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トヨタ・コンフォート

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

コンフォートCOMFORT)は、トヨタ自動車が生産していたセダン型の商用車、ならびに香港市場で販売されるワゴン型商用車である。

初代はタクシー教習車として、2代目はタクシーとして用いることを前提に開発された。

製造は初代および2020年(令和2年)12月までの2代目はトヨタグループのトヨタ自動車東日本東富士工場(旧関東自動車工業東富士工場、静岡県裾野市)、翌年の2021年(令和3年)1月以降の2代目はトヨタ自動車東日本宮城大衡工場(旧セントラル自動車宮城工場、宮城県黒川郡大衡村)。

本項では初代をベースにしたコンプリートモデルの『コンフォート GT-Zスーパーチャージャー』についても記述する。

初代 XS10型(1995年 - 2018年)

トヨタ・コンフォート(初代)
YXS1#/SXS1#/LXS1#/TSS1#型
タクシー仕様 スタンダード 2004-2008年型
タクシー仕様 SG 2004-2012年型
教習車仕様 デラックス 2001-2004年型
概要
販売期間 1995年12月 - 2018年1月
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 4ドアセダン(タクシー・教習車向け)
エンジン位置 フロント
駆動方式 後輪駆動
プラットフォーム X80型系トヨタ・マークII
パワートレイン
エンジン 3Y-PEOHV 2.0L(1995〜2008年)
1TR-FPEDOHC 2.0L(2008年〜)
4S-FE型DOHC 1.8L(教習車仕様のみ。1996〜2001年)
3S-FE型DOHC 2.0L(教習車仕様のみ。2001〜2007年)
1TR-FE型DOHC 2.0L(教習車仕様のみ。2007年〜)
2L-TESOHC 2.4L(1995〜1999年)
変速機 フロア5速MT
フロア4速AT
前:ストラット
後:5リンク
前:ストラット
後:5リンク
車両寸法
ホイールベース 2,680mm
全長 4,590mm
全幅 1,695mm
全高 1,515mm
その他
最小回転半径 4.9m
姉妹車 トヨタ・クラウンコンフォート
トヨタ・クラウンセダン
系譜
先代 X80型系マークIIセダン(タクシー、教習車仕様)
後にT140型系コロナセダン(タクシー仕様)の後継も務める
トヨタ教習車(初代・T190(改)型)
後継 トヨペット店:ジャパンタクシートヨタ教習車(2代目・E160(改)型)
ネッツ店・ビスタ店:なし
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概要

1995年(平成7年)12月にトヨタ自社ブランドの小型タクシー専用車として、中型タクシー専用車の姉妹車クラウンコンフォートとともに発売された。クラウンコンフォートはコンフォートよりホイールベースを105mm長くし、中型タクシーの基準に合致させている。

競合となっていた日産・クルー2009年6月をもって生産終了したため、以降は国内メーカー唯一の小型タクシー専用車となった。また、2014年9月をもって競合となっていた日産・セドリック営業車が生産終了(同年11月販売終了)したため、2017年5月に販売を終了するまで日本国内で新車購入可能なセダンタイプのタクシー専用車はコンフォートとその姉妹車のみとなっていた。

ベースはX80系マークIIセダンであり[注 1]、サスペンションも80系マークIIの下位グレードと共通の、フロント・ストラット、リアリンクリジッドとなっている。

型式は XS11(Y)/TSS11(Y)で、搭載エンジンは、3Y-PE/4S-FE/2L-TE/1TR-FPE、マイナーチェンジ後の XS13Y/TSS13Yでは、3S-FE/1TR-FEとなっているが、クラウンコンフォートとは異なり、直61G系の設定はない。教習車は型式の最後にYが付く。FR方式で後席の寸法と後部ラゲージルームの容積を大きくとり、無線機や料金メーターなどのタクシー業務用機器取り付けスペースを設けるなど、完全にタクシー向けに特化された設計である。なお、同社が最初からタクシー専用に開発された車種としては1955年1月から1956年11月まで販売されていたトヨペット・マスター以来、40年ぶりとなる。

日産・クルーとは異なり、Bピラーの位置は左右対称(左右のドアの大きさは同じ)である。

バンパーはフロント・リアとも上下2分割式となっており、修理性に配慮されている。

小型タクシー専用のセダン型商用車として設計・開発された車種ではあるが、ガソリンエンジンLPGエンジンに関わらず、タクシー、教習車とも一般の個人客でもディーラーで購入が可能であった。

おおむね20年にわたって生産されていたが、平成30年から厳格化される歩行者保護の安全基準に適合しないため、それまでに生産を終了することになった。

トランスミッション 

トランスミッションはタクシー仕様・教習車仕様ともに5速MTと4速ATを設定。コンフォート、クラウンコンフォート、クラウンセダンシリーズ(XS1x系)の中でガソリンエンジンとMTの組み合わせがあるのは教習車だけである。

グレード

グレードは、タクシー仕様が法人タクシー向けのスタンダード、スタンダードデラックスパッケージ、個人タクシー向けのSG、SGエクストラパッケージの四種で、教習車仕様はデラックスのみ。

SGエクストラパッケージはSGに統合される形で2001年に廃止された。

年表

  • 1995年12月 - タクシー仕様発売開始。搭載エンジンは排気量2,000ccのLPGエンジン(3Y-PE)、2,400ccディーゼルターボ(2L-TE)。
  • 1996年4月 - 教習車仕様発売開始。搭載エンジンは上述の2機種に加え、1,800ccガソリンエンジンの4S-FEを設定。
  • 1997年1月 - 一部改良。エアバッグ装着車はステアリングホイールの形状が変更され、SGエクストラパッケージを追加。
  • 1999年1月 - ディーゼル車を除き平成10年アイドリング規制適合。SG系に15インチスチールホイールと195/65R15タイヤをオプション設定。
  • 1999年8月 - ディーゼルエンジン2L-TE廃止[注 2]
  • 2000年1月 - 衝突安全ボディGOA採用。タクシー仕様にグッドケアセレクションがオプション設定される。エアバッグ装着車はステアリングホイールのデザインが変更され、生産終了まで同一形状が採用された。
  • 2001年8月 - 教習車のガソリンエンジンを2,000ccの3S-FEに変更。ガソリン、LPG車は平成12年排出ガス25%減で良-低排出ガス認定(☆)を受け、排ガス記号がTA-に変更される。エアコンが標準装備(レス設定あり)され、オドメータートリップメーターが液晶化された。ドアミラーは形状が変更され、SGエクストラパッケージを廃止。シフトレバーが“N”または“P”の位置で自動的にアイドリングストップをする“TOYOTA STOP AND GO SYSTEM”がタクシー仕様AT車にオプション設定。
  • 2002年10月 - 一部改良。ABSと運転席エアバッグ(教習車は運転席、助手席)が標準装備された(エアバッグはレス設定あり)。
  • 2003年6月〜11月 - GT-Zスーパーチャージャー限定受注生産。
  • 2004年6月 - 一部改良。LPG車が平成17年排出ガス規制適合、サイドターンシグナル(初代bBの流用)、LEDハイマウントストップランプ、UVカットガラスが装備された。フォグランプがイエローレンズからクラウンセダンと同一のクリアレンズに変更され、教習車仕様はオプションのファブリックシートがセミファブリックからフルファブリックに変更された。
  • 2007年10月 - 一部改良。教習車仕様のガソリンエンジンが3S-FEから1TR-FEに変更され、U-LEV認定を取得。型式はTSS13Y。
  • 2008年8月21日 - マイナーチェンジ[1]によってLPG車用エンジンがガスミキサー方式の3Y-PE型から、ガス液体噴射方式の1TR-FPE型(1TR-FE型のLPG仕様)に変更され、エンジン出力及び環境性能(平成22年度燃費基準達成)が向上した。ガソリン車用エンジンは1TR-FE型をキャリーオーバーした。AT車は電子制御化された。タイヤサイズは全車14インチ(175/80R14)から15インチ(195/65R15)に変更され[注 3][注 4]、全高も10mm高くなった。また、“TOYOTA STOP AND GO SYSTEM”がタクシー仕様AT車に標準装備された。なお、2008年7月モデル以前の4気筒のLPGエンジン搭載車としては姉妹車のクラウンセダン/クラウンコンフォート共々国産乗用車として最後までOHVエンジンを搭載した車種でもあった[注 5]
  • 2010年11月 - 一部改良。LPG燃料冷却装置を設定。1TR-FPE型エンジンの最高出力が116PSから113PSにダウンし、シガーライターが電源ソケットに変更され、ドアサッシュのブラックアウト処理が塗装からテープに変更された。
  • 2012年7月2日 - 一部改良。全車にプラズマクラスターを採用し、リア中央席に3点式シートベルトを、リア左右席にISOFIX対応チャイルドシート固定専用バーなどを標準装備した。また、ヘッドレストが大型化された。
  • 2013年10月28日 - 一部改良。新たにVSC&TRCを標準装備して安全性能を強化し、スピードメーター&タコメーターにメーター照度コントロール機能を追加した(コンフォートでは従来、上位グレードの「SG」とコンフォート教習車にそれぞれタコメーターが標準装備されていたが、今回、廉価グレードの「スタンダード」にもタコメーターが装備され、これに伴いメーターパネル左のタコグラフ取付スペースは廃止された)[2]。同時に、キーリマインダー(抜き忘れ警告音)は初期型より続いたチャイム音からブザー音へ変更されている。
  • 2017年5月25日 - 受注受付終了、同時にホームページへの掲載を終了。受注した分と在庫保有分を2018年1月まで生産した[3]。尤も、トヨタから発売される市販モデルとしてのセダン型小型タクシーは姉妹車のクラウンセダン・クラウンコンフォートと共に姿を消すこととなった[注 6]
補足

コンフォートGT-Zスーパーチャージャー

GT-Zスーパーチャージャー

トヨタテクノクラフト[注 7]がコンフォート教習車(2,000ccガソリン・SXS13Y)[注 8]をベースに製作したコンプリートカー[注 9]で、2002年(平成14年)に先行試作車が1台製造され[注 10]、翌2003年(平成15年)7月から2004年(平成16年)2月にかけて市販車が59台製造された。

2003年(平成15年)の東京オートサロンで「チューニングカー部門 優秀賞」を受賞し、同年6月24日から11月17日まで、東京都千葉県埼玉県神奈川県トヨペット店で受注販売された。価格は227.0万円 - 291.8万円。

ベースとなるのは3S-FE型 直列4気筒DOHCエンジン(ハイメカツインカム)で、これに小倉クラッチ製ルーツブロワー式スーパーチャージャーTX07を組み合わせ、使用燃料をプレミアムガソリンとすることにより、最大0.3kgf/cm2の過給圧で実出力118kW(160PS)/6,100rpm、トルク221Nm(22.5kgm)/3,300rpmを得ている。

これはノーマル比26%のパワーアップ(ノーマルはカタログ上96kW〈130PS〉/5,600rpm、181Nm〈18.5kgm〉/4,400rpm)で、3S-GE型エンジンを縦置き搭載するアルテッツァRS(SXE10)(カタログ上 154.4kW〈210PS〉/7,600rpm、215.7Nm〈22.0kgm〉/6,400rpm)よりも低速側にトルクバンドを広げ、エンジンよりシャシ性能がはるかに勝っている標準車に対し、トータルでの扱いやすさと、モアパワーを狙ったチューニングとなっている。車両重量は1,300kg(総重量1,575kg)、パワーウエイトレシオは 8.13(9.84)kg/PSである。スピードリミッターを無効にしたサーキット走行で、204km/hという最高速度を記録している。

その他、専用のブレーキパッド(フロント)&ブレーキシュー(リア)、フロントスポイラー、ブラックアウトされたウレタン風FRP製リアスポイラー、専用マフラーが奢られているほか、標準でRSワタナベ製のエイトスポークアルミホイールブリヂストン製「POTENZA GIII」(前:205/60R15、後:215/60R15)が装備されている。全体的にクロームを廃した外観[注 11]トランクリッド左についているエンブレム[注 12] も1980年代のスポーツセダンテイストを醸し出している。車高は純正比マイナス30mmとし、日常での使い勝手も考慮したダウン量となっている。

メーカーオプションとして、大森計器製の電気式3連メーター(過給圧・油圧・油温)、TRD製強化クラッチLSD(TRDまたはゼクセル製)、前席TRDセミバケットシート、TRDエアバッグ付ステアリングシフトノブなどの装備があった。

ハザードスイッチは本来教習車仕様に装備される位置に3連メーターが装備されるため、タクシー仕様同様ウインカーレバー先端に装備される。

D1仕様

2004年チューニングショップOKUYAMAの手によって、トヨタテクノクラフトが調達した3台の中古1800教習車(SXS11Y)をうち2台を使用して製作(残り1台は部品取り)、エンジンを3S-GTEに換装、Do-Luckのエアロパーツガルウィングドア装着のドリフト仕様のコンフォートが登場し、各イベントで走行された。その後D1グランプリに出る機会を逃したままガレージに眠っていたところ、2006年D1グランプリ参戦中のAPPレーシングの2号車としてOKUYAMAにて再度大改造ののち2006D1グランプリの国内ラウンドに参戦することになった。その際にオーバーフェンダー装着、規定に合わせてガルウィングを撤去。同年第3戦富士では追走ベスト16進出を果たした。

2代目 NTP10R型(2018年- )

トヨタ・コンフォート(2代目)
NTP10R型
香港仕様
ボディ
乗車定員 5名
(車いす乗車時:3名)
ボディタイプ 5ドア トールワゴン
(タクシー向け)
駆動方式 前輪駆動
プラットフォーム トヨタ・Bプラットフォーム
パワートレイン
エンジン 1NZ-FXP型:
1,496cc 直列4気筒DOHC
モーター 2LM型:交流同期電動機
最高出力 エンジン:
54kW (74PS)/4,800rpm
モーター:
45kW (61PS)
システム最高出力:73kW (100PS)
最大トルク エンジン:
111N・m (11.3kgf・m)/
2,800-4,400rpm
モーター:
169N・m(17.2kgf・m)
変速機 電気式無段変速機
前:マクファーソンストラット式コイルスプリング
後:トレーリングリンク車軸式コイルスプリング(3リンク)
前:マクファーソンストラット式コイルスプリング
後:トレーリングリンク車軸式コイルスプリング(3リンク)
車両寸法
ホイールベース 2,750mm
全長 4,400mm
全幅 1,695mm
全高 1,750mm
1,765mm(車高アップパッケージ装着時)
車両重量 1,390-1,410kg
その他
ブレーキ 前:ベンチレーテッドディスク
後:リーディングトレーリング(ドラム)
別名 トヨタ・ジャパンタクシー
日本
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トヨタ・ジャパンタクシーの香港・マカオ向け仕様として、「コンフォート」の名が継承されることになった。

外装の仕様はジャパンタクシーの「和(なごみ)」グレード(標準グレード)、内装の仕様は同「匠(たくみ)」グレード(上級グレード)にほぼ準拠するが、エンブレムが「JPN TAXI」から「COMFORT」に差し替えられることはもとより、ステアリングホイールにシルバー加飾がない、アウトサイド/インサイドドアハンドルとフェンダーミラー、リヤゲートフィニッシャーがめっきである等、ジャパンタクシーとは細かい部分が異なる。また、コンフォートは「匠」にオプション設定される15インチアルミホイールを標準装備する反面、Bi-BEAM LEDヘッドライトはオプションでも設定されない。

尚、フェンダーミラーについては、ジャパンタクシーと同様、この2代目コンフォートにおいてもそのまま採用されている。

2024年3月現在では車名が『TAXI』に変更されており、『コンフォート』の車名は使用されていない。

取扱ディーラー

初代

T140系コロナセダン(タクシー仕様)、X80系マークIIセダン(タクシー及び教習車仕様)の後継車種として発売された名残でトヨペット店での取扱である。ただし大阪地区では2006年8月7日まで、旧・大阪トヨタ(現・大阪トヨペット)での取扱い、また東京地区では、教習車仕様に限り東京トヨタ東京トヨペットにて併売されている。

2004年4月以前は教習車仕様に限り、ネッツ店ビスタ店チェイサー/クレスタ両車の教習車仕様取扱いの名残)でも取扱されていたが、両店の統合に伴いネッツ店での教習車仕様の取扱が廃止されている。

脚注

注釈

  1. ^ ただし、給油口はX80系マークIIとは異なり、車両左側についている。
  2. ^ ライバル車の日産・クルーは平成10年排出ガス規制適合のRD28Eに換装され、2002年までディーゼル車が設定された
  3. ^ 教習車ガソリン車は2007年より採用、SGは1999年よりオプション設定。
  4. ^ ホイールキャップとアルミホイールはV30系カムリプロミネントから流用された。
  5. ^ 2010年代以降でも日産シビリアン(TB45E型エンジン)や三菱ふそうファイター(4V20型エンジン)などのバス・トラック、あるいはポータブル発電機等の所謂汎用機では採用例が存在する。
  6. ^ ただし、これら3車種がまだ生産されていた2013年頃から既存の2代目カローラアクシオのハイブリッド仕様車をタクシーとして導入する企業が一部の地域で現れている。
  7. ^ トヨタテクノクラフトのTRD部門ではなく、特装車部門(過去にトヨタ・クラシック、TCピックアップも開発)の企画開発である。
  8. ^ 正式には型式にGT-Z専用のコードが付与されているため、検索システム上では教習車とGT-Zは区分されている。また、持込み登録の特別装備車で型式には“改”は付かない。
  9. ^ ブレーキ系統はベース車とは異なり、生産ラインで最初から助手席ブレーキ系統のないタクシー仕様で作られており、教習車としての機能は装備されていない。
  10. ^ 通称「0号車」と呼ばれ、量産車とは外観も一部異なる。
  11. ^ ドアサッシ周辺の装飾は本来すべてのグレードにクローム処理がなされている。
  12. ^ 受注少量生産車のためエンブレムは下請業者ではなく、外注で店舗看板業者が製作。2004年デリバリー車はGT-Zの文字が色落ちする白化現象が起きている。

出典

関連項目

外部リンク