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杉捷夫

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
1948年

杉 捷夫(すぎ としお、1904年2月27日 - 1990年12月10日)は、日本のフランス文学者。東京大学名誉教授。

人物

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新潟県柏崎市出身。旧制柏崎中学旧制三高を経て、1926年東京帝国大学仏文科卒業。高千穂高等商業学校(現高千穂大学)、立教大学東北帝国大学で教えた後、1949年から東京大学教養学部教授、56年文学部教授。1964年に定年退官後は立教大学教授、1968年、東京都立日比谷図書館長となり、土岐善麿以来13年ぶりの文化人館長として話題になった。1976年日本学士院会員。

プロスペル・メリメギ・ド・モーパッサンの翻訳で知られ、その多くが岩波文庫等に入って読み継がれた。 研究者としては『フランス文芸批評史』などの著書がある。

平和運動にも熱心で、1950年代、戦没学生の「わだつみ会」再建に尽力した。また死去直前の1989年には、蔵書1万8千冊を、1991年開館の早稲田大学の新中央図書館に寄贈することに決めていた。

単著

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  • 『フランス文学雑筆』(白水社) 1939年
  • 『フランス文学論稿』(実業之日本社) 1942年
  • 『概観フランス文学 十七世紀迄』(生活社) 1944年
  • 『フランス文学論』(酣燈社) 1947年
  • 『平和の証言』(岩波新書) 1952年
  • 『フランス文学 朝日新講座』(朝日新聞社) 1952年
  • 『朝の詩人 批評論と作家論』(三笠書房、三笠文庫) 1953年
    のちカルチャー出版社、フランス文学シリーズ 1975年
  • スタール夫人 「文学論」の研究』(筑摩書房) 1958年
  • 『フランスだより その他』(東京学風書院) 1959年
  • 『こころとの対話 人間と平和への思索』(番町書房) 1966年
  • 『フランス文芸批評史』上(筑摩書房) 1977年
  • 『人の影・本の蔭』(岩波書店) 1983年

編著

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  • 『要約仏文典』(山田九朗共著、郁文堂書店) 1929年
  • 『フランス文法』(白水社) 1942年
  • 『フランス文学新講座』第1巻(渡辺一夫共編、丹頂書房) 1948年
  • 『文学史の方法の諸問題』(編、学風書院) 1951年
  • 『フランス散文読本』(平岡昇共編、河出書房) 1952年
  • 『フランス文学史』(小松清共編、東京大学出版会) 1955年
  • 『新仏和小辞典』(編、白水社) 1962年
  • 『現代のエスプリ 文学とは何か』(河盛好蔵共編、至文堂) 1964年
  • 『フランス文学研究文献要覧 1945 - 1978(戦後編)』全3巻(共編、日外アソシエーツ) 1981年

翻訳

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  • 『エトルリアの壷』(メリメ、岩波文庫) 1928年
  • カルメン』(メリメ、岩波文庫) 1929年
  • 『コロンバ』(メリメ、岩波文庫) 1931年
  • 『フランス唯物論哲学』(メトリイ他、中央公論社) 1931年
  • 『人間悲劇 外10篇』(アナトール・フランス、春陽堂) 1932年
  • 『人間機械論』(メトリ、岩波文庫) 1932年
  • 『ヴィーナスの殺人 外二篇』(メリメ、矢野常有共訳、春陽堂) 1934年
  • 女の一生』(モーパツサン、岩波文庫) 1934年
  • 『昔がたり ピエル・ノジエール』(アナトール・フランス、岩波文庫) 1935年
  • 「チャド湖より還る」(アンドレ・ジイド、建設社、アンドレ・ジイド全集12) 1936年
    のち 新潮文庫 1954年
  • 『死の如く強し』(モーパッサン、白水社) 1936年
    のち岩波文庫 1950年
  • 『ピエルとジャン』(モーパッサン、白水社) 1936年
    のち角川文庫 1968年
  • 『アンヂアナ』上・下(ジョルジュ・サンド、岩波文庫) 1937年
  • 『ノルマンヂ物語』(モーパッサン、白水社) 1938年
  • 『あだ花 他二篇』(モーパッサン、岩波文庫) 1938年
  • 『雨傘』(モーパッサン、岩波文庫) 1938年
  • 『秋風記 モントリオル』(モーパッサン、白水社) 1938年
    のち『モントリオル』と改題、全2巻、岩波文庫 1957年
  • 『愛の沙漠』(フランソワ・モーリヤック、白水社) 1939年
    のち目黒書店 1951年。新潮文庫 1952年
  • 『ダランベールの夢』(ヂドロ、青木書店) 1939年
    のち日本評論社 1947年.
  • 『コンゴ紀行 チャド湖から帰る 続』(アンドレ・ジッド、岩波文庫) 1939年
  • ベラミ』上・下(モーパッサン、岩波文庫) 1939 - 1940年
  • 『アナトオル・フランス短篇小説全集』全6巻(共訳) 1939 - 1940年
  • 『アナトオル・フランス長篇小説全集』全9巻(共訳) 1940 - 1943年
  • 『幼年時代青年時代の思ひ出』(エルネスト・ルナン、創元社) 1940年
    のち『思い出』と改題、岩波文庫 1953年
  • 『薔薇色の雲』(ジョルジュ・サンド、青磁社) 1944年
    のち『ばらいろの雲』と改題、岩波少年文庫 1954年
  • 『骨董室』(オノレ・ド・バルザック、曙出版社) 1946年
  • 『ペルル嬢』(モーパッサン、斎藤書店) 1947年
  • 『モーパッサン短篇傑作選集』全2巻(酣燈社) 1948年
  • 『モーパッサン長篇全集』第2・3巻(大虚堂書房) 1948年
  • 『ジル・ブラース物語』全2巻(ル・サージュ、高桐書院) 1948 - 1949年
    のち岩波文庫、全4巻 1953年
  • 『魔の沼』(ジョルジュ・サンド、酣燈社) 1948年
    のち岩波文庫 1952年
  • 『イールの女神像』(メリメ、青磁社) 1949年
  • 「霊魂論」(ラ・メトリ、実業之日本社、ラ・メトリ著作集(上)) 1949年
  • 『テレーズ・デケイルゥ』(フランソワ・モーリャック、細川書店) 1949年
    のち新潮文庫 1952年
  • 「ルサァジュ」(サント・ブウヴ、実業之日本社、サント・ブウヴ選集3) 1949年
  • 『メリメ風流書簡』(前川堅市共訳、角川文庫) 1949年
  • 『祖母のものがたり』(ジオルジュ・サンド、山の木書店) 1950年
  • 『イエスの生涯』(モーリヤック、新潮社) 1950年
    のち新潮文庫 1952年
  • 『エトルリアの壷 他5篇』(メリメ、岩波文庫) 1952年
  • 『日本再登場』(ゼレッピイ他、共訳、月曜書房) 1952年
  • 『夜の終り』(モーリヤック、新潮文庫) 1952年
  • 『夜の武器・昼の力』(ヴェルコール、新潮社) 1953年
  • 『頸飾り 他13篇』(モーパッサン、角川文庫) 1954年
  • 『黒河』(クールタード、岩波書店) 1955年
  • 『現代 二十世紀文明の方向』(A・シーグフリード紀伊国屋書店) 1956年
  • 『十八番目はチボー先生』(モーリヤック、岩波少年文庫) 1958年
  • 『ギロチン』(アルベール・カミュ川村克己共訳、紀伊国屋書店) 1958年
  • マノン・レスコー』(アベ・プレヴォ、筑摩書房、世界名作全集) 1961年
  • 『内面の記録』(モーリアック、菅野昭正共訳、紀伊国屋書店) 1964年
  • 『キュリー家の人々』(ウージェニィ・コットン、岩波新書) 1964年
  • 『おだやかな死』(シモーヌ・ド・ボーヴォワール、紀伊国屋書店) 1965年
  • 『内面の記録 続』(モーリアック、紀伊国屋書店) 1969年
  • ボヴァリー夫人』(フロベール、筑摩書房、筑摩世界文学大系45) 1971年
  • 『メリメ全集』全6巻(河出書房新社) 1977 - 1979年。江口清と編者代表
  • 『シモンのパパ / ひも』(モーパッサン、むぎ書房) 1984年
  • 『メリメ怪奇小説選』(岩波書店、岩波文庫) 1986年
    「ドン・ファン異聞」「ヴィーナスの殺人」「熊男」

関連書籍

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  • 『杉捷夫フランス文学・言語学文庫目録』(早稲田大学図書館編)

参考

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  • 「図書館人としての杉捷夫書誌」(大伏春美・大伏節子、「徳島文理大学文学論叢」) 2010 - 2003
  • 『翻訳家列伝101』(小谷野敦編著、新書館) 2010