バルティスカヤ原子力発電所
バルティスカヤ原子力発電所 | |
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正式名称 | Балтийская АЭС |
国 | ロシア |
所在地 | カリーニングラード州 ネマン |
座標 | 北緯54度56分20秒 東経22度09分40秒 / 北緯54.93889度 東経22.16111度座標: 北緯54度56分20秒 東経22度09分40秒 / 北緯54.93889度 東経22.16111度 |
現況 | 建設中 |
着工 | 2010年2月25日年 |
運転開始 | 2017 (expected) |
事業主体 | ロスエネルゴアトム |
開発者 | Inter RAO UES |
原子炉 | |
建設中 | 1 × 1,170 MWe |
計画中 | 1 × 1,170 MWe |
種類 | VVER-1200 |
原子炉製造元 | アトムエネルゴプロム |
発電量 | |
最大出力 | 2,340 MWe |
ウェブサイト baltnpp.rosenergoatom.ru | |
2012年3月13日現在 |
バルティスカヤ原子力発電所(ロシア語: Балтийская атомная электростанция)はロシアのカリーニングラード州ネマン南東13kmに建設中の原子力発電所[1][2]。一般的にカリーニングラード原発(ロシア語: Калининградская АЭС)としても知られる。これはリトアニアのヴィサギナス原子力発電所やポーランドのジャルノビエツ原子力発電所の建設計画のカウンタープロジェクトと見られており、エネルギー面だけでなく地政学的な計画とも見られている[3][4][5][6]。
経緯
[編集]原子力発電所は天然ガス発電に置き換えるカリーニングラード州の安定した電力供給源と予見されている。「目下エネルギーをNATO諸国から輸入しているため」カリーニングラード州がこの発電所を必要とすると述べられている[5]。余剰電力はEUへ売却することが計画されている[2][6][7]。
ロスアトムの副ジェネラル・ディレクターのセルゲイ・ボイアルキン (Sergey Boyarkin) によれば、1号機はカリーニングラード州の需要を満たし、2号機が発電した電気が販売される予定である[8]。電力の輸出先はリトアニア、ポーランド、ドイツなどの名前が挙げられている[9][10]。
セルゲイ・ボイアルキンはリトアニアのイグナリナ原子力発電所の停止と環境規制の準拠のためのポーランドの石炭火力発電所の廃止計画によって、2015年ごろまでバルト地域はエネルギー危機に直面しているとしており[11][7]、また、バルト諸国がロシアの電力網から非同期化し欧州大陸同期送電網(ENTSO-E送電網)に参加した場合カリーニングラード州はロシア本土の電力供給から孤立するとしている[11]。さらに、彼はカリーニングラード州にベラルーシやリトアニアを通して電力を送るスモレンスク原発からの電力送電の信頼性の欠如や技術的な問題について述べている[8]。
一方、この計画はリトアニアのヴィサギナス原発のカウンタープロジェクトとも見られている[7][3][4]。ロシアはリトアニアが国内に原子力発電所を建設するのではなく、バルティスカヤ原発に参加するように促している。[10]
歴史
[編集]建設枠組み合意は2008年4月16日にロスアトム代表取締役社長セルゲイ・キリエンコとカリーニングラード州知事ゲオルギー・ボースの間で調印された。当時ロシア首相であったウラジーミル・プーチンは2009年9月、2300MWの発電所の建設命令に調印した[1]。建設地の準備作業は2010年2月25日から始まった[12][13]。建設開始は2011年4月が見込まれていたが、2012年2月まで遅れることとなった[14]。1号機の公式な建設開始は福島第一原子力発電所事故以来最初の原発建設開始であった。
技術特徴
[編集]バルティスカヤ原発はAES-2006標準設計構成のVVER-1200/491を2基建設する予定で、原子炉はそれぞれが1150MWeの出力で、アトムストロイエクスポルトが提供する[2]。
1号機は建設が2010年に始まり2017年からの運用が計画されており、2号機は2012年から建設が始まり2018年に完成する予定であった[1]。費用は68億ユーロ(約88億米ドル)が見積もられており[15]、設計は2009年の末に完成した。2基の原子炉は将来的にカリーニングラードとバルト地域全域の経済発展を増加させるとしている[16]。
計画設計
[編集]計画はロスアトムの子会社であるInter RAO UESによって開発された[2][17]。ロスアトムによれば、計画の株式の49%は欧州の企業に提供される。これは外国参加で行われるロシア初の原子力発電所である[16]。 計画に参加する企業はまだ決まっていないが、チェコ電力グループ、エネル、イベルドローラなどが興味を示しているとされる[18][19][20]。
原子炉
[編集]以下の2機が計画されている。
原子炉名 | 原子炉形式 | 正味発電量 | 総発電量 | 建設開始 | 商業運転 | 停止 |
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1号機 (Baltiisk 1)[21] | VVER-1200/491 | 1082 MW | 1170 MW | 2012年2月22日 | (2017年) | - |
2号機 (Baltiisk 2)[22] | (2012年) | (2018年) |
外部リンク
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c “Russia to build Kaliningrad nuclear plant”. UPI. (2009年9月29日) 2009年10月14日閲覧。
- ^ a b c d “Nuclear Power in Russia”. World Nuclear Association. (2010年10月25日) 2010年10月31日閲覧。
- ^ a b “Russia plans nuclear plant for Kaliningrad exclave”. The Baltic Times. (2008年4月23日) 2010年10月31日閲覧。
- ^ a b “Kaliningrad plan for Baltic States market”. World Nuclear News. (2008年4月17日) 2010年10月31日閲覧。
- ^ a b Sinitsyna, Tatyana (2008年2月19日). “Nuclear fever in the Baltics”. RIA Novosti 2010年10月31日閲覧。
- ^ a b Sinitsyna, Tatyana (2008年4月21日). “Russia plans nuclear project for Kaliningrad”. RIA Novosti 2010年10月31日閲覧。
- ^ a b c “In Between the Major Powers”. german-foreign-policy.com. German News Information Services GmbH. (2010年5月31日) 2010年10月31日閲覧。
- ^ a b “Nuclear Power Plants: Russians building, Lithuanians planning”. Lietuvos Zinios. The Lithuania Tribune. (2010年6月18日). オリジナルの2011年10月9日時点におけるアーカイブ。 2010年10月31日閲覧。
- ^ “Эксперты: АЭС в Калининградской области решает много проблем [NPP in the Kaliningrad Oblast solves a lot of problems]” (Russian). Rosbalt. (2008年7月21日) 2008年8月6日閲覧。
- ^ a b “Lithuania looks to neighbours for power”. World Nuclear News. (2009年10月14日) 2010年10月31日閲覧。
- ^ a b "Baltic NPP: After 2015 the Baltic region will face energy crisis" (Press release). Rosenergoatom. 2009年7月27日. 2010年10月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年10月14日閲覧。
- ^ “"Росатом" начал строительство Балтийской АЭС [Rosatom started construction of the Baltic NPP to build]” (Russian). RIA Novosti. (2010年2月25日) 2010年10月31日閲覧。
- ^ “Baltic site works”. World Nuclear News. (27 August 2010) 14 March 2012閲覧。
- ^ “Construction starts at Baltic plant”. World Nuclear News. (27 February 2012) 13 March 2012閲覧。
- ^ “Imminent construction of Baltic nuclear power plant”. World Nuclear News. (8 February 2012) 13 March 2012閲覧。
- ^ a b “Строительство АЭС сделает Калининградскую область регионом, через который Россия совершит геополитический прорыв: эксперт [Construction of the NPP makes the Kaliningrad Oblast region through which Russia achieves geopolitical breakthrough: expert]” (Russian). REGNUM News Agency. (2008年4月17日) 2008年8月6日閲覧。
- ^ “Строительство АЭС даст колоссальный толчок для развития Калининградской области: эксперт [Construction of the NPP gives a tremendous boost to the development of Kaliningrad Oblast: expert]” (Russian). REGNUM News Agency. (2008年6月26日) 2008年8月6日閲覧。
- ^ “Baltic nuclear plant brought forward”. World Nuclear News. (2008年8月27日) 2010年10月31日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “Enel looks at foreign markets”. World Nuclear News. (2010年4月27日) 2010年10月31日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “Iberdrola looks for new-build opportunities”. World Nuclear News. (2009年8月6日) 2010年10月31日閲覧。[リンク切れ]
- ^ Power Reactor Information System of the IAEA: „Nuclear Power Reactor Details - BALTIISK 1“
- ^ Power Reactor Information System of the IAEA: „Nuclear Power Reactor Details - BALTIISK 2“