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森田思軒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
森田 思軒
明治期の思軒
ペンネーム 埜客、羊角山人、白蓮庵主人、紅芍園主人など
誕生 森田 文蔵(文藏)
(1861-08-26) 1861年8月26日
備中国小田郡笠岡(現・岡山県笠岡市
死没 (1897-11-14) 1897年11月14日(36歳没)
墓地 世尊寺
職業 新聞記者翻訳家漢学者
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
教育 岡山興譲館
最終学歴 慶應義塾
大阪慶應義塾
徳島慶應義塾
(現・慶應義塾大学
活動期間 1882年 - 1897年
ジャンル 小説
主題 翻訳漢文
文学活動 周密文体
代表作十五少年』(1896年)
頼山陽及其時代』(1898年)
ウィキポータル 文学
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森田 思軒(もりた しけん、1861年8月26日文久元年7月21日[注 1] - 1897年明治30年)11月14日)は、日本ジャーナリスト翻訳家漢文学者。本名は文蔵。別号に埜客(やきゃく)、羊角山人(ようかくさんじん)、白蓮庵主人(びゃくれんあんしゅじん)、紅芍園主人(こうしゃくえんしゅじん)など。

略歴

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1861年(文久元年)、備中国小田郡笠岡(現・岡山県笠岡市西本町)に森田節斎の子として生まれる[1]1874年(明治7年)、大阪慶應義塾に入塾し、1875年(明治8年)に徳島慶應義塾に移動し、1876年(明治9年)に三田慶應義塾本校で英文学を学ぶ。1879年(明治12年)には岡山の興譲館坂田警軒について漢学を修めた。1882年(明治15年)に上京して、矢野龍渓の経営する『郵便報知新聞』に入社し、漢文の頭評と後序を担当する。1885年(明治18年)、清国へ特派され、「訪事日録」「北京紀行」などの紀行文を『報知新聞』に掲載。のち編集長となり敏腕を振い、徳富蘇峰の『国民之友』に、ビクトル・ユゴーを紹介する作品を発表する。

『報知新聞』分裂の際に退社し、1891年(明治24年)に『国会新聞』に入社して1895年(明治28年)の廃刊まで社員となる。この間、同紙のほかに『太陽』や『少年世界』等にも執筆。続いて『萬朝報』に高待遇で迎えられ、黒岩涙香とともに、明治期に「翻訳王」の異名をとるほどに活躍した[2][3]。森田は多くの翻訳書において、従来の乱訳語調を一新し「周密文体」という独自のスタイルを生み、我が国近代文学史上に大きな足跡を残している。

1897年(明治30年)、腸チフスのため死去[4]

門下に原抱一庵などがいる。また、1907年(明治40年)に『思軒全集』が刊行される。解説を森鷗外徳富蘇峰幸田露伴らが著している。

笠岡市では森田の業績を記念して「森田思軒顕彰会」が作られ、1968年(昭和43年)に生誕百年を記念して、同市に「思軒森田文蔵生誕之地碑」が建立された。笠岡市立図書館には「森田思軒顕彰コーナー」がある[5]

著作

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単著

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共著

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翻訳書

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選集・全集、再刊など

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  • 石割松太郎 編『思軒全集』 巻1、森田思軒 訳、石割書店、1907年5月。NDLJP:896910  - 収録:『随見録』(ユーゴー)、『探偵ユーベル』(ユーゴー)、『クラウド』(ユーゴー)、『懐旧』(ユーゴー)、『死刑前の六時間』(ユーゴー)、『大東号航海日記』(ジュール・ウエルーヌ)、『大叛魁(だいはんかい)』(ジュール・ウエルーヌ)、『破茶碗』(ツエツケ)、『用達会社』(ホウソン)、『千人会』(エツヂウオース)、『間一髪』(ポー)。
  • ユーゴー「死刑前の六時間」『明治文学名著全集』 第6巻、森田思軒 訳、東京堂、1926年。NDLJP:1019138 
  • ジュウールスヴェルヌ「十五少年」『明治大正文学全集』 第8巻、森田思軒 訳、春陽堂、1927-1932。NDLJP:1884246 
  • ジュウールス・ヴェルヌ十五少年』森田思軒 訳、岩波書店〈岩波文庫 1781-1782〉、1938年10月1日。ISBN 4-00-325691-3NDLJP:1238243https://www.iwanami.co.jp/book/b248088.html 
  • 福田清人 編「十五少年」『明治少年文学集』森田思軒 訳、筑摩書房〈明治文学全集 第95巻〉、1970年。 
  • 稲垣達郎 編「森田思軒篇 文章世界の陳言ほか29篇」『根岸派文学集』筑摩書房〈明治文学全集 第26巻〉、1981年4月。 
  • 長山靖生 編『森田思軒・村井弦斎集』尾崎秀樹ほか監修、三一書房〈少年小説大系 第13巻〉、1996年2月。ISBN 4-380-96547-3  - 収録:『大東号航海日記』・『探偵ユーベル』・『クラウド』・『大叛魁(だいはんかい)』・『十五少年』・『間一髪』。
  • 川戸道昭榊原貴教 編『明治翻訳文学全集』 6巻、大空社〈新聞雑誌編 6(ディケンズ集)〉、1996年6月。ISBN 4-7568-0270-2  - 収録:『伊太利の囚人』森田思軒 訳(『国民之友』明治22年5月~6月)、『牢帰り』森田思軒 訳(『家庭雑誌』明治29年8月)。
  • 川戸道昭榊原貴教 編『明治翻訳文学全集』大空社〈新聞雑誌編 19(ポー集)〉、1996年6月。ISBN 4-7568-0270-2  - 収録:『秘密書類』森田思軒 訳(『名家談叢』明治29年1月)、『間一髪』森田思軒 訳(『太陽』明治29年2月)。
  • 川戸道昭榊原貴教 編『明治翻訳文学全集』大空社〈新聞雑誌編 24(ユゴー集 1)〉、1996年10月。ISBN 4-7568-0310-5  - 収録:『随見録』森田思軒 訳(『国民之友』明治21年5月~10月)、『探偵ユーベル』森田思軒 訳(『国民之友』明治22年1月~3月)、『クラウド』森田思軒 訳(『国民之友』明治23年1月~2月)、『懐旧』森田思軒 訳(『国民之友』明治25年1月~10月)。
  • 川戸道昭榊原貴教 編『明治翻訳文学全集』大空社〈新聞雑誌編 27(ヴェルヌ集 1)〉、1996年6月。ISBN 4-7568-0270-2  - 収録:『仏、曼二学士の譚』・『天外異譚』・『煙波の裏』・『盲目使者』森田思軒 訳(『郵便報知新聞』明治20年3月~12月)、『大東号航海日記』森田思軒 訳(『国民之友』明治21年1月~4月)。
  • 川戸道昭榊原貴教 編『明治翻訳文学全集』大空社〈新聞雑誌編 17(アーヴィング集)〉、1997年10月。ISBN 4-7568-0312-1  - 収録:『旅館の夕』・『幽霊新郎』・『肥大紳士』。
  • 川戸道昭榊原貴教 編『明治翻訳文学全集』大空社〈新聞雑誌編 18(ホーソーン集)〉、1997年4月。ISBN 4-7568-0311-3  - 収録:『昼寝』・『観物師の函』・『用達会社』。
  • 川戸道昭榊原貴教 編『明治翻訳文学全集』大空社〈新聞雑誌編 28(ヴェルヌ集 2)〉、1997年10月。ISBN 4-7568-0312-1  - 収録:『炭坑秘事』・『余が少時』・『入雲異譚』・『冒険奇譚十五少年』。
  • 川戸道昭榊原貴教 編『明治翻訳文学全集』大空社〈新聞雑誌編 25(ユゴー集 2)〉、1998年5月。ISBN 4-7568-0313-X  - 収録:『死刑前の六時間』森田思軒 訳(『国民之友』明治29年)。
  • 川戸道昭榊原貴教 編『明治翻訳文学全集』大空社〈新聞雑誌編 9(コリンズ集)〉、1998年11月。ISBN 4-7568-0314-8  - 収録:『月珠』。
  • 川戸道昭榊原貴教 編『明治翻訳文学全集』大空社〈新聞雑誌編 13(十八世紀イギリス文学集)〉、2000年4月。ISBN 4-7568-0317-2  - 収録:『亜歴セルカーク』。
  • 川戸道昭榊原貴教 編『明治の翻訳ミステリー』(復刻版)五月書房〈明治文学復刻叢書 翻訳編 第2巻(ミステリー小説の成立)〉、2001年7月。ISBN 4-7727-0352-7  - 収録:『秘密書類』(E.A.ポー)。
  • ジュール・ベルヌ 著、赤木かん子 編『十五少年漂流記(抄)』森田思軒 訳、ポプラ社〈ポプラ・ブック・ボックス 王冠の巻 5〉、2008年4月。ISBN 978-4-591-10210-7 
  • 中野, 三敏十川, 信介延広, 真治 ほか 編『海外見聞集』岩波書店〈新日本古典文学大系 明治編 5〉、2009年6月26日。ISBN 978-4-00-240205-5https://www.iwanami.co.jp/book/b259735.html  - 収録:『訪事日録』(抄)。
  • 坪内祐三 編『明治二十九年の大津波 復刻『文藝倶樂部』臨時増刊「海嘯義捐小説」号』毎日新聞社、2011年10月。ISBN 978-4-620-32079-3  - 収録:『渉筆一則』。
  • 川戸, 道昭中林, 良雄榊原, 貴教 編『続 明治翻訳文学全集』大空社〈翻訳家編 5(森田思軒集 1)〉、2002年1月。ISBN 4-283-00199-6  - 収録:『印度太子舎摩の物語』ほか。
  • 川戸, 道昭中林, 良雄榊原, 貴教 編『続 明治翻訳文学全集』大空社〈翻訳家編 6(森田思軒集 2)〉、2003年7月。ISBN 4-283-00202-X  - 収録:『金驢譚(きんろものがたり)』(アプレイアス)・『大氷塊』(ヴェルヌ)・『探征隊』(ヴェルヌ)。


校閲

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  • 村井寛 編『内外百事便鑑(ないがいひゃくじべんかん)』森田思軒 閲、報知社、1891年3月。NDLJP:898026 

脚注

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注釈

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  1. ^ 誕生日は『日本大百科全書』では文久元年7月21日(1861年8月26日)である。一方、『朝日日本歴史人物事典』では文久元年7月20日(1861年8月25日)とされている。

出典

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  1. ^ 森田思軒没す『新聞集成明治編年史. 第十卷』(林泉社, 1940)
  2. ^ 倉敷ぶんか倶楽部(2011)
  3. ^ 谷口(2000)
  4. ^ 服部敏良『事典有名人の死亡診断 近代編』付録「近代有名人の死因一覧」(吉川弘文館、2010年)28頁
  5. ^ 国会図書館レファレンス

関連文献

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関連項目

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外部リンク

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