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「トヨタマヒメ」の版間の差分

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{{基礎情報 日本の神
{{改名提案|[[トヨタマビメ]]|date=2018年7月}}
| 名 = 豊玉姫 / 豊玉毘売
{{Infobox 人物
| 画像 = De juwelen fontein-Rijksmuseum RP-P-1958-374.jpeg
|氏名 = 豊玉姫
| 画像サイズ = 250px
|ふりがな = とよたまびめ
| 画像説明 = 豊玉姫と妹([[タマヨリビメ (日向神話)|玉依姫]])
|画像 = File:De juwelen fontein-Rijksmuseum RP-P-1958-374.jpeg
| 世代名 = <!-- 神代七代、三貴子、日向三代など -->
|画像サイズ = 280px
| 先代 =
|画像説明 = 豊玉姫と妹([[タマヨリビメ (日向神話)|玉依姫]])
|墓地 =
| 次代 =
| 神祇 = [[国津神]]<!-- 天神、地祇、天津神、国津神など -->
|民族 = [[海人族]]
| 全名 = 豊玉姫 / 豊玉毘売
|時代 = [[神代]]
| 別名 = 豊玉毘売命
|活動拠点 = [[ワタツミ|海神]]の宮
| 別称 = <!-- 天孫、山幸彦など神名でない称号 -->
|配偶者 = '''[[火折]]'''
| 神階 =
|子供 = [[彦波瀲武鸕鶿草葺不合]]
| 神格 = [[ワニ|鰐神]]、[[竜|龍神]]、[[真珠]]、[[巫女]]<!-- 太陽、月、山、海など司るもの -->
|親 = 父:[[海童]]、母:(不明)
| 陵所 = <!-- 日向三代用 -->
|補足 =
| 父 = [[綿津見神]](綿津見大神、豊玉彦)
| 母 =
| 親 = <!-- まぐあいによって生まれない場合 -->
| 配偶者 = [[火遠理命]]
| 子 = [[鸕鶿草葺不合尊]]
| 宮 = 綿津見神の宮
| 神社 = [[霧島神宮]]、[[若狭姫神社]]等
| 御利益 = <!-- 五穀豊穣、安産、学問など -->
| 記紀 = <!-- 古事記、日本書紀に登場するか -->
| 関連氏族 = <!-- (例: 中臣氏の祖)など -->
}}
}}
'''トヨタマヒメ'''(トヨタマビメ'''豊玉'''、[[古事記]]』では豊玉毘売)は、[[日本神話]]に登場する女。[[神武天皇]](初代[[天皇]])の[[祖母]]として知られる。
'''トヨタマヒメ'''('''豊玉姫'''、[[日本書紀]])または'''トヨタマビメ'''('''豊玉毘売'''、[[古事記]])は、[[日本神話]]に登場する[[神 (神道)|神]]。[[神武天皇]](初代[[天皇]])の父方の[[祖父母|祖母]]、母方の[[おば|伯母]]として知られる。

== 概要 ==
『[[古事記]]』では'''豊玉毘売'''・'''豊玉毘売命'''、『[[日本書紀]]』では'''豊玉姫'''と表記される。

海神(わたつみ)の娘で、[[竜宮]]に住むとされる。真の姿は八尋の大[[和邇]](やひろのおおわに)であり、[[異類婚姻譚]]の典型として知られる。[[神武天皇]](初代[[天皇]])の父の[[ウガヤフキアエズ|鸕鶿草葺不合尊]]の母であり、天皇の母の[[タマヨリビメ (日向神話)|玉依姫]]の姉にあたる([[#諸説|後述]])。

豊玉毘売の「豊」は「豊かな」、「玉」を「玉(真珠)」と解し、名義は「豊かな玉に神霊が依り憑く巫女」と考えられる<ref>{{Cite book |和書 |author=西宮一民|authorlink=西宮一民 |title=新潮日本古典集成 第27回 古事記 |date=1979-6-12 |publisher=[[新潮社]] |isbn=4106203278 |pages={{要ページ番号|date=2019年3月}}}}</ref>。


== 系譜 ==
== 系譜 ==
海神[[豊玉彦]]の娘<ref>『[[#keizu|古代豪族系図集覧]]』。</ref>。「豊玉姫」・「豊玉彦」のように、[[ヒメ]]と[[ヒコ]]の二者(この場合は父娘)がペアで統治を行う体制は[[ヒメヒコ制]]と呼ばれる。『[[日本書紀]]』によれば、妹に[[タマヨリビメ (日向神話)|玉依姫]]がいる。また、『[[#keizu|古代豪族系図集覧]]』によれば、弟に[[宇都志日金拆]](穂高見。[[阿曇氏]]の祖。)・[[振魂]]([[尾張氏]]の祖)がいる。
海神[[豊玉彦]](綿津見大神)の娘<ref>『[[#keizu|古代豪族系図集覧]]』。</ref>。「豊玉姫」・「豊玉彦」のように、[[ヒメ]]と[[ヒコ]]の二者(この場合は父娘)がペアで統治を行う体制は[[ヒメヒコ制]]と呼ばれる。『日本書紀』、『古事記』共に、妹に[[タマヨリビメ (日向神話)|玉依姫]]がいる。また、『[[#keizu|古代豪族系図集覧]]』によれば、弟に[[宇都志日金拆]](穂高見。[[阿曇氏]]の祖)がいる。


* 夫:'''[[火折]]'''(ほおり) - 『[[日本書紀]]
* 夫:'''[[火折]]'''(ほおり の みこと) - 『日本書紀』(『古事記』では[[火遠理命]]
*: [[瓊瓊杵]]の子。
*: 天孫[[瓊瓊杵]](邇邇芸命)の子。
** 子:[[彦波瀲武鸕鶿草葺不合]](ひこなぎさたけうがやふきあわせず/-ふきあえず) - 『日本書紀』
* 子:[[彦波瀲武鸕鶿草葺不合]](ひこなぎさたけうがやふきあわせず の みこと/-ふきあえず の みこと) - 『日本書紀』(『古事記』では[[天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命]](あまつひこひこなぎさたけうがやふきあえず の みこと/-ふきあわせず の みこと))


=== 系図 ===
=== 系図 ===
<div style="margin: 0px; padding: 2px; border: 1px solid #a2a9b1; text-align: center; border-collapse: collapse; font-size: 95%; text-align:center">
<div class="NavFrame" style="text-align:center">
;豊玉姫側
{{familytree/start}}
{{familytree/start}}
{{familytree|border=0| 001 | | | | | | | | | 002 | | | |001=[[瓊瓊杵]]|002=[[豊玉彦]]<br />([[海神]]}}
{{familytree|border=0|| | | | | | | | ||v|| |=[[イザナギ]]|=[[イザナミ]]}}
{{familytree|border=0| | | | | | | || |,|-|-|+|-|-|.}}
{{familytree|border=0| 001 | | | | | |004|002|003| | |001=[[瓊瓊杵尊]]|002=[[豊玉彦命]]<br/>([[海神]])|003=[[三貴神]]|004=[[神産み|諸神]]}}
{{familytree|border=0| |!| | | | | |,|-|v|-|-|+|-|-|.| | }}
{{familytree|border=0| |!| | | | | |,|-|v|-|-|+|-|-|.| | }}
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{{familytree|border=0| 001 |~|y|~| 002 |!| | 003 |001='''[[火折]]'''|002='''{{Bgcolor|#F2CEE0|豊玉姫}}'''|003=[[宇都志日金拆]]}}
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{{familytree|border=0| | | | 001 |y|~| 002 | 003 | 004 |001=[[鸕鶿草葺不合]]|002=[[タマヨリビメ (日向神話)|{{Bgcolor|#F2CEE0|玉依姫}}]]|003=(子孫は[[阿曇氏]])|004=(子孫は[[尾張氏]])}}
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{{familytree|border=0| | | | | | |!| | | | | | | | | | | }}
{{familytree|border=0| | | | | | 001 | | | | | | | | | |001=(子孫は[[皇室]])}}
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{{familytree/end}}
{{familytree/end}}
<div class="NavFrame" style="text-align:left">
<div style="text-align:left; margin: 0px; padding: 2px; border: 1px solid #a2a9b1; border-collapse: collapse; font-size: 95%">
* {{Bgcolor|#F2CEE0|赤背景}}は女性。
* {{Bgcolor|#F2CEE0|赤背景}}は女性。
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</div>
</div>
<div style="margin: 0px; padding: 2px; border: 1px solid #a2a9b1; text-align: center; border-collapse: collapse; font-size: 95%; text-align:center">
;火折尊側
{{皇室黎明期 (続柄)}}
</div>
</div>


== 記録 ==
== 記録 ==
[[File:Hoori and Toyotama-hime.jpg|thumb|[[火折尊]]と豊玉姫<br>{{right|{{small|—illustration by [[:en:Evelyn Paul|Evelyn Paul]]}}<ref>Davis, Freerick Hadland (1916), "[https://books.google.com/books?id=Q-ZxAAAAMAAJ The Age of the Gods" in: ''Japan, from the age of the gods to the fall of tsingtau'']. London, England: T.C & E.C Jack, Limited., pp.&nbsp;24–25.</ref>}}]]
以下、特記以外は『[[日本書紀]]』によって記載する。
以下、特記以外は『[[日本書紀]]』によって記載する。


豊玉姫は[[ワタツミ|海神]](豊玉姫の父)の宮にやってきた[[火折]]と結婚し、火折はその宮に3年間住んだが、火折は故郷のことをおもってなげいた。これを聞いた豊玉姫は、自らの父である海神に「天孫悽然として数(しばしば)歎きたまう。蓋し土(くに)を懐(おも)いたまうの憂えありてか」と言った。海神は火折に助言を与え、故郷に帰した。帰ろうとする火折に、豊玉姫は「妾(やっこ)已に娠めり。当に産まんとき久しからじ。妾必ず風濤急峻の日を以て海浜に出で到らん。請う我が為に産室を作りて相い持ちたまえ」と言った。
豊玉姫は[[ワタツミ|海神]](豊玉姫の父)の宮にやってきた[[火折]]と結婚し、火折はその宮に3年間住んだが、火折は故郷のことをおもってなげいた。これを聞いた豊玉姫は、自らの父である海神に「天孫悽然として数(しばしば)歎きたまう。蓋し土(くに)を懐(おも)いたまうの憂えありてか」と言った。海神は火折に助言を与え、故郷に帰した。帰ろうとする火折に、豊玉姫は「妾(やっこ)已に娠めり。当に産まんとき久しからじ。妾必ず風濤急峻の日を以て海浜に出で到らん。請う我が為に産室を作りて相い持ちたまえ」と言った。


のちに豊玉姫は約束の通り、妹の[[タマヨリビメ (日向神話)|玉依姫]]を従えて海辺にいたった。[[出産]]に望んで、豊玉姫は火折に「妾産む時に幸(ねが)わくはな看(み)ましそ」と請うた。しかし火折は我慢できず、ひそかにぬすみみた。豊玉姫は出産の時に[[]](『日本書紀』一書では「八尋大熊[[和邇|鰐]]」、『[[古事記]]では「八尋和邇」となった
のちに豊玉姫は約束の通り、妹の[[タマヨリビメ (日向神話)|玉依姫]]を従えて海辺にいたった。[[出産]]に望んで、豊玉姫は火折に「妾産む時に幸(ねが)わくはな看(み)ましそ」と請うた。しかし火折は我慢できず、ひそかにた。豊玉姫は出産の時に[[和邇|ヤヒロワニ]](『[[古事記]]』では「八尋和邇」、『日本書紀』一書では「八尋大熊[[和邇|鰐]]」)となり腹這い、蛇のようにうねっていた(『古事記』)。


豊玉姫はじて、「如(も)し我を辱しめざるならば、則ち海陸相通わしめて、永く隔て絶つこと無からまじ。今既に辱みつ。将(まさ)に何を以て親昵なる情を結ばんや」と言い、子を草でつつんで海辺にすてて、海途を閉じて去った。これにより、子を[[彦波瀲武鸕鶿草葺不合]]と名付けたという。
豊玉姫はじて、「如(も)し我を辱しめざるならば、則ち海陸相通わしめて、永く隔て絶つこと無からまじ。今既に辱みつ。将(まさ)に何を以て親昵なる情を結ばんや」と言い、子を草でつつんで海辺にすてて、海途を閉じて去った。これにより、子を[[彦波瀲武鸕鶿草葺不合]]と名付けたという。


== 諸説 ==
== 諸説 ==
『日本書紀』の一書によれば、火折は豊玉姫の出産を櫛に火をともしてぬすみみたというが、この「一つ火」を灯す行為もタブーであったと指摘される<ref>{{citation|和書|author=小野寺静子 |title=ひそかに |journal=札幌大学教養部札幌大学女子短期大学部紀要 |volume=18 |year=1981| |url=https://sapporo-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=5052&file_id=18&file_no=1 |page=227}}<!--pp. 230–221--></ref>。
『日本書紀』の一書によれば、火折は豊玉姫の出産を櫛に火をともしてたというが、この「一つ火」を灯す行為もタブーであったと指摘される<ref>{{Cite journal|和書|author=小野寺静子 |title=ひそかに(竹森健夫先生退休記念) |journal=札幌大学教養部札幌大学女子短期大学部紀要. [B] |year=1981 |month=mar |issue=18 |pages=230-221 |naid=120005546950 |url=http://id.nii.ac.jp/1067/00005052/}}</ref>。

「[[妖精]][[メリュジーヌ]]は、下半身が蛇の姿で入浴しているところを夫のレイモンダンに覗き見られて、人間界から離れる」。この話はトヨタマヒメの話によく似ている。「ヨーロッパの神話伝承やフォークロアに詳しい中世フランス文学の専門家」フィリップ・ヴァルテールは、「(両)神話に共通のルーツを、太古のユーラシア神話まで遡る試み」をしている([[渡邉浩司]]・渡邉裕美子)<ref>フィリップ・ヴァルテール『ユーラシアの女性神話-ユーラシア神話試論Ⅱ』([[渡邉浩司]]・渡邉裕美子訳)[[中央大学]]出版部 2021年、ISBN 978-4-8057-5183-1、221-235頁(第12章 メリュジーヌとトヨタマヒメ)、訳者による要約は221頁。</ref>。

== 祀る神社 ==
;
;主な神社
豊玉毘売を祀る神社は無数に存在するため、ここでは主な神社を列挙する。
<!-- ウィキペディアで単独記事のある神社のみ記載する -->
* [[豊玉姫神社 (南九州市)|豊玉姫神社]]([[鹿児島県]][[南九州市]]知覧町郡)
* 龍宮神社(鹿児島県指宿市)
* [[海神神社]]([[長崎県]][[対馬市]]峰町木坂)
* [[和多都美神社]](長崎県対馬市豊玉町仁位)
* [[天手長男神社]](長崎県[[壱岐市]]郷ノ浦町田中触)
* [[鹿児島神宮]]([[鹿児島県]][[霧島市]]隼人町内)
* [[霧島神宮]](鹿児島県霧島市霧島田口)
* [[益救神社]](鹿児島県[[熊毛郡 (鹿児島県)|熊毛郡]][[屋久島町]]宮之浦)
* [[天岩戸神社]] 西本宮([[宮崎県]][[西臼杵郡]][[高千穂町]]大字岩戸)
* [[高千穂神社]](宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井)
* [[青島神社]](宮崎県[[宮崎市]]青島)
* [[霧島岑神社]](宮崎県[[小林市]]細野)
* [[警固神社]]([[福岡市]]中央区)
* 若宮神社(福岡市中央区)
* [[與止日女神社]]([[佐賀県]][[佐賀市]]大和町大字川上)
* [[豊玉姫神社]](佐賀県嬉野市)
* [[健男霜凝日子神社]]([[大分県]][[竹田市]]神原)
* [[和爾賀波神社]]([[香川県]][[木田郡]][[三木町]]大字井戸)
* [[玉井宮東照宮]]([[岡山県]]岡山市中区東山)
* [[鰐河神社]](香川県木田郡三木町大字下高岡)
* [[雨降神社]](徳島県徳島市[[不動西町]])
* [[速雨神社]](徳島県徳島市[[八多町]])
* [[王子和多津美神社]](徳島県徳島市[[国府町和田]])
* [[若狭彦神社|若狭姫神社]]([[福井県]][[小浜市]]遠敷)
* [[多久比禮志神社]]([[富山県]][[富山市]]塩)
* [[鵜坂神社]](富山県富山市婦中町鵜坂)
* [[櫛田神社 (射水市)|櫛田神社]](富山県[[射水市]]串田)
* [[出水神社 (加賀市)|出水神社]]([[石川県]][[加賀市]]橋立町)
* [[南宮御旅神社]]([[岐阜県]][[不破郡]][[垂井町]]府中)
* [[鹽津神社]]([[滋賀県]][[長浜市]]西浅井町塩津浜)
* [[沙田神社]]([[長野県]][[松本市]][[島立 (松本市)|島立]])
* [[木曽三社神社]]([[群馬県]][[渋川市]]北橘町下箱田)
* [[西野神社]]([[北海道]][[札幌市]][[西区 (札幌市)|西区]][[平和 (札幌市)|平和]])


== 脚注 ==
== 脚注 ==
58行目: 124行目:


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author=|editor=[[近藤敏喬]]|title=古代豪族系図集覧|year=1993|publisher=[[東京堂出版]]|isbn=4-490-20225-3|page=7|chapter=|ref=keizu}}
* {{Cite book|和書|author=|editor=近藤敏喬|editor-link=近藤敏喬|title=古代豪族系図集覧|year=1993|publisher=[[東京堂出版]]|isbn=4-490-20225-3|page=7|chapter=|ref=keizu}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[日本の神の一覧]]
* [[日本の神の一覧]]
* [[豊玉姫]]
* [[日本のの家系図]]
* [[海神神社]]
* [[大海神社]]
* [[見るなのタブー]]
* [[見るなのタブー]]
* [[マチカネワニ]] - 学名「トヨタマヒメイア・マチカネンシス(''Toyotamaphimeia machikanensis'')」の由来となった。
* [[マチカネワニ]] 学名「トヨタマヒメイア・マチカネンシス(''Toyotamaphimeia machikanensis'')」の由来となった。
* [[トヨタマミコヨコエビ]]([https://species.wikimedia.org/wiki/Nicippe_recticaudata Wikispecies: ''Nicippe recticaudata''])— 和名の由来となった。
* [[乙姫]]
* [[乙姫]]


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[[Category:国津神]]
[[Category:国津神]]
[[Category:女神]]
[[Category:女神]]
[[Category:筑前国の人物]]
[[Category:対馬国の人物]]
[[Category:福岡県の歴史]]
[[Category:福岡県の歴史]]
[[Category:長崎県の歴史]]
[[Category:長崎県の歴史]]
[[Category:豊国の人物]]
[[Category:日向国の人物]]

2024年11月16日 (土) 07:17時点における最新版

豊玉姫 / 豊玉毘売
豊玉姫と妹(玉依姫

神祇 国津神
全名 豊玉姫 / 豊玉毘売
別名 豊玉毘売命
神格 鰐神龍神真珠巫女
綿津見神(綿津見大神、豊玉彦)
配偶者 火遠理命
鸕鶿草葺不合尊
綿津見神の宮
神社 霧島神宮若狭姫神社
テンプレートを表示

トヨタマヒメ豊玉姫日本書紀)またはトヨタマビメ豊玉毘売古事記)は、日本神話に登場する女神神武天皇(初代天皇)の父方の祖母、母方の伯母として知られる。

概要

[編集]

古事記』では豊玉毘売豊玉毘売命、『日本書紀』では豊玉姫と表記される。

海神(わたつみ)の娘で、竜宮に住むとされる。真の姿は八尋の大和邇(やひろのおおわに)であり、異類婚姻譚の典型として知られる。神武天皇(初代天皇)の父の鸕鶿草葺不合尊の母であり、天皇の母の玉依姫の姉にあたる(後述)。

豊玉毘売の「豊」は「豊かな」、「玉」を「玉(真珠)」と解し、名義は「豊かな玉に神霊が依り憑く巫女」と考えられる[1]

系譜

[編集]

海神豊玉彦命(綿津見大神)の娘[2]。「豊玉姫」・「豊玉彦」のように、ヒメヒコの二者(この場合は父娘)がペアで統治を行う体制はヒメヒコ制と呼ばれる。『日本書紀』、『古事記』共に、妹に玉依姫がいる。また、『古代豪族系図集覧』によれば、弟に宇都志日金拆命(穂高見命。阿曇氏の祖)がいる。

系図

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豊玉姫側
 
 
 
 
 
 
 
 
イザナギ
 
イザナミ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
瓊瓊杵尊
 
 
 
 
 
諸神豊玉彦命
海神
三貴神
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
火折尊
 
 
 
豊玉姫命
 
 
 
宇都志日金拆命
 
 
 
 
 
 
 
鸕鶿草葺不合尊
 
 
玉依姫命(子孫は阿曇氏
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
(子孫は皇室
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  • 赤背景は女性。
火折尊側
                           
 
 
 
天照大神(アマテラスオオミカミ)
 
 
 
 
 
 
須佐之男命(スサノオ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
天忍穂耳命(アメノ オシホ ミミ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
栲幡千千姫(タクハタチヂ ヒメ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
邇邇芸命(ニニギノミコト)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
木花之佐久夜毘売(コノハナノ サクヤ ビメ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
火遠理命(ホオリ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
豊玉姫(トヨタマ ヒメ、アマテラスオオミカミの姪)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
鸕鶿草葺不合命(ウガヤ フキアエズ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
玉依姫(タマヨリ ヒメ、トヨタマヒメの妹)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
若御毛沼命(ワカミケヌ、神武天皇、四男)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
媛蹈鞴五十鈴媛命(ヒメ タタラ イスズ ヒメ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
彦五瀬命(ヒコイツセ、長男)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
稲飯命(イナイ、二男)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三毛入野命(ミケイリノ、三男)
 
 
 
 
 
 
 
火闌降命(ホスソリ)- - - 隼人
 
 
 
 
 
 
 
火明命(ホアカリ) - - - 尾張氏
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
天穂日命(アメノ ホヒ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
天甕津日女神(アメノ ミカツ ヒメ)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
出雲氏
 
 

記録

[編集]
火折尊と豊玉姫
—illustration by Evelyn Paul[3]

以下、特記以外は『日本書紀』によって記載する。

豊玉姫は海神(豊玉姫の父)の宮にやってきた火折尊と結婚し、火折尊はその宮に3年間住んだが、火折尊は故郷のことをおもってなげいた。これを聞いた豊玉姫は、自らの父である海神に「天孫悽然として数(しばしば)歎きたまう。蓋し土(くに)を懐(おも)いたまうの憂えありてか」と言った。海神は火折尊に助言を与え、故郷に帰した。帰ろうとする火折尊に、豊玉姫は「妾(やっこ)已に娠めり。当に産まんとき久しからじ。妾必ず風濤急峻の日を以て海浜に出で到らん。請う我が為に産室を作りて相い持ちたまえ」と言った。

のちに豊玉姫は約束の通り、妹の玉依姫を従えて海辺にいたった。出産に望んで、豊玉姫は火折尊に「妾産む時に幸(ねが)わくはな看(み)ましそ」と請うた。しかし火折尊は我慢できず、ひそかに盗み見た。豊玉姫は出産の時にヤヒロワニ(『古事記』では「八尋和邇」、『日本書紀』一書では「八尋大熊」)となり、腹這い、蛇のようにうねっていた(『古事記』)。

豊玉姫は恥じて、「如(も)し我を辱しめざるならば、則ち海陸相通わしめて、永く隔て絶つこと無からまじ。今既に辱みつ。将(まさ)に何を以て親昵なる情を結ばんや」と言い、子を草でつつんで海辺にすてて、海途を閉じて去った。これにより、子を彦波瀲武鸕鶿草葺不合尊と名付けたという。

諸説

[編集]

『日本書紀』の一書によれば、火折尊は豊玉姫の出産を櫛に火をともして盗み見たというが、この「一つ火」を灯す行為もタブーであったと指摘される[4]

妖精メリュジーヌは、下半身が蛇の姿で入浴しているところを夫のレイモンダンに覗き見られて、人間界から離れる」。この話はトヨタマヒメの話によく似ている。「ヨーロッパの神話伝承やフォークロアに詳しい中世フランス文学の専門家」フィリップ・ヴァルテールは、「(両)神話に共通のルーツを、太古のユーラシア神話まで遡る試み」をしている(渡邉浩司・渡邉裕美子)[5]

祀る神社

[編集]
主な神社

豊玉毘売を祀る神社は無数に存在するため、ここでは主な神社を列挙する。

脚注

[編集]

出典

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  1. ^ 西宮一民『新潮日本古典集成 第27回 古事記』新潮社、1979年6月12日、[要ページ番号]頁。ISBN 4106203278 
  2. ^ 古代豪族系図集覧』。
  3. ^ Davis, Freerick Hadland (1916), "The Age of the Gods" in: Japan, from the age of the gods to the fall of tsingtau. London, England: T.C & E.C Jack, Limited., pp. 24–25.
  4. ^ 小野寺静子「「ひそかに」考(竹森健夫先生退休記念)」『札幌大学教養部札幌大学女子短期大学部紀要. [B]』第18号、1981年3月、230-221頁、NAID 120005546950 
  5. ^ フィリップ・ヴァルテール『ユーラシアの女性神話-ユーラシア神話試論Ⅱ』(渡邉浩司・渡邉裕美子訳)中央大学出版部 2021年、ISBN 978-4-8057-5183-1、221-235頁(第12章 メリュジーヌとトヨタマヒメ)、訳者による要約は221頁。

参考文献

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関連項目

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