「バットマン ビギンズ」の版間の差分
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== 概要 == |
== 概要 == |
2017年9月4日 (月) 15:07時点における版
バットマン ビギンズ | |
---|---|
Batman Begins | |
監督 | クリストファー・ノーラン |
脚本 |
クリストファー・ノーラン デヴィッド・S・ゴイヤー |
原作 |
ボブ・ケイン ビル・フィンガー 『バットマン』 |
製作 |
ラリー・J・フランコ チャールズ・ローヴェン エマ・トーマス |
製作総指揮 |
ベンジャミン・メルニカー マイケル・ウスラン |
出演者 |
クリスチャン・ベール マイケル・ケイン リーアム・ニーソン ケイティ・ホームズ ゲイリー・オールドマン |
音楽 |
ジェームズ・ニュートン・ハワード ハンス・ジマー |
撮影 | ウォーリー・フィスター |
編集 | リー・スミス |
製作会社 |
シンコピー・フィルムズ レジェンダリー・ピクチャーズ |
配給 | ワーナー・ブラザース |
公開 |
2005年6月15日 2005年6月18日 |
上映時間 | 141分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $150,000,000[1] |
興行収入 |
$372,710,015[1] $205,343,774[1] 14億円[2] |
次作 | ダークナイト |
『バットマン ビギンズ』(原題:Batman Begins)は、2005年のアメリカ映画。監督はクリストファー・ノーラン、主演はクリスチャン・ベール。
DCコミックスの出版するアメリカン・コミック『バットマン』を原作とした実写映画作品。リブート[3]された「ダークナイト・トリロジー」の第1作目。第78回アカデミー賞撮影賞ノミネート。
概要
DCコミックスの出版するアメリカン・コミック『バットマン』を原作とした実写映画作品。リブートされた「ダークナイト・トリロジー(Dark Knight Trilogy)」の第1作目。『バットマン』の実写映画としては累計で第5作品目となる。
次の古典的なコミックブックからインスピレーションを得た。“The Man Who Falls“、 “Batman: Year One“、“Batman: The Long Halloween“[4][5][6]。
監督・脚本をクリストファー・ノーラン行い、主演はクリスチャン・ベールが行った。ほか、マイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマン、リーアム・ニーソン、モーガン・フリーマン、ルトガー・ハウアー、キリアン・マーフィらが出演した。
あらすじ
子供の頃にブルース・ウェインは古い井戸に落ち、コウモリの群れに襲われる。両親のトーマス・ウェインとマーサ・ウェインと一緒にオペラを見ている間、ブルースはコウモリに仮装したパフォーマーに怯えて帰りたいと頼む。帰り道に強盗のジョー・チルによって両親を殺害される。孤児になったブルースは執事のアルフレッド・ペニーワースに育てられる。
14年後、チルはゴッサム・シティマフィアのボス、カーマイン・ファルコーニに不利な証言と引き換えに釈放される。復讐のためチルを殺害しようとするブルースだったが、ファルコーニの暗殺者がチルを殺害する。ブルースの幼なじみのレイチェル・ドーズ(地方検事の補佐)は司法制度を無視しようとする彼を叱りつけ、彼の父親が恥じていると言う。カーマイン・ファルコーニの元へ向かったブルースは、汚職と腐敗の蔓延したこの街では正義や個人の力など何の意味も持たないことを示される。
ブルースは不公平に戦う力を得るため、世界中を巡る旅に出る。ヒマラヤで悪と戦う力を手に入れるには超然的な存在になる必要があると説くヘンリー・デュカードに導かれ、ラーズ・アル・グールが率いる影の同盟のメンバーとして訓練を受ける。戦闘およびブルースの恐怖を克服する訓練が終わった後、ブルースは腐敗しているゴッサムを影の同盟が破壊することを知る。ブルースは影の同盟を否定し、脱出の間に寺を焼失させる。ラーズは落ちてくる破片によって死亡する。ブルースは気絶したデュカードを助け、彼を麓の村人に預ける。
ブルースは犯罪と戦うためにゴッサムに帰郷する。子供の頃の恐怖から、恐怖のシンボルになるためにコウモリの姿をした自警団になり、ウェイン邸の地下洞窟に拠点を作る。ブルースは不況による貧困、犯罪の横行、司法の腐敗に喘ぐゴッサムでバットマンとして闘いを開始する。ウェイン産業のルーシャス・フォックスの協力を得て、ボディスーツと装甲車を含む試作品の兵器を提供される。ブルースは疑いを避ける為に、浅はかなプレイボーイのふりをする。
バットマンはファルコーニの麻薬の密輸を阻止し、ファルコーニにとって不利な証拠をレイチェルに提供してジム・ゴードン(ゴッサムに残された数少ない実直な警官)に彼を逮捕するよう協力を求める。刑務所でファルコーニはジョナサン・クレイン(ファルコーニがゴッサムに薬を密輸するのを手伝った精神科医)に精神的に裁判は無理だと弁護しなければ、彼の共謀を明らかにすると脅迫する。クレインはファルコーネに幻覚剤を使い、正気を失った彼をアーカム精神病院に移動させる。案山子のマスクをつけたスケアクロウについて調査していたバットマンは、スケアクロウの正体であるクレインに幻覚剤に吹きかけられて意識を失う。彼はアルフレッドに救われ、フォックスが開発した解毒剤を投与されて回復する。クレインは自身を横領で訴えようとしたレイチェルに幻覚薬を吹きかけ、ゴッサムの下水道に大量の幻覚剤を流していた事を明らかにする。しかし、バットマンはクレインを倒して彼女を救い、解毒剤を投与して回復させる。デュカードはブルースの誕生日パーティーに現れ、自身が本物のラーズ・アル・グールであることを明かす。デュカードはクレインに幻覚剤を流させ、水源気化装置をウェイン産業から盗み、ゴッサムの水源を蒸発させることで集団ヒステリーを引き起こして都市を破壊する計画を説明する。デュカードはウェイン邸に火をつけブルースを見捨てて去る。しかし、アルフレッドがブルースを救い出した。
デュカードはゴッサムのモノレール・システムに水源気化装置を積み、電車を都市の中心の水源へ移動させて幻覚剤を蒸発させようとする。バットマンはレイチェルを薬物を投与された暴徒から救い出し、間接的にバットマンの正体を示す。ゴードンはタンブラーのロケットを使い、モノレールを破壊する。バットマンはデュカードを追いかけ、電車の中で彼と戦う。バットマンはデュカードを殺す事を拒否するが、モノレールから落下する電車にデュカードを残し、彼を救わない事を選ぶ。
レイチェルはブルースがバットマンであることを知り、彼がバットマンである間は一緒にならない事を決意する。ブルースはレイチェルの敬意を得るが、彼女の愛を失う。警部補に昇進したゴードンは、バットマンに連絡用のバットシグナルを見せ、犯行現場にジョーカーのトランプを残す犯罪者について言及する。バットマンは調査を約束し、夜の闇に姿を消し映画は幕を閉じる。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | ||
---|---|---|---|---|
劇場公開版 | 日本テレビ版 | フジテレビ版 | ||
ブルース・ウェイン / バットマン | クリスチャン・ベール | 檀臣幸 | 東地宏樹 | 高橋広樹 |
ヘンリー・デュカード / ラーズ・アル・グール | リーアム・ニーソン | 佐々木勝彦 | 津嘉山正種 | 若本規夫 |
レイチェル・ドーズ | ケイティ・ホームズ | 小島幸子 | 高橋理恵子 | 木下紗華 |
アルフレッド・ペニーワース | マイケル・ケイン | 小川真司 | 中村正 | 岩崎ひろし |
ジェームズ・"ジム"・ゴードン | ゲイリー・オールドマン | 納谷六朗 | 山路和弘 | 大塚芳忠 |
ルーシャス・フォックス | モーガン・フリーマン | 池田勝 | 坂口芳貞 | 阪脩 |
ジョナサン・クレイン / スケアクロウ | キリアン・マーフィー | 遊佐浩二 | 関俊彦 | 内田夕夜 |
ラーズ・アル・グール(影武者) | 渡辺謙 | 大川透 | 緒方文興 | てらそままさき |
カーマイン・ファルコーニ | トム・ウィルキンソン | 稲葉実 | 石田太郎 | 楠見尚己 |
リチャード・アール | ルトガー・ハウアー | 石田太郎 | 小川真司 | |
アーノルド・フラス刑事 | マーク・ブーン・ジュニア | 遠藤純一 | 塩屋浩三 | 北川勝博 |
ギリアン・B・ローブ市警本部長 | コリン・マクファーレン | 石住昭彦 | 秋元羊介 | |
フィンチ検事長 | ラリー・ホールデン | 松本大 | 井上倫宏 | |
フェイデン判事 | ジェラルド・マーフィー | 牛山茂 | 梁田清之 | |
トーマス・ウェイン | ライナス・ローチ | 斉藤次郎 | てらそままさき | |
マーサ・ウェイン | サラ・スチュワート | 西宏子 | ||
ブルース・ウェイン(幼少期) | ガス・ルイス | 村上想太 | 矢島晶子 | 中山依里子 |
レイチェル・ドーズ(幼少期) | エマ・ロックハート | 最上莉奈 | 菊地ゆうみ | |
ジョー・チル | リチャード・ブレイク | 小形満 | 木村雅史 | |
ジョージ・フレデリックス | ジョン・ノーラン | 牛山茂 | 秋元羊介 | |
ミスター・ザーズ | ティモシー・ジョン・ブース |
テクノロジー
- バットスーツ
- アメリカ陸軍用に開発された1着30万ドルの精鋭部隊用のサバイバルスーツ、予算が掛かり過ぎるという事で試作品の段階で倉庫に伏せられていた。それをベースに、電磁波に触れることで分子編成で変形する形状記憶繊維生地のマント、複数のペーパーカンパニーを使い大量製造したマスク、無線機を収納する為に耳をとがらせたヘルメットをブルースとアルフレッドが加工、塗装してバットスーツは製作された。
- 1層目は温度調整器、2層目は2重織りケブラーを腰、脹ら脛、腿、腕、背中に内蔵しており、あらゆる環境で着る事ができる。ボディアーマーには防弾効果と防刃効果がある。黒のラテックスを塗装しており、暗視ゴーグルの発見を避けることができる。
- グローブ
- 影の同盟の修行で覚えた体術を活かすために、両腕の手甲部分に各三枚の刃が備えられている。
- マント
- 形状記憶繊維生地でできており、右手のグローブにある集積回路から電流を流すことで記憶した形状へ変化する。蝙蝠の翼のような形状になり、ハングライダーのように滑空できる。
- マスク
- 1万個を製造したが、強度に問題があるため再製造された。右耳にあるマイクロフォンで一定距離の会話を盗聴できる。スーツの首と肩に固定される。
- トランスポンダー
- 高周波のトランスポンダー。ブーツの踵に収納されており、取り外しできる。蝙蝠の巣から蝙蝠を呼び寄せる。他にも低周波で周囲の人間に頭痛を引き起こすことができる。
- バットラング
- 蝙蝠の形をした手裏剣。ブルースが洞窟から削って作っている。
- グラップル・ガン
- ワイヤーの付いたアンカーを射出して巻き取る銃。高所への移動に使用する。
- 小型爆弾
- ピンボール程度の大きさの爆弾。コンクリート程度なら簡単に破壊する。
- ユーティリティ・ベルト
- 腰に装備するベルト。様々な装備品を収納する。中央バックルはグラップル・ガンのワイヤーを固定する役割を担う。
- バットモービル(タンブラー)
- 戦場で河川に橋を架けて進路を確保するために製造された特殊走行車両。実戦に投入されずウェイン産業の地下倉庫に保管されていた。
- 本来は茶と黄土色を基調とした迷彩塗装であり、ブルースが黒く塗り直した。時速120kmまで初速で到るジェットエンジンを搭載。ロケット、小型爆弾、マシンガン2門を搭載している。タイヤを含め防弾処理を施してある。
評価
興行収入
約3億7,200万ドルの興行収入をあげ、2005年の全世界興行収入ランキングで9位につけた[7]。
批評家の反応
本作は批評家から好評を得ており、映画批評サイトのRotten Tomatoesは、269件のレビューに基づいて84%の支持率を示し、評価の平均点は10点満点中7.7点である。また批評家の総意は本作について「ひどくて暗いが、エキサイティングでスマートなバットマンビギンズは、決定的なスーパーヒーローの本質を理解している映画です」としている[8]。
Metacriticには41件のレビューがあり、加重平均値は70/100となっている[9]。
著名な批評家のロジャー・イーバートは、4つ星満点中最高の4つ星をつけた。また「バットマン・ビギンズは、ついにバットマンの伝説の暗くて厄介な深みに浸透し、スーパー・ヒーローを創造した」「この映画は単にコミックを起源とするストーリーの伝統の中で、バットマンの始まりを提供するだけではなく、ブルース・ウェインが親のいない幼年期から友のいない大人へと変化するまでの苦しい道のりを模索している」と評しており、「私は"これがバットマンの映画だ"と言った。もっと正確には、私はこの映画を待っていた」と絶賛している[10]。
受賞とノミネート
第78回アカデミー賞撮影賞にノミネートされた。また、サターン賞で本作がファンタジー映画賞を受賞し、クリスチャン・ベールが主演男優賞を受賞、クリストファー・ノーラン、デヴィッド・S・ゴイヤーが脚本賞を受賞した(詳細は「第32回サターン賞」を参照)。
続編
本作を第1作目とする「ダークナイト トリロジー」の続編、『ダークナイト』が2008年に、『ダークナイト ライジング』が2012年に公開された。
トリビア
- バットモービル「タンブラー」を気に入ったクリスチャン・ベールは監督に「撮影が終わったらマシンを購入したい」と言ったが「続編でも使うかもしれない」と断られた。クリスチャン・ベールはこの時に続編の構想があることを知った。
- ブルース・ウェインの乗る車は「ランボルギーニ・ムルシエラゴ」で、「ムルシエラゴ」とはスペイン語で「コウモリ」である。
- 主演のクリスチャン・ベールは『マシニスト』の撮影で非常に痩せており、体重を戻すため高カロリーなものを食べたが、今度は太りすぎてしまいバットスーツが入らなくなった。
- バットマンの格闘シーンにはダークナイト・トリロジーを通して、新興武術の「Defence Lab(ディフェンスラボ)」が採用されている。
- サウンドトラック盤に収録された12の曲名は全てコウモリの学名から取られている。トラック4~9の曲名は「Barbastella」、「Artibeus」、「Tadarida」、「Macrotus」、「Antrozous」、「Nycteris」となっていて、頭文字を並べると「BATMAN」になる。
- ラーズ役の渡辺謙は洋画に出演する際、日本語吹き替えも兼任しているが、本作では自身の役の吹き替えを担当していない。
- 日本テレビ版の吹き替えでは、ブルースがバットマンに変身している時の声には普段の声とは違う声に変化した加工効果が加えられた。ソフト版の吹き替えには加工効果が加わっていなかったが『ダークナイト』と『ダークナイト ライジング』で加工効果が加わった。
脚注
- ^ a b c “Batman Begins (2005)”. Box Office Mojo. 2009年11月6日閲覧。
- ^ 「日経エンタテイメント!」2012年4月号(No.181)。
- ^ “作り直し”ではなく“立て直し”「リブート」が流行るハリウッドの映画製作事情(2010年11月14日時点のアーカイブ) - エキサイトニュース、2010年11月13日。
- ^ DiDio, Dan, Goyer, David S., Levitz, Paul, Nolan, Christopher, Schreck, Bob (2006). Genesis of the Bat (Batman Begins DVD featurette).
- ^ http://themissingslate.com/2014/08/21/back-to-the-beginning-the-evolving-influence-of-batman-year-one/#.U_jTIvldUgs
- ^ Corriea, Alexa Ray (August 7, 2013). “Batman: Arkham Origins skin pack adds alternate timeline costumes”. Polygon. Vox Media. August 7, 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。August 7, 2013閲覧。
- ^ 2005 Yearly Box Office Results - Box Office Mojo(2017年7月25日閲覧)
- ^ Batman Begins (2005) - Rotten Tomatoes(2017年7月25日閲覧)
- ^ Batman Begins Reviews - Metacritic(2017年7月25日閲覧)
- ^ Roger Ebert's Batman movie reviews - Batman News - ロジャー・イーバート(2017年7月25日閲覧)
関連項目
- バットマン - 原作
- バットマンの映画作品
- スーパーヒーロー
- DCコミックス