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{{ActorActress |
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| 芸名 = Martin McDonagh |
| 芸名 = Martin McDonagh |
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| ふりがな = マーティン・マクドナー |
| ふりがな = マーティン・マクドナー |
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| 画像コメント = 2012年 |
| 画像コメント = 2012年 |
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| 出生地 = {{ENG}}・[[ロンドン]] |
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| 国籍 = {{UK}} |
| 国籍 = {{UK}}{{IRL}} |
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| 生年 = 1970 |
| 生年 = 1970 |
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| 生月 = 3 |
| 生月 = 3 |
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| 生日 = 26 |
| 生日 = 26 |
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| 職業 = [[映画監督]]、[[脚本家]]、[[劇作家]] |
| 職業 = [[映画監督]]、[[脚本家]]、[[劇作家]] |
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| ジャンル = |
| ジャンル = 映画、舞台 |
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| 活動期間 = [[1996年]] - |
| 活動期間 = [[1996年]] - |
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| 主な作品 = 『[[ヒットマンズ・レクイエム]]』<br />『[[セブン・サイコパス]]』<br />『[[スリー・ビルボード]]』 |
| 主な作品 = 『[[ビューティ・クイーン・オブ・リーナン]]』<br />『[[ロンサム・ウェスト]]』<br />『[[ヒットマンズ・レクイエム]]』<br />『[[セブン・サイコパス]]』<br />『[[ハングメン]]』<br />『[[スリー・ビルボード]]』 |
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| アカデミー賞 = '''[[アカデミー短編映画賞|短編映画賞]]'''<br/>[[第78回アカデミー賞|2005年]]『シックス・シューター』 |
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| ヴェネツィア国際映画祭 = '''[[金オゼッラ賞#脚本賞|脚本賞]]'''<br/>[[第74回ヴェネツィア国際映画祭|2017年]]『[[スリー・ビルボード]]』 |
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| 英国アカデミー賞 = '''[[英国アカデミー賞 作品賞|作品賞]]'''<br/>[[第71回英国アカデミー賞|2017年]]『スリー・ビルボード』<br/>'''[[英国アカデミー賞 英国作品賞|英国作品賞]]'''<br/>2017年『スリー・ビルボード』<br/>'''[[英国アカデミー賞 オリジナル脚本賞|オリジナル脚本賞]]'''<br />[[第62回英国アカデミー賞|2008年]]『[[ヒットマンズ・レクイエム]]』<br />[[2017年]]『[[スリー・ビルボード]]』 |
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| ゴールデングローブ賞 = '''[[ゴールデングローブ賞 脚本賞|脚本賞]]'''<br />[[第75回ゴールデングローブ賞|2017年]]『[[スリー・ビルボード]]』 |
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'''マーティン・マクドナー'''({{Lang-en|Martin McDonagh}}、発音{{IPAc-en|m|ə|k|ˈ|d|ɒ|n|ə|}}、[[1970年]][[3月26日]] - )は、[[イギリス]]及び[[アイルランド]]の[[劇作家]]、[[脚本家]]、[[映画監督]]である。1996年に戯曲『[[ビューティ・クイーン・オブ・リーナン]]』でデビューし、2004年に短編映画「シックス・シューター」で映画に進出して、2017年には長編映画『[[スリー・ビルボード]]』を監督した。演劇と映画の両方で成功をおさめたクリエイターであり、劇作家として[[ローレンス・オリヴィエ賞]]を、映画作家としては[[アカデミー賞]]、[[英国アカデミー賞]]、[[ゴールデングローブ賞]]、[[ヴェネツィア国際映画祭]]での受賞経験がある。 |
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'''マーティン・マクドナー'''('''Martin McDonagh'''、[[1970年]][[3月26日]]- )[[イギリス]]の[[ロンドン]]生まれの[[映画監督]]、[[劇作家]]である。 |
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演劇では[[アイルランド]]の西部にある[[コネマラ]]地域を題材にしたリーナン三部作と、[[アラン諸島]]を舞台とするアラン諸島三部作によって劇作家としての地位を確立した。ブラックユーモアを特徴とする作風が特徴であり、現代[[アイルランド文学]]において、存命の劇作家の中では最も重要なひとりと見なされている<ref>{{cite news|title=Is He Mellower? Ask the Guy Missing a Hand|date=7 March 2010|url=https://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?res=9B0CE2DB133AF934A35750C0A9669D8B63&ref=martinmcdonagh&pagewanted=2|accessdate=25 April 2011|publisher=[[New York Times]]|first=Jason|last=Zinoman}}</ref>。映画作家としても脚本が高い評価を受けている。 |
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== 来歴 == |
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劇作家としてのデビュー作は1996年上演の『[[ビューティ・クイーン・オブ・リナーン]]』(''The Beauty Queen of Leenane'')で英国最高峰の演劇賞ローレンス・オリヴィエ賞最優秀作品賞にノミネートされた。その後も『[[コネマラの骸骨]]』(''A Skull in Connemara'', 1997)、『[[ロンサム・ウェスト]]』(''The Lonesome West'', 1997) |
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、『[[イニシュマン島のビリー]]』(''The Cripple of Inishmaan'', 1996)、『[[ウィー・トーマス]]』(''The Lieutenant of Inishmore'', 2001)数々の作品を手掛け、2005年には念願の映画界に進出。デビュー作になった短編フィルム「シックス・シューター」で、同年のアカデミー賞短編実写映画賞を受賞。2008年には初の長編映画「イン・ブルージュ(日本公開タイトル:[[ヒットマンズ・レクイエム]])」の脚本・監督を担当。[[第81回アカデミー賞]]オリジナル脚本賞にノミネートされた<ref>[http://www.siscompany.com/west/profile/martin.html マーティン・マクドナーの来歴]</ref>。 |
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== 生い立ち == |
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[[アイルランド人]]の両親のもと、[[ロンドン]]の[[キャンバーウェル]]で生まれた<ref name="Mcd">McDonald, Henry. [https://www.theguardian.com/film/2008/apr/25/theatre.northernireland "Profile"] ''The Guardian'', 25 April 2008</ref>。[[イギリス]]と[[アイルランド]][[多重国籍|両方の国籍を保有]]している<ref>{{cite web|url=http://www.irishtimes.com/culture/stage/seven-steps-to-martin-mcdonagh-1.548074|title=Seven steps to Martin McDonagh|accessdate=3 May 2013|date=6 November 2012|publisher=Irish Times}}</ref><ref>{{Cite web|url=http://www.theguardian.com/culture/2015/sep/11/martin-mcdonagh-theatre-never-going-to-be-edgy-hangmen-interview|title=Martin McDonagh interview: ‘Theatre is never going to be edgy in the way I want it to be’|accessdate=2018-04-16|last=O'Hagan|first=Sean|date=2015-09-13|website=the Guardian|language=en}}</ref>。母は[[スライゴー州]]イースキーのキリーンダフ出身、父は[[ゴールウェイ州]][[コネマラ山地|コネマラ]]のレターマラン出身で、1992年に家族で[[ゴールウェイ]]に戻り、マクドナーと兄でのちに映画監督になる[[ジョン・マイケル・マクドナー]]はロンドンに残ることになった<ref>O'Hagan, Sean. [https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2001/mar/24/weekend.seanohagan "Interview. The wild west"] ''The Guardian'', 23 March 2001</ref><ref name="interview">O'Hagan, Sean. [https://www.theguardian.com/culture/2015/sep/11/martin-mcdonagh-theatre-never-going-to-be-edgy-hangmen-interview "Martin McDonagh interview: ‘Theatre is never going to be edgy in the way I want it to be’"] ''The Guardian'', 13 September 2015</ref>。高等教育は受けておらず、劇作家として成功するまでは非正規雇用で働いたり、[[失業手当]]を受けたりして暮らしていた<ref>Werner Huber, 'The Early Plays: Shooting Star and Hard Man from South London', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 13 - 26, p. 14.</ref>。1995年にドルイド・シアターの演出家ギャリー・ハインズが『コネマラの骸骨』の草稿を読んだことをきっかけとして、演劇のキャリアを始めることとなった<ref>Patrick Lonergan, ''The Theatre and Films of Martin McDonagh'' (Methuen, 2012), p. 159.</ref>。 |
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[[北野武]]監督の大ファンであり監督を担当した「[[セブン・サイコパス]]」では主人公が劇中で観ている映画は北野監督「[[その男、凶暴につき]]」のワンシーンである。 |
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北野作品はすべて好きというマクドナー監督は、同作を使用した理由を「このシーンも、映画自体も、そして北野武も大好きだから」と語っている。<ref>映画.com より http://eiga.com/news/20131023/3/ </ref> |
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== キャリア == |
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* 『[[ビューティ・クイーン・オブ・リナーン]]』(''The Beauty Queen of Leenane'', 1996) |
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* 『[[コネマラの骸骨]]』(''A Skull in Connemara'', 1997) |
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* 『[[ロンサム・ウェスト]]』(''The Lonesome West'', 1997) |
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* 『[[イニシュマン島のビリー]]』(''The Cripple of Inishmaan'', 1996) |
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* 『[[ウィー・トーマス]]』(''The Lieutenant of Inishmore'', 2001) |
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* 『[[ピローマン]]』(''The Pillowman'', 2003) |
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* 『[[スポケーンの左手]]』(''A'' ''Behanding in Spokane'', 2010) |
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* 『[[ハングメン]]』(''Hangmen,'' 2015) |
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=== 演劇 === |
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* 『[[ヒットマンズ・レクイエム]]』 2008年 - 監督 |
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==== リーナン三部作(コネマラ三部作) ==== |
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* 『[[ザ・ガード〜西部の相棒〜]]』 2011年 - 製作(兄のジョン・マイケル・マクドナーが監督・脚本) |
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マクドナーの最初の六作の戯曲は二つの[[三部作]]になっており、マクドナーが子ども時代に休暇を過ごした[[ゴールウェイ州]]周辺を舞台としている。最初の三部作はアイルランド西岸地域にある小さな村[[リーナン]]を舞台にしており、『[[ビューティ・クイーン・オブ・リーナン]]』(1996年)、『[[コネマラの骸骨]]』(1997年)、『[[ロンサム・ウェスト]]』(1997年)からなる<ref name="hick">Hicklinh, Alfred. [https://www.theguardian.com/stage/2015/may/28/a-skull-in-connemara-review-a-sprited-revival-that-redefines-the-concept-of-graveyard-humour "'A Skull in Connemara' review – a sprited revival that redefines the concept of graveyard humour] ''The Guardian'', 28 May 2015</ref><ref name="chrono">Russell, Richard Rankin.[https://books.google.com/books?id=H4CQAgAAQBAJ&pg=PA179&lpg=PA179&dq=%22National+Theatre%22+Skull+%22Martin+Mcdonagh%22&source=bl&ots=iiQlFHRnbl&sig=E7NPhMV3wiRKswEeiPBg9XzzDN8&hl=en&sa=X&ved=0ahUKEwienMXvr_fLAhWIQyYKHXCHCE84ChDoAQgbMAA "Appendix: Chronology of Martin McDonagh's Life and Works"] ''Martin McDonagh: A Casebook'', Routledge, 2007, {{ISBN|1135868093}}, pp.178-180</ref>。 |
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* 『[[セブン・サイコパス]]』 2012年 - 監督・脚本・製作 |
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* 『[[スリー・ビルボード]]』 2017年 - 監督・脚本・製作 |
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『ビューティ・クイーン・オブ・リーナン』(1996年)は、独身の中年女性と威圧的な母親の機能不全な関係を描いた作品である。娘は生涯最後の恋愛のチャンスを得るが、残念な結果に終わる。この作品は1996年にゴールウェイで初演された時から評価が高く、アトランティック・シアター・カンパニーにより1998年に[[オフ・ブロードウェイ]]でも上演された<ref>[http://www.lortel.org/Archives/Production/295 "'The Beauty Queen of Leenane' Off-Broadway"] lortel.org, accessed 4 April 2016</ref>。1998年に[[ブロードウェイ (ニューヨーク)|ブロードウェイ]]に引っ越し、[[トニー賞 演劇作品賞|トニー賞演劇作品賞]]候補となった<ref>[http://www.playbill.com/production/the-beauty-queen-of-leenane-walter-kerr-theatre-vault-0000010045 "'The Beauty Queen of Leenane' Broadway"] Playbill (vault), accessed 4 April 2016</ref>。 |
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『[[コネマラの骸骨]]』(1997年)では、コネマラの男がいっぱいになった墓地から遺骨を掘り出す仕事に雇われ、かつて自分が殺したと告発された妻に出くわす。本作はゴールウェイのタウンホール劇場で1997年に初演された<ref name="hick" /><ref name="chrono" />。[[ロンドン]]のロイヤル・コート劇場でも上演された後、2000年の7月から8月にかけて[[ワシントン州]][[シアトル]]のア・コンテンポラリー・シアター (ACT) でアメリカ初演が行われた。[[オフ・ブロードウェイ]]では2001年1月から5月にかけて、ラウンドアバウト・シアターのプロデュースでグラマシー劇場で上演された<ref>Ehren, Christine. [http://www.playbill.com/article/mcdonaghs-skull-rises-out-of-seattles-act-july-27-aug-20-com-90842# "McDonagh's Skull Rises Out of Seattle's ACT July 27-Aug. 20"] Playbill, 27 July 2000</ref>。1998年度の[[ローレンス・オリヴィエ賞]]最優秀コメディ賞にノミネートされている<ref>{{Cite news|title=Olivier Winners 1998|url=https://officiallondontheatre.com/olivier-awards/winners/olivier-winners-1998/|accessdate=2018-04-15|language=en-GB|work=Olivier Awards}}</ref>。 |
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『[[ロンサム・ウェスト]]』(1997年)では、一応は事故ということになっている父親の射殺後、2人の兄弟がいがみあう様子が描かれている。1999年にブロードウェイで上演された際に[[トニー賞 演劇作品賞|トニー賞演劇作品賞]]候補となった<ref>[http://www.playbill.com/production/the-lonesome-west-lyceum-theatre-vault-0000007096 "'The Lonesome West' Broadway"] Playbill (vault), accessed 4 April 2016</ref>。 |
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==== アラン諸島三部作 ==== |
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二つめの三部作はゴールウェイ州沿岸の[[アラン諸島]]を舞台にしており、『[[イニシュマン島のビリー]]』(1996年)、『[[ウィー・トーマス]]』(2001年)、『イニシィアのバンシー』(未上演)からなる<ref name="Mcd" />。 |
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『[[イニシュマン島のビリー]]』は、足の不自由な10代の青年が、[[ロバート・フラハティ]]監督の映画『[[アラン (1934年の映画)|アラン]]』で役を得ようと企む様子を描く[[ブラックコメディ]]である。1997年にロンドンの[[ロイヤル・ナショナル・シアター]](コッテスロー)で初演の後、1998年4月に[[オフ・ブロードウェイ]]のジョゼフ・パップ・パブリック・シアターでも上演され、どちらもタイトルロールはローリー・コンロイが務めた<ref>[http://www.lortel.org/Archives/Production/292 "'The Cripple of Inishmaan' Off-Broadway"] lortel.org, accessed 4 April 2016</ref>。1998年には、フレデリック・ケーラーがタイトルロールを演じ、[[カリフォルニア州]][[ロサンゼルス]]のゲッフェン劇場でも上演された<ref>Hoffler, Robert. [https://variety.com/1998/legit/reviews/the-cripple-of-inishmaan-3-1200455341/ "Review: ‘The Cripple of Inishmaan’"] ''Variety'', 29 October 1998</ref>。2008年にはアトランティック・シアター・カンパニーとアイルランド、ゴールウェイの[[ドルイド・シアター・カンパニー]]の協働により、オフ・ブロードウェイで再演された<ref>{{cite news|title=Daniel Radcliffe Returning to Broadway in 'Cripple of Inishmaan'|newspaper=The New York Times|date=16 January 2014|url=http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2014/01/16/daniel-radcliffe-returning-to-broadway-in-cripple-of-inishmaan/?_php=true&_type=blogs&partner=rss&emc=rss&_r=0|accessdate=17 January 2014|last=Healy|first=Patrick}}</ref>。 |
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『[[ウィー・トーマス]]』は[[アイルランド国民解放軍]] (INLA) 分派の正気とは言えないリーダーが、自分の愛猫が殺されたと知って故郷の[[イニシュモア島]]で犯人を捜して暴れる様子を描いたブラックコメディである。本作は2000年に[[ロイヤル・コート劇場]]に提出されたが、そこでは上演を断られ、2001年5月に[[ストラトフォード=アポン=エイヴォン]]にて[[ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー]]が初演を行った<ref>{{Cite web|url=https://www.nytimes.com/2015/09/16/theater/martin-mcdonaghs-hangmen-a-mordant-stage-homecoming-in-london.html|title=Martin McDonagh’s ‘Hangmen,’ a Mordant Stage Homecoming in London|accessdate=2018-01-05|author=Christopher D. Shea|date=2015-09-15|publisher=New York Times}}</ref><ref>{{Cite web|url=https://cdn2.rsc.org.uk/sitefinity/press-resources/performance-history--july-2016.pdf?sfvrsn=0|title=RSC Performance History|accessdate=2018-01-05|publisher=Royal Shakespeare Company}}</ref>。その後、ロンドンに引っ越し、2003年度[[ローレンス・オリヴィエ賞]]で最優秀コメディ賞を受賞した<ref>{{Cite web|url=http://www.olivierawards.com/about/previous-winners/view/item98541/olivier-winners-2003/|title=Olivier Winners 2003|accessdate=2018-01-05|publisher=Oliver Awards|archiveurl=https://web.archive.org/web/20130601104445/http://www.olivierawards.com/about/previous-winners/view/item98541/olivier-winners-2003/|archivedate=2011-03-12}}</ref>。2006年2月にオフ・ブロードウェイでアトランティック・シアター・カンパニーにより上演され、5月には[[ブロードウェイ (ニューヨーク)|ブロードウェイ]]に移って、2006年の[[トニー賞 演劇作品賞|トニー賞演劇作品賞]]候補となった<ref>[http://lortel.org/Archives/Production/4206 "'The Lieutenant of Inishmore' Off-Broadway"] lortel.org, accessed 4 April 2016</ref><ref>[http://www.playbill.com/production/the-lieutenant-of-inishmore-lyceum-theatre-vault-0000007085# "'The Lieutenant of Inishmore' Broadway"] Playbill (vault), accessed 4 April 2016</ref>。 |
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『イニシィア島のバンシー』はアラン諸島三部作の第3作であるが、マクドナー本人が「全然うまくいかなかった」と述べており、刊行も上演もされていない<ref>[http://www.berkeleyrep.org/season/0607/pi_program.asp ''The Pillowman'' (2006–2007)] at Berkeley Repertory Theatre. Accessed 5 March 2009. {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20070126103827/http://www.berkeleyrep.org/season/0607/pi_program.asp|date=26 January 2007}}</ref>。 |
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==== アイルランド以外を舞台とする作品 ==== |
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アイルランド以外を舞台に芝居としては初めて上演された『[[ピローマン]]』(2003年)は架空の[[全体主義]]国家を舞台にするもので、作家が[[グリム兄弟]]ふうの自作の短編の内容について尋問を受けるという内容である。1997年にゴールウェイでリーディング公演を実施した後、2003年に[[ロイヤル・ナショナル・シアター]]で初演された<ref>Wolf, Matt. [https://variety.com/2003/legit/reviews/the-pillowman-3-1200537728/ "Review: ''The Pillowman'' "] ''Variety'', 26 November 2003, accessed 7 May 2016</ref>。2004年に[[ローレンス・オリヴィエ賞]]の新作演劇作品賞を受賞し、2005年のトニー賞でも[[トニー賞 演劇作品賞|演劇作品賞]]候補になった<ref>[http://www.olivierawards.com/winners/view/item98547/olivier-winners-2004/ "Olivier Awards, 2004"] olivierawards.com, accessed 4 April 2016</ref><ref>[https://www.ibdb.com/Production/View/392093#tabs-Awards " ''The Pillowman'' Awards"] ibdb.com, accessed 7 May 2016</ref>。 |
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『[[スポケーンの左手]]』(2010年)はマクドナーがはじめて[[アメリカ合衆国]]を舞台に書いた芝居で、2010年3月に[[ブロードウェイ (ニューヨーク)|ブロードウェイ]]で初演された<ref name="vault">[http://www.playbill.com/production/a-behanding-in-spokane-gerald-schoenfeld-theatre-vault-0000009536# " ''A Behanding in Spokane'' Broadway"] Playbill (vault), accessed 7 May 2016.</ref>。主演の[[クリストファー・ウォーケン]]は、若い頃になくした手を25年にわたって探している男、カーマイケル演じて[[トニー賞 演劇主演男優賞|トニー賞演劇主演男優賞]]候補となった<ref name="vault" />。2010年のドラマ・リーグ賞で優秀上演賞候補となった<ref>{{cite journal|last=Brantley|first=Ben|date=5 March 2010|title=Packing Heat, and a Grudge|url=http://theater.nytimes.com/2010/03/05/theater/reviews/05behanding.html|journal=The New York Times|accessdate=19 October 2011}}</ref><ref>[http://www.playbill.com/production/a-behanding-in-spokane-gerald-schoenfeld-theatre-vault-0000009536 "'A Behanding in Spokane' Broadway"] Playbill (vault), accessed 4 April 2016</ref>。 |
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『[[ハングメン]]』(2015年)は、イングランドで2番目に腕利きの[[死刑執行人]]ハリー・ウェイドと1965年の[[イギリスにおける死刑]]廃止をめぐる物語である。2015年9月にロイヤル・コート劇場で初演された<ref name="interview" /><ref>Clapp, Susannah. [https://www.theguardian.com/culture/2015/sep/27/hangmen-martin-mcdonagh-royal-court-review-david-morrissey-reece-shearsmith-tremendous-terrifying "'Hangmen' review – a tremendous, terrifying return by Martin McDonagh"] ''The Guardian'', 27 September 2015</ref>。2016年の[[ローレンス・オリヴィエ賞]]では最優秀戯曲賞を受賞している<ref>{{Cite web|url=http://www.olivierawards.com/winners/view/item387772/olivier-winners-2016/|title=Olivier Winners 2016|accessdate=2018-01-06|publisher=Olivier Award}}</ref>。2016年に[[ナショナル・シアター・ライヴ]]により中継され、2017年には日本語字幕つきで日本でも上映されている<ref>{{cite web|url=http://ntlive.nationaltheatre.org.uk/productions/ntlout15-hangmen|title=Hangmen NT Live|accessdate=4 March 2016|date=3 March 2016|work=ntlive.nationaltheatre.org.uk|publisher=National Theatre Live}}</ref><ref>{{Cite web|url=http://www.ntlive.jp/hangmen.html|title=ハングメン|accessdate=2018-01-06|publisher=ナショナル・シアター・ライヴ}}</ref>。 |
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2018年10月より、ロンドンのブリッジ・シアターで新作''A Very Very Very Dark Matter''が上演される予定である<ref name=":3">{{Cite news|title=Martin McDonagh to Premiere New Play About Hans Christian Andersen|url=https://www.hollywoodreporter.com/news/martin-mcdonagh-premiere-new-play-hans-christian-andersen-1056400|accessdate=2018-04-15|language=en|work=The Hollywood Reporter}}</ref>。[[ハンス・クリスチャン・アンデルセン]]がテーマの芝居で、[[ジム・ブロードベント]]が主演する<ref name=":3" />。 |
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==== ラジオ劇 ==== |
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マクドナーはラジオ戯曲も書いており、1995年のロンドン・ラジオ劇作家フェスティヴァルおよび1998年のニューヨーク国際ラジオ・フェスティヴァルで『オオカミと木こり』(''The Tale of the Wolf and the Woodcutter'')が賞を授与されている<ref>[http://www.irdp.co.uk/wolf.htm The Tale of the Wolf and the Woodcutter<!-- Bot generated title -->] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20070321085650/http://www.irdp.co.uk/wolf.htm|date=21 March 2007}}</ref>。 |
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=== 映画 === |
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マクドナーは戯曲より映画を書くほうが好きだと述べている。1998年にアイルランドの劇評家[[フィンタン・オトゥール]]と『BOMB』誌のために行った対談で、マクドナーは「演劇を尊敬してないわけじゃないんです。戯曲が映画と同じように、完全に人の心を動かせるっていうことがわかるくらいの頭はありますよ。(中略)演劇は私にうまく接続しないっていうか、個人的には、自分がやってることをあまりいいと思えないんです<ref>{{cite web|url=http://bombsite.com/issues/63/articles/2146|title=Martin McDonagh|accessdate=14 April 2013|author=Fintan O'Toole|year=Spring 1998|work=BOMB Magazine|publisher=New Art Publications}}</ref>」と述べている。2005年のインタビューでは、『[[ニューヨーク・タイムズ]]』のライターが「芝居に固有のエリート主義にはまだ冷淡だが、今では演劇のストーリーテリングの力にもっと気持ちよく屈しているようだ<ref name=":0">McKinley, Jesse. [http://politics.nytimes.com/2005/04/03/theater/newsandfeatures/03mcki.html? "Suffer the Little Children"] ''The New York Times'', 3 April 2005</ref>」と述べている。マクドナーによると、芝居は「参加するのに100ドルかかる芸術で働くのはおかしな感じがする<ref name=":0" />」ということである。『[[ガーディアン]]』のショーン・オヘイガンとのインタビューでは、ロンドンの劇場にしばらく作品をかけなかったことと、新作『[[ハングメン]]』のプロモーションについて話す中で、マクドナーは演劇が「わたしが望むくらい痛烈になることは全然ないだろうと思うんです<ref>O'Hagan, Sean. [https://www.theguardian.com/culture/2015/sep/11/martin-mcdonagh-theatre-never-going-to-be-edgy-hangmen-interview? "Martin McDonagh interview: ‘Theatre is never going to be edgy in the way I want it to be’"]</ref>」と述べている。 |
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2005年にマクドナーは始めての映画監督品となる[[短編映画|短編]]「シックス・シューター」(2004年)で[[アカデミー短編映画賞]]を受賞した<ref>{{cite web|url=http://www.oscars.org/oscars/ceremonies/2006|title=2006 Oscars|accessdate=6 April 2016}}</ref>。「シックス・シューター」は[[ブレンダン・グリーソン]]、ローリー・コンロイ、デイヴィッド・ウィルモット、アシュリン・オサリヴァンが出演する[[ブラックコメディ]]で、[[ウィックロー]]、[[ウォーターフォード]]、ロスレアで撮影された。この映画では、グリーソン演じるキャラクターが、妻の死の後に列車で帰宅する間、奇妙でおそらくは[[精神病|精神を病んだ]]若者に出会う<ref>James, Caryn. [https://www.nytimes.com/2006/04/04/movies/04jame.html?pagewanted= "Martin McDonagh Finds His Inner Thug as Film Director"] ''The New York Times'', 4 April 2006</ref>。 |
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マクドナーはその後、フォーカス・フィーチャー社と契約して『[[ヒットマンズ・レクイエム]]』を監督した。2人のアイルランド人の[[殺し屋]]が仕事で問題を起こした後、[[ベルギー]]の[[フラマン人|フラマン]]都市[[ブルッヘ]]に潜伏する様子を描いており、自身の脚本にもとづく長編映画である。[[アメリカ合衆国]]では2008年に公開された。本作には[[コリン・ファレル]]、[[ブレンダン・グリーソン]]、[[レイフ・ファインズ]]が出演した。『ヒットマンズ・レクイエム』は2008年に[[サンダンス映画祭]]のオープニングナイトとジェムソンダブリン国際映画祭で上演され、[[第81回アカデミー賞]]で[[アカデミー脚本賞|脚本賞]]にノミネートされた<ref>{{cite news|title=Film reviews: In Bruges, Fool's Gold, Street Kings and more|newspaper=The Telegraph|date=18 April 2008|author=Tim Robey|url=http://www.telegraph.co.uk/culture/film/filmreviews/3672694/Film-reviews-In-Bruges-Fools-Gold-Street-Kings-and-more.html|accessdate=14 April 2013}}</ref><ref>{{cite web|url=http://www.timeout.com/film/reviews/85135/in-bruges.html|title=In Bruges (18)|accessdate=14 April 2013|author=Wally Hammond|date=15 April 2008|work=Time Out London|publisher=Time Out}}</ref><ref>{{cite web|url=http://www.rottentomatoes.com/m/in_bruges/|title=In Bruges (2008)|accessdate=14 April 2013|year=2008|work=Rotten Tomatoes|publisher=Flixster, Inc}}</ref>。 |
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2008年の『ストップ・スマイリング』誌のインタビューで、マクドナーは「もう準備できてる映画の台本が何本かあるんです。その前に旅をして楽しむつもりなんで、あと数年はどうするつもりもないんですが。でも、『[[セブン・サイコパス]]』っていうのがあって、もう1本作るならそれですね。気に入ってもらえるといいんですが<ref>{{cite web|url=http://stopsmilingonline.com/story_detail.php?id=977|title=Q&A: Martin McDonagh, director of in Bruges|accessdate=14 April 2013|date=15 February 2008|work=Stop Smiling|publisher=Stop Smiling Media, LLC}}</ref>」と述べていた。2011年5月に制作が決まり、最終的には2012年10月12日に北アメリカで公開された。コリン・ファレル、[[サム・ロックウェル]]、[[ウディ・ハレルソン]]、[[クリストファー・ウォーケン]]、[[トム・ウェイツ]]が出演している<ref>[http://www.tcm.com/tcmdb/title/872562/Seven-Psychopaths/ "'Seven Psychopaths' Listing"] tcm.com, accessed 4 April 2016</ref>。 |
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2011年には、兄の[[ジョン・マイケル・マクドナー]]が監督・脚本し、[[ブレンダン・グリーソン]]が主演した映画『[[ザ・ガード〜西部の相棒〜]]』でエグゼクティヴ・プロデューサーを務めている<ref>{{Cite web|url=https://www.independent.ie/entertainment/movies/mcdonagh-makes-a-scene-about-irish-films-30602909.html|title=McDonagh makes a scene about Irish films|accessdate=2018-01-09|author=Emer O'Kelly|date=2014-09-21|publisher=Irish Independent}}</ref>。 |
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2017年にはマクドナーが監督・脚本・製作をつとめたドラマ映画『[[スリー・ビルボード]]』に[[フランシス・マクドーマンド]]、サム・ロックウェル、ウディ・ハレルソンが出演し、同年9月4日に[[ヴェネツィア国際映画祭]]で初上映されて高い評価を得、脚本賞を受賞した<ref>{{Cite news|title=Frances McDormand On ‘Three Billboards’ Role: She’s ‘Fargo’s Marge, “Grown Up” – Venice|date=September 4, 2017|url=http://deadline.com/2017/09/frances-mcdormand-three-billboards-fargo-marge-john-wayne-sam-rockwell-martin-mcdonagh-reactions-venice-1202160647/|language=|last=Tartaglione|first=Nancy|work=Deadline|access-date=September 4, 2017|archive-url=|archive-date=|dead-url=}}</ref><ref>{{Cite news|title=是枝監督作品は受賞逃す ベネチア国際映画祭|url=https://www.nikkei.com/article/DGXLAS0040014_Z00C17A9000000/|accessdate=2018-04-15|language=ja-JP|work=日本経済新聞 電子版}}</ref>。2017年9月17日に[[トロント国際映画祭]]でピープルズ・チョイス賞も受賞している<ref>{{Cite web|url=http://www.bbc.com/news/entertainment-arts-41299937|title=Toronto Film Festival: Three Billboards wins top prize|accessdate=2018-01-09|date=2017-09-17|publisher=BBC}}</ref>。2018年1月7日の[[ゴールデングローブ賞]]では[[ゴールデングローブ賞 映画部門 作品賞 (ドラマ部門)|作品賞]]と脚本賞を、2月19日の[[英国アカデミー賞]]でも[[英国アカデミー賞 作品賞|作品賞]]と[[英国アカデミー賞 オリジナル脚本賞|脚本賞]]を受賞している<ref>{{Cite news|title=英国アカデミー賞も「黒ドレス」 セクハラ抗議で|url=http://www.afpbb.com/articles/-/3163030?cx_position=4|accessdate=2018-04-15|language=ja}}</ref><ref>{{Cite news|title=ゴールデン・グローブ賞、『スリー・ビルボード』が作品賞含む4部門受賞|url=http://www.afpbb.com/articles/-/3157706|accessdate=2018-04-15|language=ja}}</ref>。[[第90回アカデミー賞]]でも[[アカデミー作品賞|作品賞]]や[[アカデミー脚本賞|脚本賞]]にノミネートされたが、受賞は演技賞のみであった<ref>{{Cite web|url=http://oscar.go.com/nominees/best-picture|title=Oscar Nominees|accessdate=2018-04-15|website=oscar.go.com|publisher=}}</ref>。 |
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==作風== |
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[[ブラックコメディ]]の名手と考えられており、「諷刺、ブラックユーモア、漫画のような矮小化、グロテスクで「ゴシック的」な歪曲<ref>Werner Huber, 'The Early Plays: Shooting Star and Hard Man from South London', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 13 - 26, p.15.</ref>」に満ちた作風であると評される。緩慢なやりとりから脅威をにじみ出させるような会話の描写をしばしば行い、このような点が[[クエンティン・タランティーノ]]に似ていると言われている<ref>Lisa Fitzpatrick, 'Language Games: The Pillowman, A Skull in Connemara, and Martin McDonagh's Hiberno-English', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 141 - 54, p. 151.</ref><ref>Shaun Richards, '"The Outpouring of a Morbid, Unhealthy Mind": The Critical Condition of Synge and McDonagh', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 246 - 63, p. 259.</ref>。「人間的な情動、感情的な優しさ、家族や性にかかわる愛が割り込んでくることを断固拒否する<ref>Patrick Burke, '"Like the Cat-astraphe of the Old Comedy'": The Animal in ''The Lieutenant of Inishmore'', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 155 - 61, p. 160.</ref>」展開を特徴とする。暴力的であるが、「観客の間に恐怖よりは笑いを呼び起こす」ことが多い<ref>Lisa Fitzpatrick, 'Language Games: The Pillowman, A Skull in Connemara, and Martin McDonagh's Hiberno-English', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 141 - 54, p. 151.</ref>。 |
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1990年代にイギリスの演劇界を牽引した、[[マーク・レイヴンヒル]]や[[サラ・ケイン]]などセックスや暴力を率直に描く[[ブルータリズム]]的な{{仮リンク|面当て演劇|en|In-yer-face theatre}}の潮流に位置付けられる<ref>Paul Murphy, 'The Stage Irish Are Dead, Long Live the Stage Irish: ''The Lonesome West'' and ''A Skull in Connemara''<nowiki/>', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 60 - 78, p. 62.</ref>。マクドナー作品においては暴力描写が露骨である一方、セックスや恋愛は不毛であり、主要人物のほとんどは有意義な性生活や幸せな恋愛を経験できない<ref>Joan FitzPatrickDean, 'McDonagh's Gender Troubles', in Patrick Lonergan, ''The Theatre and Films of Martin McDonagh'' (Methuen, 2012), 209 - 222, p. 216. </ref>。幸福な異性愛関係を築けない「男の閉じた世界」がしばしば題材となる<ref>Joan FitzPatrickDean, 'McDonagh's Gender Troubles', in Patrick Lonergan, ''The Theatre and Films of Martin McDonagh'' (Methuen, 2012), 209 - 222, p. 222. </ref>。 |
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先祖の故郷であるアイルランドに対しても極めて辛辣であり、とくに初期作品においてはしばしばアイルランドに関するネガティヴなステレオタイプを広めていると批判された<ref>Catherine Rees, 'The Politics of Morality: The Lieutenant of Inishmore', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 130 - 40, p. 130.</ref><ref>Mary Luckhurst, '''Lieutenant of Inishmore'': Selling (-Out) to the English', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 116 - 29, p. 117.</ref>。2000年代に入ってからは、より斬新な設定を求めてアイルランド以外の地域を舞台にするようになった<ref>Mary Luckhurst, '''Lieutenant of Inishmore'': Selling (-Out) to the English', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 116 - 29, p. 116.</ref>。しかしながら、[[クリシェ]]的なプロットや[[ストックキャラクター]]の巧妙な使用、観客の神経を逆撫でするような挑戦的な物語への取り組みという点に関しては一貫している<ref>Lisa Fitzpatrick, 'Language Games: The Pillowman, A Skull in Connemara, and Martin McDonagh's Hiberno-English', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 141 - 54, p. 141 - 43.</ref><ref>Patrick Lonergan, ''The Theatre and Films of Martin McDonagh'' (Methuen, 2012), p. 131.</ref>。 |
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パブや家屋など、作り込んだセットを必要とする作品が多い<ref>Lisa Fitzpatrick, 'Language Games: The Pillowman, A Skull in Connemara, and Martin McDonagh's Hiberno-English', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 141 - 54, p. 147.</ref>。作品の内容に比べると、要求される美術は[[自然主義文学|ナチュラリスティック]]である<ref>Shaun Richards, '"The Outpouring of a Morbid, Unhealthy Mind": The Critical Condition of Synge and McDonagh', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 246 - 63, p. 250.</ref>。 |
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== 影響 == |
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劇作家としては[[ジョン・ミリントン・シング]]や[[ハロルド・ピンター]]、[[サミュエル・ベケット]]、[[デヴィッド・マメット]]、[[ジョー・オートン]]、小説家としては[[フランツ・カフカ]]、映画監督としては[[クエンティン・タランティーノ]]との類似が指摘されている<ref name=":1">Lisa Fitzpatrick, 'Language Games: The Pillowman, A Skull in Connemara, and Martin McDonagh's Hiberno-English', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 141 - 54, p. 141.</ref><ref name=":2">Patrick Lonergan, ''The Theatre and Films of Martin McDonagh'' (Methuen, 2012), p. 135.</ref>。暴力的でブラックユーモア溢れる作風や、商品名などを大量に作中に織り込む[[ポストモダン]]的な手法はとくにタランティーノからの影響が濃厚で、「エメラルドの島[アイルランド]のクエンティン・タランティーノ<ref>Werner Huber, 'The Early Plays: Shooting Star and Hard Man from South London', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 13 - 26, p. 20.</ref>」などと呼ばれる<ref>Patrick Lonergan, ''The Theatre and Films of Martin McDonagh'' (Methuen, 2012), p. xiv.</ref>。しかしながら本人は他の劇作家からの影響に対してしばしば否定的で、あまりにも先輩の役者や劇作家に敬意を払わないため、やはり他のミュージシャンをけなすことで有名な[[リアム・ギャラガー|リアム]]と[[ノエル・ギャラガー|ノエル]]の[[オアシス (バンド)|ギャラガー兄弟]]に比されている<ref>Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006), Introduction: 1-12, p. 4.</ref>。 |
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演劇に対して一歩引いた態度をとっている一方、映画に関しては影響元を率直に認めることが多い<ref name=":2" />。タランティーノの他、[[マーティン・スコセッシ]]、[[テレンス・マリック]]、[[サム・ペキンパー]]などの影響を本人も認めている<ref name=":2" />。[[北野武]]監督の大ファンであり監督を担当した「[[セブン・サイコパス]]」では主人公が劇中で観ている映画は北野監督『[[その男、凶暴につき]]』のワンシーンである。北野作品はすべて好きというマクドナー監督は、同作を使用した理由を「このシーンも、映画自体も、そして北野武も大好きだから」と語っている<ref>映画.com より http://eiga.com/news/20131023/3/</ref>。 |
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== 評価 == |
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24歳で『[[ビューティ・クイーン・オブ・リーナン]]』を書いており、演出家のギャリー・ハインズはその若さに似合わぬ才能に驚きを表明している<ref>Patrick Lonergan, ''The Theatre and Films of Martin McDonagh'' (Methuen, 2012), p. xv.</ref>。早くから成功したため、アイルランド及びイギリス演劇界の「恐るべき子供」として高い評価を得ているが、一方で辛辣さ、さまざまな先行作の要素をまぜあわせる[[ポストモダン]]的な作劇法、センセーショナルな内容と宣伝方法などは批判も浴びている<ref name=":1" />。アイルランドの演劇研究者パトリック・ロナガンは、作品の内容のみならずマクドナー自身の冗談まじりの派手な発言もしばしば誤読されており、批判の中には誤解に基づくものも多いと指摘している<ref>Patrick Lonergan, ''The Theatre and Films of Martin McDonagh'' (Methuen, 2012), p. xix.</ref>。 |
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ロンドン生まれのアイルランド系劇作家という立場と、アイルランドを辛辣に諷刺する作風のため、マクドナーはアイルランド演劇の伝統に沿ったアイルランドの劇作家であるのかどうかということが頻繁に議論されている<ref>Paul Murphy, 'The Stage Irish Are Dead, Long Live the Stage Irish: ''The Lonesome West'' and ''A Skull in Connemara''<nowiki/>', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 60 - 78, p. 60.</ref><ref>Laura Eldred, 'Martin McDonagh's Blend of Tradition and Horrific Innovation', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 198 - 213, pp. 198 - 99.</ref><ref>Aidan Arrowsmith, 'Genuinely Inauthentic: McDonagh's Postdiasporic Irishness', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 236 - 45, pp. 239 - 40.</ref><ref>Sara Keating, 'Is Martin McDonagh an Irish playwright?', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., ''The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories'' (Carysford Oress, 2006): 236 - 45, pp. 281 - 94.</ref>。 |
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== 協働状況 == |
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{| class="wikitable sortable" style="text-align:center;font-size:90%;" |
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!俳優 |
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!『ビューティ・クイーン・オブ・リーナン』(ウェスト・エンド) |
|||
!『イニシュマン島のビリー』(ウェスト・エンド) |
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!『ロンサム・ウェスト』(ウェスト・エンド) |
|||
!『ウィー・トーマス』(ブロードウェイ) |
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!ピローマン(ブロードウェイ) |
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!シックス・シューター |
|||
!ヒットマンズ・レクイエム |
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!スポケーンの左手 |
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!ザ・ガード〜西部の相棒〜 |
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!セブン・サイコパス |
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!スリー・ビルボード |
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!合計 |
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|- |
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!ローリー・コンロイ |
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|〇 |
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|〇 |
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|2 |
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|- |
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![[アビー・コーニッシュ]] |
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|〇 |
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|〇 |
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|2 |
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|- |
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![[コリン・ファレル]] |
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|〇 |
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|〇 |
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|2 |
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|- |
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![[ブレンダン・グリーソン]] |
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|〇 |
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|〇 |
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|〇 |
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|3 |
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|- |
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![[ウディ・ハレルソン]] |
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|||
| |
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| |
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|〇 |
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|〇 |
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|2 |
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|- |
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![[ジェリコ・イヴァネク]] |
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| |
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|〇 |
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|〇 |
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|〇 |
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|〇 |
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|4 |
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|- |
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!ブライアン・F・オバーン |
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|〇 |
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|〇 |
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|2 |
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|- |
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![[サム・ロックウェル]] |
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|〇 |
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|〇 |
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|〇 |
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|3 |
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|- |
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![[マイケル・スタールバーグ]] |
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|〇 |
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| |
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|〇 |
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|2 |
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|- |
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![[クリストファー・ウォーケン]] |
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|〇 |
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|〇 |
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|2 |
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|- |
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!デイヴィッド・ウィルモット |
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|〇 |
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|〇 |
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| |
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|2 |
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|} |
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== 舞台作品 == |
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* 『[[ビューティ・クイーン・オブ・リーナン]]』(''The Beauty Queen of Leenane'', 1996年) |
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* 『[[イニシュマン島のビリー]]』(''The Cripple of Inishmaan'', 1996年) |
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* 『[[コネマラの骸骨]]』(''A Skull in Connemara'', 1997年) |
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* 『[[ロンサム・ウェスト]]』(''The Lonesome West'', 1997年) |
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* 『[[ウィー・トーマス]]』(''The Lieutenant of Inishmore'', 2001年) |
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* 『[[ピローマン]]』(''The Pillowman'', 2003年) |
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* 『[[スポケーンの左手]]』(''A Behanding in Spokane'', 2010年) |
|||
* 『[[ハングメン]]』(''Hangmen,'' 2015年) |
|||
== フィルモグラフィ == |
|||
※tcm.comに拠る<ref>[http://www.tcm.com/tcmdb/person/11207074%7C0/Martin-Mcdonagh/ "Martin McDonagh Filmography"] tcm.com, accessed 4 April 2016</ref>。 |
|||
{| class="wikitable" style="margin-right: 0;" |
|||
! rowspan="2" style="width:33px;" |年 |
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! rowspan="2" style="width:200px;" |タイトル |
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! colspan="3" |役職 |
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! rowspan="2" |注 |
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|- |
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! style="width:65px;" |監督 |
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! style="width:65px;" |脚本家 |
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! style="width:65px;" |プロデューサー |
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|- |
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|2000 |
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|''The Second Death'' |
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| |
|||
| |
|||
|〇 |
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|短編映画、エグゼクティヴ・プロデューサー。兄の[[ジョン・マイケル・マクドナー]]が脚本家<ref>Regan, Alex. [http://www.dazeddigital.com/artsandculture/article/11155/1/john-michael-mcdonaghs-guard "John Michael McDonagh's 'Guard'"] dazeddigital.com, accessed 4 April 2016</ref>。 |
|||
|- |
|||
|2004 |
|||
|''Six Shooter'' |
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|〇 |
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|〇 |
|||
| |
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|短編映画 |
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|- |
|||
|2008 |
|||
|[[ヒットマンズ・レクイエム]]<ref>[http://www.tcm.com/tcmdb/title/662882/In-Bruges/ ''In Bruges''] tcm.com, accessed 4 April 2016</ref> |
|||
|〇 |
|||
|〇 |
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| |
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| |
|||
|- |
|||
|2011 |
|||
|[[ザ・ガード〜西部の相棒〜]]<ref>[http://www.tcm.com/tcmdb/title/780005/Guard-The/ ''The Guard''] tcm.com, accessed 4 April 2016</ref> |
|||
| |
|||
| |
|||
|〇 |
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|エグゼクティヴ・プロデューサー。兄の[[ジョン・マイケル・マクドナー]]が監督・脚本。 |
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|- |
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|2012 |
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|[[セブン・サイコパス]] |
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|〇 |
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|〇 |
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|〇 |
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| |
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|- |
|||
|2017 |
|||
|[[スリー・ビルボード]]<ref name="interview2">O'Hagan, Sean. [https://www.theguardian.com/culture/2015/sep/11/martin-mcdonagh-theatre-never-going-to-be-edgy-hangmen-interview "Martin McDonagh interview: ‘Theatre is never going to be edgy in the way I want it to be’"] ''The Guardian'', 13 September 2015</ref><ref>Jaafar, Ali. [http://deadline.com/2016/03/woody-harrelson-sam-rockwell-frances-mcdormand-martin-mcdonagh-three-billboards-fox-searchlight-1201716864/ "Woody Harrelson & Sam Rockwell Join Frances McDormand For Martin McDonagh’s ‘Three Billboards’"] deadline.com, 9 March 2016</ref> |
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|〇 |
|||
|〇 |
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|〇 |
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| |
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|} |
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== 日本語訳 == |
|||
* マーティン・マクドナー『[[ウィー・トーマス]]』目黒条訳、[[パルコ]]、2006年<ref>{{Cite web|url=http://stage.parco-enta.com/fs/parcostage/book/PLP0239|title=ウィー・トーマス [戯曲本]|accessdate=2018-04-07|website=PARCO STAGE SHOP|language=ja-JP}}</ref>。 |
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* マーティン・マクドナー『[[ピローマン]]』目黒条訳、[[パルコ]]、2006年<ref>{{Cite web|url=http://stage.parco-enta.com/fs/parcostage/book/PLP0240|title=ピローマン [戯曲本]|accessdate=2018-04-07|website=PARCO STAGE SHOP|language=ja-JP}}</ref>。 |
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2018年4月16日 (月) 13:29時点における版
マーティン・マクドナー Martin McDonagh | |||||||||||||||||||||
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2012年 | |||||||||||||||||||||
生年月日 | 1970年3月26日(54歳) | ||||||||||||||||||||
出生地 | イングランド・ロンドン | ||||||||||||||||||||
国籍 | イギリス アイルランド | ||||||||||||||||||||
職業 | 映画監督、脚本家、劇作家 | ||||||||||||||||||||
ジャンル | 映画、舞台 | ||||||||||||||||||||
活動期間 | 1996年 - | ||||||||||||||||||||
主な作品 | |||||||||||||||||||||
『ビューティ・クイーン・オブ・リーナン』 『ロンサム・ウェスト』 『ヒットマンズ・レクイエム』 『セブン・サイコパス』 『ハングメン』 『スリー・ビルボード』 | |||||||||||||||||||||
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マーティン・マクドナー(英語: Martin McDonagh、発音[məkˈdɒnə]、1970年3月26日 - )は、イギリス及びアイルランドの劇作家、脚本家、映画監督である。1996年に戯曲『ビューティ・クイーン・オブ・リーナン』でデビューし、2004年に短編映画「シックス・シューター」で映画に進出して、2017年には長編映画『スリー・ビルボード』を監督した。演劇と映画の両方で成功をおさめたクリエイターであり、劇作家としてローレンス・オリヴィエ賞を、映画作家としてはアカデミー賞、英国アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、ヴェネツィア国際映画祭での受賞経験がある。
演劇ではアイルランドの西部にあるコネマラ地域を題材にしたリーナン三部作と、アラン諸島を舞台とするアラン諸島三部作によって劇作家としての地位を確立した。ブラックユーモアを特徴とする作風が特徴であり、現代アイルランド文学において、存命の劇作家の中では最も重要なひとりと見なされている[1]。映画作家としても脚本が高い評価を受けている。
生い立ち
アイルランド人の両親のもと、ロンドンのキャンバーウェルで生まれた[2]。イギリスとアイルランド両方の国籍を保有している[3][4]。母はスライゴー州イースキーのキリーンダフ出身、父はゴールウェイ州コネマラのレターマラン出身で、1992年に家族でゴールウェイに戻り、マクドナーと兄でのちに映画監督になるジョン・マイケル・マクドナーはロンドンに残ることになった[5][6]。高等教育は受けておらず、劇作家として成功するまでは非正規雇用で働いたり、失業手当を受けたりして暮らしていた[7]。1995年にドルイド・シアターの演出家ギャリー・ハインズが『コネマラの骸骨』の草稿を読んだことをきっかけとして、演劇のキャリアを始めることとなった[8]。
キャリア
演劇
リーナン三部作(コネマラ三部作)
マクドナーの最初の六作の戯曲は二つの三部作になっており、マクドナーが子ども時代に休暇を過ごしたゴールウェイ州周辺を舞台としている。最初の三部作はアイルランド西岸地域にある小さな村リーナンを舞台にしており、『ビューティ・クイーン・オブ・リーナン』(1996年)、『コネマラの骸骨』(1997年)、『ロンサム・ウェスト』(1997年)からなる[9][10]。
『ビューティ・クイーン・オブ・リーナン』(1996年)は、独身の中年女性と威圧的な母親の機能不全な関係を描いた作品である。娘は生涯最後の恋愛のチャンスを得るが、残念な結果に終わる。この作品は1996年にゴールウェイで初演された時から評価が高く、アトランティック・シアター・カンパニーにより1998年にオフ・ブロードウェイでも上演された[11]。1998年にブロードウェイに引っ越し、トニー賞演劇作品賞候補となった[12]。
『コネマラの骸骨』(1997年)では、コネマラの男がいっぱいになった墓地から遺骨を掘り出す仕事に雇われ、かつて自分が殺したと告発された妻に出くわす。本作はゴールウェイのタウンホール劇場で1997年に初演された[9][10]。ロンドンのロイヤル・コート劇場でも上演された後、2000年の7月から8月にかけてワシントン州シアトルのア・コンテンポラリー・シアター (ACT) でアメリカ初演が行われた。オフ・ブロードウェイでは2001年1月から5月にかけて、ラウンドアバウト・シアターのプロデュースでグラマシー劇場で上演された[13]。1998年度のローレンス・オリヴィエ賞最優秀コメディ賞にノミネートされている[14]。
『ロンサム・ウェスト』(1997年)では、一応は事故ということになっている父親の射殺後、2人の兄弟がいがみあう様子が描かれている。1999年にブロードウェイで上演された際にトニー賞演劇作品賞候補となった[15]。
アラン諸島三部作
二つめの三部作はゴールウェイ州沿岸のアラン諸島を舞台にしており、『イニシュマン島のビリー』(1996年)、『ウィー・トーマス』(2001年)、『イニシィアのバンシー』(未上演)からなる[2]。
『イニシュマン島のビリー』は、足の不自由な10代の青年が、ロバート・フラハティ監督の映画『アラン』で役を得ようと企む様子を描くブラックコメディである。1997年にロンドンのロイヤル・ナショナル・シアター(コッテスロー)で初演の後、1998年4月にオフ・ブロードウェイのジョゼフ・パップ・パブリック・シアターでも上演され、どちらもタイトルロールはローリー・コンロイが務めた[16]。1998年には、フレデリック・ケーラーがタイトルロールを演じ、カリフォルニア州ロサンゼルスのゲッフェン劇場でも上演された[17]。2008年にはアトランティック・シアター・カンパニーとアイルランド、ゴールウェイのドルイド・シアター・カンパニーの協働により、オフ・ブロードウェイで再演された[18]。
『ウィー・トーマス』はアイルランド国民解放軍 (INLA) 分派の正気とは言えないリーダーが、自分の愛猫が殺されたと知って故郷のイニシュモア島で犯人を捜して暴れる様子を描いたブラックコメディである。本作は2000年にロイヤル・コート劇場に提出されたが、そこでは上演を断られ、2001年5月にストラトフォード=アポン=エイヴォンにてロイヤル・シェイクスピア・カンパニーが初演を行った[19][20]。その後、ロンドンに引っ越し、2003年度ローレンス・オリヴィエ賞で最優秀コメディ賞を受賞した[21]。2006年2月にオフ・ブロードウェイでアトランティック・シアター・カンパニーにより上演され、5月にはブロードウェイに移って、2006年のトニー賞演劇作品賞候補となった[22][23]。
『イニシィア島のバンシー』はアラン諸島三部作の第3作であるが、マクドナー本人が「全然うまくいかなかった」と述べており、刊行も上演もされていない[24]。
アイルランド以外を舞台とする作品
アイルランド以外を舞台に芝居としては初めて上演された『ピローマン』(2003年)は架空の全体主義国家を舞台にするもので、作家がグリム兄弟ふうの自作の短編の内容について尋問を受けるという内容である。1997年にゴールウェイでリーディング公演を実施した後、2003年にロイヤル・ナショナル・シアターで初演された[25]。2004年にローレンス・オリヴィエ賞の新作演劇作品賞を受賞し、2005年のトニー賞でも演劇作品賞候補になった[26][27]。
『スポケーンの左手』(2010年)はマクドナーがはじめてアメリカ合衆国を舞台に書いた芝居で、2010年3月にブロードウェイで初演された[28]。主演のクリストファー・ウォーケンは、若い頃になくした手を25年にわたって探している男、カーマイケル演じてトニー賞演劇主演男優賞候補となった[28]。2010年のドラマ・リーグ賞で優秀上演賞候補となった[29][30]。
『ハングメン』(2015年)は、イングランドで2番目に腕利きの死刑執行人ハリー・ウェイドと1965年のイギリスにおける死刑廃止をめぐる物語である。2015年9月にロイヤル・コート劇場で初演された[6][31]。2016年のローレンス・オリヴィエ賞では最優秀戯曲賞を受賞している[32]。2016年にナショナル・シアター・ライヴにより中継され、2017年には日本語字幕つきで日本でも上映されている[33][34]。
2018年10月より、ロンドンのブリッジ・シアターで新作A Very Very Very Dark Matterが上演される予定である[35]。ハンス・クリスチャン・アンデルセンがテーマの芝居で、ジム・ブロードベントが主演する[35]。
ラジオ劇
マクドナーはラジオ戯曲も書いており、1995年のロンドン・ラジオ劇作家フェスティヴァルおよび1998年のニューヨーク国際ラジオ・フェスティヴァルで『オオカミと木こり』(The Tale of the Wolf and the Woodcutter)が賞を授与されている[36]。
映画
マクドナーは戯曲より映画を書くほうが好きだと述べている。1998年にアイルランドの劇評家フィンタン・オトゥールと『BOMB』誌のために行った対談で、マクドナーは「演劇を尊敬してないわけじゃないんです。戯曲が映画と同じように、完全に人の心を動かせるっていうことがわかるくらいの頭はありますよ。(中略)演劇は私にうまく接続しないっていうか、個人的には、自分がやってることをあまりいいと思えないんです[37]」と述べている。2005年のインタビューでは、『ニューヨーク・タイムズ』のライターが「芝居に固有のエリート主義にはまだ冷淡だが、今では演劇のストーリーテリングの力にもっと気持ちよく屈しているようだ[38]」と述べている。マクドナーによると、芝居は「参加するのに100ドルかかる芸術で働くのはおかしな感じがする[38]」ということである。『ガーディアン』のショーン・オヘイガンとのインタビューでは、ロンドンの劇場にしばらく作品をかけなかったことと、新作『ハングメン』のプロモーションについて話す中で、マクドナーは演劇が「わたしが望むくらい痛烈になることは全然ないだろうと思うんです[39]」と述べている。
2005年にマクドナーは始めての映画監督品となる短編「シックス・シューター」(2004年)でアカデミー短編映画賞を受賞した[40]。「シックス・シューター」はブレンダン・グリーソン、ローリー・コンロイ、デイヴィッド・ウィルモット、アシュリン・オサリヴァンが出演するブラックコメディで、ウィックロー、ウォーターフォード、ロスレアで撮影された。この映画では、グリーソン演じるキャラクターが、妻の死の後に列車で帰宅する間、奇妙でおそらくは精神を病んだ若者に出会う[41]。
マクドナーはその後、フォーカス・フィーチャー社と契約して『ヒットマンズ・レクイエム』を監督した。2人のアイルランド人の殺し屋が仕事で問題を起こした後、ベルギーのフラマン都市ブルッヘに潜伏する様子を描いており、自身の脚本にもとづく長編映画である。アメリカ合衆国では2008年に公開された。本作にはコリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン、レイフ・ファインズが出演した。『ヒットマンズ・レクイエム』は2008年にサンダンス映画祭のオープニングナイトとジェムソンダブリン国際映画祭で上演され、第81回アカデミー賞で脚本賞にノミネートされた[42][43][44]。
2008年の『ストップ・スマイリング』誌のインタビューで、マクドナーは「もう準備できてる映画の台本が何本かあるんです。その前に旅をして楽しむつもりなんで、あと数年はどうするつもりもないんですが。でも、『セブン・サイコパス』っていうのがあって、もう1本作るならそれですね。気に入ってもらえるといいんですが[45]」と述べていた。2011年5月に制作が決まり、最終的には2012年10月12日に北アメリカで公開された。コリン・ファレル、サム・ロックウェル、ウディ・ハレルソン、クリストファー・ウォーケン、トム・ウェイツが出演している[46]。
2011年には、兄のジョン・マイケル・マクドナーが監督・脚本し、ブレンダン・グリーソンが主演した映画『ザ・ガード〜西部の相棒〜』でエグゼクティヴ・プロデューサーを務めている[47]。
2017年にはマクドナーが監督・脚本・製作をつとめたドラマ映画『スリー・ビルボード』にフランシス・マクドーマンド、サム・ロックウェル、ウディ・ハレルソンが出演し、同年9月4日にヴェネツィア国際映画祭で初上映されて高い評価を得、脚本賞を受賞した[48][49]。2017年9月17日にトロント国際映画祭でピープルズ・チョイス賞も受賞している[50]。2018年1月7日のゴールデングローブ賞では作品賞と脚本賞を、2月19日の英国アカデミー賞でも作品賞と脚本賞を受賞している[51][52]。第90回アカデミー賞でも作品賞や脚本賞にノミネートされたが、受賞は演技賞のみであった[53]。
作風
ブラックコメディの名手と考えられており、「諷刺、ブラックユーモア、漫画のような矮小化、グロテスクで「ゴシック的」な歪曲[54]」に満ちた作風であると評される。緩慢なやりとりから脅威をにじみ出させるような会話の描写をしばしば行い、このような点がクエンティン・タランティーノに似ていると言われている[55][56]。「人間的な情動、感情的な優しさ、家族や性にかかわる愛が割り込んでくることを断固拒否する[57]」展開を特徴とする。暴力的であるが、「観客の間に恐怖よりは笑いを呼び起こす」ことが多い[58]。
1990年代にイギリスの演劇界を牽引した、マーク・レイヴンヒルやサラ・ケインなどセックスや暴力を率直に描くブルータリズム的な面当て演劇の潮流に位置付けられる[59]。マクドナー作品においては暴力描写が露骨である一方、セックスや恋愛は不毛であり、主要人物のほとんどは有意義な性生活や幸せな恋愛を経験できない[60]。幸福な異性愛関係を築けない「男の閉じた世界」がしばしば題材となる[61]。
先祖の故郷であるアイルランドに対しても極めて辛辣であり、とくに初期作品においてはしばしばアイルランドに関するネガティヴなステレオタイプを広めていると批判された[62][63]。2000年代に入ってからは、より斬新な設定を求めてアイルランド以外の地域を舞台にするようになった[64]。しかしながら、クリシェ的なプロットやストックキャラクターの巧妙な使用、観客の神経を逆撫でするような挑戦的な物語への取り組みという点に関しては一貫している[65][66]。
パブや家屋など、作り込んだセットを必要とする作品が多い[67]。作品の内容に比べると、要求される美術はナチュラリスティックである[68]。
影響
劇作家としてはジョン・ミリントン・シングやハロルド・ピンター、サミュエル・ベケット、デヴィッド・マメット、ジョー・オートン、小説家としてはフランツ・カフカ、映画監督としてはクエンティン・タランティーノとの類似が指摘されている[69][70]。暴力的でブラックユーモア溢れる作風や、商品名などを大量に作中に織り込むポストモダン的な手法はとくにタランティーノからの影響が濃厚で、「エメラルドの島[アイルランド]のクエンティン・タランティーノ[71]」などと呼ばれる[72]。しかしながら本人は他の劇作家からの影響に対してしばしば否定的で、あまりにも先輩の役者や劇作家に敬意を払わないため、やはり他のミュージシャンをけなすことで有名なリアムとノエルのギャラガー兄弟に比されている[73]。
演劇に対して一歩引いた態度をとっている一方、映画に関しては影響元を率直に認めることが多い[70]。タランティーノの他、マーティン・スコセッシ、テレンス・マリック、サム・ペキンパーなどの影響を本人も認めている[70]。北野武監督の大ファンであり監督を担当した「セブン・サイコパス」では主人公が劇中で観ている映画は北野監督『その男、凶暴につき』のワンシーンである。北野作品はすべて好きというマクドナー監督は、同作を使用した理由を「このシーンも、映画自体も、そして北野武も大好きだから」と語っている[74]。
評価
24歳で『ビューティ・クイーン・オブ・リーナン』を書いており、演出家のギャリー・ハインズはその若さに似合わぬ才能に驚きを表明している[75]。早くから成功したため、アイルランド及びイギリス演劇界の「恐るべき子供」として高い評価を得ているが、一方で辛辣さ、さまざまな先行作の要素をまぜあわせるポストモダン的な作劇法、センセーショナルな内容と宣伝方法などは批判も浴びている[69]。アイルランドの演劇研究者パトリック・ロナガンは、作品の内容のみならずマクドナー自身の冗談まじりの派手な発言もしばしば誤読されており、批判の中には誤解に基づくものも多いと指摘している[76]。
ロンドン生まれのアイルランド系劇作家という立場と、アイルランドを辛辣に諷刺する作風のため、マクドナーはアイルランド演劇の伝統に沿ったアイルランドの劇作家であるのかどうかということが頻繁に議論されている[77][78][79][80]。
協働状況
俳優 | 『ビューティ・クイーン・オブ・リーナン』(ウェスト・エンド) | 『イニシュマン島のビリー』(ウェスト・エンド) | 『ロンサム・ウェスト』(ウェスト・エンド) | 『ウィー・トーマス』(ブロードウェイ) | ピローマン(ブロードウェイ) | シックス・シューター | ヒットマンズ・レクイエム | スポケーンの左手 | ザ・ガード〜西部の相棒〜 | セブン・サイコパス | スリー・ビルボード | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ローリー・コンロイ | 〇 | 〇 | 2 | |||||||||
アビー・コーニッシュ | 〇 | 〇 | 2 | |||||||||
コリン・ファレル | 〇 | 〇 | 2 | |||||||||
ブレンダン・グリーソン | 〇 | 〇 | 〇 | 3 | ||||||||
ウディ・ハレルソン | 〇 | 〇 | 2 | |||||||||
ジェリコ・イヴァネク | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 4 | |||||||
ブライアン・F・オバーン | 〇 | 〇 | 2 | |||||||||
サム・ロックウェル | 〇 | 〇 | 〇 | 3 | ||||||||
マイケル・スタールバーグ | 〇 | 〇 | 2 | |||||||||
クリストファー・ウォーケン | 〇 | 〇 | 2 | |||||||||
デイヴィッド・ウィルモット | 〇 | 〇 | 2 |
舞台作品
- 『ビューティ・クイーン・オブ・リーナン』(The Beauty Queen of Leenane, 1996年)
- 『イニシュマン島のビリー』(The Cripple of Inishmaan, 1996年)
- 『コネマラの骸骨』(A Skull in Connemara, 1997年)
- 『ロンサム・ウェスト』(The Lonesome West, 1997年)
- 『ウィー・トーマス』(The Lieutenant of Inishmore, 2001年)
- 『ピローマン』(The Pillowman, 2003年)
- 『スポケーンの左手』(A Behanding in Spokane, 2010年)
- 『ハングメン』(Hangmen, 2015年)
フィルモグラフィ
※tcm.comに拠る[81]。
年 | タイトル | 役職 | 注 | ||
---|---|---|---|---|---|
監督 | 脚本家 | プロデューサー | |||
2000 | The Second Death | 〇 | 短編映画、エグゼクティヴ・プロデューサー。兄のジョン・マイケル・マクドナーが脚本家[82]。 | ||
2004 | Six Shooter | 〇 | 〇 | 短編映画 | |
2008 | ヒットマンズ・レクイエム[83] | 〇 | 〇 | ||
2011 | ザ・ガード〜西部の相棒〜[84] | 〇 | エグゼクティヴ・プロデューサー。兄のジョン・マイケル・マクドナーが監督・脚本。 | ||
2012 | セブン・サイコパス | 〇 | 〇 | 〇 | |
2017 | スリー・ビルボード[85][86] | 〇 | 〇 | 〇 |
日本語訳
脚注
- ^ Zinoman, Jason (7 March 2010). “Is He Mellower? Ask the Guy Missing a Hand”. New York Times 25 April 2011閲覧。
- ^ a b McDonald, Henry. "Profile" The Guardian, 25 April 2008
- ^ “Seven steps to Martin McDonagh”. Irish Times (6 November 2012). 3 May 2013閲覧。
- ^ O'Hagan, Sean (2015年9月13日). “Martin McDonagh interview: ‘Theatre is never going to be edgy in the way I want it to be’” (英語). the Guardian. 2018年4月16日閲覧。
- ^ O'Hagan, Sean. "Interview. The wild west" The Guardian, 23 March 2001
- ^ a b O'Hagan, Sean. "Martin McDonagh interview: ‘Theatre is never going to be edgy in the way I want it to be’" The Guardian, 13 September 2015
- ^ Werner Huber, 'The Early Plays: Shooting Star and Hard Man from South London', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories (Carysford Oress, 2006): 13 - 26, p. 14.
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- ^ a b Hicklinh, Alfred. "'A Skull in Connemara' review – a sprited revival that redefines the concept of graveyard humour The Guardian, 28 May 2015
- ^ a b Russell, Richard Rankin."Appendix: Chronology of Martin McDonagh's Life and Works" Martin McDonagh: A Casebook, Routledge, 2007, ISBN 1135868093, pp.178-180
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- ^ “Oscar Nominees”. oscar.go.com. 2018年4月15日閲覧。
- ^ Werner Huber, 'The Early Plays: Shooting Star and Hard Man from South London', Lilian Chambers and Eamonn Jordan, ed., The Theatre of Martin McDonagh: A World of Savage Stories (Carysford Oress, 2006): 13 - 26, p.15.
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