延喜式
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編集者 | 藤原時平, 藤原忠平ら(一覧) |
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国 | 日本 |
言語 | 漢文 |
分野 | 式, 法令集 |
出版社 | 日本 |
出版日 | 延長5年12月26日(928年1月21日) |
巻数 | 50巻 (書籍一覧) |
前作 | 貞観式 |
次作 | なし |
延喜式(えんぎしき)は、平安時代中期に編纂された格式の式(律令の施行細則)をまとめた法典。三代格式のうちほぼ完全な形で残っているのは延喜式だけであり、細目まで規定されているため、日本古代史の研究のうえで重視されている[1]。
成立
[編集]延喜5年(905年)8月[2]、醍醐天皇の命により藤原時平らが編纂を始め、時平の死後は藤原忠平が編纂に当たった[1]。『弘仁式』『貞観式』とその後の式を取捨編集し、延長5年(927年)に完成した[3]。その後改訂を重ね、康保4年(967年)より施行された[4]。
編纂者
[編集]『国史大系』第13巻「延喜式序」による。特記なき場合、延喜5年(905年)8月から参加。「<上表>」は上表文に署名したことを示す。
- 藤原時平(延喜9年(909年)薨去)
- 藤原定国(延喜6年(906年)薨去)
- 藤原有穂(延喜7年(907年)薨去)
- 平惟範(延喜9年(909年)薨去)
- 紀長谷雄(延喜12年(912年)薨去)
- 藤原菅根(延喜8年(908年)卒去)
- 三善清行(延喜18年(918年)卒去)
- 大蔵善行
- 藤原道明(延喜20年(920年)卒去)
- 大中臣安則(延喜5年(905年)8月から参加。延長3年(925年)再任)<上表>
- 三統理平(延長4年(926年)卒去)
- 惟宗善経
- 藤原忠平(延喜12年(912年)2月から参加)<上表>
- 橘澄清(延喜12年(912年)2月から参加。延長3年(925年)薨去)
- 藤原清貫(延長3年(925年)2月から参加)<上表>
- 伴久永(延長3年(925年)2月から参加)<上表>
- 阿刀忠行(延長3年(925年)2月から参加)<上表>
内容
[編集]全50巻、約3300条からなる。律令官制に従い、以下のような構成。
上表・序・目録
[編集]- 上延喜式表
- 延喜式序
- 延喜式目録
巻1 - 10:神祇
[編集]神祇官関係の式。この部分を神祇式という。巻ごとによる記載内容の趣旨は以下となる。巻9・10は通称延喜式神名帳であり、神社の一覧表となっていて、祈年祭で奉幣を受ける2861社の神社を指定している。神名帳に記載があるのは当時朝廷から重要視された神社であり、一般に式内社と言って社格の一つとされたが、現在では消滅したり不明となっている神社も多い。
巻1 | 定例祭 (通称:四時祭、四時祭式など) |
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巻2 | |
巻3 | 臨時祭 (通称:四角祭・四角祭式、四境祭・四境祭式、四角四堺祭など) |
巻4 | 伊勢太神宮 |
巻5 | 斎宮寮 |
巻6 | 斎院司 |
巻7 | 踐祚・大嘗祭 |
巻8 | 祝詞 |
巻9 | 神名帳 |
巻10 |
巻11 - 40:その他官司
[編集]その他官司関係の式。巻21(諸陵寮)には諸陵式が含まれる。巻22(民部省)には「凡諸国部内郡里等名 並用二字 必取嘉名」とあり、全国の地名が変更された。巻24(主計寮)には、全国への庸、調、中男作物の割り当て等が書かれており、当時の全国の農産物、漁獲物、特産物を伝える。巻28(兵部省)には諸国駅伝馬条が含まれ、五畿七道の402ヶ所の宿駅の名称と備えるべき駅馬や伝馬の数が記載されている[5]。
巻11 | 太政官 | 太政官 |
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巻12 | 中務省 | 中務省・内記・監物・主鈴・典鑰 |
巻13 | 中宮職・大舎人寮・図書寮 | |
巻14 | 縫殿寮 | |
巻15 | 内蔵寮 | |
巻16 | 陰陽寮 | |
巻17 | 内匠寮 | |
巻18 | 式部省 | 式部省上 |
巻19 | 式部省下 | |
巻20 | 大学寮 | |
巻21 | 治部省 | 治部省・雅楽寮・玄蕃寮・諸陵寮 |
巻22 | 民部省 | 民部省上 |
巻23 | 民部省下 | |
巻24 | 主計寮上 | |
巻25 | 主計寮下 | |
巻26 | 主税寮上 | |
巻27 | 主税寮下 | |
巻28 | 兵部省 | 兵部省・隼人司 |
巻29 | 刑部省 | 刑部省・判事・囚獄司 |
巻30 | 大蔵省 | 大蔵省・織部司 |
巻31 | 宮内省 | 宮内省 |
巻32 | 大膳職上 | |
巻33 | 大膳職下 | |
巻34 | 木工寮 | |
巻35 | 大炊寮 | |
巻36 | 主殿寮 | |
巻37 | 典薬寮 | |
巻38 | 掃部寮 | |
巻39 | 正親司・内膳司 | |
巻40 | 造酒司・采女司・主水司 | |
巻41 | 弾正台 | 弾正台 |
巻42 | 京職 | 左右京職・東西市司 |
巻43 | 春宮坊 | 春宮坊・主膳監・主殿署 |
巻44 | 勘解由使 | 勘解由使 |
巻45 | 兵衛 | 左右近衛府 |
巻46 | 左右衛門府 | |
巻47 | 左右兵衛府 | |
巻48 | 馬寮 | 左右馬寮 |
巻49 | 兵庫寮 | 左右兵庫寮 |
巻50:雑式
[編集]巻50 | 雑式 |
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延喜式附録
[編集]- 歴運記
- 和明考異
「国史大系」, 国立国会図書館を基に作成
写本
[編集]『延喜式』原本は現存せず[6]、室町・戦国期の古写本もほとんど散逸した。最古の写本には九条家伝来品の東京国立博物館所蔵本(国宝:平安時代、10・11世紀)[7]や、大阪府河内長野市天野町の金剛寺所蔵の三巻(巻第十二残巻、巻十四、巻十六、平安時代、大治2年(1127年))がある[6]。
脚注
[編集]- ^ a b 「延喜式」『山川 日本史小辞典 改訂新版』山川出版社 。コトバンクより2024年11月17日閲覧。
- ^ 小倉, 慈司. “1.『延喜式』とは”. 国文学研究資料館. p. 3. 2024年11月17日閲覧。
- ^ 日本史用語研究会『必携日本史用語』(四訂版)実教出版、2009年2月2日。ISBN 978-440731659-9。
- ^ 「延喜式」『デジタル大辞泉』小学館 。コトバンクより2024年11月17日閲覧。
- ^ 武部健一 2015, p. 46.
- ^ a b “文化財”. 金剛寺. 2024年11月17日閲覧。
- ^ “延喜式”. 東京国立博物館. コレクション名品ギャラリー. 東京国立博物館. 2020年8月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月17日閲覧。
参考文献
[編集]- 正宗敦夫 編『日本古典全集 延喜式 第一』日本古典全集刊行會、1929年。doi:10.11501/1912584 。延喜式巻1~巻7
- 正宗敦夫 編『日本古典全集 延喜式 第二』日本古典全集刊行會、1929年。doi:10.11501/1912589 。延喜式巻8~巻10
- 正宗敦夫 編『日本古典全集 延喜式 第三』日本古典全集刊行會、1929年。doi:10.11501/1912590 。延喜式巻11~巻16
- 正宗敦夫 編『日本古典全集 延喜式 第四』日本古典全集刊行會、1929年。doi:10.11501/1912592 。延喜式巻17~巻23
- 正宗敦夫 編『日本古典全集 延喜式 第五』日本古典全集刊行會、1929年。doi:10.11501/1912596 。延喜式巻24~巻33
- 正宗敦夫 編『日本古典全集 延喜式 第六』日本古典全集刊行會、1929年。doi:10.11501/1912598 。延喜式巻34~巻40
- 正宗敦夫 編『日本古典全集 延喜式 第七』日本古典全集刊行會、1929年。doi:10.11501/1912605 。延喜式巻41~巻50
- 経済雑誌社 編「延喜式」『国史大系 第13巻』経済雑誌社。doi:10.11501/991103 。
- 武部健一『道路の日本史』中央公論新社〈中公新書〉、2015年5月25日。ISBN 978-4-12-102321-6。
- 日本史用語研究会『必携日本史用語』(四訂版)実教出版(原著2009-2-2)。ISBN 9784407316599。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 延喜式検索システム皇學館大学(2024/09/12時点では稼働していない)
- “延喜式(九條家本)”. 文化遺産オンライン. 2024年9月12日閲覧。
- “デジタル延喜式 Engi shiki Database”. 国立歴史民俗博物館. 2024年9月12日閲覧。
- 『延喜式』 - コトバンク