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== 利用 ==
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== 種の保全状況評価 ==
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* [[マンセンカラマツ]](満鮮唐松、満鮮落葉松、学名:''Thalictrum aquilegiifolium'' L. var. ''sibiricum'' {{AU|Regel}} et {{AU|Tiling}}) - [[中国]](北部、東北)、シベリア、[[樺太]]、[[千島列島]]、日本(本州、四国、九州)に分布する<ref name="佐竹 (1982)、84-85頁" />。カラマツソウによく似ているが<ref name="佐竹 (1982)、84-85頁" />、そう果が10個以下、倒卵形で先は切形となる<ref name="清水 (2014)、92頁" />。
* [[ダイセンカラマツ]](学名:''Thalictrum aquilegiifolium'' L. var. ''daisenense'' (Nakai) {{AU|Emura}})
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== ミヤマカラツとモミジカラマツとの識別ポイント ==
== ミヤマカラツとモミジカラマツとの識別ポイント ==
花の形態は[[ミヤマカラマツ]]<ref name="清水 (2014)、93頁">[[#高山に咲く花|清水 (2014)、93頁]]</ref>と[[モミジカラマツ]]<ref name="清水 (2014)、93頁" />に似ているが、葉の形態などで識別することができる<ref name="清水 (2014)、92頁" />。カラマツソウの小葉は浅く3つに裂ける<ref name="高村 (2005)、203頁" />。ミヤマカラマツの小葉は、縁に鋭い鋸葉がある<ref name="林 (2009)、485頁">[[#日本の野草|林 (2009)、485頁]]</ref>。モミジカラマツの葉は掌状に裂けて[[モミジ]]の葉の形状に似ている<ref name="林 (2009)、485頁" />。
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2016年2月25日 (木) 08:46時点における版

カラマツソウ
カラマツソウ、赤石山脈聖岳の高山帯下部にて、2014年7月25日
カラマツソウ (赤石山脈聖岳、2014年7月)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: キンポウゲ目 Ranunculales
: キンポウゲ科 Ranunculaceae
: カラマツソウ属 Thalictrum
: カラマツソウ(広義) T. aquilegiifolium
変種 : カラマツソウ
T. aquilegiifolium var. intermedium
学名
Thalictrum aquilegiifolium
L. var. intermedium Nakai[1]
和名
カラマツソウ
(落葉松草、唐松草)

カラマツソウ(落葉松草、唐松草、学名Thalictrum aquilegiifolium var. intermedium Nakai[1])は、キンポウゲ科カラマツソウ属分類される多年草の1[2]

特徴

全体に腺毛がない[3][4]の高さは20-120 cm[2]、中空で緑色あるいは紫色を帯び[3]、上部でよく分れする[5]根生葉と下部の茎は2-4回3出複葉で葉柄は長さ5-15 cmで互生する[5]小葉は長さ0.5-3 cm、倒卵形で[5]浅く3つに裂ける[6]。裏面はやや白っぽく[7]、脈が隆起する[2]。上部の茎葉は2回3出複葉で葉柄は短い[7]。托葉は大きく膜質で反曲し[4]、葉軸の分岐点にある丸い小托葉[2]も目立つ[8]直径約1 cm白色または薄紅色を帯び[5]、複散房状に多数上向き[9]につく。高山帯に生育する個体は花数が少ない[7]花弁はなく[4]、4-5個の萼片は広楕円形で長さ約4 mm[5]、白色または薄紅色を帯びの時に紫色で花時に早く落下する[7][3]雄蕊は輪状に多数集まり、花糸は棍棒状に[5]肥厚し、葯より太く葯隔は突出しない[8]。花期は7-9月[2]。果柄は長さ0.5-1.5 cm[8]痩果は7-16個、長さ約7 mmの楕円形、3-4個のがあり、先は円形か尖り[2]、長い柄で垂れ下がる[5]染色体数は2n=14(2倍体[2]

分布と生育環境

日本固有種で、北海道本州四国九州に分布する[2][5]基準標本は、木曽山脈木曽駒ヶ岳のもの[2][7]

山地から高山帯下部にかけての湿り気のある日当たりのよい[4]草地[2]の縁、高原などに生育する[5]

名前の由来

和名の由来であるカラマツの葉の形態

別名が、オオミノカラマツソウ[9]、ミチノクカラマツソウ[2]和名は花の形態が、カラマツを思わせることに由来する[5]

利用

若い茎と葉は食べられる[6]。 umai

種の保全状況評価

日本では以下の都道府県レッドリストの指定を受けている[10]。生育が稀な地域もあり、植林や乾燥による森林の遷移により個体数が減少している地域がある[11]

基本種の図説
T aquilegiifolium var. aquilegiifolium

種内変異

基本種のT aquilegiifolium var. aquilegiifolium(広義のカラマツソウ)は、ヨーロッパからシベリア西部にかけて分布する[8]

  • マンセンカラマツ(満鮮唐松、満鮮落葉松、学名:Thalictrum aquilegiifolium L. var. sibiricum Regel et Tiling) - 中国(北部、東北)、シベリア、樺太千島列島、日本(本州、四国、九州)に分布する[8]。カラマツソウによく似ているが[8]、そう果が10個以下、倒卵形で先は切形となる[2]
  • ダイセンカラマツ(学名:Thalictrum aquilegiifolium L. var. daisenense (Nakai) Emura

ミヤマカラツとモミジカラマツとの識別ポイント

花の形態はミヤマカラマツ[14]モミジカラマツ[14]に似ているが、葉の形態などで識別することができる[2]。カラマツソウの小葉は浅く3つに裂ける[6]。ミヤマカラマツの小葉は、縁に鋭い鋸葉がある[15]。モミジカラマツの葉は掌状に裂けてモミジの葉の形状に似ている[15]

和名
学名
果実 識別のポイント
カラマツソウ
Thalictrum aquilegiifolium var. intermedium
カラマツソウ(越美山地金草岳、2013年6月29日) カラマツソウ(木曽山脈木曽駒ヶ岳、2015年8月14日) カラマツソウ(木曽山脈木曽駒ヶ岳、2015年8月14日) 花糸は棍棒状
痩果は垂れ下がる
小葉は浅く3つに裂ける[6]
ミヤマカラマツ
Thalictrum tuberiferum
ミヤマカラマツ(飛騨山脈焼岳、2015年6月13日) ミヤマカラマツ(飛騨山脈爺ヶ岳、2015年7月7日) ミヤマカラマツの三出複葉(赤石山脈聖岳、2014年7月25日) 花糸の上半分が広がる
痩果は2-7個
小葉は縁に鋭い鋸葉がある[15]
モミジカラマツ
Trautvetteria caroliniensis var. japonica
モミジカラマツ(飛騨山脈乗鞍岳、2013年8月27日) モミジカラマツ(長野県御嶽山、2014年9月6日) モミジカラマツ(赤石山脈聖岳、2014年7月25日) 花糸は先ほど太くなる
痩果は広卵形
葉は掌状に裂けてモミジの葉の形状に似ている[15]

脚注

注釈

  1. ^ 奈良県のカテゴリー「希少種」は、環境省のカテゴリー「準絶滅危惧」相当。

出典

  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Thalictrum aquilegiifolium L. var. intermedium Nakai”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2015年12月2日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 清水 (2014)、92頁
  3. ^ a b c 牧野 (1982)、111頁
  4. ^ a b c d 小野 (1987)、587頁
  5. ^ a b c d e f g h i j 林 (2009)、484頁
  6. ^ a b c d 高村 (2005)、203頁
  7. ^ a b c d e 豊国 (1988)、440頁
  8. ^ a b c d e f 佐竹 (1982)、84-85頁、(該当部の執筆者は清水建美)
  9. ^ a b 久保田 (2007)、179頁
  10. ^ 日本のレッドデータ検索システム「カラマツソウ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2015年12月2日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典元の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
  11. ^ a b 岡山県版レッドデータブック2009” (PDF). 岡山県. pp. 91 (2009年). 2015年12月3日閲覧。
  12. ^ 埼玉県レッドリスト2011 植物編” (PDF). 埼玉県. pp. 92 (2011年). 2015年12月2日閲覧。
  13. ^ 絶滅のおそれのある野生生物(「レッドデータブックひろしま2011」)レッドデータブック・分類群別一覧表(種子植物)” (PDF). 広島県. pp. 2 (2011年). 2015年12月2日閲覧。
  14. ^ a b 清水 (2014)、93頁
  15. ^ a b c d 林 (2009)、485頁

参考文献

  • 高村忠彦(監修) 編『季節の野草・山草図鑑―色・大きさ・開花順で引ける』日本文芸社〈実用BEST BOOKS〉、2005年5月。ISBN 4537203676 
  • 小野幹雄、林弥栄(監修) 編『原色高山植物大図鑑』北隆館、1987年3月30日。ISBN 4832600079 
  • 久保田修『高山の花―イラストでちがいがわかる名前がわかる』学習研究社、2007年6月。ISBN 978-4054029033 
  • 清水建美、門田裕一、木原浩『高山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑8〉、2014年3月22日。ISBN 978-4635070300 
  • 豊国秀夫『日本の高山植物』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1988年9月。ISBN 4-635-09019-1 
  • (編集)佐竹義輔大井次三郎北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本II離弁花類』平凡社、1982年3月17日。ISBN 458253502X 
  • 林弥栄『日本の野草』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2009年10月。ISBN 9784635090421 
  • 牧野富太郎『原色牧野植物大図鑑』北隆館、1982年7月。ASIN B000J6X3ZE。 

関連項目

外部リンク