コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

御船神社 (多気町)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
牟弥乃神社から転送)
御船神社・牟弥乃神社
所在地 三重県多気郡多気町土羽南出505
位置 北緯34度29分43.2秒 東経136度35分20.6秒 / 北緯34.495333度 東経136.589056度 / 34.495333; 136.589056 (御船神社 (多気町))座標: 北緯34度29分43.2秒 東経136度35分20.6秒 / 北緯34.495333度 東経136.589056度 / 34.495333; 136.589056 (御船神社 (多気町))
主祭神 御船神社:大神御蔭川神
牟弥乃神社:寒川比古命・寒川比女命
社格 御船神社:皇大神宮摂社、式内社(小)
牟弥乃神社:皇大神宮末社
創建 延暦23年(804年)以前
本殿の様式 神明造
主な神事 神嘗祭
地図
御船神社・牟弥乃神社の位置(三重県内)
御船神社・牟弥乃神社
御船神社・牟弥乃神社
テンプレートを表示

御船神社(みふねじんじゃ)は、伊勢神宮皇大神宮(内宮)の摂社。本項目では、御船神社と同座する牟弥乃神社(むみのじんじゃ)についても記述する。

どちらも川の神を祀る神社である[1]

概要

[編集]

ここでは2社共通事項を記述する。

三重県多気郡多気町土羽(とば、どば)に鎮座する[2]。鎮座地の地名「土羽」は「止場」を意味し、倭姫命の船が止まったことに由来する[3]

社殿神明造玉垣に囲まれている。賽銭箱は置かれていない。社地の入り口には常夜灯が立つ[1]。社地の面積は975(≒3,223m2[4]

御船神社

[編集]

御船神社は、内宮の摂社27社のうち、第24位である[5]。倭姫命が外城田川(ときだがわ)を遡上する旅の途上に船を停泊し、定めた神社である[1]。倭姫命がここで止まったのは、川幅が狭くなり船が通れなくなったからである[3]

『延喜式神名帳』では、「大神乃御船神社」と記す[2]。「大神乃御船」とは天照大神がお乗りになる船を意味するものと見られ、薗田守良は、天照大神の神体を奉安する御樋代を納める御船代(みふなしろ)が遷御後に御船神社に納められたのではないか、と推定した[2]

祭神は大神御蔭川神(おおかみのみかげかわのかみ)[1][6]。田畑を潤す外城田川の守護神[1]または水上交通の守護神とされる[6]。御船神社と同じ内宮摂社の蚊野神社でも同じを祀る[7]。「御蔭」には霊魂、恩恵(=おかげ)の意味があり、神田に引水する川のほとりに祀った大神の霊であると『神宮典略』では解説している[8]

祭神には異説があり、『伊勢二所太神宮神名秘書』は「大神乃御船神」、『延喜式神名帳僻案集』は「天鳥船神」、『伊勢国神名帳考證』では「鳥石楠船神」とする[4]

牟弥乃神社

[編集]

牟弥乃神社は、内宮の末社16社のうち、第15位である[9]。社殿は中絶し、御船神社と同座する[10]

祭神は寒川比古命(さむかわひこのみこと)と寒川比女命(さむかわひめのみこと)[1][6]。外城田川の守護神で[1][6]、大水上命(おおみなかみのみこと)の子である[6]。祭神名の「寒川」は外城田川の異名であり、川の水が冷たく、寒かったことから倭姫命が命名した[3]

歴史

[編集]

伊勢神宮の摂社の定義より御船神社は『延喜式神名帳』成立、すなわち延長5年(927年)以前に創建された[11]。『皇大神宮儀式帳』には「倭姫内親王定祝」とある[2]。『皇大神宮儀式帳』に記載があることから延暦23年(804年)以前から存在した[11]ことになる。

古代の土羽は度会郡田辺郷に属していたが、大化5年(649年)に度会郡から多気郡が分立し、同郡の有尓郷(有爾郷)に属することになった[3]。こうした経緯もあり、『延喜式神名帳』では度会郡の項に「大神乃御船神社」として記載されている[8]

中世以降祭祀が断絶し、寛文3年8月29日グレゴリオ暦1663年9月30日)に現社地で再興された[2]。この時、の跡や古い柱の穴や朽ちた木が発見されたため、旧社地と考えられた[12]御巫清直はこの地を旧社地に比定する説を支持したが、中川経雅は土羽村の隣の村にある、里人が「御船社」と俗称する氏神が旧社地であると主張した[8]天保14年(1843年)、神社の入り口に常夜灯が設置された[6]

明治4年1871年)に中世以降社地不明となっていた牟弥乃神社を御船神社に同座させた[4]

交通

[編集]
公共交通
自家用車

脚注

[編集]
  1. ^ a b c d e f g h 伊勢文化舎 編(2008):64ページ
  2. ^ a b c d e 式内社研究会 編(1990):378ページ
  3. ^ a b c d 金子(1983):55ページ
  4. ^ a b c 式内社研究会 編(1990):380ページ
  5. ^ 宇治山田市役所 編(1929):9 - 11ページ
  6. ^ a b c d e f 学研パブリッシング(2013):68ページ
  7. ^ 金子(1983):59ページ
  8. ^ a b c 式内社研究会 編(1990):379ページ
  9. ^ 宇治山田市役所 編(1929):13 - 14ページ
  10. ^ 宇治山田市役所 編(1929):14ページ
  11. ^ a b 伊勢文化舎(2008):22ページ
  12. ^ 式内社研究会 編(1990):378 - 379ページ
  13. ^ 伊勢文化舎 編(2008):63ページ

参考文献

[編集]
  • 伊勢文化舎 編『お伊勢さん125社めぐり』別冊『伊勢人』、伊勢文化舎、平成20年12月23日、151p. ISBN 978-4-900759-37-4
  • 宇治山田市役所 編『宇治山田市史 上巻』宇治山田市役所、昭和4年1月20日、862p.
  • 学研パブリッシング『伊勢神宮に行こう』Gakken Mook神社紀行セレクションvol.1、薗田稔監修、学研マーケティング、2013年7月4日、82p. ISBN 978-4-05-610047-1
  • 金子延夫『玉城町史 第1巻―南伊勢の歴史と伝承―』三重県郷土資料叢書第61集、三重県郷土史料刊行会、昭和58年8月10日、276p.
  • 式内社研究会 編『式内社調査報告 第六巻 東海道1』皇學館大学出版部、平成2年2月28日、690p. ISBN 4-87644-080-8

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]
画像外部リンク
御船神社