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ソーロンバイ・ジェーンベコフ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ソーロンバイ・ジェーンベコフ
Сооронбай Жээнбеков
キルギス共和国
第5代大統領
任期
2017年11月24日 – 2020年10月16日
首相サパル・イサコフ英語版
ムハンメトカルイ・アブルガジエフ英語版
クバトベク・ボロノフ英語版
アルマズベク・バトゥルベコフフランス語版(代行)
前任者アルマズベク・アタンバエフ
後任者サディル・ジャパロフ(代行)
キルギス共和国
第18代首相
任期
2016年4月13日 – 2017年8月22日
大統領アルマズベク・アタンバイエフ (Almazbek Atambayev)
代理官チョルポン・スルタンベコヴァ英語版
前任者テミール・サリエフ
後任者ムハンメトカルイ・アブルガジエフ英語版(代行)
オシ特別市長
任期
2012年8月16日 – 2015年12月11日
首相オムルベク・ババノフ英語版
ジョーマルト・オトルバエフ英語版
前任者アイトマト・コディルバイエフ (Aytmat Kadyrbayev)
後任者ターライベク・サリュバシェフ (Taalaybek Sarybashev)
個人情報
生誕ソーロンバイ・シャリポヴィッチ・ジェーンベコフ
(1958-11-16) 1958年11月16日(66歳)
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
キルギス・ソビエト社会主義共和国(後のキルギスの旗 キルギス
ビイ=ミルザ
政党キルギス社会民主党
配偶者アイグル・ジェーンべコフ英語版
子供3
住居Ordo House,
出身校キルギス国立農業大学

ソーロンバイ・シャリポヴィッチ・ジェーンベコフ(Sooronbay Sharipovich Jeenbekov、キルギス語: Сооронбай Шарипович (Шарип уулу) Жээнбеков, Sooronbay Şaripoviç (Şarip uulu) Jéénbekov; [soːrɔnˈbɑj ʃɑˈripɐvit͡ʃ d͡ʒeːnˈbɛkəf]1958年11月16日 - )は、キルギス政治家。2017年より同国大統領を務めた(第5代)[1]が、2020年議会選挙の不正に端を発する反政府デモで退陣を余儀なくされた。それ以前の2016年4月から2017年8月にかけては、キルギスの首相を務めた[2][3]。氏名はソオロンバイ・ジェエンベコフとも表記される[4]

生い立ちと教育

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ズスプベク・シャリポフ

ジェーンベコフは、オシ州ビイ=ミルザ英語版で、集団農場の管理者と主婦の間に生まれた[5]。弟アシルベク・ジェーンベコフ英語版も政治家であり、別の弟ズスプベク・シャリポフ (Zhusupbek Sharipov) は、駐ウクライナ大使である[6]。ジェーンベコフには、9人のきょうだいがいた。ジェーンベコフはキルギス農業アカデミー (Kyrgyz Academy of Agriculture) に学び、動物工学 (zoological engineering) の学位を得て卒業した。その後さらに会計学を学び、2003年キルギス国立農業大学英語版を卒業した[7]

経歴

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2017年3月7日ビシュケクで開催されたユーラシア政府間協議会における、当時首相だったジェーンベコフと、ドミートリー・メドヴェージェフロシア連邦首相)、チグラン・サルキシャンユーラシア経済連合委員長)。

ジェーンベコフは、18歳でウズゲン地区英語版のレーニン学校の教員となり、ロシア語と文学を教えた。1983年には、オシ州ソビエト地区にあったソビエト農場で畜産担当の主任となり、5年間ほど働いた。1988年11月、オシ州ソビエト地区のキルギスタン共産党英語版の地区委員会に入り、指導員としての地位を得た。数年後、彼は党委員会の役員になった[8]

政界入りした後、ジェーンベコフは1993年カラ・クルジャ地区英語版のカシュカ=ゾル (Kashka-Zhol) 集団農場の委員長に選出された[9]1995年には、人民代表者会議の議員代理となった。2007年、ジェーンベコフは農業・水資源・食品加工担当大臣となった。2010年にはオシ州知事となり、2015年には国家人事院長官に任命された。2016年3月、大統領府副長官に任命され、次いで首相に任命された[10][11]

2017年キルギス大統領選挙

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ジェーンベコフは、2017年キルギス大統領選挙英語版の正式な候補者として指名され、2017年8月21日に首相を辞任した。このとき彼は、「自分は他の大統領候補者と対等な立場でありたい」と述べた"[3]

選挙は、2017年10月15日に実施された。キルギスの中央選挙管理委員会は、総計170万票近くが投じられ、ジェーンベコフが 54.74%を獲得したと発表した[12]。ジェーンベコフの選出は、キルギスの大統領選挙において、初めて民主主義的に権限の移譲が行われたことを意味していた。アザイ・グリエフ英語版は、この選挙が、キルギスの歴史上数少ない平和のうちに実施された選挙であったと述べた[13]

大統領

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ロシア連邦大統領 ウラジーミル・プーチン(右)と、ロシアソチで会見したジェーンベコフ。
2018 FIFAワールドカップ・ロシア大会で、ヌルスルタン・ナザルバエフカザフスタン共和国大統領)(手前左)とともに観戦するジェーンベコフ(左から2人目)。
Jeenbekov with イルハム・アリエフアゼルバイジャン共和国大統領)(左)とジェーンベコフ。

ジェーンベコフの大統領就任英語版式典は、2017年11月24日アラ・アルチャ官邸英語版の接見室エネサイ (Enesay) でおこなわれた[1]。就任後最初の外遊英語版は、ロシアへ赴き、 ウラジーミル・プーチンと会見した[14]。就任後間もないうちから、ジェーンベコフは野党の政治家やジャーナリストたちを抑圧し、民主主義を危うくしていると非難を浴びるようになった[15]2018年4月19日、ジェーンベコフは議会の内閣不信任決議を受けて、サパル・イサコフ英語版首相以下、内閣を解任した[16]

2018年5月の記者会見で、ジェーンベコフは、キルギスで台頭しつつある部族主義に対抗するとして、「この社会に「南北問題」を持ち込もうとする勢力に対して、あらゆる手段で戦う」と述べた[17]

2018年9月上旬には、ビシュケクを訪問していたトルコの大統領レジェップ・タイイップ・エルドアンとともに、中央アジア最大規模のモスクであるイマーム・サラクシ中央モスク (Central Mosque of Imam Sarakhsi) の開場式をおこなった[18]。エルドアンは滞在中、ジェーンベコフに対して、トルコイスラム教指導者フェトフッラー・ギュレンに対して適切な対処をするよう圧力をかけた[19]

2018年9月3日、ジェーンベコフは、キルギスがホスト国となる最初の大規模な国際的イベントとなった2018年英語版ワールド・ノマド・ゲームズを開会した[20]。翌日、ハンガリーの首相オルバーン・ヴィクトルチョルパン=アタ官邸英語版に迎えたジェーンベコフは、ハンガリーの指導者として最初に、独立後のキルギスを訪問したことに謝意を表した[21]

2020年10月4日に執行された総選挙英語版では親ジェーンベコフ派の政党で大半を占め、選挙では不正投票が指摘されたことから選挙の白紙撤回を要求するデモが勃発した(2020年キルギス反政府運動[22]。選挙管理委員会は10月6日に選挙結果を無効としたものの、野党勢力はジェーンベコフの退陣を求め反政府デモを続行、議会議事堂や政府庁舎を占拠し政権奪取を宣言した[23]。9日にジェーンベコフは法的な秩序が復活すれば辞任すると表明し[24]、ボロノフ首相の辞意を承認し全閣僚を含めた解任命令に署名したものの[25]、野党勢力は内部分裂しており、10日にはアルマズベク・バトゥルベコフフランス語版第一副首相を首相代行に指名した[26]一方、議会はサディル・ジャパロフ首相代行を満場一致で新首相に選出したとしており、混乱が拡大した[27][28]。14日にようやくジャパロフの首相就任を認め[29]、15日に大統領辞任を表明した[30]。翌16日に議会に承認され正式に退任[31]

脚注

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  1. ^ a b At Final Press Conference, Kyrgyz President Atambaev Plots His Political Future”. RadioFreeEurope/RadioLiberty. 2017年11月20日閲覧。
  2. ^ Sooronbay Jeenbekov becomes new Prime Minister”. 24.kg. 2018年11月18日閲覧。
  3. ^ a b Kyrgyz PM Jeenbekov Resigns To Run For President”. Radio Free Europe/Radio Liberty (2017年8月21日). 21 August 2017閲覧。
  4. ^ ソオロンバイ・ジェエンベコフ・キルギス共和国大統領略歴”. 外務省 (2017年12月27日). 2020年9月15日閲覧。
  5. ^ Sooronbai Jeenbekov, Longtime Atambaev Ally With A Southern Touch, Poised For Kyrgyz Presidency
  6. ^ Brother of new president of Kyrgyzstan may become ambassador to Ukraine”. «24.kg» News Agency (2017年11月15日). 2018年11月17日閲覧。
  7. ^ Сооронбай Жээнбеков” [Sooronbay Jeenbekov] (ロシア語). Новости АКИ press. 2018年11月18日閲覧。
  8. ^ Биография” [Biography] (Russian). Официальный сайт Правительства КР. 2016年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月18日閲覧。
  9. ^ Сооронбай Жээнбеков. Биография” (ロシア語). Kloop Media (2017年9月22日). 2018年11月18日閲覧。
  10. ^ Sooronbay Jeenbekov is new Kyrgyz PM”. Trade Bridge Consultants. 2018年11月18日閲覧。
  11. ^ Profile: Kyrgyz President Sooronbai Jeenbekov”. Xinhua (2018年6月6日). 2018年11月18日閲覧。
  12. ^ Gizitdinov, Nariman (2017年10月15日). “Jeenbekov Wins Kyrgyz Presidential Vote as Rival Urges Stability”. Bloomberg News (Bloomberg L.P.). https://www.bloomberg.com/news/articles/2017-10-15/jeenbekov-on-course-to-win-kyrgyzstan-presidential-election 2017年10月16日閲覧。 
  13. ^ Photographer: Vyacheslav Oseledko/AFP via Getty Images Jeenbekov Wins Kyrgyzstan’s Presidential Election”. Bloomberg Politics. 2017年10月16日閲覧。
  14. ^ “Russian, Kyrgyz presidents to meet on November 29 — Kremlin” (ロシア語). TASS. http://tass.com/politics/977787 2017年12月16日閲覧。 
  15. ^ “Repression in Kyrgyzstan is eroding Central Asia’s only democracy”. The Economist. (2018年1月18日). https://www.economist.com/news/asia/21735067-life-getting-harder-opposition-politicians-and-journalists-repression-kyrgyzstan 19 January 2018閲覧。 
  16. ^ Channels Television (2018年4月19日). “Kyrgyz PM Dismissed As Jeenbekov Looks To Cement Control”. 2018年11月18日閲覧。
  17. ^ Jeenbekov promises to fight against tribalism”. AKIpress (2018年5月3日). 2018年11月18日閲覧。
  18. ^ Erdoğan inaugurates Central Asia's largest mosque in Kyrgyzstan”. Daily Sabah (2018年9月2日). 2018年11月18日閲覧。
  19. ^ AFP (2018年9月2日). “Turkish President Recep Tayyip Erdogan warns Kyrgyzstan over Fethullah Gulen threat”. Financial Express/The Indian Express [P] Ltd.. 2018年11月18日閲覧。
  20. ^ World Nomad Games begin in Kyrgyzstan”. USA Today (2018年9月4日). 2018年11月18日閲覧。
  21. ^ RFE/RL's Kyrgyz Service (2018年9月4日). “Hungary's Orban Vows To Develop Ties With 'Kin' Central Asian States”. RadioFreeEurope RadioLiberty. 2018年11月18日閲覧。
  22. ^ “Kyrgyzstan election: Sunday's results annulled after mass protests”. BBC News. BBC. (2020年10月6日). https://www.bbc.com/news/world-asia-54432030 2020年10月9日閲覧。 
  23. ^ “キルギスで野党勢力が権力掌握と宣言、クーデターと現大統領”. ロイター. (2020年10月6日). https://jp.reuters.com/article/kyrgyzstan-protests-idJPL4N2GX1T5 2020年10月8日閲覧。 
  24. ^ “Kyrgyz president says ready to step down when law and order restored”. TASS. (2020年10月9日). https://tass.com/world/1210325 2020年10月9日閲覧。 
  25. ^ “Kyrgyz president accepts PM's resignation”. ロイター. (2020年10月9日). https://jp.reuters.com/article/uk-kyrgyzstan-protests-government-resign/kyrgyz-president-accepts-pms-resignation-idUKKBN26U0MI 2020年10月9日閲覧。 
  26. ^ “First Deputy Prime Minister Almazbek Batyrbekov performs PM's duties”. AKIpress news agency. (2020年10月10日). https://akipress.com/news:649433:First_Deputy_Prime_Minister_Almazbek_Batyrbekov_performs_PM_s_duties/ 2020年10月12日閲覧。 
  27. ^ “Kyrgyz parliament approves Sadyr Japarov as new prime minister”. TASS. (2020年10月10日). https://tass.com/world/1210829 2020年10月12日閲覧。 
  28. ^ “Kyrgyz Lawmakers Approve Sadyr Japarov As New Prime Minister”. ラジオ・フリー・ヨーロッパ. (2020年10月10日). https://www.rferl.org/a/kyrgyz-japarov-new-prime-minister-political-turmoil-atambaev-arrest/30885681.html 2020年10月12日閲覧。 
  29. ^ “Kyrgyz president accepts new prime minister but delays resignation”. ロイター. (2020年10月15日). https://www.reuters.com/article/kyrgyzstan-protests/kyrgyzstans-parliament-names-japarov-pm-in-repeat-vote-idINKBN26Z0WQ 2020年10月16日閲覧。 
  30. ^ “キルギス大統領が辞任、流血の事態望まずと説明”. ロイター. (2020年10月14日). https://jp.reuters.com/article/kyrgyzstan-protests-idJPKBN27018F 2020年10月16日閲覧。 
  31. ^ “【キルギス】 議会がジェーンベコフ大統領の辞任を承認:大統領権限はジャパロフ首相に移譲”. TRT日本語. (2020年10月16日). https://www.trt.net.tr/japanese/shi-jie/2020/10/16/kirugisu-yi-hui-gazienbekohuda-tong-ling-noci-ren-wocheng-ren-da-tong-ling-quan-xian-haziyaparohushou-xiang-niyi-rang-1510468 2020年10月17日閲覧。 

外部リンク

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先代
アルマズベク・アタンバエフ
キルギス共和国大統領
第5代:2017年 - 2020年
次代
サディル・ジャパロフ
(代行)
先代
テミール・サリエフ
キルギス共和国首相
第20代:2016年 - 2017年
次代
ムハンメトカルイ・アブルガジエフ英語版(代行)