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ガーディニア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『ガーディニア』
加藤和彦スタジオ・アルバム
リリース
録音 1977年10月 (1977-10) - 11月
サウンド・シティ・スタジオ
東芝EMIスタジオ
ジャンル サンバ
ボサノヴァ
AOR
時間
レーベル DOUGHNUT (ドーナツ)
プロデュース 加藤和彦
加藤和彦 アルバム 年表
Catch-22
1977年
ガーディニア
1978年
パパ・ヘミングウェイ
1979年
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ガーディニア』(GARDENIA)は、1978年2月5日に発売された加藤和彦の4枚目のソロ・アルバム。安井かずみとのコンビによる作品で、ドーナツ・レコードからリリースされた最後のアルバムである。

解説

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『ガーディニア』は加藤和彦がブラジル音楽に取り組んだ作品で、サンバボサノヴァなどが取り上げられている。加藤はアルバム制作にあたり、日本人としてのアイデンティティーを重視して、海外ミュージシャンを起用せず、レコーディングもすべて日本国内で行なった。ストリングスとホーンの編曲は、加藤がこの頃はじめて知己を得た坂本龍一に委ね[1]、ミュージシャンにはサディスティック・ミカ・バンド時代からの僚友である高橋幸宏後藤次利などに加え、笠井紀美子や村岡建、尾形道子など、ジャズ・フュージョン系のプレイヤーを多く起用し、随所で各人のソロ・プレイをフィーチャーしている。ミキシングはスタジオ所属のエンジニアが作業を途中でボイコットしたため、実質的に加藤がほぼ独りだけで行なったという[2]。なお、本作発表後、加藤はザ・フォーク・クルセダーズ時代から所属していた東芝EMIを離れ、ワーナー・パイオニアに移籍。本作がミカ・バンド時代から加藤の作品を発表してきたプライベート・レーベル[2]、DOUGHNUT RECORDS(ドーナツ・レコード)の最終リリース作品となった。

アートワーク

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アート・ディレクションは、日系三世のグラフィック・デザイナー、ブライアン萩原(Bryan Hagiwara)[注釈 1]と写真家のケネス・マクワン (Kenneth McGowan)のコンビが手がけた。フロント・カバーは安井かずみの友人であるコシノジュンコの自宅で撮影した写真をアレンジしたもので、加藤が着用しているシャツは三宅一生のデザインによる[2][注釈 2]。なお、初発売時のレコード帯には、以下のキャッチコピーが記載されていた。

灯に包まれたメロウ・ファンタジックな都会から加藤和彦の足音が聴こえる

収録曲

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全曲作詞:安井かずみ、作編曲:加藤和彦
曲毎にソロ・オーダーを記した。なお、アナログ・レコードでは#1から#4までがA面に、#5から#9までがB面に収録されている。
楽曲の時間表記は初出アナログ・レコードに基づく。

  1. Gardenia - (4:25)
    この楽曲と#2は1982年に催された大貫妙子の船上コンサートで取り上げられ[注釈 3]、加藤もギターとヴォーカルで客演した。
    ソロ・プレイ:村岡建 (サクソフォーン)
  2. Today - (3:39)
    この楽曲は元ザ・ホワイト・キックス大空はるみがカバーしている。
    ソロ・プレイ:坂本龍一 (キーボード)
  3. 気分を出してもう一度 - (5:44)
    1977年に「立木リサ&今野雄二[注釈 4]小林啓子[注釈 5]RAJIE[注釈 6]へ提供した楽曲のセルフカバー。のちに野宮真貴[注釈 7]もカバーしている。
    ソロ・プレイ:渡辺香津美 (アコースティック・ギター) → 向井滋春 (トロンボーン) → 渡辺香津美 (アコースティック・ギター)
  4. 時の流れ - (4:07)
    ソロ・プレイ:坂本龍一 (アコースティック・ピアノ)
  5. Spicy Girl - (3:14)
    ソロ・プレイ:村岡建 (サクソフォーン) → 渡辺香津美 (エレクトリック・ギター) → 村岡建 (サクソフォーン)
  6. Together - (5:30)
    ソロ・プレイ:向井滋春 (トロンボーン) → 鈴木茂 (エレクトリック・ギター)
  7. まもなく太陽が沈む - (4:36)
    ソロ・プレイ:村岡建 (サクソフォーン) → 数原晋 (フリューゲルホルン)
  8. 終わりなき Carnaval - (4:15)
    この楽曲は次の曲とシームレスにつながっている。
    ソロ・プレイ:坂本龍一 (アコースティック・ピアノ)
  9. Maria - (3:58)
    この楽曲ではラリー寿永のラテン・パーカッションをフィーチャーし、サンバを再現している。

クレジット

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  • Produced by Kazuhiko Kato
  • All Songs Composed, Arranged & Sung by Kazuhiko Kato
  • Lyrics Written by Kazumi Yasui
  • Associate Producer - Hiroshi Shigemi
  • Recording & Remix Engineer - Kenji Murata
  • Recordist by Hideo Matsumoto
  • Recorded at Sound City Studios,Tokyo
  • Recording Date - Oct & Nov,1977
  • Remixed at Toshiba EMI Studios
  • Strings & Horns Arranged & Conducted by Ryuichi Sakamoto
  • Photography - Kenneth McGowan
  • Design - Bryan Hagiwara
  • Clothes - Issey Miyake
  • Management - Yoshiaki Nitta (Music Unlimited Ltd.)
  • Special Thanks to Kazunaga Nitta, Junko Koshino, Beverly Parker, Seiji Kudo, Koji Kimura & All Superb Musicians
  • The Artist Would Like to Have Gratitude to Misa Watanabe
  • YAMAHA Polyphonic Synthesizer CS-80 Courtesy of NIPPON GAKKI Shibuya

ミュージシャン

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発売履歴

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形態 発売日 レーベル 品番 アートワーク 解説 リマスタリング 初出/再発 備考
LP 1978年02月05日 DOUGHNUT DTP-72295 K.McGowan/B.Hagiwara なし なし 初出 A式ジャケット
LP 2021年08月21日 UNIVERSAL MUSIC/ローソンエンタテインメント PROT-7120 K.McGowan/B.Hagiwara なし 記載なし 再発 A式ジャケット【CITY POP on VINYL 2021[注釈 8]
CD 1991年03月20日 EASTWORLD TOCT-6038 K.McGowan/B.Hagiwara 篠原章 記載なし 初出
CD 2007年11月02日 SUPER FUJI DISCS FJSP-30 K.McGowan/B.Hagiwara 小倉エージ オノ・セイゲン 再発 紙ジャケット
CD 2017年06月28日 EXPRESS UPCY-7309 K.McGowan/B.Hagiwara 小松喜冶 記載なし 再発 【名盤発見伝 ジャパニーズ・グラフィティー】

参考文献

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  • ミュージック・ステディ 1983年10月号』ステディ出版、1983年9月。 
  • 安井かずみ・加藤和彦『ワーキングカップル事情』(文庫版)新潮社、1986年3月。ISBN 978-4-10-145101-5 
  • 加藤和彦・安井かずみ『ニューヨーク・レストラン狂時代』渡辺音楽出版、1987年5月。ISBN 978-4-94-873301-5 
  • ミュージック・マガジン 2009年12月号』株式会社ミュージック・マガジン、2009年11月。 
  • 文藝別冊 (編) 編『加藤和彦 あの素晴しい音をもう一度』河出書房新社、2010年2月。ISBN 978-4-30-997731-7 
  • 高橋幸宏『心に訊く音楽、心に効く音楽 私的名曲ガイドブック』PHP新書、2012年8月。ISBN 978-4-56-980640-2 
  • 前田祥丈 (聞き手・構成) 編『エゴ〜加藤和彦、加藤和彦を語る』スペースシャワーネットワーク、2013年7月。ISBN 978-4-90-670088-2 

脚注

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注釈

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  1. ^ ブライアン萩原は、のちに加藤と安井の共著書『ニューヨーク・レストラン狂時代』の写真撮影も担当している。
  2. ^ 加藤の没後、サイトウユウスケによる『ガーディニア』のカバーをモチーフにしたイラストが音楽誌の表紙に使われている[3]
  3. ^ 1982年8月31日〜9月9日に催された西武百貨店主催による豪華客船コーラル・プリンセス号のツアー "TASTEFUL TOUR AT OCEAN" のイベントとして9月6日に行なわれたコンサートのことで、当日のバッキング・メンバーは加藤のほか、岡田徹清水信之・高橋幸宏 (以上Keyboard)、鈴木博文 (Bass)、かしぶち哲郎 (Drums)が務めた。なお、イベントが行なわれたコーラル・プリンセス号は1962年にイギリスで建造された客船で、フランスで建造された現在就航中の同名船舶とは異なる[4]
  4. ^ シングル「気分を出してもう一度 / 20才のころ」(1977年7月、CBS/SONY 06SH-175)編曲は瀬尾一三。
  5. ^ シングル「気分を出してもう一度 / 丁度そんな風の中」 (1977年8月、キングレコード GK-8030)、アルバム『ちょっと気分をかえて』 (1977年8月、キングレコード SKA-1012)
  6. ^ アルバム『HEART to HEART』(1977年9月、CBS/SONY 25AH-295 )
  7. ^ アルバム『Lady Miss Warp』(2002年11月、ジェマティカ・レコーズ RSCM-1001)
  8. ^ 東洋化成の企画によるシティ・ポップの名盤復刻キャンペーン。

出典

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外部リンク

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UNIVERSAL MUSIC JAPAN