小川政亮
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小川 政亮(おがわ まさあき、1920年1月[1] - 2017年5月7日[2])は、日本の法学者、日本社会事業大学名誉教授。専攻は社会保障法。
略歴
[編集]東京出身。1939年に武蔵高等学校高等科を卒業[3]し、東京帝国大学法学部法律学科に入学[4]。在学中、東京市内外の軍事扶助受給者や少年労働者への訪問調査を行い、彼らの生活実態や意識に触れた。1941年(昭和16年)に大学を繰り上げ卒業した[5]。卒業前に徴兵検査を受け、第二種乙種合格となり、1942年(昭和17年)2月1日に近衛歩兵第2連隊に配属された後、幹部候補生として前橋陸軍予備士官学校に入った[6]。ふたたび近衛歩兵に戻り、1945年(昭和20年)4月に伊勢警備隊に転属して終戦を迎えた[6]。10月末に復員し、東京に戻った[6]。
同胞援護会に勤めた[1]のち、日本社会事業学校から日本社会事業専門学校の設立に関わり、1947年に同校の開校と同時に着任[7]。同年に結婚[6]。日本社会事業大学助教授、教授。1980年、金沢大学法学部教授となり[8]、1985年(昭和60年)に定年退官。日本福祉大学教授。朝日訴訟で原告側証人となり、生存権保障理論を構築。堀木訴訟中央対策協議会会長、社会保障の定着に寄与した。1994年(平成9年)に妻と死別[6]。
家族
[編集]- 母方高祖父・伊藤圭介 (理学博士)
- 父方祖父・小川政成(孜成、1844-1908) ‐ 医師。加賀藩の医員を代々務める家系に生まれ、高沢菊礀、井口犀川、千秋有磯らに経史や医学を学んだのちに加賀藩の藩校「明倫堂」の医学講師となり、藩の医学研究所「卯辰山養生所」の棟取を経て、維新後の1872年に東京に遊学、緒方惟準の塾監を務めるなどしたのち帰郷して医業を続け、二等医務取締、石川県地方衛生会委員、金沢区衛生会委員、金沢医会評議員を歴任。著書に『兼六公園史』など。[9][10]
- 母方大伯父・伊藤篤太郎 ‐ 岳父に柳本直太郎
- 父方伯父・小川政修(1875-) ‐ 政成の長男。九州帝国大学名誉教授、日本細菌学会第7代会長。金沢で生まれ、四高を経て1903年に東京帝国大学医科大学を卒業後、京都帝国大学福岡医科大学助教授に就任、細菌学研究のため約4年間ドイツ留学、帰国後九州帝大医学部教授。妻の圭子は伊藤圭介の孫で篤太郎の末妹。長男の小川政禧は栄養化学者・椙山女学園大学学長。[11][12][13]
- 父・小川恂蔵(1880-) ‐ 政成の三男。少年院院長。1906年に東京帝国大学文科大学哲学科を卒業し、京都帝大大学院を経て、佐賀県立小城中学校、京都高等工芸学校 (旧制)、公立実業専門学校、千葉高等園芸学校、国立感化院、国立武蔵野学院の教諭を歴任後、矯正院教官として浪速少年院長、多摩少年院長を務めた。[14][15][16]
- 母・清(1898-) ‐ 芝罘郵便局長・高垣徳治と良子(伊藤圭介の孫で篤太郎の妹、小川政修の妻の妹)の長女。横手高等女学校卒。[15][17]
- 弟・小川政邦(1931-) ‐ 創価大学文学部教授。東京外国語大学ロシヤ語学科卒業後、ソビエト・ニュース通信社、NHK文化研究所勤務ののち大学教員に転ず。[15][18][19]
著書
[編集]- 『家族・国籍・社会保障』勁草書房 1964
- 『権利としての社会保障』勁草書房 1964
- 『社会事業法制概説』誠信書房 1964 社会福祉事業シリーズ
- 『社会事業法制』ミネルヴァ書房 1973 社会福祉選書
- 『社会保障権と福祉行政 生存権の民主的・普遍的実現のために』ミネルヴァ書房 1974
- 『社会保障権 歩みと現代的意義』自治体研究社 1989 現代自治選書
- 『高齢者の人権 これまで・これから』自治体研究社 2000
- 『小川政亮著作集』全8巻 小川政亮著作集編集委員会編 大月書店、2007
- 第1巻 人権としての社会保障
- 第2巻 社会保障法の史的展開
- 第3巻 社会保障の権利と組織・財政
- 第4巻 家族・子どもと社会保障
- 第5巻 障害者・患者・高齢者の人として生きる権利
- 第6巻 戦後の貧困層と公的扶助の権利
- 第7巻 社会保障権と裁判
- 第8巻 社会保障と平和・国籍・被爆者
共編著
[編集]- 『社会保障と社会事業』吉田久一共編 医歯薬出版 1960
- 『社会保障事典』吉田秀夫,鷲谷善教共著 家の光協会 1971
- 『社会保障の思想と権利』沼田稲次郎,松尾均共編 労働旬報社 1973
- 『扶助と福祉』編 至誠堂 1973 現代社会保障叢書
- 『社会保障法を学ぶ 制度と運用の問題点』編 有斐閣選書 1974
- 『障害者と人権』編 時事通信社 1974 市民の学術双書
- 『福祉・障害者・大学 障害者の教育権と社会福祉研究・教育体制』小川太郎,浦辺史共編 ミネルヴァ書房 1975
- 『携帯市民六法』責任編集:渡辺洋三 ;編集委員の一人 実業之日本社 1976
- 『社会保障のすべて』吉田秀夫,鷲谷善教共著 家の光協会 1976
- 『扶助と福祉の法学』編著 一粒社 1978 社会福祉と諸科学
- 『社会保障裁判 戦後社会保障権運動の発展』編 ミネルヴァ書房 1980
- 『人権としての社会保障原則 社会保障憲章と現代』編著 ミネルヴァ書房 1985
- 『福祉行政と市町村障害者計画 住民・当事者参加の施策づくりと障害者運動の課題』編著 群青社 1997
- 『「社会福死」への道 社会福祉基礎構造改革の問題点』真田是,浅井春夫共著 かもがわブックレット 1999
- 『明日の福祉に求められるもの 福祉の原点を考える』北川隆吉,関家新助共編著 中央法規出版 2002
- 『わが最高の伴侶たりし 小川美代子追悼・遺稿集』編 文芸社 2005
脚注
[編集]- ^ a b 人事興信所 編『人事興信録 第15版 上』人事興信所、1948年9月1日、オ5頁。NDLJP:2997934/115。
- ^ 小川政亮先生ご逝去のお知らせ 日本社会事業大学同窓会 2017年5月17日
- ^ 武蔵高等学校 編『武蔵高等学校一覧 2599年』武蔵高等学校、1939年7月25日、95頁。NDLJP:1463770/52。
- ^ 『官報』第3685号、昭和14年4月20日、p.844.NDLJP:2960179/17
- ^ 『東京帝国大学一覧 昭和17年』東京帝国大学、1943年9月20日、660頁。NDLJP:1451114/336。
- ^ a b c d e 佐藤むつみ「ありのままに生きる」。
- ^ 日本社会事業大学四十年史刊行委員会 編『日本社会事業大学四十年史』日本社会事業大学、1986年、68頁。NCID BN01695118。
- ^ 金沢大学50年史編纂委員会 編「第2章 法学部」『金沢大学五十年史 部局篇』金沢大学創立50周年記念事業後援会、1999年、131頁 。
- ^ 小川政成『金沢墓誌』和田文次郎 加越能史談会、1919
- ^ 小川政成君『北国人物志 初編』北光社、1903
- ^ 『人事興信録 第13版 上』1941「小川政修」
- ^ 小川政修『帝国人事大鑑 昭和11年版』
- ^ 歴代学校長椙山女学園
- ^ 小川恂蔵日本官界名鑑 昭和13年版
- ^ a b c 『人事興信録 第13版 上』1941「小川恂蔵」
- ^ 小川恂蔵『帝国大学出身名鑑 再版』1934
- ^ 『伊藤篤太郎』岩津都希雄、八坂書房、2016、p26
- ^ 『KGBの世界都市ガイド』(晶文社 2001)著者紹介
- ^ 小川政邦J-Global、2022年08月29日