製のものが主流となっている。]]
'''まつぶた'''(松蓋)と称される浅い木箱に、すし飯を薄く敷きつめ、その上に甘辛く[[サバ]]を炒り煮にした[[そぼろ|おぼろ]]をちらし、さらにすし飯を敷いた後、サバのおぼろ、[[蒲鉾|かまぼこ]]、[[シイタケ|しいたけ]]、[[薄焼き卵|錦糸卵]]、[[紅ショウガ]]や季節の具材を彩りよくちらす<ref>{{Cite news |title=郷土料理に新名物 |newspaper=朝日新聞 |date=2018-09-06 |author=寺脇毅 |url=https://www.asahi.com/articles/ASL8F3TYSL8FPLZB00H.html?iref=pc_ss_date |accessdate=2018-09-13}}</ref><ref name="農林業問題186,92p"/>。すし飯を2段にせず、1段で作ることもある<ref name="農林業問題186,92p"/>。まつぶたは、餅つきの際に丸めた[[餅]]を並べる用途にも使用されるが、ばらずしに用いることを想定して作られたまつぶたのなかには、木枠がケーキ型のように抜けるようになっているものもある。2段構成のばらずしは切り出すとケーキやサンドウィッチのように、側面の見た目もよい<ref name="農林業問題186,92p"/>。3段でつくる人もいるという<ref name="日経20160126"/>。
[[File:ばらずし分布図.png|left|thumb|丹後ばらずしの製法において、2段にする割合の地域図。]]
ばらずしの段数は、作り手の年齢が高いほど2段で作られていることから、古来、2段構成であったものと思われる<ref group="注">2009年から2010年に行われた上記のアンケート調査で、50代では52パーセント、60代では62パーセント、70代では81パーセントの人がばらずしを二段にすると回答している。</ref><ref name="農林業問題186,92p"/>。30代でも2段が多く、母から娘への家庭内伝承がうかがわれる一方、40代、20代、10代では1段で作る人が多い<ref name="農林業問題186,92p"/>。

地域別にみると、京丹後市の旧6町のうち、[[網野町]]では65パーセント、[[峰山町]]では59パーセントの人が、ばらずしを2段にする<ref name="農林業問題186,92p"/>。[[大宮町]]、[[弥栄町]]では約50パーセントと2段派は半数にとどまり、[[丹後町]]では29パーセント、[[久美浜町]]では21パーセントと2段派が少なく、1段で作る人の方が多い<ref name="農林業問題186,92p"/>。周辺地域の[[与謝野町]]や[[宮津市]]では7割以上の家庭が1段のばらずしを作り、年代別でもすべての年代で1段が多い<ref name="農林業問題186,92p"/>。このようなことから、ばらずしの発祥は旧網野町地域と考えられている<ref name="京丹後市124p"/>。

かつてのばらずしは、まつぶたにつめた後に、重しで押して熟成させていた<ref name="農林業問題186,93p"/>。嗜好の理由以前に、長く保存するためには空気を抜く必要があった<ref name="農林業問題186,93p"/>。現在は重しは使われず、作り手により、手や板で軽くおさえて整えることもあれば、ちらすだけのこともあり、日本の寿司の変遷のなかで、箱寿司(押し寿司)から混ぜ寿司に移行する過程の製法を残している<ref name="農林業問題186,93p">{{Cite journal|和書|journal=農林業問題研究 |title=郷土料理「丹後ばらずし」の変容と伝承 |year=2012 |page=93 |volume=186 |issue=}}</ref><ref name="日比野163p"/>。この変遷は、食感などの嗜好の変化であるとともに、冷蔵など保存技術の発展により押しかためる必要がなくなったことや、同じ料理を数日間も続けて食べたりすることの少ない現代の食生活の変化に対応した結果と考えられている<ref name="農林業問題186,93p"/>。

=== 具材 ===
[[File:ばらずしの材料例.jpg|thumb|「ばらずし」の食材の一例。サバ缶(平1号缶)、がんぎ(板蒲鉾)、卵、しいたけ、青物(画像はミツバ)など。]]
[[ファイル:丹後ばらずしの一例.jpg|サムネイル|がんぎ(板蒲鉾)を用いた丹後ばらずしの一例。]]
欠かせない具材は、[[サバ]]のおぼろのほか、錦糸卵、かまぼこ、紅ショウガである<ref name="農林業問題186,92p"/>。[[シイタケ]]、[[かんぴょう|カンピョウ]]、[[ゴボウ]]も使用例が多く、一部の具材はすし飯に混ぜ込む場合もある。季節の具材には、[[タケノコ]]、[[エンドウマメ]]、[[キヌサヤ]]、[[サヤインゲン]]、[[ミズナ]]、[[木の芽]]([[サンショウ]]の葉)、[[シソ|大葉]]、[[フキ]]などの山菜が用いられる<ref name="農林業問題186,92p"/>。[[パセリ]]や[[キュウリ]]を用いる例もある<ref name="農林業問題186,92p"/>。一度に使用する具材の品目数は、[[ちらし寿司]]としては少なめの5~7品目程度にとどまり、いずれの場合でも、サバのおぼろはたっぷりと散らす<ref>{{Cite book|和書|author=日比野光敏 |title=すしの事典 |publisher=東京堂出版 |year=2001 |page=178 |isbn=}}</ref>。

[[1948年]]([[昭和]]23年)から[[1966年]](昭和41年)の間に[[熊野郡]]<ref group="注">現在の[[京丹後市]][[久美浜町]]。</ref>で「'''丹後の切りずし'''」について調査した[[篠田統]]は、その著書のなかで「[[高野豆腐]]、竹の子、ソボロの三つは欠けてはいけない」としている<ref>{{Cite book|和書|author=篠田統 |title=すしの本 |publisher=岩波書店 |year=2002 |page=99-100 |isbn=}}</ref>。また、[[1985年]](昭和60年)に刊行された『日本の食生活全集26 聞き書 京都の食事』においても、丹後の「'''おぼろずし'''」には干瓢、シイタケ、ミョウガ、高野豆腐を用いると記されているが<ref>{{Cite book|和書|author= |title=日本の食生活全集26聞き書京都の食事 |publisher=農山漁村文化協会 |year=1985 |page=247 |isbn=}}</ref>、現在の丹後地方の「'''ばらずし'''」を紹介するレシピで高野豆腐に言及しているものはほとんどない<ref name="農林業問題186,92p"/>。

高野豆腐は、かつては年間を通して入手できる食材として定番であったものの、調理に手間がかかるため、徐々に使われなくなったものと考えられている<ref name="農林業問題186,92p"/>。同様に、秋の[[マツタケ]]もかつては使われたというが、現在ばらずしに使う人はあまりいない<ref name="農林業問題186,92p"/>。作り方同様に、具材も時代とともに変化してきたことがわかる。

そのなかで、欠かせない食材となっているサバのおぼろは、かつては焼き鯖をほぐして作られるものであったが、戦後まもなく缶詰が普及すると、サバ缶で代用する家庭が多くなった<ref name="農林業問題186,92p"/>。缶詰の普及は、丹後地方では[[昭和]]の中頃には[[丹後ちりめん]]の生産が農家の主婦の重要な副業となっており、料理に手間をかける余裕がなかったことも一因とされる<ref name="日経20160126"/>。今日では大半の家庭がサバ缶を使用している<ref name="農林業問題186,92p"/>。

=== 食べ方 ===
[[File:ばらずし3.jpg|thumb|ばらずしを取り分けるために用いられる「寿司切り」]]
1人分ずつ、'''寿司切り'''で四角く切り、取り分けて食べる<ref name="丹後本,2018,63p"/><ref name="農林業問題186,92p">{{Cite journal|和書|journal=農林業問題研究 |title=郷土料理「丹後ばらずし」の変容と伝承 |volume= |year=2012 |page=92 |issue=186}}</ref>。寿司切りは木べらや竹べらなどで、'''まつぶた'''とともに、この地域独特の、ばらずしのための調理道具である<ref name="農林業問題186,93p"/>。

== つくる機会・食べる機会と、伝承のかたち ==
'''ばらずし'''は、祭りなど伝統的なハレの日にかかせない料理として、現在も、丹後地方の祭日にはばらずしをつくる家庭が多い<ref name="農林業問題186,93p"/>。次いで、正月やお盆など、家族が集まる時や来客のある時に作る家庭が多く、約6割の家庭で年2回以上、約4割の家庭で年3回以上、ばらずしが作られている<ref name="農林業問題186,93p"/>。冠婚葬祭や誕生日のごちそうともみなされている<ref name="日経20160126"/>。

{| class=wikitable border="1" style="text-align:right"
|+各家庭において'''ばらずし'''を作る機会(アンケートによる回答数)<ref name="農林業問題186,93p"/>
!/||祭事||正月||お盆||結婚式||法事||誕生日||その他<ref group="注">来客がある時や、家族が集まる時、お宮参りなどの慶事が「その他」に入る。</ref>
|-
|もっとも多い機会
|style="text-align:right"|216||4||2||-||4||-||14
|-
|2番目に多い機会
|style="text-align:right"|3||65||23||10||18||-||19
|-
|その他
|style="text-align:right"|-||-||34||7||26||5||19
|-
|合計
|style="text-align:right"|219||69||59||17||48||5||52
|-
|}

21世紀初頭において、'''ばらずし'''をつくる人の8割以上は、その作り方を母・祖母・姑などにより家庭内で伝承されている<ref name="農林業問題186,94p"/>。ある農家の女性の記憶によると、ばらずしの作り方は子どもの頃からの家事手伝いのなかで自然に覚え、嫁ぎ先でも義母が同じすしを作っていたので安心したという<ref name="農林業問題186,94p"/>。

年代別では、2009年時点で40代以上の女性の多くは、家庭内で習得している。30代では18パーセント、20代では33パーセントが親族以外の知人や近所の人、料理本、学校、インターネットなどから作り方を学んでおり、時代をおうごとに伝承方法は多様化している<ref name="農林業問題186,94p"/>。家庭内における世代間伝承は依然としてあるものの、料理店や農家の女性が講師となり、学校や社会教育等の体験活動として、地域ぐるみ、同世代間での伝承機会が増加しつつある<ref name="農林業問題186,95p">{{Cite journal|和書|journal=農林業問題研究 |title=郷土料理「丹後ばらずし」の変容と伝承 |volume= |year=2012 |page=95 |issue=186}}</ref>。

飲食店での提供は、[[1979年]]([[昭和]]54年)に網野町の「[[とり松]]」が正式にメニューに載せたのが発祥とされるが、家庭料理を外食で食べる習慣はなかったため、当初の半年間ほどは大半が売れ残ったという<ref name="日経20160126"/>。現在では、丹後地域20店舗以上の飲食店で提供されているほか<ref name="日経20160126"/><ref>{{Cite web |url=http://www.pref.kyoto.jp/tango/chiiki/tangobarazushimap.html |title=丹後ばらずし食べ歩きマップを発行しました |publisher =京都府|accessdate =2018-12-29}}</ref>、駅弁やスーパーマーケットで販売されるお弁当にもばらずしは多く採用されているため、日常的にも食べることができる<ref name="えきべん"/>。
{{画像提供依頼|イベントにおける巨大「ばらずし」|date=2019年1月|cat=京丹後市}}
今日、'''ばらずし'''は地域おこしの題材としても注目されている。[[道の駅丹後王国「食のみやこ」|丹後王国「食のみやこ」]]で開催された「京丹後食の祭典」では、長さ10メートル、横60センチメートルの特製の'''まつぶた'''で、600人分相当の「巨大ばらずし」作りが行われ、子どもから高齢者まで多くの参加者を集めた<ref name="とり松">{{Cite web |url=https://torimatsu.jp/famous-tango-barazushi/ |title=網野名物ばらずし |publisher =とり松|accessdate =2018-12-29}}</ref>。地域おこしのイベントにばらずしが登場したのは、1979年(昭和54年)の「網野チューリップ祭り」が初回と思われ、[[1986年]](昭和61年)に東京・池袋の百貨店に出店されたのが都市部への初出店とみられる<ref name="日経20160126"/><ref name="農林業問題186,94p"/>。華やかな見た目が注目され、1日1,000個を売り上げたという<ref name="日経20160126"/>。全国的に物の豊かさから心の豊かさに注目が集まるようになった昭和50年代後半からの時代の流れのなかで、ばらずしは丹後地方において「ふるさとの味」を象徴する郷土料理に位置付けられている<ref name="農林業問題186,94p"/>。

地元の小中高校などでは、ばらずし作りの体験学習を実施する学校もあるほか<ref name="とり松"/><ref name="農林業問題186,94p">{{Cite journal|和書|journal=農林業問題研究 |title=郷土料理「丹後ばらずし」の変容と伝承 |year=2012 |page=94 |volume=186 |issue=}}</ref>、京丹後市商工会、料理教室、京都府などが主催し、ばらずし作りの体験教室が京丹後市および与謝野町の各地で開催されている<ref>{{Cite web |url=http://www.tango-taiken.com/index.php?prc=detail&sid=36 |title=郷土料理(ばらずし)体験 |publisher =京丹後商工会|accessdate =2018-12-29}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.uminokyoto.jp/experience/detail.php?exid=83 |title=京丹後のくらし体験 料理教室ばらずし体験 |publisher =海の京都|accessdate =2018-12-29}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.pref.kyoto.jp/oriki/chirimentaiken_yosano.html |title=日本遺産『「300年を紡ぐ絹が織り成す丹後ちりめん回廊」体験教室』を開催しました |publisher =京都府|accessdate =2018-12-29}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://sanin-geo.jp/taiken/spot/5379 |title=丹後ばらずしづくり体験 琴引浜まんまくらぶ |publisher =山陰海岸ジオパーク推進協議会事務局|accessdate =2018-12-29}}</ref>。

== 丹後地方の焼き鯖文化 ==
丹後半島の近海で漁獲される[[サバ]]は、2種類ある<ref>{{Cite book|和書|author=池田陽子 |title=サバが好き! |publisher=山と渓谷社 |year=2018 |page=10 |isbn=9784635450201}}</ref>。秋から冬にかけてが旬とされる[[マサバ]]<ref group="注">筒切りにした断面がゴマサバに比べて平べったいことから、「ヒラサバ」とも称される。</ref>、および夏にも味が落ちないことから夏場に多く漁獲される[[ゴマサバ]]<ref group="注">筒切りにした断面が丸いことから、「マルサバ」とも称される。成魚では、腹側に多くの黒い斑点模様が表れるので、マサバと見分けることが容易である。</ref>である<ref>{{Cite book|和書|author=池田陽子 |title=サバが好き! |publisher=山と渓谷社 |year=2018 |page=8 |isbn=9784635450201}}</ref>。

サバは鮮度が落ちるのが早く、産地では保存のための加工技術が発展した<ref>{{Cite book|和書|author=池田陽子 |title=サバが好き! |publisher=山と渓谷社 |year=2018 |page=52 |isbn=9784635450201}}</ref>。郷土食として、[[米ぬか]]に調味料を混ぜてサバを漬け込む'''へしこ'''が広く知られているが<ref>{{Cite book|和書|author=池田陽子 |title=サバが好き! |publisher=山と渓谷社 |year=2018 |page=54 |isbn=9784635450201}}</ref>、焼くことも保存のための調理法のひとつであり、古来、商人たちが保存のために水揚げされたサバを'''焼き鯖'''にし、内陸部まで運んだ<ref>{{Cite book|和書|author=池田陽子 |title=サバが好き! |publisher=山と渓谷社 |year=2018 |page=71 |isbn=9784635450201}}</ref>。丹後半島のほか、[[福井県]][[若狭地方]]の「[[鯖街道]]」をはじめ、[[島根県]]の山間部にある[[雲南市]]、[[愛媛県]][[内子町]]でも焼き鯖を郷土料理とし、雲南市では焼き鯖を用いた鯖寿司の文化もある<ref>{{Cite book|和書|author=池田陽子 |title=サバが好き! |publisher=山と渓谷社 |year=2018 |page=52-60 |isbn=9784635450201}}</ref>。

=== さなぼり ===
[[稲作]]が人力頼みであった時代には、[[田植え]]時には小学校も3日間休業日となり、一家総出で田植えを行った。多くの田を所有する農家では他地域から労働に来てもらうこともあり、その労をねぎらい、親元や親戚などの縁者から'''田植魚'''が贈られた。この'''田植魚'''は、現在では[[ビール]]等になっているが、かつては'''焼鯖'''、酒、ワカメなどであった。焼鯖はネギとともに炊くなどした<ref name="京丹後市の民俗"/>。

田植えの後には'''さなぼり'''<ref group="注">丹後地方では「サナボリ」と称されるが、地域により「サナブリ」、「サノボリ」、「シロミテ」等とも称される、田植えの後の休日に行われる田の神を見送る風習で、日本各地に残る。</ref>があり、田植えを手伝ってもらった人や田植魚の差し入れをくれた人を招き、宴席が用意された。ここでは[[おこわ]]や[[ぼた餅]]などとともに、'''ばらずし'''が振る舞われた<ref name="京丹後市の民俗">{{Cite book|和書|author=京丹後市史編さん委員会 |title=京丹後市の民俗 |publisher=京丹後市 |year=2014 |page=362 |isbn=}}</ref>。

=== 焼き鯖寿司 ===
[[File:焼き鯖寿司.jpg|thumb|焼き鯖の棒寿司の一例]][[File:鯖寿司の1種、ピンと巻き.jpg|thumb|丹後の宮津ピンと巻き]]
*'''焼き鯖の棒寿司'''
*:こんがりと焼きあげた鯖の片身を棒状の押寿司にしたもので<ref>{{Cite web |url=http://www.amanohashidate.jp/wp-content/uploads/2016/11/f03c077c225da4babf2a81cd4aace42b.pdf |title=宮津ええもん市 |format=PDF |publisher =宮津本町商店街振興組合・宮津中町商店街協同組合 |accessdate=2018-12-24}}</ref>、多くの仕出し屋やスーパーマーケット、駅弁などで販売されている。焼き鯖のほかにショウガ、青じそなどを添えるなど多くのバリエーションがあるが、そのうちの一品である[[宮津市]]の料亭ふみやの「焼き鯖寿司」が、'''宮津遺産'''<ref group="注">宮津農水商工観連携会議の主催で2016年度から行われている、宮津地域のブランド認定制度。</ref>に認定されている<ref name="京都新聞20181110"/><ref>{{Cite web |url=http://www.kyo.or.jp/miyazu/news/h29miyazuisan_nintei3.pdf#search=%27%E5%AE%AE%E6%B4%A5%E9%81%BA%E7%94%A3+%E7%84%BC%E3%81%8D%E9%AF%96%27 |title=宮津遺産に4産品を認定しました。 |format=PDF |publisher =宮津農水商工観連携会議 |accessdate=2018-11-10}}</ref>。
* '''丹後の宮津ピンと巻き'''
*:料亭ふみやがイベントなどの際にのみ提供しているオリジナルの焼き鯖の巻きずしで<ref>{{Cite web |url=http://www.uminokyoto.jp/img_data/INF216_1.pdf |title=宮津ええもん市2018 |format=PDF |publisher =宮津本町商店街振興組合・宮津中町商店街協同組合 |accessdate=2018-12-24}}</ref>、焼き鯖と、京都の漬物(柴漬け、べったら漬け、みぶな)を具材とし<ref>{{Cite web |url=https://tabelog.com/kyoto/A2609/A260901/26005054/dtlrvwlst/B234166217/?use_type=0&srt=&sby=&rvw_part=all&smp=1 |title=料亭ふみや |publisher =食べログ|accessdate =2018-11-10}}</ref>、海苔をピンと張って巻いたのが特徴。海苔の巻き方と、[[民謡]]「[[宮津節]]」の1フレーズ「丹後の宮津でピンとはった」をかけて命名された。丹後地方の飲食店やスーパーマーケット等では、焼き鯖や鯖のおぼろを具材にした巻きずしは一般的な商品のひとつで<ref name="えきべん">{{Cite web |url=https://trains.willer.co.jp/railroad/ekiben/index.html |title=鉄道ファン>えきべん |format=PDF |publisher =京都丹後鉄道 |accessdate=2018-12-24}}</ref>、「丹後の宮津ピンと巻き」はその一例である。
[[File:ハーブへしこ寿司.jpg|thumb|ハーブへしこ寿司]]
このほか、焼き鯖とともに丹後の郷土食であるサバ[[へしこ]]を用いた押し寿司では、京丹後市の料亭 千代乃家の「'''ハーブへしこ寿司'''」が、丹後ブランド商品'''Tango Good Goods(タンゴ・グッド・グッズ)'''<ref group="注">丹後地域地場産業振興センター(京丹後市網野町)が1999年度から行っている丹後地域のブランド認定制度。宮津、京丹後、伊根、与謝野の4市町の商品を対象とする。</ref>に認定されている<ref name="京都新聞20181110">{{Cite news |title=京都・丹後産品、ブランド認定で支援 いわし鮨や焼き鯖すし |newspaper=京都新聞 |date=2018-02-25 |author= |url=https://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20180225000074 |accessdate=2018-11-10}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.tango.jibasan.jp/img/tgg2017-1.pdf#search=%27%E5%AE%AE%E6%B4%A5%E9%81%BA%E7%94%A3+%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%96%E3%81%B8%E3%81%97%E3%81%93%E5%AF%BF%E5%8F%B8%27 |title=Tango Good Goods 2017 |format=PDF |publisher =アミティ丹後 |accessdate=2018-11-10}}</ref>。

== ばらずしの派生料理 ==
[[File:BARAパエリア.jpg|thumb|「ばらずし」をアレンジしたBARAパエリア]]
* '''BARAパエリア'''……ばらずしの特徴であるサバのおぼろと蒲鉾を上に散らした海鮮パエリア。道の駅「海の京都 宮津」内にあるレストラン「HAMAKAZE Cafe」で提供される<ref>{{Cite web |url=http://www.amanohashidate.jp/food/hamakaze-cafe/ |title=食べる HAMAKAZE Café |publisher =天橋立観光ガイド|accessdate =2018-11-03}}</ref>。
* '''丹後軍艦'''……サバのおぼろと、ガリや木の芽を乗せた軍艦巻き。店主が丹後地方出身の江戸前寿司店「寿し処 今」(京都市)で提供される<ref>{{Cite web |url=http://www.sushidokoro-ima.com/menu.html |title=お品書き |publisher =寿し処 今|accessdate =2018-11-03}}</ref>。

== 註釈 ==
{{Reflist|group="注"}}


== 出典 ==
== 出典 ==
=== 脚注 ===
{{reflist}}
{{reflist|2}}
=== 参考文献 ===
* 中村均司『郷土料理「丹後ばらずし」の変容と伝承』農林業問題研究、第186号、2002年6月号、90-96頁
*『ひ・み・つの丹後本 丹後人が教える京都・丹後半島ローカルガイド』丹後本制作委員会、2018年
*『三たん事典 第二巻「地域の食」編』 三たん地方開発促進協議会、2002年
* 京丹後市史資料編 『京丹後市の民俗』 京丹後市、2014年
* 日本調理科学会 『別冊うかたま 伝え継ぐ日本の家庭料理すし』 農文協、2017年
* 岡田大介 『季節のおうち寿司』 PHP研究所、2016年
* 日本の食生活全集26『聞き書 京都の食事』農村漁村文化協会、1985年
* 日比野光敏『すしの事典』東京堂出版、2001年
* 篠田統一『すしの本』岩波書店、2002年
*『京都たべもの風土記』京都新聞社、1988年
* 池田陽子『サバが好き!』山と渓谷社、2018年

== 関連項目 ==
{{Commonscat|Sushi|寿司}}
* [[寿司#押し寿司]]
* [[岩国寿司]]

== 外部リンク ==
{{Commonscat-inline|Tango Barazushi|ばらずし}}
* [https://torimatsu.jp/famous-tango-barazushi/ とり松 網野名物ばらずし]
* [http://www.pref.kyoto.jp/tango/chiiki/documents/barazushi-map-ura.pdf 丹後ばらずし食べ歩きマップ]
* [http://www.pref.kyoto.jp/tango/chiiki/documents/barazushi-map-omote.pdf 丹後ばらずし食べ歩きマップ解説]


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2019年1月10日 (木) 04:56時点における版

ばらずしの一例。
ばらずしの一例。

ばらずし(バラ寿司)は、京都府北部の丹後地方郷土料理サバのおぼろを用いるのが特徴で、岡山県備前の郷土料理であるばら寿司広島県安芸の瀬戸内沿岸のばらずし、ちらし寿司の別称としてのばらずしと区別するため「丹後ばらずし」「丹後寿司」等と呼ばれることもある[1]

2018年平成30年)、「丹後ばらずし」として日本遺産丹後ちりめん回廊の構成文化財に認定された[2]

概要

焼き鯖(サバ)の煮付け、または、サバの缶詰をおぼろ状に炒めたものをちらす丹後地方特有の寿司で、祭りや祝い事、集会行事など、人の集まる時には欠かすことのできないもてなしの一品とされる。近年では「丹後ばらずし」と称されるようになったが、本来は「ばらずし」と称するのが一般的。

京丹後市与謝野町伊根町ほか丹後半島一帯で食べられている。伝統的になにかの折に家庭でばらずしをつくり、親戚一同に配る風習が残る地域もあり、とくに京丹後市網野町[注 1]では、網野を代表する郷土料理ともされている[3][4][5]

特徴

寿司の変遷のなかで箱寿司からちらし寿司に移行する過程の製法を残し[6]、現在ではちらし寿司の1種とみなされているが、生魚ではなく、「甘く煮付けた焼き鯖のおぼろ」を用いるのが特徴である[7]。丹後を代表する郷土料理として、飲食店やスーパーなどでも販売され、食べることができるが、近年までは人伝に伝承されてきた家庭料理でもあるため、各家庭の味や工夫が受け継がれている[1]

共通する食材であるサバは、本来は焼き鯖をほぐし、醤油、砂糖などの調味料を加えてじっくりと煮付け、炒めておぼろにする。現代では、缶詰の普及により、より手軽なサバの缶詰を使用して調理するほうが一般的となっている[7][8]。このため、丹後地方では日本国内の他の地域では流通していない370グラムの特大のサバ缶(平1号)が販売されている[1][9]

また、ばらずしのための食材として、がんぎと呼ばれる厚さ1センチメートルほどの板蒲鉾も、丹後地方では一般に販売されている。これは、よくある半月型のかまぼこでは刻んだ際に同じ見た目にならないためで、がんぎは巻き寿司にも使用される[10]

名称

京丹後市旧6町の位置関係

丹後地方では70パーセント以上の人が「ばらずし」と称する[11]。その調理法や使用する道具から「おぼろ寿司」「ちらし寿司」「混ぜ寿司」「切り寿司」「まつぶた寿司」とも[12][13][14][15]、地域性から「丹後ずし」「田舎ずし」「京丹ずし」と称する人もあり、少なくとも10通りの呼び方が確認されている[11]。名称の多様性は、この料理が郷土食であり、各家庭や地域において長く親しまれ、書物などの記録に拠らず人から人へと伝承されてきたことに起因する[11]

2009年平成21年)から2010年(平成22年)にかけて京丹後市で行われたアンケート[注 2]の調査結果によると、京丹後市内では72パーセントの人が「ばらずし」と称し、次いで「ちらし寿司」と称する人が14パーセント、「丹後寿司」と称する人が13パーセントで、このほかの名称を口をする人はわずかである[11]。旧町別では、弥栄町では「丹後寿司」と称する人が2番目に多いが、久美浜町では逆に「ちらし寿司」と称する人が2番目に多い[11]

丹後地方においてはいずれの地域、年代でも、圧倒的に多い呼称は「ばらずし」である[11]。しかし、近年では、全国的に知名度の高い太平洋側など、他の地域の「ばらずし」と区別するため、「丹後ばらずし」と紹介されることが増えてきている[11]

ばらずしの詳細

四角く取り分けて食べる。

調理法

丹後ばらずしに使用される伝統的な道具「まつぶた」。現代ではプラスチック製のものが主流となっている。

まつぶた(松蓋)と称される浅い木箱に、すし飯を薄く敷きつめ、その上に甘辛くサバを炒り煮にしたおぼろをちらし、さらにすし飯を敷いた後、サバのおぼろ、かまぼこしいたけ錦糸卵紅ショウガや季節の具材を彩りよくちらす[16][7]。すし飯を2段にせず、1段で作ることもある[7]。まつぶたは、餅つきの際に丸めたを並べる用途にも使用されるが、ばらずしに用いることを想定して作られたまつぶたのなかには、木枠がケーキ型のように抜けるようになっているものもある。2段構成のばらずしは切り出すとケーキやサンドウィッチのように、側面の見た目もよい[7]。3段でつくる人もいるという[9]

丹後ばらずしの製法において、2段にする割合の地域図。

ばらずしの段数は、作り手の年齢が高いほど2段で作られていることから、古来、2段構成であったものと思われる[注 3][7]。30代でも2段が多く、母から娘への家庭内伝承がうかがわれる一方、40代、20代、10代では1段で作る人が多い[7]

地域別にみると、京丹後市の旧6町のうち、網野町では65パーセント、峰山町では59パーセントの人が、ばらずしを2段にする[7]大宮町弥栄町では約50パーセントと2段派は半数にとどまり、丹後町では29パーセント、久美浜町では21パーセントと2段派が少なく、1段で作る人の方が多い[7]。周辺地域の与謝野町宮津市では7割以上の家庭が1段のばらずしを作り、年代別でもすべての年代で1段が多い[7]。このようなことから、ばらずしの発祥は旧網野町地域と考えられている[3]

かつてのばらずしは、まつぶたにつめた後に、重しで押して熟成させていた[17]。嗜好の理由以前に、長く保存するためには空気を抜く必要があった[17]。現在は重しは使われず、作り手により、手や板で軽くおさえて整えることもあれば、ちらすだけのこともあり、日本の寿司の変遷のなかで、箱寿司(押し寿司)から混ぜ寿司に移行する過程の製法を残している[17][6]。この変遷は、食感などの嗜好の変化であるとともに、冷蔵など保存技術の発展により押しかためる必要がなくなったことや、同じ料理を数日間も続けて食べたりすることの少ない現代の食生活の変化に対応した結果と考えられている[17]

具材

「ばらずし」の食材の一例。サバ缶(平1号缶)、がんぎ(板蒲鉾)、卵、しいたけ、青物(画像はミツバ)など。
がんぎ(板蒲鉾)を用いた丹後ばらずしの一例。

欠かせない具材は、サバのおぼろのほか、錦糸卵、かまぼこ、紅ショウガである[7]シイタケカンピョウゴボウも使用例が多く、一部の具材はすし飯に混ぜ込む場合もある。季節の具材には、タケノコエンドウマメキヌサヤサヤインゲンミズナ木の芽サンショウの葉)、大葉フキなどの山菜が用いられる[7]パセリキュウリを用いる例もある[7]。一度に使用する具材の品目数は、ちらし寿司としては少なめの5~7品目程度にとどまり、いずれの場合でも、サバのおぼろはたっぷりと散らす[18]

1948年昭和23年)から1966年(昭和41年)の間に熊野郡[注 4]で「丹後の切りずし」について調査した篠田統は、その著書のなかで「高野豆腐、竹の子、ソボロの三つは欠けてはいけない」としている[19]。また、1985年(昭和60年)に刊行された『日本の食生活全集26 聞き書 京都の食事』においても、丹後の「おぼろずし」には干瓢、シイタケ、ミョウガ、高野豆腐を用いると記されているが[20]、現在の丹後地方の「ばらずし」を紹介するレシピで高野豆腐に言及しているものはほとんどない[7]

高野豆腐は、かつては年間を通して入手できる食材として定番であったものの、調理に手間がかかるため、徐々に使われなくなったものと考えられている[7]。同様に、秋のマツタケもかつては使われたというが、現在ばらずしに使う人はあまりいない[7]。作り方同様に、具材も時代とともに変化してきたことがわかる。

そのなかで、欠かせない食材となっているサバのおぼろは、かつては焼き鯖をほぐして作られるものであったが、戦後まもなく缶詰が普及すると、サバ缶で代用する家庭が多くなった[7]。缶詰の普及は、丹後地方では昭和の中頃には丹後ちりめんの生産が農家の主婦の重要な副業となっており、料理に手間をかける余裕がなかったことも一因とされる[9]。今日では大半の家庭がサバ缶を使用している[7]

食べ方

ばらずしを取り分けるために用いられる「寿司切り」

1人分ずつ、寿司切りで四角く切り、取り分けて食べる[1][7]。寿司切りは木べらや竹べらなどで、まつぶたとともに、この地域独特の、ばらずしのための調理道具である[17]

つくる機会・食べる機会と、伝承のかたち

ばらずしは、祭りなど伝統的なハレの日にかかせない料理として、現在も、丹後地方の祭日にはばらずしをつくる家庭が多い[17]。次いで、正月やお盆など、家族が集まる時や来客のある時に作る家庭が多く、約6割の家庭で年2回以上、約4割の家庭で年3回以上、ばらずしが作られている[17]。冠婚葬祭や誕生日のごちそうともみなされている[9]

各家庭においてばらずしを作る機会(アンケートによる回答数)[17]
祭事 正月 お盆 結婚式 法事 誕生日 その他[注 5]
もっとも多い機会 216 4 2 - 4 - 14
2番目に多い機会 3 65 23 10 18 - 19
その他 - - 34 7 26 5 19
合計 219 69 59 17 48 5 52

21世紀初頭において、ばらずしをつくる人の8割以上は、その作り方を母・祖母・姑などにより家庭内で伝承されている[21]。ある農家の女性の記憶によると、ばらずしの作り方は子どもの頃からの家事手伝いのなかで自然に覚え、嫁ぎ先でも義母が同じすしを作っていたので安心したという[21]

年代別では、2009年時点で40代以上の女性の多くは、家庭内で習得している。30代では18パーセント、20代では33パーセントが親族以外の知人や近所の人、料理本、学校、インターネットなどから作り方を学んでおり、時代をおうごとに伝承方法は多様化している[21]。家庭内における世代間伝承は依然としてあるものの、料理店や農家の女性が講師となり、学校や社会教育等の体験活動として、地域ぐるみ、同世代間での伝承機会が増加しつつある[22]

飲食店での提供は、1979年昭和54年)に網野町の「とり松」が正式にメニューに載せたのが発祥とされるが、家庭料理を外食で食べる習慣はなかったため、当初の半年間ほどは大半が売れ残ったという[9]。現在では、丹後地域20店舗以上の飲食店で提供されているほか[9][23]、駅弁やスーパーマーケットで販売されるお弁当にもばらずしは多く採用されているため、日常的にも食べることができる[24]

今日、ばらずしは地域おこしの題材としても注目されている。丹後王国「食のみやこ」で開催された「京丹後食の祭典」では、長さ10メートル、横60センチメートルの特製のまつぶたで、600人分相当の「巨大ばらずし」作りが行われ、子どもから高齢者まで多くの参加者を集めた[25]。地域おこしのイベントにばらずしが登場したのは、1979年(昭和54年)の「網野チューリップ祭り」が初回と思われ、1986年(昭和61年)に東京・池袋の百貨店に出店されたのが都市部への初出店とみられる[9][21]。華やかな見た目が注目され、1日1,000個を売り上げたという[9]。全国的に物の豊かさから心の豊かさに注目が集まるようになった昭和50年代後半からの時代の流れのなかで、ばらずしは丹後地方において「ふるさとの味」を象徴する郷土料理に位置付けられている[21]

地元の小中高校などでは、ばらずし作りの体験学習を実施する学校もあるほか[25][21]、京丹後市商工会、料理教室、京都府などが主催し、ばらずし作りの体験教室が京丹後市および与謝野町の各地で開催されている[26][27][28][29]

丹後地方の焼き鯖文化

丹後半島の近海で漁獲されるサバは、2種類ある[30]。秋から冬にかけてが旬とされるマサバ[注 6]、および夏にも味が落ちないことから夏場に多く漁獲されるゴマサバ[注 7]である[31]

サバは鮮度が落ちるのが早く、産地では保存のための加工技術が発展した[32]。郷土食として、米ぬかに調味料を混ぜてサバを漬け込むへしこが広く知られているが[33]、焼くことも保存のための調理法のひとつであり、古来、商人たちが保存のために水揚げされたサバを焼き鯖にし、内陸部まで運んだ[34]。丹後半島のほか、福井県若狭地方の「鯖街道」をはじめ、島根県の山間部にある雲南市愛媛県内子町でも焼き鯖を郷土料理とし、雲南市では焼き鯖を用いた鯖寿司の文化もある[35]

さなぼり

稲作が人力頼みであった時代には、田植え時には小学校も3日間休業日となり、一家総出で田植えを行った。多くの田を所有する農家では他地域から労働に来てもらうこともあり、その労をねぎらい、親元や親戚などの縁者から田植魚が贈られた。この田植魚は、現在ではビール等になっているが、かつては焼鯖、酒、ワカメなどであった。焼鯖はネギとともに炊くなどした[36]

田植えの後にはさなぼり[注 8]があり、田植えを手伝ってもらった人や田植魚の差し入れをくれた人を招き、宴席が用意された。ここではおこわぼた餅などとともに、ばらずしが振る舞われた[36]

焼き鯖寿司

焼き鯖の棒寿司の一例
丹後の宮津ピンと巻き
  • 焼き鯖の棒寿司
    こんがりと焼きあげた鯖の片身を棒状の押寿司にしたもので[37]、多くの仕出し屋やスーパーマーケット、駅弁などで販売されている。焼き鯖のほかにショウガ、青じそなどを添えるなど多くのバリエーションがあるが、そのうちの一品である宮津市の料亭ふみやの「焼き鯖寿司」が、宮津遺産[注 9]に認定されている[38][39]
  • 丹後の宮津ピンと巻き
    料亭ふみやがイベントなどの際にのみ提供しているオリジナルの焼き鯖の巻きずしで[40]、焼き鯖と、京都の漬物(柴漬け、べったら漬け、みぶな)を具材とし[41]、海苔をピンと張って巻いたのが特徴。海苔の巻き方と、民謡宮津節」の1フレーズ「丹後の宮津でピンとはった」をかけて命名された。丹後地方の飲食店やスーパーマーケット等では、焼き鯖や鯖のおぼろを具材にした巻きずしは一般的な商品のひとつで[24]、「丹後の宮津ピンと巻き」はその一例である。
ハーブへしこ寿司

このほか、焼き鯖とともに丹後の郷土食であるサバへしこを用いた押し寿司では、京丹後市の料亭 千代乃家の「ハーブへしこ寿司」が、丹後ブランド商品Tango Good Goods(タンゴ・グッド・グッズ)[注 10]に認定されている[38][42]

ばらずしの派生料理

「ばらずし」をアレンジしたBARAパエリア
  • BARAパエリア……ばらずしの特徴であるサバのおぼろと蒲鉾を上に散らした海鮮パエリア。道の駅「海の京都 宮津」内にあるレストラン「HAMAKAZE Cafe」で提供される[43]
  • 丹後軍艦……サバのおぼろと、ガリや木の芽を乗せた軍艦巻き。店主が丹後地方出身の江戸前寿司店「寿し処 今」(京都市)で提供される[44]

註釈

  1. ^ かつての竹野郡網野町
  2. ^ 2009年(平成21年)10月4日に丹後あじわいの郷(現在の道の駅丹後王国「食のみやこ」)で開催された京丹後市観光協会主催の「食の祭典」の参加者444名へのアンケート、2010年(平成22年)2月23日に開催された丹後農業研究所及び京丹後市観光協会共催の「丹後郷土料理ばらずしを語る」セミナー参加者89名(うち回答者63名)、京丹後市内の農家の女性、料理店、宿泊業者への聞き取り調査による。
  3. ^ 2009年から2010年に行われた上記のアンケート調査で、50代では52パーセント、60代では62パーセント、70代では81パーセントの人がばらずしを二段にすると回答している。
  4. ^ 現在の京丹後市久美浜町
  5. ^ 来客がある時や、家族が集まる時、お宮参りなどの慶事が「その他」に入る。
  6. ^ 筒切りにした断面がゴマサバに比べて平べったいことから、「ヒラサバ」とも称される。
  7. ^ 筒切りにした断面が丸いことから、「マルサバ」とも称される。成魚では、腹側に多くの黒い斑点模様が表れるので、マサバと見分けることが容易である。
  8. ^ 丹後地方では「サナボリ」と称されるが、地域により「サナブリ」、「サノボリ」、「シロミテ」等とも称される、田植えの後の休日に行われる田の神を見送る風習で、日本各地に残る。
  9. ^ 宮津農水商工観連携会議の主催で2016年度から行われている、宮津地域のブランド認定制度。
  10. ^ 丹後地域地場産業振興センター(京丹後市網野町)が1999年度から行っている丹後地域のブランド認定制度。宮津、京丹後、伊根、与謝野の4市町の商品を対象とする。

出典

脚注

  1. ^ a b c d 『ひ・み・つの丹後本 丹後人が教える京都・丹後半島ローカルガイド』丹後本制作委員会、2018年、63頁。
  2. ^ 構成文化財の追加認定について”. 京丹後市. 2018年10月18日閲覧。
  3. ^ a b 京丹後市史資料編『京丹後市の民俗』京丹後市、2014年、124頁頁。 
  4. ^ 『三たん事典 第二巻「地域の食」編』三たん地方開発促進協議会、2002年、42頁頁。 
  5. ^ 郷土料理丹後のばらずし
  6. ^ a b 日比野光敏『すしの事典』東京堂出版、2001年、163頁。 
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参考文献

  • 中村均司『郷土料理「丹後ばらずし」の変容と伝承』農林業問題研究、第186号、2002年6月号、90-96頁
  • 『ひ・み・つの丹後本 丹後人が教える京都・丹後半島ローカルガイド』丹後本制作委員会、2018年
  • 『三たん事典 第二巻「地域の食」編』 三たん地方開発促進協議会、2002年
  • 京丹後市史資料編 『京丹後市の民俗』 京丹後市、2014年
  • 日本調理科学会 『別冊うかたま 伝え継ぐ日本の家庭料理すし』 農文協、2017年
  • 岡田大介 『季節のおうち寿司』 PHP研究所、2016年
  • 日本の食生活全集26『聞き書 京都の食事』農村漁村文化協会、1985年
  • 日比野光敏『すしの事典』東京堂出版、2001年
  • 篠田統一『すしの本』岩波書店、2002年
  • 『京都たべもの風土記』京都新聞社、1988年
  • 池田陽子『サバが好き!』山と渓谷社、2018年

関連項目

外部リンク

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