ホザキイチヨウラン
ホザキイチヨウラン | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
分類(APG III) | |||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||
Malaxis monophyllos (L.) et Sw.[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ホザキイチヨウラン |
ホザキイチヨウラン(穂先一葉蘭、学名:Malaxis monophyllos (L.) et Sw.[1])は、ラン科ヤチラン属に分類される多年生の1種[4][5][6][7][8]。種小名のmonophyllosは、1葉を意味する[8]。和名は花が1穂になって開くことに由来する[8]。ホザキイチヨウラン属(Microstylis)に分類されることもある[2][8]。
特徴
[編集]鱗茎は短しょうをかぶり、地上に露出する[7]。高さ15-30 cm[4][5]。葉は長さ4-8 cm、幅3-5 cmの広卵形で[4]、鈍頭[6]、基部は葉梢となって茎を抱く[5]。縁辺は平滑、軟質で黄緑色を帯びる[7]。根生し[7]、ふつう1個しかつかなしが、まれに2個つくものもあり[4][8]、ホザキフタバランと呼ばれるが、これは肥えた株のようで特に区別するものではないと見られている[6]。葉柄は直立する[7]。
-
葉は広卵形で基部は茎を抱く、ふつうは1枚で根生する
花は淡緑色で総状[8]にやや密に[6]多数つき[4]、直径2.5-3 mm、50個以上つけることがある[7]。苞は3角状披針形、長さ1-2 mm、鋭尖頭[6]。萼片は長さ2.5 mmの披針形で開出して[6]そり返る[4]。側花弁は線形で萼片と同長[4][5]、上半分は急に細く突き出し、やや鋭頭、下半分は腎円形、4個[6]。唇弁は卵円形で先は急に細くとがり、花の上側にあり[4]、3脈をもつ[7]。内花披2片と背部外半披片は下向き[7]。距はない[4]。蕊柱は極めて短い[6]。花期は7-8月[4][5][6][7]。果実は蒴果で倒頭形、直立し、梗があり、長さ6 mm[7]、初秋に熟す[8]。
-
花は淡緑色で総状にやや密に多数つく
-
果実は蒴果で倒頭形、直立し、梗がある
分布と生育環境
[編集]北半球北部[4](ヨーロッパ、ヒマラヤ、シベリア、樺太、中国、台湾、朝鮮半島、日本、北アメリカ[6])の亜寒帯、温帯北部に広く[8]分布する[5]。基準標本はドイツ北部のもの[4][7]。
日本では、北海道、本州(近畿地方以北)、四国(剣山、石鎚山)に分布する[4][6]。
山地帯上部から亜高山帯の針葉樹林やブナ林[5]の林内に生育する[4]。
種の保全状況評価
[編集]日本では環境省による国レベルのレッドリスト受けていないが[9]、以下の都道府県のレッドリストで指定を受けている。
- 絶滅危惧IA類 - 秋田県[10]、山形県[11]、群馬県[12]、東京都本土部、西多摩地区[13]、神奈川県[14]、徳島県[15]、高知県[16]
- Aランク - 岩手県[17]
- 絶滅危惧I類 - 富山県[18]、岐阜県[19]
- 県域絶滅危惧I類 - 福井県[20]
- 絶滅寸前種 - 奈良県[21]
- 絶滅危惧IB類 - 福島県[22]、愛媛県[23]
- 絶滅危惧II類 - 埼玉県[24]、新潟県[25]、石川県[26]
- 準絶滅危惧 - 山梨県[27]、長野県[28]
- 要注目種 - 静岡県[29]
脚注
[編集]- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “ホザキイチヨウラン”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月27日閲覧。
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “ホザキイチヨウラン”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月27日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2012年5月12日). “ホザキイチヨウラン”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月27日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 豊国 (1988)、101頁
- ^ a b c d e f g 門田 (2013)、101頁
- ^ a b c d e f g h i j k 佐竹 (1982)、220頁
- ^ a b c d e f g h i j k 小野 (1987)、684頁
- ^ a b c d e f g h 牧野・本田 (1982), p. 787
- ^ “環境省レッドリスト2020の公表について”. 環境省 (2020年3月27日). 2023年12月27日閲覧。
- ^ “「秋田県の絶滅のおそれのある野生生物 秋田県版レッドデータブック2014-維管束植物-」の発刊について”. 秋田県. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “山形県第2次レッドリスト(植物編)について(2013年度改訂版)・山形県レッドリスト(植物編)” (PDF). 山形県. pp. 8. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “群馬県の絶滅のおそれのある野生生物 植物編(2022年改訂版)植物レッドリスト” (PDF). 群馬県. pp. 2. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “東京都レッドデータブック”. 東京都. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “神奈川県レッドデータブック2022 植物編” (PDF). 神奈川県. pp. 135. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “徳島県版レッドデータブック(レッドリスト)”. 徳島県. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “高知県レッドリスト(植物編)2020年改訂版” (PDF). 高知県. pp. 43. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “いわてレッドデータブック 岩手の希少な野生生物 web版・ホザキイチヨウラン”. 岩手県. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “富山県の絶滅のおそれのある野生生物-レッドデータブックとやま2012-・分類別(維管束植物)”. 富山県. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “岐阜県レッドリスト(植物編)改訂版・ホザキイチヨウラン” (PDF). 岐阜県. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “改訂版 福井県の絶滅のおそれのある野生動植物・維管束植物” (PDF). 福井県. pp. 310. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “レッドデータブック2016改訂版 選定種目録(奈良県レッドリスト)・維管束植物” (PDF). 奈良県. pp. 9. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “ふくしまレッドリスト(2022年版)について・維管束植物” (PDF). 福島県. pp. 21. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “高等植物 ホザキイチヨウラン - 愛媛県レッドデータブック”. 愛媛県. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “埼玉県レッドデータブック2011 植物編” (PDF). 埼玉県. pp. 214. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “レッドデータブックにいがた” (PDF). 新潟県. pp. 400. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “いしかわレッドデータブック2020・植物” (PDF). 石川県. pp. 217. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “山梨県レッドデータブックの改訂(平成30年3月公開)・植物” (PDF). 山梨県. pp. 115. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “長野県版レッドリスト(植物編)2014」・維管束植物” (PDF). 長野県. pp. 17. 2023年12月27日閲覧。
- ^ “静岡県版レッドリスト・植物” (PDF). 静岡県. pp. 11. 2023年12月27日閲覧。
参考文献
[編集]- 小野幹雄、林弥栄『原色高山植物大図鑑』北隆館、1987年3月30日。ISBN 4832600079。
- 門田裕一、畔上能力、永田芳男、菱山忠三郎、西田尚道『山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年3月30日。ISBN 978-4635070218。
- 佐竹義輔、大井次三郎、北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本Ⅰ単子葉類』平凡社、1982年1月10日。ISBN 4582535011。
- 豊国秀夫『日本の高山植物』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1988年9月。ISBN 4-635-09019-1。
- 牧野富太郎、本田正次『原色牧野植物大図鑑』北隆館、1982年7月。ASIN B000J6X3ZE。 NCID BN00811290。全国書誌番号:85032603 。
外部リンク
[編集]- ホザキイチヨウランの標本 国立科学博物館標本・資料統合データベース
- ホザキイチヨウランの標本(2016年9月1日に長野県下伊那郡大鹿村で採集) 島根大学生物資源科学部デジタル標本館
- Malaxis monophyllos (L.) Sw. GBIF