「巻波 (駆逐艦)」の版間の差分
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{{Infobox 艦艇 |
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<div class="thumb tright"> |
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|名称=巻波 |
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{| class="wikitable" style="margin: 0em; width: 300px; background: #fff;" |
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|画像=IMG Makinami.jpg |
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|画像幅=300 |
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|colspan="2"|[[Image:Insert image here.svg|300px|]] |
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|画像説明= |
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|建造所=[[舞鶴海軍工廠]] |
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|運用者={{IJNAVY}} |
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!colspan="2" style="background: #f0f0f0"|艦歴 |
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|艦種=一等[[駆逐艦]] |
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|級名=[[夕雲型駆逐艦|夕雲型]] |
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|計画||[[1939年]]度([[マル4計画]]) |
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|計画=1939年度([[④計画]]) |
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|起工 |
|起工=1941年4月11日 |
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|進水=1941年12月27日<ref name="S1612舞鎮(1)10">[[#S1612舞鎮日誌(1)]] p.10</ref> |
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|竣工=1942年8月18日 |
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|就役= |
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|最後=1943年11月25日、[[セント・ジョージ岬沖海戦]]において戦没 |
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|就役||[[1942年]]8月18日竣工 |
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|除籍=1944年2月10日 |
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|その後 |
|その後= |
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|要目注記= |
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|基準排水量=2,077 [[ロングトン|トン]] |
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|除籍||[[1944年]]2月10日 |
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|常備排水量= |
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|公試排水量=2,520 トン{{Sfn|岡本|2014|p=186}} |
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!colspan="2" style="background: #f0f0f0"|性能諸元 |
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|満載排水量= |
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|全長=119.3 [[メートル|m]] |
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|[[排水量]]||基準:2,077t<br>公試:2,520t |
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|水線長= |
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|垂線間長= |
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|全長||119.3m |
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|全幅=10.8 m |
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|水線幅= |
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|深さ= |
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|吃水 |
|吃水=3.76 m |
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|主缶=[[艦本式ボイラー|ロ号艦本式ボイラー]]×3基 |
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|主 |
|主機=[[艦本式タービン]]×2基 |
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|出力=52,000 [[馬力]]{{Sfn|岡本|2014|p=186}} |
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|推進器=[[スクリュープロペラ]]×2軸 |
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|主機||[[艦本式タービン]]2基2軸 52,000hp |
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|最大速力=35.5 [[ノット]]{{Sfn|岡本|2014|p=186}} |
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|- |
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|燃料=[[重油]]:600 [[トン|t]] |
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|最大速力||35.0kt |
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|航続距離=5,000 [[海里]]/18ノット |
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|- |
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|乗員=225 名 |
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|航続距離||18ktで5,000浬 |
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|兵装={{ubl|[[五十口径三年式十二糎七砲|50口径三年式12.7センチ連装砲]]×3基 |
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|[[九六式二十五粍機銃|九六式25mm連装機銃]]×2基 |
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|燃料||重油:600トン |
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|61センチ九二式4連装[[魚雷発射管]]×2基(九三式[[魚雷]]×16本) |
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|九四式爆雷投射機×1基(九五式[[爆雷]]×18乃至36)}} |
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|乗員||225名 |
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|装甲= |
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|レーダー=[[仮称二号電波探信儀二型|22号電探]] |
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|武装(新造時)||[[50口径三年式12.7センチ砲|50口径12.7cm連装砲]] 3基6門<br>25mm機銃 Ⅱ×2<br>61cm4連装[[魚雷発射管]] 2基8門<br />([[九三式魚雷]]16本)<br />爆雷×18乃至36 |
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|ソナー=[[九三式水中聴音機]]<br />[[九三式水中探信儀|九三式三型探信儀]] |
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|} |
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|その他= |
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</div> |
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|備考= |
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'''巻波'''(まきなみ)は、[[大日本帝国海軍|日本海軍]]の[[駆逐艦]]。[[夕雲型駆逐艦|夕雲型]]の5番艦である。艦名は[[砕波]]の一種に由来する。 |
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}} |
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'''巻波'''(まきなみ)は<ref name="S16達328号">[[#達昭和16年10月(2)]] p.11</ref>、[[大日本帝国海軍|日本海軍]]の[[駆逐艦]]{{Sfn|半藤、ルンガ沖夜戦|1984|pp=258-259|ps=○巻波(まきなみ)}}。[[夕雲型駆逐艦]](一等駆逐艦)の5番艦である<ref>[[#昭和17年12月31日艦艇類別等級表]] p.4</ref>。艦名は[[砕波]]の一種に由来し、[[海上自衛隊]]の[[護衛艦]]2隻([[まきなみ (護衛艦・初代)|初代まきなみ]]、[[まきなみ (護衛艦・2代)|2代まきなみ]])に引き継がれた。 |
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== 概要 == |
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日本海軍が[[舞鶴海軍工廠]]で[[1941年]](昭和16年)4月から[[1942年]](昭和17年)8月にかけて建造した[[夕雲型駆逐艦]]{{Sfn|山本ほか、夕雲型|2015|p=223a|ps=巻波(まきなみ)}}。8月31日、姉妹艦「[[長波 (駆逐艦)|長波]]」{{Sfn|山本ほか、夕雲型|2015|p=222|ps=長波(ながなみ)}}と共に新編の'''第31駆逐隊'''に所属した<ref name="S17内令1622">[[#内令昭和17年8月(4)]]、p.11</ref>{{Efn|10月1日に姉妹艦「[[高波 (駆逐艦)|高波]]」{{Sfn|山本ほか、夕雲型|2015|p=223b|ps=高波(たかなみ)}}が第31駆逐隊に編入されると<ref name="S17内令1824" />、司令駆逐艦も「高波」に変更された<ref name="S17海軍公報(部内限)4270" />。}}。 |
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第31駆逐隊は[[第二水雷戦隊]]に所属してトラック泊地に進出する<ref>[[#S17.07呉防戦日誌(3)]] p.8〔(ハ)九月六日 待機部隊(3S 31dg)出撃 〕</ref><ref name="S1709二水戦(2)p59" />。[[ガダルカナル島の戦い|ガダルカナル島攻防戦]]にともなう同年10月中旬の[[ヘンダーソン基地艦砲射撃]]に従事{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=208-211|ps=第三戦隊のガ島飛行場射撃}}{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=211-213|ps=進撃}}。続いて10月26日の[[南太平洋海戦]]に参加{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=214-216|ps=南太平洋海戦とその波紋}}。11月上旬より[[ガダルカナル島]]や[[ニュージョージア諸島]]への輸送作戦<ref name="S1711二水戦(4)p7" />([[鼠輸送]])に従事した{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=349-350|ps=増援部隊の輸送}}。11月中旬の[[第三次ソロモン海戦]]では輸送船団を護衛{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=350-354|ps=大船団輸送決定の経緯}}、将兵多数を救助した{{Sfn|落日の日本艦隊|2014|p=172|ps=ハ 第二次挺身輸送船団}}{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=380}}。11月30日{{Sfn|図解水雷戦隊|1996|pp=176-177|ps=ルンガ沖海戦}}、第31駆逐隊は[[ルンガ沖夜戦]]に参加{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=147a|ps=〔ルンガ沖夜戦〕}}{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=425a-428|ps=駆逐艦輸送}}、戦果を挙げるも同夜戦で「高波」を喪失した{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=94b|ps=「高波(たかなみ)」}}{{Efn|駆逐艦「高波」の沈没により{{Sfn|山本ほか、夕雲型|2015|p=223b|ps=高波(たかなみ)}}、31駆司令[[清水利夫]]大佐も戦死した{{Sfn|落日の日本艦隊|2014|p=173|ps=ルンガ沖夜戦}}。}}。 |
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[[1943年]](昭和18年)2月1日、「巻波」は外南洋部隊{{Efn|外南洋部隊指揮官は、[[第八艦隊 (日本海軍)|第八艦隊]]司令長官[[三川軍一]]中将。}}増援部隊{{Efn|外南洋部隊増援部隊指揮官は、第三水雷戦隊司令官[[橋本信太郎]]少将。}}[[旗艦]]として[[ガダルカナル島撤収作戦]]に参加するが{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=536}}、空襲で損傷する{{Sfn|歴群23、秋月型|1999|p=164a|ps=「巻波」(夕雲型)、2077トン}}{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=514-515|ps=第一次撤収作戦}}。第三水雷戦隊旗艦を駆逐艦「[[白雪 (吹雪型駆逐艦)|白雪]]」に引き継ぎ、駆逐艦「[[文月 (睦月型駆逐艦)|文月]]」に曳航されて避退した{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=558a-561|ps=実施}}{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=147b|ps=〔奇跡のガ島撤退〕}}。 |
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[[ラバウル]]で応急修理後、3月はトラック泊地で応急修理をおこなう{{Sfn|歴群23、秋月型|1999|p=164b}}。4月下旬、給糧艦「[[間宮 (給糧艦)|間宮]]」他を護衛して内地に帰投した<ref name="S1801二水戦(5)p6" />。駆逐艦複数隻と共に、[[舞鶴海軍工廠]]で修理を実施した<ref name="S1804舞鎮p6" />。同時期の「巻波」駆逐艦長[[人見豊治]]中佐は「[[不知火 (陽炎型駆逐艦)|不知火]]」および「[[初春 (初春型駆逐艦)|初春]]」駆逐艦長を兼務した<ref name="jirei1021" /><ref name="jirei1211" />。 |
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同年9月15日、「巻波」の修理完成{{Sfn|山本ほか、夕雲型|2015|p=223a|ps=巻波(まきなみ)}}<ref name="S1806二水戦(3)p7">[[#S1806二水戦日誌(3)]] p.7</ref>。上海~トラック泊地~ラバウル間の輸送船団を護衛し<ref>[[#S1806二水戦日誌(4)]] p.74</ref>(丁二号輸送部隊){{Sfn|戦史叢書79|1975|p=392|ps=支那方面艦隊の海上交通保護作戦}}、10月中旬トラック泊地に戻った{{Sfn|戦史叢書62|1973|pp=436-438|ps=第十七師団の南東方面への派遣}}。以後、第二水雷戦隊各隊・各艦と行動を共にする{{Sfn|戦史叢書62|1973|pp=418-419|ps=聯合艦隊決戦兵力のブラウン進出}}。 |
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11月上旬、[[ブーゲンビル島の戦い]]にともない「巻波」は[[ラバウル]]に進出、[[ブーゲンビル島]]周辺の輸送作戦に従事した{{Sfn|戦史叢書62|1973|pp=424-425|ps=第一航空戦隊の飛行機隊のラバウル進出}}。11月11日、[[ラバウル空襲]]により僚艦「長波」が大破したので{{Sfn|山本ほか、夕雲型|2015|p=222|ps=長波(ながなみ)}}、「巻波」が救援を行った<ref name="S1806二水戦(6)p44" />。[[ブカ島]]への輸送作戦従事中の[[11月25日]]、日本軍の駆逐艦5隻{{Efn|日本側の指揮官は第31駆逐隊司令[[香川清登]]大佐(「大波」座乗){{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=401a-407|ps=セント・ジョージ岬海戦}}。警戒艦(大波、巻波)、輸送隊([[天霧 (駆逐艦)|天霧]]、[[夕霧 (吹雪型駆逐艦)|夕霧]]、[[卯月 (睦月型駆逐艦)|卯月]])の計5隻でラバウルを出撃した{{Sfn|図解水雷戦隊|1996|pp=190-191|ps=ブカ輸送作戦}}。}}は輸送任務を帯びて[[ブカ島]]へむかうが、[[ニューブリテン島]]南端沖で[[アーレイ・バーク]]大佐指揮下の[[フレッチャー級駆逐艦|米軍駆逐艦]]5隻に襲撃される{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=150|ps=〔セント・ジョージ岬沖海戦〕}}。日本側3隻(大波、巻波、夕霧)は一方的に撃沈された{{Sfn|太平洋戦争の提督たち|1997|pp=161-162}}([[セント・ジョージ岬沖海戦]]){{Sfn|重本ほか、陽炎型|2014|pp=280-281|ps=夕霧(ゆうぎり)}}。 |
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== 艦歴 == |
== 艦歴 == |
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=== 竣工まで === |
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1939年度(マル4計画)仮称第120号艦として[[舞鶴海軍工廠]]で建造。[[1942年]](昭和17年)8月18日に竣工して一等駆逐艦に類別され、[[横須賀鎮守府]]籍となる。 |
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1939年度(④計画)仮称第120号艦として、[[舞鶴海軍工廠]]で建造{{Sfn|福井、日本駆逐艦物語|1993|p=289a|ps=日本海軍駆逐艦艦名一覧/巻波}}。 |
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[[1941年]](昭和16年)10月25日、「巻波」の艦名が与えられる<ref name="S16達328号" />。同日付で夕雲型に類別された<ref>[[#内令昭和16年10月(3)]] p.37</ref>{{Efn|舞鶴海軍工廠が建造した夕雲型駆逐艦は6隻(夕雲、巻波、早波、浜波、沖波、早霜)である{{Sfn|舞廠造機部|2014|p=186|ps=帝国海軍駆逐艦・水雷艇建造小史(15)}}。}}。 |
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12月27日、「巻波」は進水した<ref name="S1612舞鎮(1)10" /><ref>[[#S1612舞鎮日誌(1)]] p.76</ref>。同日付で舞鶴鎮守府籍となる<ref>[[#内令昭和16年12月(4)]] pp.20-21</ref>。 |
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[[1942年]](昭和17年)6月30日、日本海軍は[[人見豊治]]中佐<ref name="大正kp2949">[{{NDLDC|2955066/14}} 大正11年6月2日(金)官報第2949号。国立国会図書館デジタルコレクション]コマ14人見補少尉候補生〈58下段〉・隈部傳・吉川補少尉候補生〈59上段〉、有馬時吉補少尉候補生〈59中段〉</ref> を巻波艤装員長に任命する<ref name="jirei891">{{アジア歴史資料センター|C13072085900|昭和17年6月30日(発令6月30日付)海軍辞令公報(部内限)第891号 p.33}}</ref>{{Efn|人見中佐は、駆逐艦「[[水無月 (睦月型駆逐艦)|水無月]]」水雷長<ref>[{{NDLDC|2957946/13}} 昭和6年12月2日(水)官報第1478号。国立国会図書館デジタルコレクション]コマ13人見補職</ref><ref name="kp2364">[{{NDLDC|2958840/11}} 昭和9年11月16日(金)官報第2364号。国立国会図書館デジタルコレクション]コマ11人見補職</ref>、軽巡「[[大井 (軽巡洋艦)|大井]]」水雷長<ref name="kp2364" />、駆逐艦「[[村雨 (白露型駆逐艦)|村雨]]」艦長<ref>{{アジア歴史資料センター|C13072076400|昭和14年10月16日(発令10月15日付)海軍辞令公報(部内限)第391号 p.22人見補職}}</ref><ref name="jirei555">{{アジア歴史資料センター|C13072079500|昭和15年11月15日(発令11月15日付)海軍辞令公報(部内限)第555号 p.13人見補職、p.18末永直二(補村雨艦長)}}</ref>、駆逐艦「[[白雲 (吹雪型駆逐艦)|白雲]]」艦長<ref name="jirei555" /> 等を歴任していた。}}。 |
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8月31日、[[第二水雷戦隊]]([[田中頼三]][[少将]])第三十一駆逐隊に長波とともに編入された。9月6日、第三戦隊([[戦艦]]「[[金剛 (戦艦)|金剛]]」、[[榛名 (戦艦)|榛名]]。[[栗田健男]][[中将]])を護衛して[[豊後水道]]を出撃し<ref>『第二水雷戦隊戦時日誌』C08030097300, pp.6</ref>、9月10日に[[チューク諸島|トラック諸島]]に到着した<ref name="a">木俣『日本戦艦戦史』173ページ</ref>。ただちに補給を受けた後、翌9月11日にトラックを出撃して2日後に[[第二艦隊 (日本海軍)|第二艦隊]]([[近藤信竹]]中将)の主力に合流した<ref name="a"></ref>。[[ソロモン諸島]]東方海域で行動の後、9月23日にトラックに帰投<ref>『支援部隊前進部隊第三戦隊戦闘詳報第五号』</ref>。引き続き第三戦隊を護衛し、10月11日にトラックを出撃。第三戦隊による10月14日の砲撃([[ヘンダーソン基地艦砲射撃]])を援護した後、再度第二艦隊に合流して[[重巡洋艦]]部隊の護衛に回った<ref>木俣『日本水雷戦史』214ページ</ref>。10月26日の[[南太平洋海戦]]を経て、10月30日にトラックに帰投した<ref>『第二水雷戦隊戦闘詳報 第一二号』pp.72,73</ref>。 |
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同日付で艤装員事務所を設置した<ref>{{アジア歴史資料センター|C12070413300|昭和17年7月15日(水)海軍公報(部内限)第4142号 p.2}}</ref>。 |
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7月15日、「巻波」は予行運転中に機関故障を起こし、竣工予定を延期した<ref name="S1707舞鎮(1)p6">[[#S1707舞鎮日誌(1)]] pp.6-7</ref>。[[8月18日]]、竣工する<ref name="S1708舞鎮5">[[#S1708舞鎮日誌]] p.5</ref><ref>[[#S1708舞鎮日誌]] p.67</ref>。艤装員事務所を撤去した<ref>{{アジア歴史資料センター|C12070422300|昭和17年8月27日(木)海軍公報(部内限)第4179号 p.36}}</ref>。同日付で人見艤装員長は巻波駆逐艦長(初代)となる<ref name="jirei925">{{アジア歴史資料センター|C13072086600|昭和17年8月20日(発令8月20日付)海軍辞令公報(部内限)第925号 p.41}}</ref>。「巻波」は警備駆逐艦に指定された<ref>[[#内令昭和17年8月(2)]] p.45〔</ref><ref>[[#S1708横鎮日誌(4)]] p.3</ref>。8月20日、「巻波」は舞鶴を出撃した<ref>[[#S1708舞鎮日誌]] p.68、[[#S1708横鎮日誌(4)]] p.9</ref>。呉に立ち寄り<ref>[[#S1708横鎮日誌(4)]] p.16、[[#S1708横鎮日誌(4)]] p.3</ref>、つづいて横須賀へ移動する<ref>[[#S1708横鎮日誌(5)]] pp.26-28〔(イ)部下艦船部隊(特設ヲ含ム)ノ行動 〕</ref>。 |
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この頃、[[ガダルカナル島の戦い]]は一つの山を迎えつつあり、[[第38師団 (日本軍)|第三十八師団]]の一部が乗った輸送船団をガダルカナル島へ送ることとなった。11月12日に[[ショートランド諸島|ショートランド]]を出撃してガダルカナル島に向かったが、11月14日に空襲を受けて輸送船団は大きな被害を受け、残存の輸送船はガダルカナル島の海岸に擱座して果てた。ショートランドに帰投後、息つく暇も無く[[ドラム缶]]輸送([[鼠輸送|鼠輸送(東京急行)]])に参加。警戒隊としてガダルカナル島に向かう途中、[[カールトン・H・ライト]]少将率いる{{仮リンク|第67任務部隊|en|Task Force 67}}と交戦する([[ルンガ沖夜戦]])。[[酸素魚雷]]で重巡洋艦[[ノーザンプトン (重巡洋艦)|ノーザンプトン]] (''USS Northampton, CA-26'') を撃沈し、他の重巡洋艦3隻を大破させたが、巻波は魚雷を発射しなかった<ref>木俣『日本水雷戦史』244ページ</ref>。12月3日、ガダルカナル島への二回目のドラム缶輸送に従事中、敵機の攻撃を受けて小破し7名が戦死した。 |
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だが[[第二航空戦隊]]([[飛鷹 (空母)|飛鷹]]、[[隼鷹 (空母)|隼鷹]])の指揮を受けるように[[連合艦隊]]から下令があり<ref>[[#S1708横鎮日誌(5)]] p.6</ref>、8月31日呉に到着した<ref>[[#S1708横鎮日誌(5)]] p.20〔 三十一日〇九〇〇巻波艦長(宛略)〇八〇〇呉着 〕</ref>。 |
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=== 昭和17年の行動 === |
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年が明けて[[1943年]](昭和18年)1月12日から24日まで、[[ニューギニア島]][[ウェワク]]輸送作戦に参加する。2月1日、[[ケ号作戦|第一次ガダルカナル撤収作戦]]では第三水雷戦隊司令官[[橋本信太郎]]少将の[[旗艦]]としてガダルカナル島に向かった<ref name="aa">木俣『日本水雷戦史』256ページ</ref>。しかし、同日夕刻に敵機との交戦中、至近弾により大破し、36名が戦死し航行不能となった。橋本少将を[[白雪 (吹雪型駆逐艦)|白雪]]に移した後<ref name="aa"></ref>、[[文月 (睦月型駆逐艦)|文月]]に曳航されショートランドで仮修理工事を実施し、さらにトラックで応急修理を行った後、4月24日から9月14日まで舞鶴海軍工廠で本格的な復旧工事を実施した。 |
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[[1942年]](昭和17年)8月31日、日本海軍は「[[長波 (駆逐艦)|長波]]」{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=94c|ps=「長波(ながなみ)」}}と「巻波」により'''第31駆逐隊'''を編制した<ref name="S17内令1622" /><ref>[[#S1708横鎮日誌(5)]] p.20</ref>。初代駆逐隊司令に[[清水利夫]]大佐(当時、[[初春型駆逐艦#第二十一駆逐隊|第21駆逐隊]]司令){{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=182}}<ref name="大正kp1892">[{{NDLDC|2954006/4}} 大正7年11月22日 官報第1892号。国立国会図書館デジタルコレクション]コマ3香川補少尉候補生〈445下段〉、コマ4清水(旧姓吉富)補少尉候補生〈446上段〉</ref> を任命する<ref name="jirei931">{{アジア歴史資料センター|C13072086700|昭和17年8月31日(発令8月31日付)海軍辞令公報(部内限)第931号 p.21}}</ref>。司令駆逐艦は「巻波」となった<ref>[[#S1709二水戦日誌(1)]] p.6〔(ロ)九月中ノ2sd艦隊區分 〕</ref>。第31駆逐隊は[[第二水雷戦隊]]{{Efn|当時の第二水雷戦隊司令官は[[田中頼三]][[少将]]であった。二水戦の旗艦は軽巡洋艦「[[神通 (軽巡洋艦)|神通]]」だったが、[[第二次ソロモン海戦]]で中破したため<ref name="丸写真九37">[[#写真九軽巡|写真日本の軍艦9巻]] 37頁〔 軽巡洋艦『川内、神通、那珂』行動年表 ◆神通◆ 〕</ref>、軽巡「[[五十鈴 (軽巡洋艦)|五十鈴]]」<ref name="丸写真八175">[[#写真八軽巡|写真日本の軍艦8巻]] 175-176頁〔 軽巡洋艦『長良・五十鈴・名取』行動年表 ◆五十鈴◆ 〕</ref> に交代した{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=205-206|ps=金剛らの砲撃と二水戦(十月十四日)}}。}}に編入された<ref>[[#S1709二水戦日誌(1)]] p.3</ref>。 |
|||
さらに[[金剛型戦艦]]([[金剛 (戦艦)|金剛]]、[[榛名 (戦艦)|榛名]])と第31駆逐隊(巻波、長波)で前進部隊の待機部隊を編成{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=84}}、内海西部で訓練を実施した<ref>[[#S1701三戦隊日誌(5)]] pp.4-5、[[#S1709二水戦日誌(1)]] pp.4-5</ref>。 |
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[[9月6日]]<ref name="S1709二水戦(2)p59">[[#S1709二水戦日誌(2)]] p.59〔 六(天候略)六.一七〇〇31dg(3Sト共ニ)「トラック」ニ向ケ豊後水道出撃 〕</ref><ref>[[#S17.07呉防戦日誌(3)]] pp.35-36〔 九月六日〕</ref>、第三戦隊司令官[[栗田健男]]中将<ref>[{{NDLDC|2951474/4}} 明治43年07月19日 官報第8122号。国立国会図書館デジタルコレクション]コマ4栗田補少尉候補生〈419上段〉</ref> 指揮のもと戦艦「金剛」(第三戦隊旗艦)<ref name="写真二金剛38">[[#写真二戦艦|写真日本の軍艦2巻]] 38-39頁〔 戦艦『金剛』行動年表 〕</ref> と「榛名」<ref name="写真二榛名168">[[#写真二戦艦|写真日本の軍艦2巻]]、168-169頁〔 戦艦『榛名』行動年表 〕</ref>、第31駆逐隊は[[豊後水道]]を出撃した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=84}}<ref>[[#S1701三戦隊日誌(5)]] p.18</ref>。9月10日に[[チューク諸島|トラック諸島]]に到着した<ref name="写真二金剛38" /><ref name="写真二榛名168" /><ref name="a">木俣『日本戦艦戦史』173ページ</ref>。戦艦「[[大和 (戦艦)|大和]]」所在の連合艦隊司令部で打ち合わせを行い、並行して補給を受ける<ref>[[#S1701三戦隊日誌(5)]] p.19</ref>。前進部隊本隊に編入後{{Efn|9月8日時点での支援部隊軍隊区分より、前進部隊本隊編成<ref name="『戦史叢書83』85-86頁の軍隊区分表より。">{{Harvnb|戦史叢書83|1975|pp=85-86}}の軍隊区分表より。</ref> |
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修理を終えた後、巻波は[[上海市|上海]]に回航されて[[第17師団 (日本軍)|第十七師団]]輸送の第一次丁二号輸送に参加。10月2日にトラックを経由して[[ラバウル]]に進出し、輸送任務を終えた<ref name="b">『第二水雷戦隊戦時日誌』C08030101300, pp.7</ref>。トラックに帰投後は[[第三艦隊 (日本海軍)|第三艦隊]]([[小沢治三郎]][[中将]])と行動をともにして[[エニウェトク環礁]]に進出<ref name="b"></ref>。その後、僚艦の[[大波 (駆逐艦)|大波]]とともに[[カビエン]]への輸送任務を行い、ラバウルに到着後は第十戦隊([[大杉守一]]少将)の指揮下に入って、[[ブーゲンビル島]][[タロキナ岬|タロキナ]]輸送に輸送隊として参加した<ref>木俣『日本水雷戦史』389ページ</ref>。 |
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* 第四戦隊:愛宕、高雄、摩耶 |
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* 第三戦隊:金剛、榛名 |
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* 第五戦隊:妙高、羽黒 |
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* 第八戦隊:利根、筑摩 |
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* 第二水雷戦隊:神通、第15駆逐隊(黒潮、親潮、早潮)、第31駆逐隊(長波、'''巻波''') |
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* 第四水雷戦隊:由良、第2駆逐隊(春雨、五月雨)、第9駆逐隊(朝雲、夏雲、峯雲)}}{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=84}}、9月11日にトラック泊地を出撃する<ref>[[#S1709二水戦日誌(2)]] p.66〔一一(天候略)三.〇五〇〇3S 31dg「トラック」出撃AdBニ向ケ追及 〕</ref><ref>[[#S1701三戦隊日誌(5)]] p.19</ref>。 |
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第二艦隊を基軸とする前進部隊(指揮官[[近藤信竹]]第二艦隊司令長官{{Efn|近藤中将は1942年9月時点での兵力部署においては、支援部隊指揮官と前進部隊指揮官を兼務する<ref name="『戦史叢書83』85-86頁の軍隊区分表より。">{{Harvnb|戦史叢書83|1975|pp=85-86}}の軍隊区分表より。</ref>。第二艦隊旗艦は、ほぼ一貫して重巡洋艦「[[愛宕 (重巡洋艦)|愛宕]]」であった。}})に合流した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=117}}<ref>[[#S1701三戦隊日誌(5)]] p.19</ref><ref>[[#S1709二水戦日誌(3)]] p.5</ref>。 |
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9月中旬の日本陸軍ガ島総攻撃は失敗({{Ill|血染めの丘の戦い|en|Battle of Edson's Ridge}}){{Sfn|日米死闘の島|1972|pp=98-102|ps=川口支隊攻撃開始}}、日本海軍各艦隊はトラック泊地にもどった{{Sfn|戦史叢書62|1973|pp=189-190|ps=第二師団の「ガ」島飛行場総攻撃の失敗}}{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=143}}。第31駆逐隊はトラック泊地での警戒任務につく<ref>[[#S1709二水戦日誌(1)]] p.5</ref>。9月29日、第五戦隊の重巡洋艦「[[羽黒 (重巡洋艦)|羽黒]]」が修理のため佐世保に戻ることになり<ref>[[#S1706五戦隊日誌(3)]] p.6〔(二)二十九日〇七〇〇羽黒修理工事ノ爲佐世保ニ向ケ出港ス 〕</ref><ref>[[#写真五重巡|写真日本の軍艦5巻]] 234頁〔 重巡洋艦『羽黒』行動年表 〕</ref>、「巻波」がトラック泊地近海まで護衛した<ref>[[#S1709二水戦日誌(2)]] p.53</ref>。 |
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10月1日、第31駆逐隊に夕雲型6番艦「[[高波 (駆逐艦)|高波]]」{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=94b|ps=「高波(たかなみ)」}}が編入され、3隻編制(長波、巻波、高波)となる{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=182}}<ref name="S17内令1824">[[#内令昭和17年10月(1)]]、pp.1-2</ref>。清水司令は司令駆逐艦を「高波」に指定した<ref name="S17海軍公報(部内限)4270">{{アジア歴史資料センター|C12070423900|昭和17年12月18日(金)海軍公報(部内限)第4270号 p.49}}</ref>。 |
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日本軍はアメリカ軍の次の目標をブーゲンビル島北西の[[ブカ島]]とにらみ<ref name="d">木俣『日本水雷戦史』401ページ</ref>、戦力強化のため第十七師団の一部をラバウルより輸送することとなった<ref name="d"></ref>。第一次輸送は11月21日に行われ、妨害を受けることなく輸送は成功した<ref name="d"></ref>。11月24日、第二次輸送のためラバウルを出撃。ブカ島に兵員、物資を陸揚げし、代わりにラバウルに引き上げる海軍の航空要員600名を乗せて、22時45分にブカ島を離れた<ref>木俣『日本水雷戦史』402ページ</ref>。 |
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10月11日、前進部隊(第二艦隊)はトラックを出撃する<ref>[[#写真六重巡|写真日本の軍艦6巻]] 37頁〔 重巡洋艦『高雄・愛宕』行動年表 ◇愛宕◇ 〕</ref>。第二水雷戦隊司令官[[田中頼三]]少将<ref name="大正kp420">[{{NDLDC|2952520/3}} 大正2年12月20日 官報第420号。国立国会図書館デジタルコレクション]コマ3田中(旧姓本間)頼三補少尉候補生・橋本信太郎補海軍少尉候補生・高間完補少尉候補生</ref> が指揮する第二水雷戦隊(軽巡「[[五十鈴 (軽巡洋艦)|五十鈴]]」〈二水戦旗艦〉<ref name="丸写真八175" />、[[陽炎型駆逐艦#第十五駆逐隊|第15駆逐隊]]〈[[親潮 (駆逐艦)|親潮]]、[[黒潮 (駆逐艦)|黒潮]]、[[早潮 (駆逐艦)|早潮]]〉{{Efn|第15駆逐隊所属の駆逐艦[[陽炎 (陽炎型駆逐艦)|陽炎]]は別行動で、飛行場砲撃に参加せず{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=205-206|ps=金剛らの砲撃と二水戦(十月十四日)}}。}}、[[白露型駆逐艦#第二十四駆逐隊|第24駆逐隊]]〈[[海風 (白露型駆逐艦)|海風]]、[[江風 (白露型駆逐艦)|江風]]、[[涼風 (駆逐艦)|涼風]]〉、[[夕雲型駆逐艦#第三十一駆逐隊|第31駆逐隊]]〈高波、'''巻波'''、長波〉)は、[[ガダルカナル島]][[ホニアラ国際空港|ヘンダーソン飛行場]]に対し[[艦砲射撃]]を実施予定の第三戦隊(金剛、榛名)を護衛する{{Sfn|戦史叢書77|1974|p=284}}{{Sfn|落日の日本艦隊|2014|pp=163-165|ps=挺身射撃隊と挺身輸送船団}}挺身攻撃隊(指揮官・栗田健男第三戦隊司令官)としてトラック泊地を出撃した{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=211-212|ps=進撃}}。 |
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その帰途の11月25日、[[ニューアイルランド島]][[セント・ジョージ岬]]東方海上で[[アーレイ・バーク]][[大佐]]率いる{{仮リンク|第23駆逐部隊|en|Destroyer Squadron 23}}の先制雷撃を受け([[セント・ジョージ岬沖海戦]])、魚雷の命中により左側に傾斜した。やがて接近してきたアメリカ軍の駆逐艦[[:en:USS Converse (DD-509)|コンヴァース]] (''USS Converse, DD-509'') および[[:en:USS Spence (DD-512)|スペンス]] (''USS Spence, DD-512'') からの砲雷撃を受けた。巻波が何とか発射した反撃の魚雷1本はコンバースに命中したが、爆発しなかった<ref name="e">木俣『日本水雷戦史』405ページ</ref>。コンバースからの魚雷5本を含めて乱打された巻波は未明1時ごろに沈没していった<ref name="e"></ref>。駆逐艦長[[人見豊治]]中佐以下多くの乗員が巻波と運命をともにしたが、巻波の生存者29名は[[カッター (船)|カッター]]に乗り移り、ラバウルに帰還する事ができた。 |
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応援の[[吹雪型駆逐艦#第十九駆逐隊|第19駆逐隊]](哨戒任務)と共に{{Sfn|戦史叢書77|1974|p=285}}、10月14日のヘンダーソン飛行場砲撃([[ヘンダーソン基地艦砲射撃]])<ref>[[#写真二戦艦|写真日本の軍艦2巻]]、168-169頁「ガ島砲撃と零式弾」</ref> を援護した後、前進部隊(第二艦隊)に合流する{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=213-214|ps=射撃の実施}}。この艦砲射撃で、二水戦は米軍の魚雷艇部隊を撃退した{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=205-206|ps=金剛らの砲撃と二水戦(十月十四日)}}。 |
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ヘンダーソン飛行場は損害を受けたが、10月15日には一部が復旧して飛行機が発進した{{Sfn|日米死闘の島|1972|pp=125-126|ps=ヘンダーソン飛行場を砲撃}}。米軍機はガ島揚陸中の日本軍輸送船団に空襲を加え<ref>[[#S1706五戦隊日誌(4)]] pp.6-7</ref>、輸送船3隻が炎上した{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=287-288}}{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=206-210|ps=高速船団突入と第四水戦(十月十四日)}} |
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輸送船団の苦戦を知った連合艦隊は、前進部隊の重巡「[[妙高 (重巡洋艦)|妙高]]」<ref>[[#写真五重巡|写真日本の軍艦5巻]] 44-45頁〔 重巡洋艦『妙高』行動年表 〕</ref> と重巡「[[摩耶 (重巡洋艦)|摩耶]]」<ref>[[#写真六重巡|写真日本の軍艦6巻]] 109頁〔 重巡洋艦『摩耶』行動年表 〕</ref> に飛行場砲撃を命じ{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=287-288}}、これを二水戦(五十鈴、高波、巻波、長波)が護衛する{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=222a|ps=第五戦隊の飛行場射撃}}{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=226-229|ps=前進部隊の作戦}}。同日夜、5隻は艦砲射撃を敢行した{{Sfn|落日の日本艦隊|2014|p=166}}{{Sfn|重巡摩耶|2002|pp=150-152}}。発射弾数は妙高476発、摩耶450発、第31駆逐隊253発と記録されている{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=222b}}。 |
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戦場を離脱後、第二水雷戦戦は10月17日夜に前進部隊{{Efn|前進部隊指揮官は、[[第二艦隊 (日本海軍)|第二艦隊]]司令長官[[近藤信竹]]中将。}}および南雲機動部隊{{Efn|機動部隊指揮官は、[[第三艦隊 (日本海軍)|第三艦隊]]司令長官[[南雲忠一]]中将、旗艦「翔鶴」。}}と合流し<ref>『第二水雷戦隊戦闘詳報』pp.73</ref>、補給を行いつつ敵を求めて進撃を続けた{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=232-233}}。 |
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10月26日の[[南太平洋海戦]]{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=312-316|ps=南太平洋海戦}}における第二水雷戦隊は<ref name="S1709二水戦(5)p5">[[#S1709二水戦日誌(5)]] p.5</ref>、前進部隊(支援部隊)に所属してアメリカ軍機動部隊と交戦した{{Efn|支援部隊/前進部隊指揮官は第二艦隊司令長官[[近藤信竹]]中将:第四戦隊(愛宕、高雄)、第三戦隊(金剛、榛名)、第五戦隊(妙高、摩耶)、[[第二航空戦隊]](司令官[[角田覚治]]少将:空母[[隼鷹 (空母)|隼鷹]])、二水戦など{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=214-216|ps=南太平洋海戦とその波紋}}{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=273-275|ps=支援部隊の編制}}。}}。10月30日、二水戦はトラックへ帰投した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=306}}。 |
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11月3日、「巻波」を含め支援部隊の一部{{Efn|重巡「[[鈴谷 (重巡洋艦)|鈴谷]]」「[[摩耶 (重巡洋艦)|摩耶]]」、第二水雷戦隊、第10駆逐隊(風雲、夕雲、巻雲)。<br/>{{Harvnb|戦史叢書77|1974|p=346}}では連合艦隊電令作第366号(11月1日)による編入艦について「重巡2、二水戦(五十鈴、駆逐艦10)、第十戦隊の駆逐隊一(第31駆逐隊の駆逐艦3)を外南洋部隊に編入」と記述するが、第31駆逐隊は二水戦所属。第十戦隊の駆逐隊とは、第10駆逐隊のことで、同部隊の「[[秋雲 (駆逐艦)|秋雲]]」は別行動中。}}は外南洋部隊(指揮官[[三川軍一]]第八艦隊司令長官)に編入され{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=325-327|ps=兵力の再編制}}、トラックを出撃して[[ショートランド諸島|ショートランド]]に向かう{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=345-346|ps=聯合艦隊の態勢整理}}。 |
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11月5日、ショートランド泊地において外南洋部隊増援部隊指揮官の職務は、第三水雷戦隊司令官・[[橋本信太郎]]少将から第二水雷戦隊司令官・田中頼三少将に引き継がれた{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=349}}。ガダルカナル島への[[鼠輸送]]に従事していた第三水雷戦隊は、トラック泊地へ戻る{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=214-216|ps=南太平洋海戦とその波紋}}。これ以降、ガ島への駆逐艦輸送作戦は田中少将が指揮することになった<ref name="S1711二水戦(4)p7">[[#S1711二水戦日誌(4)]] p.7</ref>。 |
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11月6日深夜、第15駆逐隊司令[[佐藤寅治郎]]大佐指揮下の甲増援隊はショートランド泊地を出撃する{{Efn|甲増援隊の編成{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=350-351|ps=七日の輸送}} |
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* 第15駆逐隊(親潮、早潮、陽炎) |
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* 第24駆逐隊(海風、江風、涼風) |
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* 第31駆逐隊(高波、'''巻波'''、長波) |
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* [[夕雲型駆逐艦#第十駆逐隊|第10駆逐隊]](夕雲、風雲)}}。 |
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途中で米軍爆撃機と小型機20数機の空襲を受け、「長波」と「高波」が損傷した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=351}}<ref>[[#S1709二水戦日誌(5)]] pp.15-16</ref>。甲増援隊は深夜にタサファロング沖に到着して糧食を降ろし、傷病兵と便乗者を乗せて帰投した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=351}}。 |
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11月10日朝、第10駆逐隊司令[[阿部俊雄]]大佐が指揮する増援輸送部隊{{Efn|駆逐艦5隻の編成{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=353a|ps=十日の輸送}} |
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* 第10駆逐隊(夕雲、巻雲、風雲) |
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* 第31駆逐隊('''巻波''') |
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* 第24駆逐隊(涼風)。}}は第十一戦隊弾着観測員と陸軍兵・物資を載せてショートランド泊地を出撃した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=353b}}。魚雷艇を撃退し、輸送任務に成功する{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=353b}}。[[第38師団 (日本軍)|第38師団]]の[[佐野忠義]]陸軍中将も上陸した{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=218}}。傷病兵を収容してガダルカナルを離れ、翌日午前中、帰投した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=353b}}。 |
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{{main|第三次ソロモン海戦}} |
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この頃、[[ガダルカナル島の戦い]]は一つの山場を迎えつつあり{{Sfn|日米死闘の島|1972|pp=150-151|ps=日本の大艦隊出現}}、日本軍は第38師団の兵力を輸送船団でガダルカナル島に揚陸することにした{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=353-354|ps=七 第二次船団輸送と第三次ソロモン海戦/聯合艦隊の船団輸送命令と各部隊作戦準備}}。11月13日以降、「巻波」以下の増援部隊は輸送船11隻を護衛し、ガダルカナル島に向かった{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=350-354|ps=大船団輸送決定の経緯}}{{Efn|指揮官は二水戦司令官[[田中頼三]]少将、旗艦は駆逐艦「[[早潮 (駆逐艦)|早潮]]」。第15駆逐隊(早潮〈二水戦旗艦〉、親潮、陽炎<!-- 黒潮は待機隊 -->)、第24駆逐隊(海風、江風、涼風)、第31駆逐隊(高波、巻波、長波)、[[天霧 (駆逐艦)|天霧]]、[[望月 (駆逐艦)|望月]]){{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=230-235|ps=第二次船団、全滅す(十一月十五日)}}。}}([[第三次ソロモン海戦]]){{Sfn|落日の日本艦隊|2014|p=167|ps=第三次ソロモン海戦}}{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=379-381|ps=第二次輸送船団の被爆}}。 |
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だがアメリカ軍機の波状攻撃を受け輸送船6隻が沈没{{Sfn|戦史叢書77|1974|p=359|ps=外南洋部隊の砲撃と船団の被害}}{{Sfn|日米死闘の島|1972|pp=158-159|ps=三川艦隊、飛行場を砲撃}}、「佐渡丸」が大破して駆逐艦「[[天霧 (駆逐艦)|天霧]]」と「[[望月 (駆逐艦)|望月]]」に護衛されてショートランド泊地へ退避する{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=380}}。「巻波」も陸軍将兵多数を艦内に収容{{Sfn|山本ほか、夕雲型|2015|pp=186-189|ps=苦肉の策だった東京急行}}、記録では1020名となっている{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=380}}。 |
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田中司令官は残存輸送船4隻と駆逐艦9隻を指揮してガ島への進撃を続行した<ref>[[#S1711二水戦日誌(1)]] pp.22-23</ref>。戦艦「[[霧島 (戦艦)|霧島]]」と駆逐艦「[[綾波 (吹雪型駆逐艦)|綾波]]」を撃沈した戦艦 「[[ワシントン (BB-56)|ワシントン]] ({{lang|en|USS ''Washington'', BB-56}}) 」が損傷艦と共に戦場を去ったあと{{Efn|輸送船団護衛中の二水戦から駆逐艦2隻(親潮、陽炎)が分離して「ワシントン」を狙ったが、有効な攻撃をおこなえなかった{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=229|ps=第二水戦の応援}}。}}、残存輸送船4隻はガダルカナルに突入する。 |
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11月15日未明に輸送船4隻(廣川丸、山浦丸、鬼怒川丸、山東丸)はガダルカナル島タサファンログ泊地に座礁揚陸を強行するが、アメリカ軍機と艦艇の攻撃で全滅した{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=234}}{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=397-398|ps=第二次輸送船団の壊滅}}。輸送船団の壊滅は{{Sfn|戦史叢書77|1974|p=363|ps=船団壊滅}}、南東方面の戦略に大きな影響を与えた{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=479-480|ps=第三十八師団船団輸送の失敗と連合軍のブナ方面上陸}}。揚陸できたのは人員だけで、重機材や弾薬はほとんど失われた{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=410-411|ps=戦略態勢の崩壊}}。 |
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11月15日22時、増援部隊各艦はショートランド泊地へ戻った{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=398}}。ショートランドに帰投後、息つく暇も無く、日本軍側は「鼠輸送」{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=425a-428|ps=駆逐艦輸送}}、連合軍側は「東京急行」と呼称する[[ドラム缶]]輸送に従事した{{Sfn|落日の日本艦隊|2014|pp=173-174|ps=ドラム缶による米麦輸送}}{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=429a-430|ps=ムンダ輸送開始}}。11月16日、連合軍は[[パプアニューギニア|東部ニューギニア]]の[[ブナ (パプアニューギニア)|ブナ]]へ上陸、情勢は緊迫の度合いを増した{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=411-413|ps=米軍のブナ方面上陸}}。外南洋部隊増援部隊の大部分はニューギニア方面への増援輸送作戦に投入され{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=421-422|ps=聯合艦隊の作戦/全般的作戦指導}}{{Sfn|戦史叢書77|1974|p=426}}、ショートランド泊地に残っていたのは駆逐艦5隻(高波、巻波、長波、黒潮、満潮)だけだった{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=429b}}{{Efn|「満潮」は第三次ソロモン海戦でショートランドで出撃準備中、連合軍の爆撃で損傷した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=377}}。}}。 |
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11月22日(途中引返し)と11月24日午前3時、「巻波」と駆逐艦「[[羽風 (駆逐艦)|羽風]]」は輸送船3隻(千早丸、神威丸、寶運丸)を護衛し、ショートランド泊地を出撃する{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=430}}<ref>[[#S1709八艦隊日誌(3)]] p.21〔 巻波 羽風 神威丸外二隻|一一-二五|第二次「ムンダ」輸送ヲ完了ス 〕</ref>。同日19時[[ニュージョージア島]]の[[ムンダ (ソロモン諸島)|ムンダ]]に到着した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=430}}。11月25日午前2時30分出発、夕刻ショートランド泊地に帰投した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=430}}。米潜水艦襲撃時には、「羽風」と共に応戦している{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=430}}。 |
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{{main|ルンガ沖夜戦}} |
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11月30日{{Sfn|戦史叢書77|1974|p=427}}、外南洋部隊増援部隊指揮官・田中頼三少将(第二水雷戦隊司令官、旗艦「長波」)の指揮下{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=459-460|ps=補給輸送作戦/十二月上中旬における概況}}、駆逐艦8隻はドラム缶輸送任務のためショートランド泊地を出撃、ガダルカナル島へむかう{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=431-432|ps=ドラム罐輸送計画}}。部隊編成は、警戒隊(長波、高波)、第一輸送隊(黒潮、親潮、[[陽炎 (陽炎型駆逐艦)|陽炎]]、巻波)、第二輸送隊(江風、涼風)である{{Sfn|連合軍艦艇撃沈す|2013|pp=120-122|ps="東京急行"をたたけ!}}{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=235-245|ps=痛快なルンガ沖夜戦(十二月)}}。これを[[カールトン・H・ライト]]少将率いる{{仮リンク|第67任務部隊|en|Task Force 67}}が迎撃、[[アイアンボトム・サウンド]]において夜間水上戦闘となった<ref>[[#S1711二水戦日誌(3)]] p.49〔「ルンガ」沖夜戰合戰圖(縮尺十萬分ノ一) 〕</ref>('''ルンガ沖夜戦'''){{Sfn|ニミッツ|1962|pp=141-143|ps=タッサファロンガ海戦}}{{Sfn|連合軍艦艇撃沈す|2013|pp=123-125|ps=必殺魚雷の勝利}}。日本側は「高波」が沈没し{{Sfn|戦史叢書77|1974|p=428}}、清水大佐(31駆司令)が戦死{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=184}}<ref>{{アジア歴史資料センター|C13072093800|昭和18年10月16日(発令昭和17年11月30日付)海軍辞令公報(部内限)第1241号 p.35}}</ref>。アメリカ側は重巡「[[ノーザンプトン (重巡洋艦)|ノーザンプトン]] ({{lang|en|USS ''Northampton'', CA-26}}) 」を喪失{{Sfn|日米死闘の島|1972|p=170|ps=日本の駆逐艦、米巡洋艦に勝つ}}、重巡3隻([[ミネアポリス (重巡洋艦)|ミネアポリス]]、[[ペンサコーラ (重巡洋艦)|ペンサコーラ]]、[[ニューオーリンズ (重巡洋艦)|ニューオーリンズ]])大破という損害だった{{Sfn|図解水雷戦隊|1996|pp=176-177|ps=ルンガ沖海戦}}{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=437-440|ps=米艦隊の戦闘}}。一方でドラム缶輸送作戦自体は失敗し、外南洋部隊は第二次ドラム缶輸送作戦を行うよう指導する{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=440}}。本戦闘で第31駆逐隊は「長波」と「巻波」に減少した<ref>[[#内令昭和17年12月分(4)]]、p.29</ref>。 |
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12月3日、田中少将の指揮下{{Sfn|大和最後の艦長|2011|p=199}}、第二次輸送作戦が実施される{{Sfn|戦史叢書77|1974|p=427}}{{Efn|第二次ドラム缶輸送部隊の編成{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=440a|ps=十二月三日}} |
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* 第15駆逐隊(親潮、黒潮、陽炎) |
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* 第31駆逐隊('''巻波'''、長波) |
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* 第24駆逐隊(江風、涼風) |
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* [[陽炎型駆逐艦#第四駆逐隊|第4駆逐隊]]([[嵐 (駆逐艦)|嵐]]、[[野分 (陽炎型駆逐艦)|野分]]){{Sfn|野分物語|2004|pp=39-40}} |
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* [[初春型駆逐艦#第九駆逐隊→第二十七駆逐隊|第27駆逐隊]]([[夕暮 (初春型駆逐艦)|夕暮]])}}。 |
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航行中、「巻波」は米軍機の空襲により損傷した<ref>[[#S1712外南洋部隊詳報(2)]] p.6</ref>。戦死者7名{{Sfn|半藤、ルンガ沖夜戦|1984|pp=258-259|ps=○巻波(まきなみ)}}。投下ドラム罐1,500個のうち、回収されたのは310個だった{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=247-248}}。作戦終了後、「巻波」は修理のためラバウルに回航されている<ref name="S1712二水戦(2)04">[[#S1712外南洋部隊詳報(2)]] p.4</ref><ref>[[#S1712外南洋部隊詳報(2)]] p.15</ref>。 |
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12月16日、駆逐艦6隻(長波、巻波、親潮、黒潮、陽炎、谷風)は[[ニュージョージア島]][[ムンダ (ソロモン諸島)|ムンダ]]への第一次第一回輸送作戦を実施した<ref>[[#S1709八艦隊日誌(3)]] p.61</ref>{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=453|ps=第一回輸送}}。揚陸作業中に夜間空襲を受け「陽炎」が小破した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=453|ps=第一回輸送}}<ref>[[#S1712外南洋部隊詳報(2)]] pp.19-20</ref>。12月21 - 22日<ref>[[#S1709八艦隊日誌(3)]] p.62〔 17dg(浜風磯風)巻波陽炎|一二-二一|第二回第一次「ムンダ」輸送ヲ實施ス 〕</ref>、[[陽炎型駆逐艦#第十七駆逐隊|第17駆逐隊]]司令指揮下の駆逐艦4隻([[谷風 (陽炎型駆逐艦)|谷風]]、[[浦風 (陽炎型駆逐艦)|浦風]]、巻波、陽炎)は第二回ムンダ輸送を実施した<ref>[[#S1712外南洋部隊詳報(2)]] p.6</ref>{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=454|ps=第二回輸送}}。つづいて駆逐艦4隻(江風、涼風、巻波、陽炎)をもって[[第一号型哨戒艇|第二号哨戒艇]]{{Efn|第二号哨戒艇は、[[峯風型駆逐艦]]の「[[灘風 (駆逐艦)|灘風]]」である<ref name="S15達72">{{アジア歴史資料センター|C12070106900|昭和15年1月~12月 達(防衛省防衛研究所)4月(1)}} pp.2-3</ref>。1940年(昭和15年)4月1日付で駆逐艦籍から除かれ、[[第一号型哨戒艇]]の「第二号哨戒艇」となった<ref name="S15達72" />。}}を護衛、同艦をガ島に擱坐させようという12月27日のラバウル出撃は、ムンダ飛行場に進出した日本軍戦闘機隊が大損害をうけて上陸掩護の見込みがなくなり{{Sfn|戦史叢書77|1974|p=463|ps=哨戒艇の擱坐輸送}}、ガダルカナルに向け航行中に中止となる<ref>[[#S1709八艦隊日誌(3)]] p.63、[[#S1712外南洋部隊詳報(2)]] p.27</ref>。 |
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各艦はショートランドを経てラバウルに戻った<ref>[[#S1712外南洋部隊詳報(2)]] p.7</ref>。 |
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[[12月29日]]付で第二水雷戦隊司令官は田中頼三少将から[[小柳冨次]]少将に交代した<ref>{{アジア歴史資料センター|C13072088700|昭和17年12月31日(発令12月29日付)海軍辞令公報(部内限)第1022号 p.12}}</ref><ref name="大正kp717">[{{NDLDC|2952824/5}} 大正3年12月21日 官報第717号。国立国会図書館デジタルコレクション]コマ5伊崎俊二(補少尉候補生)〈520下段〉、小柳冨次(補少尉候補生)〈521下段〉</ref>。小柳の着任にともない田中は退隊し{{Sfn|半藤、ルンガ沖夜戦|1984|pp=235-236}}、外南洋部隊増援部隊指揮官も田中少将から小柳少将に交代した{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=510-512|ps=一月二日}}。 |
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=== 昭和18年前半の行動 === |
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新任の第二水雷戦隊司令官・小柳冨次少将は、旗艦を「長波」に指定した{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=511-512}}。増援部隊各艦はラバウルからショートランド泊地へ進出する{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=511-512}}。月暗期になり、鼠輸送が再開された{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=511-512|ps=ガ島補給輸送}}。[[1943年]](昭和18年)1月2日午前11時、駆逐艦10隻はショートランド泊地を出撃する<ref>[[#S1801二水戦日誌(1)]] p.8</ref>{{Efn|駆逐艦10隻の編成は、警戒隊(長波、江風、涼風、'''巻波'''、荒潮)、輸送隊(親潮、黒潮、陽炎、[[磯波 (吹雪型駆逐艦)|磯波]]、[[電 (吹雪型駆逐艦)|電]])であった{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=511-512}}<ref>[[#S1801二水戦日誌(2)]] p.18〔 三.軍隊区分 〕</ref>。}}。 |
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途中の空襲で「涼風」が損傷、「[[電 (吹雪型駆逐艦)|電]]」に護衛されて避退した{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=511-512}}<ref>[[#S1801二水戦日誌(2)]] pp.28-29</ref>。水上偵察機の協力を得て魚雷艇の襲撃を撃退{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=250}}、他に被害を出さず輸送作戦は成功した{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=511-512}}。 |
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1月4日~7日にかけて、駆逐艦4隻(長波、巻波、江風、荒潮)はショートランド泊地とラバウルを往復、ラバウルでドラム缶を積み込むとショートランド泊地に戻った{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=512a-513|ps=一月十日}}。また駆逐艦「[[大潮 (駆逐艦)|大潮]]」(第8駆逐隊司令[[山代勝守]]大佐座乗){{Sfn|佐藤、艦長たち続篇|1984|pp=207-209|ps=徒労に帰した作戦}}もドラム缶を搭載してショートランドに到着、増援部隊に編入される{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=512b}}<ref>[[#S1801二水戦日誌(1)]] pp.15-16</ref>。一方、二水戦の「長波」「陽炎」「親潮」は艦の疲弊により作戦行動が難しくなり、トラック泊地に後退することになった{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=512b}}。 |
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1月10日~11日にかけて、二水戦隊司令官・小柳少将は駆逐艦8隻で第六次ガダルカナル島輸送作戦を実施する{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=513}}{{Efn|駆逐艦8隻の編成<ref>[[#S1801二水戦日誌(1)]] p.8〔</ref>。 |
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* 警戒隊([[黒潮 (駆逐艦)|黒潮]]、[[江風 (白露型駆逐艦)|江風]]、[[初風 (駆逐艦)|初風]]、[[時津風 (陽炎型駆逐艦)|時津風]]) |
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* 輸送隊([[嵐 (駆逐艦)|嵐]]、'''巻波'''、大潮、荒潮)}}。輸送作戦は、概ね成功した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=513}}。揚陸中、米軍魚雷艇の攻撃で駆逐艦「[[初風 (駆逐艦)|初風]]」が大破し{{Sfn|歴群23、秋月型|1999|pp=160-161|ps=「初風」(陽炎型)、2000トン}}{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=251}}、僚艦に曳航されて撤退した{{Sfn|大和最後の艦長|2011|p=208}}。小柳少将は第4駆逐隊司令・[[有賀幸作]]大佐と各艦を賞賛した<ref>[[#S1801二水戦日誌(2)]] p.40</ref>。 |
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本作戦をもって小柳少将は増援部隊指揮官の職務を第十戦隊司令官に引き継ぎ{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=513}}、「長波」に乗艦してトラック泊地に戻った<ref>[[#S1801二水戦日誌(1)]] p.4</ref><ref name="S1801二水戦(1)18">[[#S1801二水戦日誌(1)]] p.18</ref>。1月11日、第六次ガダルカナル島輸送作戦を終えた駆逐艦4隻(江風、巻波、大潮、荒潮)はニューギニア方面護衛部隊に編入され、ショートランド泊地を出発してラバウルへ向かった<ref name="S1801二水戦(1)18" />。 |
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1月中旬、ガダルカナル島撤退を内定していた日本海軍は、それまで手がまわらなかった北部ソロモン([[ブーゲンビル島]]、[[ブカ島]]など)と中部ソロモン([[ニュージョージア諸島]]、[[サンタイサベル島]]など){{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=37-41|ps=六 中部ソロモン方面兵力増援輸送/二月上旬までのソロモン方面防備の概要}}の防備強化に乗り出した{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=514-516|ps=一月初頭のソロモン諸島方面防備状況}}{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=516-518|ps=兵力の増援}}。ガ島飛行場砲撃を目的に編制された第八聯合特別陸戦隊(司令官[[大田実]]少将)が、この方面に配備されることになった{{Sfn|戦史叢書77|1974|p=425b|ps=第八聯合特別陸戦隊}}。外南洋部隊各艦は[[ソロモン諸島]]の防備強化に協力、輸送船護衛や駆逐艦輸送に従事する{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=516-518|ps=兵力の増援}}。また[[パプアニューギニア|東部ニューギニア]]の戦局も逼迫しており{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=28-31|ps=輸送開始前のニューギニア方面の情勢}}、並行してニューギニア方面増援輸送もおこなった{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=26-28|ps=五 ニューギニア方面兵力増援輸送/大本営の作戦指導}}。日本軍は中国大陸所在の[[第20師団 (日本軍)|第二十師団]]と[[第41師団 (日本軍)|第四十一師団]]をラバウル方面投入を決定し、この輸送作戦を「丙号輸送」と呼称、第九戦隊司令官[[岸福治]]少将が輸送部隊指揮官となった{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=30-36|ps=丙一号輸送}}{{Sfn|日本軽巡戦史|1989|pp=354-357|ps=大井、北上の丙号輸送(昭和十八年一月)}}。丙一号輸送部隊(軽巡「[[北上 (軽巡洋艦)|北上]]」「[[大井 (軽巡洋艦)|大井]]」、輸送船多数)は第二十師団をニューギニア島[[ウェワク]]へ揚陸するよう命じられた{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=32}}。第二特別根拠地隊司令官[[鎌田道章]]少将は2隻(巻波、第34号駆潜艇)で[[大発動艇]]を搭載した陸軍輸送船2隻を護衛し、ウェワクに進出することになった{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=33}}。1月14日、輸送部隊はラバウルを出発、1月18日ウェワクに進出した{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=33}}。1月19日~23日にかけて輸送船団はウェワクに到着{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=33}}、丙一号輸送は損害なく完了した{{Sfn|日本軽巡戦史|1989|p=356}}。 |
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1月20日、第31駆逐隊に夕雲型7番艦「[[大波 (駆逐艦)|大波]]」{{Sfn|山本ほか、夕雲型|2015|p=223c|ps=大波(おおなみ)}}{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=94d|ps=「大波(おおなみ)」}}が編入され、同隊は3隻(長波、巻波、大波)となった<ref name="S18内令43">[[#内令昭和18年1月(2)]]、p.25</ref>(「大波」は1月25日、トラック泊地着)<ref name="S1801二水戦(1)5p31dg">[[#S1801二水戦日誌(1)]] pp.5-6</ref>。 |
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「大波」駆逐艦長[[吉川潔]]中佐は{{Sfn|太平洋戦争の提督たち|1997|pp=161-162}}{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=181}}、人見(巻波艦長)とは海軍兵学校第50期の同期である<ref name="大正kp2949" />。 |
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1月21日、輸送船団救援中の秋月型駆逐艦「[[秋月 (駆逐艦)|秋月]]」(第十戦隊旗艦)が米潜水艦([[ノーチラス (潜水艦)|ノーチラス]])に雷撃されて損傷した{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=518-519}}<ref>[[#S1709八艦隊日誌(4)]] pp.36-37</ref>。その際に第十戦隊司令官[[木村進 (海軍軍人)|木村進]]少将が負傷したため{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=253-254|ps=六号輸送と第十戦隊司令官の負傷}}、第二水雷戦隊司令官・小柳冨次少将は21日付で第十戦隊司令官に任命された<ref name="jirei1040">{{アジア歴史資料センター|C13072089500|昭和18年1月25日(発令1月21日付)海軍辞令公報(部内限)第1040号 p.14}}</ref>。後任の二水戦司令官は[[伊崎俊二]]少将<ref name="大正kp717" /><ref name="jirei1040" /> である。小柳少将は1月23日に退隊してラバウルへ移動する{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=518-519}}。伊崎司令官は1月30日に着任し、軽巡「[[神通 (軽巡洋艦)|神通]]」に将旗を掲げた<ref>[[#S1801二水戦日誌(1)]] p.7</ref>。 |
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{{main|ガダルカナル島撤収作戦}} |
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ガダルカナル島撤退作戦のため、連合艦隊は南東方面部隊(指揮官[[草鹿任一]]南東方面艦隊司令長官)の駆逐艦を増強{{Efn|1943年1月20日、南東方面部隊に「長月」「文月」「皐月」「川内」「白雪」を編入。これ以降、第10駆逐隊、第16駆逐隊、第17駆逐隊を編入した。}}、また撤退作戦における予備指揮官として第三水雷戦隊(三水戦司令部、[[川内 (軽巡洋艦)|川内]]、[[白雪 (吹雪型駆逐艦)|白雪]])を編入した{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=534a-536|ps=外南洋部隊兵力部署}}。これらの増強戦力は、ただちに南東方面部隊麾下の外南洋部隊に編入された{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=534b}}。 |
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1月25日、第三水雷戦隊司令官[[橋本信太郎]]少将<ref name="大正kp420" /> は駆逐艦「白雪」に乗艦してラバウルからショートランド泊地に移動{{Efn|軽巡「川内」はラバウルから[[ニューアイルランド島]][[カビエン]]に回航された<ref name="丸写真九36">[[#写真九軽巡|写真日本の軍艦9巻]] 36頁〔 軽巡洋艦『川内、神通、那珂』行動年表 ◆川内◆ 〕</ref>。}}し、1月27日ショートランドに到着すると「巻波」に三水戦司令官の将旗を掲げた{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=536}}{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=254-264|ps=ガ島撤退、成功す}}{{Efn|第31駆逐隊は分散配置されていた<ref>[[#S1801二水戦日誌(3)]] p.7〔 三.第二水雷戰隊各(隊)行動要覧(斜線部航海中) 〕</ref>。「巻波」はガ島撤収作戦従事、「大波」は前進部隊として陽動作戦に従事、「長波」はトラック泊地で修理中だった<ref name="S1801二水戦(3)4">[[#S1801二水戦日誌(3)]] p.4</ref>。}}。 |
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1月29日の[[レンネル島沖海戦]]やガ島航空撃滅戦、[[ラッセル諸島|ルッセル島占領]]を経て{{Sfn|戦史叢書77|1974|pp=512-513|ps=ガ島撤退作戦}}、日本軍はガダルカナル島撤収作戦を発動する{{Sfn|佐藤、艦長たち続篇|1984|pp=11-12|ps=餓島生存者の救出}}{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=555-556|ps=五 増援部隊の撤収作戦}}。アメリカ軍は日本軍陽動作戦を「ガダルカナルに対する増援作戦」と判断し、ガダルカナル島地上部隊の行動が鈍った{{Sfn|日米死闘の島|1972|pp=192-195|ps=撤退かくす陽動作戦}}。 |
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第一次撤収部隊の兵力部署は、ガダルカナル島エスペランス岬へ向かう第三水雷戦隊と、同島のカミンボに向かう別働隊にわかれていた{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=556a-559|ps=第一次撤収(二月一日)}}。三水戦司令官指揮下のエスペランス隊は、警戒隊(三水戦旗艦〈'''巻波'''〉、一番隊〈第4駆逐隊司令・有賀幸作大佐{{Sfn|大和最後の艦長|2011|p=212}}、[[舞風 (駆逐艦)|舞風]]、[[江風 (白露型駆逐艦)|江風]]、[[黒潮 (駆逐艦)|黒潮]]〉、二番隊〈[[白雪 (吹雪型駆逐艦)|白雪]]、[[文月 (睦月型駆逐艦)|文月]]〉)、輸送隊(第十戦隊司令官・小柳冨次少将、第10駆逐隊〈[[風雲 (駆逐艦)|風雲]]、[[巻雲 (夕雲型駆逐艦)|巻雲]]、[[夕雲 (駆逐艦)|夕雲]]、[[秋雲 (駆逐艦)|秋雲]]〉、第17駆逐隊〈[[谷風 (陽炎型駆逐艦)|谷風]]、[[浦風 (陽炎型駆逐艦)|浦風]]、[[浜風 (陽炎型駆逐艦)|浜風]]、[[磯風 (陽炎型駆逐艦)|磯風]]〉{{Sfn|磯風、特年兵|2011|pp=88-89}})であった{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=556b}}。第16駆逐隊司令・[[荘司喜一郎]]大佐指揮下のカミンボ隊は{{Sfn|豊田、雪風|2004|pp=182-184}}、[[陽炎型駆逐艦#第十六駆逐隊|第16駆逐隊]]([[時津風 (陽炎型駆逐艦)|時津風]]、[[雪風 (駆逐艦)|雪風]])、[[朝潮型駆逐艦#第二十五駆逐隊→第八駆逐隊|第8駆逐隊]](大潮、[[荒潮 (駆逐艦)|荒潮]])、三番隊([[皐月 (睦月型駆逐艦)|皐月]]、[[長月 (睦月型駆逐艦)|長月]])であった{{Efn|この他に[[カビエン]]に待機する重巡「[[鳥海 (重巡洋艦)|鳥海]]」と重巡「[[熊野 (重巡洋艦)|熊野]]」、軽巡「川内」<ref name="丸写真九36" /> 等がおり、第七戦隊司令官[[西村祥治]]少将の指揮下にあった{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=536}}{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=556b}}。}}。 |
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1月31日、撤収部隊はショートランド泊地を出撃するが、南東方面部隊の命令により作戦は中止された{{Sfn|戦史叢書83|1975|pp=557-558}}。ガダルカナル島やサボ島周辺に米水上部隊が確認されたため、日本軍基地航空隊は空襲を敢行し、駆逐艦「[[ド・ヘイヴン (DD-469)|ド・ヘイヴン]] ({{lang|en|USS ''De Haven'', DD-469}}) を撃沈している([[レンネル島沖海戦#影響|イサベル島沖海戦]]){{Sfn|戦史叢書77|1974|p=516|ps=イサベル島沖海戦}}。ショートランド泊地も連合国軍機に空襲されたが、撤収部隊に被害はなかった{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=558b|ps=ショートランド泊地防空}}。 |
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2月1日午前9時30分、第一次撤収部隊の駆逐艦20隻は再度ショートランド泊地を出撃した{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=256}}。「巻波」は第三水雷戦隊司令官・[[橋本信太郎]]少将の[[旗艦]]としてガダルカナル島に向かった{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=558c}}。同日夕刻、撤収部隊は[[零式艦上戦闘機|零戦]]18機の掩護下で{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=559}}、ヘンダーソン基地から飛来した米軍機([[F4F (航空機)|F4F戦闘機]] 17、[[SBD (航空機)|SBD艦爆]] 17、[[TBF (航空機)|TBF艦攻]] 7 )と交戦する{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=561a-562|ps=ガ島の連合軍の作戦}}。 |
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対空戦闘中、「巻波」の右舷に爆弾1発が命中して機関部損傷、他に至近弾による損傷もうけ、航行不能となる{{Sfn|歴群23、秋月型|1999|p=164a|ps=「巻波」(夕雲型)、2077トン}}<ref>[[#S1801二水戦日誌(3)]] pp.45-46</ref>。36名が戦死{{Sfn|半藤、ルンガ沖夜戦|1984|pp=258-259|ps=○巻波(まきなみ)}}。戦傷者多数<ref>[[#S1801二水戦日誌(3)]] pp.46-47〔 巻波駆艦長(宛略)其ノ後調査ノ結果 〕</ref>。 |
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十戦隊司令官・小柳冨次少将は「我今ヨリ指揮ヲ執ル」を打電、損傷した「巻波」と護衛の駆逐艦「文月」と「白雪」を残して進撃した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=558c}}。橋本少将は旗艦を「巻波」から「白雪」に変更し、先行部隊を追いかけてガダルカナルへ向かった{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=256}}<ref>[[#S1802第17駆日誌(1)]] p.9</ref>。「巻波」は「文月」に曳航されて退避することになった{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=559}}{{Sfn|佐藤、艦長たち続篇|1984|pp=13-14}}。 |
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「巻波」の損傷と戦線離脱後、橋本司令官は「夕雲」と「巻雲」を輸送隊から警戒隊に編入した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=559}}。撤収作戦中に「巻雲」は米軍が敷設した[[機雷]]により大破{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=93|ps=「巻雲(まきぐも)」}}、「夕雲」により自沈処分となった<ref>[[#S1801二水戦日誌(3)]] pp.10-11、[[#S1802第17駆日誌(1)]] p.11</ref>。その他に被害はなく、第一次撤収作戦は成功した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=560}}。 |
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[[山本五十六]]連合艦隊司令長官は小柳少将に「巻波がやられ、『我今より指揮を執る』の電報に接したときは、この先どうなるかと心配した」と語ったという{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=561b}}。2月2日10時30分、「文月」に曳航された「巻波」はショートランドに到着した{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=560}}。同地で応急修理工事を実施する<ref name="S1801二水戦(3)4" />。ショートランド泊地からラバウルまでは、自力で撤退した{{Sfn|歴群23、秋月型|1999|p=164b}}。 |
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<!-- なお「巻波」の損傷と「巻雲」の沈没により、牽制部隊として行動していた駆逐艦「[[朝雲 (駆逐艦)|朝雲]]」(第9駆逐隊)と「[[五月雨 (駆逐艦)|五月雨]]」(第2駆逐隊){{sfn|五月雨出撃す|2010|pp=173-174}}は急遽最前線に進出、第二次作戦から撤収部隊に加わった{{Sfn|戦史叢書83|1975|p=562}}。 --> |
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ガダルカナル島撤収作戦(ケ号作戦)成功後、連合艦隊は兵力の再編を実施、「巻波」も原隊に復帰した{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=8-9|ps=兵力整理と聯合艦隊各部隊兵力部署}}。 |
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2月12日、「高波」沈没時に戦死した清水第31駆逐隊司令の後任として、[[香川清登]]大佐が補職される<ref name="大正kp1892" /><ref>{{アジア歴史資料センター|C13072089700|昭和18年2月15日(発令2月12日付)海軍辞令公報(部内限)第1053号 p.27}}</ref>。香川司令は、31駆司令駆逐艦を「大波」に指定する<ref>[[#S1801二水戦日誌(3)]] p.19</ref>。 |
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2月25日、夕雲型8番艦「[[清波 (駆逐艦)|清波]]」{{Sfn|山本ほか、夕雲型|2015|p=224a|ps=清波(きよなみ)}}(駆逐艦長[[有馬時吉]]中佐){{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=94e|ps=「清波(きよなみ)」}}が第31駆逐隊に編入され<ref name="S1801二水戦(3)4" />、31駆は夕雲型定数4隻(第1小隊:大波、清波/第2小隊:巻波、長波)を揃えた<ref name="S18内令312">[[#内令昭和18年2月(4)]] pp.48-49</ref><ref>[[#S1801二水戦日誌(3)]] p.6〔 軍隊區分 〕</ref>。 |
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巻波艦長の人見中佐、大波艦長の吉川中佐、清波艦長の有馬中佐、長波艦長の[[隈部伝]]中佐(11月25日免職)は<ref>{{アジア歴史資料センター|C13072094500|昭和18年11月25日(発令11月25日付)海軍辞令公報(部内限)第167号 p.41}}</ref>、4人とも海軍兵学校の同期生である<ref name="大正kp2949" />。 |
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2月27日、「巻波」は輸送船を護衛してラバウルを出発した<ref name="S1801二水戦(3)4" /><ref>[[#S1801二水戦日誌(3)]] p.22〔 二七(天候略)一.一五〇〇巻波恵昭丸ヲ護衛シ「トラツク」ニ向ケ「ラバウル」發 〕</ref>。3月2日以降はトラックで応急修理を行った<ref name="S1801二水戦(4)p3">[[#S1801二水戦日誌(4)]] p.3〔(ロ)巻波(二日以後)長波(七日迄)江風(自六日至二十日)ハ「トラック」ニ在リテ修理ニ從事 〕</ref><ref>[[#S1801二水戦日誌(4)]] p.10</ref>{{Efn|第31駆逐隊僚艦の「長波」は先に舞鶴に戻った<ref>[[#S1801二水戦日誌(4)]] p.7</ref>}}。 |
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3月29日、「巻波」の修理を舞鶴で行う事が決まる<ref>[[#S1801二水戦日誌(4)]] pp.36-37</ref>。 |
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4月15日、「巻波」は給糧艦「[[間宮 (給糧艦)|間宮]]」と特設運送艦「総洋丸」(東洋汽船、6,081トン)を護衛してトラック泊地を出発した<ref name="S1801二水戦(5)p6">[[#S1801二水戦日誌(5)]] p.6〔 四月一五日 同二二日|巻波|間宮 總洋丸|「トラツク」→内海西部 〕</ref><ref>[[#S1801二水戦日誌(5)]] pp.3-4</ref>。2隻 と分離後<ref>[[#S1804佐伯防備隊(2)]] p.26</ref>、4月24日に舞鶴へ到着した<ref>[[#S1801二水戦日誌(5)]] p.8、[[#S1801二水戦日誌(5)]] p.17</ref>。同日から9月中旬まで、「巻波」は舞鶴海軍工廠で本格的な復旧工事を実施した。 |
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=== 舞鶴での修理 === |
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1943年(昭和18年)4月24日、「巻波」は舞鶴に到着した{{Sfn|歴群23、秋月型|1999|p=164b}}<ref>[[#S1804舞鎮日誌]] p.68〔 二四(天候略)巻波損傷復舊工事ノ爲入港 〕</ref>。 |
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損傷各艦{{Efn|[[霞 (朝潮型駆逐艦)|霞]]と[[不知火 (陽炎型駆逐艦)|不知火]]{{Sfn|舞廠造機部|2014|pp=260-261}}、[[初春 (初春型駆逐艦)|初春]]、[[太刀風 (駆逐艦)|太刀風]](5月15日到着)、[[阿武隈 (軽巡洋艦)|阿武隈]](4月17日着、5月17日完成)、[[多摩 (軽巡洋艦)|多摩]](5月4日着、20日発)、[[名取 (軽巡洋艦)|名取]]〈6月1日着〉}}等と共に修理に従事する<ref name="S1804舞鎮p6">[[#S1804舞鎮日誌]] p.6</ref><ref>[[#S1805舞鎮日誌(1)]] pp.5-6</ref><ref name="S1806舞鎮5損傷" />。 |
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機関部の損傷は深刻で、人見艦長は舞鶴海軍工廠で修理中の「[[不知火 (陽炎型駆逐艦)|不知火]]」用機関を流用するよう提案している<ref>[[#S1801二水戦日誌(5)]] p.46</ref>。各方面は対応に苦慮することになった<ref>[[#S1801二水戦日誌(5)]] pp.46-47</ref>。 |
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5月20日、駆逐艦「[[霞 (朝潮型駆逐艦)|霞]]」(第四予備駆逐艦)の修理がおおむね完了した{{Sfn|舞廠造機部|2014|pp=260-261}}{{Efn|「霞」は燃料加熱装置搭載と試験をおこない6月30日修理完成、7月18日に舞鶴を出撃した<ref name="S1806舞鎮5損傷">[[#S1806舞鎮日誌]] p.5</ref><ref>[[#S1807舞鎮日誌(1)]] p.8</ref>。}}。 |
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同日付で巻波艦長・人見豊治中佐は、「巻波」に加えて「不知火」「[[初春 (初春型駆逐艦)|初春]]」艦長の兼務を命じられ、[[山名寛雄]]少佐(「霞」駆逐艦長)は(霞、不知火、初春)艦長兼務を解かれた<ref name="jirei1021">{{アジア歴史資料センター|C13072091000|昭和18年5月21日(発令5月20日付)海軍辞令公報(部内限)第1021号 p.46}}</ref>。 |
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「巻波」では、機関部修理と並行して[[電波探信儀]]([[レーダー]])搭載の工事を実施した<ref>[[#S1807舞鎮日誌(2)]] p.12〔 十五(天候略)工廠工事 巻波假稱電波探信儀装備工事ニ着手 〕</ref>。 |
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8月になると、軽巡「[[長良 (軽巡洋艦)|長良]]」<ref name="丸写真八174">[[#写真八軽巡|写真日本の軍艦8巻]] 174-175頁〔 軽巡洋艦『長良・五十鈴・名取』行動年表 ◆長良◆ 〕</ref> と「[[名取 (軽巡洋艦)|名取]]」<ref>[[#写真八軽巡|写真日本の軍艦8巻]] 176-177頁〔 軽巡洋艦『長良・五十鈴・名取』行動年表 ◆名取◆ 〕</ref>、駆逐艦「長波」{{Efn|「長波」は北方部隊に編入され、第一水雷戦隊司令官[[木村昌福]]少将の指揮下で[[キスカ島撤退作戦]]に従事<ref name="S1806二水戦(2)4" />。作戦終了後、8月7日に舞鶴到着。}}、「大波」(8月12日に舞鶴到着)等も、舞鶴海軍工廠で「巻波」と共に修理に従事する<ref name="S1806二水戦(2)4">[[#S1806二水戦日誌(2)]] pp.4-5</ref><ref>[[#S1808舞鎮日誌]] pp.9-10</ref>。 |
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9月10日、人見中佐は「不知火」「初春」艦長兼務を解かれ、巻波艦長のみとなる<ref name="jirei1211">{{アジア歴史資料センター|C13072092900|昭和18年9月10日(発令9月10日付)海軍辞令公報(部内限)第1211号 p.15人見免職、p.16飛田補職}}</ref>。「巻波」の修理は9月15日に完了した<ref name="S1809舞鎮(1)9">[[#S1809舞鎮日誌(1)]] pp.9-10</ref><ref>[[#S18.08護国丸日誌(2)]] p.30</ref>。第31駆逐隊の夕雲型3隻(長波、巻波、大波)は順次[[舞鶴港|舞鶴]]を離れた<ref name="S1809舞鎮(1)9" /><ref name="S1806二水戦(3)13" />。 |
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=== 戦線復帰 === |
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1943年(昭和18年)9月15日の修理完成後{{Sfn|歴群23、秋月型|1999|p=164b}}、「巻波」は舞鶴から[[上海市|上海]]に移動した{{Efn|途中から特設巡洋艦「[[清澄丸 (特設巡洋艦)|清澄丸]]」を護衛、9月19日着<ref>[[#S1806二水戦日誌(3)]] p.93</ref>。}}。 |
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日本軍は南東方面各地の防衛強化のため、[[支那派遣軍]]の隷下にあった[[第17師団 (日本軍)|第17師団]]{{Sfn|戦史叢書67|1973|pp=56-62|ps=第十七師団の南東派遣と第一航空戦隊の投入問題}}(師団長[[酒井康 (陸軍軍人)|酒井康]]陸軍中将)を[[第8方面軍 (日本軍)|第8方面軍]]に編入していた{{Sfn|戦史叢書40|1970|pp=520-521|ps=第十七師団の派遣問題}}{{Sfn|戦史叢書67|1973|pp=43-44|ps=北部ソロモン、ビスマルク諸島の防衛強化}}。第十七師団の第一梯団(人員5940名、車両650輌、諸物件6,800立米){{Sfn|戦史叢書96|1976|p=337|ps=参考 第十七師団}}を[[ニューブリテン島]]ラバウルへ移動させる「丁二号輸送」が実施された<ref>[[#S18.08護国丸日誌(2)]] pp.14-15、[[#S1806二水戦日誌(3)]] p.5</ref>。 |
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第一潜水戦隊司令官・[[古宇田武郎]]少将(旗艦「平安丸」){{Sfn|佐藤、艦長たち続篇|1984|p=171|ps=(横田稔中佐、元[[伊号第二十六潜水艦|伊26]]艦長は、第一潜水戦隊参謀として本作戦参加。}}を指揮官とする丁二号輸送船団が編成された{{Sfn|戦史叢書79|1975|p=392|ps=支那方面艦隊の海上交通保護作戦}}{{Sfn|戦史叢書62|1973|pp=436-438|ps=第十七師団の南東方面への派遣}}。 |
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輸送船団は、駆逐艦3隻(巻波、[[山雲 (駆逐艦)|山雲]]、[[響 (吹雪型駆逐艦)|響]])、水上機母艦「[[秋津洲 (水上機母艦)|秋津洲]]」(旅団長乗艦){{Sfn|戦史叢書96|1976|p=356}}、特設巡洋艦3隻([[平安丸]]、[[護国丸 (特設巡洋艦)|護国丸]]、清澄丸)であった{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=355-357|ps=六 第十七師団の進出輸送/第一次輸送(T2号輸送)}}<ref>[[#S18.08護国丸日誌(2)]] p.5</ref>。 |
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9月24日、丁二号輸送船団は上海を出発した<ref name="S1806二水戦(3)13">[[#S1806二水戦日誌(3)]] p.13〔(四)麾下艦船部隊ノ行動 〕</ref><ref>[[#S1806二水戦日誌(3)]] p.94〔 二四(天候略)巻波丁二號輸送部隊護衛「トラツク」ニ向ケ上海發 〕</ref>。 |
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10月2日、丁二号輸送船団はトラック着、即日出発する<ref>[[#S18.08護国丸日誌(3)]]p.3(一 作戰経過概要 昭和十八年十月 護國丸)〔10月2日〕</ref><ref name="S1806二水戦(4)7">[[#S1806二水戦日誌(4)]] pp.6-7</ref>。 |
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10月5日、丁二号輸送船団は損害なく[[ラバウル]]に進出し{{Sfn|戦史叢書67|1973|pp=408-409|ps=第十七師団の急派と急迫する戦局}}、陸軍将兵や輸送物件を揚陸する<ref>[[巻波 (駆逐艦)#S18.08護国丸日誌(3)|#S18.08護国丸日誌(3)p]].4、[[#S1806二水戦日誌(4)]] p.75</ref>。翌日、ラバウルを出発した{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=356}}<ref name="S1806二水戦(4)7" />。航行中に空襲をうけ「清澄丸」が至近弾で戦死1名を出したが、他艦に異状はなかった{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=356}}。 |
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輸送船団は10月9日にトラックに帰投して任務を終了{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=356}}、解散した<ref>[[#S18.08護国丸日誌(3)]]p.6(一 作戰経過概要 昭和十八年十月 護國丸)〔10月9日〕</ref><ref name="S1806二水戦(4)p77">[[#S1806二水戦日誌(4)]] p.77</ref>。ラバウルに上陸した第17師団は、[[ニューブリテン島]]各地に配備された{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=337|ps=参考 第十七師団}}。 |
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10月10日、「巻波」以下の第二水雷戦隊は戦技訓練をおこなう{{Efn|軽巡「[[能代 (軽巡洋艦)|能代]]」(二水戦旗艦)<ref name="丸写真九104">[[#写真九軽巡|写真日本の軍艦9巻]], p.104〔 軽巡洋艦『能代』行動年表 〕</ref>、第31駆逐隊(大波、長波、'''巻波''')、第24駆逐隊([[海風 (白露型駆逐艦)|海風]]、[[涼風 (駆逐艦)|涼風]])、[[島風 (島風型駆逐艦)|島風]]、[[白露 (白露型駆逐艦)|白露]])<ref>[[#S1806二水戦日誌(4)]] p.77</ref>。}}。 |
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翌日、「長波」と「涼風」は第五戦隊(妙高、羽黒)を護衛してトラックを出発、ラバウルに向かった<ref>[[#S1806二水戦日誌(4)]] p.78、[[#S1712五戦隊日誌(3)]] p.13</ref>。 |
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10月中旬以降<ref name="S1806二水戦(4)7" /><ref>[[#S1806二水戦日誌(4)]] p.12〔 (四)麾下艦船部隊ノ行動 〕</ref>、トラック泊地に残った巻波以下の二水戦各艦は、[[第三艦隊 (日本海軍)|第三艦隊]](司令長官[[小沢治三郎]]中将)と行動をともにして[[エニウェトク環礁]]に進出した{{Sfn|戦史叢書62|1973|pp=418-419|ps=聯合艦隊決戦兵力のブラウン進出}}{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=370}}。アメリカ海軍機動部隊出現の兆候があった為の措置だが、空振りであった{{Sfn|戦史叢書67|1973|pp=391-392|ps=聯合艦隊主力ブラウン海域へ出撃}}{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=301-303|ps=機動部隊のブラウン出撃(九月~十月)}}。 |
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10月28日、ブーゲンビル諸島の情勢緊迫にともない連合艦隊は「[[ろ号作戦]]」を発動した{{Sfn|戦史叢書67|1973|pp=417-419|ps=タロキナ上陸と聯合艦隊の「ろ」号作戦発動}}{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=372-373|ps=「ろ」号作戦発令 ― 十月二十八日}}。 |
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11月1日、連合軍は[[ラバウル]]に対する攻勢を強化するべく、[[ブーゲンビル島]]に新規飛行場を建設するため上陸作戦を敢行した{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=373-375|ps=ラバウル無力化のため連合軍のボーゲンビル島進攻計画}}([[ブーゲンビル島の戦い]]){{Sfn|ニミッツ|1962|pp=176-177|ps=ブーゲンヴィル作戦}}。この脅威に対処するため、連合艦隊はトラック泊地に待機している第二艦隊や第三艦隊(機動部隊)の艦艇をラバウル方面に派遣する<ref>[[#S1701八戦隊日誌(7)]] p.39</ref>。 |
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また第二艦隊・第三艦隊の一部艦艇・部隊をもって、[[第一航空戦隊]]の基地員や物件を輸送することになった{{Sfn|戦史叢書62|1973|pp=424-425|ps=第一航空戦隊の飛行機隊のラバウル進出}}。輸送任務終了後、これらの艦艇は南東方面部隊(南東方面艦隊)に編入されることになった{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=389}}。 |
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11月3日、「巻波」は輸送任務のためトラック泊地を出撃、11月5日に[[カビエン]]着後はラバウルに回航された<ref name="S1806二水戦12巻波">[[#S1806二水戦日誌(5)]] pp.11-12</ref><ref>[[#S1807三水戦日誌(5)]] p.17〔(四)麾下艦船部隊ノ行動 〕</ref>。 |
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この時、ラバウルでは[[第38任務部隊]]の空母「[[サラトガ (CV-3)|サラトガ]] ({{lang|en|USS ''Saratoga'', CV-3}}) 」と「[[プリンストン (CVL-23)|プリンストン]] ({{lang|en|USS ''Princeton'', CVL-23}}) 」より発進した攻撃隊により{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=399-400|ps=米空母機による第一次被空襲と被害 ― 十一月五日}}{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=384-388|ps=十一月五日の大空襲}}、第二艦隊司令長官・栗田健男中将指揮下の[[重巡洋艦]]部隊(遊撃部隊)が大損害を受けていた{{Sfn|海軍兵科将校|1985|pp=46-47}}{{Sfn|戦史叢書62|1973|pp=425a-426|ps=遊撃部隊のラバウル進出直後の被害}}。 |
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ラバウル到着後の「巻波」は第十戦隊(司令官[[大杉守一]]少将)の指揮下に入り、[[ブーゲンビル島]][[タロキナ岬|タロキナ]]輸送に{{Sfn|戦史叢書62|1973|p=425b}}、支援隊として参加した{{Efn|ブーゲンビル島逆上陸部隊{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=389-390|ps=逆上陸、成功す}} |
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* 第一支援隊:阿賀野<ref name="丸写真九103">[[#写真九軽巡|写真日本の軍艦9巻]] 103頁〔 軽巡洋艦『阿賀野』行動年表 〕</ref>、若月、風雲、浦風 |
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* 第二支援隊:能代<ref name="丸写真九104" />、早波、長波 |
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* 挺身輸送隊:警戒隊(大波、'''巻波''')、輸送隊(天霧、文月、卯月、夕凪){{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=401-404|ps=タロキナ北方逆上陸の成功}}<ref name="S1806二水戦(5)大波">[[#S1806二水戦日誌(5)]] pp.11-12</ref>。}}。 |
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11月7日にラバウルへ帰投、他方面の輸送任務についていた各艦(夕張、水無月、[[時雨 (白露型駆逐艦)|時雨]])も同港に帰投した{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=404}}<ref>[[#S1806二水戦日誌(5)]] pp.4-5</ref>。 |
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{{main|ラバウル空襲}} |
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11月11日、ラバウルは再び大規模空襲を受ける{{Sfn|海軍兵科将校|1985|pp=46-47}}{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=414-415|ps=邀撃空戦と艦艇の被害}}。第二水雷戦隊は駆逐艦「[[涼波 (駆逐艦)|涼波]]」{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=94f|ps=「涼波(すずなみ)」}}(第32駆逐隊)を喪失する{{Sfn|山本ほか、夕雲型|2015|p=224b|ps=涼波(すずなみ)}}{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=390-394|ps=ラバウル、再度空襲さる}}。 |
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ほかに「長波」が大破・航行不能という損害を出した<ref>[[#S1806二水戦日誌(5)]] pp.12-13</ref><ref name="S1806二水戦日誌(6)53">[[#S1806二水戦日誌(6)]] p.53</ref>。 |
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航行不能となった「長波」を「大波」が曳航しようとしたが、ワイヤーが[[スクリュー]]に絡まったため、「長波」の曳航は「巻波」が担当する<ref name="S1806二水戦(6)p44">[[#S1806二水戦日誌(6)]] pp.44-45</ref>。 |
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同日夕刻、第二水雷戦隊・第十戦隊各艦{{Efn|第十戦隊の「[[阿賀野 (軽巡洋艦)|阿賀野]]」<ref>[[#S1806二水戦日誌(6)]] p.49</ref> と「[[浦風 (陽炎型駆逐艦)|浦風]]」が先発。軽巡「[[能代 (軽巡洋艦)|能代]]」と指揮下駆逐艦(早波、藤波、五月雨、[[風雲 (駆逐艦)|風雲]]、[[若月 (駆逐艦)|若月]])は重巡「[[摩耶 (重巡洋艦)|摩耶]]」と潜水母艦「[[長鯨 (潜水母艦)|長鯨]]」を護衛する<ref>[[#S1806二水戦日誌(5)]] p.50</ref>。}}はラバウルを出発、トラック泊地へむかった{{Sfn|戦史叢書62|1973|pp=428-430|ps=「阿賀野」の被雷とその救難}}。二水戦の「時雨」と「白露」も既にトラック泊地へ帰投しており<ref>[[#S1806二水戦日誌(5)]] p.17〔 麾下艦船部隊ノ行動 〕</ref>、ラバウルに残る第二水雷戦隊は第31駆逐隊(大波、巻波、長波〈航行不能状態〉)となった{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=415}}<ref>[[#S1806二水戦日誌(5)]] p.6〔 31驅(大波、巻波、長波)「ラバウル」ニ在リテ待機中十九日巻波ハ作戦輸送ニ従事セリ 〕</ref>。 |
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南東方面部隊(南東方面艦隊)は麾下の外南洋部隊(第八艦隊)連合襲撃部隊を解消し、第二襲撃部隊を「襲撃部隊」と改称した{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=415}}。襲撃部隊の指揮官は第三水雷戦隊司令官・[[伊集院松治]]少将が務める<ref name="S1807三水戦(5)9">[[#S1807三水戦日誌(5)]] p.9〔(8)十一月十五日|旗艦 3sd司令官|夕張 〕</ref>。11月20日時点の襲撃部隊は、軽巡「[[夕張 (軽巡洋艦)|夕張]]」<ref>[[#写真八軽巡|写真日本の軍艦8巻]] 131-132頁〔 軽巡洋艦『大井・北上・夕張』行動年表 ◆夕張◆ 〕</ref>、駆逐艦(大波、巻波、天霧、文月、皐月{{Efn|{{harvnb|戦史叢書96|1976|p=415}}の襲撃部隊編成には「皐月」を記載していないが、第三水雷戦隊戦時日誌には記載されている<ref>[[#S1807三水戦日誌(5)]] pp.10-11(昭和18年11月19日編成表、昭和18年11月30日編成表)</ref>。}}、[[水無月 (睦月型駆逐艦)|水無月]]、[[卯月 (睦月型駆逐艦)|卯月]]、[[夕凪 (2代神風型駆逐艦)|夕凪]]、[[秋風 (駆逐艦)|秋風]]、[[夕霧 (吹雪型駆逐艦)|夕霧]])という兵力であったが{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=415}}、護衛任務や修理のためラバウル不在の艦もあった<ref name="S1807三水戦(5)20" /><ref>[[#S1807三水戦日誌(5)]] pp.15-24〔(二)麾下竝ニ一時指揮下ニ入レル艦船ノ行動(一)麾下艦船 〕</ref>。 |
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11月19日~20日にかけて、「夕張」艦長・舟木守衛大佐の指揮下<ref name="S1806二水戦12巻波" /><ref name="S1807三水戦(5)20" />、襲撃部隊2隻(夕張、巻波)はニューブリテン島北方の{{仮リンク|ガロベ島|en|Vitu Islands}}輸送作戦を実施した{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=440-441|ps=十一月下旬の作戦輸送再開}}<ref>[[#S1806二水戦日誌(6)]] p.35</ref>。 |
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=== セント・ジョージ岬沖海戦 === |
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日本軍はアメリカ軍の次の目標をブーゲンビル島北西の[[ブカ島]]とにらみ{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=401a-407|ps=セント・ジョージ岬海戦}}、戦力強化のため[[第17師団 (日本軍)|第十七師団]]の一部をラバウルより輸送することとなった{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=429a-431|ps=ブカ輸送と「セントジョージ岬沖海戦」}}。 |
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1943年(昭和18年)11月21日、第31駆逐隊司令を指揮官とする第一回輸送部隊はラバウルを出撃する<ref>[[#S1806二水戦日誌(6)]] p.35</ref>。輸送部隊は警戒隊(大波、巻波)と、[[吹雪型駆逐艦#第十一駆逐隊|第11駆逐隊]]司令[[山代勝守]]大佐指揮下の輸送部隊(天霧、夕霧、卯月)という編成だった{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=429b}}。11月22日ブカ島に到着した{{Sfn|戦史叢書96|1976|p=429b}}<ref>[[#S1806二水戦日誌(6)]] p.35</ref>。第一次輸送は{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=401b}}、妨害を受けることなく成功した<ref name="S1806二水戦(5)大波" /><ref name="S1806二水戦日誌(6)7">[[#S1806二水戦日誌(5)]] p.7</ref><ref name="S1806二水戦11大波">[[#S1806二水戦日誌(6)]] pp.11-12</ref>。 |
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{{main|セント・ジョージ岬沖海戦}} |
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11月24日、第三水雷戦隊司令官・伊集院少将の指揮下、第31駆逐隊司令・[[香川清登]]大佐ひきいる日本軍駆逐艦部隊5隻は、ふたたびブカ島への第二次輸送作戦を実施する{{Sfn|半藤、ルンガ沖夜戦|1984|pp=245-246}}。前回と同様、輸送隊(指揮官第11駆逐隊司令:天霧、夕霧、卯月)、警戒隊(指揮官第31駆逐隊司令:大波、巻波)という編成であった{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=430-431}}<ref name="S1807三水戦(5)20">[[#S1807三水戦日誌(5)]] pp.20-25〔(二)一時指揮下ニ入レル艦船 〕</ref>。13時30分、ラバウルを出撃した<ref name="S1806二水戦日誌(6)7" /><ref name="S1806二水戦11大波" />。魚雷艇9隻と交戦して撃退(米軍側に被害なし){{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=430-431}}。輸送隊はブカ島に兵員と物資を陸揚げし、代わりにラバウルに引き上げる海軍の航空要員600名を乗せて、22時45分にブカ島を離れた{{Sfn|志賀、駆逐艦物語|2016|pp=41-43|ps=巧妙なバーク大佐の戦法}}<ref>[[#S1806二水戦日誌(5)]] p.19</ref>。 |
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ラバウルに向けて航行中の[[11月25日]]午前0時{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=430-431}}、日本軍輸送部隊は[[ニューアイルランド島]][[セント・ジョージ岬]]東方海上で[[アーレイ・バーク]][[大佐]]率いる{{仮リンク|第23駆逐部隊|en|Destroyer Squadron 23}}([[フレッチャー級駆逐艦]]5隻)にレーダー(SG1型水上レーダー)で捕捉される{{Sfn|駆逐艦入門|2006|pp=382-384|ps=セント・ジョージ岬沖海戦}}。輸送隊に先行していた第31駆逐隊(二二号水上見張用レーダー装備)は{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=405}}、先制魚雷攻撃を受けた{{Sfn|図解水雷戦隊|1996|pp=190-191|ps=ブカ輸送作戦}}{{Sfn|志賀、駆逐艦物語|2016|pp=43-46|ps=精鋭警戒隊の全滅}}('''セント・ジョージ岬沖海戦'''){{Sfn|ニミッツ|1962|pp=187-188}}。米軍士官は「駆逐艦士官の夢が実現したような理想的な奇襲作戦だった」と記録している{{Sfn|半藤、ルンガ沖夜戦|1984|pp=245-246}}。日本側は巡洋艦戦隊・駆逐艦戦隊・魚雷艇部隊に襲撃されたと判断している<ref name="S1806二水戦11大波" /><ref>[[#S1806二水戦日誌(6)]] p.36</ref>。被雷した「大波」は轟沈<ref>[[#S1806二水戦日誌(5)]] p.19</ref>{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=406-407|ps=豪傑、死す(十一月二十四日)}}。第31駆逐隊指令・香川大佐と大波駆逐艦長・吉川中佐は戦死した{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=182}}{{Efn|香川司令と吉川艦長は{{Sfn|太平洋戦争の提督たち|1997|pp=161-162}}、それぞれ少将に進級した<ref name="jirei1304">{{アジア歴史資料センター|C13072095400|昭和19年1月25日(発令昭和18年11月24日付)海軍辞令公報(部内限)第1304号 p.38}}</ref><ref>{{アジア歴史資料センター|C13072098000|昭和19年5月1日(発令昭和18年11月24日付)海軍辞令公報(部内限)第1457号 p.31}}</ref>。}}。 |
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「巻波」は魚雷の命中により左側に20度傾斜する{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=430-431}}。やがて接近してきたアメリカ駆逐艦「[[:en:USS Converse (DD-509)|コンヴァース]] ({{lang|en|USS ''Converse'', DD-509}}) 」および「[[スペンス (駆逐艦)|スペンス]] (USS ''Spence'', DD-512) 」からの砲雷撃を受けた。「巻波」が何とか発射した反撃の魚雷1本は「コンバース」に命中したが、爆発しなかった{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=405}}。「コンバースから」の魚雷5本を含めて乱打された「巻波」は未明1時ごろに沈没していった{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=430-431}}。艦長・人見中佐を含め幹部と殆どの乗組員が戦死(約220名)<ref>[[#S1812二水戦日誌(1)]] p.30</ref>。 |
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生存者は[[カッター (船)|カッター]]に乗り移り、ラバウル南西45海里地点に漂着、帰還する事ができた{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=431}}。他に、米軍駆逐隊に追撃・捕捉された「夕霧」も沈没する<ref>[[#S1807三水戦日誌(5)]] p.41〔 (二)大波巻波夕霧}十一月二十五日沈没 〕</ref>{{Sfn|海軍兵科将校|1985|pp=48-50}}。輸送隊の「天霧」と「卯月」のみ生還した{{Sfn|戦史叢書96|1976|pp=430-431}}。 |
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1944年(昭和19年)2月10日、「巻波」と「大波」は帝国駆逐艦籍<ref>[[#内令昭和19年2月(2)]]、p.18</ref>、夕雲型駆逐艦<ref>[[#内令昭和19年2月(2)]]、p.19</ref> のそれぞれから除籍された。 |
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== 歴代艦長 == |
== 歴代艦長 == |
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;艤装員長 |
;艤装員長 |
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# [[人見豊治]] 中佐:1942年6月30日<ref |
# [[人見豊治]] 中佐:1942年6月30日<ref name="jirei891" /> - 1942年8月18日<ref name="jirei925" /> |
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;駆逐艦長 |
;駆逐艦長 |
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# 人見豊治 中佐:1942年8月18日<ref name="jirei925" /> - 1943年11月24日 戦死認定、同日付任海軍大佐<ref |
# 人見豊治 中佐:1942年8月18日<ref name="jirei925" /> - 1943年11月24日 戦死認定、同日付任海軍大佐<ref name="jirei1304" /> |
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==脚注== |
== 脚注 == |
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{{脚注ヘルプ}} |
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=== 注釈 === |
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=== 出典 === |
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{{Reflist|20em}} |
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== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
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<!--ウィキペディア[[出典を明記する]]により、著者五十音順--> |
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* 第二水雷戦隊司令部『自昭和十七年九月一日至昭和十七年九月三十日 第二水雷戦隊戦時日誌』(昭和17年9月1日~昭和17年10月31日 第2水雷戦隊戦時日誌戦闘詳報(1)) [[アジア歴史資料センター]] レファレンスコード:C08030097300 |
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*{{Cite book|和書 |author=池田清 |authorlink=池田清 (政治学者) |date=2002-01 |origyear=1986 |chapter= |title=重巡 摩耶 |publisher=[[学習研究社]] |series=学研M文庫 |ref={{SfnRef|重巡摩耶|2002}} |ISBN=4-05-901110-X}} |
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* 第三戦隊司令部『 昭和十七年十月一日 支援部隊前進部隊第三戦隊戦闘詳報第五号』(昭和17年9月11日~昭和18年11月30日 第3戦隊戦時日誌戦闘詳報(1)) アジア歴史資料センター レファレンスコード:C08030041700 |
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*{{Cite book|和書 |author=石渡幸二 |authorlink=石渡幸二 |chapter=不滅の駆逐艦長 吉川潔 |title=太平洋戦争の提督たち |publisher=[[中央公論社]] |series=中公文庫 |isbn=4-12-203014-5 |ref={{SfnRef|太平洋戦争の提督たち|1997}} |date=1997-12}} |
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* 第二水雷戦隊司令部『昭和十七年十月三十日 第二水雷戦隊戦闘詳報 第一二号』(昭和17年10月1日~昭和17年10月31日 第2水雷戦隊戦時日誌戦闘詳報(3)) アジア歴史資料センター レファレンスコード:C08030098300 |
|||
*{{Cite book|和書 |author=井上理二 |origyear=1999 |title=駆逐艦磯風と三人の特年兵 |publisher=[[光人社]] |series=光人社NF文庫 |isbn=978-4-7698-2709-2 |ref={{SfnRef|磯風、特年兵|2011}} |date=2011-10}} |
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* 第二水雷戦隊司令部『自昭和十八年十月一日至昭和十八年十月三十一日 第二水雷戦隊戦時日誌』(昭和18年6月14日~昭和18年11月11日 第2水雷戦隊戦時日誌戦闘詳報(4)) アジア歴史資料センター レファレンスコード:C08030101300 |
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*<!--オイデ2011-->{{Cite book|和書 |author=生出寿 |authorlink=生出寿 |title=戦艦「大和」最後の艦長(新装版) |publisher=光人社 |series=光人社NF文庫 |isbn=9784-7698-2143-4 |ref={{SfnRef|大和最後の艦長|2011}} |date=2011-11}} |
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* 第二水雷戦隊司令部『自昭和十八年十一月一日至昭和十八年十一月三十日 第二水雷戦隊戦時日誌』(昭和18年6月14日~昭和18年11月11日 第2水雷戦隊戦時日誌戦闘詳報(5)) アジア歴史資料センター レファレンスコード:C08030101400 |
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*{{Cite book|和書 |author=岡本孝太郎 |title=舞廠造機部の昭和史 |publisher=[[文芸社]] |isbn=978-4-286-14246-3 |ref={{SfnRef|舞廠造機部|2014}} |date=2014-05}} |
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* 木俣滋郎『日本戦艦戦史』図書出版社、1983年 |
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* 木俣滋郎 |
*{{Cite book|和書 |author=木俣滋郎 |title=日本水雷戦史 |publisher=図書出版社 |ref={{SfnRef|日本水雷戦史|1986}} |date=1986 |author-link=木俣滋郎 |isbn=978-4809901089}} |
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*{{Cite book|和書 |author=木俣滋郎 |title=日本軽巡戦史 |publisher=図書出版社 |ref={{SfnRef|日本軽巡戦史|1989}} |date=1989-03 |isbn=978-4809901331}} |
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* 雑誌「丸」編集部『ハンディ版 日本海軍艦艇写真集17 駆逐艦 初春型・白露型・朝潮型・陽炎型・夕雲型・島風』光人社、1997年。 |
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*{{Cite book|和書 |author=木俣滋郎 |authorlink= |title=駆逐艦入門 |publisher=光人社 |series=光人社NF文庫 |isbn=4-7698-2217-0 |ref={{SfnRef|駆逐艦入門|2006}} |date=2006-07}} |
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* 海軍歴史保存会編『日本海軍史』第7巻、発売:第一法規出版、1995年。 |
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*{{Cite book|和書 |author=木俣滋郎 |title=連合軍艦艇撃沈す |chapter=アメリカ重巡洋艦『ノーザンプトン』 |isbn=978-4-7698-2794-8 |publisher=光人社 |series=光人社NF文庫 |ref={{SfnRef|連合軍艦艇撃沈す|2013}} |date=2013-08}} |
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*{{Cite book|和書 |author1=ブレイム・ケント |author2=柳沢健(翻訳) |date=1972-03 |title={{lang|en|Guadalcanal}} ガダルカナル {{small|日米“死闘の島”}} |isbn= |publisher=[[サンケイ出版]] |series=第二世界大戦ブックス 28 |ref={{SfnRef|日米死闘の島|1972}} |author3=中野五郎(日本語版監修)}} |
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*{{Cite book|和書 |author=佐藤和正 |title=艦長たちの太平洋戦争 続篇 |publisher=光人社 |isbn=4-7698-0231-5 |ref={{SfnRef|佐藤、艦長たち続篇|1984}} |date=1984-04 |author-link=佐藤和正}} |
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*<!-- サトウキヨオ2004 -->{{Cite book|和書 |author=佐藤清夫 |title=駆逐艦「野分」物語 |publisher=光人社 |series=光人社NF文庫 |origyear=1997 |ISBN=4-7698-2408-4 |ref={{SfnRef|野分物語|2004}} |date=2004-01}} |
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*{{Cite book|和書 |author=志賀博 |title=海軍兵科将校 |chapter=第二章 決死の眦 |publisher=光人社 |isbn=4-7698-0264-1 |ref={{SfnRef|海軍兵科将校|1985}} |date=1985-03}} |
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*{{Cite book|和書 |author=志賀博 ほか |title=駆逐艦物語 |publisher=潮書房光人社 |isbn=978-4-7698-1615-7 |ref={{SfnRef|志賀、駆逐艦物語|2016}} |date=2016-04}} |
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*{{Cite book|和書 |author=重本俊一 |origiyear=2009 |title=落日の日本艦隊 |publisher=潮書房光人社 |series=光人社NF文庫 |isbn=978-4-7698-2841-9 |ref={{SfnRef|落日の日本艦隊|2014}} |date=2014-07}} |
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*{{Cite book|和書 |author=重本俊一 ほか |title=陽炎型駆逐艦 |publisher=潮書房光人社 |isbn=978-4-7698-1577-8 |ref={{SfnRef|重本ほか、陽炎型|2014}} |date=2014-10}} |
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*{{Cite book|和書 |author=豊田穣 |authorlink=豊田穣 |origyear=1983 |title=雪風ハ沈マズ |publisher=光人社 |series=光人社NF文庫新装版 |isbn=978-4-7698-2027-7 |ref={{SfnRef|豊田、雪風|2004}} |date=2004-11}} |
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*<!-- ニミッツ1962 -->{{Cite book|和書 |author1=C. W. ニミッツ |author2=E. B. ポッター |authorlink=チェスター・ニミッツ |title=ニミッツの太平洋海戦史 |publisher=恒文社 |ref={{SfnRef|ニミッツ|1962}} |date=1962-12 |isbn=978-4770407573}} |
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*{{Cite book|和書 |author=半藤一利 |authorlink=半藤一利 |title=ルンガ沖夜戦 |publisher=[[朝日ソノラマ]] |series=航空戦史シリーズ 41 |isbn=4-257-17041-7 |ref={{SfnRef|半藤、ルンガ沖夜戦|1984}} |date=1984-05}} |
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*{{Cite book|和書 |author1=林譲治(文) |author2=吉原昌宏(画) |date=1996-09 |title=図解 海軍水雷戦隊 |publisher=並木書房 |isbn=4-89063-073-2 |ref={{SfnRef|図解水雷戦隊|1996}} |series=コンバットAtoZシリーズ 4}}* |
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*{{Cite book|和書 |author=福井静夫 |title=日本駆逐艦物語 |publisher=光人社 |series=福井静夫著作集 軍艦七十五年回想記 第5巻 |isbn=4-7698-0611-6 |ref={{SfnRef|福井、日本駆逐艦物語|1993}} |authorlink=福井静夫 |editor=阿部安雄・戸高一成 |date=1983-01}}* |
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*{{Cite book|和書 |author=防衛庁防衛研修所戦史室 |title=戦史叢書 大本營海軍部・聯合艦隊<4> {{small|―第三段作戦前期―}} |volume=第39巻 |year=1970 |month=10 |publisher=朝雲新聞社 |ref={{SfnRef|戦史叢書39|1970}}}} |
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*{{Cite book|和書 |author=防衛庁防衛研修所戦史室 |title=戦史叢書 南太平洋陸軍作戦<3> {{small|ムンダ・サラモア}} |volume=第40巻 |year=1970 |month=12 |publisher=朝雲新聞社 |ref={{SfnRef|戦史叢書40|1970}}}} |
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*{{Cite book|和書 |author=防衛庁防衛研修所戦史室 |title=戦史叢書 中部太平洋方面海軍作戦(2) {{small|昭和十七年六月以降}} |volume=第62巻 |year=1973 |month=2 |publisher=朝雲新聞社 |ref={{SfnRef|戦史叢書62|1973}}}} |
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*{{Cite book|和書 |author=防衛庁防衛研修所戦史室 |title=戦史叢書 大本營陸軍部<7> {{small|昭和十八年十二月まで}} |volume=第67巻 |year=1973 |month=7 |publisher=朝雲新聞社 |ref={{SfnRef|戦史叢書67|1973}}}} |
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*{{Cite book|和書 |author=防衛庁防衛研修所戦史室 |title=戦史叢書 大本營海軍部・聯合艦隊<3> {{small|―昭和18年2月まで―}} |volume=第77巻 |year=1974 |month=9 |publisher=朝雲新聞社 |ref={{SfnRef|戦史叢書77|1974}}}} |
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*{{Cite book|和書 |author=防衛庁防衛研修所戦史室 |title=戦史叢書 中國方面海軍作戦<2> {{small|昭和十三年四月以降}} |volume=第79巻 |year=1975 |month=1 |publisher=朝雲新聞社 |ref={{SfnRef|戦史叢書79|1975}}}} |
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*{{Cite book|和書 |author=防衛庁防衛研修所戦史室 |title=戦史叢書 南東方面海軍作戦<2> {{small|ガ島撤収まで}} |volume=第83巻 |year=1975 |month=8 |publisher=朝雲新聞社 |ref={{SfnRef|戦史叢書83|1975}}}} |
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*{{Cite book|和書 |author=防衛庁防衛研修所戦史室 |title=戦史叢書 南東方面海軍作戦<3> {{small|ガ島撤収後}} |volume=第96巻 |year=1976 |month=8 |publisher=朝雲新聞社 |ref={{SfnRef|戦史叢書96|1976}}}} |
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*{{Cite book|和書 |editor=『丸』編集部 |editor-link=丸 (雑誌) |title=戦艦II 金剛・比叡・榛名・霧島 |publisher=光人社 |date=1989-08 |isbn=4-7698-0452-0 |ref=写真二戦艦 |series=写真 日本の軍艦 2}} |
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*{{Cite book|和書 |editor=『丸』編集部 |title=重巡I 妙高・足柄・那智・羽黒 |date=1989-11 |publisher=光人社 |isbn=4-7698-0455-5 |ref=写真五重巡 |series=写真 日本の軍艦 5}} |
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*{{Cite book|和書 |editor=『丸』編集部 |title=重巡II 高雄・愛宕・鳥海・摩耶・古鷹・加古・青葉・衣笠 |date=1989-12 |publisher=光人社 |isbn=4-7698-0456-3 |ref=写真六重巡 |series=写真 日本の軍艦 6}} |
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*{{Cite book|和書 |editor=『丸』編集部 |title=軽巡I 天龍型・球磨型・夕張・長良型 |publisher=光人社 |date=1990-03 |isbn=4-7698-0458-X |ref=写真八軽巡 |series=写真 日本の軍艦 8}} |
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*{{Cite book|和書 |editor=『丸』編集部 |title=軽巡II 川内型・阿賀野型・大淀・香取型・砲艦 |publisher=光人社 |date=1990-04 |isbn=4-7698-0459-8 |ref=写真九軽巡 |series=写真 日本の軍艦 9}} |
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* {{Cite book|和書 |author=山本平弥 ほか |title=秋月型駆逐艦<付・夕雲型・島風・丁型> |publisher=潮書房光人社 |isbn=978-4-7698-1584-6 |ref={{SfnRef|山本ほか、夕雲型|2015}} |date=2015-03}} |
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*{{Cite book|和書 |pages= |title=水雷戦隊II 陽炎型駆逐艦 |series=歴史群像 太平洋戦史シリーズ 19 |publisher=学習研究社 |editor=『歴史群像』編集部 |isbn= |ref={{SfnRef|歴群19、水雷戦隊II|1998}} |date=1998-08 |editor-link=歴史群像}} |
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*{{Cite book|和書 |pages= |title=秋月型駆逐艦 |series=歴史群像 太平洋戦史シリーズ 23 |publisher=学習研究社 |editor=『歴史群像』編集部 |isbn=4-05-602063-9 |ref={{SfnRef|歴群23、秋月型|1999}} |date=1999-10}} |
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* [https://www.jacar.go.jp/index.html アジア歴史資料センター(公式)](防衛省防衛研究所) |
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==関連項目== |
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== 関連項目 == |
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* [[まきなみ (護衛艦・初代)]] |
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* [[まきなみ (護衛艦・2代)]] |
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* [[ヘンダーソン基地艦砲射撃]] |
* [[ヘンダーソン基地艦砲射撃]] |
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* [[南太平洋海戦]] |
* [[南太平洋海戦]] |
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* [[ルンガ沖夜戦]] |
* [[ルンガ沖夜戦]] |
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* [[セント・ジョージ岬沖海戦]] |
* [[セント・ジョージ岬沖海戦]] |
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{{夕雲型駆逐艦}} |
{{夕雲型駆逐艦}} |
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2024年12月7日 (土) 04:06時点における最新版
巻波 | |
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基本情報 | |
建造所 | 舞鶴海軍工廠 |
運用者 | 大日本帝国海軍 |
艦種 | 一等駆逐艦 |
級名 | 夕雲型 |
艦歴 | |
計画 | 1939年度(④計画) |
起工 | 1941年4月11日 |
進水 | 1941年12月27日[1] |
竣工 | 1942年8月18日 |
最期 | 1943年11月25日、セント・ジョージ岬沖海戦において戦没 |
除籍 | 1944年2月10日 |
要目 | |
基準排水量 | 2,077 トン |
公試排水量 | 2,520 トン[2] |
全長 | 119.3 m |
最大幅 | 10.8 m |
吃水 | 3.76 m |
主缶 | ロ号艦本式ボイラー×3基 |
主機 | 艦本式タービン×2基 |
出力 | 52,000 馬力[2] |
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
最大速力 | 35.5 ノット[2] |
燃料 | 重油:600 t |
航続距離 | 5,000 海里/18ノット |
乗員 | 225 名 |
兵装 |
|
レーダー | 22号電探 |
ソナー |
九三式水中聴音機 九三式三型探信儀 |
巻波(まきなみ)は[3]、日本海軍の駆逐艦[4]。夕雲型駆逐艦(一等駆逐艦)の5番艦である[5]。艦名は砕波の一種に由来し、海上自衛隊の護衛艦2隻(初代まきなみ、2代まきなみ)に引き継がれた。
概要
[編集]日本海軍が舞鶴海軍工廠で1941年(昭和16年)4月から1942年(昭和17年)8月にかけて建造した夕雲型駆逐艦[6]。8月31日、姉妹艦「長波」[7]と共に新編の第31駆逐隊に所属した[8][注釈 1]。 第31駆逐隊は第二水雷戦隊に所属してトラック泊地に進出する[12][13]。ガダルカナル島攻防戦にともなう同年10月中旬のヘンダーソン基地艦砲射撃に従事[14][15]。続いて10月26日の南太平洋海戦に参加[16]。11月上旬よりガダルカナル島やニュージョージア諸島への輸送作戦[17](鼠輸送)に従事した[18]。11月中旬の第三次ソロモン海戦では輸送船団を護衛[19]、将兵多数を救助した[20][21]。11月30日[22]、第31駆逐隊はルンガ沖夜戦に参加[23][24]、戦果を挙げるも同夜戦で「高波」を喪失した[25][注釈 2]。
1943年(昭和18年)2月1日、「巻波」は外南洋部隊[注釈 3]増援部隊[注釈 4]旗艦としてガダルカナル島撤収作戦に参加するが[27]、空襲で損傷する[28][29]。第三水雷戦隊旗艦を駆逐艦「白雪」に引き継ぎ、駆逐艦「文月」に曳航されて避退した[30][31]。 ラバウルで応急修理後、3月はトラック泊地で応急修理をおこなう[32]。4月下旬、給糧艦「間宮」他を護衛して内地に帰投した[33]。駆逐艦複数隻と共に、舞鶴海軍工廠で修理を実施した[34]。同時期の「巻波」駆逐艦長人見豊治中佐は「不知火」および「初春」駆逐艦長を兼務した[35][36]。
同年9月15日、「巻波」の修理完成[6][37]。上海~トラック泊地~ラバウル間の輸送船団を護衛し[38](丁二号輸送部隊)[39]、10月中旬トラック泊地に戻った[40]。以後、第二水雷戦隊各隊・各艦と行動を共にする[41]。
11月上旬、ブーゲンビル島の戦いにともない「巻波」はラバウルに進出、ブーゲンビル島周辺の輸送作戦に従事した[42]。11月11日、ラバウル空襲により僚艦「長波」が大破したので[7]、「巻波」が救援を行った[43]。ブカ島への輸送作戦従事中の11月25日、日本軍の駆逐艦5隻[注釈 5]は輸送任務を帯びてブカ島へむかうが、ニューブリテン島南端沖でアーレイ・バーク大佐指揮下の米軍駆逐艦5隻に襲撃される[46]。日本側3隻(大波、巻波、夕霧)は一方的に撃沈された[47](セント・ジョージ岬沖海戦)[48]。
艦歴
[編集]竣工まで
[編集]1939年度(④計画)仮称第120号艦として、舞鶴海軍工廠で建造[49]。 1941年(昭和16年)10月25日、「巻波」の艦名が与えられる[3]。同日付で夕雲型に類別された[50][注釈 6]。 12月27日、「巻波」は進水した[1][52]。同日付で舞鶴鎮守府籍となる[53]。
1942年(昭和17年)6月30日、日本海軍は人見豊治中佐[54] を巻波艤装員長に任命する[55][注釈 7]。 同日付で艤装員事務所を設置した[60]。
7月15日、「巻波」は予行運転中に機関故障を起こし、竣工予定を延期した[61]。8月18日、竣工する[62][63]。艤装員事務所を撤去した[64]。同日付で人見艤装員長は巻波駆逐艦長(初代)となる[65]。「巻波」は警備駆逐艦に指定された[66][67]。8月20日、「巻波」は舞鶴を出撃した[68]。呉に立ち寄り[69]、つづいて横須賀へ移動する[70]。 だが第二航空戦隊(飛鷹、隼鷹)の指揮を受けるように連合艦隊から下令があり[71]、8月31日呉に到着した[72]。
昭和17年の行動
[編集]1942年(昭和17年)8月31日、日本海軍は「長波」[73]と「巻波」により第31駆逐隊を編制した[8][74]。初代駆逐隊司令に清水利夫大佐(当時、第21駆逐隊司令)[75][76] を任命する[77]。司令駆逐艦は「巻波」となった[78]。第31駆逐隊は第二水雷戦隊[注釈 8]に編入された[82]。 さらに金剛型戦艦(金剛、榛名)と第31駆逐隊(巻波、長波)で前進部隊の待機部隊を編成[83]、内海西部で訓練を実施した[84]。
9月6日[13][85]、第三戦隊司令官栗田健男中将[86] 指揮のもと戦艦「金剛」(第三戦隊旗艦)[87] と「榛名」[88]、第31駆逐隊は豊後水道を出撃した[83][89]。9月10日にトラック諸島に到着した[87][88][90]。戦艦「大和」所在の連合艦隊司令部で打ち合わせを行い、並行して補給を受ける[91]。前進部隊本隊に編入後[注釈 9][83]、9月11日にトラック泊地を出撃する[93][94]。 第二艦隊を基軸とする前進部隊(指揮官近藤信竹第二艦隊司令長官[注釈 10])に合流した[95][96][97]。 9月中旬の日本陸軍ガ島総攻撃は失敗(血染めの丘の戦い)[98]、日本海軍各艦隊はトラック泊地にもどった[99][100]。第31駆逐隊はトラック泊地での警戒任務につく[101]。9月29日、第五戦隊の重巡洋艦「羽黒」が修理のため佐世保に戻ることになり[102][103]、「巻波」がトラック泊地近海まで護衛した[104]。
10月1日、第31駆逐隊に夕雲型6番艦「高波」[25]が編入され、3隻編制(長波、巻波、高波)となる[75][10]。清水司令は司令駆逐艦を「高波」に指定した[11]。
10月11日、前進部隊(第二艦隊)はトラックを出撃する[105]。第二水雷戦隊司令官田中頼三少将[106] が指揮する第二水雷戦隊(軽巡「五十鈴」〈二水戦旗艦〉[80]、第15駆逐隊〈親潮、黒潮、早潮〉[注釈 11]、第24駆逐隊〈海風、江風、涼風〉、第31駆逐隊〈高波、巻波、長波〉)は、ガダルカナル島ヘンダーソン飛行場に対し艦砲射撃を実施予定の第三戦隊(金剛、榛名)を護衛する[107][108]挺身攻撃隊(指揮官・栗田健男第三戦隊司令官)としてトラック泊地を出撃した[109]。 応援の第19駆逐隊(哨戒任務)と共に[110]、10月14日のヘンダーソン飛行場砲撃(ヘンダーソン基地艦砲射撃)[111] を援護した後、前進部隊(第二艦隊)に合流する[112]。この艦砲射撃で、二水戦は米軍の魚雷艇部隊を撃退した[81]。
ヘンダーソン飛行場は損害を受けたが、10月15日には一部が復旧して飛行機が発進した[113]。米軍機はガ島揚陸中の日本軍輸送船団に空襲を加え[114]、輸送船3隻が炎上した[115][116] 輸送船団の苦戦を知った連合艦隊は、前進部隊の重巡「妙高」[117] と重巡「摩耶」[118] に飛行場砲撃を命じ[115]、これを二水戦(五十鈴、高波、巻波、長波)が護衛する[119][120]。同日夜、5隻は艦砲射撃を敢行した[121][122]。発射弾数は妙高476発、摩耶450発、第31駆逐隊253発と記録されている[123]。
戦場を離脱後、第二水雷戦戦は10月17日夜に前進部隊[注釈 12]および南雲機動部隊[注釈 13]と合流し[124]、補給を行いつつ敵を求めて進撃を続けた[125]。 10月26日の南太平洋海戦[126]における第二水雷戦隊は[127]、前進部隊(支援部隊)に所属してアメリカ軍機動部隊と交戦した[注釈 14]。10月30日、二水戦はトラックへ帰投した[129]。
11月3日、「巻波」を含め支援部隊の一部[注釈 15]は外南洋部隊(指揮官三川軍一第八艦隊司令長官)に編入され[130]、トラックを出撃してショートランドに向かう[131]。 11月5日、ショートランド泊地において外南洋部隊増援部隊指揮官の職務は、第三水雷戦隊司令官・橋本信太郎少将から第二水雷戦隊司令官・田中頼三少将に引き継がれた[132]。ガダルカナル島への鼠輸送に従事していた第三水雷戦隊は、トラック泊地へ戻る[16]。これ以降、ガ島への駆逐艦輸送作戦は田中少将が指揮することになった[17]。
11月6日深夜、第15駆逐隊司令佐藤寅治郎大佐指揮下の甲増援隊はショートランド泊地を出撃する[注釈 16]。 途中で米軍爆撃機と小型機20数機の空襲を受け、「長波」と「高波」が損傷した[134][135]。甲増援隊は深夜にタサファロング沖に到着して糧食を降ろし、傷病兵と便乗者を乗せて帰投した[134]。
11月10日朝、第10駆逐隊司令阿部俊雄大佐が指揮する増援輸送部隊[注釈 17]は第十一戦隊弾着観測員と陸軍兵・物資を載せてショートランド泊地を出撃した[137]。魚雷艇を撃退し、輸送任務に成功する[137]。第38師団の佐野忠義陸軍中将も上陸した[138]。傷病兵を収容してガダルカナルを離れ、翌日午前中、帰投した[137]。
この頃、ガダルカナル島の戦いは一つの山場を迎えつつあり[139]、日本軍は第38師団の兵力を輸送船団でガダルカナル島に揚陸することにした[140]。11月13日以降、「巻波」以下の増援部隊は輸送船11隻を護衛し、ガダルカナル島に向かった[19][注釈 18](第三次ソロモン海戦)[142][143]。 だがアメリカ軍機の波状攻撃を受け輸送船6隻が沈没[144][145]、「佐渡丸」が大破して駆逐艦「天霧」と「望月」に護衛されてショートランド泊地へ退避する[21]。「巻波」も陸軍将兵多数を艦内に収容[146]、記録では1020名となっている[21]。
田中司令官は残存輸送船4隻と駆逐艦9隻を指揮してガ島への進撃を続行した[147]。戦艦「霧島」と駆逐艦「綾波」を撃沈した戦艦 「ワシントン (USS Washington, BB-56) 」が損傷艦と共に戦場を去ったあと[注釈 19]、残存輸送船4隻はガダルカナルに突入する。 11月15日未明に輸送船4隻(廣川丸、山浦丸、鬼怒川丸、山東丸)はガダルカナル島タサファンログ泊地に座礁揚陸を強行するが、アメリカ軍機と艦艇の攻撃で全滅した[149][150]。輸送船団の壊滅は[151]、南東方面の戦略に大きな影響を与えた[152]。揚陸できたのは人員だけで、重機材や弾薬はほとんど失われた[153]。
11月15日22時、増援部隊各艦はショートランド泊地へ戻った[154]。ショートランドに帰投後、息つく暇も無く、日本軍側は「鼠輸送」[24]、連合軍側は「東京急行」と呼称するドラム缶輸送に従事した[155][156]。11月16日、連合軍は東部ニューギニアのブナへ上陸、情勢は緊迫の度合いを増した[157]。外南洋部隊増援部隊の大部分はニューギニア方面への増援輸送作戦に投入され[158][159]、ショートランド泊地に残っていたのは駆逐艦5隻(高波、巻波、長波、黒潮、満潮)だけだった[160][注釈 20]。 11月22日(途中引返し)と11月24日午前3時、「巻波」と駆逐艦「羽風」は輸送船3隻(千早丸、神威丸、寶運丸)を護衛し、ショートランド泊地を出撃する[162][163]。同日19時ニュージョージア島のムンダに到着した[162]。11月25日午前2時30分出発、夕刻ショートランド泊地に帰投した[162]。米潜水艦襲撃時には、「羽風」と共に応戦している[162]。
11月30日[164]、外南洋部隊増援部隊指揮官・田中頼三少将(第二水雷戦隊司令官、旗艦「長波」)の指揮下[165]、駆逐艦8隻はドラム缶輸送任務のためショートランド泊地を出撃、ガダルカナル島へむかう[166]。部隊編成は、警戒隊(長波、高波)、第一輸送隊(黒潮、親潮、陽炎、巻波)、第二輸送隊(江風、涼風)である[167][168]。これをカールトン・H・ライト少将率いる第67任務部隊が迎撃、アイアンボトム・サウンドにおいて夜間水上戦闘となった[169](ルンガ沖夜戦)[170][171]。日本側は「高波」が沈没し[172]、清水大佐(31駆司令)が戦死[173][174]。アメリカ側は重巡「ノーザンプトン (USS Northampton, CA-26) 」を喪失[175]、重巡3隻(ミネアポリス、ペンサコーラ、ニューオーリンズ)大破という損害だった[22][176]。一方でドラム缶輸送作戦自体は失敗し、外南洋部隊は第二次ドラム缶輸送作戦を行うよう指導する[177]。本戦闘で第31駆逐隊は「長波」と「巻波」に減少した[178]。
12月3日、田中少将の指揮下[179]、第二次輸送作戦が実施される[164][注釈 21]。 航行中、「巻波」は米軍機の空襲により損傷した[182]。戦死者7名[4]。投下ドラム罐1,500個のうち、回収されたのは310個だった[183]。作戦終了後、「巻波」は修理のためラバウルに回航されている[184][185]。
12月16日、駆逐艦6隻(長波、巻波、親潮、黒潮、陽炎、谷風)はニュージョージア島ムンダへの第一次第一回輸送作戦を実施した[186][187]。揚陸作業中に夜間空襲を受け「陽炎」が小破した[187][188]。12月21 - 22日[189]、第17駆逐隊司令指揮下の駆逐艦4隻(谷風、浦風、巻波、陽炎)は第二回ムンダ輸送を実施した[190][191]。つづいて駆逐艦4隻(江風、涼風、巻波、陽炎)をもって第二号哨戒艇[注釈 22]を護衛、同艦をガ島に擱坐させようという12月27日のラバウル出撃は、ムンダ飛行場に進出した日本軍戦闘機隊が大損害をうけて上陸掩護の見込みがなくなり[193]、ガダルカナルに向け航行中に中止となる[194]。 各艦はショートランドを経てラバウルに戻った[195]。
12月29日付で第二水雷戦隊司令官は田中頼三少将から小柳冨次少将に交代した[196][197]。小柳の着任にともない田中は退隊し[198]、外南洋部隊増援部隊指揮官も田中少将から小柳少将に交代した[199]。
昭和18年前半の行動
[編集]新任の第二水雷戦隊司令官・小柳冨次少将は、旗艦を「長波」に指定した[200]。増援部隊各艦はラバウルからショートランド泊地へ進出する[200]。月暗期になり、鼠輸送が再開された[201]。1943年(昭和18年)1月2日午前11時、駆逐艦10隻はショートランド泊地を出撃する[202][注釈 23]。 途中の空襲で「涼風」が損傷、「電」に護衛されて避退した[200][204]。水上偵察機の協力を得て魚雷艇の襲撃を撃退[205]、他に被害を出さず輸送作戦は成功した[200]。
1月4日~7日にかけて、駆逐艦4隻(長波、巻波、江風、荒潮)はショートランド泊地とラバウルを往復、ラバウルでドラム缶を積み込むとショートランド泊地に戻った[206]。また駆逐艦「大潮」(第8駆逐隊司令山代勝守大佐座乗)[207]もドラム缶を搭載してショートランドに到着、増援部隊に編入される[208][209]。一方、二水戦の「長波」「陽炎」「親潮」は艦の疲弊により作戦行動が難しくなり、トラック泊地に後退することになった[208]。
1月10日~11日にかけて、二水戦隊司令官・小柳少将は駆逐艦8隻で第六次ガダルカナル島輸送作戦を実施する[210][注釈 24]。輸送作戦は、概ね成功した[210]。揚陸中、米軍魚雷艇の攻撃で駆逐艦「初風」が大破し[212][213]、僚艦に曳航されて撤退した[214]。小柳少将は第4駆逐隊司令・有賀幸作大佐と各艦を賞賛した[215]。
本作戦をもって小柳少将は増援部隊指揮官の職務を第十戦隊司令官に引き継ぎ[210]、「長波」に乗艦してトラック泊地に戻った[216][217]。1月11日、第六次ガダルカナル島輸送作戦を終えた駆逐艦4隻(江風、巻波、大潮、荒潮)はニューギニア方面護衛部隊に編入され、ショートランド泊地を出発してラバウルへ向かった[217]。
1月中旬、ガダルカナル島撤退を内定していた日本海軍は、それまで手がまわらなかった北部ソロモン(ブーゲンビル島、ブカ島など)と中部ソロモン(ニュージョージア諸島、サンタイサベル島など)[218]の防備強化に乗り出した[219][220]。ガ島飛行場砲撃を目的に編制された第八聯合特別陸戦隊(司令官大田実少将)が、この方面に配備されることになった[221]。外南洋部隊各艦はソロモン諸島の防備強化に協力、輸送船護衛や駆逐艦輸送に従事する[220]。また東部ニューギニアの戦局も逼迫しており[222]、並行してニューギニア方面増援輸送もおこなった[223]。日本軍は中国大陸所在の第二十師団と第四十一師団をラバウル方面投入を決定し、この輸送作戦を「丙号輸送」と呼称、第九戦隊司令官岸福治少将が輸送部隊指揮官となった[224][225]。丙一号輸送部隊(軽巡「北上」「大井」、輸送船多数)は第二十師団をニューギニア島ウェワクへ揚陸するよう命じられた[226]。第二特別根拠地隊司令官鎌田道章少将は2隻(巻波、第34号駆潜艇)で大発動艇を搭載した陸軍輸送船2隻を護衛し、ウェワクに進出することになった[227]。1月14日、輸送部隊はラバウルを出発、1月18日ウェワクに進出した[227]。1月19日~23日にかけて輸送船団はウェワクに到着[227]、丙一号輸送は損害なく完了した[228]。
1月20日、第31駆逐隊に夕雲型7番艦「大波」[229][230]が編入され、同隊は3隻(長波、巻波、大波)となった[231](「大波」は1月25日、トラック泊地着)[232]。 「大波」駆逐艦長吉川潔中佐は[47][233]、人見(巻波艦長)とは海軍兵学校第50期の同期である[54]。
1月21日、輸送船団救援中の秋月型駆逐艦「秋月」(第十戦隊旗艦)が米潜水艦(ノーチラス)に雷撃されて損傷した[234][235]。その際に第十戦隊司令官木村進少将が負傷したため[236]、第二水雷戦隊司令官・小柳冨次少将は21日付で第十戦隊司令官に任命された[237]。後任の二水戦司令官は伊崎俊二少将[197][237] である。小柳少将は1月23日に退隊してラバウルへ移動する[234]。伊崎司令官は1月30日に着任し、軽巡「神通」に将旗を掲げた[238]。
ガダルカナル島撤退作戦のため、連合艦隊は南東方面部隊(指揮官草鹿任一南東方面艦隊司令長官)の駆逐艦を増強[注釈 25]、また撤退作戦における予備指揮官として第三水雷戦隊(三水戦司令部、川内、白雪)を編入した[239]。これらの増強戦力は、ただちに南東方面部隊麾下の外南洋部隊に編入された[240]。 1月25日、第三水雷戦隊司令官橋本信太郎少将[106] は駆逐艦「白雪」に乗艦してラバウルからショートランド泊地に移動[注釈 26]し、1月27日ショートランドに到着すると「巻波」に三水戦司令官の将旗を掲げた[27][242][注釈 27]。
1月29日のレンネル島沖海戦やガ島航空撃滅戦、ルッセル島占領を経て[245]、日本軍はガダルカナル島撤収作戦を発動する[246][247]。アメリカ軍は日本軍陽動作戦を「ガダルカナルに対する増援作戦」と判断し、ガダルカナル島地上部隊の行動が鈍った[248]。
第一次撤収部隊の兵力部署は、ガダルカナル島エスペランス岬へ向かう第三水雷戦隊と、同島のカミンボに向かう別働隊にわかれていた[249]。三水戦司令官指揮下のエスペランス隊は、警戒隊(三水戦旗艦〈巻波〉、一番隊〈第4駆逐隊司令・有賀幸作大佐[250]、舞風、江風、黒潮〉、二番隊〈白雪、文月〉)、輸送隊(第十戦隊司令官・小柳冨次少将、第10駆逐隊〈風雲、巻雲、夕雲、秋雲〉、第17駆逐隊〈谷風、浦風、浜風、磯風〉[251])であった[252]。第16駆逐隊司令・荘司喜一郎大佐指揮下のカミンボ隊は[253]、第16駆逐隊(時津風、雪風)、第8駆逐隊(大潮、荒潮)、三番隊(皐月、長月)であった[注釈 28]。 1月31日、撤収部隊はショートランド泊地を出撃するが、南東方面部隊の命令により作戦は中止された[254]。ガダルカナル島やサボ島周辺に米水上部隊が確認されたため、日本軍基地航空隊は空襲を敢行し、駆逐艦「ド・ヘイヴン (USS De Haven, DD-469) を撃沈している(イサベル島沖海戦)[255]。ショートランド泊地も連合国軍機に空襲されたが、撤収部隊に被害はなかった[256]。
2月1日午前9時30分、第一次撤収部隊の駆逐艦20隻は再度ショートランド泊地を出撃した[257]。「巻波」は第三水雷戦隊司令官・橋本信太郎少将の旗艦としてガダルカナル島に向かった[258]。同日夕刻、撤収部隊は零戦18機の掩護下で[259]、ヘンダーソン基地から飛来した米軍機(F4F戦闘機 17、SBD艦爆 17、TBF艦攻 7 )と交戦する[260]。 対空戦闘中、「巻波」の右舷に爆弾1発が命中して機関部損傷、他に至近弾による損傷もうけ、航行不能となる[28][261]。36名が戦死[4]。戦傷者多数[262]。 十戦隊司令官・小柳冨次少将は「我今ヨリ指揮ヲ執ル」を打電、損傷した「巻波」と護衛の駆逐艦「文月」と「白雪」を残して進撃した[258]。橋本少将は旗艦を「巻波」から「白雪」に変更し、先行部隊を追いかけてガダルカナルへ向かった[257][263]。「巻波」は「文月」に曳航されて退避することになった[259][264]。
「巻波」の損傷と戦線離脱後、橋本司令官は「夕雲」と「巻雲」を輸送隊から警戒隊に編入した[259]。撤収作戦中に「巻雲」は米軍が敷設した機雷により大破[265]、「夕雲」により自沈処分となった[266]。その他に被害はなく、第一次撤収作戦は成功した[267]。 山本五十六連合艦隊司令長官は小柳少将に「巻波がやられ、『我今より指揮を執る』の電報に接したときは、この先どうなるかと心配した」と語ったという[268]。2月2日10時30分、「文月」に曳航された「巻波」はショートランドに到着した[267]。同地で応急修理工事を実施する[244]。ショートランド泊地からラバウルまでは、自力で撤退した[32]。 ガダルカナル島撤収作戦(ケ号作戦)成功後、連合艦隊は兵力の再編を実施、「巻波」も原隊に復帰した[269]。
2月12日、「高波」沈没時に戦死した清水第31駆逐隊司令の後任として、香川清登大佐が補職される[76][270]。香川司令は、31駆司令駆逐艦を「大波」に指定する[271]。 2月25日、夕雲型8番艦「清波」[272](駆逐艦長有馬時吉中佐)[273]が第31駆逐隊に編入され[244]、31駆は夕雲型定数4隻(第1小隊:大波、清波/第2小隊:巻波、長波)を揃えた[274][275]。 巻波艦長の人見中佐、大波艦長の吉川中佐、清波艦長の有馬中佐、長波艦長の隈部伝中佐(11月25日免職)は[276]、4人とも海軍兵学校の同期生である[54]。
2月27日、「巻波」は輸送船を護衛してラバウルを出発した[244][277]。3月2日以降はトラックで応急修理を行った[278][279][注釈 29]。 3月29日、「巻波」の修理を舞鶴で行う事が決まる[281]。 4月15日、「巻波」は給糧艦「間宮」と特設運送艦「総洋丸」(東洋汽船、6,081トン)を護衛してトラック泊地を出発した[33][282]。2隻 と分離後[283]、4月24日に舞鶴へ到着した[284]。同日から9月中旬まで、「巻波」は舞鶴海軍工廠で本格的な復旧工事を実施した。
舞鶴での修理
[編集]1943年(昭和18年)4月24日、「巻波」は舞鶴に到着した[32][285]。 損傷各艦[注釈 30]等と共に修理に従事する[34][287][288]。 機関部の損傷は深刻で、人見艦長は舞鶴海軍工廠で修理中の「不知火」用機関を流用するよう提案している[289]。各方面は対応に苦慮することになった[290]。
5月20日、駆逐艦「霞」(第四予備駆逐艦)の修理がおおむね完了した[286][注釈 31]。 同日付で巻波艦長・人見豊治中佐は、「巻波」に加えて「不知火」「初春」艦長の兼務を命じられ、山名寛雄少佐(「霞」駆逐艦長)は(霞、不知火、初春)艦長兼務を解かれた[35]。 「巻波」では、機関部修理と並行して電波探信儀(レーダー)搭載の工事を実施した[292]。
8月になると、軽巡「長良」[293] と「名取」[294]、駆逐艦「長波」[注釈 32]、「大波」(8月12日に舞鶴到着)等も、舞鶴海軍工廠で「巻波」と共に修理に従事する[295][296]。 9月10日、人見中佐は「不知火」「初春」艦長兼務を解かれ、巻波艦長のみとなる[36]。「巻波」の修理は9月15日に完了した[297][298]。第31駆逐隊の夕雲型3隻(長波、巻波、大波)は順次舞鶴を離れた[297][299]。
戦線復帰
[編集]1943年(昭和18年)9月15日の修理完成後[32]、「巻波」は舞鶴から上海に移動した[注釈 33]。 日本軍は南東方面各地の防衛強化のため、支那派遣軍の隷下にあった第17師団[301](師団長酒井康陸軍中将)を第8方面軍に編入していた[302][303]。第十七師団の第一梯団(人員5940名、車両650輌、諸物件6,800立米)[304]をニューブリテン島ラバウルへ移動させる「丁二号輸送」が実施された[305]。 第一潜水戦隊司令官・古宇田武郎少将(旗艦「平安丸」)[306]を指揮官とする丁二号輸送船団が編成された[39][40]。 輸送船団は、駆逐艦3隻(巻波、山雲、響)、水上機母艦「秋津洲」(旅団長乗艦)[307]、特設巡洋艦3隻(平安丸、護国丸、清澄丸)であった[308][309]。 9月24日、丁二号輸送船団は上海を出発した[299][310]。 10月2日、丁二号輸送船団はトラック着、即日出発する[311][312]。 10月5日、丁二号輸送船団は損害なくラバウルに進出し[313]、陸軍将兵や輸送物件を揚陸する[314]。翌日、ラバウルを出発した[307][312]。航行中に空襲をうけ「清澄丸」が至近弾で戦死1名を出したが、他艦に異状はなかった[307]。 輸送船団は10月9日にトラックに帰投して任務を終了[307]、解散した[315][316]。ラバウルに上陸した第17師団は、ニューブリテン島各地に配備された[304]。
10月10日、「巻波」以下の第二水雷戦隊は戦技訓練をおこなう[注釈 34]。 翌日、「長波」と「涼風」は第五戦隊(妙高、羽黒)を護衛してトラックを出発、ラバウルに向かった[319]。 10月中旬以降[312][320]、トラック泊地に残った巻波以下の二水戦各艦は、第三艦隊(司令長官小沢治三郎中将)と行動をともにしてエニウェトク環礁に進出した[41][321]。アメリカ海軍機動部隊出現の兆候があった為の措置だが、空振りであった[322][323]。
10月28日、ブーゲンビル諸島の情勢緊迫にともない連合艦隊は「ろ号作戦」を発動した[324][325]。 11月1日、連合軍はラバウルに対する攻勢を強化するべく、ブーゲンビル島に新規飛行場を建設するため上陸作戦を敢行した[326](ブーゲンビル島の戦い)[327]。この脅威に対処するため、連合艦隊はトラック泊地に待機している第二艦隊や第三艦隊(機動部隊)の艦艇をラバウル方面に派遣する[328]。 また第二艦隊・第三艦隊の一部艦艇・部隊をもって、第一航空戦隊の基地員や物件を輸送することになった[42]。輸送任務終了後、これらの艦艇は南東方面部隊(南東方面艦隊)に編入されることになった[329]。 11月3日、「巻波」は輸送任務のためトラック泊地を出撃、11月5日にカビエン着後はラバウルに回航された[330][331]。 この時、ラバウルでは第38任務部隊の空母「サラトガ (USS Saratoga, CV-3) 」と「プリンストン (USS Princeton, CVL-23) 」より発進した攻撃隊により[332][333]、第二艦隊司令長官・栗田健男中将指揮下の重巡洋艦部隊(遊撃部隊)が大損害を受けていた[334][335]。
ラバウル到着後の「巻波」は第十戦隊(司令官大杉守一少将)の指揮下に入り、ブーゲンビル島タロキナ輸送に[336]、支援隊として参加した[注釈 35]。 11月7日にラバウルへ帰投、他方面の輸送任務についていた各艦(夕張、水無月、時雨)も同港に帰投した[341][342]。
11月11日、ラバウルは再び大規模空襲を受ける[334][343]。第二水雷戦隊は駆逐艦「涼波」[344](第32駆逐隊)を喪失する[345][346]。 ほかに「長波」が大破・航行不能という損害を出した[347][348]。 航行不能となった「長波」を「大波」が曳航しようとしたが、ワイヤーがスクリューに絡まったため、「長波」の曳航は「巻波」が担当する[43]。
同日夕刻、第二水雷戦隊・第十戦隊各艦[注釈 36]はラバウルを出発、トラック泊地へむかった[351]。二水戦の「時雨」と「白露」も既にトラック泊地へ帰投しており[352]、ラバウルに残る第二水雷戦隊は第31駆逐隊(大波、巻波、長波〈航行不能状態〉)となった[353][354]。
南東方面部隊(南東方面艦隊)は麾下の外南洋部隊(第八艦隊)連合襲撃部隊を解消し、第二襲撃部隊を「襲撃部隊」と改称した[353]。襲撃部隊の指揮官は第三水雷戦隊司令官・伊集院松治少将が務める[355]。11月20日時点の襲撃部隊は、軽巡「夕張」[356]、駆逐艦(大波、巻波、天霧、文月、皐月[注釈 37]、水無月、卯月、夕凪、秋風、夕霧)という兵力であったが[353]、護衛任務や修理のためラバウル不在の艦もあった[358][359]。 11月19日~20日にかけて、「夕張」艦長・舟木守衛大佐の指揮下[330][358]、襲撃部隊2隻(夕張、巻波)はニューブリテン島北方のガロベ島輸送作戦を実施した[360][361]。
セント・ジョージ岬沖海戦
[編集]日本軍はアメリカ軍の次の目標をブーゲンビル島北西のブカ島とにらみ[44]、戦力強化のため第十七師団の一部をラバウルより輸送することとなった[362]。 1943年(昭和18年)11月21日、第31駆逐隊司令を指揮官とする第一回輸送部隊はラバウルを出撃する[363]。輸送部隊は警戒隊(大波、巻波)と、第11駆逐隊司令山代勝守大佐指揮下の輸送部隊(天霧、夕霧、卯月)という編成だった[364]。11月22日ブカ島に到着した[364][365]。第一次輸送は[366]、妨害を受けることなく成功した[340][367][368]。
11月24日、第三水雷戦隊司令官・伊集院少将の指揮下、第31駆逐隊司令・香川清登大佐ひきいる日本軍駆逐艦部隊5隻は、ふたたびブカ島への第二次輸送作戦を実施する[369]。前回と同様、輸送隊(指揮官第11駆逐隊司令:天霧、夕霧、卯月)、警戒隊(指揮官第31駆逐隊司令:大波、巻波)という編成であった[370][358]。13時30分、ラバウルを出撃した[367][368]。魚雷艇9隻と交戦して撃退(米軍側に被害なし)[370]。輸送隊はブカ島に兵員と物資を陸揚げし、代わりにラバウルに引き上げる海軍の航空要員600名を乗せて、22時45分にブカ島を離れた[371][372]。
ラバウルに向けて航行中の11月25日午前0時[370]、日本軍輸送部隊はニューアイルランド島セント・ジョージ岬東方海上でアーレイ・バーク大佐率いる第23駆逐部隊(フレッチャー級駆逐艦5隻)にレーダー(SG1型水上レーダー)で捕捉される[373]。輸送隊に先行していた第31駆逐隊(二二号水上見張用レーダー装備)は[374]、先制魚雷攻撃を受けた[45][375](セント・ジョージ岬沖海戦)[376]。米軍士官は「駆逐艦士官の夢が実現したような理想的な奇襲作戦だった」と記録している[369]。日本側は巡洋艦戦隊・駆逐艦戦隊・魚雷艇部隊に襲撃されたと判断している[368][377]。被雷した「大波」は轟沈[378][379]。第31駆逐隊指令・香川大佐と大波駆逐艦長・吉川中佐は戦死した[75][注釈 38]。 「巻波」は魚雷の命中により左側に20度傾斜する[370]。やがて接近してきたアメリカ駆逐艦「コンヴァース (USS Converse, DD-509) 」および「スペンス (USS Spence, DD-512) 」からの砲雷撃を受けた。「巻波」が何とか発射した反撃の魚雷1本は「コンバース」に命中したが、爆発しなかった[374]。「コンバースから」の魚雷5本を含めて乱打された「巻波」は未明1時ごろに沈没していった[370]。艦長・人見中佐を含め幹部と殆どの乗組員が戦死(約220名)[382]。 生存者はカッターに乗り移り、ラバウル南西45海里地点に漂着、帰還する事ができた[383]。他に、米軍駆逐隊に追撃・捕捉された「夕霧」も沈没する[384][385]。輸送隊の「天霧」と「卯月」のみ生還した[370]。
1944年(昭和19年)2月10日、「巻波」と「大波」は帝国駆逐艦籍[386]、夕雲型駆逐艦[387] のそれぞれから除籍された。
歴代艦長
[編集]- 艤装員長
- 駆逐艦長
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 10月1日に姉妹艦「高波」[9]が第31駆逐隊に編入されると[10]、司令駆逐艦も「高波」に変更された[11]。
- ^ 駆逐艦「高波」の沈没により[9]、31駆司令清水利夫大佐も戦死した[26]。
- ^ 外南洋部隊指揮官は、第八艦隊司令長官三川軍一中将。
- ^ 外南洋部隊増援部隊指揮官は、第三水雷戦隊司令官橋本信太郎少将。
- ^ 日本側の指揮官は第31駆逐隊司令香川清登大佐(「大波」座乗)[44]。警戒艦(大波、巻波)、輸送隊(天霧、夕霧、卯月)の計5隻でラバウルを出撃した[45]。
- ^ 舞鶴海軍工廠が建造した夕雲型駆逐艦は6隻(夕雲、巻波、早波、浜波、沖波、早霜)である[51]。
- ^ 人見中佐は、駆逐艦「水無月」水雷長[56][57]、軽巡「大井」水雷長[57]、駆逐艦「村雨」艦長[58][59]、駆逐艦「白雲」艦長[59] 等を歴任していた。
- ^ 当時の第二水雷戦隊司令官は田中頼三少将であった。二水戦の旗艦は軽巡洋艦「神通」だったが、第二次ソロモン海戦で中破したため[79]、軽巡「五十鈴」[80] に交代した[81]。
- ^ 9月8日時点での支援部隊軍隊区分より、前進部隊本隊編成[92]
- 第四戦隊:愛宕、高雄、摩耶
- 第三戦隊:金剛、榛名
- 第五戦隊:妙高、羽黒
- 第八戦隊:利根、筑摩
- 第二水雷戦隊:神通、第15駆逐隊(黒潮、親潮、早潮)、第31駆逐隊(長波、巻波)
- 第四水雷戦隊:由良、第2駆逐隊(春雨、五月雨)、第9駆逐隊(朝雲、夏雲、峯雲)
- ^ 近藤中将は1942年9月時点での兵力部署においては、支援部隊指揮官と前進部隊指揮官を兼務する[92]。第二艦隊旗艦は、ほぼ一貫して重巡洋艦「愛宕」であった。
- ^ 第15駆逐隊所属の駆逐艦陽炎は別行動で、飛行場砲撃に参加せず[81]。
- ^ 前進部隊指揮官は、第二艦隊司令長官近藤信竹中将。
- ^ 機動部隊指揮官は、第三艦隊司令長官南雲忠一中将、旗艦「翔鶴」。
- ^ 支援部隊/前進部隊指揮官は第二艦隊司令長官近藤信竹中将:第四戦隊(愛宕、高雄)、第三戦隊(金剛、榛名)、第五戦隊(妙高、摩耶)、第二航空戦隊(司令官角田覚治少将:空母隼鷹)、二水戦など[16][128]。
- ^ 重巡「鈴谷」「摩耶」、第二水雷戦隊、第10駆逐隊(風雲、夕雲、巻雲)。
戦史叢書77 1974, p. 346では連合艦隊電令作第366号(11月1日)による編入艦について「重巡2、二水戦(五十鈴、駆逐艦10)、第十戦隊の駆逐隊一(第31駆逐隊の駆逐艦3)を外南洋部隊に編入」と記述するが、第31駆逐隊は二水戦所属。第十戦隊の駆逐隊とは、第10駆逐隊のことで、同部隊の「秋雲」は別行動中。 - ^ 甲増援隊の編成[133]
- 第15駆逐隊(親潮、早潮、陽炎)
- 第24駆逐隊(海風、江風、涼風)
- 第31駆逐隊(高波、巻波、長波)
- 第10駆逐隊(夕雲、風雲)
- ^ 駆逐艦5隻の編成[136]
- 第10駆逐隊(夕雲、巻雲、風雲)
- 第31駆逐隊(巻波)
- 第24駆逐隊(涼風)。
- ^ 指揮官は二水戦司令官田中頼三少将、旗艦は駆逐艦「早潮」。第15駆逐隊(早潮〈二水戦旗艦〉、親潮、陽炎)、第24駆逐隊(海風、江風、涼風)、第31駆逐隊(高波、巻波、長波)、天霧、望月)[141]。
- ^ 輸送船団護衛中の二水戦から駆逐艦2隻(親潮、陽炎)が分離して「ワシントン」を狙ったが、有効な攻撃をおこなえなかった[148]。
- ^ 「満潮」は第三次ソロモン海戦でショートランドで出撃準備中、連合軍の爆撃で損傷した[161]。
- ^ 第二次ドラム缶輸送部隊の編成[180]
- ^ 第二号哨戒艇は、峯風型駆逐艦の「灘風」である[192]。1940年(昭和15年)4月1日付で駆逐艦籍から除かれ、第一号型哨戒艇の「第二号哨戒艇」となった[192]。
- ^ 駆逐艦10隻の編成は、警戒隊(長波、江風、涼風、巻波、荒潮)、輸送隊(親潮、黒潮、陽炎、磯波、電)であった[200][203]。
- ^ 駆逐艦8隻の編成[211]。
- ^ 1943年1月20日、南東方面部隊に「長月」「文月」「皐月」「川内」「白雪」を編入。これ以降、第10駆逐隊、第16駆逐隊、第17駆逐隊を編入した。
- ^ 軽巡「川内」はラバウルからニューアイルランド島カビエンに回航された[241]。
- ^ 第31駆逐隊は分散配置されていた[243]。「巻波」はガ島撤収作戦従事、「大波」は前進部隊として陽動作戦に従事、「長波」はトラック泊地で修理中だった[244]。
- ^ この他にカビエンに待機する重巡「鳥海」と重巡「熊野」、軽巡「川内」[241] 等がおり、第七戦隊司令官西村祥治少将の指揮下にあった[27][252]。
- ^ 第31駆逐隊僚艦の「長波」は先に舞鶴に戻った[280]
- ^ 霞と不知火[286]、初春、太刀風(5月15日到着)、阿武隈(4月17日着、5月17日完成)、多摩(5月4日着、20日発)、名取〈6月1日着〉
- ^ 「霞」は燃料加熱装置搭載と試験をおこない6月30日修理完成、7月18日に舞鶴を出撃した[288][291]。
- ^ 「長波」は北方部隊に編入され、第一水雷戦隊司令官木村昌福少将の指揮下でキスカ島撤退作戦に従事[295]。作戦終了後、8月7日に舞鶴到着。
- ^ 途中から特設巡洋艦「清澄丸」を護衛、9月19日着[300]。
- ^ 軽巡「能代」(二水戦旗艦)[317]、第31駆逐隊(大波、長波、巻波)、第24駆逐隊(海風、涼風)、島風、白露)[318]。
- ^ ブーゲンビル島逆上陸部隊[337]
- ^ 第十戦隊の「阿賀野」[349] と「浦風」が先発。軽巡「能代」と指揮下駆逐艦(早波、藤波、五月雨、風雲、若月)は重巡「摩耶」と潜水母艦「長鯨」を護衛する[350]。
- ^ 戦史叢書96 1976, p. 415の襲撃部隊編成には「皐月」を記載していないが、第三水雷戦隊戦時日誌には記載されている[357]。
- ^ 香川司令と吉川艦長は[47]、それぞれ少将に進級した[380][381]。
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