コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

ヴァンウォール・ヴァンダーヴェル 680

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヴァンウォール・ヴァンダーヴェル 680
カテゴリー LMH
コンストラクター オーストリアの旗 バイコレス
先代 CLM P1/01
主要諸元
シャシー カーボンファイバーモノコック
サスペンション(前) 独立懸架 ダブルウィッシュボーン プッシュロッド
サスペンション(後) 独立懸架 ダブルウィッシュボーン プッシュロッド
エンジン ギブソン GL458 4.5 L V8 自然吸気 ミッドシップ, 縦置き
トランスミッション 7速 X Trac社製シーケンシャルセミオートマチック
タイヤ ミシュラン
主要成績
チーム オーストリアの旗 フロイド・ヴァンウォール・レーシングチーム
ドライバー アルゼンチンの旗 エステバン・グエリエリ
フランスの旗 トム・ディルマン
カナダの旗 ジャック・ヴィルヌーヴ
フランスの旗 トリスタン・ヴォーティエ
ブラジルの旗 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
オーストラリアの旗 ライアン・ブリスコー
初戦 2023年のセブリング1000マイルレース
最終戦 2023年のバーレーン8時間レース
出走優勝ポールFラップ
7000
テンプレートを表示

ヴァンウォール・ヴァンダーヴェル 680 (Vanwall Vandervell 680) は、バイコレスル・マン・ハイパーカー (LMH)規定に基づき、FIA 世界耐久選手権(WEC)への参戦用に開発したプロトタイプレーシングカーF1で初のコンストラクターズチャンピオンを獲得したヴァンウォールの名を冠する。

概要

[編集]

バイコレスが2019-20年までFIA 世界耐久選手権に参戦していたLMP1クラスのCLM P1/01の後継にあたる。エンジンはCLM P1/01から引き続きギブソン・テクノロジーV型8気筒自然吸気エンジンであるGL458をミッドシップに搭載していたが、後に他メーカーへの換装も行われている(後述)。

当初は2021年からLMHクラスに参戦予定だったが[1]、LMP時代と異なりシーズンエントリーが必須となり1レース毎のエントリーが禁止されたためその年の参戦は見送り[2][3]、翌2022年のシリーズエントリーを目指していたがこれはWEC選考委員会から却下され[4]2023年にようやくエントリーが認められている[5]

名称にVanwall (ヴァンウォール) を用いており、車両のカラーリングも意識されているが、かつてのF1コンストラクターであるヴァンウォールとは直接の関係は無い。純粋なレーシングカーコンストラクターの車両が参戦可能であったLMP時代と異なり、ハイパーカークラスへの参戦には市販の自動車メーカーとの繋がりが必要なため、バイコレスの関連会社であるPMC GmbHがドイツで商標を保持している「ヴァンウォール」の名前を用いているものである[6]。バイコレスの市販車メーカーとしての実績作りとして、本車両の公道走行可能モデルとなる「ヴァンダーヴェル 1000」[7][8]や、量産EVホットハッチとなる「ヴァンダーヴェル S」の開発が発表されている[9]が、2023年12月現在特に進展は無い。

レース活動

[編集]

2023年

[編集]

参戦に先立ち2022年4月、ドイツの飛行場にてロールアウト。クリストフ・ブシューが最初のステアリングを握った。2023年にシリーズエントリーが認められ同年よりの参戦となった。チーム名は「フロイド・ヴァンウォール・レーシングチーム」、ドライバーはトム・ディルマンエステバン・グエリエリ1997年F1ワールドチャンピオンのジャック・ヴィルヌーヴの3人を起用していたが、第4戦となるル・マン24時間レースではヴィルヌーヴに代わりトリスタン・ヴォーティエが、そして第5戦モンツァ6時間レースからはディルマンに代わりジョアオ・パオロ・デ・オリベイラが、第7戦はライアン・ブリスコーがドライバーを務めるなどドライバー陣が頻繁に変更され、1台での参戦でありながら年間6人ものドライバーが起用され、その中でフルエントリーしたのはグエリエリのみとなった。

マシンも全体的な信頼性の不足に加えギブソン製エンジンのパワー不足も目立ち、BoPによる性能調整の上限値から80馬力ほども劣った出力しか得られないこともあり、成績は低迷した。クラス最高成績は開幕戦の8位、総合順位では第5戦の20位が最高、完走率は50%しかなく、獲得したポイントはモンツァ以降の2戦を欠場したグリッケンハウスよりも低かった[10]

2024年

[編集]

2024年に向けてはV型10気筒エンジンへの載せ替えなども検討されたが、最終的に前年限りでWECから撤退したグリッケンハウス・007 LMHのエンジン(ピポ・モチュール社製P21エンジン・3.5L V型8気筒ツインターボチャージャー)を採用することを決めた。しかしFIA / ACOから2024年シーズンのエントリーを却下されてしまい、参戦は出来なかった[10]

2024年10月、チームマネージャーのコリン・コレスがメディアの取材に応じ、2025年のWECへの復帰に向けた準備を進めていることを明らかにした。コレスによれば「95%新しい」とされるバージョンアップ版の車両の開発が進められているが、実車での走行は「(復帰が)正式に決定してから」になる予定だという。ヴァンウォールでは「1年後(2026年)にヒョンデが来たときに、再び『グリッドが満員だ』と言われるのは困る」として、FIA / ACOに対し長期参戦のコミットメントを求めている[11]。しかし11月22日に公表された2025年のエントリーリストに名前はなく、またしてもエントリーを却下された形となった。

戦績

[編集]
チーム クラス No. ドライバー Rds. 1 2 3 4 5 6 7 Pts. Pos.
2023 オーストリアの旗 フロイド・ヴァンウォール・レーシングチーム ハイパーカー 4 アルゼンチンの旗 エステバン・グエリエリ All SEB
8
POR
Ret
SPA
Ret
LMS
Ret
MNZ
12
FUJ
11
BHR
12
10 7位
フランスの旗 トム・ディルマン 1-4
カナダの旗 ジャック・ヴィルヌーヴ 1-3
フランスの旗 トリスタン・ヴォーティエ 4-7
ブラジルの旗 ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ 5-6
オーストラリアの旗 ライアン・ブリスコー 7

脚注

[編集]
  1. ^ “バイコレス、2021年のWECに参戦するハイパーカーの画像を公開。市販車バージョンも発表”. motorsport.com 日本語版. (2020年9月19日). https://jp.motorsport.com/wec/news/bykolles-reveals-images-of-2021-wec-hypercar-design/4877314/ 
  2. ^ “WECの”組織”に不満あり? バイコレス、エントリーしなかった理由を明かす”. motorsport.com 日本語版. (2021年1月22日). https://jp.motorsport.com/wec/news/bykolles-le-mans-hypercar-unlikely-to-race-this-year/5155501/ 
  3. ^ 2022年のWECハイパーカークラスデビューを目指すバイコレス、新車のロールアウトは今秋を予定 | ル・マン/WEC”. AUTO SPORT web (2021年9月16日). 2023年12月20日閲覧。
  4. ^ “バイコレス、2022年WECハイパーカークラスのエントリーを却下される。WEC側は詳細語らず”. motorsport.com 日本語版. (2022年1月13日). https://jp.motorsport.com/wec/news/wec-rejects-bykolles-le-mans-hypercar-entry-for-2022/7229404/ 
  5. ^ WECの2023年暫定エントリーリストが公開。LMDhの参加によりハイパーカーは計13台に | ル・マン/WEC”. AUTO SPORT web (2023年1月11日). 2023年12月20日閲覧。
  6. ^ バイコレス、『ヴァンウォールLMH』をドイツでロールアウト。2023年のWEC参戦を目指す”. jp.motorsport.com (2022年4月2日). 2023年12月20日閲覧。
  7. ^ ByKOLLESのツイート(1570077049733189632)
  8. ^ “実現できる? ナンバー付きのル・マンハイパーカー バイコレスが製作”. AUTOCAR JAPAN. (2022年9月20日). https://www.autocar.jp/post/860695 
  9. ^ かつてはF1、今年はWECハイパーカー。新生ヴァンウォール、初の量産車は580馬力の電動ホットハッチに”. jp.motorsport.com (2023年1月18日). 2023年12月20日閲覧。
  10. ^ a b “V10化も検討。WECにエントリー申請が拒否されたヴァンウォール、エンジンサプライヤー変更も報われず”. オートスポーツ. (2023年11月28日). https://www.as-web.jp/sports-car/1020307?all 
  11. ^ タイムリミットが迫るヴァンウォールのWEC復帰計画。2025年の参戦が保証されるまでテストは保留 - オートスポーツ・2024年10月8日

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]