ヒハツモドキ
ヒハツモドキ | |||||||||||||||||||||
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1. ヒハツモドキの葉と果実
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Piper retrofractum Vahl (1804)[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
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和名 | |||||||||||||||||||||
ヒハツモドキ[2]、ジャワナガコショウ[2]、サキシマフウトウカズラ[2]、ヒハツ[2][注 1]、ピパツ[3]、ヒバーチ[3]、ヒパーチ[3]、ピーヤシ[3]、ピパチ[3]、ピバツ[3]、ピパーツ[3]、ピパーズ[3]、ピィパーズ、フィファチ[3]、チバティ[3] | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Javanese long pepper[4] |
ヒハツモドキ (学名: Piper retrofractum) は、コショウ科コショウ属に属するつる性木本 (藤本) の1種である(図1)。果実は香辛料や生薬に利用される。別名としてジャワナガコショウ、サキシマフウトウカズラなどがある (右和名欄参照)。ヒハツとよばれることもあるが[2]、2020年現在ふつうこの名は同属別種の Piper longum (この種はインドナガコショウともよばれる[5]) に充てられる。東南アジアに分布し、八重山諸島では香辛料用に栽培され、この香辛料は島胡椒 (島こしょう)、ヒバーチ、ピパーツ、ピパーチ、ピーヤシ、フィファチなどとよばれる[6]。
特徴
[編集]つる性の木本であり、高さ2–4メートル (m)、茎は乾くと褐色、直径約2ミリメートル (mm)、全体は無毛[3][7][8][9]。葉は互生、葉柄は長さ 5–11 mm、葉身は長楕円形から卵状楕円形、6-16 x 2–7.5 センチメートル (cm)、先端は鋭尖形、基部はしばしば左右非対称、葉縁は全縁[7][9]。葉の表面には光沢があり、葉脈は羽状で側脈はふつう4–5対[7][9](図1, 下図2a)。
花期は5–7月、雌雄異株 (雌雄同株との報告もあり、また日本では雄株が見つからない[10])、花序は葉に対生状につき直立し、各花の苞は半円形で幅 1-1.2 mm[8][9]。雄花序は細長く (下図2a)、長さ 5-6.5 cm、雄花の雄しべは2–3個、ほぼ無柄[9]。雌花序は長さ 3–4 cm(下図2b)、雌花の柱頭は3個。果実は核果、6–10月に赤く熟し、果序は円筒形でおよそ直径 1.5 cm[7][11][12][13] (下図2c)。
日本産の種としては同属のフウトウカズラ (本州南部以南に分布する) にやや似ており、ヒハツモドキはサキシマフウトウカズラともよばれる。ヒハツモドキの方が葉が薄く光沢があり無毛である点 (フウトウカズラは葉の裏面に毛がある)、葉脈が羽状である点 (フウトウカズラは5行脈)、花序が直立する点 (フウトウカズラでは垂下) などで区別できる[8][12]。
分布・生態
[編集]東南アジア (中国南部、インドシナ半島、フィリピン、マレー半島、インドネシアなど) で広く栽培されているが[1][11][13][14][10]、原産地は不明[9]。日本では、沖縄諸島および先島諸島 (特に後者) で栽培され、また帰化している[11][13][10][7]。
東南アジアでは落葉樹林などで樹木に付着しているが、沖縄県ではコンクリートや石灰岩に付着していることも多い[10]。
日本では、ナンゴクナミハダニやコナカイガラムシ類による病害が報告されている[10]。
人間との関わり
[編集]果実や新芽はカプサイシンやピペリンを含み、香辛料や生薬に利用される[3][11][13][10]。
日本ではヒハツモドキは沖縄県で栽培され、特に八重山地域では多い[15]。未熟な果実を収穫し、乾燥し炒って粉にしたものを料理の香辛料・調味料として用いる (図3)。この香辛料は島コショウ (島胡椒) とよばれ、また八重山諸島では「ピパーチ」、「ピパチ」、「ヒバーチ」、「ピパーツ」、与那国島では「チバティ」、竹富島では「ピーヤシ」、宮古島では「ピパーツ」、沖縄島では「フィファチ」などともよばれる[6][14][13][16]。
また強壮、食欲増進、健胃整腸の効用があるとされ、腹痛、胃腸病、消化不良、痛風、関節痛、腰痛、咳、中風、冷性の慢性の腹痛などに用いることがある[3]。
その他、建物の壁や石垣などに這わせて壁面緑化にも利用されている[13]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ふつうこの名は Piper longum (この種はインドナガコショウともよばれる) に充てられる。「ヒハツ」を参照。
出典
[編集]- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v “Piper retrofractum”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2021年9月11日閲覧。
- ^ a b c d e 米倉浩司・梶田忠. “植物和名ー学名インデックス YList”. 2021年9月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m “ヒハツモドキ”. 亜熱帯生物資源データベース. 琉球大学. 2021年9月11日閲覧。
- ^ GBIF Secretariat (2021年). “Piper retrofractum Vahl”. GBIF Backbone Taxonomy. 2021年9月11日閲覧。
- ^ 「コショウ(胡椒)」『世界大百科事典』 。コトバンクより2021年9月11日閲覧。
- ^ a b NEWS ONLINE 編集部 (2021年1月23日). “「ヒハツ」「ヒハツモドキ」「島こしょう」~全部ほぼ同じコショウ”. ニッポン放送 NEWS ONLINE. 2021年9月11日閲覧。
- ^ a b c d e 植村修二, 勝山輝男, 清水矩宏, 水田光雄, 森田弘彦, 廣田伸七, 池原直樹 (2010). “ヒハツモドキ”. 日本帰化植物写真図鑑 第2巻. 全国農村教育協会. p. 398. ISBN 978-4881371558
- ^ a b c 米倉浩司 (2015). “コショウ科”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 1. 平凡社. pp. 55–56. ISBN 978-4582535310
- ^ a b c d e f “Piper retrofractum”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2021年9月11日閲覧。
- ^ a b c d e f 大野豪, 根本明子, 宮里進, 東嘉弥真勇人, 宮城徳道, 山城信哉, 玉城盛俊 (2016). “沖縄県におけるヒハツモドキの地理的分布と生育環境の特徴, ならびに害虫等による本種の被害・障害に関する予備的知見”. 熱帯農業研究 9 (1): 1-11. doi:10.11248/nettai.9.1.
- ^ a b c d 多和田真淳監修・池原直樹著 (1979). 沖縄植物野外活用図鑑 第1巻 栽培植物と果樹. 新星図書出版. p. 18
- ^ a b 初島住彦 (1975). 琉球植物誌 追加・訂正版. 沖縄生物教育研究会
- ^ a b c d e f 建設省土木研究所環境緑化生態研究室監修、財団法人海洋博覧会記念公園管理財団編集 (1997). 沖縄の年緑化植物図鑑. 海洋博覧会記念公園管理財団. p. 297
- ^ a b 山門健一 (1998). 香りのまちづくり : その後の展開. 沖縄大学. 48–49. ISSN 03871657
- ^ 大野豪・根本明子・玉城盛俊 (2018). “挿し木によるヒハツモドキの増殖:挿し木に適する植物部位,挿し穂の節数,葉切除の程度ならびに時期の特定”. 沖縄県農業研究センター研究報告 12: 29–42 .
- ^ “校内代表懸けプレゼン 8班が活動成果競う”. 八重山毎日新聞. (2021年2月6日)
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- NEWS ONLINE 編集部 (2021年1月23日). “「ヒハツ」「ヒハツモドキ」「島こしょう」~全部ほぼ同じコショウ”. ニッポン放送 NEWS ONLINE. 2021年9月11日閲覧。
- funokinawa編集部 (2019年12月5日). “沖縄スパイス ヒハツモドキ①|心も体も健康にアーユルヴェーダ”. fun okinawa. 2021年9月11日閲覧。
- “Piper retrofractum”. Plants of the World Online. Kew Botanical Garden. 2021年9月11日閲覧。 (英語)