北海道鉄道 (初代)
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(函樽鉄道から転送)
種類 | 株式会社 |
---|---|
本社所在地 |
日本 東京府東京市京橋区木挽町五丁目[1] |
設立 | 1900年(明治33年)5月[1] |
業種 | 鉄軌道業 |
代表者 | 専務取締役社長 北垣国道[1] |
資本金 | 6,340,000円(払込額)[1] |
関係する人物 | 島安次郎 |
特記事項:上記データは1907年(明治40年)現在[1]。 |
なお、現在の千歳線などを建設した北海道鉄道(1943年〈昭和18年〉国有化)ととは、別の会社である。
歴史
[編集]- 1896年(明治29年):函樽鉄道(かんそんてつどう [2])として会社設立[3]。1900年(明治33年)に北海道鉄道に改称。
- 1902年(明治35年)12月10日:函館駅(初代) - 本郷駅間が開業し[4]、同区間に函館駅(初代、一般駅)[5][6][7]・桔梗駅(一般駅)[8]・七飯駅(一般駅)[8]・本郷駅(一般駅)[8][7]を開設。然別駅 - 蘭島駅間が開業し[4]、同区間に然別駅(一般駅)[8]・仁木駅(一般駅)[8]・余市駅(一般駅)[8]・蘭島駅(一般駅)[8]を開設。
- 1903年(明治36年)
- 6月28日:本郷駅 - 森駅間が延伸開業し[4][新聞 1]、同区間に大沼駅(初代、一般駅)[8][7]・宿野辺駅(一般駅)[8]・森駅(一般駅)[8]を開設。山道駅 - 然別駅間が延伸開業し[4][新聞 1]、同区間に山道駅[5]を開設。蘭島駅 - 小樽中央駅間が延伸開業し[4][新聞 1]、同区間に塩谷駅(一般駅)[8]・小樽中央駅(一般駅)[8]を開設。この時点における運行本数は、山道駅 - 小樽中央駅間が1日3往復、函館駅(初代) - 森駅間が1日4往復であった[9]。
- 11月3日:森駅 - 熱郛駅間が延伸開業し[4]、同区間に石倉駅(一般駅)[8]・野田追駅(一般駅)[8]・山越内駅(一般駅)[8][6]・八雲駅(一般駅)[8]・黒岩駅(一般駅)[8]・国縫駅(一般駅)[10][8]・長万部駅(一般駅)[8]・二股駅(一般駅)[11][8][7]・黒松内駅(一般駅)[8]・熱郛駅(一般駅)[11][8][7]を開設。
- 1904年(明治37年)
- 7月1日:函館駅(2代) - 亀田駅間が延伸開業し[4]、同区間に函館駅(2代、一般駅)を新設[8][7]。函館駅(初代)を亀田駅に改称[6][7]。
- 7月18日:稲穂トンネルの供用開始で小沢駅 - 山道駅間が延伸開業し[4]、同区間に小沢駅(一般駅)を新設[8]。山道駅が廃止[5]。
- 10月15日:倶知安トンネルの供用開始で歌棄駅 - 小沢駅間が延伸開業し、函館駅(2代) - 高島駅間が全通[4][12][新聞 2]。同区間に磯谷駅(一般駅)[8]・蘭越駅(一般駅)[8]・昆布駅(一般駅)[8]・真狩駅(一般駅)[8]・比羅夫駅(一般駅)[8]・倶知安駅(一般駅)[8]を、既設区間に赤井川駅(一般駅)[8][新聞 2]・山崎駅(一般駅)[8][新聞 2]・紋別駅(一般駅)[10][8][新聞 2]・蕨岱駅(一般駅)[11][8][7][新聞 2]を開設。宿野辺駅を駒ヶ岳駅(当時の表記は「駒ヶ嶽」)[13][新聞 2]、山越内駅を山越駅[13][6][新聞 2]、熱郛駅を歌棄駅[13][7][新聞 2]、蘭島駅を忍路駅[13][新聞 2]、小樽中央駅を高島駅[注釈 1][4][13][新聞 2]に改称。
- 1905年(明治38年)
- 1906年(明治39年)9月8日:北海道炭礦鉄道との直通列車が函館駅(2代) - 札幌駅間で運行開始[4][16]。
- 1907年(明治40年)
被買収路線
[編集]下記の開業線158 M77 Cが買収された[17]。買収直前(1907年6月30日)における区間及び駅は次のとおり。
- 函館-小樽 158 M77 C
輸送・収支実績
[編集]年度 | 乗客(人) | 貨物量(トン) | 営業収入(円) | 営業費(円) | 益金(円) |
---|---|---|---|---|---|
1902 | 20,089 | 406 | 10,572 | 4,562 | 6,010 |
1903 | 364,100 | 43,047 | 161,956 | 289,042 | ▲ 127,086 |
1904 | 502,921 | 83,246 | 403,082 | 450,006 | ▲ 46,924 |
1905 | 660,064 | 154,750 | 701,436 | 534,319 | 167,117 |
1906 | 836,491 | 255,158 | 900,974 | 603,424 | 297,550 |
1907 | 240,680 | 84,190 | 299,443 | 267,418 | 32,025 |
- 「国有及私設鉄道運輸延哩程累年表」「国有及私設鉄道営業収支累年表」『鉄道局年報』明治40年度(国立国会図書館デジタルコレクション)より
車両
[編集]国有化時には機関車27、客車44、貨車300が引き継がれた[17]。
蒸気機関車
[編集]- A1形 - 1
- 0-6-0 (C) 形タンク機
- 米ボールドウィン社製
- 鉄道院1180形 NO.1181
- 旧高野鉄道7
- A2形 - 2
- 0-6-0 (C) 形タンク機
- 英ナスミス・ウィルソン社製
- 鉄道院1170形 NO.1170
- B1形 - 3, 4
- 2-4-2 (1B1) 形タンク機
- 汽車製造製
- 鉄道院230形 NO.269, 270
- B2形 - 5
- 2-4-2 (1B1) 形タンク機
- 英ナスミス・ウィルソン社製
- 鉄道院600形 NO.647
- A3形 - 6-8
- 0-6-0 (C) 形タンク機
- 英ダブス社製
- 鉄道院1850形 NO.1882-1884
- C1形 - 9, 10
- 2-6-0 (1C) 形テンダ機
- 英ベイヤー・ピーコック社製
- 鉄道院7700形 NO.7712, 7713
- D1形 - 11
- 0-4-4-0 (B+B) 形タンク機(マレー式)
- 独マッファイ社製
- 鉄道院4510形 NO.4510
- C2形 - 12-17
- 2-6-0 (1C) 形テンダ機
- 英ノース・ブリティッシュ・ロコモティブ社製
- 鉄道院7800形 NO.7802-7807
- E1形 - 18-22
- 0-6-2 (C1) 形タンク機
- 英ノース・ブリティッシュ・ロコモティブ社製
- 鉄道院2120形 NO.2378-2382
- E2形 - 23-27
- 0-6-2 (C1) 形タンク機
- 英ノース・ブリティッシュ・ロコモティブ社製
- 鉄道院2120形 NO.2383-2387 - 旧鉄道作業局 B6形 NO.1016-1019& 1046
客車
[編集]木製2軸車
- イロ3.4 2両 天野工場製 定員一等8人二等18人 国有化後フイロ370.371(形式370) 一二等車(手用制動機附)形式図
- ロハ1-6 6両 東京車輌会社工場製(1-5)東京天野工場製(6) 定員(二等10人三等20人) 国有化後フロハ930-935(形式930) ニ三等車(手用制動機附)形式図
- ハ7-14 8両 東京車輌会社工場製、東京天野工場製 定員36人 国有化後フハ3434-3441(形式3434) ニ三等車(手用制動機附) 形式図
- ヨユ1-6 6両 製造所不明 国有化後フユ3775-3780(形式3775) 郵便車(手用制動機附) 形式図図面無し
- ヨユ7-11 5両 新橋工場製 国有化後フユ3781-3785(形式3781)郵便車(手用制動機附) 形式図図面無し
- ユニ1.3 2両 天野工場製 国有化後ユニ3980.3981(形式3980) 郵便手荷物緩急車 形式図
- ユニ4 1両 北海道鉄道会社函館工場製 国有化後ユニ3982(形式3982) 郵便手荷物緩急車 形式図
木製ボギー車
- イロ1.2 2両 東京天野工場製、汽車製造会社製 定員一等18人二等32人 国有化後フホイロ5450.5451(形式5450) 一二等車(手用制動機附) 形式図
- イロ5 1両 東京車輌製造会社工場製 定員一等18人二等28人 国有化後フホイロ5460(形式5460) 一二等車(手用制動機附) 形式図
- イロ6.7 2両 東京天野工場製 定員一等19人二等30人 国有化後フホイロ5470.5471(形式5470) 一二等車(手用制動機附) 形式図
- ハ1-6 6両 東京天野工場製(1-3)汽車会社製造製(4-6) 定員80人 国有化後フホハ7980-7985(形式7980) 三等車(手用制動機附) 形式図
- ハ15-18 4両 東京車輌製造会社工場製(15.16)東京天野工場製(17.18) 定員80人 国有化後フホハ7990-7993(形式7990) 三等車 形式図
- ユニ5.6 2両 東京車輌製造会社工場製 国有化後ホユニ87300.8731(形式8730) 郵便手荷物緩急車 形式図
- ユニ7.8 2両 東京天野工場製、汽車会社製造製 国有化後ホユニ8740-8741(形式8740) 郵便手荷物緩急車 形式図
リンク先は国立国会図書館デジタルコレクションの『客車略図 上 下巻』
車両数の推移
[編集]年度 | 機関車 | 客車 | 貨車 |
---|---|---|---|
1902 | 4 | 10 | 50 |
1903 | 10 | 30 | 150 |
1904 | 17 | 39 | 210 |
1905 | 22 | 44 | 250 |
1906 | 27 | 44 | 265 |
- 「私設鉄道現況累年表」『鉄道局年報』明治40年度(国立国会図書館デジタルコレクション)より
備考
[編集]北海道新幹線の札幌延伸後は、当鉄道が敷設した路線は小樽駅 - 南小樽駅間を除き、全て並行在来線として扱われる。そのうち長万部駅 - 余市駅間は、沿線自治体が廃止・バス転換を容認しており、事実上廃止が決定している[18]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]書籍
[編集]- ^ a b c d e 『日本全国諸会社役員録. 明治40年』(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ “函樽鉄道(株)”. 渋沢栄一記念財団 (2022年12月15日). 2023年2月19日閲覧。
- ^ 「函館市史」通説編2 4編5章5節3-1
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 『写真で見る北海道の鉄道』 上巻 国鉄・JR線 34-35頁
- ^ a b c 『写真で見る北海道の鉄道』 上巻 国鉄・JR線 315頁
- ^ a b c d 『道南鉄道100年史 遥』
- ^ a b c d e f g h i j 『日本鉄道旅行地図帳―全線・全駅・全廃線―』1号・北海道 26頁
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai 『写真で見る北海道の鉄道』 上巻 国鉄・JR線 311頁
- ^ 「北海道鉄道第二期線の開通」『殖民公報』No.22、1903年7月
- ^ a b c 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』Ⅱ 809頁
- ^ a b c 『北海道630駅』 183頁
- ^ a b c d 『写真で見る北海道の鉄道』 下巻 SL・青函連絡船他 202頁
- ^ a b c d e f g h i j 『写真で見る北海道の鉄道』 上巻 国鉄・JR線 319頁
- ^ 『駅史 小樽駅 77年のあゆみ』 28頁
- ^ 『鉄道ジャーナル』通巻240号 15-22頁
- ^ 『写真で見る北海道の鉄道』 上巻 国鉄・JR線 36-37頁
- ^ a b 開業線158 M77 C、機関車27、客車44、貨車300 『鉄道国有始末一斑』 673頁(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ “並行在来線 余市 - 長万部バス転換を確認 小樽 - 余市が焦点に”. NHK札幌放送局 (2022年2月3日). 2022年2月4日閲覧。
新聞記事
[編集]- ^ a b c “運輸開始 去月二十三日”. 官報(国立国会図書館デジタルコレクション) (印刷局). (1903年7月3日). オリジナルの2015年12月13日時点におけるアーカイブ。 2015年12月13日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j “運輸並停車場開始哩程更正等”. 官報(国立国会図書館デジタルコレクション) (印刷局). (1904年10月18日). オリジナルの2015年12月13日時点におけるアーカイブ。 2015年12月13日閲覧。
- ^ a b c d e “停車場改称”. 官報(国立国会図書館デジタルコレクション) (印刷局). (1905年12月6日). オリジナルの2015年12月13日時点におけるアーカイブ。 2015年12月13日閲覧。
参考文献
[編集]書籍
[編集]- 宮脇俊三 編『北海道630駅』1号、原田勝正(編)、小学館〈JR・私鉄全線各駅停車〉、1993年6月、183頁。ISBN 978-4-09-395401-3。ISBN 4-09-395401-1。
- 石野哲(編集長)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』 Ⅰ、JTBパブリッシング、1998年9月19日。ISBN 978-4-533-02980-6。ISBN 4-533-02980-9。
- 石野哲(編集長)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』 Ⅱ、JTBパブリッシング、1998年9月19日、808-809,825頁。ISBN 978-4-533-02980-6。ISBN 4-533-02980-9。
- 田中和夫(監修)『写真で見る北海道の鉄道』 上巻 国鉄・JR線、北海道新聞社(編集)、2002年7月15日、4-45,114-123,190-193,200-205,212-219,311-319頁。ISBN 978-4-89453-220-5。ISBN 4-89453-220-4。
- 田中和夫(監修)『写真で見る北海道の鉄道』 下巻 SL・青函連絡船他、北海道新聞社(編集)、2002年12月5日、156-203,222-225頁。ISBN 978-4-89453-237-3。ISBN 4-89453-237-9。
- 函館-渡島大野間鉄道開通100周年記念誌編集委員会 編『道南鉄道100年史 遥』北海道旅客鉄道函館支社、2003年2月。
- 今尾恵介(監修)『日本鉄道旅行地図帳―全線・全駅・全廃線―』 1号・北海道、新潮社〈新潮「旅」ムック〉、2008年5月17日、14,19,26-27頁。ISBN 978-4-10-790019-7。ISBN 4-10-790019-3。
- 鉄道省『日本鉄道史』 中篇、[鉄道省]、[東京]、1921年、638-650,857-858頁。
- 逓信省『鉄道国有始末一斑』逓信省、東京、1909年。
雑誌
[編集]- 『駅史 小樽駅 77年のあゆみ』、鉄道ジャーナル社、1980年12月、28頁。
- 『鉄道ジャーナル』第20巻第13号(通巻240号・1986年12月号)、鉄道ジャーナル社、1986年12月、15-22頁。