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スミスネズミ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スミスネズミ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 齧歯目 Rodentia
: キヌゲネズミ科 Cricetidae
亜科 : ミズハタネズミ亜科 Arvicolinae
: タイリクヤチネズミ属 Craseomys
: スミスネズミ C. smithii
学名
Craseomys smithii (Thomas, 1905)[2]
シノニム[3][4]

Evotomys (Phauromys) smithii
Thomas, 1905
Anteliomys smithii Tokuda, 1955
Eothenomys kageus Imaizumi, 1957
Phauromys smithii Tokuda, 1971

和名
スミスネズミ[4]
英名
Smith's red-backed vole[1][3][4]

スミスネズミ (Craseomys smithii) は、哺乳綱齧歯目キヌゲネズミ科タイリクヤチネズミ属に分類される齧歯類。

分布

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日本新潟県福島県以南の本州四国九州島後島)固有種[4]

模式標本の産地(基準産地・タイプ産地・模式産地)は神戸市[3]。大規模な山塊に沿って分布し、紀伊半島南部・島根半島知多半島房総半島三浦半島鰐塚山地弥彦山などには分布しない[3]。県別では1992年の時点で茨城県千葉県では確認例がなく、このうち千葉県に分布しないのは沖積平野によって分布が遮断されているためと考えられている[3]

形態

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頭胴長(体長)7 - 11.5センチメートル[4]。尾長3 - 5センチメートル[4]。体重20 - 35グラム[4]。南部個体群の方がより大型になる[4]。ヤチネズミとの識別形態として尾の比率(40 - 50 %)が用いられたことがあるが、成長に伴い比率が小さくなるため有効ではない[4]

乳頭数は4 - 6個[4]。乳頭式は0 + 0 + 2 = 4の鼠蹊部2対で計4個か、1 + 0 + 2 = 6の胸部1対と鼠蹊部2対で計6個[4]

分類

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種小名smithiiは、模式標本を採集したリチャード・ゴードン・スミスへの献名[5]

乳頭数や無歯根であることからビロードネズミ属Eothenomysとする説、Anteliomys属、本種とヤチネズミでスミスネズミ属Phaulomysを構成する説などがあった[3][6]。一方でこれらの分類にあたり、他種との十分な比較が行われていないという問題点もあった[3]。分子系統解析からタイリクヤチネズミ属Craseomysに分類する説が有力とされる[2]

乳頭数や陰茎骨の形状が異なることから、中部地方以北の個体群をカゲネズミEothenomys kageusとする説もあった[4]。一方でこれらの識別形態は地域変異ではなく同一地域でも見られる多型であること、本種とカゲネズミでは交雑も可能で交雑個体でも繁殖が可能であること(捻性がある)、乳頭数は左右で対にならない個体もいて繁殖状態によっても変異がある[4]。そのためカゲネズミは、本種のシノニムとする説が有力とされる[4]

生態

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標高2,400メートル以下(山麓の裾であれば低標高でも)の山地にあるササ類が密生したカラマツからなる松林・落葉樹林・照葉樹林・混交林などに生息するが、カラマツ・スギヒノキの植林地や山に接した水田やミカン畑、石垣などでも見られる[3]。日当たりが悪く湿潤で下生えが密生し、腐植質が厚く堆積した環境を好む[3]

ウワミズザクラミズキヤマビワなどの果実などを食べる[3]。夏季には主に植物の葉を食べる[3]。山中湖畔で採取された胃の内容物からは落葉樹の細片、草本の茎、イネ科植物の表皮が発見された例がある[3]。捕食者はイタチ類、フクロウ類、ニホンマムシジムグリなどが挙げられ、イタチ類の糞から体毛や骨片が発見された例もある[3]

繁殖期には地域変異があり、本州中部以北の亜高山帯では春季から秋季、四国や広島以西の低地では秋季から春季、四国の亜高山帯では春季と秋季1回に1 - 4頭(主に2 - 3頭)の幼獣を産む[4]

出典

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  1. ^ a b Cassola, F. 2016. Myodes smithii. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T16900A22372648. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-2.RLTS.T16900A22372648.en. Downloaded on 27 September 2020.
  2. ^ a b 谷戸崇・岡部晋也・池田悠吾・本川雅治Illustrated Checklist of the Mammals of the Worldにおける日本産哺乳類の種分類の検討」『タクサ:日本動物分類学会誌』第53巻(号)、日本動物分類学会、2022年、31-47頁。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 金子之史シリーズ 日本の哺乳類 各論編 日本の哺乳類17 スミスネズミ」『哺乳類科学』第32巻 1号、1992年、39-54頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 金子之史 「スミスネズミ」「日本産ネズミ科検索表」『日本の哺乳類【改訂2版】』阿部永監修 東海大学出版会、2008年、132、171頁。
  5. ^ 朝日稔Richard Gordon Smithについて」『哺乳類科学』第31巻 2号、日本哺乳類学会、1992年、153-154頁。
  6. ^ 河村善也「日本産の第四紀齧歯類化石 ―各分類群の特徴と和名および地史的分布―」『愛知教育大学研究報告 自然科学編』第40巻、愛知教育大学、1991年、91–113頁。