モンツァ・ラリーショー
モンツァ・ラリーショー(Monza Rally Show)は、イタリアのモンツァで開催されるラリーイベントである。
概要
[編集]1978年よりモンツァ・サーキットで開催されている。イタリアのモータースポーツシーズンが休暇に入る12月に行われる年末恒例のお祭り的イベントであり、世界ラリー選手権 (WRC) の現役ドライバーを含め、二輪・四輪問わず様々なカテゴリから選手が参加する。2017年は22台のWRCカーを含め全105台・210名が参戦し、55,000人の観客を動員した[1]。
とりわけ、MotoGPのレジェンド、バレンティーノ・ロッシはこのイベントに熱を入れており、WRCドライバー並みにワールドラリーカーを運転し、個人最多優勝記録(7勝)を持っている[2]。
F1イタリアGPの舞台となるロードコースを含め、モンツァ公園内にあるサーキットの広い敷地を利用し、ユニークなSSが設定されている。ピットレーンやホームストレート上に障害物を置いてジムカーナ風のタイムアタックをしたり、未舗装のサービスロードをダートトライアル風に走ったり、現在は閉鎖されている傾斜の付いたオーバルトラックの一部も走行する。
3日間の日程で8から10ステージを走行し、総合タイムで順位を争う。また、最終日には1対1勝ち抜きトーナメント方式の「マスターズ・ショー」も行われる。
ラリー・モンツァ
[編集]2020年は新型コロナウイルス感染症の世界的流行によりヨーロッパ圏外のWRCイベントが相次いで中止となり、国際自動車連盟 (FIA) が選手権カレンダーを再編した結果、公式競技会ではない当イベントがACIラリー・モンツァ (ACI Rally Monza) [3]として追加され、WRC初開催に至った[4]。イタリア本土でのWRC開催は2003年サンレモ以来。ただし、感染予防のため無観客開催となった。
WRCイベントとしてはSS総距離200kmを超えることが条件とされたため、金曜日・日曜日はサーキットを舞台としながら、土曜日のみモンツァから東北に移動し、ベルガモ北側のコモ湖周辺の山岳道路を使用する公道ステージが加えられた。
イベント期間中は低温・大雨の過酷なコンディションとなり、急遽スノータイヤ(スタッドレス)の使用が認められた[5]。山岳コースでは降雪に見舞われ、ポイントリーダーのエルフィン・エヴァンスがコースオフしてリタイア[6]。初のWRC王者を目前にして、14ポイント差を付けていたチームメイトのセバスチャン・オジェに逆転を許すというドラマが生まれた[7]。
2021年はリザーブ扱いとなっていたが、9月に最終戦ラリージャパンが開催中止を発表し、2年連続のWRC開催が決まった[8]。日程は金曜日・土曜日は午前中に山岳コース、午後はサーキット、日曜日はサーキットという形に変更された。
2022年からラリー1規定が導入されるため、この一戦は1997年以来続いてきたワールドラリーカーの最後のステージとなった。この年一杯でレギュラー参戦を終えるオジェが2年連続優勝し、通算8度目のチャンピオンを獲得した[9]。
歴代勝者
[編集]年 | 優勝者 | 車輌 | |||||
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ドライバー | コ・ドライバー | ||||||
1978年 | フェデリコ・オルメッツァーノ | レナート・ジェノバ | ポルシェ・911カレラRS2.7 グループ3 | ||||
1979年 | ラファエレ・ピント | ファビオ・ペナリオール | フェラーリ・308GTB グループ4 | ||||
1980年 | フェデリコ・オルメッツァーノ | レナート・ジェノバ | ポルシェ・911SC グループ4 | ||||
1981年 | クラウディオ・ベロ | ランチア・ストラトス グループ4 | |||||
1982年 | |||||||
1983年 | アダルティック・ヴォダフィエリ | ティツィアナ・ボルギ | ランチア・ラリー037 グループB | ||||
1984年 | アッティリオ・ベッテガ | マウリツィオ・ペリシノ | |||||
1985年 | アダルティック・ヴォダフィエリ | ティツィアナ・ボルギ | |||||
1986年 | ジャンフランコ・クニコ | ジャンルイジ・スカルヴィーニ | |||||
1987年 | フルヴィオ・バチェッリ | パオロ・スポロン | |||||
1988年 | マルコ・ブランド | マリア・レヒライトナー | |||||
1989年 | ダリオ・セラート | ジュゼッペ・チェッリ | アルファロメオ・75 IMSA | ||||
1990年 | ジャンフランコ・クニコ | ステファノ・エヴァンジェリスティ | BMW・M3 グループA | ||||
1991年 | アンドレア・ザヌッシ | パオロ・アマティ | |||||
1992年 | ニコラ・ラリーニ | アルナルド・ベルナキーニ | アルファロメオ・155GTA S1 | ||||
1993年 | アンドレア・ザヌッシ | パオロ・アマティ | フォード・エスコートRSコスワース S1 | ||||
1994年 | ジョルジオ・フランシア | モニカ・ブレゴリ | アルファロメオ・155 V6 TI DTM | ||||
1995年 | マルコ・スピネッリ | シルヴィオ・ペルリーノ | フォード・エスコートRSコスワース グループA | ||||
1996年 | フォード・エスコートRSコスワース グループS | ||||||
1997年 | アルナルド・ベナキーニ | トヨタ・セリカGT-FOUR (ST205型) グループA | |||||
1998年 | アンドレア・ダラヴィラ | ダニエレ・ヴェルヌッチョ | スバル・インプレッサWRC | ||||
1999年 | レナート・トラヴァリア | フラヴィオ・ザネッラ | プジョー・306 Maxi (フォーミュラ2) | ||||
2000年 | リナルド・カペッロ | ディノ・ザナッタ | スバル・インプレッサWRC | ||||
2001年-2002年 | 開催されず | ||||||
2003年 | アレッサンドロ・バタグリン | ジャンニ・マルキ | トヨタ・カローラWRC | ||||
2004年 | リナルド・カペッロ | ルイジ・ピローロ | シュコダ・ファビアWRC | ||||
2005年 | |||||||
2006年 | バレンティーノ・ロッシ | カルロ・カッシーナ | フォード・フォーカスWRC | ||||
2007年 | |||||||
2008年 | リナルド・カペッロ | ルイジ・ピローロ | |||||
2009年 | シトロエン・C4 WRC | ||||||
2010年 | ダニ・ソルド | ディエゴ・バジェホ | |||||
2011年 | リナルド・カペッロ | ディノ・ザナッタ | スバル・インプレッサ WRC | ||||
2012年 | セバスチャン・ローブ | セヴェリン・ローブ | シトロエン・DS3 WRC | ||||
2013年 | ダニ・ソルド | マルク・マルティ | シトロエン・DS3 WRC | ||||
2014年 | ロバート・クビサ | アレサンドラ・ベネデッティ | フォード・フィエスタ RS WRC | ||||
2015年 | バレンティーノ・ロッシ | カルロ・カッシーナ | |||||
2016年 | |||||||
2017年 | |||||||
2018年 | フォード・フィエスタWRC | ||||||
2019年 | アンドレア・クルニョーラ | マルコ・ベルゴンツィ | フォルクスワーゲン・ポロGTI R5 | ||||
2020年 | セバスチャン・オジェ | ジュリアン・イングラシア | トヨタ・ヤリスWRC | ||||
2021年 |
脚注
[編集]- ^ “MotoGPライダーのロッシが4輪競技で3連覇!? モンツァ・ラリーショーって何だ?”. Motorz (2018年1月7日). 2022年9月19日閲覧。
- ^ “モンツァ・ラリー ショー (Monza Rally Show) - ロッシ全力疾走で完全優勝” (2018年12月13日). 2022年9月19日閲覧。
- ^ Automobile Club d'Italia(イタリア自動車クラブ)。
- ^ “WRC最終戦にラリーモンツァを追加、2020年は全8戦に”. ラリープラス.net. (2020年10月9日) 2022年9月19日閲覧。
- ^ “FIA、ラリー・モンツァのスノータイヤを承認”. ラリーXモバイル. (2020年12月2日) 2022年9月19日閲覧。
- ^ “WRCモンツァ3日目は雪山での戦い。最終日を前に選手権首位のエバンスがまさかのコースオフ”. autosport web. (2020年12月6日) 2022年9月19日閲覧。
- ^ “WRC最終戦:トヨタのオジエが優勝で7度目の王座獲得! メーカー選手権はヒュンダイに軍配”. autosport web. (2020年12月6日) 2022年9月19日閲覧。
- ^ “WRC、ラリージャパンの代替として2021年最終戦にモンツァ開催を発表”. ラリープラス.net. (2021年9月14日) 2022年9月19日閲覧。
- ^ “WRCモンツァ:オジエ/イングラシアが優勝で8度目の王者、チームはマニュファクチャラーズタイトルを獲得”. ラリープラス.net. (2021年11月22日) 2022年9月19日閲覧。
- ^ https://www.monzanet.it/?option=com_content&view=article&id=124&Itemid=53&lang=it