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島根原子力発電所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
島根原子力発電所
Shimane Nuclear Power Station
島根原子力館より望む 地図
種類 原子力発電所
電気事業者 中国電力
所在地 日本の旗 日本
690-0393島根県松江市鹿島町片句654番地1
北緯35度32分18秒 東経132度59分57秒 / 北緯35.53833度 東経132.99917度 / 35.53833; 132.99917座標: 北緯35度32分18秒 東経132度59分57秒 / 北緯35.53833度 東経132.99917度 / 35.53833; 132.99917
1号機
出力 46.0万 kW
燃料 二酸化ウラン
着工日 1970年2月
営業運転開始日 1974年(昭和49年)3月29日[1]
(2015年(平成27年)4月30日廃炉[2]
2号機
出力 82.0万 kW
燃料 二酸化ウラン
着工日 1984年(昭和59年)7月
営業運転開始日 1989年2月10日
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島根原子力発電所(しまねげんしりょくはつでんしょ)は、島根県松江市鹿島町(旧八束郡鹿島町)片句にある中国電力原子力発電所島根原発(しまねげんぱつ)とも呼称される。本記事では以下「島根原発」と呼称する。

かつては「日本で一番都道府県庁所在地に近い原発」と言われていたが、2005年(平成17年)3月31日、所在地の鹿島町が松江市と合併したことにより、日本で初の都道府県庁所在地に立地する原子力発電所となった。

概要

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日本の電力会社が設置する原子力発電所としては、関西電力美浜発電所東京電力福島第一原子力発電所に続く全国で3番目に開設された。中でも1号機は日立製作所が全面的に受け持ち建設された、国産の原子炉第1号とされる[1][3]

沸騰水型軽水炉を採用しており[4]、中国電力で唯一の原子力発電所である。

経緯

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  • 1974年(昭和49年)3月29日 - 1号機が営業運転開始[1]
  • 1989年(平成元年)2月10日 - 2号機が営業運転開始[1]
  • 2011年(平成23年)5月31日 - 3号機において、6月に予定していた燃料装荷、2012年(平成24年)3月に予定していた営業運転開始の延期を発表[5]。変更後の日程については未定。
  • 2015年(平成27年)4月30日 - 1号機が法的に正式に廃炉された[2][3][6][7][8][9]
  • 2017年(平成29年)7月28日 - 1号機の廃止措置作業に着手[10]
  • 2021年(令和3年)9月15日 - 島根原発2号機が新規制基準に基づく安全審査に正式合格[11]
  • 2022年(令和4年)6月2日 - 島根県の丸山達也知事が2号機の再稼働に合意[12]
  • 2024年(令和6年)12月7日 - 2号機が12年11か月ぶりに再稼働[13] [14][15]

所在地

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島根県松江市鹿島町片句654番地1に所在する。

発電設備

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番号 原子炉形式 主契約者 定格電気出力 定格熱出力 運転開始日 設備利用率
(2010年度)
現況
1号機 沸騰水型軽水炉(BWR)[1] 日立製作所[3] 46.0万kW 138万kW 1974年(昭和49年)3月29日[1] 0% 廃炉(2015年4月30日[3] [8]
2号機 沸騰水型軽水炉(BWR) 日立製作所 82.0万kW 244万kW 1989年2月10日 31.8% 稼働中[15][16](2024年12月7日再稼働)
3号機 改良型沸騰水型軽水炉(ABWR) 日立GE[17] 137.3万kW 393万kW 2012年3月予定[18]であったが未定[5] - 建設中[19]

主なトラブル

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  • 1977年(昭和52年)3月1日
1号機:制御棒駆動水が戻り、ノズルにひびが生ずる。
  • 1981年(昭和56年)6月16日
1号機:配管から蒸気漏洩。
  • 1981年(昭和56年)12月7日
1号機:制御棒駆動系挿入・引き抜き配管の表面に傷がみつかる。
  • 1992年(平成4年)2月20日
1号機:中性子束異常信号のため原子炉が自動停止する。
  • 1995年(平成7年)1月30日
2号機:緊急停止排出水容器・水位異常高信号のため原子炉が自動停止する。国際原子力事象評価尺度(INES)はレベル1[21]
  • 2004年(平成16年)3月17日
2号機:格納容器内の冷却機の凝縮水量と床ドレン量が増加し、原子炉を手動で停止させる。
  • 2006年(平成18年)10月13日
1号機:復水貯蔵タンクに腐食がみつかる
  • 2010年(平成22年)4月30日
中国電力は、経済産業省原子力安全・保安院と島根県、松江市に対し、島根原発1、2号機の総点検の調査結果についての報告書を提出した。報告書によれば、点検計画表の誤記載による機器の超過使用が506ヶ所、点検の誤記載と記載漏れも1159ヶ所あったとされる[22][23]
  • 2010年(平成22年)9月6日
経済産業省原子力安全・保安院は、1、2号機の点検漏れや不備が多数あった問題に対する再発防止策を盛り込んだ保安規程変更案を承認したと発表した。
  • 2010年(平成22年)10月21日
中国電力は2号機の点検不備の再発防止策などについて島根県と松江市に説明し、島根県と松江市は運転再開を認めた[24][25]
  • 2010年(平成22年)12月28日
中国電力は、島根原発2号機の定期検査を終了し、当初計画より5ヶ月遅れで定格出力での運転を再開した[26]。1号機は2011年(平成23年)4月7日現在、検査のため運転停止している[27]

プルサーマル計画

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  • 2005年(平成17年)9月12日
中国電力は島根原発2号機でプルサーマル計画を実施したいと、島根県と松江市に対して事前了解願いを出した[28]。その時点で、島根県はすぐに了解の結論を出そうとしたが、松江市は慎重な姿勢を取った[29]
  • 2005年(平成17年)11月〜
島根県は同年11月「ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料に関する懇談会」を設置した [30]。懇談会は翌2006年5月にかけて10回開かれた。懇談会により事前了解を可とする意見書がまとめられ、2006年5月に県知事に提出された[31]
  • 2006年(平成18年)2月〜
一方の松江市は、2006年2月1日から7月15日までの期間、公民館単位で住民説明を行った。その他、学習会やシンポジウムを開いた[32]。2006年になって活断層の存在が実証されると、市長自ら現地に出かけて説明を受けた[33]
  • 2006年(平成18年)10月23日
島根県,松江市が原子炉設置変更許可申請を了解。中国電力が国(経済産業大臣)に原子炉設置変更許可を申請[34]
  • 2008年(平成20年)10月28日
国(経済産業大臣)は、原子炉設置変更を許可[35]
  • 2009年(平成21年)6月21日
中国電力は、当初の2010年度までのプルサーマルの実施の計画を見直し、2015年度までの早期のプルサーマル実施を目指すこととした[36]

脚注

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  1. ^ a b c d e f 島根原子力発電所 設備概要”. 島根原子力発電所 施設紹介. 中国電力. 2011年8月22日閲覧。
  2. ^ a b 島根原子力発電所1号機の営業運転終了について”. 原子力発電. 中国電力 (2015年5月1日). 2015年11月5日閲覧。
  3. ^ a b c d 曽根田和久 (2015年5月1日). “島根原発:1号機が廃炉作業へ 41年の役割終える”. 毎日新聞. オリジナルの2015年11月5日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/20151105084724/http://mainichi.jp/area/hiroshima/news/20150501ddlk34040590000c.html 2015年5月16日閲覧。 
  4. ^ “島根原発2号機再稼働 知事同意”. 朝日新聞. (2022年6月2日). https://www.asahi.com/articles/ASQ616SJ9Q5YPTIB006.html 2022年6月2日閲覧。 
  5. ^ a b 島根原子力発電所3号機の建設工程の変更について』(プレスリリース)中国電力 株式会社、2011年5月31日http://www.energia.co.jp/atom_info/press/2011/4064.html2024年12月1日閲覧 
  6. ^ 島根原子力発電所1号機の今後の取り扱いについて』(プレスリリース)中国電力株式会社、2015年3月18日。オリジナルの2015年4月3日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20150403031238/http://www.energia.co.jp/atom/press14/p150318-1.html2015年11月5日閲覧 
  7. ^ 島根原子力発電所1号機の営業運転終了について”. ホームページによるお知らせ. 中国電力 (2015年4月30日). 2016年2月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年11月5日閲覧。
  8. ^ a b 中電、正式に廃炉 島根原発1号機(2015年11月5日時点のアーカイブ) - 朝日新聞 一色涼2015年5月1日
  9. ^ 島根原発1号機 廃止(2015年5月3日時点のアーカイブ) - 山陰放送 2015年4月30日
  10. ^ 島根原子力発電所1号機の廃止措置に係る作業の着手について』(プレスリリース)中国電力株式会社、2017年7月28日http://www.energia.co.jp/atom_info/press/2017/10623.html2017年7月30日閲覧 
  11. ^ 島根原発2号機、安全審査に正式合格 再稼働へ地元調整”. 日本経済新聞 (2021年9月15日). 2022年6月16日閲覧。
  12. ^ 島根原発2号機の再稼働同意、知事「現状においてはやむを得ない」…福島第一と同型”. 読売新聞オンライン (2022年6月2日). 2022年6月2日閲覧。
  13. ^ 島根原発2号機 再稼働 ことし12月に延期 安全対策工事が長期化”. NHK (2024年4月30日). 2024年8月25日閲覧。
  14. ^ “中国電力 島根原発2号機 12月7日に原子炉起動する方針決定”. NHK NEWS WEB. (2024年11月11日). https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241111/k10014635051000.html 2024年12月1日閲覧。 
  15. ^ a b 中国電力 島根原発2号機が再稼働 2012年1月以来”. NHK NEWS WEB (2024年12月7日). 2024年12月7日閲覧。
  16. ^ 島根原子力発電所2号機の原子炉起動について”. 中国電力. 2024年12月7日閲覧。
  17. ^ 建設中プラント 日立GEニュークリア・エナジー
  18. ^ 島根原子力発電所3号機の建設工程の変更について(2011年6月5日時点のアーカイブ) - 中国電力 2011年2月15日 報道資料
  19. ^ 3号機の建設状況”. 中国電力. 2017年7月30日閲覧。
  20. ^ 国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成(1976年度撮影)
  21. ^ 原子力市民年鑑 2013』 239ページ
  22. ^ 島根原発の点検漏れ506カ所に 中国電社長「心からおわび」(msn産経ニュース 2010年4月30日)(2010年10月24日時点のアーカイブ
  23. ^ 島根原発点検漏れ、新たに384件報告 中国電力(朝日新聞 2010年4月30日)(2010年5月2日時点のアーカイブ
  24. ^ 松江市、島根原発運転再開認める 点検不備の2号機(2011年9月24日時点のアーカイブ) - 共同通信 2010年10月18日
  25. ^ 島根原子力発電所2号機の運転再開について(2011年8月18日時点のアーカイブ) - 中国電力 2010年10月21日 報道資料
  26. ^ 島根原子力発電所2号機の定期検査終了について(2011年3月17日時点のインターネットアーカイブ) - 中国電力 2010年12月28日 報道資料
  27. ^ 本日の運転状況 中国電力
  28. ^ ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の使用に係る事前了解願いの提出について(2006年5月19日時点のインターネットアーカイブ) - 中国電力 2005年9月12日 報道資料
  29. ^ 中国電力株式会社への通知・質問事項(2012年9月19日時点のアーカイブ) - 松江市 2006年10月23日
  30. ^ プルトニウム混合燃料に関する懇談会(2014年8月14日時点のインターネットアーカイブ) - 島根県 原子力安全対策室
  31. ^ 第10回「プルトニウム混合燃料に関する懇談会」議事録要旨 (PDF) (2014年8月14日時点のインターネットアーカイブ) - 島根県 プルトニウム混合燃料に関する懇談会 2006年5月8日
  32. ^ 島根原子力発電所2号機プルサーマル計画に関する取り組み経過(2012年12月19日時点のアーカイブ) - 松江市
  33. ^ 松江市主催プルサーマルシンポジウム(2012年12月19日時点のアーカイブ
  34. ^ ウラン・プルトニウム混合酸化物燃料の使用に係る原子炉設置変更許可の申請について 中国電力 2006年10月23日 報道資料
  35. ^ 島根原子力発電所2号機におけるウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX)の使用に関する原子炉設置変更許可について 中国電力 2008年10月28日 報道資料
  36. ^ 島根原子力発電所2号機におけるプルサーマル計画の見直しについて 中国電力 2009年6月12日 報道資料

参考文献

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  • 原子力資料情報室編 編『原子力市民年鑑 2013』七つ森書館、2013年8月。ISBN 978-4-8228-1378-9 
  • 小林圭二、西尾漠『プルトニウム発電の恐怖 - プルサーマルの危険なウソ』創史社、2006年10月。ISBN 978-4-915970-29-0 

関連資料

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外部リンク

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