ストックス欧州600指数
ストックス欧州600指数(ストックスおうしゅう600しすう、ストックス600、英: STOXX Europe 600 Index、STOXX 600、SXXP)は、STOXXが算出する、ヨーロッパ先進国[注釈 1]における証券取引所上場の上位600銘柄により構成される株価指数[1]。流動性の高い600銘柄の株価を基に算出される、時価総額加重平均型株価指数である。
ヨーロッパ経済動向のベンチマーク指数として広く参照され、上場投資信託や先物・オプション取引などの金融商品で使用されている。リバランスは例年3月・6月・9月・12月に行われている[1]。
算出対象
[編集]2018年9月24日以降現在まで、以下の17の証券取引所上場の上位銘柄が対象となっている[2]。
- ロンドン証券取引所 - 最大ウェイト
- ユーロネクスト・パリ
- フランクフルト証券取引所
- スイス証券取引所 - 以上でウェイト全体の約3分の2
- ユーロネクスト・アムステルダム
- ナスダック・コペンハーゲン - 以上でウェイト全体の約8割
- ナスダック・ストックホルム
- イタリア証券取引所
- マドリード証券取引所
- ナスダック・ヘルシンキ
- ユーロネクスト・ブリュッセル
- ユーロネクスト・ダブリン
- オスロ証券取引所
- ワルシャワ証券取引所 - 以下ウェイト全体の1%未満
- ウィーン証券取引所
- ユーロネクスト・リスボン
- ルクセンブルク証券取引所 - 最小ウェイト
沿革
[編集]ストックス欧州600指数の算出は、基準日となる1991年12月31日の時価総額を100として、1998年9月16日より開始された[1]。時価総額中、通信・テクノロジー関連銘柄[3]の占める割合が1999年後半に高まり、ITバブルの最中の2000年に指数は一時400ポイントを超えた。ITバブル崩壊後は代わって投資銀行[4]の占める割合が高まり、2007年6月に指数は再び400ポイントに達したが、世界金融危機に際しては銀行が下落を先導し、2009年3月に150ポイント台まで低下した。その後指数は再び上昇に転じたが、銀行の割合は低下が続き、現在は突出したセクターのない状況となっている[1]。
1998年以来の指数の推移を示す。
年 | 年末終値 | 対前年増減率 |
---|---|---|
1998 | 279.20 | |
1999 | 379.49 | 35.92 |
2000 | 359.79 | -5.19 |
2001 | 298.73 | -16.97 |
2002 | 201.72 | -32.47 |
2003 | 229.31 | 13.68 |
2004 | 251.02 | 9.47 |
2005 | 310.03 | 23.51 |
2006 | 365.26 | 17.81 |
2007 | 364.64 | -0.17 |
2008 | 196.90 | -46.00 |
2009 | 253.16 | 28.57 |
2010 | 275.81 | 8.95 |
2011 | 244.54 | -11.34 |
2012 | 279.68 | 14.37 |
2013 | 328.26 | 17.37 |
2014 | 342.54 | 4.35 |
2015 | 365.81 | 6.79 |
2016 | 361.42 | -1.20 |
2017 | 389.18 | 7.68 |
2018 | 337.65 | -13.24 |
2019 | 415.84 | 23.16 |
2020 | 399.03 | -4.04 |
2021 | 487.80 | 22.25 |
2022 | 424.89 | -12.90 |
2023 | 479.02 | 12.74 |
構成銘柄
[編集]ETF
[編集]ストックス欧州600指数に連動する、日本で購入可能なETFとしては下記がある。
セクター別指数
[編集]本指数と共に、業種別に20の指数が算出されており、各セクターの動向を測るベンチマークとして利用されている[5]。セクターの分類はICBに基づくが、2020年9月、生活必需品と一般消費財関連についてセクターの再編成が実施された[6]。
- 金融セクター
- ストックス欧州600 銀行株指数(Banks)
- ストックス欧州600 保険株指数(Insurance)
- ストックス欧州600 金融サービス株指数(Financial Services)
- 資本財セクター
- ストックス欧州600 資本財・サービス株指数(Industrial Goods & Services)
- ストックス欧州600 建設・資材株指数(Constriction & Materials)
- ヘルスケアセクター
- ストックス欧州600 ヘルスケア株指数(Health Care)
- 生活必需品セクター
- ストックス欧州600 食品飲料・タバコ株指数(Food Beverage and Tobacco)
- ストックス欧州600 パーソナルケア・食品小売株指数(Personal Care Drug and Grocery Stores)
- 一般消費財セクター
- ストックス欧州600 消費財・サービス株指数(Consumer Products and Services)
- ストックス欧州600 自動車・部品株指数(Automobiles & Parts)
- ストックス欧州600 メディア株指数(Media)
- ストックス欧州600 小売株指数(Retail)
- ストックス欧州600 旅行・娯楽株指数(Travel & Leisure)
- 素材セクター
- ストックス欧州600 化学株指数(Chemicals)
- ストックス欧州600 基礎素材株指数(Basic Resources)
- テクノロジーセクター
- ストックス欧州600 テクノロジー株指数(Technology)
- エネルギーセクター
- ストックス欧州600 エネルギー株指数(Energy)
- 公益セクター
- ストックス欧州600 公益株指数(Utilities)
- 通信セクター
- ストックス欧州600 通信株指数(Telecommunications)
- 不動産セクター
- ストックス欧州600 不動産株指数(Real Estate)
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス(アルファベット順)の17か国。対象の証券取引所は、STOXXによる先進国市場の定義に拠り、随時組み入れまたは除外が行われる。近年から順に遡ると、2018年9月24日にポーランドの組み入れとチェコの除外、2016年9月19日にギリシャの除外、2013年9月23日にチェコの組み入れと続き、また2008年3月25日以前はアイスランドの企業が銘柄に含まれていた。“Results of the STOXX Country Classification Review 2018-Q1” (PDF) (英語). STOXX (2016年4月20日). 2018年9月28日閲覧。“Q1-2008 Quarterly Review” (PDF) (英語). STOXX (2008年2月19日). 2018年9月28日閲覧。
出典
[編集]- ^ a b c d “Fact Sheet(Apr.2020)” (PDF) (英語). STOXX (2020年4月30日). 2020年5月23日閲覧。
- ^ “Component Information” (PDF) (英語). STOXX. 2020年5月23日閲覧。
- ^ 当時大幅に値上がりした関連銘柄としてフランステレコム、KPNなど。
- ^ 当時大幅に値上がりした関連銘柄としてフォルティスグループ、ドイツ銀行など。
- ^ “Europe indice” (英語). STOXX. 2017年2月4日閲覧。
- ^ “STOXX Index Methodology Guide” (PDF) (英語). STOXX (2020年8月21日). 2020年9月23日閲覧。
関連項目
[編集]ヨーロッパ先進国全体を対象とするインデックスとしては、他に以下のものが知られている。
- STOXX Europe 50 - 本指数のブルーチップ版。
- FTSE 欧州先進国インデックス - 構成銘柄数は約580。対象とする証券取引所は本指数と同一である。小型株も対象に含めた「FTSE 欧州先進国オールキャップ・インデックス」もある。
- S&P Europe 350 - ワルシャワ証券取引所上場銘柄を対象外とする点が本指数と異なる。
- MSCI Europe - 構成銘柄数は約440。ワルシャワ証券取引所上場銘柄を対象外とする点が本指数と異なる。