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川中温泉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
川中温泉
温泉情報
所在地 群馬県吾妻郡東吾妻町
交通 車:関越自動車道渋川伊香保ICより約60分
泉質 硫黄泉石膏泉[1]
泉温(摂氏 34.8度[2]
湧出量 50ℓ/min[3]
pH 7.4[2]
宿泊施設数 1
総収容人員数 36名 人/日
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川中温泉(かわなかおんせん)は、群馬県吾妻郡東吾妻町にある温泉である。

概要

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カルシウム硫酸塩泉完全放流加水無し(一部加温)の温泉で、源泉は吾妻川支流雁ケ沢川の中から湧出しており、温泉名もこれに由来する[4][5]

和歌山県龍神温泉、島根県湯の川温泉とともに三大美人湯に数えられる[6][7]。龍神温泉・湯の川温泉・川中温泉は、1989年に「日本三美人湯」[8] [9]として姉妹協定を結んだ[10][11]。1989年以後持ち回りで「美人の湯サミット」を開催していたが、2004年のサミットが最後になった[10]。2016年には共同でのプロモーションの試みが行われた[10]

温泉街

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一軒宿の「かど半旅館」が存在する。近くの松ノ湯温泉と併せて、吾妻渓谷温泉郷とも呼ばれている[12]

歴史

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発見時期は不明。地元の人は中世から利用していたと言われ、口碑によると「源頼朝の臣重田四郎が健久4年(1193年)病を得て除籍され、永くこの地で療養に当たった」とされている[13]1616年元和2年)『沼田領品々覚書』によると、江戸初期の真田氏統治の時代には「おたすけ湯」と言い、困窮、難病の人に開放され湯銭は取らなかったという[14]。1716年(享保元年)の湯支配出入裁許状(浦野文書)によると、湯小屋は1701年元禄14年)に建てられたという[15]。『吾妻郡略記』によると効能として腫物、とげぬき、難病に効くとされていた[14]。江戸時代には応永寺の松寺小林寺の了牛和尚が近隣24村から奉加の力を借りて湯小屋を建て、入浴客の便宜を図っていた[5][16]1714年正徳4年)には本寺である応永寺の管理下に置かれた。1860年万延元年)には浄瑠璃の竹本政太夫が同地に滞在して浄瑠璃を広めている[5]

近世には湯の権利を巡って争いが続き、1681年天和元年)横谷村と松尾村[17]、天保年間には再び横谷村の半兵衛が草津町のような湯治場にしたいと訴え[18]内済に終わったりしている[15]

源泉が川の中にあるため、時々流されては河原と化しその都度松尾村から人足が出て復旧作業をしたため、地元住民は無料で入れる習わしが昔からあった[5]。明治時代には旅館が出来湯治場としてにぎわいを見せていたものの、1910年(明治43年)、1920年(大正9年)、1935年(昭和10年)、1940年(昭和15年)と大洪水山津波集中豪雨などにより薬師堂以外跡形もなく流され[19][5]、しばらくの間湯だけが放流されていたものの[19]、1947年に「かど半旅館」が再建され現在に至っている[20]2020年現在の本館は1939年から1940年ごろに建てられており、新館は1969年ごろ建てられた[21]

浴客は1911年(明治44年)には年間175人、1912年(大正元年)には231人、1921年大正10年)は209人であったが、国道145号やJR吾妻線の開通により大幅に増加し、1964年(昭和39年)には7200人に達している[5]

アクセス

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脚注

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  1. ^ a b 全国温泉百科事典、p.262
  2. ^ a b 地質調査書『日本温泉・鉱泉分布図及び一覧』1992、p.153
  3. ^ 『日本温泉・鉱泉一覧』1975、p.41
  4. ^ 1999年4月2日付信濃毎日新聞
  5. ^ a b c d e f 角川地名大辞典、p.328
  6. ^ 「ぐんまの温泉」、p.6
  7. ^ 『ぐんまの源泉一軒宿』、p.26
  8. ^ 『新ぐんまの源泉一軒宿』、p.26
  9. ^ ただし「日本三美人の湯」の根拠とされている大正時代に発行された『温泉案内』(鉄道省)によると、川中温泉、龍神温泉、湯の川温泉のほかに、同じ群馬の松の湯温泉を挙げており、日本三美人の湯は4つあったとしている
  10. ^ a b c 日本三美人湯が連携再開 龍神観光協会、東京銀座で協働PR”. 紀伊民報 (2016年2月1日). 2016年5月17日閲覧。
  11. ^ 群馬大学群馬大学草津分院長久保田一雄によると、三美人の湯の条件は弱アルカリ性でナトリウムイオン、カルシウムイオンを含むこととしている(1999年4月2日付信濃毎日新聞)
  12. ^ 吾妻渓谷温泉郷東吾妻町観光協会ホームページ(2018年8月18日閲覧)
  13. ^ かど半パンフレットPDFファイル、かど半公式ホームページ(2018年8月18日閲覧)
  14. ^ a b 『群馬の温泉』、p.183
  15. ^ a b 群馬の地名、p.179
  16. ^ かど半のこんな話かど半公式ホームページ(2018年8月18日閲覧)
  17. ^ 「郷村品々記録」(小林文書)
  18. ^ 「川中温泉進退願扥掟書上」(片貝文書)
  19. ^ a b 『新ぐんまの源泉一軒宿』、pp.28-29
  20. ^ 『ぐんまの源泉一軒宿』、p.27
  21. ^ 日本経済新聞2004年6月5月付

参考文献

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  • 木暮敬、萩原進『群馬の温泉』(上毛新聞社、1980年)
  • 『群馬県の地名』(平凡社、1987年)
  • 角川日本地名大辞典』(角川書店、1988年)
  • 地質調査書『日本温泉・鉱泉分布図及び一覧』(1975年)
  • 地質調査書『日本温泉・鉱泉分布図及び一覧』(1992年)
  • 『全国温泉大事典』(旅行読売出版社、1997年)
  • 『ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社、2009年)
  • 『新ぐんまの源泉一軒宿』(上毛新聞社、2014年)
  • 「ぐんまの温泉」(群馬県観光局観光物産課、2020年)