タニミツバ
タニミツバ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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福島県中通り地方 2021年8月下旬
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分類(APG IV) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Sium serra (Franch. et Sav.) Kitag. (1941)[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
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和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
タニミツバ(谷三葉)[3] |
タニミツバ(谷三葉、学名: Sium serra)は、セリ科ムカゴニンジン属の多年草。山地の谷間の湿った木陰にややまれに生育する[3][4][5]。
特徴
[編集]根は数個が束状にでて、多少肥厚する。茎は細長く、直立し、上部で分枝して、高さは60-80cmになる。茎は中空で植物体全体に毛はない。葉は互生し、茎の下部の葉は3-5個からなる奇数羽状複葉となり、葉質は薄く、小葉は卵形から卵状楕円形で、長さ3-10cm、幅1-4cm、先は尾状鋭突頭になり、基部は広いくさび形、円形、まれに浅い心形、縁に細かい鋸歯があり、小葉柄はない。茎の上部の葉は小型になり、小葉は狭披針形から線形になる。葉腋に珠芽はできない[3][4][5]。
花期は7-8月。複散形花序はまばらな3-5個の小花序からなり、まばらに小さい白色の花をつける。花は径2mmほどで、花弁は5個で先端は内側に曲がる。複散形花序の花柄は2-4個、長さ1-2cmで細く、総苞片はないかあっても1-2個で糸状、小花序の小花柄は5-10個、長さ7-10mmでごく細く、小総苞片は数個あり糸状になる。雄蕊は5個あり、花柱は2個ある。果実は長さ約2mmの広卵形になり、2個の分果からなり、分果に糸状で低い隆条がある。油管は約15個ある[3][4][5]。
分布と生育環境
[編集]日本固有種で、本州の中部地方・関東地方・東北地方の太平洋側と北海道に分布し[6]、山地の谷間の木陰の水辺にややまれに生育する[3][4][5]。
名前の由来
[編集]和名タニミツバは、「谷三葉」の意で、生育環境が山地の谷間であることを表す[3]。
ギャラリー
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複散形花序はまばらな3-5個の小花序からなり、まばらに小さい白色の花をつける。
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若い果実。複散形花序の花柄は2-4個で細く、総苞片はないかあっても1-2個で糸状、小花序の小花柄は5-10個でごく細く、小総苞片は数個あり糸状になる。
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茎の下部の葉は3-5個からなる奇数羽状複葉となり、小葉は卵形から卵状楕円形で、先は尾状鋭突頭になり、基部は広いくさび形、縁に細かい鋸歯があり、小葉柄はない。
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葉の裏面。
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スギの人工林内の沢沿いのやや暗い湿った場所で、周辺にはウワバミソウの群落。
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果実。
分類
[編集]ミツバグサ属 Pimpinella L. に含める意見もある[2][8]が、北川政夫 (1941) は、属をミツバグサ属からムカゴニンジン属に移し、学名を Pimpinella serra Franch. et Sav. から Sium serra (Franch. et Sav.) Kitag. に組み替えた[9]。分子系統解析の結果からムカゴニンジン属に含められるという[5]。
近縁種
[編集]ムカゴニンジン Sium ninsi L. (1753)[10] - タニミツバと同属。茎に稜線があり、よく分枝して高さ30-100cmになる。下部の小葉は3-5個の奇数羽状複葉、上部は3出複葉でタニミツバより小さく細い。葉腋に珠芽ができる。細い枝先に複散形花序をつける。油管は約11個ある。タニミツバは山地の谷間の木陰の水辺にややまれに生育するが、ムカゴニンジンは日当たりの良い湿地などに生育する[3][4][5]。
脚注
[編集]- ^ タニミツバ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b タニミツバ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e f g 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1244
- ^ a b c d e 『原色日本植物図鑑・草本編II(改訂53刷)』p.16
- ^ a b c d e f 鈴木浩司 (2017)「セリ科」『改訂新版 日本の野生植物 5』p.399
- ^ 『日本の固有植物』p.101, p.337
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1513
- ^ Takasi YAMAZAKI, Umbelliferae in Japan II, 3. Pimpinella serra, The Journal of Japanese Botany, 『植物研究雑誌』, Vol.76, No.5, pp.276-277, (2001).
- ^ 北川政夫、「日満産せり科植物小記(其四)」、たにみつばノ學名變更、The Journal of Japanese Botany、『植物研究雑誌』、第17巻第10号、562頁、1941年
- ^ ムカゴニンジン 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
参考文献
[編集]- 北村四郎・村田源著『原色日本植物図鑑・草本編II(改訂53刷)』、1984年、保育社
- 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
- 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- 北川政夫、「日満産せり科植物小記(其四)」、たにみつばノ學名變更、The Journal of Japanese Botany、『植物研究雑誌』、第17巻第10号、562頁、1941年
- Takasi YAMAZAKI, Umbelliferae in Japan II, 3. Pimpinella serra, The Journal of Japanese Botany, 『植物研究雑誌』, Vol.76, No.5, pp.276-277, (2001).