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十信

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

十信(じゅうしん)は、菩薩が修行して得られる菩薩五十二位の中、下位から数えて第1番目から10番目の位をいう。菩薩が仏の教法を信じて疑心がない位をいう。

菩薩五十二位の最初の位で、十住の下位にあたる。仏の教法に入らんとする者はまずの心を持つことから十信という。

願心(がんしん)
十方諸仏の浄土に往生せんと願う心。戒に住して自在なるがゆえに、よく十方に遊戯し、その所作がことごとく願に随うこと。
戒心(かいしん)
戒を遵守する心。三学の一である戒学。心、光密に廻すれば無為に安住して失うことがないこと。
廻向心(えこうしん)
仏果を得んとして修行に全力を尽す心。覚明保持すれば、よく妙なる力を以って、仏光廻照を観じ、また仏に向かい安住すること。
護法心(ごほうしん)
仏法を守らんとする心。心進安寧なれば一切仏法を保持して失わず、十方如来と気分(けぶん)交渉すること。
不退心(ふたいしん)
三学の定学と慧学を以って退堕しない心。定光発明すれば明性深く入り、ただ進むのみを知り、退かないこと。
定心(じょうしん)
静かで動揺しない心。三学の一である定学。智明を執持して周囲を遍く寂湛し、つねに心を一境に凝らすこと。
慧心(えしん)
智慧を研く心。三学の一である慧学。心精が現前すれば純真の智慧が自然に発起すること。
精進心(しょうじんしん)
煩悩を雑えず、精明に仏界に進趣する心。妙円純真なる精明を以って真浄に進むこと。
念心(ねんしん)
教法を憶念する心。真信明了にして一切に円通し、あまたの生死を経過するとも、現前の習気を遺失忘失しないこと。
信心(しんしん)
教法を信じる心。一切の妄迷を滅尽し、中道を了知し純真なること。