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メチレントリフェニルホスホラン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
メチレントリフェニルホスホラン
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識別情報
CAS登録番号 3487-44-3 チェック
PubChem 137960
ChemSpider 121606
UNII 8GN8K95F62 チェック
特性
化学式 C19H17P
外観 黄色の固体
密度 1.19 g/cm3
への溶解度 分解する
溶解度 テトラヒドロフランに溶ける
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

メチレントリフェニルホスホラン英語: methylenetriphenylphosphorane)は、化学式が Ph3PCH2 で表される有機リン化合物である。一般に、ウィッティヒ試薬英語版として知られるリンイリドである。高極性、高塩基性種である。

合成と用途

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メチレントリフェニルホスホランは、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド英語版から、ブチルリチウムのような強塩基を用いて脱プロトン化することにより合成する[1]

Ph3PCH3Br + BuLi → Ph3PCH2 + LiBr + BuH

一般に、ホスホランは単離されず、in situで使用される。この炭素酸のpKaは15近くと推定される[2]。ブチルリチウムの代わりにカリウム tert-ブトキシドも使用されている[3]。塩基にナトリウムアミドも使われる[4]

メチレントリフェニルホスホランは、アルデヒドケトンの酸素をメチレン基に置換するメチレン化英語版に用いられる。

R2CO + Ph3PCH2 → R2C=CH2 + Ph3PO

リンを含む生成物は、トリフェニルホスフィンオキシドである。

構造

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無色イリドの結晶学的特性は、リン原子がほぼ四面体型であることが明らかである。PCH2中心は平面で、P=CH2の距離は1.661 Åで、P-Phの距離(1.823 Å)よりもはるかに短い[5]。この化合物は2つの共鳴構造として説明される。

Ph3P+CH2 ↔ Ph3P=CH2

使用

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メチレントリフェニルホスホランは有機合成化学においてよく使われる化合物である[6]

メチレントリフェニルホスホランを用いたウィッティヒ反応の例

関連試薬

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出典

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  1. ^ Wittig, Georg; Schoellkopf, U. (1960). “Methylenecyclohexane”. Organic Syntheses 40: 66. doi:10.15227/orgsyn.040.0066. 
  2. ^ Ling-Chung, Sim; Sales, Keith D.; Utley, James H. P. (1990). “Measurement of pKa Values for Phosphonium Salts via the Kinetics of Proton Transfer to an Electrogenerated Base”. Journal of the Chemical Society, Chemical Communications (9): 662. doi:10.1039/C39900000662. 
  3. ^ Fitjer, L.; Quabeck, U. Synthetic Communications 1985, 15(10), 855–864.
  4. ^ F. A. Bottino, G. Di Pasquale, A. Pollicino, A. Recca and D. T. Clark (1990). “Synthesis of 2-(2-hydroxyphenyl)-2H-benzotriazole monomers and studies of the surface photostabilization of the related copolymers”. Macromolecules 23 (10): 2662–2666. Bibcode1990MaMol..23.2662B. doi:10.1021/ma00212a011. 
  5. ^ Bart, J. C. J. (1969). “Structure of the non-stabilized phosphonium ylid methylenetriphenylphosphorane”. Journal of the Chemical Society B 1969: 350–365. doi:10.1039/J29690000350. 
  6. ^ B. E. Maryanoff & A. B. Reitz (1989). “The Wittig olefination reaction and modifications involving phosphoryl-stabilized carbanions. Stereochemistry, mechanism, and selected synthetic aspects”. Chem. Rev. 89 (4): 863–927. doi:10.1021/cr00094a007.