ハンス・クルフェール
ハンス・クルフェール Hans Cleuver | |
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生誕 | 1947年5月8日 |
出身地 | オランダ オランダ領東インド ジャカルタ |
死没 | 2018年3月4日(70歳没) |
職業 | ロック・ミュージシャン |
担当楽器 | ドラムス |
活動期間 |
1966年 - 1970年 1997年 - 1998年 |
共同作業者 |
トリオ・タイス・ファン・レール フォーカス |
ハンス・クルフェール(Hans Cleuver、1947年5月8日 - 2018年3月4日)は、オランダのロック・ミュージシャン。1970年に結成され、国際的に成功したオランダのロック・バンドの最古参の一つであるフォーカスの初代ドラマー。
来歴
[編集]オランダ領東インド時代のジャカルタで生まれ、幼少期に両親と帰国してアムステルダムに住んだ。5歳でドラム・スティックを手にして、直ぐにマーチング・バンドの指導者にレッスンを受け始めた。思春期にはジャズを好んで演奏し、ジャズ・ピアニストのルイス・ヴァン・ダイクのトリオのドラマーだったジョン・エンゲルス[1]の指導を受けた。幾つかのR&B・グループやポップ・グループに在籍した後、アムステルダム大学で心理学を学びながら、Katholieke Radio Omroep (KRO)に出演して演奏するようになった[2]。
1969年、クルフェールはタイス・ファン・レール(キーボード、フルート、ボーカル)を招き、同じくKROに出演していたマーティン・ドレスデン(ベース・ギター)と3人で「トリオ・タイス・ファン・レール」を結成した[3]。彼等はオランダの国民的な歌手であるラムゼス・シャフィのショーの伴奏を務めたほか、テレビやラジオのコマーシャル音楽を演奏して収入を得、やがて自分達のコンサートを開くようになった[4]。さらに、ブレインボックスのメンバーだったギタリストのヤン・アッカーマンと幾つかの演奏活動で一緒になったあと彼を迎えて、4人編成の「フォーカス」になった。彼等は1969年の秋からライブ活動を行なったほか、オランダ人によるブロードウェイ・ミュージカル「ヘアー」のアムステルダム公演の伴奏を担当した[5]。
1970年1月、フォーカスはロンドンのスタジオでHubert Terheggenをプロデューサーに迎えて、デビュー・アルバムFocus Plays Focusを制作して、1970年9月にオランダで発表した。クルフェールの父親のエリックが収録曲の幾つかの作詞を行なった[6]。彼等は続いてアッカーマン作の新曲'House Of The King'を録音した[7]。しかし、アッカーマンがファン・レールとそりが合わずにフォーカスを脱退しようとしたので、'House Of The King'のシングルを発表する予定だったレコード会社は、アッカーマンとファン・レールに一緒に活動を続けるように説得した。アッカーマンはフォーカスに留まる条件として、ブレインボックスの同僚だったピエール・ファン・デル・リンデン(ドラムス) と、かつてブレインボックスに迎えようとしたシリル・ハフェルマンス〈ベース・ギター、ボーカル)の二人をフォーカスに迎えることをあげた。そこでファン・レールはクルフェールとドレスデンに別れを告げてアッカーマン達と合流して、1970年12月に新しいフォーカスを出発させた[8]。
フォーカスを去らざるを得なくなったクルフェールは、ビジネスに才能を発揮して、ファン・レールやアッカーマンのマネージャーを務めた[9]ほか、1982年、デン・ハーグにDrumschool Cleuverを設立して、多くのドラマーを輩出した[10]。
1996年5月、クルフェールはファン・レール、フォーカスの3代目のベーシストのベルト・ライテルとフォーカスを復活させる計画を立てた。翌1997年4月、ギタリストのメンノ・ホーチェス[11]を交えた4人は、ライテルの自宅にあるデジタル・オーディオ・ワークステーションを用いてデモを制作した。そして8月30日、4人は北ブラバント州でフォーカスとしてライブを行なって新作と旧作を披露。クルフェールはマネージャーを兼任した。1998年4月5日には、ファン・レールがオランダの一般社団法人ラジオ放送協会(Algemene Vereniging Radio Omroep, ARVO)の75周年の記念番組に出演して、フォーカスの復活を明言した。しかし、ライテルは復活の機は未だ熟していないと主張してファン・レールと対立して離脱し、この計画は潰れてしまった[12]。
2018年3月4日、他界[10]。享年70歳。
ディスコグラフィ
[編集]トリオ・タイス・ファン・レール
[編集]- Neerlands Hoop In Bange Dagen
- Zeven Ballen En Een Piek / Elektrisch Levenslicht(1969年)[13] 7"シングル
- ラムゼス・シャフィ
- Sunset Sunkiss(1970年)[14]
フォーカス
[編集]- Ramses Shaffy Met Group Focus
- The Shrine Of God / Watch All The Ugly(1969年)[15] 7"シングル
- Various
- Hair (Original Amsterdam Cast)[16]
- フォーカス
- Focus Plays Focus(1970年)
- 『シップ・オブ・メモリーズ-美の魔術-』 – Ship of Memories (1976年)[注釈 1][17]
- House Of The King / Black Beauty(1971年)[注釈 2] 7"シングル
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ 未発表音源の編集アルバム。デビュー・アルバム制作時に録音された未発表曲「創造主は語る」を収録。
- ^ 「ハウス・オブ・ザ・キング」はオランダでデビュー・アルバムFocus Plays Focusが発表された後に録音され、1971年1月に発表された。オランダ国外で発表されたデビュー・アルバム『イン・アンド・アウト・オブ・フォーカス』、1972年に発表された3作目のアルバム『フォーカスIII』に収録された。
出典
[編集]- ^ “www.johnengelsdrums.nl”. 2022年11月5日閲覧。
- ^ Johnson (2015), pp. 13–14.
- ^ Johnson (2015), p. 14.
- ^ Johnson (2015), p. 15.
- ^ Johnson (2015), pp. 20–23.
- ^ Johnson (2015), pp. 26–32.
- ^ Johnson (2015), pp. 37–38.
- ^ Johnson (2015), pp. 40–44.
- ^ Johnson (2015), pp. 146, 192, 214.
- ^ a b “Drumschool Cleuver”. 2022年11月5日閲覧。
- ^ Johnson (2015), pp. 260–261.
- ^ Johnson (2015), pp. 260–267.
- ^ “Discogs”. 2022年11月4日閲覧。
- ^ “Discogs”. 2022年11月4日閲覧。
- ^ “Discogs”. 2022年11月4日閲覧。
- ^ “Discogs”. 2022年11月4日閲覧。
- ^ Johnson (2015), pp. 32–33, 207–208.
引用文献
[編集]- Johnson, Peet (2015), Hocus Pocus: The Strife and Times of Rock's Dutch Masters, Tweed Press, ISBN 978-0-646-59727-0