ラゴズィン・システム
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ラゴズィン・システム (Ragozin System) は、チェスのオープニングの1つで、クイーンズ・ギャンビット・ディクラインド (1.d4 d5 2.c4 e6) の一変化である。1.d4 d5 2.c4 e6 3.Nc3 Nf6 4.Nf3 Bb4で出来た形がラゴズィン・システムの基本形である[1]。
ニムゾ・インディアン・ディフェンスによく似たオープニングで[2]、ニムゾ・インディアンからの手順前後でこのオープニングになることもある[3]。1960年に東ドイツ(当時)のライプツィヒで開催された第14回チェス・オリンピアードで対局されたジツェスク対フィッシャー戦では1.d4 Nf6 2.c4 e6 3.Nc3 Bb4と指されニムゾ・インディアンになったが[4]、その後4.e3 0-0 5.Bd3 d5 6.Nf3 Nc6と進行しラゴズィン・システムに変化した[5]。
主な変化
[編集]5.e3 0-0 6.Bd3 Nc6 7.0-0 dc 8.Bxc4 Bd6 9.Bb5 e5 10.Bxc6 ed 11.Nxd4 bc 12.Nxc6 Qd7[2][6]
この進行は形勢互角である[6]。
白の5手目では他に5.cdや5.Qa4+と指す手もある[2]。5.cdと指すと5.… ed 6.Bg5 h6 7.Bh4 g5 8.Bg3 Ne4 9.Nd2! Nxc3 10.bc Bxc3 11.Rc1 Ba5と進行し[2]、5.Qa4+と指すと5.… Nc6 6.e3 0-0 7.Bd2 a6 8.Qc2 dc 9.Bxc4 Bd6と進行する[2]。なお5.Bg5と指すとヴィエナ・ヴァリエーションに変化し[2]、5.Qb3と指すと5.… Nc6 6.e3と進行しニムゾ・インディアンに変化する[2]。
白の6手目では他に6.Bd2と指す手もある[2]。以下6.… Nc6 7.a3 Bxc3 8.Bxc3 Ne4と進行する[2]。この手順中白の7手目で7.Qc2と指すと7.… dc 8.Bxc4 Bd6 9.Bb5 e5と進行する[2]。
白の7手目で7.a3と指す手は1961年に対局されたレシェフスキー対フィッシャー戦で白のレシェフスキーが指した手で[7]、以下7.… Bxc3+ 8.bc Na5 9.Nd2 c5 10.0-0 b6 11.cd ed 12.f3 Re8と進行し互角の形勢となった[7]。
白の8手目で8.a3??と指すと8.… Bxc3 9.bc cdと進行し白は駒損になる[7]。
黒の8手目で8.… Bxc3と指すと白に9.bcと指され白のポーンの形が良くなる[8]。また8.… Bd7と指しても9.h3 Bd6 10.e4 e5 11.Bg5と進行し白が指しやすい展開となる[2]。
白の9手目では他に9.Nb5や9.Qc2と指す手もあるがどちらの手も形勢互角の展開となる[9]。9.Nb5と指すと9.… Be7 10.h3 a6 11.Nc3 Bd6 12.e4 e5と進行し[9]、9.Qc2と指すと9.… e5 10.h3 Qe7 11.Bd2 Bd7 12.Rae1 Rae8と進行する[9]。
黒の9手目で9.… Ne7と指すのは弱気な手[9]。
白の10手目で10.deと指すと黒に10.… Nxe5と指され白の9手目の意味が無くなる[9]。また10.d5と指しても黒に10.… Ne7と指された後11.e4 c6と進行し黒にポーンの交換を強要され白が指しにくくなる[9]。
黒の10手目で10.… bcとビショップを取ると白に11.deと指されてビショップとナイトをフォークされて黒は駒損になる[6]。また10.… e4??と指すと白に11.Bxe4と指されてビショップを逃げられてしまう[6]。
白の11手目では他に11.Bxb7や11.edと指す手もある[6]。11.Bxb7と指すと11.… Bxb7 12.Nxd4 Qd7と進行し形勢互角[6]。11.edと指す手は前述のジツェスク対フィッシャー戦で白のジツェスクが指した手で[6]、以下11.… Bxb7 12.Bg5 Re8 13.Qd3 c5 14.dc?? Bxh2+と進行し白のジツェスクが投了した[10]。この後15.Nxh2とビショップを取っても黒に15.… Qxd3とクイーンを取られクイーンとビショップの交換になり勝負にならない[11]。
参考文献
[編集]- 有田謙二 著 『チェス・マスター・ブックス 1 定跡と戦い方』 河出書房新社、1980年1月25日初版発行、2010年9月30日新装版初版発行、ISBN 978-4-309-73141-4[12]
- 有田謙二 著 『チェス・マスター・ブックス 5 やさしい実戦集』 河出書房新社、1976年6月15日初版発行