杉捷夫
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杉 捷夫(すぎ としお、1904年2月27日 - 1990年12月10日)は、日本のフランス文学者。東京大学名誉教授。
人物
[編集]新潟県柏崎市出身。旧制柏崎中学・旧制三高を経て、1926年東京帝国大学仏文科卒業。高千穂高等商業学校(現高千穂大学)、立教大学、東北帝国大学で教えた後、1949年から東京大学教養学部教授、56年文学部教授。1964年に定年退官後は立教大学教授、1968年、東京都立日比谷図書館長となり、土岐善麿以来13年ぶりの文化人館長として話題になった。1976年日本学士院会員。
プロスペル・メリメやギ・ド・モーパッサンの翻訳で知られ、その多くが岩波文庫等に入って読み継がれた。 研究者としては『フランス文芸批評史』などの著書がある。
平和運動にも熱心で、1950年代、戦没学生の「わだつみ会」再建に尽力した。また死去直前の1989年には、蔵書1万8千冊を、1991年開館の早稲田大学の新中央図書館に寄贈することに決めていた。
単著
[編集]- 『フランス文学雑筆』(白水社) 1939年
- 『フランス文学論稿』(実業之日本社) 1942年
- 『概観フランス文学 十七世紀迄』(生活社) 1944年
- 『フランス文学論』(酣燈社) 1947年
- 『平和の証言』(岩波新書) 1952年
- 『フランス文学 朝日新講座』(朝日新聞社) 1952年
- 『朝の詩人 批評論と作家論』(三笠書房、三笠文庫) 1953年
- のちカルチャー出版社、フランス文学シリーズ 1975年
- 『スタール夫人 「文学論」の研究』(筑摩書房) 1958年
- 『フランスだより その他』(東京学風書院) 1959年
- 『こころとの対話 人間と平和への思索』(番町書房) 1966年
- 『フランス文芸批評史』上(筑摩書房) 1977年
- 『人の影・本の蔭』(岩波書店) 1983年
編著
[編集]- 『要約仏文典』(山田九朗共著、郁文堂書店) 1929年
- 『フランス文法』(白水社) 1942年
- 『フランス文学新講座』第1巻(渡辺一夫共編、丹頂書房) 1948年
- 『文学史の方法の諸問題』(編、学風書院) 1951年
- 『フランス散文読本』(平岡昇共編、河出書房) 1952年
- 『フランス文学史』(小松清共編、東京大学出版会) 1955年
- 『新仏和小辞典』(編、白水社) 1962年
- 『現代のエスプリ 文学とは何か』(河盛好蔵共編、至文堂) 1964年
- 『フランス文学研究文献要覧 1945 - 1978(戦後編)』全3巻(共編、日外アソシエーツ) 1981年
翻訳
[編集]- 『エトルリアの壷』(メリメ、岩波文庫) 1928年
- 『カルメン』(メリメ、岩波文庫) 1929年
- 『コロンバ』(メリメ、岩波文庫) 1931年
- 『フランス唯物論哲学』(メトリイ他、中央公論社) 1931年
- 『人間悲劇 外10篇』(アナトール・フランス、春陽堂) 1932年
- 『人間機械論』(メトリ、岩波文庫) 1932年
- 『ヴィーナスの殺人 外二篇』(メリメ、矢野常有共訳、春陽堂) 1934年
- 『女の一生』(モーパツサン、岩波文庫) 1934年
- 『昔がたり ピエル・ノジエール』(アナトール・フランス、岩波文庫) 1935年
- 「チャド湖より還る」(アンドレ・ジイド、建設社、アンドレ・ジイド全集12) 1936年
- のち 新潮文庫 1954年
- 『死の如く強し』(モーパッサン、白水社) 1936年
- のち岩波文庫 1950年
- 『ピエルとジャン』(モーパッサン、白水社) 1936年
- のち角川文庫 1968年
- 『アンヂアナ』上・下(ジョルジュ・サンド、岩波文庫) 1937年
- 『ノルマンヂ物語』(モーパッサン、白水社) 1938年
- 『あだ花 他二篇』(モーパッサン、岩波文庫) 1938年
- 『雨傘』(モーパッサン、岩波文庫) 1938年
- 『秋風記 モントリオル』(モーパッサン、白水社) 1938年
- のち『モントリオル』と改題、全2巻、岩波文庫 1957年
- 『愛の沙漠』(フランソワ・モーリヤック、白水社) 1939年
- のち目黒書店 1951年。新潮文庫 1952年
- 『ダランベールの夢』(ヂドロ、青木書店) 1939年
- のち日本評論社 1947年.
- 『コンゴ紀行 チャド湖から帰る 続』(アンドレ・ジッド、岩波文庫) 1939年
- 『ベラミ』上・下(モーパッサン、岩波文庫) 1939 - 1940年
- 『アナトオル・フランス短篇小説全集』全6巻(共訳) 1939 - 1940年
- 『アナトオル・フランス長篇小説全集』全9巻(共訳) 1940 - 1943年
- 『幼年時代青年時代の思ひ出』(エルネスト・ルナン、創元社) 1940年
- のち『思い出』と改題、岩波文庫 1953年
- 『薔薇色の雲』(ジョルジュ・サンド、青磁社) 1944年
- のち『ばらいろの雲』と改題、岩波少年文庫 1954年
- 『骨董室』(オノレ・ド・バルザック、曙出版社) 1946年
- 『ペルル嬢』(モーパッサン、斎藤書店) 1947年
- 『モーパッサン短篇傑作選集』全2巻(酣燈社) 1948年
- 『モーパッサン長篇全集』第2・3巻(大虚堂書房) 1948年
- 『ジル・ブラース物語』全2巻(ル・サージュ、高桐書院) 1948 - 1949年
- のち岩波文庫、全4巻 1953年
- 『魔の沼』(ジョルジュ・サンド、酣燈社) 1948年
- のち岩波文庫 1952年
- 『イールの女神像』(メリメ、青磁社) 1949年
- 「霊魂論」(ラ・メトリ、実業之日本社、ラ・メトリ著作集(上)) 1949年
- 『テレーズ・デケイルゥ』(フランソワ・モーリャック、細川書店) 1949年
- のち新潮文庫 1952年
- 「ルサァジュ」(サント・ブウヴ、実業之日本社、サント・ブウヴ選集3) 1949年
- 『メリメ風流書簡』(前川堅市共訳、角川文庫) 1949年
- 『祖母のものがたり』(ジオルジュ・サンド、山の木書店) 1950年
- 『イエスの生涯』(モーリヤック、新潮社) 1950年
- のち新潮文庫 1952年
- 『エトルリアの壷 他5篇』(メリメ、岩波文庫) 1952年
- 『日本再登場』(ゼレッピイ他、共訳、月曜書房) 1952年
- 『夜の終り』(モーリヤック、新潮文庫) 1952年
- 『夜の武器・昼の力』(ヴェルコール、新潮社) 1953年
- 『頸飾り 他13篇』(モーパッサン、角川文庫) 1954年
- 『黒河』(クールタード、岩波書店) 1955年
- 『現代 二十世紀文明の方向』(A・シーグフリード、紀伊国屋書店) 1956年
- 『十八番目はチボー先生』(モーリヤック、岩波少年文庫) 1958年
- 『ギロチン』(アルベール・カミュ、川村克己共訳、紀伊国屋書店) 1958年
- 『マノン・レスコー』(アベ・プレヴォ、筑摩書房、世界名作全集) 1961年
- 『内面の記録』(モーリアック、菅野昭正共訳、紀伊国屋書店) 1964年
- 『キュリー家の人々』(ウージェニィ・コットン、岩波新書) 1964年
- 『おだやかな死』(シモーヌ・ド・ボーヴォワール、紀伊国屋書店) 1965年
- 『内面の記録 続』(モーリアック、紀伊国屋書店) 1969年
- 『ボヴァリー夫人』(フロベール、筑摩書房、筑摩世界文学大系45) 1971年
- 『メリメ全集』全6巻(河出書房新社) 1977 - 1979年。江口清と編者代表
- 『シモンのパパ / ひも』(モーパッサン、むぎ書房) 1984年
- 『メリメ怪奇小説選』(岩波書店、岩波文庫) 1986年
- 「ドン・ファン異聞」「ヴィーナスの殺人」「熊男」
関連書籍
[編集]- 『杉捷夫フランス文学・言語学文庫目録』(早稲田大学図書館編)
参考
[編集]- 「図書館人としての杉捷夫書誌」(大伏春美・大伏節子、「徳島文理大学文学論叢」) 2010 - 2003
- 『翻訳家列伝101』(小谷野敦編著、新書館) 2010