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在留資格

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
在留許可制度から転送)

在留資格(ざいりゅうしかく)とは、外国人が入国・在留して行うことのできる活動等を類型化したもの。

日本における在留資格

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日本では出入国管理及び難民認定法(入管法)とその下位命令(施行規則)により規定されている。現在は計27種類の在留資格が定められ、それぞれに該当要件・付与される在留期間等が公表されているが、実際の許否判断については出入国在留管理庁(旧入国管理局)・地方出入国在留管理局(旧地方入国管理局)の最上級行政庁である法務大臣の裁量によるものとされているため、その詳細(通達等)は公開されていない。

日本滞在中に、在留状況や周囲の事情の変化などにより在留資格の変更(永住申請含む)や取得を、あるいはさらなる在留継続のために在留期間の更新を、それぞれ当該外国人本人が地方出入国在留管理局に出頭して申請しなくてはならないが、申請人が16歳未満の場合、病気等やむを得ない事由がある場合には法定代理人等による代理申請も可能となっている。また、地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士又は行政書士(届出を行った行政書士を申請取次行政書士と呼ぶ)に依頼する場合等にも、本人の出頭が免除される。

在留資格

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次のとおり、許容される活動内容、あるいは地位・身分等に基づき、出入国管理及び難民認定法の別表において細かく分類されている。

別表第一の一の表
在留資格 本邦において行うことができる活動
外交 日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員、条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動
公用 日本国政府の承認した外国政府若しくは国際機関の公務に従事する者又はその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動(この表の外交の項の下欄に掲げる活動を除く。)
教授 本邦の大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において研究、研究の指導又は教育をする活動
芸術 収入を伴う音楽、美術、文学その他の芸術上の活動(二の表の興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)
宗教 外国の宗教団体により本邦に派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上の活動
報道 外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動
別表第一の二の表
在留資格 本邦において行うことができる活動
高度専門職 一 高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う次のイからハまでのいずれかに該当する活動であつて、我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるもの

イ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営し若しくは当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導若しくは教育をする活動
ロ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学若しくは人文科学の分野に属する知識若しくは技術を要する業務に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動
ハ 法務大臣が指定する本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動

二 前号に掲げる活動を行つた者であつて、その在留が我が国の利益に資するものとして法務省令で定める基準に適合するものが行う次に掲げる活動
イ 本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導又は教育をする活動
ロ 本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動
ハ 本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動
ニ イからハまでのいずれかの活動と併せて行う一の表の教授の項から報道の項までの下欄に掲げる活動又はこの表の法律・会計業務の項、医療の項、教育の項、技術・人文知識・国際業務の項、介護の項、興行の項若しくは技能の項の下欄に掲げる活動(イからハまでのいずれかに該当する活動を除く。)

経営・管理 本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動を除く。)
法律・会計業務 外国法事務弁護士、外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動
医療 医師、歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動
研究 本邦の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動(一の表の教授の項の下欄に掲げる活動を除く。)
教育 本邦の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動
技術・人文知識・国際業務 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで及び企業内転勤の項から興行の項までの下欄に掲げる活動を除く。)
企業内転勤 本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動
介護 本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動
興行 演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(この表の経営・管理の項の下欄に掲げる活動を除く。)
技能 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動
特定技能 1号

法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約(入管法 第2条の5第1項から第4項までの規定に適合するものに限る。次号に おいて同じ。)に基づいて行う特定産業分野(人材を確保することが困難 な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上 の分野として法務省令で定めるものをいう。同号において同じ。)であっ て法務大臣が指定するものに属する法務省令で定める相当程度の知識 又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動。

2号

法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づ いて行う特定産業分野であって法務大臣が指定するものに属する法務 省令で定める熟練した技能を要する業務に従事する活動。

技能実習 一 次のイ又はロのいずれかに該当する活動

イ 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号。以下「技能実習法」という。)第八条第一項の認定(技能実習法第十一条第一項の規定による変更の認定があつたときは、その変更後のもの。以下同じ。)を受けた技能実習法第八条第一項に規定する技能実習計画(技能実習法第二条第二項第一号に規定する第一号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて、講習を受け、及び技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)に係る業務に従事する活動
ロ 技能実習法第八条第一項の認定を受けた同項に規定する技能実習計画(技能実習法第二条第四項第一号に規定する第一号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて、講習を受け、及び技能等に係る業務に従事する活動

二 次のイ又はロのいずれかに該当する活動
イ 技能実習法第八条第一項の認定を受けた同項に規定する技能実習計画(技能実習法第二条第二項第二号に規定する第二号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動
ロ 技能実習法第八条第一項の認定を受けた同項に規定する技能実習計画(技能実習法第二条第四項第二号に規定する第二号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動

三 次のイ又はロのいずれかに該当する活動
イ 技能実習法第八条第一項の認定を受けた同項に規定する技能実習計画(技能実習法第二条第二項第三号に規定する第三号企業単独型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動
ロ 技能実習法第八条第一項の認定を受けた同項に規定する技能実習計画(技能実習法第二条第四項第三号に規定する第三号団体監理型技能実習に係るものに限る。)に基づいて技能等を要する業務に従事する活動

別表第一の三の表
在留資格 本邦において行うことができる活動
文化活動 収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(四の表の留学の項から研修の項までの下欄に掲げる活動を除く。)
短期滞在 本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動
別表第一の四の表
在留資格 本邦において行うことができる活動
留学 本邦の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動
研修 本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(二の表の技能実習の項の下欄第一号及びこの表の留学の項の下欄に掲げる活動を除く。)
家族滞在 一の表、二の表又は三の表の上欄の在留資格(外交、公用、技能実習及び短期滞在を除く。)をもつて在留する者又はこの表の留学の在留資格をもつて在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動
別表第一の五の表
在留資格 本邦において行うことができる活動
特定活動 法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動
別表第二
在留資格 本邦において有する身分又は地位
永住者 法務大臣が永住を認める者
日本人の配偶者等 日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者
永住者の配偶者等 永住者等の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者
定住者 法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者

在留の資格

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日本に在住する外国人には、上述の在留資格者以外に、以下の者などがいる。これらの、狭義の在留資格(入管法上の在留資格)を有さない者を含めて呼称する場合は、広義の在留資格であることを表すため「在留資格」でなく「在留資格」という表現を用いる。例えば、外国人登録法4条1項13号、及びこれに基づく外国人登録証明書上の項目名で用いられる。

欧米における在留資格

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ドイツ

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ドイツでは2005年1月1日の外国人滞在ならびに連邦領域での統合法(新外国人法)が制定された[1]。旧外国人法に規定されていた帰化に関する規定は国籍法に移された[1]

また、外国人に関する所管官庁として連邦難民認定庁を連邦移民・難民庁(das Bundesamt für Migration und Flüchtlinge)に改組した[1]

新外国人法では外国人の在留について期限付きの滞在許可と期間を限定しない定住許可に統合した[1]。ドイツでは2000年から2004年末まで専門技術者などを対象にグリーンカード制を導入され、その終了後も連邦雇用庁の同意(Zustimmung)による外国人雇用の制度がある[1]

イギリス

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イギリスではImmigration Act 1971等の法律により特定の国籍者については外国人登録制度(Registration with Police)が設けられている[1]。外国人旅券所有者のうち登録対象国の国籍を有する16歳以上の者または無国籍者で、6か月以上の滞在を予定している者は、入国後7日以内にこの登録をしなければならない[1]。登録すると外国人登録証明書が発給される[1]

外国人登録の登録項目は、氏名、性別、生年月日、国籍、旅券情報、職業、居住地、滞在許可機関、滞在許可制限、雇用先名・住所等である[1]。居住地を変更す る場合には7日以内に最寄りの警察署で変更登録する必要がある[1]。その他氏名や職業等の登録事項に変更があった場合には8日以内に変更登録を行う義務がある[1]

フランス

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フランスには住民登録制度がなく3か月以上の滞在者に対して滞在許可書を交付することで滞在管理を行っている[1]

オランダ

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オランダでは地方自治体の住民登録を通して外国人の滞在管理を行っている[1]。法令違反者に対しては外国人警察が対応する[1]

アメリカ

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アメリカでは、農業分野などの季節労働者、宗教的行事への従事者、芸術家、スポーツ選手、エンターテイナー等に対して短期在留資格の制度がある[1]

カナダ

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カナダでは、1967年に移民の受け入れに関して年齢、学歴、語学能力、経済力を点数化して審査を行うポイント制を導入した[1]

カナダの在留資格は次のようになっている[1]

  • 永住型(永住権が必要、市民権を取得)
    • 経済移民
      • 技能移民 - ポイント制の点数が評価基準
      • ビジネス移民 - ビジネス経験+カナダへの投資等+ポイント制の点数が評価基準
    • 州政府選抜移民 - 各州が基準を設定
    • 家族移民 - 家族が移民資格者である場合
    • 難民 - 条約難民にあたる場合
  • 一時滞在型(市民権なし)
    • 就労 - 雇用提供を受けた者で就労査証が必要
    • 就学 - 就学先が決定している者で就学査証が必要
    • 観光 - 観光査証が必要

脚注

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 欧州および北米各国における外国人の在留管理の実情に関する調査報告書”. 外務省. 2018年1月1日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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