木質材料
木質材料(もくしつざいりょう)とは、原料の木材を大小のエレメント(構成要素)に分解し、再構成した材料をいう[1][2][3]。製造されたエレメントは主に接着剤を用いて軸材料、面材料へと再構成される。例外として、ファイバーボードの一種であるハードボードは接着剤を殆ど使用せず、木材に含まれるリグニンの作用で結着させる[4][5]。通常製材しただけのものは木質材料には分類されない。また、異なる種類の木質材料を組み合わせたものも存在する。すなわち、木質材料とは、木材を人工的に再構成した材料の最上位概念を指す言葉である。
木質材料に意味や用法が類似する言葉として、「木質製品」、「木質建材」、「木質素材」、「改良木材」、「木質部材」等が見受けられる。
接着剤が被着材同士を接着する原理には、機械的接着、化学的接着、物理的接着の3種類がある[6][7][8]。
機械的接着とは、多孔質の被着材の孔に接着剤が浸透して硬化することで、釘や杭の役割を発揮することを指す。アンカー効果、投錨効果とも呼ばれる。
化学的接着は、被着材と接着剤との間で化学反応が起こることで、それぞれの分子同士が結合することを指す。
物理的接着は、被着材と接着剤、あるいは接着剤内において、分子同士が引き付け合う分子間力(ファンデルワールス力)によって接着することを指す。
木材は多孔質であり、接着において上記のうち機械的接着の恩恵を大きく受ける。そしてその恩恵は、エレメント同士の表面積が多いほど、大きく受けることができる。また、場合によっては接着剤単体を固めて固体化した材料よりも強い強度を得ることも可能である。したがって、接着剤単体よりもコストを抑えつつ、所望の強度を有する材料を得ることも可能である。
木質材料は、単に利用価値の低いエレメントや廃材等を再利用する目的に留まらず、接着剤のアンカー効果を最大限に活かした材料でもある。特に近年発展した種々のエンジニアリングウッドは、接着剤のアンカー効果とエレメント単体の強度を巧みに組み合わせて、製材では得られない強度特性を実現することに成功している。
面材料
[編集]建築において、床、壁、天井に相当する、面の部分を構成する材料である[9]。木質面材料と呼ぶ場合もある[10]。
以下、合板→配向性ストランドボード→パーティクルボード→ファイバーボードの順に、構成要素の大きさが小さくなる。
以上のうち、パーティクルボードとファイバーボードを総称して「木質ボード」と呼ぶ[11]。
軸材料
[編集]建築において、柱や梁等に相当する、軸の部分を構成する材料(角材)である[9]。木質軸材料と呼ぶ場合もある[10]。
- 集成材
- 単板積層材 (LVL)
- クロス・ラミネーティッド・ティンバー(直交集成板)
- パラレルストランドランバー(パララム)
- IビームまたはI型ジョイスト[12]
OSBの両端にLVLの角材を嵌め込んだラーメン構造の補強材。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ “木質材料の種類と特徴 建材試験情報 2016年6月号”. 一般財団法人建材試験センター( http://www.jtccm.or.jp/ ). 2016年11月8日閲覧。
- ^ 鈴木滋彦「木質材料のこれまでの発展と今後の展開」『木材学会誌』第51巻第1号、日本木材学会、2005年1月、29-32頁、doi:10.2488/jwrs.51.29、hdl:10297/4422、ISSN 0021-4795、CRID 1050001202802113280。
- ^ “コトバンク 木質材料とは”. コトバンク. 2017年1月15日閲覧。
- ^ “木製ドア用語集 ハードボード”. コマニー株式会社. 2017年1月15日閲覧。
- ^ “ハードボード”. 佐久間木材株式会社. 2017年1月15日閲覧。
- ^ “接着の原理”. 工具の通販モノタロウ. 2017年12月11日閲覧。
- ^ “集成材に使われる接着剤”. (株)アイジーコンサルティング. 2021年2月21日閲覧。
- ^ “接着の原理”. コニシ株式会社. 2021年2月21日閲覧。
- ^ a b “面材とは”. コトバンク. 2017年1月15日閲覧。
- ^ a b “複合材料研究領域”. 森林総合研究所. 2021年8月16日閲覧。
- ^ “木質ボード誕生の背景”. 任意団体日本繊維板工業会( http://jfpma.jp/ ). 2017年12月10日閲覧。
- ^ “TJI【Trus Joist I Beam】Ⅰ型ジョイスト”. 大利木材株式会社. 2017年8月4日閲覧。