悪の華
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悪の華 Les Fleurs du mal | |
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ボードレールによる書き込みがなされた1857年版『悪の華』扉。 | |
作者 | シャルル・ボードレール |
国 | フランス帝国 |
言語 | フランス語 |
ジャンル | 詩集、象徴主義 |
初出情報 | |
初出 | 18篇-『両世界評論』1855年 |
刊本情報 | |
刊行 |
初版:プーレ・マラシ社 1857年6月25日 第2版:1861年(定本) |
日本語訳 | |
訳者 | 馬場睦夫 |
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『悪の華』(あくのはな、フランス語: Les Fleurs du mal)は、シャルル・ピエール・ボードレールの詩集(『悪の花』とも)。はじめ題名は『冥府』となる予定だった。
詩人の生誕から死までを退廃的、官能的に表現する。ボードレール唯一の韻文詩集。象徴主義詩の始まりとされ、各国の詩人たちに多大な影響を与えた。
概要
[編集]ほとんどの作品は1850年までに書かれた。初版は1857年に刊行。「憂鬱と理想」「悪の華」「反逆」「葡萄酒」「死」の5章に、序詩(読者へ)を含めた詩101篇を収録する。このうち6編が反道徳的であるとして、有罪・罰金処分を受け、該当詩の削除を命ぜられる。その6篇は『レスボス』、『地獄に落ちた女たち』『レーテー』『陽気すぎる娘へ』『宝石』『吸血鬼の変身』で、後に「禁断詩篇」と呼ばれた。
第2版は1861年に刊行。禁断詩篇6篇を削除し、32篇を追加。「パリ情景」を加えた6章構成として配列を変更し、全127篇を収録する。現在はこの第2版が定本となっている。
ボードレール死後の1868年に、友人たちが編集しゴーティエの序文論考[1] を加えた『悪の華』(ミシェル・レヴィ版全集第1巻)が刊行された。補遺詩集『漂着物』(1866年)の詩篇を含め152編を収録し、第3版と呼ばれる。ボードレール自身も第3版を構想していたが、全集は死後の刊行であり、必ずしもボードレール自身の意に沿ったものではないとされる。なお、禁断詩篇6篇は第3版にも収録されていない(1866年刊行の『漂着物』、1869年の『悪の華・補遺』に収録)。
日本語訳
[編集]- 『悪の花 註釈』全3巻(京都大学人文科学研究所・多田道太郎[2] 編、平凡社)
- 堀口大學訳『悪の華』(新潮文庫)、近年に改版
- 鈴木信太郎訳『悪の華』(岩波文庫)、近年に改版
- 安藤元雄訳『悪の華』[3](集英社、のち集英社文庫)
- 阿部良雄[4] 訳『悪の華 ボードレール全詩集1』(ちくま文庫)、元版は「全集1」筑摩書房
- 杉本秀太郎訳『悪の花』(彌生書房)
- 福永武彦訳『世界名詩集13 ボードレール 悪の華』(平凡社)、他に「全集1」人文書院
- 齋藤磯雄訳『悪の華』(三笠書房、東京創元社、のち創元選書)
- 金子光晴訳『悪の華』(宝文館、のち「全集 第14巻」中央公論社)
- 桜沢如一訳『NAYAMI NO HANA』- 以下は大正・昭和前期の刊行
- 佐藤朔訳『悪の華』(第一書房、齋藤書店、のち「ボードレール詩集」白凰社ほか)
- 村上菊一郎訳『悪の華』(版画荘、「全集1」旧河出書房、のち角川文庫)
- 馬場睦夫訳『悪の華』(洛陽堂)
- 矢野文夫訳『悪の華』(耕進社、のち白樺書房ほか、北上二郎名義で金園社)
「悪の華」による音楽作品
[編集]- ガブリエル・フォーレ:歌曲「賛歌」(Hymne)、「身代金」(La rançon)
- アンリ・デュパルク:歌曲「旅への誘い」(L'invitation au voyage)
- クロード・ドビュッシー:歌曲集「ボードレールの5つの詩」
- アルバン・ベルク:「抒情組曲」、演奏会用アリア「ぶどう酒」…共にシュテファン・ゲオルゲの訳による
- レオ・フェレ:シャンソン集「ボードレールによる12の歌」より「踊る蛇」(Le Serpent qui danse)
- アンリ・ソーゲ:歌曲「猫」(Le chat)
脚注
[編集]- ^ 回想を交えた評伝。訳書は『ボードレール』(井村実名子訳、国書刊行会、2011年)。
- ^ 副読本に、多田、杉本らによる『ボードレール 詩の冥府』筑摩書房、1988年。のち『杉本秀太郎文粋Ⅰ エロスの図柄』筑摩書房、1996年
- ^ 安藤元雄『『悪の華』を読む』がある、水声社、2018年
- ^ 阿部・福永・齋藤も、ボードレール論がある。各項目参照。
参考文献
[編集]- 粟津則雄編訳『ボードレール詩集』思潮社〈海外詩文庫3〉、1993年7月。ISBN 978-4783725022。
外部リンク
[編集]- 『悪の華 翻訳:馬場睦夫、洛陽堂(大正8年刊)』 - 国立国会図書館デジタルコレクション