アラン諸島
アラン諸島(英: Aran Islands、愛: oileáin Árann)は、アイルランド島の西、ゴールウェイ湾に浮かぶ島々。アラン島と呼ばれることも多い。アラン諸島は3つの島からなり、西側から、イニシュモア島(英: Inishmore、愛: Inis Mór)、イニシュマーン島(英: Inishmaan、愛: Inis Meáin)、イニシィア島(英: Inisheer、愛: Inis Oírr)と呼ばれる。アイルランド語でÁrannの意味は「長い山々」の意味で、現在の島の名前にあるInisは「島」の意味である。また、Mór、Meáin、Oírrはそれぞれ「大きな」「真ん中」「東」の意味がある。これらのアラン諸島は石灰質の岩盤だけで出来た島群である。主要産業はジャガイモなどの農業と漁業で、手編みのアランセーター(en)(フィッシャーマンズセーター)も有名である。
アラン諸島は主に岩盤で出来ており、強風が吹きつける。そのための農業は、土が風で飛ばされないように畑を石垣で囲み、更に岩盤を槌で砕いて海藻を混ぜ合わせ、その下に粘土を敷き詰めて土をつくることから始まった。こうした石垣で仕切られた畑は格子を意味する「トレリス」(Trellis)と呼ばれ[1]、アランセーターにもトレリスと呼ばれる網目模様がある。
観光客も訪れる。交通手段としては、首都ダブリンからバスまたは鉄道でまずゴールウェイへ。さらにバスに乗り換えてロッサヴィール(Rossaveel)港で降り、フェリーに約40分乗る[2]。ゴールウェイ近郊のコナマーラ空港(Connemara Airport)[3]からエアーアラン・アイランズによって運航される小型飛行機で渡ることも可能。島内には貸自転車と馬車がある。
イニシュモア島
[編集]イニシュモア(大島)は、アラン諸島最大の島であり、三島の最も西に位置する。面積は12平方マイル。20世紀にはいるまでは、アランモア(英: Aranmore、愛: Árainn Mhór)と呼ばれていた。島の名前は1800年代中頃につけられた。このアイルランド語の島の名前は、厳密に言えば文法的には誤っており、島を意味するInisが女性名詞であるため、本来はInis Mhórとなるべきものである[要出典]。島の人々はアイルランド文化の影響が強く、アイルランド語を話す。
名所・旧跡
[編集]- 「ダン・エンガス」(Dun Aengus)または「ドゥーン・エンガス」(Dún Aonghasa) - 断崖を背後に築かれた環状の石の砦. 古代ケルト人が築いたと言われる.
- 聖ベナン教会 - ヨーロッパで最も小さな教会として知られる古い建造物.
- 聖キーラン修道院(Teampall Chiaráin) - 古代の日時計や石造りの十字架がある
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イニシュモア
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イニシュモアの東海岸
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イニシュモアの荒々しい海岸
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イニシュモアの十字架
イニシュマーン島
[編集]イニシュマーン(中島)は、アラン諸島第二の大きさを持つ島であり、イニシュモアの東に位置する。アイルランド語ではInis Meadhóinと書かれることもある。人口は200人程度、他の2島と比較して観光客は少なく静かな土地である。アイルランドの歴史で重要な要塞があった土地の1つである。人々はアイルランド語を話す。
名所・旧跡
[編集]- ラバ・キンジャラグ - 難病を治すと伝えられている円形の遺跡。
- コナー要塞(Dún Conchuir) - キリスト教伝来前に作られた要塞の跡地。
- シングの住んでいた家 - 1898年から1902年の毎年夏に、ジョン・ミリントン・シングが暮らしていた家。
- シングの椅子 (Synge's Chair) - 島の西の切り立った岸壁。
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ジョン・ミリントン・シングの住んでいた家
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コナー要塞(Dún Conchuir)
イニシィア島
[編集]イニッシアーやイニシイアと呼ばれることもある。イニシィア(東島)は、三島の中で最も小さく、最も東に位置する。アイルランド語では、Inis OirthirやInis Thiarやinisheerと書かれることもある。2022年国勢調査では人口は323人でアラン諸島の中では二番目に人口が多い。
名所・旧跡
[編集]- テンパル・ケイヴィン(Teampall Chaomháin) - 遺跡
アラン島関連の作品
[編集]- 小説・紀行
- ジョン・ミリントン・シング(John Millington Synge):随筆『アラン島』
- 野沢弥市朗:『アイルランド/アランセーターの伝説』(2002年、繊研新聞社)
- 司馬遼太郎:『街道をゆく 31 愛蘭土紀行 II』
- アラン島
- 戯曲
- ジョン・ミリントン・シング:戯曲『海に行く騎者』
- マーティン・マクドナー:戯曲『アラン諸島三部作』
- 映画
- ロバート・J・フラハティの監督によるドキュメンタリー映画『アラン』(Man of Aran、1934年)
- マーティン・マクドナー イニシェリン島の精霊
脚注
[編集]- ^ 「石垣の網目 アイルランド」『日本経済新聞』朝刊(The STYLE)2017年6月11日
- ^ https://www.google.co.jp/maps/place/Rossaveel+Ferry/@53.2674893,-9.5622748,17z/data=!3m1!4b1!4m5!3m4!1s0x485bb49dfcb00a2b:0x9376ded2af18849d!8m2!3d53.2674861!4d-9.5600861?hl=ja
- ^ https://www.google.co.jp/maps/place/%E3%82%B3%E3%83%8A%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%A9%E7%A9%BA%E6%B8%AF/@53.2643351,-9.5432893,12z/data=!4m5!3m4!1s0x485bb22ab790ce19:0xa47a5432c94da611!8m2!3d53.2322363!4d-9.4694194?hl=ja