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朝鮮史 (歴史書)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

朝鮮史(ちょうせんし)は、日本朝鮮総督府が編纂した古代から1894年までの朝鮮半島歴史書。全37巻。

概要

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日韓併合直後より、日本側において朝鮮半島植民地化の正当性を示すために朝鮮半島の本格的な通史編纂を計画し、黒板勝美三浦周行今西龍らに検討させたのが始まりとされている[1]

実際に計画が動き出したのは、1922年中枢院の下に「朝鮮史編纂委員会」が設置され、1925年勅令でこれを朝鮮史編修会に改組してから後のことになる。同会には今西龍や稲葉岩吉末松保和中村栄孝ら日本側の歴史学者のみならず、洪憙李能和崔南善李丙燾ら朝鮮側の知識人・文化人も参加し、その数は合わせて41名にのぼる[2]

1932年から刊行が開始され、1938年に本編の刊行が終わり、残された索引も1940年には完成した。朝鮮半島全域および日本・満州などに採訪して借用された資料は4,950点、そのうち重要なものを選んで作成した複本が1,623冊、本文・史料よりなる稿本は3,500冊にのぼる。実際に刊行されたのは稿本のうち史料を除いた部分にあたり、目録にあたる巻首1巻・本編35巻・索引1巻の計37巻である(史料のうち特に重要なものは別途『朝鮮史料叢刊』・『朝鮮史料集真』(写真集)として刊行された)。本編は全6編からなり、時代順に三国時代以前の「新羅統一以前」、新羅による半島統一後の「新羅統一時代」、高麗が支配した「高麗時代」、李氏朝鮮が支配した「朝鮮時代」(前期・中期・後期の全3編)という構成になっている。当時、日本で編纂事業が行われていた『大日本史料』・『大日本古文書』に倣って歴史的事項を日本語によってその概要を記し、それらを年月順に配列して史料典拠を付している。ただし、第1編だけは朝鮮半島・中国・日本を原文のまま収めている。 植民地支配という特殊な状況下において実証主義に徹した歴史書としての評価がある反面、現在の韓国では「植民支配」を代表する歴史書としての評価もなされ[3]、1894年(日清戦争)以後が編纂されなかったのは、現代(当時の日本による植民地統治)に支障があるためであった[4]という主張もされている。また、編纂に関わった朝鮮人の中には戦後、「親日派」として糾弾された者も存在する。

なお、編纂当時、朝鮮総督府および朝鮮史編修会が旧対馬藩主宗家から購入した近世日朝関係史に関連する史料数万点(「対馬宗家文書」)が韓国側に接収され、現在もソウルの韓国国史編纂委員会が所蔵していると言われており、朝鮮王室儀軌など日本側に持ち出された文献の返還問題と並んで、現在も日韓間の大きな問題となっている[5]

なお国立国会図書館近代デジタルライブラリーにて、全巻が閲覧可能である。

韓国の이주한 (ハンガラム歴史文化研究所研究委員)は、「檀君神話は事実ではなく、単なる神話にすぎない」「中国からの遺民の衛満が建国した衛氏朝鮮は韓半島で建てられた最初の国である」「韓半島鉄器文化は中国から流入した」という歴史観は、「韓半島の古代史が日本植民地時代の朝鮮総督府によって歪曲された」ものであり、「日本1910年から韓国の古代史を抹殺するために数十万冊の史料を回収・廃棄し、朝鮮史編修会を通じて2万4千ページにのぼる『朝鮮史』を新たに発刊した。『朝鮮史』発刊の目的は、朝鮮の歴史から古朝鮮を消去することであり、日本の歴史より長い朝鮮史を取り除くことだった」として、「古代韓国文化が、中国の黄河流域シベリア地域から流入されたという先入観を捨てなければない」と主張しており、古朝鮮の鉄器生産は紀元前13世紀であり、中国の紀元前8世紀よりもはるかに上回り、鉄器は、中国から輸入されたものではなく、古朝鮮の領土である満州と韓半島地域の東夷族の発達した鉄器文明を中国が輸入したものであり、さらに「古朝鮮の周辺国に過ぎなかった戦国時代の衛満が1000人を率いて古朝鮮に入国し、朝鮮の歴史において初めての強力な国家を作った」という歴史観も、古代朝鮮史の主体を中国人にするために操作されたものであり、朝鮮総督府の『皇国史観』によるものと主張している[6]

内容

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脚注

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  1. ^ 吉田「朝鮮史」『日本史大事典』
  2. ^ 田川「朝鮮史」『国史大辞典』
  3. ^ 並木「朝鮮史」『日本歴史大事典』
  4. ^ 朴「朝鮮史」『アジア歴史事典』
  5. ^ 例えば、韓国にも日本の古文書=返還は求めず-松本外相(2011年4月22日・時事通信)および日韓図書協定をめぐる自民党部会の要旨(2011年4月20日・産経新聞)
  6. ^ ““일제가 심어놓은 식민사학의 뿌리부터 캐내야 한다””. ハンギョレ. (2015年10月15日). オリジナルの2017年9月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170908191344/https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/713052.html 
  7. ^ 酒寄雅志渤海史研究と近代日本明治大学史学地理学会〈駿台史学 (108)〉、1999年12月、9頁https://hdl.handle.net/10291/1522 

関連項目

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参考文献

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外部リンク

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