バスタニー・ソンナティー
バスタニー・ソンナティー(ペルシア語: بستنی سنتی、bastani sonnati)は、イランの伝統的な冷菓[1][2]。「バスタニー」は「アイスクリーム」。「ソンナティー」は「伝統的な」の意である[1]。サフランを用いているため、バスタニー・ソンナティー・ザアフェラニ(ペルシア語: بستنی سنتی زعفرانی、bastani sonnati zaferani)とも呼ぶ。
バスタニ・ソンナティとも[1]。
概要
[編集]サフラン、ピスタチオ、ローズウォーターを使ったアイスクリームである[1]。サレップも使用されるため、同様にサレップを使用しているトルコのアイスクリーム・ドンドゥルマと同じく粘りがある。ドンドゥルマとは異なり、バスタニー・ソンナティーの見た目は通常のアイスクリームと変わらない[1]。
しゃりしゃりとした食感があるが、これは板状に凍らせた生クリームを割って混ぜ入れることによるものである[1]。昔は牛乳は脂肪分を均質化することができず、生乳に含まれる脂肪球の大きさにばらつきがあったことから、作ったアイスクリームには凍った脂肪の塊ができ、独特の食感を生んでいた[1]。今日の牛乳は乳脂肪が全体に均一に含まれるように加工されており(牛乳#ホモジナイズ参照)、脂肪の塊ができなくなったため、昔ながらの味を再現するための工夫である[1]。
日本の最中の皮にも例えられるような薄い、味のないワッフル状の生地にはさんで食べられることもある[1]。
歴史
[編集]バスタニー・ソンナティーの起源は、紀元前500年代、アケメネス朝ペルシアにまでさかのぼる[3][4]。さまざまなシロップを雪にかけたものは「シャルバット」と呼ばれ、今日のシャーベットやソルベの起源ともなった。
紀元前400年代には、ファールーデが誕生した[5]。これらペルシアの冷菓は、イスラーム教徒のペルシア征服とササン朝ペルシアの崩壊によってペルシアからアラブ人へと広まった[6]。
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i メレンダ千春 (2014年7月18日). “第111回 紀元前生まれの不思議な“かき氷””. ナショナルジオグラフィック. 世界のおやつ探検隊. p. 4. 2024年10月26日閲覧。
- ^ a b “イラン女子旅のポイント!”. エス・ティー・ワールド. 2024年10月26日閲覧。
- ^ “Who Invented Ice Cream? - Ice Cream Inventor” (英語). www.icecreamhistory.net. 2024年10月26日閲覧。 “History of ice creams begun around 500 BCE in the Persian Empire where ice was used in combination with grape juices, fruits, and other flavors to produce very expensive and hard to produce summertime treats.”
- ^ (英語) Book of Firsts. RW Press. ISBN 9781909284296 . "c. 550-330 BC, First mention of flavoured snow or ice : during the Persian Empire"
- ^ “The History of Ice Cream & The Ice Cream Cone” (英語). 2024年10月26日閲覧。
- ^ “علی (ع) و فالوده خوردن با ایرانیان - سالارکتاب: اطلاعات معتبر و مستند” (ペルシア語). سالارکتاب: اطلاعات معتبر و مستند. (2018年6月2日). オリジナルのJune 22, 2018時点におけるアーカイブ。 2024年10月26日閲覧。