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{{特殊文字|説明=[[JIS X 0212]]-1990、[[CJK統合漢字拡張B]]}}
{{単位
{{単位
|名称=メートル
|名称= メートル
|画像= [[Image:Platinum-Iridium meter bar.jpg|250px]]<br/>メートル原器(1889 - 1960年)
|英字={{lang|fr|mètre}}, {{lang|en|metre}}, {{lang|en|meter}}
|フランス語=mètre
|記号=m
|英語= metre<br />({{ja|米国のみ1977年以降、}}meter)
|単位系=[[国際単位系|SI]](基本単位)
|記号= m
|物理量=[[長さ]]
|度量衡= [[メートル法]]
|定義=真空中で1[[秒]]の299 792 458分の1の時間に[[光]]が進む行程の長さ
|単位系= SI
|由来=[[北極点]]と[[赤道]]の距離の1/10 000 000
|種類= [[SI基本単位|基本単位]]
|画像=[[Image:Platinum-Iridium meter bar.jpg|250px|メートル原器]]<br/>メートル原器
|物理量= [[長さ]]
|派生単位= [[平方メートル|m<sup>2</sup>]], [[立方メートル|m<sup>3</sup>]], [[毎メートル|m<sup>−1</sup>]], [[毎平方メートル|m<sup>−2</sup>]]
|定義= 真空中で1[[秒]]の {{gaps|299|792|458}} 分の1の時間に[[光]]が進む行程の長さ
|由来= [[北極点]]と[[赤道]]の距離の{{gaps|1/10|000|000}}
|語源= [[古代ギリシャ語]] {{lang|grc|μέτρον}}(ものさし、測る)
}}
}}
'''メートル'''({{Lang-fr|mètre}}、{{Lang-en-short|metre}}<ref group="注">SI国際文書の日本語版では、metre としている。例えば、[https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/pdf/SI_9th_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88_r.pdf] p.118欄外注 a 35-millimet'''re''' film (この語は2022年7月14日の正誤表で、a 35-millimet'''er''' film から訂正されている。[https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/pdf/20220714_seigohyo.pdf])</ref>
'''メートル'''({{lang-fr-short|mètre}}, 記号'''m''')は、[[国際単位系]](SI)における[[長さ]]の[[物理単位|単位]]である。[[SI基本単位]]の一つである。日本語では、原語であるフランス語読みの'''メートル'''の他に、英語({{lang-en-gb-short|metre}}, {{lang-en-us-short|meter}} {{IPA|ˈmiːtə(r)}})から'''メーター'''と言うこともあり、漢字で「'''米'''」と書かれることもある。
<ref group="注">量・単位に関する[[JIS]]規格では英語表記の規定はないが、参考における表記は met'''re''' である。例えばJIS Z 8000-1:2014 量及び単位 - 第1部:一般, p.27, 7.2.5 例1 newton metre 、例2 metre per second squared</ref>、{{Lang-en-us|meter}}、[[単位記号|記号]]: m)は、[[国際単位系]] (SI) および[[MKS単位系]]<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.eng.kagawa-u.ac.jp/~miyagawa/misc/physics/MKS_units.pdf|format=PDF |title=MKS単位系について|author=宮川勇人|publisher=[[香川大学]]工学部材料創造工学科|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>における[[長さ]]の[[計量単位]]である。


他の[[量]]とは関係せず完全に独立して与えられる7つの[[SI基本単位]]の一つである<ref name=Ube-k>{{Cite web|和書|url=http://www.ube-k.ac.jp/~oki/class/IE/pre/sec1_note.pdf|format=PDF|title=計測工学 ‐第1回(測定と単位系)‐p.p.1-2‐平成20年4月10日|author=沖俊任|publisher=[[宇部工業高等専門学校]]|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。
1メートルは、現在は1秒の299 792 458分の1の[[時間]](約3億分の1秒)に[[光]]が[[真空]]中を伝わる[[距離]]として[[定義]]されている。言い換えると、1[[光秒]]の299 792 458分の1である。


元々は、「[[地球]]の[[赤道]]と[[北極点]]の間の[[海抜]][[ゼロ]]における[[子午線弧]]長を {{gaps|1/10|000|000}} 倍した長さ」を意図し、[[計量学]]の[[技術]]発展を反映して何度か更新された。
メートル(metre)という名称は、「ものさし」を意味する{{lang-el-short|μέτρον}}(''metron'')に由来し、メーター(meter)などと同一語源である。


[[1983年]]([[昭和]]58年)に基準が見直され、現在は「1[[秒]]の {{gaps|299|792|458}} 分の1の[[時間]]に[[光]]が[[自由空間|真空]]中を伝わる[[長さ]]、また光の速さが299 792 458 m/sとなるような長さ」と[[定義]]されている<ref name="Res1">{{cite web|url=http://www.bipm.org/en/CGPM/db/17/1/ |author=|title= Resolution 1. of the 17th meeting of the CGPM (1983)、第17回 国際度量衡総会 決議1|publisher=[[国際度量衡局]] (International Bureau of Weights and Measures, BIPM) |date=1983|language=英語|accessdate=2010-11-15}}</ref>。
[[デシメートル]]≪'''メートル''' ≪ [[デカメートル]]
==倍量・分量単位 ==
国際単位系の接頭辞と組み合わせて、メートルから派生する多くの単位が使用されている。よく使われているのは次のような単位である。


なお、[[CGS単位系]]ではセンチメートル (cm) が基本単位となる<ref name="BIPM21">{{cite web|title=Official BIPM definition|url=http://www.bipm.org/en/si/si_brochure/chapter2/2-1/second.html|publisher=BIPM|accessdate=2010-11-13}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=http://dprpcf.hyd.eng.hokudai.ac.jp/gaku/EBooks/Hydraulics/PdfFile/Ch01a1.pdf|format=PDF |title=独修『水理学』、長谷川和義監修/田中岳著|chapter=第1章 単位と次元 目標:SI単位系・工学単位系の違いを理解する|author=田中岳|publisher=[[北海道大学]]大学院工学研究科環境資源工学・水圏工学|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。
* km = [[キロメートル]] = [[1 E3 m|1,000 メートル]]
* cm = [[センチメートル]] = [[1 E-2 m|1/100 メートル]]
* mm = [[ミリメートル]] = [[1 E-3 m|1/1,000 メートル]]
* &micro;m = [[マイクロメートル]] = [[1 E-6 m|10<sup>-6</sup> メートル]] -- 以前は通称のミクロンも正式名称だったが廃止された
* nm = [[ナノメートル]] = [[1 E-9 m|10<sup>&minus;9</sup> メートル]]
* pm = [[ピコメートル]] = [[1 E-12 m|10<sup>&minus;12</sup> メートル]]
* fm = [[フェムトメートル]] = [[1 E-15 m|10<sup>&minus;15</sup> メートル]] -- フェルミまたはユカワの別名があった
* am = [[アトメートル]] = [[1 E-18 m|10<sup>&minus;18</sup> メートル]]
* zm = [[ゼプトメートル]] = [[1 E-21 m|10<sup>&minus;21</sup> メートル]]
* ym = [[ヨクトメートル]] = [[1 E-24 m|10<sup>&minus;24</sup> メートル]]


• [[デシメートル]] ≪ '''メートル''' ≪ [[デカメートル]]
倍量単位については、定義上は[[メガ]]メートル(Mm)、[[ギガ]]メートル(Gm)などもありうるが、[[天文学]]で扱われる大きな長さについては[[天文単位]]、[[光年]]、[[パーセク]]などの慣用の単位が使用されたり、[[指数]]表記されたりすることが多い。


== 定義 ==
分量単位では、[[フェムトメートル]] (fm) が[[原子核]]サイズであり、それより小さいものでは[[プランク長]] (~ 10{{sup|&minus;35}} m) オーダーまで表すべき長さがほとんど存在しないため、fm 未満はほとんど使われない。
{{see also|SI基本単位の再定義 (2019年)}}
現在の「メートル」は、以下のように定義される。この定義は第17回[[国際度量衡総会]]により1983年10月21日に決定され、第26回[[国際度量衡総会]]により改定され、2019年5月20日に施行された。定義の実質は1983年のものと同じである。


{{Quotation|メートル(記号は m)は長さの SI 単位であり、真空中の光の速さ ''c'' を単位 m s{{sup-|1}} で表したときに、その数値を {{val|299792458}} と定めることによって定義される。ここで、[[秒]]は[[セシウム]]周波数 ''∆ν''{{sub|Cs}} によって定義される<ref>[https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/pdf/SI_9th_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88_r.pdf#page=16 国際単位系(SI)第 9 版(2019)] p.99、産業技術総合研究所、計量標準総合センター、2020年3月</ref><ref group="注">国際単位系における正式の言語はフランス語である。ここでの定義は英語及びこれを日本語に翻訳したものである。正式な本文の確認が必要な場合又は文章の解釈に疑義がある場合はフランス語版を確認する必要がある。</ref>。
1000の冪乗以外の[[センチメートル]] (cm)、[[デシメートル]] (dm)、[[デカメートル]] (dam)、[[ヘクトメートル]] (hm) の中では、唯一 cm だけが使われる。
}}
''∆ν''{{sub|Cs}} は {{sup|133}}Cs ([[セシウム]])の超微細構造遷移周波数である。


この定義により、[[光速|真空中の光の速さ]]は正確に {{gaps|299|792|458}} m/s である。
他の単位系の長さの単位のいくつか([[尺]]、[[フィート]]など)も、現在ではメートルを基準とする定義に改められている。


==歴史==
== 単位記号 ==
メートルの[[単位記号]]は、小文字・立体の m である<ref>[https://laws.e-gov.go.jp/law/404M50000400080#91 計量単位規則 別表第2] 長さ・メートルの欄、m</ref>。大文字・立体の M と書かれることがあるが、誤りである。大文字・立体の M は、10<sup>6</sup>を表す[[SI接頭語]] メガ (mega) の記号である。ただし、[[計量法]]では[[単位記号]]の表記揺れに対する罰則はない<ref>計量法第7条 「計量単位の記号による表記において'''標準となるべきもの'''は、経済産業省令で定める。」</ref>(これに対して、計量単位の「メートル」を「メーター」と表記することはできない。)が、混乱を防ぐためには標準の表記が推奨される<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/50_qanda.html|title=計量行政: Q&A(よくある質問と回答)|publisher=経済産業省|accessdate=2020-07-18}}</ref><ref>{{Cite book|chapter=全般-40|title=計量法における商品量目制度Q&A集|url=https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/00_download/14_ryoumoku_qa_20190530.pdf|publisher=経済産業省産業技術環境局計量行政室|date=2019-5}}</ref><ref>{{Cite web|和書|url=https://staff.aist.go.jp/y.fukuyama/unit0001.html|title=計量単位の相談|author=福山康弘|accessdate=2020-07-18|url-status=dead|url-status-date=2024-09-09}}</ref>。
=== 地球の子午線弧長によるメートル ===
メートルが初めて規定されたのは[[1791年]]、フランスにおいてだった。前年の3月に国民議会議員である[[シャルル・モーリス・ド・タレーラン=ペリゴール|タレーラン=ペリゴール]]の提案によって、世界中に様々ある長さの単位を統一し、新しい単位を創設することが決議された。当初はイギリスとの協同で進める予定だったが、この事業は[[フランス革命]]の一環であり(各地での度量衡の単位が異なることは、打破すべき旧体制-[[アンシャン・レジーム]]-のひとつだった)、同様の革命が自国にも波及することを恐れたイギリスの参同が得られず単独で行うことになり、[[フランス科学アカデミー]]に委員会が設けられた。


== 表記 ==
自然科学に根拠を持ったものでなければ世界で共通に使ってもらえないということで、委員会では以下の3つの案が検討された。
=== 語源 ===
# [[地球]]の[[北極]]から[[赤道]]までの[[子午線弧]]長(子午線象限)の1,000万分の1
メートル ({{fr|mètre}}) という名称は、「ものさし」または「測ること」を意味する[[古代ギリシャ語]] {{lang|el|μέτρον}}(メトロン)からの造語であり、計器類を意味する[[メーター]] (meterまたはmetre) と語源は同じである<ref>''American Heritage Dictionary of the English Language''. 3rd ed. (1992). Boston: Houghton Mifflin. s.v. meter.</ref><ref name=Hiroshima2 />。
# 赤道の[[周長]]の4,000万分の1
# 北緯45[[度 (角度)|度]]の地点で、半[[周期]]が1[[秒]]になる[[振り子]]の紐の長さ
これらはほぼ同じ長さであり、その元となったのは、ヨーロッパ各地で使われていた、[[キュビット]]の2倍のダブルキュビットに由来する単位だった。


=== 日本語の表記 ===
第3案は、地球の重力が場所によって異なることと、長さの定義に時間を使わなければならないということで却下された(ただし、現在のメートルの定義には秒が使われている)。第2案も、赤道上には海上区間や[[熱帯]]地域が多く測量が困難ということで採用されず、委員会は第1案を国民議会に答申した。それを受けて、[[1791年]]3月の国民議会で1案が正式に採用された。
[[計量法]]における表記は、「メートル」である<ref>[https://laws.e-gov.go.jp/law/404AC0000000051#1357 計量法 別表第一] 「長さ」の欄、「メートル」</ref>。


日本語の「メートル」は[[フランス語]] {{fr|mètre}} からの[[外来語]]である<ref>{{Cite journal|和書|title=外来語に関する基礎的研究(I): 基本外来語の語形を中心に|author=戸田利彦|journal=比治山女子短期大学紀要|issue=28|pages=57-68|publisher=比治山学園|date=1993|naid=120005380016}}</ref>。英語の {{en|metre}} / {{en|meter}} からの外来語である「メーター」も特に口頭では使用されることがあるが、計量法上は、「メーター」の表記は用いることはできない(計量法第8条第1項)。
[[1795年]]、[[ニコラ・ルイ・ド・ラカーユ]]の測定値に基づいて暫定的に「メートル」の長さを定め、[[黄銅]]製の仮の原器を作成した。[[1792年]]6月より、北極から赤道までの子午線弧長を実際に[[測量]]することとなった。しかし、その長さを実際に測量するのは不可能に近いので、[[ジャン=バティスト・ジョゼフ・ドランブル]]及び[[ピエール・メシャン]]の主導により、パリを通過する同一[[子午線]]上にある[[フランス]]北岸の[[ダンケルク]]から[[スペイン]]南岸の[[バルセロナ]]までの距離を[[三角測量]]を繰り返して計測し、その距離と両都市の[[緯度]]差から北極から赤道までの子午線弧長を求めることとした。測量が行われたのが[[フランス革命]]の直後でまだ政情が不安定だったこと、スペインもフランスと対立していたこと、さらにほとんどが山岳地帯であることから測量は困難を極めた。[[スパイ]]と間違われて逮捕されたり、命を落したりした者もいた。測量には6年かかり、[[1798年]]6月に終了した。この測量結果を元にしてメートルの長さが正式に定められ、[[1799年]]に[[プラチナ|白金]]製の正式な「メートル原器」が作成された。原器は、国立史料館に保管されたことから「アルシーブ(Archive)のメートル」と呼ばれる。[[質量]]も、このメートルを基準として、1立方デシメートルの水の質量が1[[キログラム]]と定められた。これに時間の単位[[秒]]を加えて新たな単位系[[メートル法]]が作られた。


なお、「メーター」は[[計器]]の意味で用いられる語である<ref>{{Cite Kotobank|word=メーター|encyclopedia=デジタル大辞泉|accessdate=2020-7-21}}</ref>。
=== メートル原器によるメートル ===
[[1870年]]、全世界の単位をメートル法に統一する[[メートル条約]]を締結するための会議で、単位系の基準はメートル原器とすると定められたので、メートルと地球の子午線弧長との直接の関連はなくなった(実際、後に再度地球の子午線象限を測ってみると、本来なら10,000,000メートルとなるはずの長さが10,002,288メートルであることが分かった)。[[1875年]]にメートル条約が締結された。日本は[[1885年]]([[明治]]18年)にこの条約に加入した。メートル条約を受けて、各国で使用するための[[メートル原器]]が30本作られた。このメートル原器は白金90%、[[イリジウム]]10%の合金で、発案者の名前から「トレスカの断面」と呼ばれるX字形の断面をしている。両端附近に楕円形のマークがあり、その中に3本の平行線が引かれていて、0[[セルシウス度|℃]]のときの中央の目盛り同士の間隔が1メートルであると定められた。30本のうち、"No.6"の原器が「アルシーブのメートル」の長さに最も近かったため、これを「国際メートル原器」とした。[[1889年]]の第1回[[国際度量衡総会]]において他の原器がくじ引きで条約加盟各国に配布され、国際メートル原器との差が伝えられた。例えば日本に配布されたものは"No.22"で、国際メートル原器との差は0.78 &micro;mである。


[[日本]]では[[1952年]]([[昭和]]27年)[[2月29日]]までは[[漢字]]で「'''米'''」と書かれていた<ref>{{Cite web|和書|url=https://kotobank.jp/word/米|title=メートル【米】|publisher=[[コトバンク]]|author=デジタル大辞泉|authorlink=大辞泉|accessdate=2016-11-12|ref={{SfnRef|kotobank-米}}}}</ref>。
=== 普遍的な定義へ ===
国際メートル原器という「物」を基準にした定義では、メートル原器の紛失、焼損などのおそれがある。さらに、国際メートル原器と比較しなければメートルを決めることができない。そのため、どこにいても1メートルの長さを現示することのできる普遍的な定義が求められるようになった。また、基準となる目盛り線自体に幅があるため、その幅分だけ誤差が生じることになる。


「米」は[[常用漢字]]表にあるものの、メートルの読みは常用漢字表にはなく、1952年(昭和27年)3月1日以降の[[計量法]]に則した取引・証明においては「米」の字を用いることはできない。
普遍的でより精度の高いメートルの定義として光の波長を使用するという発想が、[[ジェームズ・クラーク・マクスウェル]]の[[1873年]]の著書『電磁気学』の中で初めて示されている。[[1892年]]、国際度量衡委員会は光の波長を用いた長さの基準の研究を[[アルバート・マイケルソン]]に依頼しており、彼は自身の考案した干渉計で[[カドミウム]]から出る赤色の光の波長を求めて、光の波長を元にしたメートルの定義が可能という研究結果を発表した。どの原子を使用すれば良いかの議論の末、[[1960年]]の第11回国際度量衡総会において、1650763.73λKr([[クリプトン]]86原子の準位2p<sup>10</sup>と5d<sup>5</sup>の間の遷移に対応する光の真空中における波長の1 650 763.73倍に等しい長さ)という新しい定義が採択された。


古くは「'''粁'''」([[キロメートル]])、「'''糎'''」([[センチメートル]])、「'''粍'''」([[ミリメートル]])にも漢字があてられ、準常用漢字として位置づけられていたが([[#漢字表記]]も参照)、[[1942年]](昭和17年)に[[国語審議会]]から発表された標準漢字表案の段階において準常用漢字から外され<ref>修正加え、二千五百二十八字本決り(昭和17年6月18日 毎日新聞(大阪))『昭和ニュース辞典第8巻 昭和17年/昭和20年』p710 毎日コミュニケーションズ刊 1994年</ref>、[[戦後|第二次世界大戦後]]は使用機会も無くなった。
その後、[[光速]]の測定精度が高まったこと、長さの測定精度が時間の測定精度と比べて劣っていたことから、[[1983年]]の第17回国際度量衡総会において、「1秒間に光が進む距離」に基づく現在の定義が採用された。


== 表記 ==
=== 英語表記 ===
国際規格[[ISO/IEC 80000|ISO/IEC 80000 series Quantities and units]]の規定では、[[単位記号]] m のみが国際的に定められており、単位名称は言語に依存するとしているが、本文には内規により[[イギリス英語]]綴り([[オクスフォード式綴り]])が用いられ<ref>{{Cite book|和書|title=ISO規格原案の作成 よくある質問 (FAQ) |url=https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/dev/md_2646.pdf|publisher=ISO/日本規格協会|date=2017}}</ref>、met'''re'''表記が採用されている。
[[漢字]]では「米突」の字が宛てられており、ここから「米」一字だけでメートルの意味を表すようになった。日本では明治時代、中央気象台(現[[気象庁]])が「米」を[[偏]]とする以下のような倍量・分量単位の漢字を作り、1891年(明治24年)から各気象台で気象観測の月報などに使用して、一般にも広まった(第二次大戦中に敵性語を使わないようにするために作られた、と書いている書物もあるが、これは誤りである)。一部は中国でも取り入れられている。

*マイクロメートル(&micro;m) -- 粆(元の国訓は「ミクロン」)
[[国際度量衡局]]が発行する国際単位系 (SI) 文書の英語版は上記のISO/IEC 80000 series Quantities and units.の表記に準拠している{{Sfn|BIPM|2019|p=124}}(meter → metre 以外では、liter → litre、deca → deka がある)。[[産業技術総合研究所]]計量標準総合センター (NMIJ) によって翻訳されたSI文書日本語版<ref>[https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/pdf/SI_9th_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88_r.pdf 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版] 産業技術総合研究所、計量標準総合センター、2020年4月</ref>でも、ISO/IEC 80000に準ずる[[日本産業規格]]JIS Z 8000においても、met'''re'''表記が採用されている。このため全てのJIS規格において、met'''re''' 表記となっている。
*ミリメートル(mm) -- 粍

*センチメートル(cm) -- 糎
[[国際規格]]の水平規格である[[国際電気標準会議|IEC]] 60050({{仮リンク|国際電気技術用語集|en|International Electrotechnical Vocabulary|}}: IEV, electropedia)では各言語での表記を収録し、met'''re'''を英語での推奨用語として、met'''er'''を米国での同義語として収録している<ref>{{Cite web|url=http://www.electropedia.org/iev/iev.nsf/display?openform&ievref=112-02-05|title=Details for IEV number 112-02-05: "metre"|work=Electropedia|publisher=IEC|accessdate=2017-09-21}}</ref>。
*デシメートル(dm) -- 粉(元々「[[粉|こな]]」の意味の文字だが、デシメートルの意味は日本で作られたもの([[国訓]])である。)

*デカメートル(dam) -- 籵
[[国際純正・応用化学連合]] (IUPAC) のような国際的な学術団体では、表記が国際的に標準化されていないとして<ref>{{Cite journal|first=Antony N.|last=Davies|title=XML in Chemistry|journal=Chemistry International|volume=24|issue=4|publisher=IUPAC|date=2002-07|url=https://www.iupac.org/publications/ci/2002/2404/XML.html}}</ref>、met'''re'''表記に加えてmet'''er'''表記を許容する例もある<ref>{{Cite book|first1=S. E.|last1=Schwartz|first2=P.|last2=Warneck|title=Units for use in atmospheric chemistry (IUPAC Recommendations 1995)|journal=Pure and Applied Chemistry|volume=67|issue=8-9|pages=1377-1406|publisher=IUPAC|date=1995|doi=10.1351/pac199567081377}}</ref>。
*ヘクトメートル(hm) -- 粨

*キロメートル(km) -- 粁
[[国際天文学連合]]は、単位にはmet'''re'''を使うとし、met'''er'''は計器を示す文脈に使うよう明記している<ref>{{Cite web|url=https://www.iau.org/publications/proceedings_rules/units/|title=International System (SI) of units|publisher=IAU|accessdate=2017-09-21}}</ref>。
*ミリアメートル(10<sup>4</sup> m) -- 𥸯(米偏に万)

=== 符号位置 ===
次項のアメリカ合衆国とフィリピン(の一部)における綴り met'''er''' は、数少ない例外である。米国では 1977年以降は、公式にmet'''er'''と綴られている<ref>{{cite web|url= http://www.metricationmatters.com/docs/Spelling_metre_or_meter.pdf |title=Spelling metre or meter|format=PDF|author= Pat Naughtin |date=2008 |publisher= Metrication Matters |language=英語|accessdate=2010-11-13}}</ref>(後述の[[メートル#米国における表記の経緯]]を参照)。

なお、単位の名称ではない、パーキングメータ(ー)やマイクロメータ(ー)、スピードメータ(ー)のような計器の名称には、「met'''er'''」の表記が多く使われている。

==== 米国・フィリピンでの表記 ====
アメリカでも一時「met'''re'''」の綴りを使用していたが、1977年以降は公式に「met'''er'''」を用いるようになった<ref>[http://www.metricationmatters.com/docs/Spelling_metre_or_meter.pdf Spelling metre or meter] ページ3/15、Pat Naughtin, Metrication Matters, 2008年</ref>。1975年のメートル法転換法 ([[:en:Metric Conversion Act]] of 1975) によってアメリカ商務省はアメリカ国内においてSIの解釈と変更の責任を与えられ、商務省は[[アメリカ国立標準技術研究所]] (NIST) に対しSIの解釈と変更の裁量権を与えた。2008年にNISTは、BIPMが発表した「Le Système international d'unités (SI)」第8版の英語翻訳書 (BIPM, 2006) に対してアメリカ版を発行した (Taylor and Thompson, 2008a)。この中でNISTは[[合衆国政府印刷局]]が定める公文書書式マニュアル<ref>U.S. Government Printing Office Style Manual [https://www.gpo.gov/fdsys/pkg/GPO-STYLEMANUAL-2008/content-detail.html (2008)]</ref>に沿い、BIPM版の「met'''re'''」を「met'''er'''」、「lit'''re'''」([[リットル]])を「lit'''er'''」、「deca」([[デカ]]:10倍の意)を「deka」に置き換えた (Taylor and Thompson, 2008a, p. iii)。NIST所長は、公式にこの変更を表明し、これはアメリカ合衆国におけるSIの「法解釈」の結果であるとした<ref>[https://www.federalregister.gov/articles/2008/05/16/E8-11058/interpretation-of-the-international-system-of-units-the-metric-system-of-measurement-for-the-united Interpretation of the International System of Units (the Metric System of Measurement) for the United States A Notice by the National Institute of Standards and Technology on 05/16/2008] II. Modifications to the SI for Its Use in the United States のa.に次の記述がある。 a. The spelling of English words is in accordance with the United States Government Printing Office Style Manual, which follows Webster's Third New International Dictionary rather than the Oxford Dictionary. Thus, the spellings "meter," "liter," and "deca" are used rather than "metre," "litre," and "deka" as in the original BIPM English text; </ref><ref>{{Cite web| url=https://www.nist.gov/physical-measurement-laboratory/special-publication-811 |title=The NIST Guide for the Use of the International System of Units |accessdate=2017-03-26}} [https://www.nist.gov/pml/nist-guide-si-appendix-c-comments-references-appendix-d-bibliography#C2 付録C2]。</ref>。ただし2017年版の[[NIST#Handbook 44|NIST Handbook 44]]によれば、met'''re'''表記も許容されており、これは{{仮リンク|全米計量会議|en|National Conference on Weights and Measures}}によって支持されている<ref>[https://www.nist.gov/sites/default/files/documents/2016/11/10/02-frwrd-17-hb44-final.pdf Foreword] NIST Handbook 44,2017 "In accord with NIST policy, the meter/liter spellings are used in this document. However, the metre/litre spellings are acceptable, and are preferred by the NCWM."
</ref>。

フィリピンでも、その計量法の規定においては「met'''re'''」の表記である<ref>[http://www.chanrobles.com/bataspambansabilang8.htm#.WFlNiPmLRaQ Batas Pambansa Blg. 8: An Act Defining the Metric System and its Units, Providing for its Implementation and for Other Purposes] Republic of the Philippines. (2 December 1978).</ref>。しかし、その他の法律や標準規格などでは「met'''er'''」としばしば表記されているのが実態である<ref>[http://www.bafps.da.gov.ph/images/Approved_Philippine_Standards/PNS-BAFS181-2016AbacaFiberDecorticated.pdf Abaca fiber - Grading and Classification - Decorticated] PHILIPPINE NATIONAL STANDARD PNS/BAFS 181:2016</ref>。

==== 米国における表記の経緯 ====
米国が1971年に、 International System of Units(国際単位系)のフランス語版(仏版が正式文書)を翻訳し、NBS Special Publication 330(現在の[[NIST]] SP330[https://www.nist.gov/pml/special-publication-330])として出版したときには、メートルは公式に、met'''re'''と綴り、リットルはlit'''re'''と綴られていた。これは、英国がグラムの綴りとして、-grammeではなく-gram を受け入れたこととの取引(「紳士協定」)と理解されていた。

しかしその後、米国内では、met'''er''', lit'''er'''を主張する様々な運動が展開され、1975年には 商務省 (Department of Commerce) が政府機関に -er の綴りとするようにアドバイスし、1977年のNIST SP330の改定時に、ついにmet'''er'''、lit'''er'''、そしてdeca →deka の綴りが採用されるに至った<ref>[http://www.metricationmatters.com/docs/Spelling_metre_or_meter.pdf Spelling metre or meter] by Pat Naughtin, Metrication Matters, 2008年</ref>。

=== 派生語の英語発音 ===
-metre ( -meter) で終わる語のアクセントは、その直前にあるのが普通である。例えば speedometer(速度計)のアクセントは、speedo- の第2シラブルに強アクセントがある。しかし、kilometre, millimetre, nanometre などの倍量単位・分量単位の英語発音では、その接頭語 (kilo<ref>[https://en.oxforddictionaries.com/definition/kilometre]Usageを参照</ref>, milli, nano) の最初のシラブルに強アクセントがある。

なお、オーストラリア政府のメートル法転換局 (Metric Conversion Board) が1975年に、kilometreのアクセントは第1シラブルにあると公式に宣言したにもかかわらず、当時の首相の[[ゴフ・ホイットラム]]が、第2シラブルにアクセントがあるべきと主張したことがある<ref group="注">英米では、kilometreのアクセントの位置については様々な議論がある。例えば、[http://www.cimms.ou.edu/~doswell/peeves/Discussions.html], [http://not-the-aps.proboards.com/thread/1247/kilometres]</ref>。

=== 漢字表記 ===
[[画像:ラジオ番組表 (1925年).jpg|thumb|400px|[[1925年]]の[[ラジオ]]番組表。『朝日年鑑 大正14年 – 大正15年』より。メートルの[[当て字]]「米突」が見られる。]]
[[漢字]]では「米突」の字が宛てられており、ここから「米」一字だけでメートルの意味を表すようになった。日本では[[明治時代]]、中央気象台(現:[[気象庁]])が「米」を[[偏]]とする以下のような倍量・分量単位の漢字を作り、[[1891年]]([[明治]]24年)から各気象台で気象観測の月報などに使用して、一般にも広まった。一部は[[中国]]でも取り入れられている。
* マイクロメートル (&micro;m) - {{補助漢字フォント|粆}}(一微<ref name=Ogawa />)(元の国訓は「ミクロン」)
* ミリメートル (mm) - 粍(一毛<ref name=Ogawa />)
* センチメートル (cm) - 糎(一厘<ref name=Ogawa />)
* デシメートル (dm) - 粉(元々「[[粉|こな]]」の意味の文字だが、デシメートルの意味は日本で作られたもの([[国訓]])である。)(一分<ref name=Ogawa />)
* デカメートル (dam) - 籵
* ヘクトメートル (hm) - 粨
* キロメートル (km) - 粁
* ミリアメートル (10<sup>4</sup> m) - 𥸯(⿰米萬)

以上の様々な漢字表記は[[戦後]]まもなくまで使われたが、いずれも[[当用漢字]]<ref group"注">その後[[1981年]]に[[常用漢字]]へ改称</ref>から外されたうえ、[[1951年]]([[昭和]]26年)に施行された[[計量法]]上その使用は禁止されている<ref>[https://laws.e-gov.go.jp/law/404AC0000000051 計量法] 第8条第1項(非法定計量単位の使用の禁止)</ref>。

中国では、伝統的な単位の[[尺]]と関連付けて、[[中華人民共和国]]成立以前はメートルを「公尺」とも呼んだが、現在大陸では「米」と呼ぶのが普通となっており、台湾に「公尺」の呼び方が残っている。

== 歴史 ==
=== 起こり===
長さの少数単位の提案は、記録された中では[[1668年]]に[[イングランド]]の[[哲学者]]{{仮リンク|ジョン・ウィルキンス|en|John Wilkins}}が著作『[[真性の文字と哲学的言語にむけての試論]]』提唱した普遍的測定単位 (universal measure) に見られる<ref name=Wilk1>{{Cite web|url= http://www.metricationmatters.com/docs/WilkinsTranslationLong.pdf |format=PDF |title= An Essay towards a Real Character and a Philosophical Language (Reproduction)/真性の文字と哲学的言語にむけての試論 |author=ジョン・ウィルキンス|date=1668 |publisher= |language=英語|accessdate=2010-11-13}}</ref><ref name=Wilk2>{{Cite web|url= http://www.metricationmatters.com/docs/WilkinsTranslationShort.pdf |format=PDF |title= An Essay towards a Real Character and a Philosophical Language (Transcription)/真性の文字と哲学的言語にむけての試論|author=ジョン・ウィルキンス|date=1668 |publisher= |language=英語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。
同年ウィルキンスは、[[クリストファー・レン]]が提案した[[クリスティアーン・ホイヘンス]]が観察した2[[秒]]の間隔を刻む時の[[振り子]]の長さを標準長とする案を受け入れた。その長さは38ラインランド・インチおよび39.25イギリス・インチ (997mm) に相当した<ref name=Wilk1/><ref name=Wilk2/>。

=== 名称===
[[1675年]]に[[イタリア]]の[[科学者]]{{仮リンク|ティト・リビオ・ブラッティーニ|en|Tito Livio Burattini}}が著作『Misura Universale』の中で、[[古代ギリシャ語]]の「{{lang|el|μέτρον καθολικόν}}(メトロン・カトリコン)」から普遍的測定単位を「metro cattolico」と書き表している。

[[フランス革命]]の直後の1790年5月に市民オーギュスト・サヴィニアン・ルブロンが長さの基本単位に対して、「メートル」という新たな名称を初めて提案した。彼はメートルという命名は「ひじょうにうまい表現であり、もともとフランス語だったと言ってもいいほどだ」と言っている<ref>ケン・オールダー、''万物の尺度を求めて''、p.117、早川書房、2006-03-31初版発行、ISBN 4-15-208664-5</ref>。これがフランスで正式に採用され(「mètre」)次いで英語の「metre」となった。なお、[[現代ギリシャ語]]では {{lang|el|μέτρο}}(メトロ)という。

=== 子午線長による定義 ===
[[Image:Dunkerque Belfort.JPG|thumb|right|220px|[[ダンケルク]]の[[鐘楼]]。ドランブルが行った測定の北限。]]
[[Image:Castell de Montjuic - Fossat entrada - Barcelona (Catalonia).jpg|thumb|220px|[[バルセロナ]]の[[ムンジュイック]]の丘にある[[要塞]]。メシャンが行った測定の南限。]]

人類がそれぞれの生活圏の中で過ごしている時代にはさして必要が無かったが、[[大航海時代]]を経て地球規模の[[航海]]や[[交流]]網が発達すると、長さの単位がまちまちな状態では不都合が多くなった<ref name=Hiroshima2>{{Cite web|和書|url=http://home.hiroshima-u.ac.jp/er/Class/ESA00.html |title=授業科目『地球科学A』|chapter=第2回・「メートル」の由来とその定義。引用元『地球をはかる 新版地学教育講座1巻』、地球団体研究会、[[東海大学]]出版会、p15|author=|publisher=[[広島大学]]地球資源研究室|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。これに最も熱心に取り組んだのは、既に地球[[測量]]の実績を持つ<ref group="注">1736年から10年をかけて、フランスは[[地球]]の形状を把握するため[[ラップランド]]と[[ペルー]]で緯度1度あたりの距離計測を行った。{{Cite book|和書|author=村上陽一郎|date=1996|title=宇宙像の変遷|publisher=[[講談社]]|edition=第一刷|chapter=14.地球を測る|pages=189-201|isbn=4-06-159235-1}}</ref>[[フランス]]だった<ref name=Hiroshima2 />。{{See also|子午線弧#フランス科学アカデミー遠征隊のペルーとラップランドへの派遣|フランス科学アカデミーによる測地遠征|トルネ谷#フランスによる一大測地測量事業}}

1790年に[[フランス]]の[[シャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリゴール]]が普遍的な物理量基準の必要性を提唱し<ref>{{Cite book|和書|author=監修:今井秀孝|title=トコトンやさしい計量の本|chapter=第1章 計るって何だろう|pages=24-25|publisher=[[日刊工業新聞社]]|date=2007|edition=第1刷|isbn=978-4-526-05964-3}}</ref>、これを[[憲法制定国民議会|国民議会]]が承認して基準づくりへの取組が始まった<ref name=Keirin>{{Cite web|和書|url= http://www.shinko-keirin.co.jp/kori/science/ayumi/ayumi23.html |title=科学の歩みところどころ 第23回 1メートルはどうして決めた? |author=森一夫、児島昌雄|publisher=[[新興出版社啓林館|啓林館]] |language=日本語|date=1979年|accessdate=2010-11-13}}</ref>。当時、長さの標準単位を決める定義には、以下に示す3つの支持を集めた案があった。
# 北緯45度の[[緯度]]にて<ref>[[#田中館1934|田中館 (1934)、p. 2]]</ref>ウィルキンスの流れを汲んだ{{分数|1|2}}秒の[[周波数]]を持つ振り子の長さ(3ピエ8[[リーニュ (単位)|リーニュ]]{{分数|1|2}}<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.lib.geidai.ac.jp/MBULL/32Ichise.pdf|format=PDF |title=振子式装置が示す18世紀フランス舞曲のテンポ|page=4 |author=市瀬陽子|publisher=[[東京芸術大学]]附属図書館 |language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>)
# [[地球]]の[[赤道]]全[[周長]]を4千万分の1にした長さ<ref name=Keirin />
# 同じく地球の[[子午線]]全周長を4千万分の1にした長さ<ref name=Keirin />
この問題はパリ科学学士院で検討され、[[アントワーヌ・ラヴォアジエ]]、[[ジョゼフ=ルイ・ラグランジュ]]、[[ジャン=シャルル・ド・ボルダ]]らが議論に加わった<ref name=Keirin />。1791年、フランスの[[科学アカデミー (フランス)|科学アカデミー]]は子午線を基準に置く方法を選択した。その理由は、案1では実際の地球表面と[[ジオイド]]面との差異によって[[重力]]は一定にならないため振り子の振幅は変動する点が問題視され、また案2では[[海]]上や[[熱帯気候]]に当たる赤道での測定は困難と判断されたためである<ref name=Keirin />。

普遍的に受け入れられる基本的な長さの単位を設定するに当たり、当時知られていた子午線の長さよりも更に正確な[[測定]]が求められた。イギリスや[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の協力が得られず<ref name=Keirin />、フランス科学アカデミーは単独で<ref name=Keirin />[[ジャン=バティスト・ジョゼフ・ドランブル]]と[[ピエール・メシャン]]を派遣して、1792年から[[子午線弧]]長の測定を[[三角測量]]で<ref>[[#田中館1934|田中館 (1934)、pp. 3–5]]</ref>行わせた。[[パリ]]を起点に、北の[[ダンケルク]]へはドランブル一行が<ref name=Alder1>[[#オールダー2006|オールダー (2006)、pp. 25–57、第1章 北へ向かった天文学者]]</ref>、南の[[スペイン]]の[[バルセロナ]]へはメシャン一行が<ref name=Alder2>[[#オールダー2006|オールダー (2006)、pp. 58–94、第2章 南へ向かった天文学者]]</ref>それぞれ計測を担当し、緯度差9[[度 (角度)|°]]39[[分 (角度)|′]]27[[秒 (角度)|″]].81<ref name=Hiroshima2 />の距離を最新の[[経緯儀]]などを携えて測量を開始した。しかし時は[[フランス革命]]のさ中にあり、持っていた測定機器から反革命分子のスパイ活動と間違えられたり<ref name=Alder1 />、[[フランス革命戦争]]のためメシャンはスペインで足止めされる<ref name=Alder2 />など幾多の困難に直面した<ref name=Keirin />。その間にも政府は、暫定的に[[ニコラ・ルイ・ド・ラカーユ]]の測定値を用いて、新しい単位メートルを「パリを通過する北極点と赤道をつなぐ子午線長の10<sup>7</sup>分の1を定める」という法律を1795年に公布した<ref name=Niigata>{{Cite web|和書|url=http://museum-eng.eng.niigata-u.ac.jp/c/1_metre.html |title=「メートル」の定義と歴史/参考文献『単位の辞典』、小泉袈裟勝、1965年|author=原田修治|publisher=[[新潟大学]]工学部|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。測量は、1798年に完遂された<ref name=Keirin />。

測量から計算された結果、子午線全周の{{分数|1|4}}に当たる[[北極点]]から赤道までの子午線弧長は{{gaps|5|130|740}}[[トワーズ]]という数値が計算された<ref name=Keirin />。測定の終了を受けて、1799年にフランスは、これを1千万分の1にした値3ピエ11.296リーニュを1メートルと定めた<ref name=Keirin />。これは、1ヤードや2キュービットといった既存の長さ単位を意識して採用された<ref name=Wada30>[[#和田2002|和田 (2002)、第2章 長さ、時間、質量の単位の歴史、pp. 30–31、1. 長さの単位:地球から原器へ]]</ref>。そして、[[白金]]で作られた板状の<ref name=Wada30 />メートル原器(端度器<ref name=Hiroshima>{{Cite web|和書|url=http://home.hiroshima-u.ac.jp/er/ES_Y_07.html |title=地球科学用語集 |chapter=【ま行】メートル(metre[英]、meter[米])|author=|publisher=[[広島大学]]地球資源研究室|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>)を製作し、これを[[フランス国立中央文書館]]に保管した<ref name=Keirin />。これはアルシーヴ原器 (Mètre des Archives) と呼ばれた<ref name=Keirin />。

この新しい長さの単位は、旧来の慣れ親しんだ[[寸法]]からすぐには切替わらなかった。フランスは1837年にメートル法以外の単位使用を法律で禁じ<ref name=Alder12>[[#オールダー2006|オールダー (2006)、pp. 413 第12章 メートル化された地球]]</ref><ref group="注">書類1枚につき10フラン、公務員の場合20フランの罰金。同時に質量単位のポンドも使用規制の対象となった。[[#田中館1934|田中館 (1934)、pp. 10–11]]</ref>、1851年の[[ロンドン万国博覧会 (1851年)|ロンドン万国博覧会]]や1867年の[[パリ万国博覧会 (1867年)|パリ万国博覧会]]などで[[広報]]活動を行い、普及に努めた<ref name=Keirin />。そのうち、[[蒸気機関車]]の発明による[[鉄道]]敷設や、実験を重視する[[科学]]の発達が統一基準の普及を求め、[[電気]]単位への採用などを通じてメートルは広まった<ref>[[#田中館1934|田中館 (1934)、pp. 10–13]]</ref>。

[[Image:Mètre-étalon Paris.JPG|right|thumb|220px|1796年から1797年にかけて啓蒙のために[[パリ]]の街中に16基設置されたメートル原器 (Mètre-étalon)。写真は[[6区 (パリ)|6区]]の{{仮リンク|ヴォージラール通り|en|Rue de Vaugirard}}36]]

=== メートル原器 ===
{{Main|メートル法|メートル条約|メートル原器}}
現実には、地球の[[地殻]]表面は単純な正球または楕円球ではなく、標準長を設定する際の絶対的な基準とするには馴染まない<ref name=Wada30 />。これが地球科学の発展で明らかとなってきた事に加え、ふたたび基準値を観測で得ようとすると、また地球を測るという費用と時間および労力をかけなければならないことから再現性が疑問視された<ref name=Saijyo1-3>[[#西條2009|西條 (2009)、1講.メートル、pp. 4–5. 3. 国際メートル原器を長さの基準に]]</ref>。このため、1869年にアルシーヴ原器そのものが副原器の立場からメートルの基準そのものと変更された<ref name=Wada30 />。

1870年代から、現代的な観点から新しい[[メートル法]]の規格を検討する一連の国際会議が開催された。1870年にフランスが主催した第1回国際メートル委員会は[[普仏戦争]]の影響で参加国が少なく実効的な決議を得られなかった<ref name=Saijyo1-3 />。1872年には第2回委員会が開かれ<ref name=Saijyo1-3 />、30本の原器を製作することが決まった<ref name=Tanaka17>[[#田中館1934|田中館 (1934)、p. 17]]</ref>。これは、アルシーヴの原器を基準に<ref name=Niigata />、白金90%と[[イリジウム]]10%の[[合金]]を用い、[[氷]]が[[融解]]する[[温度]]環境下で原器に刻まれた2本の目盛りの間を1mの基準とする<ref>[[#nistmetre|National Institute of Standards and Technology 2003; Historical context of the SI: Unit of length (meter)]]</ref>、全長102cm、「X」字型の断面は[[アンリ・トレスカ]]が考案した形状が採用された<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.ruth.chem.yamaguchi-u.ac.jp/tannihan.htm |title=単位のおはなし|author=|publisher=[[山口大学]]工学部|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>)<ref name=Hiroshima />。しかし、この原器は1875年の[[メートル条約]]に基づいた[[国際度量衡局]] (Bureau International des Poids et Mesures, BIPM) 設立(フランスの[[セーヴル]])に間に合わなかった<ref name=Tanaka17 /><ref group="注">当初フランスで製造されたが不純物が規定の2.0%を上回り、改めてイギリスのジョンソン・マシュー社が作り直した。[[#田中館1934|田中館 (1934)、p.17]]</ref>。

1889年、[[国際度量衡総会]] (Conférence Générale des Poids et Mesures, CGPM) 第1回大会が開催され、30本のうち最も正確と判断されたNo.6原器を正式な[[メートル原器|国際メートル原器]]と認定してこれを保管し、他の原器は[[国家]]単位へ配布した<ref>[[#田中館1934|田中館 (1934)、p.22]]</ref><ref group="注">日本へはNo.22原器が割り当てられた。[[#田中館1934|田中館 (1934)、図版-3]]</ref>。

このオリジナルとなるメートル原器はBIPMによって特別な環境下で1889年まで保存された。しかし、原器は製作当初から精度に対する物理的な限界が指摘され<ref name=Niigata />、同時に経時的変化や紛失・焼損のリスク<ref group="注">イギリスのポンド・ヤード原器は1834年に焼損の憂き目に遭った。[http://www.ehdo.go.jp/niigata/npc/kouza/H20/Aug05.pdf 単位のいま・むかし、スライド25、新潟職業能力開発短期大学校、制御技術科、金川明]</ref>が常につきまとった<ref name=Hiroshima />。また、長さの原器となるものについての議論は続き、さらに[[アメリカ国立標準技術研究所]]によってメートル原器には製作時の[[誤差]]があることが発見された<ref name=Beers>[[#beers1992|Beers & Penzes 1992]]</ref>。

=== クリプトン-86スペクトル長による定義 ===
1873年、[[ジェームズ・クラーク・マクスウェル]]は著書『電磁気学』にて普遍的で高精度が期待される[[光]]の特定[[波長]]をメートルの単位にすべきという発想を示した<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/stfc/stt099j/0906_03_featurearticles/0906fa02/200906_fa02.html |title=電磁気学における混乱とCPT対称性の意義‐対称性に結びつく単位系‐|author=市口恒雄|publisher=科学技術政策研究所|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。1893年、メートル原器へ初めての[[干渉法]]による計測が、マクスウェルと同じ主張を唱える[[アルバート・マイケルソン]]によって行われた。1925年まで、干渉法はBIPMにて一般的に用いられたが、国際メートル原器は1960年まで長さの基準の地位にあった。しかし、暫定的に 0[[セルシウス度|{{℃}}]] 1[[気圧]]の[[乾燥]]環境における[[カドミウム]][[赤色|赤]]線の波長 {{gaps|6438.4696|e=-10|u=m}} が使われつつ、色々な同位体元素の[[電磁スペクトル]]が検討された<ref name=Hiroshima />。

そして、1960年の第11回CGPMにて[[国際単位系]]によってメートルの定義は、[[クリプトンの同位体|クリプトン-86]]が[[真空]]中で発する電磁スペクトルである[[オレンジ色]]‐赤色の[[放出スペクトル|発光スペクトル]]が示す[[波長]]の{{gaps|1|650|763.73}}倍と等しい長さへと変更された<ref name=Hiroshima /><ref name=Niigata />。この「0.73」という半端な小数点以下部分は、あくまでメートル原器の長さに波長数を合わせたためである<ref name=Wada32>[[#和田2002|和田 (2002)、第2章 長さ、時間、質量の単位の歴史、pp. 30–31、2.長さの単位:原器から光へ]]</ref>。その後継続して[[レーザー]]の安定放出や測定方法の精度向上が図られた<ref name=Hiroshima />が、クリプトンランプを使う実験では再現性の悪さも問題となっていた<ref name=Niigata />。

=== 光の速度による定義 ===
不確実性の低減を目指し、1983年の第17回CGPMでメートルの定義はさらに変更され、現在用いられている「[[光速]]」と「秒」で表す方法になった。これは[[セシウム]][[原子時計]]が発明され、正確な「秒」が決められた事と表裏一体を成している<ref name=Hiroshima2 />。

この定義は、真空中の光速を[[有効数字]]9桁という高い精度となる {{gaps|299|792|458|u=m/s}} と固定して得たものである<ref name=Saijyo1-5>[[#西條2009|西條 (2009)、1講. メートル、pp. 7–8. 5. 光の速さを長さの標準に]]</ref>。さらに、[[特殊相対性理論]]によって光は[[光源]]の動きや方向に関わりなく、またどんな波長(振動数)でも一定であり、そして不変だという点が重視された<ref name=Saijyo1-5 />。

このように現在採用されるメートルは一定時間における光が進む距離で定義されているが、実験室で現実に再現されるメートルは未だに標準的なレーザー<ref group="注">例えば、国立物理研究所 (National Physical Laboratory) のウェブサイト[http://www.npl.co.uk/science-technology/time-frequency/optical-frequency-standards-and-metrology/research/iodine-stabilised-lasers]では[[ヨウ素]]安定化レーザーを用いている。</ref>を用いて干渉法で波長の数を数える測定をして得られる「図による表現」である。そして、この方法では3つの大きな制約が精度に課せられている<ref name=Webster2>[[#zagar1999|Zagar, 1999, pp. 6-67''ff''.]]</ref>。
* 観測対象の真空下における波長の[[不確かさ (測定)|不確かさ]]
* 媒体で生じる[[屈折率]]の不確かさ
* 干渉計がレーザーを数える際の解像度
メートルの定義には以下の関係式が用いられる。
:<math> \lambda = \frac{c}{nf} .</math>
''λ'' は決定された波長、''c'' は理想的な真空中における光速、''n'' は測定がされる媒体の屈折率、''f'' は周波数を表す。この方法では、長さは最も正確な測定値のひとつである周波数 ''f'' に関連づけられる<ref name=Webster2/>。

第17回CGPMで決定したこの定義では、科学者が行うレーザー波長の測定において不確かさを1/5に抑える副次的効果が意図された。さらに、研究室ごとの再現性も容易にするために、第17回CGPMでは[[ヨウ素]]で安定化した[[ヘリウム]] - [[ネオン]]レーザーを推奨している。これによれば、波長は {{nowrap|1=λ<sub>HeNe</sub> = {{val|632.99139822|u=nm}}}} となり、関連する不確かさ (U) の期待値は {{val|2.5|e=-11}} となる<ref>[[#penzes2005|Penzes 2005]]</ref><ref group="注">参照[http://search.bipm.org/bipm/en/C=?q=HeNe+metre+632.991&uia=s&setcontext=&x=0&y=0]([[BIPM]]データベース)、[http://inms-ienm.nrc-cnrc.gc.ca/research/optical_frequency_si_e.html Optical Frequency - Maintaining the SI Metre] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20081220062439/http://inms-ienm.nrc-cnrc.gc.ca/research/optical_frequency_si_e.html|date=2008年12月20日}}/{{仮リンク|カナダ国立研究評議会|en|National Research Council of Canada}}(2008年)</ref>これは[[秒]]の定義における不確かさ ({{nowrap|1=''U'' = {{val|5|e=-16}}}}) よりも数段劣り、実験室における再現性には限界があることを表している<ref>{{cite web|url= http://tf.nist.gov/timefreq/cesium/fountain.htm |title= NIST-F1 Cesium Fountain Atomic Clock ;The Primary Time and Frequency Standard for the United States|author=|date=2009 (Last update 2010-10-05) |publisher= NIST, Physical Measurement Laboratory|language=英語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。その結果、現在使われるメートルの実用的な設定は定義と違って真空中のヘリウム - ネオンレーザー波長 {{gaps|1|579|800.298|728(39)}}個分で叙述される。

1999年から2000年には測定の絶対性を高めるために[[超短パルス|超短光パルスレーザー]]を用いる「光周波数コム」を利用した計測<ref>広帯域かつ繰り返し周波数で決まる等間隔の櫛状 (comb) のスペクトルを持つ光が超短光パルスレーザーより得られる。[[国際原子時]]と連動している[[協定世界時]]に合わせ正確に繰り返し周波数を同期させることで櫛状の光そのものを光周波数の物差しとすることが出来る。{{Cite web|和書|url=https://unit.aist.go.jp/ripm/freqmeas/measurement.html |title="広帯域光周波数(500-1684 nm)校正/測定サービス" |publisher="独立行政法人 産業技術総合研究所 周波数計測研究グループ" |date=2016-11-18|language=日本語|accessdate=2017-02-24}}</ref>がアメリカや[[ドイツ]]を中心に提案され、この成果を受けて開発者の[[ジョン・ホール (物理学者)|ジョン・ホール]](アメリカ)と[[テオドール・ヘンシュ]](ドイツ)には2005年の[[ノーベル物理学賞]]が授与された<ref name=Sansou>{{Cite web|和書|url=https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2009/pr20090716/pr20090716.html |title=「長さの国家基準」が新方式に|author=|publisher=独立行政法人 産業技術総合研究所 広報部 広報業務室|date=2009-07-16|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>。日本は[[2009年]]([[平成]]21年)[[7月16日]]に国家標準を光周波数コム装置へ変更した<ref name=Sansou />。

=== 定義の変遷 ===
*[[1790年]][[5月8日]] - フランス革命後の国民議会が新たに、周波数が1/2秒となる振り子の長さを1メートルと定義した。
*[[1791年]][[3月30日]] - フランス科学アカデミーが提案したパリを通過する北極点から赤道までの子午線の距離を1千万分の1にした長さを1メートルとする提案を国民議会が承認した。
*[[1795年]] - [[黄銅]]製の暫定的なメートル原器が製作された。
*[[1799年]][[12月10日]] - 国民議会は、1799年[[6月23日]]に製作されフランス国立中央文書館に保管された白金製メートル原器(アルシーヴ原器)を基準に指定した。
*[[1869年]]([[明治]]2年) - アルシーヴ原器そのものが1メートルの基準とされた<ref name=Wada30 />。
*[[1889年]](明治22年)[[9月28日]] - 第1回国際度量衡総会 (CGPM) が開催され、白金と10 %イリジウム合金製メートル原器に刻まれた2本の線が、氷が融ける温度にて示す距離を1メートルと定義された。
*[[1927年]]([[昭和]]2年)[[10月6日]] - 第7回国際度量衡総会にて再定義が施された。温度0 {{℃}}・標準[[気圧]] (1 atm) の環境にて、水平面上に間隔を571 mm開けて平行になるよう設置した直径1 cm以上の円柱(ロール)2本の上に白金 (Pt) - イリジウム (Ir) 合金製メートル原器を置き、原器に刻まれた2つの中心線の軸を挟む距離を1メートルと規定した。
*[[1960年]](昭和35年)[[10月14日]] - 第11回国際度量衡総会にて定義が一新され、[[クリプトン]]86[[原子]]の準位 2p<sup>10</sup> と 5d<sup>5</sup> との間の遷移に対応する光の真空中における波長の {{gaps|1|650|763.73}} 倍に等しい長さを1メートルとした<ref>[http://physics.nist.gov/Pubs/SP447/app6.pdf National Institute of Standards and Technology]</ref>。
*[[1983年]](昭和58年)[[10月21日]] - 第17回国際度量衡総会にて、1メートルは真空中で光が{{gaps|1/299|792|458}}秒に進む距離と再定義された<ref>[[#taylor2008a|Taylor and Thompson (2008a), Appendix 1, p. 70.]]</ref>。
*[[2002年]]([[平成]]14年) - [[国際度量衡委員会]] (International Committee for Weights and Measures, CIPM) は、メートルが[[固有長]]であるべきであり、[[一般相対性理論]]が予測する効果はほとんど影響を及ぼさず、ありうる実測の不確かさは無視してもかまわないとみなした<ref name="taylor2008a77">[[#taylor2008a|Taylor and Thompson (2008a)]], Appendix 1, p. 77.</ref>。

{| class="wikitable"
|+1795年以降のメートルの定義と不確かさの変遷 <ref>Cardarelli, Francois ''Encydopaedia of scientific units, weights, and measures: their SI equivalences and origins'', Springer-Verlag London Limited 2003, ISBN 1-85233-682-X, page 5, table 2.1, data from Giacomo, P., ''Du platine a la lumiere'', Bull. Bur. Nat. Metrologie, 102 (1995) 5–14.</ref>
! 年
! 定義内容
! 絶対的な不確かさ
! 相対的な不確かさ
|-
| 1795年
|子午線1/4相当の距離の{{gaps|1/10|000|000}}。<br />ドランブルとメシャンの測定から
| 0.5–0.1&nbsp;mm
| 10<sup>−4</sup>
|-
| 1869年<ref name=Wada30 />
| 最初の原器「Metre des Archives」。白金製。<br />フランス国立中央文書館保管。
| 0.05–0.01&nbsp;mm
| 10<sup>−5</sup>
|-
| 1889年
| 白金-イリジウム合金製原器の氷融点温度時の長さ<br />(第1回CGPM)
| 0.2–0.1&nbsp;µm
| 10<sup>−7</sup>
|-
| 1960年
| 原子変換;クリプトン86の光の波長の {{gaps|1|650|763.73}} 倍<br />(第11回CGPM)
|0.01–0.005&nbsp;µm
| 10<sup>−8</sup>
|-
| 1983年
| 真空中で光が {{gaps|1/299|792|458}} 秒に進む距離<br />(第17回CGPM)
| 0.1&nbsp;nm
|10<sup>−10</sup>
|}

=== 取扱い ===
原器を廃した現在の基準では、メートルは計測器(計量器)の測定結果が根底の基準となる。そのための具体的な計量器が指定され、日本の場合は[[計量法]]第134条に基づいて「特定標準器」を[[経済産業大臣]]が指定し、これが「国家基準」となる<ref name=Sansou />。[[2009年]]([[平成]]21年)[[7月16日]]に日本はメートル計量器指定を更新し、「モード同期ファイバレーザ」を使用する光周波数コムが採用された。これは従来の方法よりも300倍の精度向上を果たしている<ref name=Sansou />。

最新の定義は光速を基準にしているが、CIPMは過去のクリプトンスペクトル長を基準としたメートルおよびそれを基にした測定結果を否定した訳ではない。問題は、それぞれの不確かさにある差であり、測定結果を取扱う際にこれを充分念頭に置くことが必要としている。逆に、求める測定誤差範囲によっては光速以外の方法で基準のメートルを求めても良いものとしている<ref name=Hiroshima />。

== 倍量単位・分量単位 ==
[[SI接頭語]]では、メートルの[[十進法]]による[[物理単位#倍量単位・分量単位|倍量単位・分量単位]]を定めている<ref>[https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/pdf/SI_9th_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88_r.pdf 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版] p.112、産業技術総合研究所、計量標準総合センター、2020年4月</ref>。定義上あり得る全ての単位を以下の表に示す。実用されているものは太字で示す。

{{SI multiples
|symbol=m
|unit=メートル
|note=実用されている単位を太字で示す
|k= |xk = [[キロメートル]]
|c= |xc = [[センチメートル]]
|m= |xm = [[ミリメートル]]
|mc= |xmc = [[マイクロメートル]]
|n= |xn = [[ナノメートル]]
|p= |xp = [[ピコメートル]]
|f= |xf = [[フェムトメートル]]
|a= |xa = [[アトメートル]]
|xM = [[メガメートル]]
|xG = [[ギガメートル]]
|xT = [[テラメートル]]
|xP = [[ペタメートル]]
|xE = [[エクサメートル]]
|xZ = [[ゼタメートル]]
|xY = [[ヨタメートル]]
|xR = [[ロナメートル]]
|xQ = [[クエタメートル]]
|xz = [[ゼプトメートル]]
|xy = [[ヨクトメートル]]
|xr = [[ロントメートル]]
|xq = [[クエクトメートル]]
|xd = [[デシメートル]]
|xda = [[デカメートル]]
|xh = [[ヘクトメートル]]
}}

かつてはミクロン (micron) がマイクロメートル (micrometre) の代わりに使われることがあった。しかし、この単位は国際単位系 (SI) でも日本の計量法でも現在は認められておらず、使用することはできない<ref>[http://physics.nist.gov/Pubs/SP811/sec05.html ''NIST Guide to the SI: #5.2.3 Other Unacceptable Units'' - Retrieved 12 March 2010]</ref>。

フェムトメートルには、[[エンリコ・フェルミ|フェルミ]]または[[湯川秀樹|ユカワ]]の別名があった<ref name=Ogawa>{{Cite web|和書|url=http://www2.kobe-u.ac.jp/~lerl2/QPE(I)_04_10_08.pdf |format=PDF |title=量子物理工学I|author=小川真人|publisher=[[神戸大学]]工学部電気電子工学科|language=日本語|accessdate=2010-11-13}}</ref>

長大な距離ではkmだけでなく、[[天文単位]]や[[光年]]または[[パーセク]]といった単位が用いられることが多い。kmを超える倍量単位は、実用上ほとんど使われない。またかつては1万倍を表す「[[ミリア]]」という接頭語も存在したが、これもあまり用いられることなく、現在では廃止されている。

分量単位では、[[アトメートル]] (am) が[[現代物理学]]で解明されている最小スケールであり、それより小さいものでは[[プランク長]] (&sim; 10{{sup|&minus;35}} m) オーダーまで表すべき長さが現在のところほとんど存在しないため、理論上は考えられるもののほとんど使われない。

== 派生単位 ==
メートルはSIの基本単位であり、メートルから派生した単位は多数あるため、ここで全てを挙げることはせず、メートルのみを使用した単位 (整数 ''n'' を用いて、"m<sup>''n''</sup>" と略されるもののみ)を挙げる。
* m<sup>2</sup> -- [[平方メートル]]。[[面積]]。
* m<sup>3</sup> -- [[立方メートル]]。[[体積]]。
*m<sup>4</sup> --[[四次元空間]]。[[断面二次モーメント]]。
* m<sup>&minus;1</sup> -- [[毎メートル]]。[[波数]]など。
* m<sup>&minus;2</sup> -- [[毎平方メートル]]。[[人口密度]]など。
* m<sup>&minus;3</sup> -- [[毎立方メートル]]。不純物の割合など。

== 符号位置 ==
{| class="wikitable" style="text-align:center;"
{| class="wikitable" style="text-align:center;"
!記号!![[Unicode]]!![[JIS X 0213]]!![[文字参照]]!!名称
!記号!![[Unicode]]!![[JIS X 0213]]!![[文字参照]]!!名称
79行目: 273行目:
{{CharCode|13210|339A|-|ナノメートル}}
{{CharCode|13210|339A|-|ナノメートル}}
{{CharCode|13211|339B|-|マイクロメートル}}
{{CharCode|13211|339B|-|マイクロメートル}}
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{{CharCode|13212|339C|1-13-48|ミリメートル|font=JIS2004フォント}}
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{{CharCode|13213|339D|1-13-49|センチメートル|font=JIS2004フォント}}
{{CharCode|13175|3377|-|デシメートル|font=個別|family='源ノ角ゴシック Normal','源ノ角ゴシック JP Normal','Noto Sans CJK JP DemiLight','メイリオ',Meiryo,'VL ゴシック','VL Gothic','花園明朝A',HanaMinA,'AR PL Ukai CN',Code2000,'和田研中丸ゴシック2004絵文字',WadaLabChuMaruGo2004Emoji,YOzFont,'和田研細丸ゴシック2004絵文字',WadaLabMaruGo2004Emoji,'Nishiki-teki'}}
{{CharCode|13175|3377|-|デシメートル}}
{{CharCode|13214|339E|1-13-50|キロメートル}}
{{CharCode|13214|339E|1-13-50|キロメートル|font=JIS2004フォント}}
{{CharCode|13133|334D|1-13-35|全角メートル}}
{{CharCode|13133|334D|1-13-35|全角メートル|font=JIS2004フォント}}
{{CharCode|13078|3316|-|全角キロメートル}}
{{CharCode|13078|3316|-|全角キロメートル|font=MacJapanese}}
|}
|}
[[Unicode]]には、[[CJK互換用文字]]として上記の文字が収録されている。これらは、既存の文字コードに対する後方互換性のために収録されているものであり、使用は推奨されない<ref>{{cite web|url=https://www.unicode.org/charts/PDF/U3300.pdf|title=CJK Compatibility|accessdate=2016-02-21|date=2015}}</ref><ref>{{cite web|publisher=The Unicode Consortium|title=The Unicode Standard, Version 8.0.0|location=Mountain View, CA|date=2015|isbn=978-1-936213-10-8|url=http://www.unicode.org/versions/Unicode8.0.0|accessdate=2016-02-21}}</ref>。


== 派生単位 ==
== 他の単位との関係 ==
メートルはSIの基本単位であり、メートルから派生した単位は多数あるので、ここで全てを挙げることはせず、メートルのみを使用した単位を挙げる。

*m<sup>2</sup> -- [[平方メートル]]。[[面積]]。
*m<sup>3</sup> -- [[立方メートル]]。[[体積]]。
*m<sup>&minus;1</sup> -- [[毎メートル]]。[[波数]]など。
*m<sup>&minus;2</sup> -- [[毎平方メートル]]。[[人口密度]]など。
*m<sup>&minus;3</sup> -- [[毎立方メートル]]。不純物の割合など。

==関連項目==
{{Wiktionarypar|メートル}}
*[[長さの比較]]
{{長さの単位 (短)}}
{{長さの単位 (短)}}
{{長さの単位 (長)}}
{{長さの単位 (長)}}


== 脚注 ==
{{Unit of length.(m)}}
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist2}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}


==外部リンク==
== 参考文献 ==
* [https://unit.aist.go.jp/nmij/public/report/SI_9th/pdf/SI_9th_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88_r.pdf 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版] 産業技術総合研究所、計量標準総合センター、2020年4月
*[http://www1.bipm.org/en/si/si_brochure/chapter2/2-1/metre.html BIPM - metre] - [[国際度量衡局]]のサイト内のメートルの定義{{en icon}}
*[http://www.shinko-keirin.co.jp/kori/science/ayumi/ayumi23.html 科学の歩みところどころ 1メートルはどうして決めた?]([[新興出版社啓林館|啓林館]]){{ja icon}}
*{{EoE|Meter|Meter}}


* {{cite web|url= https://www.bipm.org/utils/common/pdf/si-brochure/SI-Brochure-9.pdf |format=PDF|author= |title= The International System of Units (SI) |publisher=国際度量衡局 (BIPM)|date=2019|language=フランス語、英語|accessdate=2020-7-21|ref={{SfnRef|BIPM|2019}}}}
== 関連書 ==
*ケン オールダー 吉田三知世 訳『万物の尺度を求めて』メートル法を定めた子午線大計測 早川書房 ISBN 4152086645


* {{cite web|url= http://ts.nist.gov/MeasurementServices/Calibrations/upload/4998.pdf |format=PDF|author=John S. Beers, William B. Penzes |title= NIST Length Scale Interferometer Measurement Assurance. (NISTIR 4998) |publisher=[[アメリカ国立標準技術研究所]] |date=1992|language=英語|accessdate=2010-11-15|ref=beers1992}}
{{DEFAULTSORT:めとる}}
[[category:長さの単位]]
[[Category:SI基本単位]]


* {{Cite web|url=http://www.bipm.fr/en/convention/resolutions.html|author=|title=Resolutions of the CGPM|publisher=国際度量衡局 (BIPM)|date=|language=|accessdate=2010-11-15|archiveurl=https://web.archive.org/web/20060613235309/http://www.bipm.fr/en/convention/resolutions.html|archivedate=2006-06-13|url-status=dead|url-status-date=2017-09}}
[[af:Meter]]

[[als:Meter]]
* {{Cite web|url=http://www1.bipm.org/en/si/history-si/evolution_metre.html|author=|title=The BIPM and the evolution of the definition of the metre|publisher=国際度量衡局 (BIPM)|date=|language=|accessdate=2010-11-15|archiveurl=https://web.archive.org/web/20060614012159/http://www1.bipm.org/en/si/history-si/evolution_metre.html|archivedate=2006-06-14|url-status=dead|url-status-date=2017-09}}
[[am:ሜትር]]

[[an:Metro]]
* {{cite web|url= http://physics.nist.gov/cuu/Constants/codata.pdf |format=PDF|author=Peter J. Mohr, Barry N. Taylor, David B. Newell |title= CODATA Recommended Values of the Fundamental Physical Constants: 2006 |publisher= Gaithersburg, MD: [[アメリカ国立標準技術研究所]] (NIST) |date=2007-12-28|language= 英語|accessdate=2010-11-15}}
[[ar:متر]]

[[arz:متر]]
* {{cite web|url= http://physics.nist.gov/cuu/Units/index.html |author= |title= The NIST Reference on Constants, Units, and Uncertainty: International System of Units (SI) |publisher=アメリカ国立標準技術研究所 (NIST) |date=2003-12|language= 英語|accessdate=2010-11-15}}
[[ast:Metru]]
** [http://physics.nist.gov/cuu/Units/units.html ''SI base units'']. 2010-11-15閲覧
[[az:Metr]]
** [http://physics.nist.gov/cuu/Units/current.html ''Definitions of the SI base units'']. 2010-11-15閲覧
[[ba:Метр]]
** {{Anchors|nistmetre}}nistmetre[http://physics.nist.gov/cuu/Units/meter.html ''Historical context of the SI: Metre'']. 2010-11-15閲覧
[[bat-smg:Metros]]

[[be:Метр]]
* {{Cite web|url=http://inms-ienm.nrc-cnrc.gc.ca/research/optical_frequency_si_e.html|author=|title=Optical Frequency - Maintaining the SI Metre|publisher=National Research Council Canada|date=2008-05-16|language=英語|accessdate=2010-11-15|archiveurl=https://web.archive.org/web/20081220062439/http://inms-ienm.nrc-cnrc.gc.ca/research/optical_frequency_si_e.html|archivedate=2008-12-20|url-status=dead|url-status-date=2017-09}}
[[be-x-old:Мэтар]]

[[bg:Метър]]
* {{Anchors|penzes2005}}penzes2005{{cite web|url= http://www.mel.nist.gov/div821/museum/timeline.htm |format=PDF|author= Penzes, W |title=Time Line for the Definition of the Meter |publisher=アメリカ国立標準技術研究所 (NIST) |date=2009-12-29|language= 英語|accessdate=2010-11-15}}
[[bn:মিটার]]

[[bo:སྨི།]]
* {{Anchors|taylor2008a}}taylor2008a{{cite web|url= http://physics.nist.gov/Pubs/SP330/sp330.pdf |format=PDF|author=Barry N. Taylor, Ambler Thompson |title= ''The International System of Units (SI)''. United States version of the English text of the eighth edition (2006) of the International Bureau of Weights and Measures publication ''Le Système International d’ Unités (SI)'' (Special Publication 330) |edition=2008|publisher=アメリカ国立標準技術研究所 (NIST)|date=2008-08-18|language= 英語|accessdate=2010-11-15}}
[[bpy:মিটার]]

[[br:Metr]]
* {{Anchors|taylor2008b}}taylor2008b{{cite web|url= http://physics.nist.gov/cuu/pdf/sp811.pdf |format=PDF|author= Barry N. Taylor, Ambler Thompson |title= Guide for the Use of the International System of Units (Special Publication 811) |publisher=アメリカ国立標準技術研究所 (NIST)|date=2008|language= 英語|accessdate=2010-11-15}}
[[bs:Metar]]

[[ca:Metre]]
* {{cite web|url= http://histoire.du.metre.free.fr/en/ |author= Tibo Qorl (Translated by Sibille Rouzaud)|title= The History of the Meter |publisher=|date=2005|language= 英語|accessdate=2010-11-15}}
[[ckb:مەتر]]

[[cs:Metr]]
* {{Anchors|turner}}turner{{Cite web|url=http://ts.nist.gov/WeightsAndMeasures/Metric/upload/FRN_Vol_73_No_96_16May2008_SI_Interpretation.pdf|format=PDF|author=James M. Turner (Deputy Director of the National Institute of Standards and Technology)|title=Interpretation of the International System of Units (the Metric System of Measurement) for the United States|publisher=Federal Register|edition=Vol. 73, No. 96, p.&nbsp;28432–28433|date=2008-05-16|language=英語|accessdate=2010-11-15|archiveurl=https://web.archive.org/web/20090326162948/http://ts.nist.gov/WeightsAndMeasures/Metric/upload/FRN_Vol_73_No_96_16May2008_SI_Interpretation.pdf|archivedate=2009-03-26|url-status=dead|url-status-date=2017-09}}
[[cu:Мє́тро]]

[[cv:Метр]]
* {{Cite book|last=Zagar|first= B.G.|coauthors= |date= 1999年|title=The Measurement, Instrumentation, and Sensors Handbook.|publisher= CRC Press |url= https://books.google.co.jp/books?id=VXQdq0B3tnUC&pg=PT164&redir_esc=y&hl=ja#PPT160,M1|isbn = 0849383471|ref=zagar1999}}
[[cy:Metr]]

[[da:Meter]]
* {{Cite book|和書|author=田中館愛橘|authorlink=田中館愛橘|date=1934|title=メートル法の歴史と現在の問題|publisher=[[岩波書店]]|edition=第1刷|url=https://books.google.co.jp/books?id=qt8Eew0L9nQC&pg=PA26&dq=%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AB+%E5%AE%9A%E7%BE%A9+%E6%AD%B4%E5%8F%B2&hl=ja&ei=xE7aTKacGIXyvQOE7uGkCg&sa=X&oi=book_result&ct=book-preview-link&resnum=4&ved=0CDEQuwUwAw#v=onepage&q&f=false|ref=田中館1934}}
[[de:Meter]]

[[dv:މީޓަރު]]
* {{Cite book|和書|author=ケン・オールダー|translator=吉田三知世|date=2006|title=万物の尺度を求めて メートル法を定めた子午線大計測|publisher=[[早川書房]] |edition=第1刷|isbn=4-15-208664-5|ref=オールダー2006}}
[[el:Μέτρο (μονάδα μήκους)]]

[[en:Metre]]
* {{Cite book|和書|author=西條敏美|date=2009|title=単位の成り立ち|publisher=恒星社厚生閣|edition=第1刷|isbn=978-4-7699-1099-2|ref=西條2009}}
[[eo:Metro]]

[[es:Metro]]
* {{Cite book|和書|author=和田純夫|coauthors=大上雅史、根本和昭|date=2002|title=単位がわかると物理がわかる|publisher=ベレ出版|edition=初刷|isbn=4-86064-013-6|ref=和田2002}}
[[et:Meeter]]

[[eu:Metro]]
== 関連項目 ==
[[fa:متر]]
*[[長さの比較]]
[[fi:Metri]]
** [[1 E0 m]] : 1 m - 10 m
[[fr:Mètre]]
*[[長さの単位]]
[[fur:Metri]]
[[fy:Meter]]
*[[単位]]
*[[メーターゲージ]] - [[軌間]]がちょうど1メートルである鉄道。
[[ga:Méadar]]

[[gan:米]]
== 外部リンク ==
[[gl:Metro]]
{{Wiktionary|メートル}}
[[hak:Kûng-tshak]]
{{Commonscat|Metre}}
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メートル
mètre
metre
米国のみ1977年以降、meter)

メートル原器(1889 - 1960年)
記号 m
度量衡 メートル法
国際単位系 (SI)
種類 基本単位
長さ
定義 真空中で1299792458 分の1の時間にが進む行程の長さ
派生単位 m2, m3, m−1, m−2
由来 北極点赤道の距離の1/10000000
語源 古代ギリシャ語 μέτρον(ものさし、測る)
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メートルフランス語: mètre: metre[注 1] [注 2]アメリカ英語: meter記号: m)は、国際単位系 (SI) およびMKS単位系[1]における長さ計量単位である。

他のとは関係せず完全に独立して与えられる7つのSI基本単位の一つである[2]

元々は、「地球赤道北極点の間の海抜ゼロにおける子午線弧長を 1/10000000 倍した長さ」を意図し、計量学技術発展を反映して何度か更新された。

1983年昭和58年)に基準が見直され、現在は「1299792458 分の1の時間真空中を伝わる長さ、また光の速さが299 792 458 m/sとなるような長さ」と定義されている[3]

なお、CGS単位系ではセンチメートル (cm) が基本単位となる[4][5]

デシメートルメートルデカメートル

定義

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現在の「メートル」は、以下のように定義される。この定義は第17回国際度量衡総会により1983年10月21日に決定され、第26回国際度量衡総会により改定され、2019年5月20日に施行された。定義の実質は1983年のものと同じである。

メートル(記号は m)は長さの SI 単位であり、真空中の光の速さ c を単位 m s−1 で表したときに、その数値を 299792458 と定めることによって定義される。ここで、セシウム周波数 ∆νCs によって定義される[6][注 3]

∆νCs133Cs (セシウム)の超微細構造遷移周波数である。

この定義により、真空中の光の速さは正確に 299792458 m/s である。

単位記号

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メートルの単位記号は、小文字・立体の m である[7]。大文字・立体の M と書かれることがあるが、誤りである。大文字・立体の M は、106を表すSI接頭語 メガ (mega) の記号である。ただし、計量法では単位記号の表記揺れに対する罰則はない[8](これに対して、計量単位の「メートル」を「メーター」と表記することはできない。)が、混乱を防ぐためには標準の表記が推奨される[9][10][11]

表記

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語源

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メートル (mètre) という名称は、「ものさし」または「測ること」を意味する古代ギリシャ語 μέτρον(メトロン)からの造語であり、計器類を意味するメーター (meterまたはmetre) と語源は同じである[12][13]

日本語の表記

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計量法における表記は、「メートル」である[14]

日本語の「メートル」はフランス語 mètre からの外来語である[15]。英語の metre / meter からの外来語である「メーター」も特に口頭では使用されることがあるが、計量法上は、「メーター」の表記は用いることはできない(計量法第8条第1項)。

なお、「メーター」は計器の意味で用いられる語である[16]

日本では1952年昭和27年)2月29日までは漢字で「」と書かれていた[17]

「米」は常用漢字表にあるものの、メートルの読みは常用漢字表にはなく、1952年(昭和27年)3月1日以降の計量法に則した取引・証明においては「米」の字を用いることはできない。

古くは「」(キロメートル)、「」(センチメートル)、「」(ミリメートル)にも漢字があてられ、準常用漢字として位置づけられていたが(#漢字表記も参照)、1942年(昭和17年)に国語審議会から発表された標準漢字表案の段階において準常用漢字から外され[18]第二次世界大戦後は使用機会も無くなった。

英語表記

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国際規格ISO/IEC 80000 series Quantities and unitsの規定では、単位記号 m のみが国際的に定められており、単位名称は言語に依存するとしているが、本文には内規によりイギリス英語綴り(オクスフォード式綴り)が用いられ[19]、metre表記が採用されている。

国際度量衡局が発行する国際単位系 (SI) 文書の英語版は上記のISO/IEC 80000 series Quantities and units.の表記に準拠している[20](meter → metre 以外では、liter → litre、deca → deka がある)。産業技術総合研究所計量標準総合センター (NMIJ) によって翻訳されたSI文書日本語版[21]でも、ISO/IEC 80000に準ずる日本産業規格JIS Z 8000においても、metre表記が採用されている。このため全てのJIS規格において、metre 表記となっている。

国際規格の水平規格であるIEC 60050(国際電気技術用語集英語版: IEV, electropedia)では各言語での表記を収録し、metreを英語での推奨用語として、meterを米国での同義語として収録している[22]

国際純正・応用化学連合 (IUPAC) のような国際的な学術団体では、表記が国際的に標準化されていないとして[23]、metre表記に加えてmeter表記を許容する例もある[24]

国際天文学連合は、単位にはmetreを使うとし、meterは計器を示す文脈に使うよう明記している[25]

次項のアメリカ合衆国とフィリピン(の一部)における綴り meter は、数少ない例外である。米国では 1977年以降は、公式にmeterと綴られている[26](後述のメートル#米国における表記の経緯を参照)。

なお、単位の名称ではない、パーキングメータ(ー)やマイクロメータ(ー)、スピードメータ(ー)のような計器の名称には、「meter」の表記が多く使われている。

米国・フィリピンでの表記

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アメリカでも一時「metre」の綴りを使用していたが、1977年以降は公式に「meter」を用いるようになった[27]。1975年のメートル法転換法 (en:Metric Conversion Act of 1975) によってアメリカ商務省はアメリカ国内においてSIの解釈と変更の責任を与えられ、商務省はアメリカ国立標準技術研究所 (NIST) に対しSIの解釈と変更の裁量権を与えた。2008年にNISTは、BIPMが発表した「Le Système international d'unités (SI)」第8版の英語翻訳書 (BIPM, 2006) に対してアメリカ版を発行した (Taylor and Thompson, 2008a)。この中でNISTは合衆国政府印刷局が定める公文書書式マニュアル[28]に沿い、BIPM版の「metre」を「meter」、「litre」(リットル)を「liter」、「deca」(デカ:10倍の意)を「deka」に置き換えた (Taylor and Thompson, 2008a, p. iii)。NIST所長は、公式にこの変更を表明し、これはアメリカ合衆国におけるSIの「法解釈」の結果であるとした[29][30]。ただし2017年版のNIST Handbook 44によれば、metre表記も許容されており、これは全米計量会議英語版によって支持されている[31]

フィリピンでも、その計量法の規定においては「metre」の表記である[32]。しかし、その他の法律や標準規格などでは「meter」としばしば表記されているのが実態である[33]

米国における表記の経緯

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米国が1971年に、 International System of Units(国際単位系)のフランス語版(仏版が正式文書)を翻訳し、NBS Special Publication 330(現在のNIST SP330[8])として出版したときには、メートルは公式に、metreと綴り、リットルはlitreと綴られていた。これは、英国がグラムの綴りとして、-grammeではなく-gram を受け入れたこととの取引(「紳士協定」)と理解されていた。

しかしその後、米国内では、meter, literを主張する様々な運動が展開され、1975年には 商務省 (Department of Commerce) が政府機関に -er の綴りとするようにアドバイスし、1977年のNIST SP330の改定時に、ついにmeter、liter、そしてdeca →deka の綴りが採用されるに至った[34]

派生語の英語発音

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-metre ( -meter) で終わる語のアクセントは、その直前にあるのが普通である。例えば speedometer(速度計)のアクセントは、speedo- の第2シラブルに強アクセントがある。しかし、kilometre, millimetre, nanometre などの倍量単位・分量単位の英語発音では、その接頭語 (kilo[35], milli, nano) の最初のシラブルに強アクセントがある。

なお、オーストラリア政府のメートル法転換局 (Metric Conversion Board) が1975年に、kilometreのアクセントは第1シラブルにあると公式に宣言したにもかかわらず、当時の首相のゴフ・ホイットラムが、第2シラブルにアクセントがあるべきと主張したことがある[注 4]

漢字表記

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1925年ラジオ番組表。『朝日年鑑 大正14年 – 大正15年』より。メートルの当て字「米突」が見られる。

漢字では「米突」の字が宛てられており、ここから「米」一字だけでメートルの意味を表すようになった。日本では明治時代、中央気象台(現:気象庁)が「米」をとする以下のような倍量・分量単位の漢字を作り、1891年明治24年)から各気象台で気象観測の月報などに使用して、一般にも広まった。一部は中国でも取り入れられている。

  • マイクロメートル (µm) - (一微[36])(元の国訓は「ミクロン」)
  • ミリメートル (mm) - 粍(一毛[36]
  • センチメートル (cm) - 糎(一厘[36]
  • デシメートル (dm) - 粉(元々「こな」の意味の文字だが、デシメートルの意味は日本で作られたもの(国訓)である。)(一分[36]
  • デカメートル (dam) - 籵
  • ヘクトメートル (hm) - 粨
  • キロメートル (km) - 粁
  • ミリアメートル (104 m) - 𥸯(⿰米萬)

以上の様々な漢字表記は戦後まもなくまで使われたが、いずれも当用漢字[37]から外されたうえ、1951年昭和26年)に施行された計量法上その使用は禁止されている[38]

中国では、伝統的な単位のと関連付けて、中華人民共和国成立以前はメートルを「公尺」とも呼んだが、現在大陸では「米」と呼ぶのが普通となっており、台湾に「公尺」の呼び方が残っている。

歴史

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起こり

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長さの少数単位の提案は、記録された中では1668年イングランド哲学者ジョン・ウィルキンス英語版が著作『真性の文字と哲学的言語にむけての試論』提唱した普遍的測定単位 (universal measure) に見られる[39][40]。 同年ウィルキンスは、クリストファー・レンが提案したクリスティアーン・ホイヘンスが観察した2の間隔を刻む時の振り子の長さを標準長とする案を受け入れた。その長さは38ラインランド・インチおよび39.25イギリス・インチ (997mm) に相当した[39][40]

名称

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1675年イタリア科学者ティト・リビオ・ブラッティーニ英語版が著作『Misura Universale』の中で、古代ギリシャ語の「μέτρον καθολικόν(メトロン・カトリコン)」から普遍的測定単位を「metro cattolico」と書き表している。

フランス革命の直後の1790年5月に市民オーギュスト・サヴィニアン・ルブロンが長さの基本単位に対して、「メートル」という新たな名称を初めて提案した。彼はメートルという命名は「ひじょうにうまい表現であり、もともとフランス語だったと言ってもいいほどだ」と言っている[41]。これがフランスで正式に採用され(「mètre」)次いで英語の「metre」となった。なお、現代ギリシャ語では μέτρο(メトロ)という。

子午線長による定義

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ダンケルク鐘楼。ドランブルが行った測定の北限。
バルセロナムンジュイックの丘にある要塞。メシャンが行った測定の南限。

人類がそれぞれの生活圏の中で過ごしている時代にはさして必要が無かったが、大航海時代を経て地球規模の航海交流網が発達すると、長さの単位がまちまちな状態では不都合が多くなった[13]。これに最も熱心に取り組んだのは、既に地球測量の実績を持つ[注 5]フランスだった[13]

1790年にフランスシャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリゴールが普遍的な物理量基準の必要性を提唱し[42]、これを国民議会が承認して基準づくりへの取組が始まった[43]。当時、長さの標準単位を決める定義には、以下に示す3つの支持を集めた案があった。

  1. 北緯45度の緯度にて[44]ウィルキンスの流れを汲んだ12秒の周波数を持つ振り子の長さ(3ピエ8リーニュ12[45]
  2. 地球赤道周長を4千万分の1にした長さ[43]
  3. 同じく地球の子午線全周長を4千万分の1にした長さ[43]

この問題はパリ科学学士院で検討され、アントワーヌ・ラヴォアジエジョゼフ=ルイ・ラグランジュジャン=シャルル・ド・ボルダらが議論に加わった[43]。1791年、フランスの科学アカデミーは子午線を基準に置く方法を選択した。その理由は、案1では実際の地球表面とジオイド面との差異によって重力は一定にならないため振り子の振幅は変動する点が問題視され、また案2では上や熱帯気候に当たる赤道での測定は困難と判断されたためである[43]

普遍的に受け入れられる基本的な長さの単位を設定するに当たり、当時知られていた子午線の長さよりも更に正確な測定が求められた。イギリスやアメリカの協力が得られず[43]、フランス科学アカデミーは単独で[43]ジャン=バティスト・ジョゼフ・ドランブルピエール・メシャンを派遣して、1792年から子午線弧長の測定を三角測量[46]行わせた。パリを起点に、北のダンケルクへはドランブル一行が[47]、南のスペインバルセロナへはメシャン一行が[48]それぞれ計測を担当し、緯度差9°3927.81[13]の距離を最新の経緯儀などを携えて測量を開始した。しかし時はフランス革命のさ中にあり、持っていた測定機器から反革命分子のスパイ活動と間違えられたり[47]フランス革命戦争のためメシャンはスペインで足止めされる[48]など幾多の困難に直面した[43]。その間にも政府は、暫定的にニコラ・ルイ・ド・ラカーユの測定値を用いて、新しい単位メートルを「パリを通過する北極点と赤道をつなぐ子午線長の107分の1を定める」という法律を1795年に公布した[49]。測量は、1798年に完遂された[43]

測量から計算された結果、子午線全周の14に当たる北極点から赤道までの子午線弧長は5130740トワーズという数値が計算された[43]。測定の終了を受けて、1799年にフランスは、これを1千万分の1にした値3ピエ11.296リーニュを1メートルと定めた[43]。これは、1ヤードや2キュービットといった既存の長さ単位を意識して採用された[50]。そして、白金で作られた板状の[50]メートル原器(端度器[51])を製作し、これをフランス国立中央文書館に保管した[43]。これはアルシーヴ原器 (Mètre des Archives) と呼ばれた[43]

この新しい長さの単位は、旧来の慣れ親しんだ寸法からすぐには切替わらなかった。フランスは1837年にメートル法以外の単位使用を法律で禁じ[52][注 6]、1851年のロンドン万国博覧会や1867年のパリ万国博覧会などで広報活動を行い、普及に努めた[43]。そのうち、蒸気機関車の発明による鉄道敷設や、実験を重視する科学の発達が統一基準の普及を求め、電気単位への採用などを通じてメートルは広まった[53]

1796年から1797年にかけて啓蒙のためにパリの街中に16基設置されたメートル原器 (Mètre-étalon)。写真は6区ヴォージラール通り英語版36

メートル原器

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現実には、地球の地殻表面は単純な正球または楕円球ではなく、標準長を設定する際の絶対的な基準とするには馴染まない[50]。これが地球科学の発展で明らかとなってきた事に加え、ふたたび基準値を観測で得ようとすると、また地球を測るという費用と時間および労力をかけなければならないことから再現性が疑問視された[54]。このため、1869年にアルシーヴ原器そのものが副原器の立場からメートルの基準そのものと変更された[50]

1870年代から、現代的な観点から新しいメートル法の規格を検討する一連の国際会議が開催された。1870年にフランスが主催した第1回国際メートル委員会は普仏戦争の影響で参加国が少なく実効的な決議を得られなかった[54]。1872年には第2回委員会が開かれ[54]、30本の原器を製作することが決まった[55]。これは、アルシーヴの原器を基準に[49]、白金90%とイリジウム10%の合金を用い、融解する温度環境下で原器に刻まれた2本の目盛りの間を1mの基準とする[56]、全長102cm、「X」字型の断面はアンリ・トレスカが考案した形状が採用された[57][51]。しかし、この原器は1875年のメートル条約に基づいた国際度量衡局 (Bureau International des Poids et Mesures, BIPM) 設立(フランスのセーヴル)に間に合わなかった[55][注 7]

1889年、国際度量衡総会 (Conférence Générale des Poids et Mesures, CGPM) 第1回大会が開催され、30本のうち最も正確と判断されたNo.6原器を正式な国際メートル原器と認定してこれを保管し、他の原器は国家単位へ配布した[58][注 8]

このオリジナルとなるメートル原器はBIPMによって特別な環境下で1889年まで保存された。しかし、原器は製作当初から精度に対する物理的な限界が指摘され[49]、同時に経時的変化や紛失・焼損のリスク[注 9]が常につきまとった[51]。また、長さの原器となるものについての議論は続き、さらにアメリカ国立標準技術研究所によってメートル原器には製作時の誤差があることが発見された[59]

クリプトン-86スペクトル長による定義

[編集]

1873年、ジェームズ・クラーク・マクスウェルは著書『電磁気学』にて普遍的で高精度が期待されるの特定波長をメートルの単位にすべきという発想を示した[60]。1893年、メートル原器へ初めての干渉法による計測が、マクスウェルと同じ主張を唱えるアルバート・マイケルソンによって行われた。1925年まで、干渉法はBIPMにて一般的に用いられたが、国際メートル原器は1960年まで長さの基準の地位にあった。しかし、暫定的に 0°C 1気圧乾燥環境におけるカドミウム線の波長 6438.4696×10^−10 m が使われつつ、色々な同位体元素の電磁スペクトルが検討された[51]

そして、1960年の第11回CGPMにて国際単位系によってメートルの定義は、クリプトン-86真空中で発する電磁スペクトルであるオレンジ色‐赤色の発光スペクトルが示す波長1650763.73倍と等しい長さへと変更された[51][49]。この「0.73」という半端な小数点以下部分は、あくまでメートル原器の長さに波長数を合わせたためである[61]。その後継続してレーザーの安定放出や測定方法の精度向上が図られた[51]が、クリプトンランプを使う実験では再現性の悪さも問題となっていた[49]

光の速度による定義

[編集]

不確実性の低減を目指し、1983年の第17回CGPMでメートルの定義はさらに変更され、現在用いられている「光速」と「秒」で表す方法になった。これはセシウム原子時計が発明され、正確な「秒」が決められた事と表裏一体を成している[13]

この定義は、真空中の光速を有効数字9桁という高い精度となる 299792458 m/s と固定して得たものである[62]。さらに、特殊相対性理論によって光は光源の動きや方向に関わりなく、またどんな波長(振動数)でも一定であり、そして不変だという点が重視された[62]

このように現在採用されるメートルは一定時間における光が進む距離で定義されているが、実験室で現実に再現されるメートルは未だに標準的なレーザー[注 10]を用いて干渉法で波長の数を数える測定をして得られる「図による表現」である。そして、この方法では3つの大きな制約が精度に課せられている[63]

  • 観測対象の真空下における波長の不確かさ
  • 媒体で生じる屈折率の不確かさ
  • 干渉計がレーザーを数える際の解像度

メートルの定義には以下の関係式が用いられる。

λ は決定された波長、c は理想的な真空中における光速、n は測定がされる媒体の屈折率、f は周波数を表す。この方法では、長さは最も正確な測定値のひとつである周波数 f に関連づけられる[63]

第17回CGPMで決定したこの定義では、科学者が行うレーザー波長の測定において不確かさを1/5に抑える副次的効果が意図された。さらに、研究室ごとの再現性も容易にするために、第17回CGPMではヨウ素で安定化したヘリウム - ネオンレーザーを推奨している。これによれば、波長は λHeNe = 632.99139822 nm となり、関連する不確かさ (U) の期待値は 2.5×10−11 となる[64][注 11]これはの定義における不確かさ (U = 5×10−16) よりも数段劣り、実験室における再現性には限界があることを表している[65]。その結果、現在使われるメートルの実用的な設定は定義と違って真空中のヘリウム - ネオンレーザー波長 1579800.298728(39)個分で叙述される。

1999年から2000年には測定の絶対性を高めるために超短光パルスレーザーを用いる「光周波数コム」を利用した計測[66]がアメリカやドイツを中心に提案され、この成果を受けて開発者のジョン・ホール(アメリカ)とテオドール・ヘンシュ(ドイツ)には2005年のノーベル物理学賞が授与された[67]。日本は2009年平成21年)7月16日に国家標準を光周波数コム装置へ変更した[67]

定義の変遷

[編集]
  • 1790年5月8日 - フランス革命後の国民議会が新たに、周波数が1/2秒となる振り子の長さを1メートルと定義した。
  • 1791年3月30日 - フランス科学アカデミーが提案したパリを通過する北極点から赤道までの子午線の距離を1千万分の1にした長さを1メートルとする提案を国民議会が承認した。
  • 1795年 - 黄銅製の暫定的なメートル原器が製作された。
  • 1799年12月10日 - 国民議会は、1799年6月23日に製作されフランス国立中央文書館に保管された白金製メートル原器(アルシーヴ原器)を基準に指定した。
  • 1869年明治2年) - アルシーヴ原器そのものが1メートルの基準とされた[50]
  • 1889年(明治22年)9月28日 - 第1回国際度量衡総会 (CGPM) が開催され、白金と10 %イリジウム合金製メートル原器に刻まれた2本の線が、氷が融ける温度にて示す距離を1メートルと定義された。
  • 1927年昭和2年)10月6日 - 第7回国際度量衡総会にて再定義が施された。温度0 °C・標準気圧 (1 atm) の環境にて、水平面上に間隔を571 mm開けて平行になるよう設置した直径1 cm以上の円柱(ロール)2本の上に白金 (Pt) - イリジウム (Ir) 合金製メートル原器を置き、原器に刻まれた2つの中心線の軸を挟む距離を1メートルと規定した。
  • 1960年(昭和35年)10月14日 - 第11回国際度量衡総会にて定義が一新され、クリプトン86原子の準位 2p10 と 5d5 との間の遷移に対応する光の真空中における波長の 1650763.73 倍に等しい長さを1メートルとした[68]
  • 1983年(昭和58年)10月21日 - 第17回国際度量衡総会にて、1メートルは真空中で光が1/299792458秒に進む距離と再定義された[69]
  • 2002年平成14年) - 国際度量衡委員会 (International Committee for Weights and Measures, CIPM) は、メートルが固有長であるべきであり、一般相対性理論が予測する効果はほとんど影響を及ぼさず、ありうる実測の不確かさは無視してもかまわないとみなした[70]
1795年以降のメートルの定義と不確かさの変遷 [71]
定義内容 絶対的な不確かさ 相対的な不確かさ
1795年 子午線1/4相当の距離の1/10000000
ドランブルとメシャンの測定から
0.5–0.1 mm 10−4
1869年[50] 最初の原器「Metre des Archives」。白金製。
フランス国立中央文書館保管。
0.05–0.01 mm 10−5
1889年 白金-イリジウム合金製原器の氷融点温度時の長さ
(第1回CGPM)
0.2–0.1 µm 10−7
1960年 原子変換;クリプトン86の光の波長の 1650763.73
(第11回CGPM)
0.01–0.005 µm 10−8
1983年 真空中で光が 1/299792458 秒に進む距離
(第17回CGPM)
0.1 nm 10−10

取扱い

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原器を廃した現在の基準では、メートルは計測器(計量器)の測定結果が根底の基準となる。そのための具体的な計量器が指定され、日本の場合は計量法第134条に基づいて「特定標準器」を経済産業大臣が指定し、これが「国家基準」となる[67]2009年平成21年)7月16日に日本はメートル計量器指定を更新し、「モード同期ファイバレーザ」を使用する光周波数コムが採用された。これは従来の方法よりも300倍の精度向上を果たしている[67]

最新の定義は光速を基準にしているが、CIPMは過去のクリプトンスペクトル長を基準としたメートルおよびそれを基にした測定結果を否定した訳ではない。問題は、それぞれの不確かさにある差であり、測定結果を取扱う際にこれを充分念頭に置くことが必要としている。逆に、求める測定誤差範囲によっては光速以外の方法で基準のメートルを求めても良いものとしている[51]

倍量単位・分量単位

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SI接頭語では、メートルの十進法による倍量単位・分量単位を定めている[72]。定義上あり得る全ての単位を以下の表に示す。実用されているものは太字で示す。


メートル (m) の倍量・分量単位
分量 倍量
記号 名称 記号 名称
10−1 m dm デシメートル 101 m dam デカメートル
10−2 m cm センチメートル 102 m hm ヘクトメートル
10−3 m mm ミリメートル 103 m km キロメートル
10−6 m µm マイクロメートル 106 m Mm メガメートル
10−9 m nm ナノメートル 109 m Gm ギガメートル
10−12 m pm ピコメートル 1012 m Tm テラメートル
10−15 m fm フェムトメートル 1015 m Pm ペタメートル
10−18 m am アトメートル 1018 m Em エクサメートル
10−21 m zm ゼプトメートル 1021 m Zm ゼタメートル
10−24 m ym ヨクトメートル 1024 m Ym ヨタメートル
10−27 m rm ロントメートル 1027 m Rm ロナメートル
10−30 m qm クエクトメートル 1030 m Qm クエタメートル
実用されている単位を太字で示す

かつてはミクロン (micron) がマイクロメートル (micrometre) の代わりに使われることがあった。しかし、この単位は国際単位系 (SI) でも日本の計量法でも現在は認められておらず、使用することはできない[73]

フェムトメートルには、フェルミまたはユカワの別名があった[36]

長大な距離ではkmだけでなく、天文単位光年またはパーセクといった単位が用いられることが多い。kmを超える倍量単位は、実用上ほとんど使われない。またかつては1万倍を表す「ミリア」という接頭語も存在したが、これもあまり用いられることなく、現在では廃止されている。

分量単位では、アトメートル (am) が現代物理学で解明されている最小スケールであり、それより小さいものではプランク長 (∼ 10−35 m) オーダーまで表すべき長さが現在のところほとんど存在しないため、理論上は考えられるもののほとんど使われない。

派生単位

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メートルはSIの基本単位であり、メートルから派生した単位は多数あるため、ここで全てを挙げることはせず、メートルのみを使用した単位 (整数 n を用いて、"mn" と略されるもののみ)を挙げる。

符号位置

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記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
U+3399 - &#x3399;
&#13209;
フェムトメートル
U+339A - &#x339A;
&#13210;
ナノメートル
U+339B - &#x339B;
&#13211;
マイクロメートル
U+339C 1-13-48 &#x339C;
&#13212;
ミリメートル
U+339D 1-13-49 &#x339D;
&#13213;
センチメートル
U+3377 - &#x3377;
&#13175;
デシメートル
U+339E 1-13-50 &#x339E;
&#13214;
キロメートル
U+334D 1-13-35 &#x334D;
&#13133;
全角メートル
U+3316 - &#x3316;
&#13078;
全角キロメートル

Unicodeには、CJK互換用文字として上記の文字が収録されている。これらは、既存の文字コードに対する後方互換性のために収録されているものであり、使用は推奨されない[74][75]

他の単位との関係

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長さの単位
メートルSI単位) インチ フィート ヤード 曲尺 鯨尺
1 m = 1 ≈ 39.370 ≈ 3.2808 ≈ 1.0936 = 33 = 3.3 = 2.64
1 in = 0.0254 = 1 ≈ 0.083333 ≈ 0.027778 = 0.8382 = 0.08382 = 0.067056
1 ft = 0.3048 = 12 = 1 ≈ 0.33333 = 10.0584 = 1.00584 = 0.804672
1 yd = 0.9144 = 36 = 3 = 1 = 30.1752 = 3.01752 = 2.414016
1 寸 ≈ 0.030303 ≈ 1.1930 ≈ 0.099419 ≈ 0.033140 = 1 = 0.1 = 0.08
1 尺(曲尺) ≈ 0.30303 ≈ 11.930 ≈ 0.99419 ≈ 0.33140 = 10 = 1 = 0.8
1 尺(鯨尺) ≈ 0.37879 ≈ 14.913 ≈ 1.2427 ≈ 0.41425 = 12.5 = 1.25 = 1


長さの単位
メートル
SI単位)
海里 ヤード チェーン マイル
1 m = 1 ≈ 0.00053996 ≈ 1.0936 ≈ 0.049710 ≈ 0.00062137 = 3.3 = 0.55 ≈ 0.0091667 ≈ 0.00025463
1 M = 1852 = 1 ≈ 2025.4 ≈ 92.062 ≈ 1.1508 = 6111.6 = 1018.6 ≈ 16.9767 ≈ 0.47157
1 yd = 0.9144 ≈ 0.00049374 = 1 ≈ 0.045455 ≈ 0.00056818 = 3.01752 = 0.50292 ≈ 0.0083820 ≈ 0.00023283
1 ch = 20.1168 ≈ 0.010862 = 22 = 1 = 0.0125 = 66.38544 = 11.06424 ≈ 0.18440 ≈ 0.0051223
1 mi = 1609.344 ≈ 0.86898 = 1760 = 80 = 1 = 5310.8352 = 885.1392 ≈ 14.752 ≈ 0.40979
1 尺 ≈ 0.30303 ≈ 0.00016362 ≈ 0.33140 ≈ 0.015064 ≈ 0.00018829 = 1 = 0.16667 ≈ 0.0027778 ≈ 0.000077160
1 間 ≈ 1.8182 ≈ 0.00098174 ≈ 1.9884 ≈ 0.090381 ≈ 0.0011298 = 6 = 1 ≈ 0.016667 ≈ 0.00046296
1 町 ≈ 109.09 ≈ 0.058904 ≈ 119.30 ≈ 5.4229 ≈ 0.067786 = 360 = 60 = 1 ≈ 0.027778
1 里 ≈ 3927.3 ≈ 2.1206 ≈ 4294.9 ≈ 195.22 ≈ 2.4403 = 12960 = 2160 = 36 = 1

脚注

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注釈

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  1. ^ SI国際文書の日本語版では、metre としている。例えば、[1] p.118欄外注 a 35-millimetre film (この語は2022年7月14日の正誤表で、a 35-millimeter film から訂正されている。[2])
  2. ^ 量・単位に関するJIS規格では英語表記の規定はないが、参考における表記は metre である。例えばJIS Z 8000-1:2014 量及び単位 - 第1部:一般, p.27, 7.2.5 例1 newton metre 、例2 metre per second squared
  3. ^ 国際単位系における正式の言語はフランス語である。ここでの定義は英語及びこれを日本語に翻訳したものである。正式な本文の確認が必要な場合又は文章の解釈に疑義がある場合はフランス語版を確認する必要がある。
  4. ^ 英米では、kilometreのアクセントの位置については様々な議論がある。例えば、[3], [4]
  5. ^ 1736年から10年をかけて、フランスは地球の形状を把握するためラップランドペルーで緯度1度あたりの距離計測を行った。村上陽一郎「14.地球を測る」『宇宙像の変遷』(第一刷)講談社、1996年、189-201頁。ISBN 4-06-159235-1 
  6. ^ 書類1枚につき10フラン、公務員の場合20フランの罰金。同時に質量単位のポンドも使用規制の対象となった。田中館 (1934)、pp. 10–11
  7. ^ 当初フランスで製造されたが不純物が規定の2.0%を上回り、改めてイギリスのジョンソン・マシュー社が作り直した。田中館 (1934)、p.17
  8. ^ 日本へはNo.22原器が割り当てられた。田中館 (1934)、図版-3
  9. ^ イギリスのポンド・ヤード原器は1834年に焼損の憂き目に遭った。単位のいま・むかし、スライド25、新潟職業能力開発短期大学校、制御技術科、金川明
  10. ^ 例えば、国立物理研究所 (National Physical Laboratory) のウェブサイト[5]ではヨウ素安定化レーザーを用いている。
  11. ^ 参照[6]BIPMデータベース)、Optical Frequency - Maintaining the SI Metre Archived 2008年12月20日, at the Wayback Machine./カナダ国立研究評議会英語版(2008年)

出典

[編集]
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  7. ^ 計量単位規則 別表第2 長さ・メートルの欄、m
  8. ^ 計量法第7条 「計量単位の記号による表記において標準となるべきものは、経済産業省令で定める。」
  9. ^ 計量行政: Q&A(よくある質問と回答)”. 経済産業省. 2020年7月18日閲覧。
  10. ^ “全般-40”. 計量法における商品量目制度Q&A集. 経済産業省産業技術環境局計量行政室. (2019-5). https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun/techno_infra/00_download/14_ryoumoku_qa_20190530.pdf 
  11. ^ 福山康弘. “計量単位の相談”. 2020年7月18日閲覧。[リンク切れ]
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  30. ^ The NIST Guide for the Use of the International System of Units”. 2017年3月26日閲覧。 付録C2
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参考文献

[編集]
  • Tibo Qorl (Translated by Sibille Rouzaud) (2005年). “The History of the Meter” (英語). 2010年11月15日閲覧。
  • ケン・オールダー 著、吉田三知世 訳『万物の尺度を求めて メートル法を定めた子午線大計測』(第1刷)早川書房、2006年。ISBN 4-15-208664-5 
  • 西條敏美『単位の成り立ち』(第1刷)恒星社厚生閣、2009年。ISBN 978-4-7699-1099-2 
  • 和田純夫、大上雅史、根本和昭『単位がわかると物理がわかる』(初刷)ベレ出版、2002年。ISBN 4-86064-013-6 

関連項目

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外部リンク

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