ワン・カインド・フェイヴァー
『ワン・カインド・フェイヴァー』 | ||||
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B.B.キング の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
ロサンゼルス ヴィレッジ・レコーダー[1] アディショナル・レコーディング:ロサンゼルス エレクトロマグネティック・スタジオ[1] | |||
ジャンル | ブルース | |||
時間 | ||||
レーベル | ゲフィン・レコード | |||
プロデュース | T・ボーン・バーネット | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
チャート最高順位 | ||||
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B.B.キング アルバム 年表 | ||||
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『ワン・カインド・フェイヴァー』(One Kind Favor)は、アメリカ合衆国のブルース・ミュージシャン、B.B.キングが2008年に発表したスタジオ・アルバム。キングは2015年に89歳で死去しており、結果的に生涯最後のスタジオ・アルバムとなった[8]。
背景
[編集]T・ボーン・バーネットがプロデューサーに起用され、キング自身はバーネットの音作りに関して「彼は私が1950年代に作ってきたレコードのサウンドを好んでいた」と語っている[9]。本作のレコーディング・セッションは、ジム・ケルトナーとジェイ・ベラローズのツイン・ドラムス編成で行われ、ベラローズは2009年のインタビューにおいて「ジムは船長のような存在だった」「2人で同じ演奏をすることもあれば、ジムが音数の多い演奏をしている間、僕はとにかくパーカッション的な演奏に徹したこともあった」と振り返っている[10]。
収録曲のうち3曲は、ロニー・ジョンソンの録音で知られる曲のカヴァーで[11]、キングはジョンソンに関して「私はずっとロニー・ジョンソンのようになりたかった」「彼は、たとえカントリーやジャズをやっても、しっくり来たと思うよ」という賛辞を述べている[12]。
2008年当時は日本発売されず、日本初回盤(UICY-77459)は2015年9月16日、SHM-CDとしてリリースされた[13]。
反響
[編集]アメリカの総合アルバム・チャートBillboard 200では、2008年9月13日に最高37位を記録し、エリック・クラプトンとのコラボレーション・アルバム『ライディング・ウィズ・ザ・キング』(2000年)を含めれば、自身8年ぶり・5作目の全米トップ40アルバムとなった[2]。また、『ビルボード』のブルース・アルバム・チャートでは、合計9週にわたり1位を獲得した[14]。
フランスのアルバム・チャートでは4週トップ200入りし、最高137位を記録して、『ライディング・ウィズ・ザ・キング』以来8年ぶりに、同国におけるトップ200入りを果たした[7]。
評価
[編集]第51回グラミー賞では、最優秀トラディショナル・ブルース・アルバム賞を受賞した[15]。
Stephen Thomas Erlewineはオールミュージックにおいて5点満点中4.5点を付け「彼が"The Thrill Is Gone"のクロスオーヴァー・ヒットを受けて発表した多数のアルバムと異なり、虚飾を排した仰々しさのないサウンドで、ゲスト・スターに依存せず、収録曲も正統派のブルースである」と評している[11]。マーク・ケンプは2008年9月4日付の『ローリング・ストーン』誌のレビューで5点満点中4点を付け「ここ何年かのB.B.キングの最高傑作というだけでなく、彼のキャリア全体においても『シンギン・ザ・ブルース』や『ルシール』といった傑作に並ぶ、最高のスタジオ・アルバムの一つ」「82歳にして、いかに過去の情熱を取り戻したのか? それはもちろん、控え目に言っても晩年のロバート・プラントやジョン・メレンキャンプに威厳を与えたプロデューサー、T・ボーン・バーネットの手腕による」と評した[16]。また、Jon Parelesは2008年8月24日付の『ニューヨーク・タイムズ』紙において「スタジオ・ライヴによる演奏は、とても気の利いたクラブにおける、深夜の部のステージを思わせる」「キングのブルースの痛み、怒り、気品、そして鋭利さは、衰え知らずの本物である」と評している[17]。
収録曲
[編集]- シー・ザット・マイ・グレイヴ・イズ・ケプト・クリーン - "See That My Grave Is Kept Clean" (Lemon Jefferson, Furry Lewis) – 4:49
- アイ・ゲット・ソー・ウィアリー - "I Get So Weary" (Jean Williams) – 4:17
- ゲット・ジーズ・ブルース・オフ・ミー - "Get These Blues Off Me" (Lee Vida Walker) – 4:30
- ハウ・メニー・モア・イヤーズ - "How Many More Years" (Chester Burnett) – 3:10
- ウェイティング・フォー・ユア・コール - "Waiting for Your Call" (T-Bone Walker) – 6:02
- マイ・ラヴ・イズ・ダウン - "My Love Is Down" (Lonnie Johnson) – 5:25
- ザ・ワールド・ゴーン・ロング - "The World Gone Wrong" (Mississippi Sheiks) – 4:24
- ブルース・ビフォア・サンライズ - "Blues Before Sunrise" (John Lee Hooker) – 4:21
- ミッドナイト・ブルース - "Midnight Blues" (John Willie "Shifty" Henry) – 3:49
- バックウォーター・ブルース - "Backwater Blues" (L. Johnson) – 7:36
- シッティン・オン・トップ・オブ・ザ・ワールド - "Sitting on Top of the World" (Mississippi Sheiks) – 3:41
- トゥモロウ・ナイト - "Tomorrow Night" (L. Johnson) – 5:00
参加ミュージシャン
[編集]- B.B.キング - ボーカル、リードギター
- ジョニー・リー・シェル - ギター(on #1, #4, #5, #6, #9, #11)
- スティーヴン・ブルトン - ギター(on #12)
- ドクター・ジョン - ピアノ(all songs)
- ニール・ラーセン - ハモンドオルガン(on #1, #3, #5, #9)
- ネイザン・イースト - アコースティックベース(all songs)
- マイク・エリゾンド - エレクトリックベース(on #1, #2, #4, #5, #12)
- ジム・ケルトナー、ジェイ・ベラローズ - ドラムス、パーカッション(all songs)
- ダレル・レナード - トランペット(#1を除く全曲)、ホーン・アレンジ(on #2, #4, #6, #7, #8, #9, #11, #12)
- ジェフ・マルダー - ホーン・アレンジ(on #3, #6, #10)
- スヌーキー・ヤング - トランペット(on #2, #4, #12)
- アイラ・ネプス - トロンボーン(on #2, #3, #4, #6, #7, #8, #9, #10, #11, #12)
- キース・フィドモント - アルト・サクソフォーン(on #3, #7, #8, #9, #11)
- ジェフリー・クレイトン - アルト・サクソフォーン(on #6, #10)
- リッキー・ウッダード - テナー・サクソフォーン(on #2, #3, #4, #6, #7, #8, #9, #10, #11, #12)
- チャールズ・オーウェンズ - テナー・サクソフォーン(on #2, #4, #12)
- トーマス・ピーターソン - テナー・サクソフォーン(on #6)、バリトン・サクソフォーン(on #10)
- アーニー・フィールズ・ジュニア - バリトン・サクソフォーン(on #2, #3, #4, #6, #7, #8, #9, #11, #12)
脚注
[編集]- ^ a b CD英文ブックレット内クレジット
- ^ a b “B.B. King Chart History - Billboard 200”. Billboard. 2019年11月7日閲覧。
- ^ B.B. King - One Kind Favor - dutchcharts.nl
- ^ B.B. King - One Kind Favor - hitparade.ch
- ^ ultratop.be - B.B. King - One Kind Favor
- ^ italiancharts.com - B.B. King - One Kind Favor
- ^ a b lescharts.com - B.B. King - One Kind Favor
- ^ Kielty, Martin (2015年5月15日). “B.B. King dead at 89”. loudersond.com. Future plc. 2019年11月7日閲覧。
- ^ Lewis, Randy (2008年9月8日). “B.B. King's not ready to be a museum piece”. Los Angeles Times. 2019年11月7日閲覧。
- ^ Berkery, Patrick (2009年). “Jay Bellerose: All In A Year's Work”. Modern Drummer. 2019年11月7日閲覧。
- ^ a b Erlewine, Stephen Thomas. “One Kind Favor - B.B. King”. AllMusic. 2019年11月7日閲覧。
- ^ Wilkinson, Carl (2008年9月13日). “Soundtrack of my life: BB King”. The Guardian. Guardian News and Media. 2019年11月7日閲覧。
- ^ “B.B.キングの4CDオールタイム・ベスト『Ladies And Gentlemen… Mr. B.B. King』が日本語ブックレット付限定直輸入盤国内仕様で登場”. amass.jp (2015年7月19日). 2019年11月7日閲覧。
- ^ “B.B. King Chart History - Blues Albums”. Billboard. 2019年11月7日閲覧。
- ^ “B.B. King - Artist”. GRAMMY.com. Recording Academy. 2019年11月7日閲覧。
- ^ Kemp, Mark (2008年9月4日). “One Kind Favor”. Rolling Stone. 2019年11月7日閲覧。
- ^ “New Music From the Game, B.B. King and Solange”. The New York Times (2008年8月24日). 2019年11月7日閲覧。