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四徳処

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

四徳処(しとくしょ、: Cattāri adhiṭṭhānāni, : Catvāri-adhisthānāni)は仏教で説かれる四つの項目[1]四処四住処四功徳処(『十住毘婆沙論』)とも呼ばれる。四徳処という訳語は『成実論』に見られる。

長部『等誦経』、中部『界分別経』や『集異門足論』、『成実論』等で説かれ、龍樹作とされる『十住毘婆沙論』、『大智度論』、『菩提資糧論[2]等にも四住処への注釈が見られる。

  • 慧住処(: paññā-adhiṭṭhāna, 慧処) - 漏尽通の成就。[3]
  • 諦住処(: sacca-adhiṭṭhāna, 諦処) - 不動解脱の成就。[4]
  • 捨住処(: cāga-adhiṭṭhāna, 捨処) - 一切の依拠すべき対象を捨て去ること。[5]
  • 寂止住処(: upasama-adhiṭṭhāna, 滅処) - 貪・瞋・痴を残らず断ずること。[6]

大乗論師による言及

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『菩提資糧論』によれば、一切の悟りへの資糧は四住処に包摂される。[7] さらに自在比丘の注釈によると、各項目に以下のように六波羅蜜が相応する。

  • 諦処(: satya-adhisthāna) - 真実(satya)は不虚誑を特徴とする故に、戒であり、戒波羅蜜に相応する。[8]
  • 捨処(: tyāga-adhisthāna) - 捨(tyāga)とは捨施である故に、布施波羅蜜に相応する。[9]
  • 滅処(: upaśamā-adhisthāna) - 寂止(upaśamā)とは心が濁らないことであり、好ましいことや好ましくないことにかき乱されないことであるため、忍辱波羅蜜と禅定波羅蜜に相応する。[10]
  • 慧処(: prajñā-adhisthāna) - 智慧(prajñā)は智慧波羅蜜に相応し、また努力なしには四住処は成就しないので、精進波羅蜜も慧処である。[11]

脚注

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  1. ^ 四德處 - 佛光大辭典 (慈怡法師主編)
  2. ^ 菩提資糧論 - The BDS Ontario 安省佛教法相學會、p.10
  3. ^ 「慧処云何?答、如薄伽梵於《弁六界記別経》中為具寿池堅説。苾芻当知、最勝慧処、謂漏尽智。是故苾芻応成就漏尽智。若成就漏尽智、説名成就最勝慧処。是名慧処。」(『集異門足論』、巻第七、四法品第五之二)
  4. ^ 「諦処云何?答、如薄伽梵於《弁六界記別経》中為具寿池堅説。苾芻当知、最勝諦処、謂不動解脱。諦者、謂如実法。誑者、謂虚妄法。是故苾芻応成就不動解脱。若成就不動解脱、説名成就最勝諦処。是名諦処。」(『集異門足論』、巻第七、四法品第五之二)
  5. ^ 「捨処云何?答、如薄伽梵於《弁六界記別経》中為具寿池堅説。苾芻当知、先所執受無智無明越正路法、今時応捨応変吐応除棄。苾芻当知、最勝捨処、謂棄捨一切依、愛尽離染永滅涅槃。是故苾芻応成就此涅槃。若成就此涅槃、説名成就最勝捨処。是名捨処。」(『集異門足論』、巻第七、四法品第五之二)
  6. ^ 「寂静処云何?答、如薄伽梵於《弁六界記別経》中為具寿池堅説。苾芻当知、貪染悩心令不解脱。瞋染悩心令不解脱。痴染悩心令不解脱。苾芻当知、此貪瞋痴無余永断変吐除棄、愛尽離染永滅静没、名真寂静。是故苾芻応成就真寂静。若成就真寂静、説名成就最勝寂静処。是名寂静処。」(『集異門足論』、巻第七、四法品第五之二)
  7. ^ 「復有余師意 諸覚資糧者 実捨及寂智 四処之所摂」(『菩提資糧論』、卷第三)
  8. ^ 「実者不虚誑相。実即是戒。是故実為尸羅波羅蜜。」(『菩提資糧論』、卷第三)
  9. ^ 「捨即布施。是故捨処為陀那波羅蜜。」(『菩提資糧論』、卷第三)
  10. ^ 「寂者即心不濁。若心不濁、愛不愛事所不能動。是故寂処為羼提波羅蜜及禅那波羅蜜。」(『菩提資糧論』、卷第三)
  11. ^ 「智処還為般若波羅蜜毘梨耶波羅蜜。遍入諸処以無精進、則於諸処無所成就。是故毘梨耶波羅蜜成就諸事。」(『菩提資糧論』、卷第三)

関連項目

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