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バイカウツギ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
バイカウツギ
バイカウツギ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : キク類 Asterids
: ミズキ目 Cornales
: アジサイ科 Hydrangeaceae
: バイカウツギ属 Philadelphus
: バイカウツギ P. satsumi
学名
Philadelphus satsumi Siebold ex Lindl. et Paxton (1851)[1]
シノニム

バイカウツギ (梅花空木[4]学名: Philadelphus satsumi) とはアジサイ科バイカウツギ属[注釈 1]落葉低木。別名サツマウツギ[1]。山地や丘陵の林内に生え、庭木にもされる。

和名の由来はウメに似た花を咲かせることから、「梅花」(ばいか)の名がある[5]ライラック(学名: Syringa vulgaris)と混同されていた時期があり、共に牧神パンの笛という意味の言葉 Syrinx に由来するシリンガという名前で呼ばれ、一つの属にくくられていた[6]

特徴

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落葉広葉樹の低木で、高さは1 - 3メートルになる[5][4]。樹皮は灰褐色から茶褐色で、リボン状に縦に剥がれ落ちる[4]。若い樹皮は灰褐色で縦に筋が入る[4]。若枝は赤褐色をしている[4]

花期は5 - 6月頃[5]は枝に対生し、葉身の長さは5 - 10センチメートルほどあり、5本の葉脈が目立つ[5]。葉をもむとキュウリの匂いがする[6]。小枝の先から総状花序を出して、直径3センチメートルほどの4弁の白い花を5 - 10個つけて咲かせる[5]果実は9 - 10月に灰緑色に熟す[5]。冬芽は隠芽で葉痕に隠れて見えない。葉痕は三角形で白っぽい色をしており、維管束痕が3個つき、中に冬芽があるため中央が隆起する[4]。春になると、葉痕の表面が裂けて芽吹き始める[4]

分布

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日本では本州四国九州に分布する[5]。丘陵や山地の林内に自生するが、庭木にもなり、園芸植物として世界中で栽培されている[5][4]

16世紀、神聖ローマ帝国の使者オジェール・ギスラン・ド・フズベックによってヨーロッパに紹介された。1597年にはジョン・ジェラードの庭で大量に栽培されていたことが確認されている[6]。ヨーロッパには早くから帰化した[6]。コーツは、ヨーロッパにおける本種の原産地を南東ヨーロッパ小アジアとしている[6]マキシモヴィッチは、ヨーロッパのものは日本のバイカウツギが輸入されたものと考え、北村らもこの意見を支持している[7]

用途

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八重咲き

芳香のある美しい花が咲くことから[5]、鑑賞用に植栽され花は香水の材料として採用される。園芸植物としては匂いが特色とされ、品種の改良はあまり進展しなかった[8]。花の匂いをかぐことによって酩酊したような気分になる人もいる。ジェラードはバイカウツギの匂いの為に眠れなかったことがあると述懐している[6]。またE・A・ボウルズによって花粉症の原因となることが指摘されている[6]

脚注

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注釈

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  1. ^ APG体系クロンキスト体系ではアジサイ科に分類されるが、古い新エングラー体系ではユキノシタ科に分類されていた[1]

出典

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  1. ^ a b c 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Philadelphus satsumi Siebold ex Lindl. et Paxton バイカウツギ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年3月23日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Philadelphus coronarius auct. non L. バイカウツギ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年9月1日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Philadelphus coronarius L. var. satsumi (Siebold ex Lindl. et Paxton) Maxim. バイカウツギ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年3月23日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚2014, p. 91.
  5. ^ a b c d e f g h i 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 207.
  6. ^ a b c d e f g コーツ 1991, p. 142-144.
  7. ^ 北村四郎・村田源 1979, p. 123.
  8. ^ RHS A-Z encyclopedia of garden plants. United Kingdom: Dorling Kindersley. (2008). pp. 1136. ISBN 1405332964 

参考文献

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  • A・M・コーツ 著、白幡洋三郎、白幡節子 訳『花の西洋史 花木篇』八坂書房、1991年。 
  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、91頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、207頁。ISBN 4-522-21557-6 
  • 北村四郎・村田源『原色日本植物図鑑 木本編 (II)』(1986年6月1日 改定12刷)保育社、1979年。ISBN 4-586-30050-7