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ジョン・S・マケイン (ミサイル駆逐艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
USS John S. McCain
艦歴
発注 1988年12月13日
起工 1991年9月3日
進水 1992年9月26日
就役 1994年7月2日
退役
その後 就役中
要目
排水量 満載: 8,362 トン
全長 153.9 m (505 ft)
全幅 20.1 m (66 ft)
吃水 9.4 m (31 ft)
機関 COGAG方式
LM 2500-30ガスタービンエンジン (27,000shp) ×4基
可変ピッチプロペラ(5翅)×2軸
最大速 31ノット
航続距離 4,400 海里(20ノット時)
乗員 士官、兵員 337名
兵装 Mk.45 mod.2 5インチ単装砲 ×1基
Mk.38 25mm単装機関砲 ×2基
Mk.15 20mmCIWS×2基
M2 12.7mm機銃 ×4挺
Mk.41 mod.2 VLS ×90セル
ハープーンSSM 4連装発射筒×2基
Mk.32 3連装短魚雷発射管×2基
艦載機 ヘリコプター甲板のみ, 格納庫なし
C4ISTAR AWS B/L 5 (Mk.99 GMFCS×3基)
AN/SQQ-89
センサ AN/SPY-1D 多機能レーダー×4面
AN/SPS-67 対水上レーダー×1基
AN/SQS-53C艦首装備ソナー
AN/SQR-19 曳航ソナー
電子戦 AN/SLQ-32(V)2 ESM装置
Mk.36 mod.12 デコイ発射装置
モットー Fortune Favors the Brave

ジョン・S・マケイン (英語: USS John S. McCain, DDG-56) は、アメリカ海軍アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の6番艦。その名を持つ艦としては2隻目。

艦名はアメリカ海軍の提督ジョン・S・マケイン・シニアおよびジョン・S・マケイン・ジュニアに因む。ジョン・S・マケイン・ジュニアは潜水艦ガンネルおよびデンテューダを指揮し、1972年に退役するまで太平洋軍最高司令官を始めとする多くの要職に就いた。ジョン・S・マケイン・シニアは空母レンジャーを指揮し、1944年まで機動部隊指揮官の役割を果たした。

2018年7月11日には、ジョン・S・マケイン3世上院議員が艦名の由来に付け加えられた。ジョン・マケイン3世は海軍パイロットとしてベトナム戦争に従軍、撃墜され捕虜となった後に帰国。1981年に退役後、共和党連邦下院議員連邦上院議員となり、共和党の重鎮として大統領選挙にも出馬している[1]

艦歴

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第7艦隊に所属し、母港は日本横須賀ミサイル防衛対応艦船。

1994年7月2日の就役当初、ハワイ真珠湾に配属されたが、1997年に横須賀へ配置転換された。 2003年1月、ペルシア湾に展開し、イラク戦争での侵攻作戦を支援する為、トマホークミサイルを39発発射し、en:Navy Unit Commendationを受賞した。2003年、2004年両年にNavy Battle E for DESRON 15を受賞。2007年2月16日、2006 Battle "E" awardを受賞[2]

2009年6月に、監視していた中国人民解放軍海軍潜水艦が曳航ソナーに接触、これを損傷した[3]

2011年3月、空母ロナルド・レーガンに同伴し、東日本大震災の救援活動を行うため本州東北部に配備された[4][5]

2012年12月、北朝鮮は「人工衛星」と称する弾道ミサイルの発射を予告する。これに対し米国海軍は黄海に艦艇を展開させ不測の事態に備える。ジョン・S・マケインはCG-76 シャイローと共に先行の2隻に続いて追加派遣され、ミサイル発射予告の初日に当たる12月10日までに当該海域に配備される。他に海上自衛隊からイージス艦3隻、大韓民国海軍から2隻を加えた10隻態勢で臨む[6]。ミサイルは同月12日に発射された(「光明星3号2号機」参照)。

2016年10月2日、ジョン・S・マケインとUSS Frank Cableは、1975年のベトナム戦争終結以来初となる米海軍船舶によるベトナムカムラン湾訪問を行った[7]

2019年5月28日、ジョン・マケイン三世上院議員の政敵であったドナルド・トランプアメリカ合衆国大統領として横須賀基地を訪問。ホワイトハウスにより、基地内で修理中の艦名を目にしないよう、訪問中の間、艦名に布をかぶせる指示が出されたと報じられた。この命令は最終的に海軍高官の指示により阻止され、実行されなかった[8][9]

2020年12月31日カーティス・ウィルバー とともに台湾海峡を通過した[10]

2021年9月17日、24年間の前方展開任務を終え、エバレット海軍基地に向け帰国の途に就いた。 [11]

2017年の衝突事故

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2017年8月21日、マラッカ海峡シンガポール沖でリベリア船籍の石油タンカー Alnic MC と衝突した。乗組員10人が死亡し[12][13]、5人が負傷した[14][15][16]。左舷後部に被害を受けたジョン・S・マケインは自力航行でシンガポールチャンギ海軍基地に到着した[17]。米海軍の報道によると、このダメージによって乗組員寝所、機関室、通信室などの近くの区画が浸水しているとの事である[18]。応急修理後、シンガポール沖合でオランダの重量運搬専門海運会社のドックワイズ所有半潜水型重量物運搬船トレジャーに載せられ、横須賀基地に帰港修繕予定であったが[19]、運搬中に新たに船体中央部の右舷側に長さ約10センチの亀裂とへこみができ[20]「超大型」の台風が接近中であったため、急遽フィリピンスービック海軍基地へ回航され[21]、横須賀基地に到着後、横須賀海軍施設で修理を行う[22][23]

この事故により2017年、太平洋艦隊所属艦艇の衝突事故が相次いだ(1月のイージス巡洋艦アンティータムの人為的ミスによる座礁事故、6月のイージス駆逐艦フィッツジェラルドのコンテナ船衝突事故)事態を受けて米海軍は運用慣行の「包括的な見直し」を行うための「運用一時停止」を指示、同年8月21日の全艦艇の運用一時停止を命じた[24]ほか、海軍中将ジョセフ・P・アーコイン英語版を第7艦隊司令官から解任した[25]。また、10月11日には艦長と副艦長を、軍幹部からの「信頼を失った」として解任した[26]。2018年1月16日、職務怠慢、艦体を危険にさらした罪、過失致死の罪で元艦長が軍法会議にかけられることが発表された[27]。11月1日に公表された事故報告書によると、衝突の原因は艦制御用コンソールに関する適切な知識を乗組員が欠いていたことにより、事故は回避可能であったと結論付けた。艦内に衝突警報が発令されていなかったことが明らかとなった[23]

これらの衝突事故の背景として、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙は現場の過剰な負担があると指摘している。過去に会計検査院が報告書でまとめた報告によると、一週間の勤務時間が標準の80時間を超過した108時間に達しているほか、経験不足の水兵が配属されるため経験がある水兵が現場で訓練を施しており、管理・整備のための予算も削減気味であると報じている[28]

2019年10月28日、修理後初めて試験航海に出航。日本近海で訓練の後、11月3日に横須賀基地に帰港した[29]

脚注

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  1. ^ mccain-joins-father-and-grandfather-on-ship-s-list-of-namesakes”. stripes.com. 12 July 2018閲覧。
  2. ^ Ludwick, Paula M. (19 February 2007). “Surface Force Ships, Crews Earn Battle "E"”. US Navy. 2 October 2015閲覧。
  3. ^ Starr, Barbara (12 June 2009). “Sub collides with sonar array towed by U.S. Navy ship”. CNN. https://edition.cnn.com/2009/US/06/12/china.submarine/index.html 2 October 2015閲覧。 
  4. ^ Rabiroff, John (17 March 2011). “U.S. military delivers 40 tons of supplies to hardest-hit areas”. Stars and Stripes. 2 October 2015閲覧。
  5. ^ Warships Supporting Earthquake in Japan”. Seawaves. 23 March 2011時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年8月22日閲覧。
  6. ^ 10日から北ミサイル発射の予告期間 米イージス艦が黄海へ 日米韓で10隻態勢gooニュース(2012年12月9日)
  7. ^ “United States warships make first visit to Vietnam base in decades”. South China Morning Post. (4 October 2016). http://www.scmp.com/news/asia/southeast-asia/article/2024978/united-states-warships-make-first-visit-vietnam-base 5 October 2016閲覧。 
  8. ^ トランプ氏「知らなかった」 駆逐艦ジョン・マケイン巡る指示”. THE WALL STREET JOURNAL (2019年5月31日). 2019年5月30日閲覧。
  9. ^ 米国防総省、軍に政治持ち込まれ反発 駆逐艦マケイン隠しで政府に警告”. CNN (2019年6月3日). 2019年6月5日閲覧。
  10. ^ 「米艦2隻、台湾海峡通過」『読売新聞』朝刊2021年1月1日(国際面)
  11. ^ USS John S. McCain departs Yokosuka”. dvids (2021年9月17日). 2021年9月17日閲覧。
  12. ^ Varner, Jesse (28 August 2017). “All remains recovered of 10 sailors from USS John S. McCain collision”. 2018年2月22日閲覧。
  13. ^ 「米駆逐艦衝突、不明10人全員の遺体収容」AFP通信
  14. ^ “USS John S. McCain Collides with Merchant Ship Near Strait of Malacca Story Number: NNS170820-01Release”. http://www.navy.mil/submit/display.asp?story_id=102034 2017年8月2日閲覧。 
  15. ^ “米イージス艦がタンカーと衝突=乗組員10人人不明、マラッカ海峡で”. 時事通信. (2017年8月21日). https://web.archive.org/web/20170823115055/https://www.jiji.com/jc/article?k=2017082100307&g=int 2017年8月21日閲覧。 
  16. ^ “不明10人全員の遺体収容、米イージス艦衝突事故”. 『産経新聞』. (2017年8月28日). https://web.archive.org/web/20170925181147/http://www.sankei.com/smp/world/news/170828/wor1708280019-s1.html 2017年9月25日閲覧。 
  17. ^ 「シンガポール海軍基地に到着 捜索続く」毎日新聞』2017年8月21日
  18. ^ Global, IndraStra. “10 U.S. Navy Sailors Missing after USS John S McCain Collides with Oil Tanker”. IndraStra. ISSN 2381-3652. http://www.indrastra.com/2017/08/USS-John-S-McCain-Collision-003-08-2017-0035.html. 
  19. ^ 事故の米イージス艦がシンガポールを出港、横須賀へ”. 『産経新聞』 (2017年10月5日). 2017年10月12日閲覧。
  20. ^ 運搬中のイージス艦に新たな損傷 横須賀到着、遅れる見込み”. 『福井新聞』 (2017年10月21日). 2017年10月22日閲覧。
  21. ^ 「運搬作業でイージス艦損傷 米横須賀基地に戻る」『産経新聞』
  22. ^ 衝突で損傷の米海軍ミサイル駆逐艦、修理のため横須賀基地に到着”. AFP (2017年12月14日). 2017年12月18日閲覧。
  23. ^ a b 「海外艦艇ニュース 米駆逐艦マッケーンの修理と人事異動」『世界の艦船』第872集(2018年1月特大号) 海人社
  24. ^ 米海軍、全艦隊の運用停止 駆逐艦衝突受け
  25. ^ “Commander of Naval Fleet Relieved of Duty After Collisions”. The New York Times (ニューヨーク・タイムズ). (2017年8月22日). https://www.nytimes.com/2017/08/22/world/asia/us-navy-ship-collision-uss-mccain-search-sailors.html 2017年8月23日閲覧。 
  26. ^ 米海軍、衝突事故起こした駆逐艦艦長らを解任 「信頼失った」”. AFP (2017年10月1日). 2017年10月12日閲覧。
  27. ^ “衝突事故の米海軍艦、元艦長ら過失致死罪で軍法会議に”. CNN. (2018年1月17日). https://www.cnn.co.jp/m/usa/35113269.html 2018年2月2日閲覧。 
  28. ^ 「海外艦艇ニュース 米イージス駆逐艦マッケーンが接触事故」『世界の艦船』第868集(2017年11月号) 海人社
  29. ^ 衝突事故の米イージス艦が帰港”. ロイター (2019年11月3日). 2019年11月3日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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