奈倉有里
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奈倉 有里(なぐら ゆり、1982年12月6日 - )は、日本のロシア文学者、翻訳家。専門はロシア詩、現代ロシア文学。早稲田大学講師。
来歴
[編集]東京生まれ。父は歴史学者の奈倉哲三[1]。弟は作家の逢坂冬馬。
2002年からペテルブルグの語学学校でロシア語を学び、モスクワ大学予備科を経て、ロシア国立ゴーリキー文学大学に入学。2008年に日本人として初めて同校を卒業し「文学従事者」の学士号を得る。帰国後の2009年、東京大学大学院人文社会系研究科に入学し、沼野充義の指導を受ける。2011年に修士課程を修了[2]。同年博士課程に進学し、2017年満期退学[2]。 2015年以降、関東学院大学、東京大学、聖心女子大学、早稲田大学で講師を務める[2]。
2020年、論文「アレクサンドル・ブローク 批評と詩学:焼身から世界の火災へ」にて東京大学より博士(文学)の学位を取得[3]。
2021年、上記の博士論文を『アレクサンドル・ブローク:詩学と生涯』として未知谷から刊行。優れた学術成果の刊行助成に値するとして、第2回東京大学而立賞を受賞[4]。2022年、同著で第44回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)を受賞[5]。同じく2022年、『夕暮れに夜明けの歌を:文学を探しにロシアに行く』で第32回紫式部文学賞受賞[6]。
著書
[編集]単著
[編集]- 『夕暮れに夜明けの歌を:文学を探しにロシアに行く』イースト・プレス、2021年10月。ISBN 978-4-7816-2012-1
- 『アレクサンドル・ブローク:詩学と生涯』未知谷、2021年11月。ISBN 978-4-89642-652-6
- 『ことばの白地図を歩く:翻訳と魔法のあいだ』創元社〈あいだで考える〉、2023年6月。ISBN 978-4-422-93099-2
- 『ロシア文学の教室』文藝春秋〈文春新書〉、2024年5月。ISBN 978-4-16-661457-8
- 『文化の脱走兵』講談社、2024年7月。ISBN 978-4-06-535966-2
共著
[編集]- 『自叙の迷宮:近代ロシア文化における自伝的言説』(中村唯史・大平陽一編、三浦清美・武田昭文・梅津紀雄共著)水声社、2018年2月。ISBN 978-4-8010-0321-7
- 『文学キョーダイ!!』(逢坂冬馬共著)文藝春秋、2023年9月。ISBN 978-4-16-391753-5
- 『ロシア・東欧の抵抗精神:抑圧・弾圧の中での言葉と文化』(石川達夫編、貝澤哉・西成彦・前田和泉共著)成文社、2023年9月。ISBN 978-4-86520-065-2
翻訳
[編集]- (ミハイル・シーシキン)『手紙』新潮社〈新潮クレスト・ブックス〉、2012年10月。ISBN 978-4-10-590097-7
- (アンドレイ・シニャフスキー)『ソヴィエト文明の基礎』沼野充義・平松潤奈ほか共訳、みすず書房。2013年12月。ISBN 978-4-622-07732-9
- (ボリス・アクーニン)『トルコ捨駒スパイ事件:ファンドーリンの捜査ファイル』岩波書店、2015年6月。ISBN 978-4-00-061049-0
- (リュドミラ・ウリツカヤ)『陽気なお葬式』新潮社〈新潮クレスト・ブックス〉、2016年2月。ISBN 978-4-10-590124-0
- 『ドストエフスキー:ポケットマスターピース』沼野充義編、集英社文庫ヘリテージシリーズ、2016年7月。ISBN 978-4-08-761043-7
- (ウラジーミル・ナボコフ)『マーシェンカ / キング、クイーン、ジャック』新潮社〈ナボコフ・コレクション 1〉、2017年10月。 ISBN 978-4-10-505606-3
- 「マーシェンカ」奈倉有里訳、「キング、クイーン、ジャック」諫早勇一訳を所収[9]。
- (サーシャ・フィリペンコ)『理不尽ゲーム』集英社、2021年3月。ISBN 978-4-08-773511-6
- (サーシャ・フィリペンコ)『赤い十字』集英社、2021年11月。ISBN 978-4-08-773510-9
- (スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ)『亜鉛の少年たち:アフガン帰還兵の証言〈増補版〉』岩波書店、2022年6月[注釈 1]。ISBN 978-4-00-061303-3
- (浅田次郎・角野栄子・金原瑞人ほか編)『小学館世界J文学館』小学館、2022年11月[10]。ISBN 978-4-09-289307-8
監修
[編集]- (オリガ・グレベンニク)『戦争日記:鉛筆1本で描いたウクライナのある家族の日々』奈倉有里:ロシア語監修、渡辺麻土香・チョンソウン共訳、河出書房新社、2022年9月。ISBN 978-4-309-20863-3
出演
[編集]- エアレボリューション『ロシア論』(ニコニコ生放送、2023年10月27日)
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 奈倉有里による新訳。日本語初版は、三浦みどり訳『アフガン帰還兵の証言:封印された真実』日本経済新聞社、1995年。ISBN 4-532-16175-4
出典
[編集]- ^ 逢坂冬馬・奈倉有里「〈対談〉戦争文学で反戦を伝えるには」『図書』2022年6月号、岩波書店、10ページ。
- ^ a b c "マイポータル."researchmap(2024年4月14日更新). 2024年7月31日閲覧。
- ^ 奈倉有里「アレクサンドル・ブローク批評と詩学 : 焼身から世界の火災へ」、東京大学、2020年1月16日、doi:10.15083/0002004542、NAID 500001511680。
- ^ "学術成果刊行助成."東京大学公式サイト「研究活動」. 2024年7月31日閲覧。
- ^ "第44回サントリー学芸賞受賞者略歴."サントリー公式サイト:ニュースリリース(2022年11月15日付). 2024年7月31日閲覧。
- ^ "第32回紫式部文学賞."宇治市公式サイト:文化事業(2023年10月5日更新). 2024年7月31日閲覧。
- ^ "目次."国立国会図書館サーチ. 2024年8月7日閲覧。
- ^ "内容細目."国立国会図書館サーチ. 2024年7月31日閲覧。
- ^ "全集・著作集:ナボコフ・コレクション(全5巻)."新潮社公式サイト. 2024年8月7日閲覧。
- ^ "本をさがす:小学館世界J文学館."小学館公式サイト. 2024年7月31日閲覧。
外部リンク
[編集]- 奈倉有里 (@yurnaque) - X(旧Twitter)
- 奈倉有里 - researchmap
- 奈倉有里 - J-GLOBAL