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サダソウ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ペペロミアから転送)
サダソウ属
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : モクレン類 Magnoliids
: コショウ目 Piperales
: コショウ科 Piperaceae
: サダソウ属 Peperomia
学名
Peperomia Ruiz & Pav., 1794[1]
タイプ種
Peperomia pellucida (L.) Kunth1816[2]
シノニム
和名
サダソウ属、ペペロミア属
英名
radiator plant[2]
下位分類
14亜属1,600種ほど[3]

サダソウ属サダソウぞく(佐田草属、学名: Peperomia)とは、コショウ科の1つであり、ペペロミア属ともよばれる。コショウ属Piper)と近縁であり、Peperomia とは「コショウに似た」という意味である[要出典]。多くは常緑多年草であり、着生植物となるものも多い。葉はしばしば多肉質で互生対生または輪生する。は非常に小さく両性、花被を欠き、地味な細長い穂状花序が直立する。

1,600種ほどが知られる大きな属であり、世界中の熱帯から亜熱帯域を中心に分布しているが、特に中南米に多い。日本にはサダソウシマゴショウ[注 1]の2種が自生し、ウスバスナゴショウが帰化している。観葉植物として栽培されるが多く、「ペペロミア」と総称される。

特徴

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ふつう常緑多年性ときに一年性草本であり、直立するものから匍匐するものまであり、着生植物となるものも多い[1][4][5][6](下図1a–c, 2)。植物体はしばしば多肉質であり、またときに腺点をもつ[1][4][5][6]。茎の維管束は散在する[1][4]互生対生または輪生する[1][4][5][6]単葉全縁葉脈は掌状、葉柄をもち、ときに盾状(葉柄が裏面につく)、托葉を欠く[1][4][5][6]

1a. Peperomia camptotricha は直立する
1b. Peperomia hoffmannii は匍匐性
1c. Peperomia incana の葉は多肉質

非常に小さなが密について細長い穂状花序を形成する[1][4][5](上図1n, c, 下図d, e)。花序はふつう直立し、頂生または腋生、まれに葉に対生する[1][4][5]。ときに花序が束生する[1][4](下図1d)。例外的に、Peperomia fraseri は分枝した総状の白く目立つ花序を形成する[7](下図1f)。花はふつう両性、花被を欠き、小苞はしばしば円形で盾状、無柄でしばしば花序軸に埋没している[1][4][5][6]雄しべは2個、花糸は短く、雌しべ子房基部につく[1][4][5][6]。雌しべは1個、子房は1室、基底胎座にふつう1個の直生胚珠がつく[1][4][5][6]

1e. Peperomia incana の花序
1f. Peperomia fraseri の花序

果実は小さな球形の核果であるがやや乾燥しており[注 2]、中果皮は薄い[1][6]。ほぼ球形の種子を1個含む[1][6]。果実が粘液や突起で動物に付着することで種子散布される[8]

分布

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2. 樹木に着生した Peperomia rotundifolia

世界中の熱帯から亜熱帯域を中心に、北米南部から南米アフリカマダガスカルアラビア半島南アジアから東アジア東南アジアからオーストラリア北部に分布する[1]。特に中南米で多様性が高く、着生植物として生態的に重要な構成要素である[8](右図2)。

日本では、四国九州から沖縄サダソウ小笠原諸島シマゴショウがそれぞれ自生している[6]

人間との関わり

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多くの種が観葉植物として利用され、「ペペロミア」と総称される[5][9][10][11][12](下図3a)。斑入りなどさまざまな品種も作出されている[10](下図3b, c)。株分け、挿し芽、葉挿しによって増やす[10][11][12]。葉緑体の無い細胞からは栄養繁殖ができないため、斑入りの品種は葉挿しにすると斑が消えてしまう[要出典]。耐寒性が低いため、日本ではふつう室内で育てる[11][12]。腐植質で水はけのよい土を用いる[10][11][12]。比較的乾燥に強いが、過湿に弱い[11][12]。一般的に、強すぎる光も弱すぎる光も好まない[11][12]。病虫害としては、細菌病、疫病、ハダニカイガラムシによるものがある[10][11]

3c. Peperomia caperata 'Rubra'
3d. ウスバスナゴショウ

ペペロミアの花言葉とは、「艷やか」や「可愛らしさ」、「片思い」[11]

ウスバスナゴショウ(Peperomia pellucida)(上図3d)は南米原産であるが東南アジアなどで野生化しており、ベトナムなどでは香辛料として茎を生食する[9]。また一部の種は、皮膚病やぜんそく、腫瘍に対する生薬として利用される[9]

主な種

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ギャラリー

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脚注

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注釈

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  1. ^ a b 沖縄などで香辛料とされる「島胡椒」の原料はコショウ属ヒハツモドキであり、本種とは関係ない。
  2. ^ そのため堅果と表現されることもある[4][5]

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x Peperomia”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2022年8月13日閲覧。
  2. ^ a b Peperomia Ruiz & Pav.”. Tropicos v3.3.2. Missouri Botanical Garden. 2022年8月13日閲覧。
  3. ^ Frenzke, L., Scheiris, E., Pino, G., Symmank, L., Goetghebeur, P., Neinhuis, C., ... & Samain, M. S. (2015). “A revised infrageneric classification of the genus Peperomia (Piperaceae)”. Taxon 64 (3): 424-444. doi:10.12705/643.4. 
  4. ^ a b c d e f g h i j k l Peperomia”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2022年8月13日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k Peperomia”. Flora of North America. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2022年8月13日閲覧。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n 米倉浩司 (2015). “コショウ科”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 1. 平凡社. pp. 55–56. ISBN 978-4582535310 
  7. ^ Remizowa, M., Rudall, P. J. & Sokoloff, D. (2005). “Evolutionary transitions among flowers of perianthless Piperales: inferences from inflorescence and flower development in the anomalous species Peperomia fraseri (Piperaceae)”. International Journal of Plant Sciences 166 (6): 925-943. 
  8. ^ a b Stevens, P. F.. “PIPERACEAE”. Angiosperm Phylogeny Website. 2022年8月13日閲覧。
  9. ^ a b c 堀田満 (1997). “サダソウ”. 週刊朝日百科 植物の世界 9. 朝日新聞社出版. pp. 54. ISBN 9784023800106 
  10. ^ a b c d e ペペロミア”. みんなの趣味の園芸. NHK出版. 2022年8月13日閲覧。
  11. ^ a b c d e f g h ペペロミアの育て方”. GreenSnap (2022年4月27日). 2022年8月13日閲覧。
  12. ^ a b c d e f ペペロミアの育て方”. LOVEGREEN. 2022年8月13日閲覧。

外部リンク

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  • Peperomia”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2022年8月13日閲覧。(英語)
  • Peperomia”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2022年8月13日閲覧。(英語)
  • Peperomia”. Flora of North America. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2022年8月13日閲覧。(英語)