アークティック・ロール
アークティック・ロール(英語: Arctic roll)はイギリスの冷たいデザート[1][2]。
概要
[編集]日本語に直訳した場合、「北極のロール(ケーキ)」の意となる[2]。
日本で知られるロールケーキのように渦巻状ではなく、バニラアイスクリームを筒状のスポンジケーキで巻いた菓子である[1][2]。
市販されているものは、冷凍庫で保管しておき、ナイフなどでスライスして食べる[2]。子供のおやつとして食されるほか、生のベリーやソースを添えてデザートとしても食される[2]。
スーパーマーケットでの販売価格は、6人分/1本で1ポンドほどと安価である(2021年時点)[2]。スーパーマッケットのプライベートブランドのアークティック・ロールの中には販売価格が1ポントを下回っているものもあるが、フードライターのナイジェル・スレイターが「凍ったカーペット」と評価するような味の製品もある[2]。
歴史
[編集]チェコスロバキアからの移民で、弁護士のアーネスト・ヴェルデン(Ernest Velden)が考案した[1][2]。ヴェルデンはイギリスの家庭に冷凍庫が普及し、冷凍食品ブームが起きていたの見て、1968年にイングランドのイーストボーンに工場を建設し、生産を始めた[1][2]。1969年には工場の運営をバーズアイ社が引き継いだ[2]。1970年代から1980年代にはイギリス全土に広く知られるようになり、普段の食事の際の、友人や家族を集めて行うホームパーティの際のデザートとして重宝されるようになった[1][2]。1980年代前半には1か月で計25マイル分のアークティック・ロールが製造されていた[2]。
考案者のヴェルデンには、考案の功をもって1983年にOBE勲章が授けられている[1]。
1982年にユニリーバ社から発売されたビエネッタや、アメリカ合衆国で生まれたベイクド・アラスカなどにアイスクリームデザートの人気を奪われる形ともなり[2]、1990年代には人気の陰りから、大手メーカーがアークティック・ロールの生産を中止することもあったが、リーマン・ショックの際に「低価格のデザート」として注目されると共に需要と人気が高まり、2008年にはバーズアイからも再販売されるようになった[1][2]。