ヤガラ科
ヤガラ科 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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アオヤガラ Fistularia commersonii
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Cornetfish | ||||||||||||||||||||||||||||||
下位分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
本文参照
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ヤガラ科(ヤガラか、学名:Fistulariidae)は、トゲウオ目に所属する魚類の分類群の一つ。ヤガラ属(ヤガラぞく、学名: Fistularia)のみ1属で構成され、アオヤガラ・アカヤガラなど4種が含まれる[1]。科名の由来は、ラテン語の「fistula(パイプ)」から[2]。簳(矢の棒状の長い部分)のように細長い魚で矢柄とも書く。
分布・生態
[編集]ヤガラ科の魚類はすべて海水魚で、太平洋・インド洋・大西洋の熱帯・亜熱帯域に広く分布する[1]。日本近海からはアカヤガラ(Fistularia petimba)およびアオヤガラ(F. commersonii)の2種が知られ、前者は高級食用魚として珍重される[3]。このほか、マダラヤガラ(F. tabacaria)は大西洋、F. corneta は東部太平洋に限局して分布する[2]。
本科魚類はサンゴ礁や岩礁などの比較的浅い海で生活し、小魚や甲殻類を主に捕食する[1]。細長い筒状の口を使って、岩やサンゴの間に潜む獲物を吸い込むことに適応している[1]。
アカヤガラは味の良い魚で入荷量が少ない、白身の高級魚として扱われる。椀物、鮨種、刺身で食べられる。大阪や山陰地方では大砲(たいほう)、九州北部では笛魚、鹿児島では笛吹、沖縄ではヒーフチャー(火吹竹の意)と呼ばれる[4]。また、ヤガラは弓矢の矢の幹の部分(矢柄)から来ている[4]。
形態
[編集]ヤガラ科の仲間は細長い体型をもち、吻(口先)は細長く筒状に発達する[1]。最大で全長1.8mにまで達するが、通常は1m未満であることが多い[1]。近縁のヘラヤガラ科とよく似た外見を有するものの、ヤガラ類は口ヒゲをもたず、肛門の開口部が腹鰭のすぐ後ろに位置するなど、形態学的な差異は比較的大きい[1]。体表には鱗がなく、一部の種類では小突起が列状に並ぶ[1]。側線はよく発達し、背部正中に弧を描きながら尾鰭鰭条にまで達する[1]。
背鰭と臀鰭は棘条を欠き、いずれも13-20本の軟条で構成される[1]。尾鰭は二又に分かれ、中央の2本の鰭条が著しく伸長する[1]。椎骨は76-87個で、腹椎の2本の突起のうち後方のものは退縮傾向を示す[1]。
分類
[編集]ヤガラ科にはNelson(2016)の体系において1属4種が認められている[1]。
- ヤガラ属 Fistularia
- アオヤガラ Fistularia commersonii Rüppell, 1838 (Blue-spotted cornetfish)
- アカヤガラ Fistularia petimba Lacépède, 1803 (Red cornetfish)
- マダラヤガラ[5] Fistularia tabacaria Linnaeus, 1758 (Cornetfish)
- Fistularia corneta Gilbert & Starks, 1904 (Pacific cornetfish)
出典・脚注
[編集]参考文献
[編集]- Joseph S. Nelson 『Fishes of the World Fifth Edition』 John Wiley & Sons, Inc. 2006年 ISBN 978-1-118-34233-6
- 岡村収・尼岡邦夫監修 『日本の海水魚』 山と溪谷社 1997年 ISBN 4-635-09027-2
外部リンク
[編集]- FishBase‐ヤガラ科 (英語)