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椎の実弾

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
南北戦争で使われた椎の実弾

椎の実弾/椎実弾(しいのみだま)[1]、または円柱円錐弾(えんちゅうえんすいだん 英語: Cylindro-conoidal bullet)は、イギリス陸軍第34連隊のジョン・ノートン英語版大尉1823年に発明した弾丸で、その形状はシイに似ている[2][3][リンク切れ]

弾丸底部は中空になっており、発砲時のガス圧によって径方向に拡大し、内腔との隙間が無くなる仕様であった。このアイデアはノートンが南インド勤務の際に、現地人の吹き矢に触発されたものである。吹き矢の末端側(風受け)の素材は柔軟性のある植物の髄を用いて、吹き筒に息を吹き込むと吹き矢の風受けが広がって吹き筒内面と接触し、空気漏れを減らす効果があった[4]

ガンスミスであったウィリアム・グリーナー英語版ロンドン)は1836年にノートンの方式を改良し、底部の中空部に木製のプラグをはめ込んだ。どちらもイギリス軍需省に採用されることはなかったが、このアイデアを取り入れたのはフランスである。1849年クロード=エティエンヌ・ミニエーClaude-Étienne Minié)がグリーナーのアイデアを取り入れて、ミニエー弾を開発した。

日本への導入

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武雄市歴史資料館では藩政時代に集められて伝世した蘭学の資料を活用し、2013年(平成25年)に企画展「武雄鍋島の蘭学」を開き[5]、武雄鍋島家が日本の近代化に果たした役割を考察した。蘭学を導入して西洋砲術に取り組んだ先進地であり、やがて佐賀の鍋島藩に波及する経緯を紹介し[5]、展示資料にアメリカのシャープス社製銃弾(19世紀後半)があり、鉛の弾頭に布製の薬莢を備えている(武雄鍋島家資料、武雄市蔵[5])。

九州国立博物館は同じ年に武雄市教育委員会の研究成果により「江戸のサイエンス」展を催し[5]、武雄市図書館・歴史資料館が収蔵する武雄鍋島家資料から蘭学に関するものを展示した[6][7]

従来は新政府軍が西南戦争(1877年)で使用した銃弾の鉛鉱石はどこのものかわからないとされていた。2021年に日本の研究チームは銃弾の鉛同位体の比率を分析し、幕末から明治維新の時期に使われて各地で出土した銃弾から鉛鉱石の産地特定を試みた。洋式銃の銃弾のうち日本産の鉱石を用いた国産のものはおよそ半数を占めたという成果が得られた[8][9]

参考資料

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本文の典拠。主な執筆者、編者の順。

  • 九州国立博物館、武雄市教育委員会 編『江戸のサイエンス : 武雄蘭学の軌跡』九州国立博物館、太宰府、2013年4月。国立国会図書館書誌ID:025542496全国書誌番号:22449347 共同刊行: 武雄市教育委員会。会期:2013年(平成25年)4月16日–7月7日。会場:九州国立博物館文化交流展示室。
洋書(アルファベット順)

関連資料

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脚注に使用していない資料。発行年順。

  • 『工業雑誌』第29号(通号397)(工業雑誌社、1908-10)国立国会図書館デジタルコレクション、doi:10.11501/1561482
    • 「(前略)銃砲弾ともにその弾形に関する〓究ようやく進むにしたがい尖弾と称する弾型を案出するにいたれり
      尖弾とは従来の椎実弾に比し更に長形にして前端は著しく尖り後尾は多少の鈍角を成して中央部よりも円径の小なるものなり(後略)」
  • 岩波書店 編『別項 化学 2』(岩波書店〈岩波講座物理学及ビ化学〉、昭和4-5年、1930年)国立国会図書館デジタルコレクション、doi:10.11501/1117937
    • 「(前略)これを打ち破るために弾丸を椎実型に変形した。この椎実弾を打つには砲身に線條を付して弾丸の慣性に依り尖端を前方にして進行せしめなければ(後略)」
  • 第172号(蘭学資料研究会、1965年7月17日)国立国会図書館デジタルコレクション、doi:10.11501/11395206
    • 「(前略)(亜国製式ミニー銃用繰出管五百本)尚ミニ一あるいはミネヘル銃は腔機付椎実弾を使用する銃はある時期すべてこの名前で呼ばれたものらしい。便用例 a) 幕府騎兵(後略)」。※=アメリカ。
「大砲鋳造絵巻」

脚注

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  1. ^ 椎実弾”. コトバンク. 2024年9月4日閲覧。
  2. ^ Fuller 1992, p. 88
  3. ^ The Conduct Of War, 1789-1961: A Study Of The Impact Of The French, Industrial, And Russian Revolutions On War And Its Conduct
  4. ^ O'Connell 1990, p. 191
  5. ^ a b c d 企画展「武雄鍋島の蘭学」展”. 武雄市. 2024年9月6日閲覧。 “場所:蘭学・企画展示室(観覧無料)、期日:平成25年4月1日(月)–平成25年6月2日(日)”展示したシャープス社製銃弾(19世紀後半)の画像あり。
  6. ^ 九州国立博物館 & 武雄市教育委員会 2013, pp. 52–71, 「出品目録・解説」
  7. ^ 九州国立博物館 & 武雄市教育委員会 2013, p. 71, 「主要参考文献」
  8. ^ 幕末・維新に用いられた銃弾の鉛はどこから? 〜鉛同位体比から鉛資源の流通を復元〜”. 琉球大学 (2021年12月21日). 2024年9月6日閲覧。図1=(左)球状の弾丸と火薬入れ。(右)椎ノ実状の弾丸。
  9. ^ Aizawa et al. 2022, pp. 103–268

関連項目

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日本
海外