ガーディニア
『ガーディニア』 | ||||
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加藤和彦 の スタジオ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 |
1977年10月 サウンド・シティ・スタジオ 東芝EMIスタジオ | - 11月|||
ジャンル |
サンバ ボサノヴァ AOR | |||
時間 | ||||
レーベル | DOUGHNUT (ドーナツ) | |||
プロデュース | 加藤和彦 | |||
加藤和彦 アルバム 年表 | ||||
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『ガーディニア』(GARDENIA)は、1978年2月5日に発売された加藤和彦の4枚目のソロ・アルバム。安井かずみとのコンビによる作品で、ドーナツ・レコードからリリースされた最後のアルバムである。
解説
[編集]『ガーディニア』は加藤和彦がブラジル音楽に取り組んだ作品で、サンバやボサノヴァなどが取り上げられている。加藤はアルバム制作にあたり、日本人としてのアイデンティティーを重視して、海外ミュージシャンを起用せず、レコーディングもすべて日本国内で行なった。ストリングスとホーンの編曲は、加藤がこの頃はじめて知己を得た坂本龍一に委ね[1]、ミュージシャンにはサディスティック・ミカ・バンド時代からの僚友である高橋幸宏、後藤次利などに加え、笠井紀美子や村岡建、尾形道子など、ジャズ・フュージョン系のプレイヤーを多く起用し、随所で各人のソロ・プレイをフィーチャーしている。ミキシングはスタジオ所属のエンジニアが作業を途中でボイコットしたため、実質的に加藤がほぼ独りだけで行なったという[2]。なお、本作発表後、加藤はザ・フォーク・クルセダーズ時代から所属していた東芝EMIを離れ、ワーナー・パイオニアに移籍。本作がミカ・バンド時代から加藤の作品を発表してきたプライベート・レーベル[2]、DOUGHNUT RECORDS(ドーナツ・レコード)の最終リリース作品となった。
アートワーク
[編集]アート・ディレクションは、日系三世のグラフィック・デザイナー、ブライアン萩原(Bryan Hagiwara)[注釈 1]と写真家のケネス・マクワン (Kenneth McGowan)のコンビが手がけた。フロント・カバーは安井かずみの友人であるコシノジュンコの自宅で撮影した写真をアレンジしたもので、加藤が着用しているシャツは三宅一生のデザインによる[2][注釈 2]。なお、初発売時のレコード帯には、以下のキャッチコピーが記載されていた。
灯に包まれたメロウ・ファンタジックな都会から加藤和彦の足音が聴こえる
収録曲
[編集]全曲作詞:安井かずみ、作編曲:加藤和彦
曲毎にソロ・オーダーを記した。なお、アナログ・レコードでは#1から#4までがA面に、#5から#9までがB面に収録されている。
楽曲の時間表記は初出アナログ・レコードに基づく。
- Gardenia - (4:25)
- Today - (3:39)
- この楽曲は元ザ・ホワイト・キックスの大空はるみがカバーしている。
- ソロ・プレイ:坂本龍一 (キーボード)
- 気分を出してもう一度 - (5:44)
- 時の流れ - (4:07)
- ソロ・プレイ:坂本龍一 (アコースティック・ピアノ)
- Spicy Girl - (3:14)
- ソロ・プレイ:村岡建 (サクソフォーン) → 渡辺香津美 (エレクトリック・ギター) → 村岡建 (サクソフォーン)
- Together - (5:30)
- ソロ・プレイ:向井滋春 (トロンボーン) → 鈴木茂 (エレクトリック・ギター)
- まもなく太陽が沈む - (4:36)
- ソロ・プレイ:村岡建 (サクソフォーン) → 数原晋 (フリューゲルホルン)
- 終わりなき Carnaval - (4:15)
- この楽曲は次の曲とシームレスにつながっている。
- ソロ・プレイ:坂本龍一 (アコースティック・ピアノ)
- Maria - (3:58)
- この楽曲ではラリー寿永のラテン・パーカッションをフィーチャーし、サンバを再現している。
クレジット
[編集]- Produced by Kazuhiko Kato
- All Songs Composed, Arranged & Sung by Kazuhiko Kato
- Lyrics Written by Kazumi Yasui
- Associate Producer - Hiroshi Shigemi
- Recording & Remix Engineer - Kenji Murata
- Recordist by Hideo Matsumoto
- Recorded at Sound City Studios,Tokyo
- Recording Date - Oct & Nov,1977
- Remixed at Toshiba EMI Studios
- Strings & Horns Arranged & Conducted by Ryuichi Sakamoto
- Photography - Kenneth McGowan
- Design - Bryan Hagiwara
- Clothes - Issey Miyake
- Management - Yoshiaki Nitta (Music Unlimited Ltd.)
- Special Thanks to Kazunaga Nitta, Junko Koshino, Beverly Parker, Seiji Kudo, Koji Kimura & All Superb Musicians
- The Artist Would Like to Have Gratitude to Misa Watanabe
- YAMAHA Polyphonic Synthesizer CS-80 Courtesy of NIPPON GAKKI Shibuya
ミュージシャン
[編集]- Kazuhiko Kato - Vocal, Acoustic Guitar, Chorus
- Shigeru Suzuki - Electric Guitar (omit on #1, #7)
- Ryuichi Sakamoto - Acoustic Piano, Fender Rhodes, Synthesizer
- Yukihiro Takahashi - Drums
- Tsugutoshi Goto - Electric Bass
- Kazumi Watanabe - Acoustic Guitar, Electric Guitar (#3, #5)
- Shin Kazuhara - Flugel (#7)
- Takeru Muraoka - Saxophone (#1, #5, #7)
- Akio Mukai - Trombone (#3, #6)
- Nobu Saito - Percussions
- Larry Sunaga - Percussions, Cuíca (#8, #9)
- Kimiko Kasai - Vocal Accompaniment (#1, #2)
- Tatsushi Umegaki - Chorus (#5, #9)
- Michiko Ogata - Chorus (#5, #9)
- Ichizo Seo - Chorus (#9)
- Shigeru Suzuki courtesy of Crown Record Co,Ltd.
- Yukihiro Takahashi Courtesy of Victor Musical Industries Inc.
- Tsugutoshi Goto Courtesy of Victor Musical Industries Inc.
- Kazumi Watanabe Courtesy of Nippon Columbia Co,Ltd.
- Kimiko Kasai Courtesy of CBS/SONY Inc.
発売履歴
[編集]形態 | 発売日 | レーベル | 品番 | アートワーク | 解説 | リマスタリング | 初出/再発 | 備考 |
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LP | 1978年 | 2月 5日DOUGHNUT | DTP-72295 | K.McGowan/B.Hagiwara | なし | なし | 初出 | A式ジャケット |
LP | 2021年 | 8月21日UNIVERSAL MUSIC/ローソンエンタテインメント | PROT-7120 | K.McGowan/B.Hagiwara | なし | 記載なし | 再発 | A式ジャケット【CITY POP on VINYL 2021[注釈 8]】 |
CD | 1991年 | 3月20日EASTWORLD | TOCT-6038 | K.McGowan/B.Hagiwara | 篠原章 | 記載なし | 初出 | |
CD | 2007年11月 | 2日SUPER FUJI DISCS | FJSP-30 | K.McGowan/B.Hagiwara | 小倉エージ | オノ・セイゲン | 再発 | 紙ジャケット |
CD | 2017年 | 6月28日EXPRESS | UPCY-7309 | K.McGowan/B.Hagiwara | 小松喜冶 | 記載なし | 再発 | 【名盤発見伝 ジャパニーズ・グラフィティー】 |
参考文献
[編集]- 『ミュージック・ステディ 1983年10月号』ステディ出版、1983年9月。
- 安井かずみ・加藤和彦『ワーキングカップル事情』(文庫版)新潮社、1986年3月。ISBN 978-4-10-145101-5。
- 加藤和彦・安井かずみ『ニューヨーク・レストラン狂時代』渡辺音楽出版、1987年5月。ISBN 978-4-94-873301-5。
- 『ミュージック・マガジン 2009年12月号』株式会社ミュージック・マガジン、2009年11月。
- 文藝別冊 (編) 編『加藤和彦 あの素晴しい音をもう一度』河出書房新社、2010年2月。ISBN 978-4-30-997731-7。
- 高橋幸宏『心に訊く音楽、心に効く音楽 私的名曲ガイドブック』PHP新書、2012年8月。ISBN 978-4-56-980640-2。
- 前田祥丈 (聞き手・構成) 編『エゴ〜加藤和彦、加藤和彦を語る』スペースシャワーネットワーク、2013年7月。ISBN 978-4-90-670088-2。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ ブライアン萩原は、のちに加藤と安井の共著書『ニューヨーク・レストラン狂時代』の写真撮影も担当している。
- ^ 加藤の没後、サイトウユウスケによる『ガーディニア』のカバーをモチーフにしたイラストが音楽誌の表紙に使われている[3]。
- ^ 1982年8月31日〜9月9日に催された西武百貨店主催による豪華客船コーラル・プリンセス号のツアー "TASTEFUL TOUR AT OCEAN" のイベントとして9月6日に行なわれたコンサートのことで、当日のバッキング・メンバーは加藤のほか、岡田徹・清水信之・高橋幸宏 (以上Keyboard)、鈴木博文 (Bass)、かしぶち哲郎 (Drums)が務めた。なお、イベントが行なわれたコーラル・プリンセス号は1962年にイギリスで建造された客船で、フランスで建造された現在就航中の同名船舶とは異なる[4]。
- ^ シングル「気分を出してもう一度 / 20才のころ」(1977年7月、CBS/SONY 06SH-175)編曲は瀬尾一三。
- ^ シングル「気分を出してもう一度 / 丁度そんな風の中」 (1977年8月、キングレコード GK-8030)、アルバム『ちょっと気分をかえて』 (1977年8月、キングレコード SKA-1012)
- ^ アルバム『HEART to HEART』(1977年9月、CBS/SONY 25AH-295 )
- ^ アルバム『Lady Miss Warp』(2002年11月、ジェマティカ・レコーズ RSCM-1001)
- ^ 東洋化成の企画によるシティ・ポップの名盤復刻キャンペーン。
出典
[編集]- ^ 安井 & 加藤 1986.
- ^ a b c 加藤 & 前田 2013.
- ^ MM 2009.
- ^ MS 1983.
外部リンク
[編集]UNIVERSAL MUSIC JAPAN