コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

佐藤正彰

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

佐藤 正彰(さとう まさあき、1905年12月12日 - 1975年11月1日)は、日本のフランス文学者

生涯

[編集]

東京府生まれ、父は戦前の漢文教科書を著した佐藤正範(山形出身で旧制高校教師)。第一高等学校東京帝国大学文学部仏文科卒業、辰野隆の門下生。友人に齋藤磯雄中村光夫小林秀雄河上徹太郎唐木順三等がいる。

ポール・ヴァレリーマルセル・プルーストの最初期の紹介者であり、生涯にわたり『ヴァレリー全集』(筑摩書房)の編さん校訂、翻訳・監修を担当。ボードレールネルヴァルの翻訳研究でも著名。『マルドリュス版 千一夜物語』は、共訳版(岩波文庫)を経て、単独訳(筑摩書房)を行った。なお前者・岩波版により、渡辺一夫らと読売文学賞(第11回)を受賞した。

1949年より明治大学教授、1956年に数年間パリ留学し現地でも講義した。1972年に紫綬褒章。『ボードレール雑話』により、2度目の読売文学賞(第26回、研究・翻訳賞)を受賞したが、同年秋に食道ガンで没した。直前にカトリック洗礼を受け、葬儀は自宅のある鎌倉の教会で行なわれた。没後に蔵書6000冊が明治大学図書館に収蔵された。

著書

[編集]
  • ヴァレリイ篇 世界文豪読本』第一書房、1938
    復刻版、3巻組で『世界文豪読本全集』クレス出版、2001
  • ボードレール 鑑賞世界名詩選』筑摩書房、1956
  • 『ボードレール雑話』筑摩書房、1974
  • 『フランス文学雑話』(佐藤正彰文集刊行会)、1997 - 非売品

主な単著訳

[編集]

主な共編訳

[編集]
「ボオドレエル」「クロオデル」を担当
  • ジイド『文藝評論』 正・続(訳者代表)芝書店、1933
    • 抄版・改題『藝術の限界・その他』改造文庫、1939
    • 『アンドレ・ジイド全集 第7巻 続プレテクスト』建設社、1934
    • 『ジイド全集 13 文學評論』新潮社、1951
  • 『アナトオル・フランス短篇小説全集』 白水社(第4・5・7巻)、1939、復刊1950
    『9 クランクビーユ 短篇集』、『10 ジャック・トゥルヌブローシュのコント 短篇集』
     『12 ジョカストとやせ猫 短篇集』
  • 『ポオル・ヴアレリイ全集』(辰野隆落合太郎鈴木信太郎監修)筑摩書房、1942-47。9巻分を刊行
  • 『ポオル・ヴァレリイ全集』 筑摩書房(第7・10・11・16巻)、1950-51。上記とは異なった版本
  • デカルト選集 第5・6巻』(共編訳)創元社、1939-40
    • 再版『デカルト書簡集』上・下、創元社(哲学叢書)、1947
  • 『千一夜物語』全26巻(豊島与志雄、渡辺一夫、岡部正孝と共訳)岩波文庫、1940-59。第11回読売文学賞受賞
    • 改訂版『完訳 千一夜物語』全13巻、岩波書店、1982-83/岩波文庫、1988。岡部が改訂
  • 『ボードレール評論集』全3巻、創元文庫、1953
  • 『ボオドレエル全集 第1巻 悪の華』(齋藤磯雄訳、注解担当)創元社、1954。本巻のみ刊行
  • アルベール・ティボーデ『フランス文学史』(平岡昇鈴木力衛等と共訳)、ダヴィッド社(上・下)、1954/角川文庫(全3巻)、1960
  • 『ポール・ヴァレリー 現代世界文學全集25』新潮社、1955
  • ポール・ヴァレリー『ヴァリエテ』(全2巻、鈴木信太郎と共編)人文書院、1966。限定版
  • 『ヴァレリー全集』 筑摩書房(全12巻)、1967-68、補巻1971。新装版 1973-74。増補版+補巻2 1977-78
  • 『ネルヴァル全集3 オーレリア』 筑摩書房(全3巻)、1976
  • 『ヴァレリー全集 カイエ篇2 言語』 寺田透と共訳(全9巻)筑摩書房、1982

脚注

[編集]
  1. ^ 他に未刊は、テオフィル・ゴーティエ『ボードレール論』訳書がある。校正刷(210頁)が、国会図書館と明治大学図書館に所蔵。
    書簡訳は、のち「世界文学大系 ボードレール」筑摩書房に新版収録

参考文献

[編集]
  • 『フランス文学雑話』(1997) - 巻末収録の年譜